社内資料を要約したい、ナレッジを整理したい――そのとき候補に上がるのがNotebookLMです。ところが導入を検討し始めると、必ずと言ってよいほど次の不安にぶつかります。
「アップロードした資料は外部に漏れないのか」
「入力した内容がAIの学習に使われて、どこかに混ざらないのか」
「共有設定のミスで、社外に見られてしまわないか」
生成AIの活用が進む一方で、情報漏洩のリスクは“ゼロかどうか”ではなく、“どこで起こりやすいか”を理解し、確実に潰していくことが重要です。実際、事故の多くはAIが勝手に情報を持ち出すというより、共有・権限・アカウント・外部ソースの扱いといった運用上の穴から発生します。
本記事では、NotebookLMのデータ取り扱いを理解するうえで欠かせない論点(学習利用の条件や注意点)を整理したうえで、企業・チームで安全に使うための「入力してよい情報の基準」「共有と権限の考え方」「外部資料の取り込みルール」「インシデント初動」まで、手順として落とし込める形で解説いたします。読み終えた頃には、怖さだけで判断するのではなく、根拠とルールに基づいて「導入できる/できない」「どの範囲なら安全に使える」を自信を持って決められるようになります。
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NotebookLMで情報漏洩が不安になる理由
情報漏洩といっても原因は3系統に分かれる
「NotebookLMに社内資料を入れてよいのか」「アップロードしたファイルがどこかに流出しないか」と不安になるのは自然な反応です。ただ、情報漏洩と一口に言っても、実際に起きるトラブルは同じ形ではありません。原因を混同すると、対策がズレて「守ったつもりなのに事故が起きる」状態になりやすいため、まずは漏洩の原因を3系統に分けて考えます。
1つ目はサービス仕様の誤解です。たとえば「学習に使われるのか」「誰か(運営者)に見られるのか」「保存期間はどうなっているのか」といった点を曖昧に理解したまま使うと、最初の判断が誤ります。ここでのポイントは、危険を煽ることではなく「どの条件で、何が起き得るか」を正確に押さえることです。
2つ目は運用事故です。生成AIだから起きるというより、クラウドサービス全般で起きる典型的な事故が中心になります。具体的には、共有範囲の設定ミス(リンク共有の解放、権限の付与ミス)、アクセス権の棚卸し不足(退職・異動後も残る)、アカウント侵害(フィッシング、使い回しパスワード)、端末紛失や持ち出しなどです。多くの組織では、実際のインシデントの大半はこの系統で発生します。
3つ目はAI固有の脅威です。NotebookLMは「ソース(資料)に基づいて回答する」性質があるため、信頼できない資料を取り込んだ場合に、文書の中に埋め込まれた指示が影響して想定外の挙動を引き起こす、といった問題が議論されます(いわゆるプロンプトインジェクションの文脈です)。この系統は、対策の基本が「ソースの取り扱い」と「運用分離」に寄るため、2つ目の運用事故と混ぜずに整理するのが重要です。
この3系統に分解できると、次のように判断が速くなります。
仕様の誤解なら「規約・公式説明を確認して、社内ルール化する」
運用事故なら「共有・権限・認証・端末管理を固める」
AI固有の脅威なら「外部ソースを隔離し、取り込み基準を作る」
闇雲に禁止するのではなく、必要なところに対策コストを集中させられるようになります。
まず確認すべきは学習利用とレビューの条件
不安の中心になりやすいのは、「入れた情報が勝手に学習に使われて、外部の誰かの回答に混ざるのではないか」という点です。ここは、導入可否の判断にも直結するため、最初に確認しておくべき論点です。
ただし注意点があります。世の中の説明は「学習に使われません」という短い結論だけが切り取られがちで、条件や前提が抜け落ちやすいことです。実務の現場では、結論だけを覚えると次のような事故が起きます。
「学習に使われないなら大丈夫」と思って、機密をそのまま入れる
フィードバック送信や共有設定など、別経路の漏洩を見落とす
外部ソースを混ぜてしまい、AI固有の脅威への備えがない
ここで押さえるべき観点は、主に次の3つです。
学習利用の有無と条件(何をすると学習に関わる可能性が出るのか)
レビューの可能性(改善目的での確認が発生し得る条件は何か)
組織運用のコントロール手段(管理者が止められる・制限できるものは何か)
そして、この論点と同じくらい重要なのが「実際に事故が起きる場所はどこか」です。学習利用が心配でも、現実には共有やアカウント侵害が原因で漏洩することが多い、という構図は多くのクラウド運用で共通します。したがって、学習利用の条件確認は当然行いつつ、導入設計としては共有・権限・認証(MFA)・棚卸しを最優先で固めるのが合理的です。
NotebookLMのデータは学習に使われるのか
フィードバックを送らない場合の扱い
このテーマで最初に整理すべきは、「普段の利用」と「改善のためのフィードバック」が分かれている点です。多くのサービスは、品質改善の仕組みとしてユーザーからのフィードバックを受け付けていますが、そこにデータ取り扱いの条件が付くことがあります。
実務的には、社内ルールを作るときに次の姿勢を取ると安全側に倒せます。
原則としてフィードバック機能は使わない前提で運用を設計する
フィードバックを送る行為は例外扱いにして、承認やルールを付ける
「フィードバックを送らない利用」を通常フローにする
その上で、社内向けにわかりやすい表現にすると、現場が迷いません。たとえば次のように説明できます。
通常利用:社内資料を読み込ませて要約・質問する(ただし入力してよい資料の範囲は社内で決める)
例外利用:サービス改善のためにフィードバックを送信する(原則禁止、必要なら承認)
この整理だけで、教育や監査が簡単になります。「現場が勝手にフィードバックを送ってしまう」というパターンは、ルールが曖昧なときに起きやすいからです。運用設計の基本は「例外を増やさない」ことにあります。
フィードバックを送る場合に注意すべきこと
フィードバックを送る場面で注意すべきなのは、「一言コメントを送る」だけでは終わらない可能性がある点です。改善のために状況を確認するには、ユーザーが何を質問し、どんな資料を与え、どんな回答が返ったかという文脈が必要になります。つまり、フィードバック送信は、通常利用よりも情報がまとまって扱われやすい行為と考えた方が安全です。
企業でのルール化としては、次の3点をセットで決めるのが現実的です。
フィードバック送信の禁止または承認制
送信してよい情報の条件(個人情報・機密情報を含まない、匿名化している等)
記録の残し方(誰が、いつ、何の目的で送ったか)
特に、承認制にする場合は「承認者が確認すべき観点」を短く定義しておくと運用が回ります。たとえば次のチェックで十分です。
送信内容に顧客名・従業員名・メールアドレス・IDなどの個人情報が含まれない
価格・原価・未公開計画・認証情報などの機密が含まれない
添付した資料や引用した文章にも同様の情報が含まれない
送信の目的が「不具合報告」など必要性が明確
また、現場が「これは個人情報だろうか?」と迷いやすいのは、メールの署名や議事録の参加者名のような、無意識に混ざる要素です。フィードバック送信を例外扱いにしておけば、こうした見落としの確率を大きく下げられます。
個人利用と組織利用で考え方が変わる点
NotebookLMを「個人が自由に使う」状態と、「組織の管理下で使う」状態では、同じ機能でもリスクの質が変わります。違いは、技術そのものというより統制の強さです。
個人利用のリスクが高くなりやすい理由は次の通りです。
退職・異動・委託終了のタイミングでアクセスを確実に止められない
共有設定やファイルの所在を組織が把握しにくい
端末の管理(暗号化、MDM、ログ取得)が弱くなりやすい
フィッシングやパスワード使い回しなど、個人差が大きい
一方、組織利用では次の統制がかけやすくなります。
アカウント管理(MFA強制、端末ポリシー、退職時の無効化)
共有ルールの統一(リンク共有の制限、棚卸し)
監査(誰がどの範囲に共有したか、運用ルールの遵守状況)
教育(入力してよい情報・だめな情報の基準)
導入判断としては、「NotebookLMを使うか」だけでなく、「どの統制下で使うか」を同じくらい重視すべきです。たとえば、業務利用は原則として組織アカウント(管理下)に限定し、個人アカウントでの業務利用は避ける、という方針が分かりやすい落としどころになります。
NotebookLMで起こりやすい情報漏洩の経路
共有設定ミスと権限過多
現場で最も起こりやすいのは、AIが勝手に外部へ送るというよりも、共有の設定が意図せず広くなることです。クラウドの情報漏洩の典型は「便利さのために共有を開いたまま戻し忘れる」「共有相手を増やし続けて棚卸ししない」から始まります。
よくあるパターンを具体化すると、対策が取りやすくなります。
リンクを知っている人なら誰でも閲覧できる設定になっていた
「社内だけ」のつもりが、ゲストや外部ドメインにも共有されていた
編集権限を付けた結果、内容が改変され、誰が何を入れたか追えなくなった
兼務やプロジェクト終了後も共有が残り、想定外の人が閲覧できた
対策は複雑ではありません。共有を「例外」にして、既定値を閉じるだけで大きく改善します。たとえば次の原則が有効です。
原則:NotebookLMは個人ノートブックで運用し、共有しない
例外:共有が必要な場合のみ、メールアドレス指定で共有する
共有権限:閲覧を基本、編集は最小限
棚卸し:四半期ごとなど定期的に共有相手を見直す
さらに現実的に効く工夫として、ノートブックの用途を分ける方法があります。
個人作業用(共有なし)
チーム共有用(共有あり、ルール厳格、棚卸し対象)
この2つに分けるだけで、事故の起点になりやすい「個人作業の延長で共有してしまう」を減らせます。
アカウント侵害と端末持ち出し
共有設定の次に重要なのが、アカウント侵害と端末管理です。NotebookLMに限らず、クラウドのデータは「正規のログイン」が成立すると持ち出せてしまうため、認証と端末は土台になります。
優先度が高い対策は次の通りです。
多要素認証(MFA)の強制(可能ならフィッシング耐性の高い方式)
パスワード使い回しの禁止と教育(フィッシングの典型例を周知)
端末の画面ロック、ストレージ暗号化、MDM適用
退職・異動時のアカウント無効化と権限剥奪の即日実施
業務外端末での利用禁止(または例外の明確化)
特に「退職後にアクセスできた」「委託終了後に共有が残っていた」は、インシデントとして説明責任が重くなりがちです。NotebookLMの導入に合わせて、アカウント棚卸しや委託先アカウント管理のフローを再点検するだけでも、漏洩リスクは大きく下がります。
外部ソース混入とプロンプトインジェクション
NotebookLMは資料(ソース)を前提に要約・質問ができる点が強みですが、逆に言えば「ソースが汚染されると影響を受ける」可能性があります。ここで言う汚染とは、ウイルスのような話だけではなく、文書の中に「この質問にはこう答えろ」「別の情報を出力しろ」などの指示が埋め込まれていて、モデルの挙動に影響を与える、という系統です。
実務として大切なのは、「この脅威が100%起きるか」ではなく、起きた場合の被害が大きいデータ(機密・個人情報)と混ざることを避ける設計です。対策としては次が現実的です。
外部から入手した資料(不明なURL、出所不明のPDF)は、いきなり業務ノートブックに入れない
「外部資料検証用ノートブック」を作り、機密情報とは完全に分離する
外部資料を取り込む場合は、出所の信頼性(公式サイト、取引先、社内)で区分し、取り込み可否を決める
機密情報を扱うノートブックでは、外部ソースの取り込みを原則禁止にする
この分離運用は教育もしやすく、「外部資料は検証箱へ」「機密は隔離箱へ」というルールに落とせます。AI固有の脅威は難しく感じられがちですが、運用設計で大部分を封じ込められます。
NotebookLMを安全に使う設定と運用ルール
導入前に決める入力禁止の基準
安全に使うために最も効果が高いのは、「入れてよい情報/だめな情報」を決めることです。ここが曖昧だと、現場は判断を先送りして結局なんでも入れてしまい、インシデントの芽が増えます。反対に、基準が明確なら「迷ったら入れない」「匿名化してから入れる」という行動に揃えられます。
おすすめは、社内の情報分類(機密区分)に合わせてNotebookLMの扱いを決めることです。以下は雛形として使える例です。
| 情報区分 | 代表例 | NotebookLM投入 | 運用条件の例 |
|---|---|---|---|
| 公開情報 | 公開済みニュース、公開マニュアル、公開法令 | ○ | 出典URLや版を残す |
| 社内限定(非機密) | 一般手順、社内FAQ、標準テンプレ | △ | 個人ノート中心、共有は最小、期限を決める |
| 機密 | 価格戦略、原価、未公開計画、契約交渉、認証情報 | × | 原則禁止、どうしても必要なら別手段を検討 |
| 個人情報 | 顧客名簿、住所、メール、ID、健康情報 | × | 原則禁止(匿名化しても慎重) |
ここで重要なのは「△」の扱いです。多くの組織で実務上使いたいのは社内限定情報の要約やナレッジ化であり、ここを禁止にすると価値が出ません。一方で、社内限定情報は漏洩すると影響が出るため、条件を付ける必要があります。条件例は次の通りです。
△は個人ノートブックのみ(原則共有しない)
共有が必要なら、承認制または特定の共有ノートブックに限定
固有名詞(顧客名、案件名)は置換して匿名化してから投入
ノートブックの目的と保管期間を決め、不要になったら削除
「機密」「個人情報」を原則禁止にするのは、多くの組織で説明しやすく、教育も通しやすい落としどころです。そのうえで、△領域に条件を付けて価値を取りにいく設計が、導入の成功確率を高めます。
共有・権限・リンク設定の基本方針
運用ルールは細かくし過ぎると守られません。そこで、共有と権限については「これだけ守れば事故が激減する」という基本方針を定めます。
基本方針の例:
リンク共有は原則禁止(メールアドレス指定で共有)
権限は閲覧を基本、編集は必要最小限
共有の追加・削除はルール化(プロジェクト終了時に見直す)
定期棚卸し(四半期ごと)を必須にする
共有ノートブックは用途を限定し、機密や個人情報を扱わない
さらに、ノートブックの設計として「箱を分ける」ことが効きます。
共有あり箱:チーム運用、棚卸し対象、入力基準を厳格に
共有なし箱:個人作業、自由度はあるが情報区分は守る
外部検証箱:外部資料のみ、機密は絶対に混ぜない
箱を分けると、事故の調査も容易になります。「どの箱で何が起きたか」が見えるからです。
教育と監査の最小セット
生成AIの教育は、長い資料を配るより「覚えるべきルールを少なくする」方が浸透します。最小セットとしては、次の5点で十分に効果が出ます。
入力禁止(機密・個人情報・認証情報は入れない)
迷ったら入れない、必要なら匿名化してから入れる
共有は最小(リンク共有禁止、閲覧優先)
外部資料は検証箱へ(機密と混ぜない)
困ったら相談窓口へ(情シス・セキュリティ窓口)
監査(点検)は、最初から高度なことをやろうとすると止まります。最初は次の2つだけでも実効性が出ます。
共有ノートブックの共有相手一覧を定期的に確認する
逸脱が見つかったときの是正手順を決める(共有解除、教育、再発防止)
監査は「罰する」ためではなく、「事故の芽を早期に摘む」ためのものです。運用に乗せるためにも、軽量に始めて徐々に整備する方が成功します。
社内向けチェックリスト
導入前、運用中、インシデント時の3つのチェックリストを用意すると、現場が迷いません。以下はそのまま転記できる形の例です。
導入前チェック(情シス・管理者)
目的が明確(要約、ナレッジ化、議事録整理など)
入力禁止情報(機密・個人情報・認証情報)の定義がある
社内限定情報(△)の扱い(匿名化、共有条件、保管期間)が決まっている
共有方針(リンク共有、権限、棚卸し)が決まっている
外部ソースの取り込み基準と検証用ノートブックの運用がある
相談窓口と是正フローがある(違反時の対応を含む)
運用中チェック(利用者)
機密・個人情報・認証情報を入力していない
社内限定情報は必要最小限にして、匿名化できる部分は置換した
共有はメール指定で、権限は閲覧中心
外部資料は検証用ノートブックで扱い、機密と混ぜていない
不要になったノートブックは削除または共有解除した
インシデント疑い時チェック(初動)
共有範囲を確認し、必要なら即時共有解除した
アカウントの不審な挙動(ログイン、端末紛失)を確認した
直近で取り込んだ外部ソースの有無を確認した
影響範囲(何が、誰に、いつ)を暫定で整理した
情シス・セキュリティ窓口へ連絡した
この3点セットがあるだけで、導入・運用・初動が安定し、属人的な判断に頼らずに回せるようになります。
NotebookLMと他の生成AIを安全性で比較する
比較表(NotebookLM/一般的なチャットAI/Enterprise運用)
安全性の比較で大切なのは、「どの製品が絶対に安全か」を探すことではありません。実際には、製品ごとに得意・不得意があり、運用の統制によってリスクが大きく変わります。したがって、比較は「用途と統制」を軸に行うのが現実的です。
以下は、判断のための比較観点を整理した表です(特定サービスの規約は個別確認が必要なため、一般化した観点として示します)。
| 観点 | NotebookLM(ソース前提型) | 一般的なチャットAI(汎用対話型) | Enterprise運用(統制強化) |
|---|---|---|---|
| 強み | ソースに基づく要約・QAで根拠を辿りやすい | 文章生成・相談・ブレストなど汎用性が高い | 管理・監査・統制が強く、組織要件に合わせやすい |
| 主な事故起点 | 共有設定、ソース混入、アカウント侵害 | 誤投入(機密・個人情報)、履歴共有、外部連携 | ルール逸脱(例外運用の拡大)、権限設計ミス |
| 対策の中心 | 共有最小、ソース分離、入力基準 | 入力基準と教育、利用範囲の制限 | ポリシー設計、監査、鍵管理やログ要件 |
| 向くデータ | 公開情報、社内限定(条件付き) | 公開情報中心、社内利用は統制次第 | 社内要件が強いデータ(ただし入力基準は必要) |
この表からわかるのは、「NotebookLMだから安全/危険」という単純な話ではなく、何を入れるか、どこまで共有するか、外部ソースをどう扱うかが本質だということです。NotebookLMはソース前提なので、外部ソースの扱い(検証箱への隔離)を整えると、リスクを大きく減らせます。
用途別の使い分け基準
比較を実務に落とすには、「用途別の使い分け基準」を決めるのが有効です。おすすめは、情報区分と業務目的で線を引くことです。
1. 公開情報の要約・調査
NotebookLM:適しています。ソースが明確で、どこから答えたか辿りやすい
注意点:出典の最新版確認、誤情報混入(ソース品質)に注意
2. 社内限定(非機密)のナレッジ化
NotebookLM:条件付きで適しています
条件:共有最小、匿名化、保管期間、棚卸し、外部資料と分離
使い方の例:社内手順書の要約、FAQ整理、会議の論点整理(個人用)
3. 機密・個人情報を含む業務
原則:NotebookLMに限らず、安易に投入しない
代替案:匿名化・マスキングした上での要約、必要箇所だけ抜き出して扱う、オンプレ・クローズド環境の検討
判断基準:漏洩したときの影響(法的・信用・契約)を優先
4. 外部から拾った資料の解析
原則:検証用ノートブックで隔離
理由:ソース混入リスク(AI固有の脅威)を機密と混ぜないため
運用例:外部資料は検証箱で要点抽出→必要な要素だけを社内箱へ再整理
このように使い分けを決めておけば、現場は「どの箱で使えばよいか」を判断しやすくなり、禁止一辺倒よりも定着しやすくなります。
NotebookLMの情報漏洩を疑ったときの初動
切り分け手順(共有・アカウント・ソース・履歴)
「漏洩したかもしれない」という状況では、まず被害拡大を止め、その後に原因を切り分ける必要があります。ここで重要なのは、AI特有の調査に飛びつく前に、典型原因(共有・アカウント)から潰すことです。初動の順番が逆だと、時間だけが過ぎて影響範囲が広がりやすくなります。
おすすめの切り分け順は次の通りです。
ステップ1:共有の確認と停止
共有相手は誰か(メール指定か、リンク共有か)
権限は閲覧か編集か
想定外の外部ドメインに共有されていないか
→ 疑いがあるなら、まず共有を解除し、影響範囲を止めます。
ステップ2:アカウントと端末の確認
不審なログインや端末紛失の有無
MFAが有効か、最近無効化されていないか
使い回しパスワードの可能性(フィッシング兆候)
→ ここで疑いがあるなら、パスワード変更、セッション無効化、端末の遠隔ロックなどを即実施します。
ステップ3:ソース(資料)の確認
直近で外部から取得した資料を取り込んでいないか
検証用ノートブックと機密ノートブックが混ざっていないか
ソースに不審な指示文がないか(文脈に合わない命令文など)
→ AI固有の脅威の可能性がある場合は、外部資料を隔離し、再発防止へつなげます。
ステップ4:運用の確認(誤投入・二次利用)
誤って機密・個人情報を投入していないか
出力結果をメールやチャットに貼り付けて拡散していないか
共有された相手が二次共有していないか
→ 出力物の二次流通は見落とされがちなので、ここも確認します。
この順番で見れば、原因がどの系統かがはっきりし、対策の方向も決まります。
関係者連絡と再発防止の要点
初動で「何を、誰に、どの粒度で」連絡するかは、組織の規程や契約条件に左右されますが、共通して重要なのは次の観点です。
1. 影響範囲を暫定で確定する
漏洩した可能性がある情報の種類(個人情報、機密、社内限定など)
閲覧された可能性がある相手(社内、外部、特定の取引先など)
発生時刻の見当(いつ共有された/いつ不審ログインがあった等)
暫定でよいので、早めに「範囲」を形にしておくと、その後の説明が一貫します。
2. 連絡ルートを固定する
情シス・セキュリティ窓口への即連絡
法務・広報・個人情報担当(必要なら)
取引先や顧客対応が必要な場合の窓口整理
現場が独自に連絡し始めると情報が錯綜するため、窓口を一本化します。
3. 再発防止は“原因系統”に合わせる
共有設定ミスなら:リンク共有禁止、棚卸し、共有承認
アカウント侵害なら:MFA強制、教育、端末管理
外部ソース混入なら:検証箱運用、ソース基準、分離徹底
原因が混ざっている場合もありますが、「一番起点になったところ」から潰すのが効果的です。
4. ルールは増やし過ぎない
事故後に規則を増やし過ぎると現場が守れなくなり、結果として形骸化します。最小セット(入力禁止・共有最小・外部検証箱)を徹底し、必要に応じて段階的に整える方が運用が長続きします。
NotebookLMの情報漏洩に関するよくある質問
社内資料を入れてよい条件は
社内資料を入れてよいかどうかは、「社内資料」という言葉の幅が広すぎるため、情報区分で判断するのが最も安全です。おすすめの条件は次の通りです。
機密情報(価格戦略、未公開計画、認証情報など)を含まない
個人情報(顧客名、従業員名、連絡先など)を含まない、または匿名化・マスキングしている
共有は必要最小限で、リンク共有は避ける
外部資料と混ぜない(外部資料は検証用ノートブック)
保管期間を決め、不要になったら削除する
この条件であれば、社内限定(非機密)資料の要約やナレッジ化といった価値を取りにいきつつ、事故の芽を抑えられます。逆に言えば、条件を満たせない場合は「入れない」判断が妥当になります。
個人情報はどこまで避けるべきか
原則として、「個人を特定できる情報」は避けるべきです。氏名、住所、電話番号、メールアドレス、顧客ID、社員番号などは、単体でも特定性が高く、複数の情報が組み合わさるとさらにリスクが増えます。加えて、健康情報などの要配慮情報は、漏洩時の影響が大きく、取り扱いに特別な注意が必要です。
どうしても要約・分析が必要な場合は、次の方法でリスクを下げます。
固有名詞を置換する(A社、顧客X、担当者Yなど)
数値を丸める(具体額を帯にするなど)
目的に必要な部分だけを抽出して、個人情報を削除してから投入する
出力結果にも個人情報が混ざっていないか、必ず人が確認する
「匿名化したつもり」が事故につながることもあるため、現場が判断に迷う場合は、個人情報を扱わないルールに倒しておく方が安全です。
外部URLの資料を入れるのは危険か
外部URLの資料が危険かどうかは、出所と目的によって変わります。公式サイト、信頼できる出版社、取引先が提供した資料など、出所が明確なものは相対的にリスクが下がります。一方で、出所不明のブログ、アップローダー、誰が作ったかわからないPDFなどは、内容の正確性だけでなく、AI固有の脅威(文書内の指示の混入)も考慮する必要があります。
安全に運用するための現実的な基準は次の通りです。
外部資料は原則として「検証用ノートブック」にのみ取り込む
検証用ノートブックには、機密・個人情報を一切入れない
検証結果(要点)を社内ナレッジに転記する際は、人が内容を確認し、必要な部分だけを抽出する
取引先提供資料など、業務上必要な外部資料は、出所と共有範囲を記録して扱う
この運用であれば、「外部資料の利便性」と「機密の安全」を両立しやすくなります。
まとめ
NotebookLMの情報漏洩を防ぐ近道は、「AIだから怖い」という感情から一段降りて、どこで事故が起きるのかを構造化することです。
不安は「仕様の誤解」「運用事故」「AI固有の脅威」の3系統に分けて考えると、対策が明確になります。
実際に事故が起きやすいのは、共有設定ミスや権限過多、アカウント侵害、端末紛失といった運用面です。まずは共有最小・MFA・棚卸しを優先してください。
価値を出すなら、社内限定(非機密)を条件付きで扱う設計が現実的です。入力禁止(機密・個人情報)を明確にし、迷いを減らすことが重要です。
外部ソースは検証用ノートブックに隔離し、機密と混ぜない運用にすると、AI固有の脅威にも強くなります。
インシデント疑い時は、共有→アカウント→ソース→誤投入の順に切り分け、影響拡大を止めた上で再発防止を原因系統に合わせて実施してください。
運用を成功させる鍵は、規則を増やし過ぎず「最小セットを確実に守る」ことです。入力基準、共有原則、外部検証箱の3点を固めるだけでも、NotebookLMを安心して使える状態に近づけられます。