ノートパソコンで「キーボードが反応しないのにマウスは動く」状態になると、画面操作はできるのに文字入力ができず、仕事・学業・手続きなどが止まってしまいます。特に、会議のチャット入力、ログイン時のパスワード入力、検索、ファイル名変更など、キーボード前提の作業が一気にできなくなるため、焦りや不安が強くなりがちです。
しかし、この症状は「すぐ直る一時不調」から「設定やドライバーの問題」「OS更新後の相性」「物理故障」まで原因が幅広く、手当たり次第に操作すると、データ消失や状況悪化につながる恐れがあります。したがって本記事では、マウス操作ができる前提で、復旧の成功率を高めるために、安全性が高く効果が出やすい順番で対処を整理します。
大枠の流れは次の通りです。
保存(可能な範囲でデータ保護)
再起動(通常手順を優先)
設定確認(入力補助やロック系)
ドライバー対処(Windows中心)
故障判定と修理判断(無理をしない)
WindowsとMacでは手順の中心が異なります。Windowsは設定とドライバー、Macは接続・切り分けの比重が高い傾向があるため、該当OSの章を優先して進めてください。
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キーボードが反応しないのにマウスは動くときに起きやすい状況
最初に行うべきことは「症状の分類」です。なぜなら、同じ「入力できない」でも、原因の見当がつくポイントが異なるためです。ここで切り分けができると、無駄な操作が減り、復旧までの時間が短くなります。
特定アプリだけ入力できない
「ブラウザでは入力できないがメモ帳では入力できる」「Excelでは入力できないがチャットは入力できる」といったケースでは、OS全体やキーボードの物理故障よりも、次の原因が疑われます。
アプリ側の一時不具合(フリーズに近い状態)
入力欄が実は選択されていない(フォーカス問題)
IME(日本語入力)の状態不良、入力モードの不整合
常駐ソフト(クリップボード拡張、キー割り当て、セキュリティ機能など)の干渉
リモート接続や仮想環境での入力転送の問題
この場合、いきなりドライバーや修理判断に進むより、以下の順で確認すると効率的です。
確認手順(軽いものから)
入力したい欄をクリックして、カーソルが出るか確認する
そのアプリをいったん閉じ、再度起動して入力できるか試す
別のアプリ(メモ帳など)で入力できるか試す
IMEを切り替える(日本語/英数、または入力方式の切替)
常駐ソフトを一時停止できる範囲で止める(難しければ再起動へ)
「特定アプリのみ」なら、OSやハードの大掛かりな対処の前に、アプリ起因を先に潰すのが安全です。
ログイン画面でも入力できない
Windowsのサインイン画面や、Macのログイン画面の時点で入力できない場合は、アプリ依存の可能性が低くなり、次が疑わしくなります。
内蔵キーボード自体の不調(接続、故障、液体侵入など)
OSやドライバーの問題(Windowsで発生しやすい)
入力補助設定やロック設定の影響(状況により)
まれに、システムの固まり(マウスだけ動いて見えるケース)
ログイン画面での重要ポイントは、外付けキーボードが使えるかです。使えるならログインして原因究明が進められますが、使えないなら「入力系統全体が不安定」「USBやBluetooth側の問題」も含めた切り分けが必要になります。
外付けキーボードは使える
外付けキーボードが使えるかどうかは、復旧の可否だけでなく、原因切り分けにも直結します。
外付けは使える/内蔵だけダメ
→ 内蔵キーボード側の問題(物理・接続・内部ケーブル・水濡れ等)の可能性が上がります。設定やドライバーの可能性も残りますが、焦点を絞れます。外付けも使えない
→ OS側の不調、入力系統全体の問題、周辺機器の接続問題、固まりなど、範囲が広くなります。保存と再起動を最優先にして、状況をリセットする方が安全です。
外付けキーボードがない場合でも、可能なら家族のUSBキーボードや、手元のBluetoothキーボードで一時的に検証すると、復旧の近道になります。
キーボードが反応しないときの最優先チェック
ここでは「安全性」「効果」「所要時間」のバランスを重視し、成功率の高い順で進めます。特に、作業中のデータを失わないために、最初の数分の行動が重要です。
データを守るために最初にやること
マウスが動くなら、まず「できる範囲の保存」を優先してください。入力ができなくても、マウス操作だけで保存できるケースは多いです。
保存の具体例
Office(Word/Excel/PowerPoint):上部メニューから保存、または「ファイル」→「保存」
ブラウザ:入力途中のフォームは難しい場合があるため、スクリーンショットで控える
メール:下書き保存、または本文をコピーして別所に退避(コピーできるなら)
重要な画面:スクリーンショットで証跡を残す
次に、通常の方法で再起動を試します。マウス操作ができるので、スタートメニューや電源メニューからの再起動が可能な場合があります。
注意点
いきなり電源長押しは、未保存データを失うリスクが高まります。
画面が固まって通常再起動ができない場合のみ、強制終了を検討します。
強制終了を選ぶ場合でも、次の目安を置くと安全です。
強制終了の目安
画面操作がほぼできない/クリックに反応しない
アプリが完全に固まり、終了もできない
10分程度待っても状況が変わらない
再起動以外の選択肢がない
可能なら、タスクマネージャー等で固まっているアプリだけ終了できないかを先に検討してください(操作できる範囲で構いません)。
キーボードのロックと入力補助設定を確認する
次に、設定起因を疑います。特にWindowsでは「フィルターキー」などの入力補助機能が意図せず有効になり、入力が極端に入りにくい、または入らないように見えることがあります。加えて、外付けキーボードの場合は「Fnキー」や「NumLock」などの状態で挙動が変わることもあります。
チェックリスト(最優先)
CapsLock / NumLock / FnLock の状態が不自然ではないか
外付けキーボードなら、電池切れや接続不良ではないか
Windowsの入力補助(フィルターキー等)が有効ではないか
IMEが固まっていないか(英数/かな切替で変化があるか)
「まったく反応しない」場合でも、設定が影響していることはあるため、次のWindows章で具体的に無効化を試してください。
接続と電源を確認する
外付けキーボードを使用している場合は、接続と電源確認が最短ルートです。内蔵キーボードの場合でも、周辺機器が影響している可能性があるため、USB機器をいったん外すことで改善することがあります。
外付け(USB)の確認
USBを抜き差しする
可能なら別のUSBポートへ差し替える
USBハブ経由なら直挿しする
別のPCに接続して、キーボード自体が生きているか確認する
外付け(Bluetooth)の確認
充電/電池を確認する
Bluetoothをオフ→オンする
いったんペアリング解除→再ペアリングする
他端末(スマホ等)に接続できるか確認する
内蔵キーボードの場合の補足
USB機器(外付けストレージ、ドングル等)を一旦外して再起動
直前にキーボード設定ソフトを導入していないか確認(あればアンインストール候補)
Windowsでキーボードが反応しない場合の直し方
Windowsでは、設定・電源機能・ドライバーが原因で入力不能に見えるケースが比較的多くあります。ここでは「成功しやすい順」に進めます。
再起動と高速スタートアップの見直し
再起動で直るが再発する場合、Windowsの電源機能が関係することがあります。特に、高速スタートアップ(シャットダウンと休止状態を組み合わせる仕組み)により、状態が完全にリセットされず不具合が残るケースがあります。
改善が期待できるパターン
スリープから復帰すると毎回おかしくなる
シャットダウンでは直らないが再起動では直る(または逆)
周辺機器の認識がおかしいのも同時に起きる
対応の考え方
一度「再起動」で状態を作り直す
再発するなら高速スタートアップを無効化して挙動を見る
併せてWindows Update直後かどうかも確認する
高速スタートアップ無効化後は、数日運用し、再発頻度が下がるか観察すると判断しやすくなります。
フィルターキーなどの設定を無効にする
Windowsの入力補助機能(アクセシビリティ)は、環境によっては「入力が入らない」「キーが効かない」と誤認される原因になります。特にフィルターキーは、連打・長押しなどの受付方法を変えるため、症状によっては“反応しない”ように見えます。
確認・無効化の進め方(要点)
設定画面で「アクセシビリティ」→「キーボード」関連を確認
フィルターキーがオンならオフに切り替える
切り替え後、メモ帳など軽いアプリで入力テストする
補足
これらの設定は、ショートカット操作で意図せずオンになる場合があります。
一度オフにして改善するなら、再発防止としてショートカットの動作も見直すと安定します。
デバイスマネージャーでドライバーを再検出する
設定で改善しない場合、ドライバーの問題を疑います。Windowsでは、キーボードドライバーの認識不良により、内蔵キーボードが反応しないことがあります。ここで重要なのは、危険な操作(無闇な削除や不明ソフト導入)ではなく、Windows標準の手順で再検出させることです。
作業前の注意
可能なら外付けキーボードを用意し、操作不能になっても戻せる状態にする
ノートPCの場合、電源が切れると困る作業は避け、AC接続で行う
企業PCは管理者権限が必要な場合がある
手順(一般的な流れ)
デバイスマネージャーを開く
「キーボード」を展開し、該当デバイスを確認する
ドライバー更新、またはアンインストール(再起動で再検出)を試す
再起動後、入力テストを行う
結果の読み方
改善する:ドライバー起因の可能性が高い
改善しない:電源設定・更新・物理側へ切り分けを進める
一部だけおかしい:キー割り当てソフト、IME、アプリ干渉も再確認
更新後に起きた場合の対処
Windows Updateやドライバー更新の直後に症状が出た場合は、「直前の変化」が原因の可能性が高いため、時系列で整理して対処すると近道です。
確認ポイント
いつから発生したか(日時)
直前にWindows Updateが入ったか
直前にメーカーのユーティリティや入力関連ソフトを入れていないか
周辺機器(新しいキーボード、USB機器)を追加していないか
おすすめの進め方
通常再起動
フィルターキー等の入力補助設定の確認
高速スタートアップの無効化
ドライバー再検出
それでもダメなら故障判定へ(外付けで回避しつつバックアップ優先)
「更新後は様子見」ではなく、再発するうちに別不具合へ波及することもあるため、早めに手順を一巡させて安定化を狙う方が安全です。
Macでキーボードが反応しない場合の直し方
MacはWindowsのようにドライバー再インストールを前提とすることが少ないため、対処の中心は「接続の見直し」「機器・ポートを変えて切り分ける」「設定影響の確認」です。内蔵キーボードが効かない場合でも、外付けが使えるかどうかで打ち手が変わります。
外付けキーボードとBluetoothの再接続
外付けBluetoothキーボードの場合、まずは基本の確認から入ります。Bluetoothは環境(干渉、距離、充電)により不安定になりやすいためです。
確認項目
キーボードの充電・電池
キーボードの電源スイッチ
Mac側のBluetoothオン
キーボードが正しい端末に接続されているか(複数端末利用の場合)
対処(軽い順)
Bluetoothをオフ→オン
キーボードの電源を入れ直し
ペアリング解除→再ペアリング
近距離で試す(干渉回避)
これだけで改善するケースも少なくありません。
別ポート・別キーボードで切り分ける
USBキーボードなら「別ポート」、Bluetoothなら「別キーボード」を試すことが、原因特定の最短です。切り分け結果の意味は明確です。
切り分け表(簡易)
| 試したこと | 結果 | 示唆 |
|---|---|---|
| 別キーボードを接続 | 入力できる | 元のキーボード側の問題が濃厚 |
| 別キーボードでも不可 | 入力できない | Mac側(設定/システム/ハード)の可能性が上がる |
| 別ポートへ変更 | 改善する | ポート側・ハブ側の問題の可能性 |
| 直挿しで改善 | 改善する | ハブや変換アダプタ起因の可能性 |
Macは変換アダプタ(USB-Cハブ等)経由で不安定になることもあるため、可能なら「直挿し」で確認すると判断が早くなります。
設定が原因の可能性を確認する
Macでも、入力に影響する設定が有効だと、症状が「反応しない」「おかしい」と見えることがあります。たとえば、特定のショートカット設定、入力ソース、アクセシビリティ機能などです。
確認の方向性
入力ソースの切り替え(日本語/英語)で変化があるか
特定アプリだけならアプリ再起動・別アプリで検証
最近インストールしたキー割り当て系アプリがないか
システム設定で入力関連の項目に不自然な変更がないか
ログインできない場合は、外付けキーボードで入れるかどうかが重要です。外付けでログインできるなら、設定確認・ソフト干渉の排除が進められます。一方、外付けでもログイン不可なら、無理に自己解決を狙わず、データ保護とサポート相談を優先するのが安全です。
キーボード故障の可能性が高いサインと修理の進め方
ここまでの手順を一通り試しても改善しない場合、物理故障の可能性が高くなります。特にノートパソコンの内蔵キーボードは、液体侵入や経年劣化、内部ケーブルの不具合などが起きると、ソフト側の対処では直りません。無理な操作を続けるより、早めに修理判断を行う方が、結果的に損失(時間・費用・データ)を抑えられます。
故障の疑いが濃い症状
次の項目に多く当てはまるほど、修理・点検を検討してください。
修理判断チェックリスト
飲み物をこぼした、結露や湿気の心当たりがある
キーが外れている、戻らない、沈みっぱなしなど物理異常がある
内蔵キーボードだけが継続的に無反応(外付けは動く)
ログイン画面でも入力できない状態が続く
再起動で直っても短時間で再発する
特定のキーだけではなく、広範囲で反応しない
液体侵入が疑われる場合は、通電させ続けると悪化する恐れもあるため、むやみに操作を繰り返さず、電源を落として相談した方がよいケースがあります(状況により判断が必要です)。
修理に出す前の準備
修理に出す前に、最低限の準備をしておくことで、復旧までの手戻りを減らせます。また、データ消失のリスクに備える意味でも重要です。
準備チェックリスト
可能ならバックアップ(外付け・クラウド・別PCへの退避)
発生日時、直前の操作(更新、ソフト導入、周辺機器追加)をメモ
外付けキーボードの可否、ログイン画面での可否をメモ
型番、購入日、保証状況(メーカー保証・延長保証)を確認
会社PCなら情シスの手順に従い、勝手に分解や大きな設定変更をしない
「症状を言葉で説明する」のは意外に難しいため、メモがあるだけで受付がスムーズになります。
当座の回避策と再発防止
修理まで時間がかかる場合でも、当座の回避策で業務・学業を止めない工夫が可能です。
当座の回避策
外付けキーボードを使って作業継続
重要データを先に退避し、復旧作業は後回しにする
画面キーボード(オンスクリーンキーボード)を使う(入力速度は落ちますが緊急時に有効)
マウス操作中心でできるタスクから先に片付ける
再発防止の考え方
更新直後に発生した場合:更新履歴と発生日を記録し、設定・電源機能を見直す
周辺機器や常駐ソフト導入後の場合:導入したものを把握し、影響がないか切り分ける
スリープ復帰で起きる場合:高速スタートアップや電源設定、再起動運用を検討する
再発する不具合は、放置すると「突然まったく使えなくなる」方向に進むことがあります。早めにバックアップ体制を整えることが、最も堅実なリスク対策です。
よくある質問
再起動してもすぐ再発します。何を疑うべきですか
再起動で直るのに再発する場合、「一時的な詰まり」よりも、設定・電源機能・ドライバー・更新後の相性を疑うのが自然です。特にWindowsでは、高速スタートアップの影響、入力補助設定、ドライバー認識が絡むことがあります。本文の順番通りに「設定→高速スタートアップ→ドライバー再検出」まで一巡させ、再発頻度が下がるか観察してください。
外付けキーボードは使えます。内蔵だけ壊れた可能性はありますか
可能性はあります。外付けが使えるなら、OS全体の入力機能が死んでいるわけではないため、内蔵キーボード側の物理・接続問題が疑わしくなります。ただし、設定やドライバーの影響で「内蔵だけ」おかしくなることもあり得るため、Windowsの場合は設定とドライバー手順を先に試し、それでも改善しなければ修理判断へ進むのが安全です。
ログイン画面で入力できない場合はどうすればよいですか
外付けキーボードでログインできるか確認してください。ログインできるなら、設定確認やドライバー対処が進められます。外付けでも不可の場合は、自己解決の範囲を超えている可能性があるため、データ保護を優先しつつ、メーカーサポートや修理窓口への相談を検討してください。焦って強制終了を繰り返すと状況が悪化する場合があります。
フィルターキーはなぜ影響しますか
フィルターキーは、連打や長押しの受付方を変え、入力を補助する機能です。一方、意図せずオンになると「キーを押しても反応が遅い」「入力が入らない」ように見えることがあります。特に、長押しや一定の入力条件でのみ反応する設定になっていると、故障と誤認しやすくなります。症状が出たら、まずは設定をオフにして挙動が変わるか確認するのが有効です。
修理に出すときにデータは消えますか
修理内容やポリシーにより異なりますが、部品交換やOSの再セットアップが必要になった場合、初期化される可能性があります。したがって、修理前にバックアップを取ることが重要です。データが最重要であれば、受付時に「データ保護を優先したい」旨を明確に伝え、対応方針を確認してください。
まとめ
ノートパソコンで「キーボードが反応しないのにマウスは動く」場合は、闇雲に操作せず、次の順で対処すると復旧しやすくなります。
まずは可能な範囲で保存し、通常の再起動を試す
入力補助設定やロック状態を確認する(Windowsはフィルターキーが要注意)
Windowsは高速スタートアップの見直し、ドライバー再検出へ進む
Macは再接続と別キーボード・別ポートで切り分ける
こぼし・物理異常・ログイン前から不可などは早めに修理判断し、バックアップを優先する
最後に、OS更新やメーカー仕様変更により、設定画面の名称や操作が変わることがあります。実行時は画面表示に合わせて、焦らず順番に確認してください。最優先は常に「データ保護」と「安全な切り分け」です。