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PDFでハイライトできない原因と直し方|スキャン・権限・アプリ別に確実解決

PDFにマーカーを引こうとしたのに、ハイライトが反応しない、文字をドラッグしても選択できない、ツールが灰色のまま――この手のトラブルは、作業を止めてしまう厄介な問題です。原因は大きく分けて、スキャンPDFで文字が画像になっているケース、作成者側の権限設定で注釈が制限されているケース、そしてAcrobatやブラウザなど利用アプリの仕様・設定によるケースの3つが中心です。
本記事では、最初に「どれが原因か」を短時間で切り分ける確認手順を示したうえで、OCRによる文字認識、権限制限への対処、Acrobat・Macプレビュー・ブラウザ別の直し方まで、実務で再現しやすい順番で解説します。時間をかけずに復旧したい方も、どうしても直らない場合の代替策まで含めて、迷わず次の一手を選べる内容です。

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目次

PDFがハイライトできない主な原因

PDFでハイライトできないトラブルは、操作ミスというよりも「PDFの性質」と「制限設定」と「利用環境」の組み合わせで起きることが大半です。原因を先に整理しておくと、遠回りせずに解決できます。典型的な原因は次の3系統です。

原因1:文字が画像になっている(スキャンPDF・画像PDF)

もっとも多いのがこのタイプです。紙をスキャンしてPDF化した資料、FAXをPDF保存したもの、画像を貼り付けただけのPDFなどは、見た目は「文字」に見えても、内部的には画像の塊として保存されていることがあります。この場合、ハイライトは「文字を選択して範囲に色を付ける」機能のため、そもそも選択対象が存在せず、ハイライトできません。
症状としては、文字をドラッグしても範囲選択ができない、コピーできない、検索(Ctrl+F / Command+F)でヒットしない、といった特徴が出ます。

原因2:権限・セキュリティ設定で注釈が禁止されている

PDFには、作成者が「印刷可」「編集不可」「注釈不可」といった制限を付けられる仕組みがあります。制限がかかっているPDFでは、アプリ側でハイライト機能がグレーアウトしたり、選択はできるのにハイライトだけ反応しなかったりします。
特に、社外から受け取った契約書や社内規程、システムから出力される帳票類は制限が付いていることが珍しくありません。受け手側で解除できない設計の場合も多いので、解決策が「依頼」になるケースがあります。

原因3:利用アプリの機能差・状態(ビューアの制限、表示モード、不具合)

PDFを開いているアプリが、ハイライトを「正式にサポートしていない」または「設定やモードにより無効化されている」こともあります。
例として、ブラウザ内蔵のPDFビューアは閲覧には便利ですが、注釈機能が限定的だったり、保存方法によって注釈が反映されなかったりします。また、Acrobatでも表示モードや保護モード、拡張セキュリティ周りの状態によって、注釈が制限される場合があります。


まず確認する切り分け手順

対処の前に、現状がどの原因に当てはまるかを短時間で切り分けることが重要です。ここでの目標は「犯人探しを終わらせる」ことです。次の順番で確認すると、迷いにくくなります。

手順1:文字をドラッグして選択できるか確認する

最初に行うべきは、ハイライトではなく「文字の選択」です。

  • 選択できない場合:画像PDF(スキャンPDF)の可能性が高く、OCR(文字認識)が主な対処になります。

  • 選択できる場合:文字情報は存在しているため、権限制限やアプリ側の問題を疑います。

ここでの注意点として、選択できるように見えても、実際は「ページ全体が一枚絵」なのに、アプリが疑似的な選択枠を出しているだけのこともあります。選択後にコピーしてメモ帳などへ貼り付け、意味のある文字が貼り付くかも確認すると確実です。

手順2:検索ができるか(Ctrl+F / Command+F)を試す

検索が効くかどうかは「文字情報が埋め込まれているか」を判断する簡単な指標です。

  • 検索できない:画像PDFの可能性が濃厚

  • 検索できる:文字情報はあるため、注釈の制限やアプリ設定の問題へ進みます

検索は、短い単語(「の」「は」など)だとヒットしすぎて判断しづらいので、固有名詞や数字、見出し語の一部で試すと判定しやすくなります。

手順3:別のアプリで開いて挙動を比較する

同じPDFでも、アプリによってハイライトできたりできなかったりします。比較は「PDF側の問題か、アプリ側の問題か」を切り分ける強力な方法です。

  • Windows:Acrobat Reader、別のPDFリーダー

  • Mac:プレビュー、Acrobat

  • ブラウザ:Chrome、Edge、Safari など

もしAアプリではできないがBアプリではできるなら、PDF自体の制限ではなく、Aアプリの状態・設定・仕様が原因である可能性が高いです。逆に、どのアプリでもできないなら、画像PDFまたは権限制限が濃厚です。

手順4:PDFのプロパティ(文書のセキュリティ)を確認する

Acrobat系を使える場合は、PDFのプロパティで「セキュリティ」や「アクセス権限」の項目を確認すると、注釈や変更が許可されているか判断できます。
ここで「コメント不可」「変更不可」などの記載がある場合、受け手側での解決が難しいケースがあります。その場合は、次章の「権限や保護」の対処へ進みます。


スキャンPDFでハイライトできない時の対処

文字が選択できない、検索できない場合、ゴールは明確です。文字を文字として扱える状態にする必要があります。つまり、OCR(光学文字認識)によって、画像から文字情報を生成します。

対処1:OCRで文字情報を付与する

OCRは「画像に写っている文字」を解析して、選択可能なテキストとして埋め込む処理です。OCR後は、文字選択・検索・コピーができるようになり、結果としてハイライトが可能になります。

手元の環境でOCRを行う代表的な手段は次の通りです。

  • Acrobat(有償版が必要になる場合があります)

  • OCR対応のPDF編集ソフト

  • クラウドサービスやオンラインOCR

  • Googleドキュメントなどを使った簡易的な文字起こし

業務資料でレイアウト崩れが許されない場合は、OCR後もPDFとして保持できる方式(「不可視テキストを埋め込む」タイプ)のほうが扱いやすいです。一方、内容の読み取りができればよい場合は、テキスト抽出型の方法でも目的を満たせます。

対処2:OCRの精度を上げる前処理

OCRは万能ではなく、原本の品質に強く影響されます。結果が不自然な場合は、次の点を見直すと改善しやすいです。

  • 解像度が低すぎないか(文字が潰れていないか)

  • 傾きがないか(斜めスキャンは誤認識が増えます)

  • 影や汚れがないか(紙の折れや薄い影もノイズになります)

  • 文字が極端に小さくないか

可能であれば、スキャン時点で「文字が読める品質」にしておくことが、最終的な手戻りを減らします。

対処3:OCR後もハイライトできない場合のチェック

OCRをしたのにハイライトができない場合は、次を確認します。

  • OCR後のPDFを別名保存して開き直したか

  • テキスト選択ができるようになっているか(コピーして確認)

  • OCR結果が「テキスト化」ではなく「画像のまま置き換え」になっていないか

  • セキュリティ制限が新たに付いていないか(出力設定次第で制限が付くことがあります)

OCR後に文字選択ができるなら、ハイライトができない原因は別(権限・アプリ)に移っている可能性があります。次章へ進みます。


権限や保護でハイライトできない時の対処

文字は選択できるのにハイライトできない場合、注釈が禁止されている可能性が高いです。この場合、解決の考え方は「できること・できないこと」を最初に整理することです。

対処1:作成者に「注釈可能なPDF」を依頼する

最も確実で、業務上のリスクが少ない解決策です。PDFの制限は、作成者側の意図(改変防止、版管理、法務上の要件など)で付けられていることが多いため、受け手側で解除しようとすると規程に抵触する恐れがあります。
依頼する際は、目的を具体的に伝えると通りやすくなります。例:

  • 「確認箇所にマーカーを引いて戻したいので、コメントを許可した版をください」

  • 「編集は不要で、注釈(ハイライト・付箋)だけ使える設定にできますか」

この段階で合意が取れると、以後のやり取りがスムーズになります。

対処2:パスワード保護の有無を確認する

PDFがパスワードで保護されている場合、閲覧はできても注釈が制限されていることがあります。

  • 「閲覧用パスワード」:開くために必要

  • 「権限パスワード」:編集や注釈、印刷などの許可を制御

権限パスワードが必要な設定だと、受け手側で許可を変更できません。正当な手続きでパスワード提供が可能か、または注釈可能版の再発行が可能かを作成者へ確認するのが安全です。

対処3:セキュリティ機能が強く働いている場合の見直し

Acrobat系では、環境設定のセキュリティ関連により、特定の場所から取得したPDFや、信頼されていない差出人のPDFで機能が制限されることがあります。
このタイプは「PDFに制限がある」というより「アプリが安全のために制限している」状態です。業務で正当な資料であることが確認できている場合は、信頼の扱いを見直すことで改善することがあります。ただし、セキュリティ設定の変更は組織ポリシーに沿う必要があるため、会社PCであれば情報システム部門のルールに従って対応するのが適切です。


アプリ別の直し方(Acrobat・Macプレビュー・ブラウザ)

原因が「アプリ側」にある場合は、設定・操作・保存の流れを整えることで解決することが多いです。ここでは利用頻度の高い3系統に分けて、実務的に効くポイントをまとめます。

Acrobat Readerでの確認ポイント

Acrobat Readerは閲覧・注釈の標準的な選択肢ですが、次の点でつまずきやすいです。

1)選択ツールと注釈ツールの状態

「手のひらツール(スクロール中心)」の状態でもハイライトできる場合がありますが、環境や設定によってはテキスト選択が前提になることがあります。
まずはテキストをドラッグして選択し、選択時のポップアップや右クリックメニューからハイライトを実行してみてください。

2)コメント機能が非表示になっていないか

表示がシンプルなUIになっていると、注釈系のパネルやツールが隠れていることがあります。ツール表示やコメントパネルを開き、ハイライトが利用可能か確認します。

3)保存の方法(注釈が消える・反映されない問題)

ハイライトを付けたのに、閉じて開き直すと消える場合は、保存が正しく完了していない可能性があります。ネットワークドライブや権限が弱いフォルダでは保存が失敗することもあるため、ローカルにコピーしてから注釈し、別名保存で確実に残す運用が安定します。

Macのプレビューでの確認ポイント

Mac標準の「プレビュー」は、閲覧だけでなく注釈にも強く、切り分け用途として非常に有効です。

1)マークアップツールバーを表示する

プレビューでは、マークアップ(注釈)ツールバーを表示して、ハイライトやメモなどの機能を使います。ツールバーが表示されていないと、機能がないように見えるため、まず注釈用のUIを出します。

2)テキスト選択ができるかを確認する

プレビューでも、画像PDFの場合はテキスト選択ができません。選択できないときは、OCRが必要です。最近の環境では画像から文字を認識する機能が働く場合もありますが、PDFの状態によって差が出るため、「検索できるか」「コピーできるか」で判断するのが確実です。

3)注釈の互換性に注意する

プレビューの注釈は多くの環境で閲覧可能ですが、運用によってはAcrobat側で見え方が異なることもあります。提出先が指定アプリを持っている場合(例:Acrobatでレビューするルール)には、相手の環境で再現できるかを意識すると手戻りを防げます。

ブラウザ内蔵ビューアでの確認ポイント(Chrome/Edge/Safari等)

ブラウザ表示は「すぐ開ける」利点がある一方で、注釈・保存の扱いが不安定になりやすいです。

1)注釈機能の有無と保存方式を確認する

ブラウザによって、ハイライト機能が限定的だったり、注釈が「ローカルの状態」として保持されてPDFに書き込まれなかったりします。
「見えている=PDFに保存された」とは限らないため、保存後に別アプリで開いて注釈が残っているか確認すると確実です。

2)会社PCでは制限がかかることがある

セキュリティ拡張やDLP(情報漏えい対策)の影響で、ブラウザ上のPDF操作が制限されることがあります。この場合、アプリの問題ではなくポリシーの問題である可能性があるため、専用アプリの利用に切り替えるほうが早いことが多いです。

3)切り分け用途に留める運用が安全

ブラウザは「開けるか」「選択できるか」の一次確認に使い、実際の注釈作業はAcrobatやプレビューに寄せる運用にすると、再現性と保存の確実性が上がります。


どうしても無理な時の代替策

期限が迫っている、社内ルールで設定変更ができない、作成者にすぐ連絡が取れない――このような状況では「ハイライトできる状態に直す」よりも、「目的を達成する」ことを優先したほうが実務的です。代替策は、目的別に選ぶのがポイントです。

代替策1:OCRでテキストを抽出し、別媒体で強調する

目的が「重要箇所の整理」や「引用」「共有」なら、PDF上でハイライトできなくても、本文を取り出して別媒体で強調できます。

  • OCRで文字を抽出

  • WordやGoogleドキュメント、メモアプリに貼り付け

  • そこで太字・色付け・見出し化を行う

この方法は、PDFの制限や注釈互換性の問題を回避できる一方、原本レイアウトの再現性は下がります。レイアウトが不要で「内容理解」が主目的なら有効です。

代替策2:注釈に強い別アプリへ切り替える

同じPDFでも、アプリによって注釈の可否や操作性が変わることがあります。特に、注釈の一覧管理、色分け、スタンプ、レビュー共有などが必要なら、PDF編集・注釈に強いアプリを使うメリットがあります。
ただし、PDF自体に強い権限制限が付いている場合は、アプリを変えてもできないことがあります。この場合は「作成者に依頼」へ戻るのが筋です。

代替策3:紙に近い運用で対処する(印刷・手書き・再スキャン)

手段として古典的ですが、現場では即効性があります。

  • 一度印刷してマーカーで強調

  • 重要箇所をスキャンして共有

  • あるいは、ページ画像として共有し、画像注釈で代替する

正式な提出物では適さないこともありますが、内部の検討用資料やレビュー用の暫定版としては十分に機能します。

代替策4:スクリーンショットで抜粋し、画像注釈で共有する

会議資料やチャットでの共有など、「この部分が重要」を伝えるだけなら、該当箇所のスクリーンショットを撮り、画像のマークアップ機能で囲みや強調を入れる方法が早いです。
注意点は、機密情報が含まれる場合の取り扱いと、解像度低下による可読性です。共有先・用途に合わせて使い分けるとよいです。