「PINまたはパスキーが正しくないため」と表示され、Bluetoothがつながらない――その瞬間、イヤホンも車も健康機器も、急に“使えないもの”になってしまいます。しかも厄介なのは、PIN入力画面が出ない場合もあれば、何度やり直しても同じ表示で止まる場合もあり、原因が一つに絞れないことです。さらに「パスキー」という言葉が、Bluetoothの認証とログイン認証の両方で使われるため、調べれば調べるほど混乱しやすいのも実情です。
本記事では、このエラーが出る場面を最初に切り分けたうえで、成功率が高い順に「登録削除→再起動→再ペアリング」の基本フローから、機器カテゴリ別の注意点、Android・Windowsの設定見直し、解消しない場合の切り分けと問い合わせ準備まで、手順を体系的に解説いたします。遠回りの原因になりやすいポイントも明確にし、最短で接続を復旧させ、再発を防ぐところまで到達できる内容にまとめています。今すぐつなげたい方も、同じトラブルを繰り返したくない方も、まずはこの順番どおりに確認してみてください。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
PINまたはパスキーが正しくないためと表示される場面を切り分ける
「PINまたはパスキーが正しくないため、ペアに設定できませんでした」「PINまたはパスキーが正しくないため接続できません」といった文言は、スマホやPCのBluetooth設定画面で表示される代表的なエラーの一つです。ただし、近年はWebサービスやOSのログインで使う「パスキー(Passkey)」という用語も普及しているため、同じ“パスキー”という言葉が別の意味で使われている点が混乱の原因になります。まずは「今起きている問題がどの文脈か」を切り分けることが、最短解決につながります。
切り分けは難しくありません。次の観点を順に確認してください。
つなぎたい相手は、イヤホン・スピーカー・車載器・健康機器・家電などのBluetooth機器か
画面に「ペアに設定」「ペアリング」「接続」などが表示されているか
それとも「サインイン」「ログイン」「本人確認」「アカウント」など、サービスに入れない話か
本記事で扱う中心は、前者のBluetoothペアリング(接続)時のエラーです。後者(アカウントのパスキー)は原因も対処も大きく異なるため、最後の章で整理して触れます。
現場で多いのは、次のようなパターンです。
以前はつながっていたのに、突然つながらなくなった
新しい端末で初めてつなごうとして失敗する
PIN入力画面が出ないのに「PINまたはパスキーが正しくない」と出る
車や健康機器など、専用アプリ経由の登録が必要な機器で失敗する
ここから先は、これらの状況を想定し、成功率が高い順に解決手順を体系立てて解説いたします。
BluetoothのPINとアカウントのパスキーは別物
まず押さえていただきたいのは、「BluetoothのPIN/パスキー」と「アカウントのパスキー」は別物である、という点です。言い換えると、同じ単語でも用途が違うため、対処法が一致しません。
BluetoothのPIN/パスキー:機器同士のペアリング(認証)で使われる番号や仕組み。機器によっては入力が必要、不要の両方があり得ます。
アカウントのパスキー(Passkey):WebサービスやOSにログインするための認証手段。端末の生体認証や端末内PINなどと組み合わせて成立します。
Bluetoothのエラー文言に「パスキー」と書かれていても、ログイン用のパスキーとは関係ないことがほとんどです。逆に、サービスにログインできない話をBluetooth設定で解決しようとしても改善しません。最初の1分でこの違いを押さえるだけで、遠回りを大幅に減らせます。
新規接続か過去に接続済みかで手順が変わる
次に重要なのが「新規か、過去接続済みか」です。ここで最優先の対処が変わります。
新規接続(初めてつなぐ)
機器が正しいペアリングモードに入っているか、手順の導線(アプリ登録が必要か)が正しいか、OSの制限(権限や省電力)に阻まれていないか、が主要因になりやすいです。過去に接続済み(以前は使えていた)
もっとも多いのは、スマホ/PC側や機器側に残ったペアリング情報(登録情報)が不整合を起こしているケースです。この場合、PINを入力する以前の段階で失敗していることも多く、登録削除→再起動→再登録が最短になります。
「昨日まで使えていたのに突然ダメ」なときほど、手順を増やすより、登録の作り直しに集中したほうが早く復旧する傾向があります。
PIN入力画面が出ないのは異常とは限らない
「PIN入力画面が出ないのに“PINまたはパスキーが正しくない”と出るのはおかしいのでは」と感じる方は多いのですが、ここは落とし穴です。実際には次の理由で、PIN入力が不要な接続でも同様のエラー文言が表示されることがあります。
ペアリングの内部処理で認証が成立せず、OSが一律のエラー文言として表示している
過去の登録情報が残り、鍵情報が一致しない状態になっている
専用アプリ経由の登録が前提なのに、OSのBluetooth設定から直接つなぎにいっている
機器側がペアリングモードではなく「接続待ち」でもない中途半端な状態になっている
つまり、PIN入力画面が出ないからといって、必ずしも「PINが分からない問題」ではありません。多くの場合、PINを探し回るよりも、次章の原因整理と、手順に沿った復旧のほうが確実です。
PINまたはパスキーが正しくないためが出る主な原因
このエラーが出る原因は、乱雑に見えても概ね次の5類型に整理できます。ご自身の状況に当てはめることで、試行錯誤の回数が減り、結果的に復旧が早まります。
| 原因類型 | 典型症状 | 起こりやすい相手 | まず試すこと |
|---|---|---|---|
| ペアリング情報の不整合 | 以前は接続できたのに突然失敗 | イヤホン・車・PC全般 | 両側の登録削除→再起動 |
| 機器側がペアリングモードではない | 検出はするが接続だけ失敗 | イヤホン・スピーカー | モード再投入、時間内に操作 |
| 専用アプリ経由が必須 | 設定画面からだと失敗しやすい | 健康機器・家電 | アプリから機器登録 |
| OSや機種の相性と既知事象 | 特定端末だけ失敗 | 車のデジタルキー等 | 登録削除など段階的対応 |
| 同時接続や記憶台数上限 | 別端末だとつながる | イヤホン・車載器 | 他端末の登録解除、台数整理 |
以降では、それぞれ「なぜ起きるか」「どう見分けるか」「何が効くか」を具体化いたします。
ペアリング情報の不整合
最も遭遇率が高い原因です。Bluetoothのペアリングは、単に「機器名が見える/見えない」ではなく、内部では「認証情報(鍵情報)」のやり取りが行われています。過去に接続した履歴が残ると、以下のようなきっかけで不整合が起きます。
スマホやPCのOSアップデート
機器側のファーム更新、あるいは内部状態の変化
同名機器が複数存在する環境での誤登録
一度ペアリングが壊れたまま接続を繰り返し、情報が固定化した
端末を買い替え、旧端末の登録が残った
見分け方としては、「以前はつながった」「急にダメになった」「同じ機器名が表示されるが接続で落ちる」などが典型です。こういう場合は、PIN入力の正誤よりも前の段階で失敗しています。対処は明確で、スマホ/PC側・機器側の両方で登録を削除して作り直すことが第一選択になります。
機器側がペアリングモードではない
イヤホンやスピーカー、車載器などでは、機器側が「ペアリングモード」になっていないと、スマホ側からの接続要求を受け付けないことがあります。特に次の状況では誤認が起きやすいです。
電源は入っているが、ペアリングモードではない
以前の端末に自動接続しようとしており、新しい端末の要求を受けない
ペアリングモードが数十秒〜数分で終了し、時間切れになっている
ボタン操作が短押し/長押しで異なり、正しいモードに入れていない
この場合、スマホには機器名が見えることがあり、「見えているのになぜつながらないのか」と混乱します。対処は、機器を確実にペアリングモードに入れ直し、時間内に接続まで完了させることです。可能であれば、機器の取扱説明書で「ペアリングモードの入り方」を確認し、誤操作を減らしてください。
専用アプリ経由が必須の機器
健康機器や家電の一部は、OSのBluetooth設定から直接ペアリングする手順ではなく、専用アプリ内の機器登録が前提です。このタイプは、Bluetooth設定から先につなげようとしても失敗しやすく、エラー文言として「PINまたはパスキーが正しくないため」が表示されることがあります。
なぜアプリ経由が必要かというと、機器登録の過程で次の処理が行われる場合があるためです。
機器固有IDとユーザーアカウントのひも付け
初期設定(地域、測定単位、時刻合わせ等)
端末権限の取得(スキャン、近接、通知など)
初回同期や暗号鍵の交換
このため、Bluetooth設定で先にペアリングしてしまうと、アプリ側の想定とズレて登録が進まず、結果として接続が不安定になります。心当たりがあれば、アプリを最新版にして、アプリ内の「機器追加」「デバイス登録」からやり直すことが重要です。
OSや機種の相性と既知事象
Bluetoothは規格としては共通ですが、実装はOSや端末メーカー、機器メーカーで差が出ます。そのため、同じ機器でも「AのスマホではOKだがBではNG」「Androidの特定バージョンで不調」といった相性が起きることがあります。
このタイプの厄介な点は、ユーザーがPINを正しく入力しても改善しないことがある点です。根本が「入力」の問題ではなく、「交渉手順(ペアリングの段階)」の差異で失敗しているためです。対処としては、次章の手順に沿って「登録削除」「再起動」「再ペアリング」「更新」を上から行い、それでもダメなら切り分け(別端末)で相性を確定させていきます。
同時接続や記憶台数の上限
イヤホンのマルチポイント、車載器の登録上限、家電の登録台数制限など、機器側に上限があるケースもあります。以下の現象が典型です。
別の端末ではつながるが、この端末だけつながらない
以前使っていた端末を近くに置くと挙動が不安定になる
接続はできるが、次回から急に失敗する
登録台数がいっぱいで、新規登録が通らない
この場合は「端末側の設定をいじる」よりも、他端末の登録解除や、機器側の「登録全消去(初期化)」が効きやすいです。原因が上限であれば、整理さえできれば比較的すぐ直ります。
PINまたはパスキーが正しくないためを解消する手順
ここからは、実際に直すための具体手順です。重要なのは、闇雲にあれこれ試すのではなく、成功率が高い順に、手戻りが少ない順に進めることです。手順は大きく4つの塊に分かれます。
基本フロー(最短復旧)
Androidの確認ポイント(設定要因の排除)
Windowsの確認ポイント(PC側要因の排除)
機器カテゴリ別の注意点(導線の誤りを正す)
まずは基本フローを実施し、改善しない場合に追加のチェックへ進んでください。
最短で直す基本フロー
以下は、多くのケースで効果が高い「標準手順」です。時間がない場合でも、この順で実施することを推奨いたします。
スマホ(PC)側のBluetoothをOFF→ON
一時的なスタック(内部処理の詰まり)を解消する意図です。まずは簡単に試せます。対象機器の登録を削除
Bluetooth設定画面で、対象機器を「削除」「登録解除」「このデバイスを忘れる」等の操作で消します。
ここで大切なのは、単に「接続を切る」ではなく「登録そのものを削除」することです。機器側のペアリング履歴も削除(可能なら)
イヤホンであればボタン長押し、家電であればリセット操作、車載器であれば登録削除メニューなど、機器側でも履歴削除ができることがあります。できる場合は、スマホ側とセットで実施してください。スマホ(PC)と機器の両方を再起動
再起動は効果が大きい割に軽視されがちですが、Bluetooth関連のサービスやドライバが再初期化され、状態が揃います。必ず双方で行うことがポイントです。機器を確実にペアリングモードへ
ペアリングモードが短時間で終わる機器は多いため、モード投入後すぐにスマホ側操作へ移ってください。
近くに同名機器がある場合は、誤選択を防ぐため距離を取ることも有効です。再ペアリングを実施
ここで接続が完了するかを確認します。完了後は、一度BluetoothをOFF→ONして再接続できるかも確認すると、再発防止の観点で安心です。それでもダメなら、機器のリセット(初期化)を検討
初期化は強力ですが、設定や登録が消える可能性があるため、次章の判断基準に従って実施します。
次のチェックリストに全てチェックが付く状態まで進めると、改善率が上がります。
スマホ/PC側で「登録削除」まで行った
機器側でも履歴削除または初期化を検討した
双方を再起動した
機器を確実にペアリングモードに入れ、時間内に接続した
専用アプリが必要な機器は、アプリ内の機器登録から実施した
Androidで試す設定見直しチェック
基本フローで改善しない場合、Androidは端末差・メーカー差の影響が出やすいので、以下の観点で「接続を妨げる要因」を潰していきます。ここでは特定機種の画面名ではなく、確認すべき要点として整理いたします。
OS更新の保留がないか
アップデートの途中状態や保留状態だと、Bluetoothの挙動が不安定になる場合があります。更新可能なら適用し、再起動してください。対象アプリを使う機器は、アプリを最新版へ
健康機器・家電・車系など、アプリ経由で登録するタイプはアプリ更新が特に重要です。古いアプリは接続手順や権限要求が現行OSと合わず、失敗を誘発することがあります。権限(許可)が不足していないか
近年のAndroidは、Bluetoothスキャンや周辺機器接続に関する許可が厳格化しています。アプリ経由で登録する場合、許可ダイアログを拒否していると、検出できても接続が完了しないことがあります。
可能であれば、対象アプリの権限設定を見直し、「近くのデバイス」「Bluetooth」「位置情報」等、アプリが要求する権限が拒否になっていないかを確認してください(表示名はOS版で異なります)。省電力・バックグラウンド制限の影響
接続の最終段階でアプリがバックグラウンド処理を行うタイプの機器では、電池最適化やバックグラウンド制限が強いと、ペアリング完了前に処理が止まり、エラーになります。
省電力を一時的に解除して再試行すると、原因の切り分けになります。Bluetooth関連の一時的な不調
機種によってはBluetoothキャッシュやネットワーク設定が絡む不具合が発生することがあります。最初は手順が重くなるため推奨しませんが、どうしても改善しない場合は「ネットワーク設定のリセット」等が候補になります。ただしWi-Fi設定等にも影響するため、実施前に影響範囲をご確認ください。
上記は「必ずやる」というより、「基本フローで直らない場合の追加の点検項目」です。1つずつ試し、どの変更で改善したかを把握しておくと、再発時に素早く戻せます。
Windowsで試す設定見直しチェック
Windows PCの場合も、Bluetoothの状態不整合、ドライバや設定の影響で似たエラーが起きることがあります。以下の観点で確認してください。
BluetoothのON/OFF切替
タスクトレイや設定からBluetoothを切り替え、状態をリフレッシュします。登録削除(デバイスの削除)→再ペアリング
Windowsは「接続解除」だけでは情報が残ることがあります。必ず「デバイスの削除(削除/解除)」を行い、再ペアリングしてください。再起動
Windowsは再起動でドライバやサービスが再初期化され、状態が揃います。省略せず実施してください。“Windows HelloのPIN”と混同しない
Windowsにはサインイン用のPIN(Windows Hello)がありますが、これはBluetoothのPINとは別です。サインイン用PINを変更しても、Bluetoothの問題が解決するとは限りません。Bluetooth側はあくまで「デバイス登録」と「ペアリング状態」の問題として扱ってください。複数のBluetooth機器が同時に動作している場合の競合
マウス・キーボード・イヤホン等、同時に多くのBluetooth機器を使っていると、一時的に不安定になるケースがあります。トラブルシューティングとして、不要なBluetooth機器を一時的に切り、対象機器だけで再ペアリングを試すと切り分けになります。
PCは「端末側が強い」ように見えて、実際にはドライバや省電力設定が影響することがあります。焦って設定を大きく変える前に、まずは登録削除・再起動・再ペアリングを徹底してください。
機器カテゴリ別の再ペアリング手順
最後に、カテゴリ別に「やりがちな誤り」と「効きやすい手当て」を整理いたします。ここは、原因類型のうち「導線の誤り」や「上限」への対策として特に有効です。
イヤホン・スピーカーで出る場合
イヤホン・スピーカーは、次の3点が特に重要です。
機器側の“登録全消去”が効きやすい
イヤホンは内部に複数端末の登録を保持します。登録が壊れると復旧しづらいため、工場出荷状態に近いリセットが短時間で効くことがあります。マルチポイント・自動接続の罠
近くの別端末に自動接続しようとしていると、新しい端末の要求を弾くことがあります。切り分けとして、他端末のBluetoothをOFFにし、対象端末だけで接続を試してください。ペアリングモードの入り方が複雑な機種がある
片耳操作・ケース開閉・長押し秒数など、機種ごとに差が大きいです。ここを誤ると永遠につながりません。説明書の確認が最短になることも多いです。
車載ナビ・デジタルキーで出る場合
車関係は「スマホと機器」ではなく「スマホと車両システム」の統合で動くため、一般的なイヤホンより条件が厳格です。以下を意識してください。
車側・スマホ側の登録を両方消す
片方だけ消しても不整合が残ります。車側のユーザー登録やキー登録が絡む場合は、車側の手順を優先してください。手順の順番どおりに進める
車の登録は、セキュリティの都合で「この画面で次へ」「このタイミングで認証」など順番が厳密なことがあります。途中で画面を戻したり、Bluetooth設定だけで先に接続しようとすると失敗しやすくなります。OSや端末の相性を疑う
同じ車でも端末によって成功率が変わることがあります。基本フローでも改善しない場合は「別端末で切り分け」を早めに実施し、相性かどうかを確定させると、無駄な作業が減ります。
健康機器・家電で出る場合
このカテゴリで多いのは「Bluetooth設定から先につなげようとして失敗する」問題です。対処の主軸は次の2点です。
専用アプリの機器登録からやり直す
Bluetooth設定からの接続は“入口が違う”ことがあります。アプリ内の機器登録は、認証・同期・権限取得まで含んだ手順になっているため、成功率が上がります。権限と省電力制限を必ず点検する
特に初回登録はバックグラウンド処理が発生しやすく、権限拒否や省電力制限が直撃します。登録時だけでも制限を緩めると通るケースが多いです。
PINまたはパスキーが正しくないためが解消しない時の対処
ここまでの手順で改善しない場合は、「作業を増やす」より先に「原因の所在を確定させる」ほうが効率的です。つまり、切り分けです。切り分けができると、問い合わせの精度も上がり、復旧までの時間が短くなります。
別端末で切り分ける
切り分けで最も効果が高いのは「別端末テスト」です。可能であれば家族のスマホや別PCなどで試し、次のどれに当てはまるか確認してください。
別端末でも同じ機器が失敗する
機器側の問題(故障、内部状態の破損、登録上限、ファーム不具合)か、相性の問題である可能性が高まります。別端末では成功するが、自分の端末だけ失敗する
端末側設定(権限、制限、OS不調)や、端末と機器の相性が疑われます。Androidであれば設定点検、Windowsであれば登録削除・再起動・ドライバ周辺の点検に戻るのが合理的です。別の機器は自分の端末でつながる
端末のBluetooth機能が完全に壊れている可能性は下がります。対象機器固有の問題や相性がより濃厚です。
この切り分け結果が分かるだけで、「どこに時間をかけるべきか」が明確になります。
ファーム更新と初期化の判断基準
切り分けの次に効果が高いのが「更新」と「初期化」です。ただし初期化は影響が大きいので、判断基準を明確にして実行してください。
ファーム更新を優先するべき状況
メーカーがアプリやツールでファーム更新を提供している
同様の不具合が既知で、更新で改善する案内がある
端末側ではなく機器側に問題が寄っている(別端末でも失敗する等)
初期化を検討するべき状況
登録上限や登録情報破損が疑われる
ペアリング履歴削除では改善しない
メーカーの推奨手順に初期化が含まれている
別端末でも同様に失敗し、機器側が主原因と考えられる
初期化前は、次のチェックを必ず行ってください。
初期化で消えるもの(設定、登録、履歴、データ)を説明書で確認した
健康機器など、データ同期が必要な場合は同期済みである
他端末に登録されている可能性がある場合、先に解除できるものは解除した
初期化後の再設定手順(アプリ登録、Wi-Fi設定等)を把握した
初期化は「最後の一手」になりがちですが、原因が登録破損や上限であれば一気に解決することもあります。判断基準に沿って実施してください。
メーカーサポートへ渡す情報テンプレ
自己解決が難しい場合、メーカーサポートへ相談することになりますが、ここで情報が不足すると往復が増え、解決が遅れます。次のテンプレートをそのまま埋めると、やり取りが短縮されます。
端末情報:機種名、OSバージョン(Android/iOS/Windows)、BluetoothのON/OFFは可能か
相手機器情報:メーカー、型番、購入時期、ファーム更新の可否
症状:表示された文言(可能ならスクリーンショット)、どの画面で出るか(Bluetooth設定/アプリ/車側画面など)
状況:新規接続か、以前は接続できたか、いつから発生したか
実施済み:登録削除、機器側履歴削除、双方再起動、ペアリングモード再投入、アプリ経由登録、初期化、別端末テスト
発生条件:距離、場所(車内、屋外等)、近くに同名機器があるか、他端末の同時接続の有無
「別端末での結果」と「実施済み手順」は特に重要です。原因の絞り込みが一気に進むため、可能な範囲で必ず入れてください。
PINまたはパスキーが正しくないためを防ぐコツ
復旧できた後は、再発しやすい行動を避けるだけで、トラブル発生率を下げられます。ここでは「よくある再発パターン」を前提に、現実的な予防策を整理いたします。
ペアリング運用のコツ
Bluetoothのトラブルは「運用」で増えます。次の運用に変えるだけでも、再発が減ります。
端末を買い替えたら、旧端末の登録解除を先に行う
旧端末が近くにあると自動接続が走り、新端末の登録が失敗しやすくなります。旧端末側のBluetoothをOFFにするだけでも効果があります。接続が不安定になったら、早めに登録を作り直す
不整合は放置すると固定化しがちです。「繋がったり繋がらなかったり」の段階で登録削除→再登録を行うと、重症化を防げます。同名デバイスが多い環境では、機器名を変える(可能なら)
イヤホンやスピーカーは、同名が並ぶと誤登録が発生します。リネームできる機器は、識別しやすい名前にすると事故が減ります。
再発しやすいパターンと回避策
再発には典型があります。以下に当てはまる場合は、回避策をセットで覚えておくと安心です。
OSアップデート直後に不調
まず再起動、次に登録作り直しが効きやすいです。アップデート直後はバックグラウンド処理が多く、状態が不安定になりやすい点も踏まえ、時間を置いてから再試行するのも有効です。アプリ前提の機器をBluetooth設定から接続してしまう
入口が違うと失敗しやすいです。アプリの「機器追加」へ戻り、権限・省電力制限も含めて整えてから登録してください。マルチポイント機器で、別端末が近くにある
近くの端末へ自動接続が走ると、新規登録が通りにくくなります。登録時だけでも他端末のBluetoothをOFFにして、混線を防いでください。
パスキー認証の管理ポイント
最後に、ログイン用の「パスキー(Passkey)」に関する混同を防ぐための要点をまとめます。もし問題がBluetoothではなく、サービスへのサインインで「パスキーが使えない」「パスキーが無効」などの状況であれば、考え方は次のとおりです。
Bluetoothの登録削除や再起動では解決しないことが多い
サービス側が用意している別のログイン手段(パスワード、バックアップコード、別端末認証など)で一度サインインし、パスキーを再設定する流れが基本
端末の生体認証や端末内PINの変更が影響する場合もあるため、アカウント設定と端末設定の両方を確認する
本記事の中心であるBluetoothの「PIN/パスキー」と、ログインの「パスキー」は別系統です。言葉に引きずられず、「どの画面で、何ができないのか」を起点に対処してください。
よくある質問
PIN入力画面が出ないのに『正しくない』と出るのはなぜですか
この文言は「PINの入力ミス」を意味するとは限りません。実際には、ペアリング情報の不整合、機器がペアリングモードでない、アプリ経由登録が必要なのに設定画面から接続している、などの理由でも同じ文言が出ることがあります。まずは登録削除→双方再起動→再ペアリングを優先してください。
0000や1234を入れるべきですか
機器が明示している場合(説明書や画面で指定がある場合)を除き、固定値を試すことは推奨いたしません。近年は入力不要方式も多く、PIN入力以前の段階で失敗しているケースが多いためです。PINを探すより先に、登録作り直しと機器側ペアリングモードの確認を行ってください。
昨日までつながっていたのに急にダメになりました。何から試すべきですか
最短は、登録削除→双方再起動→再ペアリングです。過去の登録情報の不整合が原因であることが多く、この流れが最も成功率が高い傾向があります。改善しない場合は、機器側の履歴削除や初期化、別端末での切り分けへ進んでください。
車やデジタルキーだけ失敗します。何が原因ですか
車関係は手順の順番や条件が厳密で、端末の相性も出やすい領域です。車側・スマホ側の登録を両方消し、手順どおりに進めてください。それでも改善しない場合は、別端末での切り分けで相性かどうかを確定させると、次の打ち手が明確になります。
アカウントのパスキーでサインインできない場合は同じ対処ですか
同じではありません。Bluetoothの「PIN/パスキー」問題と、ログイン用の「パスキー(Passkey)」問題は別系統です。ログイン問題は、サービス側の復旧導線(別手段でのサインイン→パスキー再設定)に従うのが基本になります。
まとめ
「PINまたはパスキーが正しくないため」は、見た目ほど「PINの入力ミス」だけを示すエラーではなく、実態としてはBluetoothペアリングの不成立を広く示す文言として出ることが多いです。最短で復旧するためには、まず「Bluetoothの問題か、ログインのパスキー問題か」を切り分け、そのうえで以下の基本フローを確実に実施してください。
登録削除(端末側)
可能なら履歴削除(機器側)
双方再起動
ペアリングモード再投入→再登録
それでも改善しない場合は、Android/Windowsの追加点検、カテゴリ別の導線修正(アプリ登録前提など)、別端末での切り分け、更新・初期化、問い合わせテンプレの整備へ進むことで、無駄な作業を減らしながら原因に近づけます。復旧後は、旧端末の登録解除やマルチポイント運用の整理など、再発防止策を取り入れると安心です。