※購入先、ダウンロードへのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、それらの購入や会員の成約、ダウンロードなどからの収益化を行う場合があります。

パソコンの音量が最大でも小さい原因と直し方|Windows設定から改善する手順

パソコンの音量を最大にしているのに「思ったほど大きくならない」「会議の声が聞き取りにくい」「動画のセリフがこもって聞こえる」といった症状は、珍しいトラブルではありません。しかもこの手の問題は、スピーカーの故障だけが原因ではなく、出力先の取り違え・アプリ別音量・Windows側の音声機能・ドライバーの状態・周辺機器側の物理音量など、複数の要因が絡みます。

重要なのは、やみくもに設定を触るのではなく、切り分けの順番を決めて確認することです。順序立てて進めれば「実はアプリだけ音量が下がっていた」「出力先がHDMIになっていた」「拡張機能の設定で音量感が落ちていた」といった見落としを防げます。ここでは、外付けスピーカーを買う前に、Windows側でできる改善策を中心に、迷いにくい順番で詳しく解説します。

※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。

まず確認する音量設定と出力先

「最大でも小さい」と感じるとき、最初に疑うべきは高度な設定ではなく、基本の音量経路です。音が出るまでの経路は、ざっくり言えば「アプリの音量 → Windowsのミキサー → 出力デバイス → 物理スピーカー」です。どこか一段でも低い値が混ざると、全体の音量は頭打ちになります。まずはここを丁寧に潰します。

出力デバイスが正しいか確認する

最初の確認は、出力デバイス(音を出す先)です。特に、モニター接続(HDMI/DisplayPort/USB-C)やBluetooth機器、USBヘッドセットを使っている環境では、Windowsが自動で出力先を切り替えることがあります。本人は内蔵スピーカーから鳴っているつもりでも、実際には別の出力先に向いている、あるいはモニター側スピーカーに向いていて音が小さく感じる、ということが起きます。

確認のポイントは次のとおりです。

  • タスクバーのスピーカーアイコンをクリックし、音量バー付近に表示される出力デバイス名を確認する

  • 出力先が複数ある場合は、「内蔵スピーカー」「ヘッドホン」「HDMI(モニター名)」「Bluetoothイヤホン」などから、意図したものを選ぶ

  • イヤホンを挿した状態・抜いた状態で、出力先が正しく切り替わるかを見る

ここでありがちな落とし穴は、次の2つです。

1つ目は、モニター側スピーカーの音量が低いケースです。出力先がモニターになっていて、モニター側の音量が低いと、Windows側を最大にしても音は大きくなりません。モニター本体のメニューや物理ボタンで音量を上げられる機種が多いので、Windowsだけでなくモニター側も確認してください。

2つ目は、Bluetooth機器の接続状態です。Bluetoothイヤホンやスピーカーが接続されていると、Windowsがそちらへ出力を向けることがあります。接続していないつもりでも、電源が入っているだけで自動接続されることもあります。意図しない場合は、Bluetooth側をオフにする、またはWindowsのBluetooth設定から一時的に切断して動作を比べると切り分けが早くなります。

ボリュームミキサーでアプリ別音量を確認する

次に確認するのが、ボリュームミキサー(アプリ別音量)です。Windowsでは、システム全体の音量とは別に、アプリ単位で音量を持っています。そのため「全体は100%なのに、YouTubeだけ小さい」「会議アプリだけ声が小さい」「ゲームだけ小さい」という状況が発生します。

見直しの手順の考え方はシンプルで、“全体”と“アプリ”の二重管理を疑うことです。

  • Windows全体音量:タスクバーの音量

  • アプリ別音量:ボリュームミキサー

  • さらにアプリ内音量:YouTubeのプレイヤー音量、Zoom/Teamsのスピーカー音量、ゲーム内設定など

たとえば、ブラウザで動画が小さい場合、以下が同時に低い可能性があります。

  • Windows全体音量は最大

  • しかしボリュームミキサーの「ブラウザ」だけ低い

  • さらにYouTubeプレイヤー側の音量も低い

このように三段階で絞られていると、体感としては「最大でも小さい」状態になります。ボリュームミキサーの画面で、対象アプリのスライダーが下がっていないかを確認し、下がっていれば上げます。あわせて、アプリ側の音量設定(会議アプリのスピーカー出力音量、ブラウザや動画プレイヤーの音量)も確認してください。

また、会議用途の場合は、相手のマイク音量や会議ツールの自動音量調整の影響で聞こえ方が変わることがあります。会議アプリには、環境音抑制や音声強調があり、状況によっては音が小さく感じる方向に働くこともあります。まずはミキサーで「アプリが小さく設定されていないか」を確実に潰すのが良い手順です。


Windowsのサウンド設定で音量が小さい症状を直す

基本の出力先とミキサーで改善しない場合は、Windowsのサウンド設定に踏み込みます。ここで狙うのは、「音が出る経路そのものが乱れている」「設定が不整合を起こしている」といった状態の修正です。特に、更新後や周辺機器を差し替えた後などは、設定の整合性が崩れていることがあります。

サウンドのトラブルシューティングを実行する

まず試したいのが、Windowsのサウンドのトラブルシューティングです。これは万能ではありませんが、音声まわりで起きやすい問題をまとめて点検し、修復候補を提示してくれます。音量が小さい場合でも、以下のようなトラブルが絡むと体感が下がります。

  • 出力デバイスが無効になっている、または優先順位が変わっている

  • 既定の出力が想定と違うデバイスになっている

  • 一部のサービスが停止していて音声処理が不安定

  • 以前使っていたオーディオ機器の設定が残り、動作に影響している

トラブルシューティングの利点は、設定の場所を知らなくても、指示に沿って進めるだけで要点が一通り確認できる点です。手動であちこち見に行く前に、一度実行して状態を整えるのは合理的です。

ただし、トラブルシューティングを実行しても改善しない場合は、「設定が存在しているが最適ではない」「音量感が落ちる機能が有効になっている」といった、より調整寄りの問題が残っている可能性があります。その場合は次の項目へ進みます。

空間オーディオや音声強調の設定を見直す

Windowsには、音の聞こえ方を変える機能が複数あります。代表例が空間オーディオ(Spatial sound)や、ドライバーに付属する各種拡張機能です。これらは正しくハマると聞こえやすくなる一方、環境によっては音の迫力が落ちたように感じたり、音量感が下がったように感じたりすることがあります。

ここでの考え方は、「便利機能を足す」よりも、まずは“余計な加工を外して素の状態に戻す”ことです。具体的には、以下のような進め方が安全です。

  1. 空間オーディオをオフにして変化を見る

  2. 音の強調・補正(音声強調、環境音抑制、音量正規化など)がある場合、オフにして変化を見る

  3. 改善したら、その状態を基準にして必要な機能だけ戻す

空間オーディオは、対応する出力環境(ヘッドホン向け/スピーカー向けなど)やコンテンツとの相性があります。相性が悪いと、定位は変わっても音が遠く感じることがあり、結果として「小さい」と判断しやすくなります。まずオフにして改善するか確かめ、改善するなら、空間オーディオを使わない方が快適な可能性があります。

また、会議用途では「声を聞き取りやすくする」方向の機能が、逆に音量感を落とすこともあります。環境音抑制が強すぎると声の厚みが削られ、聞こえ方が薄くなる場合があるためです。聞こえ方が不自然なときは、会議アプリ側の音声処理も疑ってください。


スピーカーの拡張機能で聞こえを底上げする

ここまでで「出力先は正しい」「ミキサーも問題ない」「サウンド設定も整理した」が、それでも小さい場合、次の狙いは“出力の底上げ”です。ここで使えるのがスピーカーの拡張機能で、代表的なのがラウドネス等化です。

ラウドネス等化を有効にする

ラウドネス等化は、ざっくり言えば音量の小さい部分を持ち上げ、全体として聞こえやすくする仕組みです。動画のセリフが小さい、会議の声が小さい、音源ごとに音量差が激しい、といった状況で効果が出やすい傾向があります。音量つまみを上げても変化が小さいときに、体感上の改善が得られることもあります。

ただし、注意点もあります。

  • 音源のダイナミクス(小さい音と大きい音の差)が縮まり、迫力が減ったように感じる場合がある

  • 音楽鑑賞では好みが分かれる(自然さより聞き取り優先になることがある)

  • 機種やドライバーによって表示名や場所が異なり、見つけにくいことがある

設定場所は環境で差がありますが、目安としては「サウンドの詳細設定 → 出力デバイスのプロパティ → 拡張機能」周辺に存在することが多いです。見当たらない場合でも、別の経路で「スピーカーのプロパティ」画面に入ると見つかることがあります。

設定を有効にする際は、次のように進めると失敗しにくいです。

  1. ラウドネス等化をオンにする

  2. 普段困っている音(会議の声、動画のセリフ)で試す

  3. 聞こえが改善し、違和感が許容範囲なら採用する

  4. 音楽などで違和感が強い場合は、用途に応じてオンオフを切り替える

「会議の声だけ改善したい」という場合、会議のときだけオンにしておく運用も現実的です。常時オンにする必要はありません。

Realtekのイコライザで増幅する注意点

Realtekなどのオーディオドライバー環境では、独自のコントロールパネルやアプリが用意され、イコライザ音量補正が使えることがあります。イコライザは周波数帯域ごとに音量を調整できるため、単純な増幅だけでなく「声の帯域を持ち上げて聞き取りやすくする」といった調整も可能です。

ただし、イコライザによる“増幅”は、使い方を誤るとトラブルになりやすい点に注意が必要です。

  • 上げすぎると音割れ(歪み)が発生しやすい

  • 小型スピーカーほど低音を持ち上げると破綻しやすい

  • ひずみが出ると、結果として聞き取りづらくなることがある

安全な調整方針は、次のとおりです。

  • いきなり全帯域を大きく上げない

  • 声を聞き取りたい場合は、声の帯域を少し持ち上げる方向で試す

  • 音割れを感じたらすぐ戻す

  • 「大きさ」だけでなく「聞き取りやすさ」を評価軸にする

特に会議では、音量を上げても「こもって聞こえる」「輪郭が立たない」ために小さく感じることがあります。この場合は、単純な音量アップよりも、声の帯域を軽く強調した方が改善することがあります。逆に、低音を上げすぎると声が埋もれてしまうため、低音を過度に盛る調整は避けた方が安定します。


ドライバー更新とメーカー対処で改善する

設定の見直しや拡張機能でも改善しない場合、可能性が高まるのがドライバー(音声を制御するソフトウェア)周りの不具合や相性です。Windows Updateやメーカー更新、周辺機器の追加により、ドライバーが入れ替わったり、互換性のズレが表面化したりすることがあります。

オーディオドライバーを更新する基本手順

オーディオドライバーの更新は、次の2つの方針があります。

  • メーカー推奨の方法で更新する(サポートアプリやサポートページ)

  • Windows標準の更新(デバイスマネージャー等)で更新する

安定性を重視するなら、基本はメーカー推奨の方法が無難です。ノートパソコンは機種ごとに音声回路や調整が異なるため、汎用ドライバーよりも機種向けのドライバーの方が不具合が出にくい傾向があります。

更新時の注意点としては、次の3つが重要です。

  1. 変更前の状態を把握する(何を更新したか分からなくならないようにする)

  2. 更新後にすぐ音量確認をする(会議アプリ・動画など複数で確認)

  3. もし悪化した場合に戻せる手段を意識する(復元ポイント、ロールバックの可否など)

「更新=必ず改善」ではなく、相性で症状が変わる場合もあります。そのため、更新は最後の一手ではありませんが、設定で改善しない場合の有力な選択肢です。

Dellなどアップデート起因の既知事例を確認する

メーカーによっては、特定の更新後に起きる音声不具合について、既知の問題として案内が出ていることがあります。たとえば「特定機種でWindows Update後に音が小さい」「音が出ない」といった事象が報告され、推奨ドライバー版や対処手順が提示されるケースです。

このタイプの問題では、個人の設定ミスではなく、組み合わせの問題で起きていることが多いため、メーカーの案内に従った方が解決が早い傾向があります。該当機種の場合は、メーカーサポートページで「音が小さい」「音が出ない」「オーディオ」などの症状に関連する情報が出ていないか確認し、案内どおりにドライバー更新や修正を行うのが堅実です。

また、企業PCや管理下のPCでは、ドライバー更新が制限されていることがあります。その場合は、無理に更新を進めるよりも、情報を整理して管理者に相談した方が安全です。具体的には「いつから」「どのアプリで」「どの出力先で」「他の機器でも同じか」という切り分け情報があると、対応が早くなります。


改善しないときに疑うハードウェアと回避策

最後に、設定やドライバーでも改善しない場合の観点です。ここまでの手順を踏んで改善しないときは、ハードウェア要因(端子・ケーブル・スピーカーそのもの)や、環境としての限界(内蔵スピーカーの出力が小さい、設置場所が悪い)を疑います。ここは「故障」と決め打ちせず、切り分けで可能性を狭めるのが重要です。

端子・ケーブル・スピーカー側の物理つまみを確認する

外付けスピーカーやモニター内蔵スピーカーを使っている場合、Windows側の音量が最大でも、スピーカー側の音量が低ければ小さいままです。特に次のようなケースは見落としがちです。

  • スピーカー本体のつまみが中途半端に下がっている

  • リモコンがあるタイプで、スピーカー側音量が下がっている

  • モニターの音量設定が低い、またはミュートされている

  • ケーブルの接触が悪く、片側だけ鳴っていて小さく感じる

  • ヘッドホン端子とライン端子の使い分けを誤り、出力が弱くなっている

確認のコツは、“Windows以外にも音量つまみがあるか”を意識することです。音量の管理が二重になっていると、どちらか片方が低いだけで全体が頭打ちになります。ケーブルについては、差し直しだけで改善することも多いため、面倒でも一度抜き差しして接触を整える価値があります。

イヤホンでも小さい場合の切り分け

切り分けにおいて非常に有効なのが、別の出力機器で試すことです。イヤホンやヘッドホンが手元にあるなら、次のように比較します。

  • 内蔵スピーカー:小さい

  • イヤホン:どうか

  • Bluetoothイヤホン:どうか(可能なら)

  • USBヘッドセット:どうか(可能なら)

ここで、イヤホンでも小さいなら、スピーカーの物理性能というより、ソフトウェア側(設定・ドライバー・アプリ)の可能性が残ります。一方、イヤホンでは十分な音量が出るのに内蔵スピーカーだけ小さいなら、内蔵スピーカーの劣化・故障、または機種特性(そもそも内蔵スピーカーの出力が小さい)を疑う方向になります。

また、イヤホンが小さい場合でも、イヤホン自体の故障や相性はあり得ます。そこで、可能ならイヤホンを1つ替えてみて、症状が再現するかを確認すると確度が上がります。「どのイヤホンでも小さい」ならPC側、「そのイヤホンだけ小さい」ならイヤホン側という切り分けができます。

外付け機器・USBオーディオを最終手段にする

設定もドライバーも問題なく、内蔵スピーカーやアナログ端子経由では改善しない場合、現実的な回避策としてUSBオーディオ(USBヘッドセット、USBスピーカー、USB DAC)があります。USBオーディオは内蔵オーディオ回路を迂回して音を出せるため、内蔵側の不調や相性問題を避けられることがあります。

ただし、購入前に以下を意識すると無駄が出にくくなります。

  • 可能なら手元のUSBヘッドセット等で試し、改善するか確認する

  • 会議用途が中心なら、マイク品質や装着性も含めて選ぶ

  • 音楽用途が中心なら、ノイズの少なさや出力の余裕を重視する

  • PCが会社支給などの場合、USB機器の利用制限がないか確認する

外付け機器は「根本解決」ではなく「回避」であることも多いですが、仕事や学習で今すぐ困っている場合は、確実性の高い手段でもあります。まずはここまでの手順で改善を狙い、それでも難しい場合に最終手段として検討するのが良い流れです。