本記事は、次のような方を想定しています。
Windows 10/Windows 11でOutlookを利用している一般のビジネスユーザーの方
会社や自宅のPCで、突然Outlookが開かない・起動しないトラブルに遭遇している方
まずは自力で原因を切り分け、必要に応じて情シスや専門窓口に相談したい方
Outlookはメールだけでなく、予定表・連絡先・タスク管理なども一括で扱う「業務のハブ」のような存在です。そのため、「開かない」「起動しない」状態になると業務への影響は非常に大きくなります。
この記事では、
症状別に、何から確認すべきかがすぐ分かるチェックリスト
PC中級者でも実行できる、クラシック版Outlook/Outlook(new)それぞれの対処手順
データを守るために「やってはいけないこと」と、相談すべきタイミング
を、実務目線で整理して解説いたします。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
Outlookが開かない・起動しないときの主な症状パターン
まずは、ご自身の状況がどのパターンに当てはまるかを確認してください。
画面がまったく表示されない/反応しない
アイコンをクリックしても何も起こらない
画面上にウィンドウは出ないが、タスクマネージャー上にはOutlookのプロセスが残っている
「応答なし」のまま固まっている
この場合、バックグラウンドでOutlookが残っている、アドインやデータ読み込みで固まっている可能性があります。
エラーメッセージが表示されて起動しない
例として、次のようなメッセージが表示されるケースがあります。
「Microsoft Outlookを起動できません。Outlookウィンドウを開けません。」
「このフォルダーを開けません。予期しないエラーが発生しました。」
この場合は、プロファイルやデータファイル(PST/OST)、アドインなど、設定やデータ側の問題が疑われます。
1回目は開くが2回目以降が起動しない
PCを再起動すると1回は開くが、閉じたあとは起動しなくなる
エラーは出ないが、タスクマネージャーにOutlookが残ったままになる
この場合、バックグラウンド同期やアドイン、セキュリティソフトの影響などが考えられます。
Outlook(new)が起動しない・すぐ落ちる
Outlook(new)をクリックしてもすぐに落ちる
Microsoft Storeから起動してもフリーズする
起動までに非常に時間がかかり、途中で止まる
この場合、Microsoft Storeのキャッシュやアプリ自体の破損、Windowsの更新状態などが影響している可能性があります。
まず試すべき基本確認(5分でできるチェックリスト)
すべての症状に共通して、最初に確認すべきポイントです。ここまでで改善するケースも多いため、必ず実施してください。
PCとOutlookの再起動・タスクマネージャーの確認
バックグラウンドのOutlookを終了する
タスクバーを右クリックし、「タスク マネージャー」を開きます。
「プロセス」タブで「Outlook」または「Microsoft Outlook」を探します。
残っている場合は選択して「タスクの終了」をクリックします。
PCを再起動する
「スタート」 → 電源アイコン → 「再起動」を選択します。
再起動完了後、Outlookを起動して症状が改善しているか確認します。
軽い一時的なエラーの場合は、この段階で解消することも少なくありません。
Windows UpdateとOffice更新の確認
Outlookが急に開かなくなった直後に、WindowsやOfficeの更新が入っているケースも多くあります。
Windows Updateの確認
「設定」 → 「Windows Update」を開きます。
「更新プログラムのチェック」をクリックし、重要な更新があればすべて適用します。
必要に応じて再起動します。
Office(Microsoft 365)の更新確認
Wordなど、別のOfficeアプリを起動します。
左上の「ファイル」 → 「アカウント」を開きます。
「更新オプション」 → 「今すぐ更新」を実行します。
セキュリティソフト・常駐ソフトの一時的な影響確認
ウイルス対策ソフトやバックアップソフトが、Outlookの起動を妨げることがあります。
一時的にリアルタイム保護をオフにして改善するか確認する方法もありますが、インターネットから切断した状態で行うなど、安全性の確保が前提です。
会社支給PCの場合は、セキュリティポリシーに関わるため、必ず情シス・管理者の指示に従ってください。
クラシック版Outlook:原因別の詳細対処法
ここからは、従来のデスクトップ版(クラシック版Outlook)を対象に、原因別の対処方法をご説明します。
アドインが原因のとき:セーフモード起動とアドイン無効化
Outlookに追加されたアドインが原因で起動に失敗するケースは非常に多く、公式でも最初に確認が推奨されるポイントです。
1. セーフモードでOutlookを起動する
「Windowsキー + R」で「ファイル名を指定して実行」を開きます。
「名前」欄に
outlook.exe /safeと入力して「OK」をクリックします。プロファイル選択画面が出た場合は、普段使用しているプロファイルを選びます。
セーフモードで起動できた場合、アドインまたは表示関連の問題である可能性が高くなります。
2. アドインを無効化して原因を切り分ける
セーフモードでOutlookが開いている状態で、「ファイル」 → 「オプション」 → 「アドイン」を開きます。
画面下部の「管理」で「COM アドイン」を選択し、「設定」をクリックします。
一旦すべてのアドインのチェックを外して「OK」をクリックします。
Outlookを通常起動し、問題が解消するか確認します。
問題が解消した場合は、アドインを1つずつ有効にし、どのアドインで再発するかを確認します。
注意:
会社指定のアドイン(ウイルス対策、アーカイブソフトなど)がある場合は、無効化の前に管理者へ相談してください。
プロファイルの破損が疑われるとき:新規プロファイル作成
エラーメッセージ付きで起動しない場合、Outlookの「プロファイル」設定が壊れていることがあります。新しいプロファイルを作成して確認します。
新しいプロファイルを作成する手順
Windowsの「コントロール パネル」を開き、「メール(Microsoft Outlook)」を選びます。
「プロファイルの表示」をクリックします。
「追加」をクリックし、新しいプロファイル名(例:
Outlook_new)を入力し「OK」をクリックします。ウィザードに従って、メールアカウント(Microsoft 365/Exchange/POP/IMAP)を設定します。
「常に使用するプロファイル」で、新しく作成したプロファイルを選択し、「OK」をクリックします。
ポイント:
Microsoft 365/Exchangeアカウントの場合、メールはサーバー側に保管されているため、新規プロファイル作成によるデータ損失リスクは比較的低いです。
POPアカウントでPSTファイルに保存している場合は、既存PSTファイルの保存場所をよく確認し、事前にコピーを取ってから作業してください。
データファイル(PST/OST)に問題があるときの注意点
PST/OSTファイルが破損している場合、「受信トレイ修復ツール(scanpst.exe)」を使った修復が一般的です。ただし、いきなり修復を行うのはリスクもあります。
安全に進めるためのポイント
対象のPST/OSTファイルを別フォルダーにコピーし、必ずバックアップを取ってから修復ツールを実行する
ファイルサイズが大きい(数GB以上)の場合、修復に時間がかかる・途中で止まる可能性があるため、PCの電源管理(スリープ無効)を確認しておく
自信がない場合や、重要なメールが多く含まれている場合は、早めに専門業者や情シスに相談する
ライセンス状態・OneDrive連携が原因の既知不具合
近年は、Outlook本体の不具合に加え、ライセンス認証やOneDrive連携が原因で起動しなくなるケースも増えています。
想定される例
Microsoft 365のライセンスがうまく認証されず、一部機能が制限されている
Windows 11のOneDriveバックアップ機能により、Outlookのデータファイル保存先が自動でOneDrive配下に移動し、起動時にエラーとなる
対処の方向性(イメージ)
Microsoftアカウントや組織アカウントでサインインし、ライセンス状態を確認する。
OneDriveのバックアップ設定(デスクトップ/ドキュメント/ピクチャ)を確認し、Outlookデータファイルが意図せずOneDrive内に移動していないか確認する。
必要に応じて、Outlookデータファイルをローカルフォルダーに戻し、Outlook側で参照先を変更する。
注意:
PST/OSTファイルの移動・参照先変更は、必ずOutlookを終了した状態で行ってください。
互換モード・古いアドイン・周辺ソフトとの相性
Outlookを「互換モード(古いWindows用)」で動作させていると、最新のWindows更新と相性が悪くなることがあります。
不要な古いアドインやツールバー追加ソフトは、これを機に無効化・削除を検討してください。
Outlook(new):アプリが起動しないときの対処法
Windows 10/11で提供されている「Outlook(new)」は、クラシック版Outlookとは別アプリです。そのため、対処方法も一部異なります。
高速スタートアップ・Microsoft Storeキャッシュの確認
1. 高速スタートアップの無効化(必要に応じて)
高速スタートアップが原因で、前回起動時の不整合が残るケースがあります。
「コントロール パネル」 → 「電源オプション」 → 「電源ボタンの動作を選択する」から、高速スタートアップの設定を確認します。
一時的に無効にして再起動し、症状が改善するか確認します。
2. Microsoft Storeのキャッシュ削除
「Windowsキー + R」で「ファイル名を指定して実行」を開きます。
wsreset.exeと入力し「OK」をクリックします。コマンドが完了するとMicrosoft Storeが自動的に開くため、その後Outlook(new)を起動してみます。
アプリ更新とリセット/再インストールの手順
アプリの更新を確認
Microsoft Storeを開き、「ライブラリ」からOutlook(new)に更新がないか確認し、あれば適用します。
アプリのリセット
「設定」 → 「アプリ」 → 「インストールされているアプリ」からOutlook(new)を選択します。
「詳細オプション」 → 「リセット」を実行します。
改善しない場合は再インストール
Outlook(new)をアンインストールし、Microsoft Storeから再インストールします。
データを守るためのNG行為と安全な進め方
Outlookが開かないとき、「とりあえずいろいろ試してみる」ことが、結果としてデータ損失に直結する場合があります。
やってはいけない自己流の操作
意味が分からないままPST/OSTファイルを削除する
インターネットで見つけたレジストリ操作を、そのままコピペで実行する
出所不明の海外製修復ツールをダウンロードして実行する
これらは元に戻せないトラブルを招きやすいため、本記事では推奨いたしません。
バックアップの有無で変わる対応の優先順位
バックアップがある場合
新プロファイル作成やPST修復など、やや踏み込んだ作業も検討しやすくなります。
バックアップがない場合
修復ツールの乱用は避け、「プロファイルの作り直し」「アドイン無効化」など比較的安全な範囲にとどめ、復旧が難しければ早めに専門家へ相談する判断が重要です。
それでもOutlookが開かないときの相談先と準備しておく情報
ここまでの手順を試しても改善しない場合は、自力での対応にこだわりすぎず、相談に切り替えることを推奨いたします。
社内情シス・管理者に伝えるべき環境情報
トラブルシュートをスムーズに進めるため、次の情報を整理して伝えると効果的です。
使用OS:Windows 10かWindows 11か
Outlookの種類:クラシック版OutlookかOutlook(new)か
表示されているエラーメッセージの内容(可能ならスクリーンショット)
症状が出始めた日時と、その直前に行った操作(インストール・アップデートなど)
メールアカウントの種類(Microsoft 365/Exchange/POP/IMAPなど)
Microsoftサポートや専門業者に相談するときのポイント
ビジネス上重要なメールを多く含む場合や、自力の修復で状態が悪化してしまった場合は、早めにMicrosoft公式サポートや専門業者への相談を検討してください。
相談時には、前項で整理した情報に加え、「ここまで自分で試した内容」を一覧で伝えると、診断がスムーズになります。
トラブルを繰り返さないための予防策チェックリスト
最後に、同様のトラブルを減らすための予防策をまとめます。
日常的に意識したいポイント
Windows Update・Office更新を定期的に実施する
不要なアドインをインストールしない/定期的に見直す
PSTファイルの容量を大きくしすぎない(分割やアーカイブを活用する)
定期バックアップ(クラウド/外付けディスクなど)を仕組みとして整える
Outlook(new)を試す際は、いきなり本番環境ではなく、サブアカウントやサブPCから始める