外出中や在宅勤務中でも、重要なメールだけは確実にキャッチしておきたい——多くのビジネスパーソンがそう考える一方で、「Outlookの転送設定が分かりにくい」「気付いたら全部のメールが別アドレスに飛んでいた」といったお悩みもよく耳にします。
環境によって画面もメニュー名も異なるため、「自分のOutlookではどこから設定すればいいのか」が分からなくなりがちです。
また、設定そのものはできたつもりでも、「なぜか転送されていない」「社外アドレスだけ届かない」といったトラブルが起こることもあります。
さらに、業務メールを個人アドレスへ転送する場合には、情報漏えいリスクや社内規程との兼ね合いも慎重に考える必要があります。
単に「転送できればよい」というだけでは済まないのが、Outlookの転送設定です。
本記事では、デスクトップ版Outlook・Outlook on the web・Outlook.com・新しいOutlookといった環境別の具体的な手順から、すべてのメールを自動転送する方法と条件付き転送(ルール設定)の使い分け、そして転送できないときの原因チェックと安全な運用のポイントまでを一つに整理しています。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
Outlookの転送設定には、「すべてのメールを一括転送する方法」と「条件付きで転送するルール機能」の2つの軸があります。
デスクトップ版、Outlook on the web、Outlook.com、新しいOutlookでは設定画面が異なるため、まずは自分の環境を把握したうえで手順を確認することが重要です。
転送がうまく動かない場合は、転送先アドレス・ルール条件・有効化状況を確認し、それでも解決しない際は組織ポリシーや管理者設定を疑う必要があります。
業務メールを外部アドレスへ転送する際には、情報漏えいリスクや社内規程を必ず確認し、必要に応じて情報システム部門や管理者に相談してください。
Outlookの転送設定でできることと注意点
Outlookで設定できる「転送」の種類
Outlookでは、受信したメールを別のメールアドレスへ自動的に送る「転送」設定が可能です。大きく分けて、次の2パターンがあります。
すべてのメールを自動転送する設定
自分の受信ボックスに届くメールを、指定したアドレスへ一括で転送します。
Web版OutlookやOutlook.comでは、「設定」→「メール」→「転送」からまとめて設定する形式が一般的です。条件付きで自動転送する(ルール機能)
差出人・宛先・件名・重要度などの条件に合致したメールだけを転送します。
デスクトップ版OutlookやOutlook on the webでは、「ルール」機能を使って細かい条件を設定できます。
また、環境によっては「転送」と似た機能として「リダイレクト」が用意されています。
転送は「あなたが再送信したメール」として扱われ、リダイレクトは「元の送信者から直接届いたメール」として扱われる点が主な違いです。
利用環境別に異なる転送設定画面
同じOutlookでも、利用している環境によって設定画面やメニューの場所が異なります。
デスクトップ版Outlook(Windowsクライアント)
「ホーム」タブ →「ルール」から受信ルールを設定します。Outlook on the web(Microsoft 365のブラウザ版)
画面右上の「設定(歯車アイコン)」→「Outlook のすべての設定を表示」→「メール」→「転送」または「ルール」から設定します。Outlook.com(個人向けOutlookアカウント)
基本的な操作はOutlook on the webと似ていますが、アカウント種別やサービス仕様が異なる場合があります。新しいOutlook
Microsoft 365の新しいUIでも、基本的には「設定」→「メール」→「転送」という流れで操作します。
この記事では、これらの環境ごとに代表的な手順を整理してご紹介します。
転送設定の前に確認しておきたいルール・制限
転送設定を行う前に、次の点を確認しておくことをおすすめいたします。
社内規程で外部アドレス(Gmail等)への自動転送が禁止されていないか
Microsoft 365のセキュリティポリシーで外部転送がブロックされていないか
転送後も元メールを自分の受信トレイに残す必要があるかどうか
複数のアドレスへ転送したい場合、ルール機能の利用が必要になる可能性があること
これらを事前に理解しておくと、後述のトラブルを避けやすくなります。
デスクトップ版Outlookで自動転送を設定する
すべての受信メールを自動転送するルールの作り方
デスクトップ版Outlookでは、「受信メールにルールを適用する」ことで、すべてのメールを自動転送できます。代表的な手順は次のとおりです。
Outlookを起動します。
「ホーム」タブから「ルール」をクリックします。
「仕分けルールと通知の管理」または「仕分けルールの作成」を選択します。
「新しい仕分けルール」をクリックします。
「受信メッセージにルールを適用する」を選択し、「次へ」をクリックします。
条件を何も選択せずに「次へ」をクリックすると、「すべてのメッセージに適用」するルールになります。
アクション一覧から「メッセージを指定したアドレスに転送する」などを選択し、転送先のメールアドレスを指定します。
必要に応じて例外(特定の送信者は転送しない等)を設定し、「完了」をクリックします。
作成したルールが有効になっていることを確認します。
この方法を使うと、デスクトップ版Outlookが動作している環境で、すべての受信メールが自動的に指定アドレスへ転送されます。
条件付き転送(差出人や件名などで絞り込む)設定手順
特定の条件に合致するメールだけを転送したい場合も、同じくルール機能を使います。
デスクトップ版Outlookで、「ホーム」→「ルール」→「仕分けルールと通知の管理」を開きます。
「新しい仕分けルール」をクリックし、「受信メッセージにルールを適用する」を選択して「次へ」をクリックします。
以下のような条件から、必要なものを選択します。
「差出人が次の人またはパブリックグループ」
「件名に特定の文字が含まれる」
「宛先が特定のアドレスを含む」 など
条件を設定したら「次へ」をクリックします。
アクションの一覧から「メッセージを指定したアドレスに転送する」または類似の項目を選び、転送先アドレスを指定します。
必要に応じて、「機密度が高い場合は転送しない」などの例外設定を行い、「完了」をクリックします。
このように条件付き転送を活用すると、例えば次のような運用が可能です。
顧客窓口のアドレス宛のメールだけをチームメンバーに自動転送する
特定プロジェクト名を件名に含むメールだけを、プロジェクト共有用アドレスに転送する
転送ルールの確認・変更・削除方法
既存のルールを確認・変更する場合は次の手順です。
「ホーム」タブ →「ルール」→「仕分けルールと通知の管理」を選択します。
一覧から対象のルールを選択します。
有効/無効を切り替える場合は、ルール名の左側チェックボックスをオン・オフします。
内容を編集したい場合は、「ルールの変更」からウィザードを進め、条件やアクションを修正します。
不要になったルールは「削除」をクリックして削除します。
特に「すべてのメッセージを転送する」ルールは影響範囲が大きいため、不要になった場合は必ず無効化または削除してください。
Outlook on the web/新しいOutlookで転送設定を行う
「転送」メニューを使ってシンプルに全転送する
Outlook on the web や新しいOutlookでは、「転送」専用のメニューから、受信メールを別のアドレスへ一括転送できます。代表的な手順は次のとおりです。
ブラウザでOutlook(Outlook on the web/新しいOutlook)にサインインします。
画面右上の「設定(歯車アイコン)」をクリックします。
「Outlook のすべての設定を表示」を選択します。
左側メニューで「メール」→「転送」を選びます。
「転送を有効にする」にチェックを入れます。
「メールの転送先」欄に転送先メールアドレスを入力します。
元メールを自分のメールボックスにも残したい場合、「転送されたメッセージのコピーを保持する」にチェックを入れます。
「保存」をクリックして設定を完了します。
短期間の在宅勤務や一時的な運用で、「とにかくすべてのメールを別アドレスで確認したい」場合に適した方法です。
ルール機能で条件付き転送・リダイレクトを設定する
より柔軟な条件付き転送を行いたい場合は、「ルール」機能を利用します。
Outlook on the webを開き、右上の「設定」から「Outlook のすべての設定を表示」をクリックします。
「メール」→「ルール」を選択します。
「新しいルールの追加」をクリックします。
ルール名を入力します(例:「案件Xのメールを共有アドレスに転送」)。
「条件を追加」から、以下のような条件を設定します。
「すべてのメッセージに適用」
「差出人」
「件名または本文に特定の語句が含まれる」 など
「アクションを追加」で「転送先」や「リダイレクト先」を選び、転送先アドレスを指定します。
必要に応じて「例外を追加」から除外条件を設定します。
「保存」をクリックしてルールを有効化します。
「リダイレクト」が利用できる環境では、元の送信者を保持したまま別アドレスへ届けられるため、「誰から届いたメールか」を正確に把握したいケースで有効です。
Outlook.comアカウントでの自動転送と違い
Outlook.com(個人向けのOutlookアカウント)でも、自動転送機能が用意されています。操作の流れはOutlook on the webとほぼ同じですが、次のような違いがあります。
無料アカウントか有料サブスクリプションかによって利用できる機能や制限が異なる
テナント管理者のポリシーではなく、Microsoft側の仕様により制御される部分がある
企業のMicrosoft 365環境と混同しないよう、「仕事用アカウント」か「個人用アカウント」かを確認したうえで設定を行ってください。
転送設定がうまく動かないときのチェックポイント
転送先アドレス・条件設定の見直し
まずは、ユーザー側で確認できる基本的なポイントを見直します。
転送先メールアドレスにスペルミスがないか
条件付き転送の場合、条件を複数組み合わせて対象が狭くなりすぎていないか
デスクトップ版Outlookの受信ルールが「有効」になっているか
Outlook on the webの「転送」設定が保存されているか
特に条件付きルールでは、試しに「すべてのメッセージに適用」でテストしてみると、ルールそのものが動いているかを切り分けしやすくなります。
組織のセキュリティポリシーや外部転送制限の可能性
Microsoft 365では、管理者がスパム対策や情報漏えい対策として、外部ドメインへの自動転送を禁止または制限している場合があります。
次のような場合は、組織ポリシーが原因の可能性が高いです。
社内アドレス宛への転送は問題ないが、Gmail等外部アドレス宛の転送だけが届かない
ある時期から突然、外部アドレスへの転送が届かなくなった
管理者から「外部への自動転送は控えてほしい」と案内があった
このようなケースでは、ユーザー側で設定を工夫しても解決しないことが多いため、社内の情報システム部門やMicrosoft 365管理者に相談することが必要です。
ログイン環境・同期トラブルなどその他の原因
そのほか、次のような要因で転送がうまく動かない場合もあります。
デスクトップ版Outlookがオフラインとなっており、クライアント側ルールが実行されていない
古いバージョンのOutlookクライアントでルールが破損している
メールボックスの容量が上限に近づき、新規メールの受信自体が制限されている
問題が長引く場合は、一度ルールを削除して作り直す、別環境(Web版Outlookなど)で同様の設定を試すなど、切り分けを行うと原因を絞り込めることが多いです。
ビジネスで安全にOutlook転送設定を使うためのベストプラクティス
個人アドレスへの転送と情報漏えいリスク
業務用メールを個人のGmailや携帯メールアドレスへ自動転送することは、次のようなリスクを伴います。
顧客情報や社外秘情報が、社内の管理外の場所に長期間保管される
誤送信やアカウント乗っ取りが発生した際、被害が社内の管理範囲を超えて拡大する
就業規則や情報セキュリティ規程、取引先との契約に違反する可能性がある
そのため、多くの組織では外部アドレスへの自動転送を制限したり、事前申請を必須としている場合があります。
個人アドレスへの転送を検討する場合は、必ず社内規程と上長、情報システム部門の方針を確認してください。
不在時の自動応答と転送ルールの上手な組み合わせ
長期出張や休暇などで不在になる際には、転送設定とあわせて”自動応答(不在通知)”を設定することをおすすめいたします。
自分宛のメールを、代理対応者のアドレスへ自動転送する
送信者には自動応答で「不在期間」「代わりの連絡先」を案内する
このように組み合わせることで、送信者にとっても、社内の対応体制にとってもスムーズな運用が可能になります。
条件付き転送を利用すれば、「特定のプロジェクトに関するメールだけ代理人へ転送する」といった柔軟な設定も行えます。
情シス・管理者に相談した方がよいケース
次のようなケースでは、自己判断で転送設定を続けるのではなく、早めに情報システム部門や管理者に相談することをおすすめいたします。
外部アドレスへの転送が業務上どうしても必要だが、許可されているか判断できない場合
顧客情報や機密情報を含むメールを、継続的に別アドレスへ転送したい場合
転送設定を行った後に、メールが届かない・エラー通知が増えるなどの事象が発生した場合
管理者から、共有メールボックスや配布グループなど、より安全な代替手段を提案してもらえることも多くあります。