「PCを買いたいのに、今は時期が悪いと言われて迷ってしまう」──この悩みは、単に値段が高い・安いだけでなく、価格の動き方、製品サイクル、用途の切迫度、そして買い方の選択肢が絡み合うことで起きやすくなります。
本記事では、「時期が悪い」と言われる理由を整理したうえで、今買うべきか待つべきかの判断基準、そして今買う場合に損を減らすための具体策を、詳しく解説いたします。
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PCを買う時期が悪いと言われる主な理由
メモリ・SSDなど主要パーツの価格が上がりやすい局面
「時期が悪い」と言われる最大の理由の一つが、PCの価格が“下がるはず”という期待が外れやすい局面が存在することです。特にメモリ(DRAM)やSSD(NAND)といったパーツは、需要と供給のバランスによって価格が大きく動きます。これらはCPUやGPUのようにモデルチェンジが分かりやすい部品とは異なり、同等性能でも価格だけが上がることがあります。
たとえば、同じ16GBメモリでも、相場が落ち着いている時期は安価に確保できますが、供給が締まったり需要が急増したりすると、短期間で価格が上がり「今買うと損」という感覚が強まります。SSDも同様で、容量単価が下がるトレンドが長期的にはあるものの、短期では在庫状況や生産調整の影響を強く受けます。
ここで重要なのは、PC購入時に見ている価格が「CPUとGPUの値段」だけではなく、「メモリとSSDの相場」「電源・マザーボードなど周辺パーツ」「完成品(BTO/メーカー製)の在庫と構成」まで連動して決まる点です。つまり、どれか一つのパーツが値上がりすると、完成品の価格全体が底上げされ、結果として“買い時が来ない”状態になります。
さらに、BTOパソコンでは「標準構成のメモリやSSDを増やす」カスタマイズが一般的ですが、相場が高い局面ではカスタム費用も上がりやすく、同じ予算でも妥協が必要になります。これが「今は時期が悪い」と言われる背景です。
為替や供給不足で価格が読みにくい
国内のPC価格は、為替の影響を受けやすい傾向があります。輸入部材の比率が高い製品では、円安局面でコストが上がり、価格転嫁が起きやすくなります。加えて、部材の供給が不安定な時期には、メーカーやBTO各社が「確保できる部材で組める構成」を優先するため、同じ型番でも在庫状況により価格や納期が変動しやすくなります。
この“読みにくさ”が、購入をためらわせます。価格が上がるのか下がるのかが見えにくいと、人は「今買って、来月もっと安くなったら嫌だ」という心理になりやすいからです。とくにPCは高額な買い物で、購入後の価格変動が気になりやすい分野です。
また供給の問題は、価格だけでなく「欲しいモデルが選べない」「同等スペックの代替が高い」「納期が長い」という形でも表れます。必要なタイミングに間に合わない可能性が出ると、購入判断そのものが難しくなります。結果として「急いで買うのは危険」「待ったほうがよい」という論調が強まり、時期が悪いと言われやすくなります。
重要なのは、価格が読みにくい時期ほど「購入の判断軸を価格だけに置くと迷いやすい」という点です。価格が乱高下する局面では、安くなる確証がない一方で、必要な用途や期限は待ってくれません。したがって、後述する判断基準では“用途の切迫度”や“期限”を重視することが大切です。
新製品前後は値付けが不安定になりやすい
新製品の投入前後は、買い時の判断が特に難しくなります。「新製品が出たら旧製品が安くなる」というイメージは広く共有されていますが、実際には必ずしも単純ではありません。
まず、新製品が登場した直後は、需要が集中しやすく、価格が高めに設定されやすい傾向があります。供給が追いつかない場合、相場がしばらく高止まりすることもあります。一方で旧世代については、在庫が潤沢であれば値下げが進みますが、在庫が少ない場合は値下げよりも“終売”に向かい、結果として希望構成が組めず、価格のメリットを得られないケースもあります。
また完成品(BTO/メーカー製)では、旧世代の在庫パーツを用いたモデルがセール対象になりやすい一方、人気構成だけが先に売り切れてしまい、残った構成はコストパフォーマンスが悪いということも起きます。たとえば、GPUの世代が切り替わる局面で「狙っていたモデルだけ在庫がない」「ワンランク上が割高」「妥協すると用途を満たせない」という状態になると、結果として“買い時なのに買えない”状況になります。
新製品待ちは合理的に見えますが、待つ期間にもコストがあります。具体的には、今のPCで作業が遅いことによる時間損失、趣味の満足度低下、故障リスクの増加などです。新製品の情報を追うほど「もう少し待てば」を繰り返し、いつまでも買えない状態に陥ることもあります。新製品前後の不安定さが、「時期が悪い」という言葉で表現されやすいのです。
今買うべきか迷ったときの判断基準
今のPCが仕事・学業に支障なら先延ばししない
結論として、仕事・学業・収入に直結する用途でPCがボトルネックになっているなら、購入を先延ばししない判断が有利になりやすいです。ここでのポイントは「価格の損得」よりも「機会損失」のほうが大きくなる可能性が高いことです。
たとえば、以下のような状態は“支障”に該当します。
オンライン会議中にフリーズする、音声が途切れる
起動やアプリ立ち上げが遅く、作業開始までに毎回時間がかかる
動画編集や画像編集でプレビューが重く、試行回数が減る
仕事の締切前に不安定になり、再起動や復旧に時間を取られる
バッテリー劣化や発熱で持ち運びが実用にならない
これらは積み重なると、数千円〜数万円の価格差よりも大きな損失につながります。さらに、PCが不安定な状態は精神的なストレスを生み、集中力や作業品質にも影響します。結果として、買い替えを決断したほうが「総合的に得」になりやすいのです。
また、支障がある状態で無理に使い続けると、突然の故障で“選べない買い方”になりがちです。故障して急に必要になると、比較検討の時間が取れず、在庫があるモデルをその場で買うことになり、かえって損をしやすくなります。余裕があるうちに計画的に買い替えるほうが、結果として合理的です。
用途が娯楽中心なら「困ってから」で損を減らせる
一方で、用途が主に娯楽(ゲーム、動画視聴、軽い趣味制作)で、今の環境でも大きく困っていない場合は、急いで買わない選択も成立します。なぜなら、娯楽用途は「今この瞬間に必須」という切迫度が低いケースが多く、価格が落ち着くのを待つ余地があるからです。
ただし「困っていない」と「我慢している」は異なります。ここを見誤ると、待ったのに得を感じられない状況になります。判断のために、以下を確認してみてください。
本当は高画質で遊びたいのに、設定を下げて我慢している
ロード時間が長い、カクつきがあるが「仕方ない」と諦めている
配信や録画をしたいが、性能不足で手が出せない
やりたい新作が動くか不安で、購入自体を躊躇している
このような状態は、既に“困っている”に近いです。娯楽であっても、趣味の満足度が下がっているなら、購入によって得られる価値が大きくなります。逆に「今の環境で十分楽しい」「特定のタイトルや用途が決まっていない」なら、待つメリットが出やすいでしょう。
待つ場合に大切なのは、“いつまで待つか”を決めることです。待つほど得になる保証がない以上、だらだら待つのはリスクです。たとえば「次の大型セールまで」「次に欲しいタイトルが出るまで」など、期限を設けると判断が止まりにくくなります。
価格より「必要性能の充足」を優先すべき場面
迷いを断ち切るための実務的な考え方として、「価格」ではなく「必要性能を満たすか」で先に判断する方法があります。PCの購入で後悔が起きる典型は、安く買えたとしても用途が満たせず、結局買い直しになるケースです。逆に言えば、用途を満たしていれば、多少の価格差は“使用価値”で回収されやすくなります。
必要性能を考える際は、次の順番が分かりやすいです。
何をするか(用途):ゲーム、編集、開発、事務、学習、持ち運びなど
どの程度の快適さが必要か:妥協できるか、ストレスなくやりたいか
ボトルネックになりやすいパーツは何か:用途ごとに違います
最低ラインと理想ラインを分ける:最低ラインを満たす構成を基準にする
例として、以下のようなイメージです。
ゲーム:GPUの影響が大きい(解像度やフレームレートで必要性能が変わる)
動画編集:CPUとメモリ、ストレージ速度の影響が大きい(素材の解像度でも変わる)
画像編集:メモリ容量とCPUが効きやすい(作業内容次第でGPUも影響)
事務・学習:SSDとメモリが快適性を左右しやすい(CPUは一定以上で十分なことが多い)
このように、用途から必要性能を決め、予算内で満たせるなら「買い」になります。逆に、用途を満たす構成が予算から大きく外れているなら「待つ」「用途の条件を見直す(解像度や設定を妥協する)」「別の手段(中古・外部GPU・据置機)」などに切り替えるほうが合理的です。
今買うなら損を減らす買い方
自作よりBTO・メーカー製が有利になるケース
「損を減らす」という観点では、購入ルートの選び方が非常に重要です。自作PCはパーツを選べる楽しさがあり、理論上はコスト最適化がしやすい手段ですが、相場が荒れている局面では必ずしも安くなりません。特にGPUやメモリ、SSDの相場が上がっていると、個別購入が割高になり、完成品のほうが結果的に安いことがあります。
一方でBTOやメーカー製には以下の利点があります。
まとめ調達により部材コストが相対的に抑えられる場合がある
保証とサポートが一体化しており、初期不良や故障時の手間が減る
セールやキャンペーンで、特定構成が割安になることがある
OSや基本設定が済んだ状態で届き、導入の手間が少ない
「自作が得」と言われやすいのは、パーツ相場が安定し、ショップのセールや価格競争が効いている局面です。逆に、価格が荒れている時期は“安く組める前提”が崩れやすいので、BTOやメーカー製の値付けを必ず比較したほうが安全です。
特に、以下に当てはまる場合はBTO・メーカー製が向きます。
できるだけ早く使い始めたい
初期不良対応や保証を重視したい
自作に時間を割きたくない
相場変動が激しく、最安構成の見極めが難しい
セールで希望構成が素直に安い
もちろん、自作のメリット(拡張性や静音性の追求、特定パーツの選定など)もありますが、「損をしにくい」ことを最優先するなら、完成品の価格を一度は基準に置くのが現実的です。
構成の優先順位(CPU/GPU/メモリ/SSD)
損を減らすうえで最も効くのが「お金をかける場所の優先順位」です。ポイントは、後から交換しにくい、あるいは交換しても費用対効果が出にくい部分を先に固めることです。
ノートPCでは、CPUやGPUは基本的に交換できません。メモリも増設できないモデルが増えており、購入時点での選択が重要です。したがって、ノートPCで損を減らすには次が基本になります。
CPU:用途に対して不足しないラインを確保する
GPU:ゲームや制作をするなら用途に合ったGPUを選ぶ(必要なければ内蔵でもよい)
メモリ:増設不可なら最初から余裕を持たせる
SSD:容量不足はストレスになりやすいので、最低ラインを下回らない
デスクトップは比較的交換が容易ですが、それでも優先順位はあります。一般的には、用途がゲーム中心ならGPU、制作中心ならCPU・メモリ、全般の快適性ならメモリ・SSDの影響が大きくなります。損を減らすための考え方としては次の通りです。
GPU:価格変動が大きく、性能差も体感に直結しやすい。用途がゲームなら最優先
CPU:ボトルネックになる用途(編集・開発・配信)なら妥協しすぎない
メモリ:不足すると動作が極端に悪化しやすい。最低ラインは切らない
SSD:容量不足は運用を歪める。速度よりまず容量の確保も重要
「今は相場が高い」と感じる局面では、全てを理想に近づけると予算が膨らみます。そこで有効なのが、後から追加・換装しやすい部分を“最低限+将来増やす”という設計です。たとえば、デスクトップならメモリを最低ラインで始め、後から増設する戦略があります。SSDも空きスロットがある構成を選び、後から増設すれば初期費用を抑えられます。
ただし例外もあります。メモリやSSDの相場が上がっているときは、後から増設するほうが高くつく可能性があります。したがって、損を減らすには「相場が上がりやすいパーツをどこまで先に確保するか」を考える必要があります。具体的には、増設可能かどうか、増設予定の時期、相場の傾向を踏まえ、最初に積む容量を決めることが大切です。
買う月・セールの考え方(狙い方のコツ)
セール時期は確かに魅力的ですが、損を減らすためには「割引率」ではなく「同等構成の実売比較」を軸にする必要があります。割引率が大きく見えても、元の価格設定が高ければお得とは限りません。逆に、割引率が小さくても、構成が良ければ“実質的に買い”ということがあります。
セールで失敗しやすいパターンは次の通りです。
安いと思って買ったが、メモリやSSDが不足して後から追加費用が発生した
価格は安いが、用途に必要なGPU性能が足りず満足できなかった
価格比較が面倒で、最初に見たお得そうなモデルで決めてしまった
納期が長く、必要なタイミングに間に合わなかった
これを避けるには、セールを見る前に「最低条件」を決めておくことが有効です。たとえば、ゲームなら解像度と目標フレームレート、制作なら扱う素材の解像度、持ち運びなら重量やバッテリーなど、譲れない条件を先に決めます。そのうえで、複数社の同等構成(CPU/GPU/メモリ/SSD、保証、納期)を横並びで比較します。比較を簡単にするため、候補を2〜3社に絞り、条件が揃ったものだけを見る方法も現実的です。
また、買う月については「セール時期だから買う」ではなく、「必要な期限に間に合わせるために、セールも選択肢に入れる」という発想が安全です。必要期限がある場合、セールの安さより納期や在庫の確実性が価値になることもあります。損を減らすとは、単に安く買うことではなく、「目的を満たし、追加コストや手間を増やさない」ことでもあります。
待つなら何を待つべきか
価格が落ち着くサイン
待つ戦略を取る場合、最も重要なのは「何を根拠に待っているのか」を明確にすることです。根拠がないと、情報に振り回されて購入が先延ばしになり、結果として得をしにくくなります。そこで、価格が落ち着く“サイン”を観測ポイントとして決めておくと判断が安定します。
具体的には次のようなサインが目安になります。
希望構成(特にGPUやメモリ容量)が複数社で安定して在庫化している
同等構成の価格が、数週間単位で横ばいまたは緩やかに下がる
セールでの値引きが「安さの底上げ」ではなく「構成の改善(上位パーツ採用)」に回る
納期が通常水準に戻り、急な欠品が減る
ここでのポイントは「一度の値下げ」ではなく「安定性」です。特定モデルだけが一瞬安くなることはありますが、それが再現性のある買い時かどうかは別問題です。迷いを減らすためには、複数の販売元で同等構成が安定しているかを見るほうが堅実です。
ただし、相場は常に予想通りには動きません。待っている間に価格が上がることもあり得ます。そのため、待つ場合は「上がったらどうするか」まで決めておくと、損失を抑えやすくなります。たとえば「この価格を超えたら中古も検討する」「この期限を超えたら構成を一段落とす」など、逃げ道を先に用意します。
新世代投入を待つときの注意点
新世代投入を待つ戦略は、性能向上や旧世代の値下がりを狙える点で魅力的です。しかし、損を減らすという観点では注意点も多く、期待だけで待つのは危険です。
まず、新世代は登場直後に価格が高めになりやすく、供給が追いつかない場合は品薄で相場が上がることがあります。その結果、「新世代を買うつもりで待ったのに買えない」「買えるが予算を超える」という事態になり得ます。さらに、新世代の価格が高止まりすると、旧世代が大幅に値下げされず、期待したほどのメリットが得られないこともあります。
また、新世代投入のタイミングを厳密に狙うと、待ち時間が長くなりやすい点にも注意が必要です。PCの更新は“買った瞬間に型落ちする”性質がありますが、重要なのは型落ちかどうかではなく、用途を満たすかどうかです。新世代にこだわるほど、購入が目的ではなく情報収集が目的になり、時間だけが過ぎることがあります。
新世代待ちが有効になりやすいのは、次の条件が揃うときです。
現状のPCでも期限まで問題なく使える
旧世代では用途に対して明確に不足がある
新世代で不足が解消される見込みが高い(性能や機能面で狙いが明確)
予算にある程度の余裕があり、初期価格でも買える可能性がある
逆に、期限が近い、予算が厳しい、用途がすでに支障レベルの場合は、新世代待ちが損になりやすい傾向があります。待つなら、待つ根拠と待つ期限をセットにすることが重要です。
「いつまでも買えない」を防ぐ期限設定
「時期が悪い」と言われる話題に触れていると、もっとも起きやすい失敗が“永遠に待つ”状態です。これは、価格が下がる確証がない一方で、新しい情報が次々出てくるため、判断が常に先延ばしになってしまうことが原因です。損を減らすためには、期限設定が不可欠です。
期限設定には大きく2種類あります。
用途期限:いつまでに必要か
予算期限:いくらまでなら買うか、上限を超えたらどうするか
用途期限は、たとえば「新学期までに必要」「繁忙期前に入れ替える」「このタイトルが出るまでに用意」など、具体的な日付やイベントで決めると効果的です。予算期限は「この金額を超えたら構成を落とす」「中古を検討する」「据置機に切り替える」など、行動に直結する条件にしておくと迷いが止まります。
期限を決めると、「待つ」ことが目的ではなく、「期限までに最善の選択をする」ことに変わります。結果として、必要な比較検討が現実的な範囲に収まり、納得のいく決断につながりやすくなります。
予算別の現実的な選択肢
10〜15万円帯(普段使い・軽い作業)
10〜15万円帯は、普段使い・学習・事務作業などの用途で満足度を取りやすい価格帯です。重要なのは、見た目の価格だけで選ぶのではなく、快適性に直結するポイントを押さえることです。
普段使いで快適性を左右しやすいのは、主に次の要素です。
SSD搭載(可能なら容量に余裕があること)
メモリ容量(不足するとブラウザや会議ツールで重くなりやすい)
画面サイズや解像度(作業効率に影響)
キーボードの打鍵感や配列(毎日使うなら重要)
重量・バッテリー(持ち運ぶなら必須条件)
この価格帯では、無理に高性能GPUを狙うよりも、基本の快適性を固めたほうが損を減らせます。特にノートPCはメモリ増設不可のモデルも多いため、購入時に将来の使い方を想定してメモリ容量を決めておくと、後悔が減ります。
一方で、将来「動画編集を本格化したい」「ゲームもやりたい」といった予定が見えているなら、この帯で無理をせず、次の価格帯で目的に合った構成を選ぶほうが結果的に安く済むことがあります。買い直しが最も高くつくためです。
15〜25万円帯(ゲーム・制作の主戦場)
15〜25万円帯は、ゲーミングPCや制作用途で最も選択肢が多く、満足度を取りやすい価格帯です。構成の幅が広い分、損を減らすには「どこに予算を集中させるか」を明確にする必要があります。
ゲーム用途では、まず「解像度」と「目標フレームレート」を決めることが重要です。フルHD中心なのか、WQHDも視野に入れるのかで、必要なGPU性能が変わります。高解像度・高フレームレートを狙うほどGPU優先になります。逆に、ライトに遊ぶならCPUやメモリにバランスよく振った構成が安定します。
制作用途では、「扱うデータの重さ」を基準にします。たとえば動画編集なら素材の解像度、エフェクトの量、書き出し頻度などで必要性能が変わります。ここで失敗しやすいのは「今は軽い作業だから」と最低ラインに寄せすぎ、少し用途が増えた途端に限界が来るケースです。制作は上達とともに要求が上がりやすいため、最低ラインより少し余裕を持たせると、損を減らしやすくなります。
また、この帯はBTOのセールやキャンペーンが最も活発になりやすい価格帯でもあります。同等構成で横並び比較を行い、保証や納期も含めて総合評価することで、価格差以上の価値を得やすくなります。
25万円以上(長期運用・高負荷用途)
25万円以上の帯は、高負荷用途や長期運用、妥協の少ない環境を作りたい場合に選ばれやすい価格帯です。ここでは「高い買い物だから失敗できない」という心理が強まり、迷いが長引きやすくなります。損を減らすためには、目的を明確にし、費用対効果を具体化することが重要です。
この価格帯で価値が出やすいのは、たとえば以下のようなケースです。
高解像度でのゲームや高フレームレート環境を長く維持したい
4K編集や重いエフェクト、3Dなど高負荷制作を安定して行いたい
仕事の中核として、故障リスクや待ち時間を減らしたい
数年単位で買い替え頻度を下げ、トータルコストを安定させたい
ただし、上位構成ほど相場変動の影響を受けやすく、「いま買うのが怖い」という気持ちが出やすくなります。ここで有効なのが、「最小構成で目的を満たすライン」を先に決める方法です。最小ラインを決めれば、そこから上積みする判断がしやすくなり、無駄なオーバースペックを避けられます。
また、長期運用を狙うなら、性能だけでなくメンテナンス性や保証も重要です。故障時の対応、延長保証の有無、冷却や電源の余裕など、目に見えにくい部分が満足度に直結します。高額帯ほど「購入後の安心」を含めて価値を判断すると、損を減らしやすくなります。