新しいパソコンを買った直後は、画面の案内に従って進められる反面、「Microsoftアカウントは必要?」「OneDriveはオンにして大丈夫?」「プライバシー設定はどれを切るべき?」と、選択肢の多さに不安になりやすいものです。さらに、更新やバックアップを後回しにすると、ウイルス被害やデータ消失のリスクが一気に高まります。
本記事では、初期設定前の準備からWindows 11の初回セットアップ、セキュリティとプライバシーの見直し、不要アプリ整理、データ移行、バックアップと復旧手段までを、迷わない「順番」で一本化して解説します。途中で迷いやすい分岐には判断基準を添えていますので、手順通りに進めるだけで“壊れても戻せる安心状態”まで到達できます。
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パソコン初期設定の前に準備するもの
新しいパソコンを買った直後は、画面の案内に従えば進められると分かっていても、「どこで何を選べばよいのか」「あとで困る設定をしてしまわないか」と不安になりがちです。初期設定で大切なのは、勢いで進めるのではなく、最低限の準備を整え、順番を守って作業することです。
初期設定に必要なもの一覧
初期設定は、途中で止まる原因の多くが「準備不足」です。特にWindows 11は、初回セットアップの途中でネット接続やアカウント確認が必要になりやすいため、机に座ってから慌てて探すことがないよう、先に揃えておくのが安全です。
| 準備するもの | 目的 | 具体例・ポイント |
|---|---|---|
| インターネット接続 | 更新、アカウント設定、アプリ取得 | 自宅Wi-Fiが基本。可能なら初期設定中だけでも安定した回線を用意 |
| Wi-Fi名とパスワード | セットアップ中に入力が必要 | ルーター裏面のシール、契約書類、管理アプリなどで確認 |
| メールアドレス | Microsoftアカウントの作成・確認 | 既に使っているアドレスが安心。新規作成の場合は忘れない管理方法も用意 |
| スマートフォン | 二段階認証、確認コード受信 | SMSや認証アプリが必要になることがある。充電も忘れずに |
| ACアダプター(電源) | 更新中の電源断防止 | ノートPCは必ず電源接続。更新は長引くことがある |
| 旧PCまたは外付けストレージ | データ移行・バックアップ | 外付けHDD/SSD、USBメモリ。移行したいデータの容量を見積もる |
| メモ(紙でも可) | パスワードや設定の控え | “控えすぎ”は危険だが、最低限「何でサインインしたか」は記録があると後で助かる |
準備のコツは、「初回セットアップで必要になるもの」と「初期設定後に必要になるもの」を分けて置くことです。たとえば、初回セットアップ中に必要になりやすいのは、Wi-Fi情報・メールアドレス・スマートフォン(確認コード)・電源です。一方、外付けストレージや旧PCは、セットアップが完了してから落ち着いて作業しても問題ありません。
また、可能であれば初期設定を行う場所は、机の上が片付いていて、長時間の更新でも邪魔が入らない環境が理想です。途中で閉じたり持ち運んだりすると、更新の邪魔になったり、無意識にスリープさせてしまったりします。
やってはいけない注意点
初期設定での失敗は、後から取り返せるものもありますが、「やり直しが面倒」「データが消えた」「安全性が落ちた」につながるケースもあります。最低限、次の点は避けてください。
バッテリー駆動だけで更新を進めない
更新は想像以上に時間がかかることがあります。途中で電源が落ちると、更新が中断されるだけでなく、再起動後に更新が進まない・動作が不安定になるなどの原因にもなります。ノートPCは必ず電源接続してください。Wi-Fiの情報が不明なまま作業を始めない
「あとでつなげばいい」と思って進めても、セットアップ途中でネット接続が必要になり止まる場合があります。Wi-Fi名(SSID)とパスワードを先に把握してから作業を開始しましょう。設定画面で“よく分からないから全部オン”にしない
とくにプライバシー設定は、便利さと引き換えに情報提供が増える項目があります。後で変更はできますが、最初から「不要なものを増やさない」考え方で選ぶ方が気持ちよく使えます。更新とバックアップを後回しにしない
「使えるようになったから終わり」にすると、セキュリティの穴が残ったり、故障時に復旧できなかったりします。初期設定のゴールは“壊れても戻せる状態”まで到達することです。旧PCのデータ整理を初期設定の途中で始めない
セットアップ中に旧PCを触り出すと集中が途切れ、更新の再起動タイミングを見落としがちです。最初は新しいPCを「安全に使える状態」まで仕上げ、それから移行に移るのが順番として正解です。
パソコン初期設定の流れをWindows11で完走する
Windows 11の初回セットアップは、画面に沿って進めれば基本的に完了できます。ただし、途中で「どれを選べばいいの?」と迷いやすい分岐がいくつかあります。ここでは、流れを先に理解したうえで、迷う場面に判断基準を付けて解説します。
初回起動からデスクトップまでの全体像
初回起動からデスクトップが表示されるまで、典型的には次のような順序です。途中でアップデートが走る場合もあります。
電源を入れる
まずはACアダプターを接続し、電源を入れます。地域の選択
日本で使うなら「日本」を選択します。海外で使う予定がある場合でも、多くの人は日本で設定して問題ありません。キーボードレイアウトの選択
一般的には日本語配列(Microsoft IME)を選びます。ここを誤ると、記号入力がずれたりして地味にストレスになるため、慎重に選びます。ネットワーク接続
Wi-Fi(または有線)を選び、パスワードを入力して接続します。ここで詰まると先へ進めない場合があるため、Wi-Fi情報が重要です。アカウント設定
Microsoftアカウントでサインインする、または新規作成します。ここが最大の分岐です(後述します)。PINの設定(求められることが多い)
パスワードではなく、短い数字や英数でログインできるようにする仕組みです。安全性と利便性の両立に役立ちます。プライバシーに関する選択
位置情報、診断データ、広告関連などの項目が並びます。ここも迷いがちなポイントです(後述します)。初期設定完了 → デスクトップ表示
最終処理が走ってデスクトップが表示されます。
この段階では「使える」状態になっただけで、まだ安全設定・更新・バックアップが不十分です。デスクトップが出た直後は、焦ってアプリを入れる前に、次の章で扱う“安全の基礎固め”を最優先にしましょう。
Microsoftアカウントとローカルの考え方
ここは初期設定で最も迷われやすいポイントです。結論から言うと、多くの個人ユーザーはMicrosoftアカウントで進めるメリットが大きいです。一方で、クラウド連携に抵抗がある人や、会社・学校の方針がある人は、ローカル中心で運用したい場合もあります。大切なのは、違いを理解したうえで選ぶことです。
Microsoftアカウントを使うと何が便利か
パスワードを忘れたときの復旧が比較的しやすい
メールやスマホ確認を通して再設定しやすくなります。設定や一部データの同期ができる
将来PCを買い替えたときに、環境を戻しやすくなります。Microsoft StoreやOneDriveなど、Microsoftの機能が使いやすい
アプリ管理やクラウド保存に自然につながります。端末紛失や盗難時の対策が取りやすいことがある
アカウント管理に集約できるメリットがあります。
ローカル中心で使うと何が安心か
クラウドにデータを置かずに済む
仕事のデータや個人データをクラウドに置きたくない人に向きます。アカウント管理を分離できる
会社・学校のルールがある場合、個人アカウントと混ざらない運用がしやすい場合があります。シンプルに“そのPCの中だけ”で完結できる
ただし、バックアップも“そのPCの外”に自分で用意する必要があります。
迷ったときの現実的な選び方
個人利用で、特に強い理由がなければMicrosoftアカウントで進める
その上で、OneDriveのバックアップは「使う/使わない」を後で判断しても構いません。クラウド利用に抵抗があるなら、Microsoftアカウントを使ってもOneDrive同期は抑える運用が可能
“アカウント=必ずクラウドに全部上げる”ではありません。同期対象やバックアップ対象は選べます。会社・学校の管理があるなら、その指示を優先する
会社PCの場合、そもそも個人で初期設定を進めない方がよいケースもあります。
この章の目的は「いま選んだアカウント方式で、次の安全設定・バックアップまで無理なくつなげる」ことです。アカウント選びで悩みすぎて止まってしまうより、判断基準を押さえて先へ進める方が結果的に安全です。
OneDrive連携をするか迷ったときの基準
OneDriveは、デスクトップやドキュメントなどの主要フォルダーをクラウドに同期し、故障時に戻しやすくする仕組みです。便利な一方で、「容量が足りるのか」「クラウドに保存してよいのか」といった不安が出やすい部分でもあります。ここでは、迷いを解消するための判断基準を整理します。
まず押さえる:OneDriveの役割は“バックアップ兼同期”
同期:複数の端末で同じデータにアクセスしやすい
バックアップ:PCが壊れてもクラウド側から戻しやすい
ただし「PC内のすべてを自動で守ってくれる万能バックアップ」ではありません。対象フォルダーや運用の考え方が重要です。
オンが向く人(おすすめ寄り)
バックアップに自信がない
“手動で外付けにコピー”を続けるのは意外と難しいため、まずOneDriveで守るのは堅実です。ノートPCで持ち運びが多い
紛失・盗難・落下などのリスクが上がるため、クラウドに逃がしておく価値が高いです。写真や書類が散らばりがちな人
“重要データがデスクトップにある”タイプの人ほど相性が良いです。
オフが向く人(慎重寄り)
業務上の機密データを扱う
会社や取引先のルールがあるなら従う必要があります。容量が明らかに足りない
動画や大量の写真が中心で、無料枠を超えることが確実なら、外付けバックアップ中心の方が合理的です。クラウド保存に抵抗が強い
心理的な不安が大きいと、使い続けるのが苦痛になります。その場合は外付けで安定運用した方がよいです。
迷ったらこの折衷案が安全
まずオンにして、バックアップ対象フォルダーを絞る
重要書類だけを守る運用にすると容量問題が起きにくくなります。OneDrive+外付けの二段構えにする
“クラウドだけ”も“外付けだけ”もどちらも弱点があるため、重要度が高い人ほど二段構えが安心です。“何を守りたいか”で決める
仕事の書類、家計のデータ、写真など、失いたくないものが何かを先に決めると判断しやすくなります。
パソコン初期設定で必ず見直す安全設定
初期設定で最も優先すべきは「安全」です。具体的には、更新(穴を塞ぐ)、防御(攻撃を防ぐ)、回復(壊れても戻す)の3本柱です。ここでは、まず更新と防御、そして情報漏えいにつながりやすいプライバシー設定を固めます。
Windows Updateを最優先で終わらせる
Windows Updateは、初期設定後に必ず行うべき最重要作業です。購入直後のPCは、出荷時点の状態から時間が経っている場合があり、更新が大量に残っていることがあります。更新を後回しにすると、脆弱性が残ったままネット利用を始めることになり、リスクが高まります。
手順(基本)
スタート → 設定を開く
Windows Updateを開く
更新プログラムのチェックを押す
ダウンロードとインストールが始まる
再起動が必要と出たら、作業中のものがないことを確認して再起動
再起動後、もう一度Windows Updateへ戻り、“最新の状態”になるまで繰り返す
更新が長引くときの心得
更新は“複数回”走るのが普通
1回で終わらないことはよくあります。再起動→チェック→再起動…を繰り返して仕上げます。電源接続と安定回線が必須
長時間の更新でスリープに入ると止まることがあります。設定で一時的にスリープを遅らせてもよいでしょう。更新中は余計な作業をしない
体感速度が遅くなり、更新が進んでいるのか不安になりがちです。最初は更新に集中した方が結果的に早いです。
仕上げの目安
Windows Update画面で「最新の状態です」と出る
再起動の要求がない
次の更新チェックで新しい更新がすぐに出てこない
この状態まで来たら、ひとまず更新は合格ラインです。
標準セキュリティの確認ポイント
更新を終えたら、次は防御の確認です。個人利用であれば、まずはWindows標準のセキュリティが正しく働いているかを確認し、必要に応じて強化します。
最低限確認する項目
ウイルスと脅威の防止が有効か
「保護が有効」「警告なし」などの状態を確認します。ファイアウォールが有効か
外部からの不正アクセスを防ぐ基本です。デバイスのセキュリティに重大な警告がないか
“推奨する設定が無効”などが出ていないかを確認します。サインインの保護(PINなど)が整っているか
パスワードだけよりもPINは現実的で安全です。可能なら顔認証・指紋認証がある機種は活用すると便利です。
追加のセキュリティソフトは必要か
ここは使い方次第です。重要なのは「何をしても安全」という幻想ではなく、次のように考えることです。
ネット利用が中心で、怪しいファイルを落とさない → 標準防御+更新徹底で十分な人が多い
仕事で大量の添付ファイルを扱う、家族がいろいろダウンロードする → 追加対策を検討する価値がある
どちらにせよ、更新が止まっている状態や、バックアップがない状態の方がよほど危険です
すぐできる強化策
不要なソフトを入れすぎない(セキュリティのつもりが逆に不安定になる場合がある)
ブラウザの拡張機能を厳選する(入れすぎはリスクと重くなる原因)
パスワードの使い回しをやめる(被害の連鎖を防ぐ)
プライバシー設定で最低限見直す項目
Windows 11にはプライバシー関連の設定が多く、初期設定時にオン・オフを選ぶ場面があります。ここで大切なのは「全部オフにする」でも「全部オンにする」でもなく、自分にとって必要な便利さだけ残し、不要な情報提供は減らすことです。
迷ったら採用したい基本方針
位置情報:地図や天気などで使う予定がなければオフでも困りにくい
診断データ:必要最小限を選ぶ(または多めの送信を避ける)
広告のパーソナライズ:メリットが薄いならオフ
アクティビティ履歴:タイムライン的な機能を使わないならオフ寄り
マイク・カメラのアクセス権:必要なアプリだけ許可(会議アプリなど)
設定変更のやり方(目安)
設定 → プライバシーとセキュリティに関連項目がまとまっています。
アプリごとの権限(位置情報、マイク、カメラ)は「どのアプリが許可されているか」を見て、不要なものをオフにします。
“後で困りにくい”見直し順
広告関連(オフにして困りにくい)
位置情報(使う予定がなければオフでよいことが多い)
診断データ(必要最小限へ)
マイク・カメラ(必要なアプリだけ許可)
そのほか細かい項目(使ってから調整でもよい)
プライバシー設定は、一度で完璧にしなくても問題ありません。大切なのは「不要なものを増やさない方向で始める」ことです。
パソコン初期設定後に整える快適設定と基本アプリ
安全が固まったら、次は日常の使いやすさを整えます。ここでやりすぎると疲れてしまうので、“効果が大きいのに手間が少ないもの”から進めるのがコツです。具体的には、不要アプリ整理・起動の軽量化・必須アプリの導入・データ移行の基本です。
不要アプリと起動アプリを整理する
購入直後のPCは、便利そうに見えて実際には使わないソフト(体験版、宣伝目的のアプリなど)が入っていることがあります。これらはストレージを圧迫したり、起動を重くしたり、通知を増やしたりします。
不要アプリ整理の手順(目安)
設定 → アプリ → インストールされているアプリを開く
使わないアプリを選び、アンインストール
迷うものは無理に消さず、まずは“明らかに不要”から消す
“消しても困りにくい”例(一般論)
自分が使わないストリーミングやゲーム関連のプリインストール
体験版で期限切れになると通知が出るソフト(使う予定がないなら)
同じ目的のアプリが複数ある場合(例:写真ビューアなど)
※ただし、メーカー独自のサポートアプリやドライバー関連は、むやみに消すと困る場合があります。「名前が分からない」「メーカー名がついている」ものは、ひとまず残しておく判断も安全です。
起動アプリ整理(効果が大きい)
起動が遅い、ファンが回りっぱなし、通知が多いといった不満は、起動アプリが原因のことがあります。
タスクマネージャーの「スタートアップ」から、不要なものを無効化する方法が一般的です。
迷ったら「発行元が不明」「使っていないアプリ」を優先的にオフにし、Microsoftやメーカー必須と思われるものは残します。
通知の整理
通知が多いと集中を削がれます。
設定 → システム → 通知で、アプリごとに不要な通知をオフにします。
いきなり全部オフにするのではなく、「頻繁に出るが役に立たないもの」から止めると失敗しにくいです。
ブラウザ・Office・PDFなど必須アプリの選び方
初期設定直後に入れるアプリは、最小限で十分です。先に入れすぎると、設定や更新が追いつかず、逆に不安定になります。
ブラウザ
既に使い慣れているものがあるなら、それを採用するのが早いです。
ブラウザは「同期」(ブックマーク、パスワード)ができるものが便利です。旧PCからの移行も楽になります。
Office(文書作成)
仕事や学校で指定があるなら、それに合わせます。
“閲覧が多い”なら、まずは閲覧だけできる環境を整え、必要になってから本格的に導入してもよいでしょう。
閲覧中心なら、標準機能やブラウザで足りることも多いです。
編集が必要な人だけ、有料・無料を含めて検討すると無駄がありません。
圧縮・解凍
ZIPは標準で扱えるため、最初から専用ソフトが必須とは限りません。
特殊な形式(例:7zなど)を扱う必要がある人だけ追加します。
アプリ導入の順番(おすすめ)
ブラウザ(移行にも必要)
会議・連絡系(必要な人だけ:Teams、Zoomなど)
Office(必要な場合)
画像・動画関連(必要な場合)
その他趣味や用途に応じたもの
“最初に全部”ではなく、“必要になったら追加”の方が、長い目で見て安定します。
旧PCやスマホからのデータ移行の基本
データ移行は、「手段」よりも先に「対象」を決めるのが成功のコツです。移行の対象を決めずに始めると、時間が無限に溶けていきます。
先に決める:移行の優先順位
最重要(最優先で移す):仕事・学校の書類、確定申告や家計関連、資格や学習データ
重要(次に移す):写真・動画、音楽、制作物
必要なら(後回し):古いダウンロード、過去のインストーラー、使っていないプロジェクト
移行の代表的な3ルート
クラウド同期(OneDriveなど)
既にクラウドを使っている人はこれが最短です。ログインすればデータが見える状態を作りやすいです。外付けHDD/SSDへコピー → 新PCへコピー
容量が大きいデータ(写真・動画)に向きます。コピーは時間がかかるので、夜に走らせるなど工夫するとよいでしょう。USBメモリで必要分だけ移す
少量の書類や設定ファイルなど、ピンポイント移行に向きます。
ブラウザ移行のコツ
ブックマークやパスワードは、ブラウザの同期機能を使うと早いことが多いです。
“パスワードをメモ帳で持ち運ぶ”のはリスクが高いので、できるだけ公式の同期や安全な方法を優先してください。
移行でよくある失敗
デスクトップに重要ファイルが散乱していて見落とす
旧PCのデスクトップは、意外と“重要書類の置き場”になりがちです。必ず確認します。写真が複数の場所に分散している
「ピクチャ」だけでなく、アプリ固有の保存場所にも注意が必要です。移行したつもりで、実はショートカットだけ移していた
ショートカットは実体ファイルではありません。コピーする対象が“実ファイル”か確認します。
パソコン初期設定を終えたら作るバックアップと復旧手段
初期設定の本当のゴールは、快適に使えること以上に「壊れても戻せる」ことです。バックアップと復旧手段が整っていないと、少しのトラブルが大事件になります。ここでは、OneDriveバックアップ、外付けバックアップ、そして復元・回復の考え方までを、初期設定の流れとして完結させます。
OneDriveでフォルダーをバックアップする手順
OneDriveのバックアップは、デスクトップやドキュメントなどの主要フォルダーを同期・保護するのに役立ちます。設定の考え方は「何をバックアップ対象にするか」「容量は足りるか」「復旧手順を理解しているか」です。
手順(目安)
タスクバーの通知領域からOneDriveの雲アイコンを探して開く
設定(歯車アイコンなど)を開く
同期とバックアップのような項目へ進む
バックアップの管理で対象フォルダー(デスクトップ、ドキュメント、ピクチャなど)をオンにする
同期状況を確認し、エラーがないことを確認する
※画面構成は更新で変わることがありますが、「同期」と「バックアップ管理」が中核である点は共通です。
OneDriveバックアップで押さえる注意点
バックアップ対象は“選べる”
すべてを守ろうとして容量が破綻するより、重要度の高い書類フォルダーを守る方が現実的です。同期=クラウドにも同じものがある状態
PC側で削除するとクラウド側にも影響する運用になります。削除ルールを理解して使うことが大切です。写真や動画が多い人は容量計画が必要
使い方によってはすぐ容量不足になるため、外付けバックアップとの併用が安心です。
“復旧できるか”を一度確かめる
バックアップは「取っているつもり」が最も危険です。
OneDriveのフォルダーに、実際にファイルが同期されているか
別端末(スマホなど)から見えるか
重要フォルダーが対象に入っているか
この確認を一度行うだけで、いざというときの安心感が大きく変わります。
外付けHDD・SSDのバックアップ運用
外付けバックアップは、クラウドが不安な人、容量が大きい人、そして“二段構え”で守りたい人に向きます。運用は複雑にすると続かないため、最初はシンプルが正解です。
まず決める:バックアップ頻度
週1回:書類中心の人に現実的。習慣にしやすい
月1回+重要データは週1:写真・動画が多い人に向く
毎日:業務で重要データを扱う人向け(自動化を検討)
バックアップ対象のおすすめ
ドキュメント(仕事・学業、家計、各種申請関連)
写真・動画(時間を取り戻せないデータ)
ブラウザのエクスポート(必要に応じて)
重要な設定ファイルやプロジェクトデータ
運用のポイント(続く仕組み)
“バックアップ用フォルダー”を作り、そこにまとめる
重要データが散らばっているとバックアップ漏れが起きます。外付けは挿しっぱなしにしない
ランサムウェアなどの被害は、接続されているドライブにも及ぶ可能性があります。バックアップ後は外して保管する方が安全です。保管場所を分ける
ノートPCの故障だけでなく、盗難・災害・水濡れなども想定するなら、外付けは別の場所に置くと安心です。
“コピーできたか”の確認
バックアップ作業は、完了表示だけでは不安が残ります。
フォルダーのサイズやファイル数が大きくズレていないか
実際にいくつかのファイルを開いてみて読めるか
この確認までして初めて「バックアップできた」と言えます。
復元ポイントと回復手段の考え方
バックアップが「データを守る」なら、回復手段は「PCを動く状態に戻す」ための保険です。ここを理解しておくと、更新トラブルや動作不良が起きたときに冷静に対処できます。
まず知っておきたい“復旧の階層”
軽い不調:設定変更やアプリ削除で改善する
更新やドライバーの不調:直前の状態に戻す、または更新を巻き戻す
起動しない・重度の故障:回復機能で修復、最悪は初期化
本体故障:修理・買い替え(このときバックアップが生きる)
重要なのは“最悪”に備える順番
重要データが守られている(OneDrive/外付け)
再インストールや初期化をしても戻せる状態
いざというときの手順が分かる(どこから復旧するか)
復元や回復は、普段使いで頻繁に触るものではありません。だからこそ、初期設定の段階で「バックアップの場所」「復旧の選択肢」を一度頭に入れておくと、トラブル時に慌てずに済みます。
パソコン初期設定のよくある質問と次にやること
最後に、初期設定でつまずきやすいポイントと、完了確認のチェックリストをまとめます。ここまで来れば、初期設定は“終わった”ではなく“整った”と言える状態になります。
Wi-Fiに接続できないときの対処
Wi-Fiで詰まる原因は、だいたい次の範囲に収まります。焦らず切り分けることが大切です。
1) パスワードの入力ミス
大文字・小文字
0(ゼロ)とO(オー)
1(イチ)とl(エル)
記号の入力(キーボードレイアウトの影響もあり得ます)
ルーター裏面のシールを見て入力する場合、見間違いが起きやすいので、落ち着いて確認します。
2) SSIDの選択ミス(2.4GHz / 5GHz)
同じような名前が2つ出ている場合があります。
近距離で安定させたい → 5GHzが向くことが多い
壁越しで届かせたい → 2.4GHzが向くことが多い
どちらでも接続できるのが理想ですが、相性で片方がつながりにくいこともあります。両方試す価値があります。
3) ルーター側の問題
ルーターを再起動する
接続台数が多すぎないか確認する
時間帯によって混雑していないか確認する
4) 一時回避策:スマホのテザリング
どうしてもつながらない場合、初期設定と更新だけでも通すために、スマホのテザリングを使うのは現実的な回避策です。
ただし、大量の更新で通信量が増える可能性があるため、容量や契約条件を確認し、可能なら自宅回線に戻して更新を続ける方が安心です。
更新が終わらないときの対処
更新が終わらないときは、「本当に止まっているのか」「時間がかかっているだけか」を切り分けます。大型更新は長いこともあり、進捗が見えにくい場合があります。
対処の順番
電源接続を確認(ノートPCは必須)
ネット回線を確認(Wi-Fiが不安定なら有線や別回線へ)
再起動してからWindows Updateを再チェック
一定時間待つ(バックグラウンド処理が長引くことがある)
ストレージ残量を確認(空き容量が少ないと更新が進みにくい)
やってはいけないこと
“固まった気がする”という理由で強制終了を繰り返す
どうしても必要な場合を除き、更新中の強制終了はリスクが高いです。更新中に大量のアプリを入れる
競合や再起動のタイミングが増え、状況が分かりにくくなります。
“更新が最新になってから”アプリ導入やデータ移行へ進むと、後のトラブルが減ります。
最終チェックリストと次の一手
初期設定が完了したかどうかは、「感覚」ではなくチェックリストで確認すると確実です。以下を一つずつ確認してください。
Wi-Fiまたは有線で安定してネットにつながる
Windows Updateが最新になっている(更新チェックで追加が出ない)
標準セキュリティで警告が出ていない
サインイン方法(PINなど)が設定されている
プライバシー設定を最低限見直した(不要なものを増やしていない)
不要アプリの整理をし、起動が重くなる原因を減らした
重要アプリを最小限導入し、無駄な追加をしていない
データ移行の対象と方法が決まっている(優先順位がある)
バックアップ(OneDriveまたは外付け、可能なら二段構え)の運用を決めた
“壊れても戻せる”道筋が頭に入った(復旧の選択肢が分かる)
次にやること(おすすめ順)
普段使うアプリを必要最小限で整える(ブラウザ、連絡手段、Officeなど)
旧PCから重要データだけを優先移行する(書類→写真→その他の順)
1週間使って不満点を洗い出し、設定を微調整する(通知、起動、ストレージ、バックアップの見直し)
バックアップが“本当に復元できるか”を一度確認する(最重要ファイルの同期・コピー確認)
初期設定は、一度で完璧に仕上げる必要はありません。ただし、更新とバックアップだけは、早い段階で固めるほど安心につながります。ここまで整えられたなら、もう「初期設定が怖い状態」ではなく、「自分でコントロールできる状態」に移れています。