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年末調整で迷う12月分が1月支払いの扱い|対象年と源泉徴収票を30秒で判定

12月に働いた分の給与が、翌年1月に支払われる。毎年のことなのに、年末調整の時期になると「今年の年末調整に入れるの?」「源泉徴収票の年収が少なく見えるのはなぜ?」と不安になる——そんな経験はありませんか。
このテーマは、勤務月で考えると必ず迷います。判断のカギは「いつ支払うことが確定しているか」、多くのケースでは支給日(収入が確定する日)です。

本記事では、国税庁の一次情報を土台に、12月分が1月支給の給与が“どの年”に入るのかを最短で判断できるように整理します。さらに、間違えやすい遅配・未払の例外、源泉徴収票・住民税への影響、従業員からの問い合わせを減らす周知テンプレとチェックリストまで、給与計算担当が「今年もこれで締められる」と安心できる形でまとめました。

※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。

目次

年末調整で12月分が1月支払いになると迷うポイント

12月勤務分が翌年1月支給なら、原則その給与は当年の年末調整に含めず翌年分です。
年末調整は支給日など収入の確定日で整理され、年内支給が確定していたのに未払いの遅配等だけ例外があり得ます。
給与規程と支給実績で支給日を確定して判断します。

先に確認したい60秒早見表

次のどれに当てはまるかを確認してください。

  • 給与規程や慣習で、12月分の支給日が翌年1月に決まっている(翌月払い)
    → その12月分は、原則として翌年分(当年の年末調整に入れない)

  • 本来は年内支給(または年内に支払うことが確定)なのに、会社都合などで遅れて翌年になった(遅配)
    → 「未払給与」の考え方が絡み、当年分として扱う余地が出るため、事実関係の確認が必要

  • 年末の都合で前倒しし、12月分を12月中に支給した
    → その支給分は当年分になりやすい

この早見表のとおり、最大の分かれ目は「翌月払いとして支給日が最初から翌年に確定しているか」それとも「年内支給のはずが遅れただけか」です。

勤務月と支給日がズレると、源泉徴収票がズレて見える

末締め翌月払いの会社では、12月に働いた分が1月に振り込まれます。そのため、従業員の感覚としては「今年は1月から12月まで働いたのに、源泉徴収票の年収が少なく見える」と感じることがあります。

しかし源泉徴収票の「支払金額」は基本的に支給ベースで集計されるため、12月勤務分が翌年1月支給なら、その分は翌年側に載っていくのが自然です。見た目のズレは、制度の不具合ではなく“支給日基準で整理している結果”です。


年末調整の対象給与を決める基本ルール

12月分が1月支払いの扱いを確実にするには、「年末調整の対象となる給与は何か」を押さえるのが近道です。ここを曖昧にしたまま「うちは毎年こうだから」で進めると、規程変更や遅配が起きた年に破綻します。

年末調整の対象は支給日など収入が確定した給与

年末調整の対象となる給与は、基本的に「その年の1月1日から12月31日までの間に支払うことが確定した給与」です。会社でありがちな言い方に置き換えると、「その年のうちに“収入として確定する”給与」と考えると理解しやすいでしょう。

この「確定」の軸が、勤務月でも計算月でもなく、多くの場合で支給日に寄ります。給与規程や慣習によって支給日が決まっているなら、その支給日に収入が確定すると整理されます。

未払給与も対象になると言われる理由

「実際に支払っていなくても未払の給与はその年の年末調整対象になる」と聞くと、翌月払いの給与も未払なのでは、と混乱しがちです。しかし、ここで言う未払は、次のようなイメージです。

  • 本来は年内に支払うことが確定している

  • ところが、何らかの事情で年末時点でまだ支払われていない

つまり、年内に支給日が来る(あるいは年内支給が確定している)前提があるのに、支払いだけが遅れている状態を指します。一方で、規程どおり「翌月〇日払い」で、そもそも12月分の支給日が翌年に確定している給与は、未払というより「翌年に確定する給与」です。この違いが最重要です。

用語を揃えると社内の混線が止まる

給与計算の現場では「12月分」「12月給与」「12月計算」「12月支給」が混ざって事故が起きます。本記事では次のように定義します。

用語 意味 ここで重要な点
勤務月 実際に働いた期間(月) 年末調整の対象年を直接は決めない
計算月 勤怠を集計し給与を計算する月 社内の処理都合で、税の帰属とは別
支給日(支払日) 実際に給与を支払う日 年末調整・源泉徴収票の整理の軸になりやすい

社内で「12月分」と言ったら、必ず「勤務月の話か」「支給月の話か」を補足するだけでも、年末の混乱はかなり減ります。


12月分が翌年1月支払いの扱いを判定する手順

ここからは、実際に「入る/入らない」を迷わず決めるための手順です。手順どおりに確認すれば、判断の根拠も一緒に残せます。

手順1 給与規程と支給日の定めを確認する

最初に見るのは給与規程です。次のいずれかを確認してください。

  • 「末締め翌月10日払い」「当月25日払い」など、支給日が明記されている

  • 規程に明記はないが、慣習として毎月同じ日に支給しており、支給日が実質固定されている

  • プロジェクト制・歩合制などで支給日が固定されず、年内に支払うべき給与が残る可能性がある

この段階で「うちは規程どおり翌月払い」と言えるなら、12月勤務分の支給日は最初から翌年に確定しています。

手順2 規程どおりの翌月払いか、例外の遅れかを切り分ける

次に、12月勤務分が1月支給になった理由を確認します。

  • 理由が“規程どおり”:最初から翌年1月支給

  • 理由が“例外”:本来年内支給なのに、資金繰り・システム障害・承認遅延などで翌年にずれた

ここを間違えると、年末調整・源泉徴収票の年が丸ごと逆転してしまいます。

手順3 次の分岐表で対象年を確定する

「うちのケースはどれか」を、分岐表で確定してください。

ケース 12月勤務分の支給日 当年の年末調整に入れるか 源泉徴収票に載る年の考え方 注意点
規程どおり翌月払い 翌年1月 入れない 翌年分に載る 勤務月で合算しない
年内支給が確定していたのに遅配 翌年1月(本来は年内) 当年に入る余地 当年分として整合が必要 事実関係・稟議・規程確認
年末に前倒し支給 年内(12月中) 入れる 当年分に載る 前倒し分の源泉税計算に注意
支給日が固定されず年内支給分が残った 年内に支払うべきが残る 当年に入る余地 当年分の整理が必要 未払の定義を確認

「規程どおり翌月払い」は判断が単純です。事故が起きやすいのは「遅配」や「支給日が固定されない給与」です。ここは“いつ支払うことが確定していたか”を、規程・就業規則・支給決定の社内手続(決裁日)などで裏取りして進めるのが安全です。


源泉徴収票と住民税への影響を一続きで理解する

「年末調整に入るか」だけ分かっても、従業員対応は終わりません。実際には、源泉徴収票や住民税の話に飛び火します。ここを先に説明できると、問い合わせ対応が一気に楽になります。

源泉徴収票の支払金額は支給ベースで見えるのが基本

源泉徴収票の支払金額は、勤務月の合計ではなく、支給された給与を積み上げた結果として見えることが多いものです。したがって、12月勤務分が翌年1月支給なら、その分が当年の源泉徴収票に載らず、翌年側に載る形になっても不自然ではありません。

注意したいのは、勤怠が12月に確定した時点で「今年の年収に足してしまう」ミスです。これをすると、源泉徴収票と給与台帳、銀行振込の一致が崩れ、従業員の確定申告や住民税の処理に支障が出る可能性があります。

住民税は前年所得を基に翌年度で課税される

住民税は、前年の所得情報(会社が提出する給与支払報告書等)を基に、翌年度で課税されます。12月勤務分が翌年1月支給で翌年の源泉徴収票に載るなら、その分の反映も体感より後に見えがちです。

従業員に「住民税が急に上がった/下がった」と言われたとき、原因が「支給ベースで年をまたいだ」ことだと説明できれば、納得してもらえるケースが増えます。

扶養・控除の申告は年末調整の年とセットで考える

扶養控除等申告書や保険料控除、住宅ローン控除の書類は、年末調整で年税額を確定させるために使います。ここで押さえたいのは次の点です。

  • 「12月勤務分が1月支給」でも控除が消えるわけではない

  • ただし、年末調整に入らない給与があると、控除の効き方(精算されるタイミング)が従業員の体感とずれて見えることがある

そのため、控除の書類回収と年末調整の対象年は、必ずセットで整理し、従業員には「いつの源泉徴収票に反映されるか」を合わせて伝えるのが親切です。


年末調整の還付と追加徴収が12月か1月になる理由

実務の現場では「還付が12月に出ると思っていたのに1月だった」「追加徴収が大きくて揉めた」といったトラブルが起きます。12月分が1月支給の会社ほど、精算の見え方がズレやすいので、あらかじめ整理しておくと安心です。

還付は年末調整を行った給与で精算される

年末調整の計算結果で還付が出る場合、会社は年末調整を実施した月の給与(またはその後の給与)で調整します。末締め翌月払いの会社では、年末調整の実施と支給のタイミングがずれ、還付が1月支給分で行われる運用も珍しくありません。

「当社は年末調整の精算が1月給与に反映されます」と社内ルールとして明示しておくと、従業員の不満が減ります。

追加徴収は年調月給与から徴収し、残れば次回以降で順次

追加徴収(不足)が出た場合、年末調整をする月分の給与から徴収し、なお不足が残るときは、その後に支払う給与から順次徴収する扱いが示されています。さらに一定要件では、承認を受けて不足額を翌年1月・2月に繰り延べる制度もあります。

従業員の手取りが急減しそうなときは、制度を検討すべき場面があります。ただし、繰延が認められるのは「年末調整による不足額」であり、通常の月次税額そのものを繰り延べできるわけではありません。この点は誤解されやすいので、制度の説明カードを別枠で置くと親切です。


会社側の実務フローをミスなく回すチェックリスト

ここでは、給与計算担当が「やること」をそのまま運用に落とせる形で整理します。年末調整は年1回の作業なので、チェックリストがあるだけで精度が上がります。

年末調整前にやることチェックリスト

  • 支給日ルールの確認

    • 給与規程に支給日が明記されているか

    • 慣習として固定の支給日になっているか

  • 12月勤務分の支給が翌年になる理由の確認

    • 規程どおり翌月払いか

    • 例外(遅配・変更)か

  • 「勤務月」「計算月」「支給日」の用語を社内で統一

  • 従業員から回収する書類の締切を明示

    • 扶養控除等申告書、保険料控除証明書、住宅ローン控除関連

  • 中途入社者の前職分源泉徴収票の回収状況を確認

  • 追加徴収が大きくなりそうな人を早めに把握

    • 副業・年中の扶養変更・控除漏れなど

年末調整計算時に起きがちなミスと対策

  • ミス1:12月勤務分(翌年1月支給)を当年の年収に合算する

    • 対策:源泉徴収簿や給与台帳の集計軸を「支給月」で統一し、計算月で集計しない

  • ミス2:遅配を“翌月払い”と勘違いし、対象年を誤る

    • 対策:支給日が本来いつだったかを稟議・通知で確認し、例外処理のログを残す

  • ミス3:従業員説明が不足し、源泉徴収票の金額にクレームが出る

    • 対策:次章の周知テンプレを全社配布して先回りする

年末調整後にやることチェックリスト

  • 源泉徴収票の支払金額と給与台帳・振込実績の突合

  • 住民税(給与支払報告)の提出スケジュールを確認

  • 追加徴収・還付の反映月を従業員へ通知

  • 翌年に繰り越す例外(不足額繰延など)がある場合、対象者と手続をリスト化


従業員対応が楽になる周知テンプレと確認質問テンプレ

年末調整シーズンは、問い合わせ対応が業務を圧迫します。テンプレで“先に言う”だけで、工数が目に見えて減ります。

従業員向け周知テンプレ

当社の給与は「末締め翌月○日払い」です。12月に勤務した分の給与は翌年1月に支給されるため、源泉徴収票の支払金額には翌年分として記載されます。誤りではありません。
年末調整の還付・追加徴収は、当社の運用上、○月(例:1月支給分)に反映されます。ご不明点があれば総務までお問い合わせください。

(補足)会社の支給日(○日)と精算月(○月)を具体的に入れるほど、問い合わせは減ります。

社内確認質問テンプレ(給与計算担当→上長/就業規則管理者)

  • 12月勤務分の支給日は給与規程で「翌月○日」と定められていますか

  • 今年だけ支給日がずれた従業員はいますか(遅配・前倒し)

  • ずれがある場合、本来の支給予定日はいつで、なぜずれましたか

  • 年末調整の精算(還付・追加徴収)は何月支給分に反映する運用ですか

  • 退職者(12月退職など)の最終支給日はいつですか

この質問に答えられれば、対象年の判断に必要な材料がほぼ揃います。


退職者・賞与・規程変更など境界ケースの考え方

実務が難しくなるのは、典型ケースではなく境界ケースです。ここを押さえると、年末調整の品質が一段上がります。

12月に退職した人の12月勤務分が1月支給になる場合

退職者は「年末調整を会社で完結できるか」「本人が確定申告で調整するか」が絡みます。12月勤務分が翌年1月支給で、その支給日が翌年に確定しているなら、その給与は翌年分として扱われる整理になりやすく、当年の源泉徴収票には載らない形になります。

従業員から見れば「退職したのに翌年分の給与?」と不安になります。ここは「支給日基準で整理されるため」と説明し、必要に応じて確定申告の案内(一般的な案内)につなげるとトラブルが減ります。

12月賞与がある会社で、賞与が翌年支給の場合

賞与も、支給日が年内か翌年かで見え方が変わります。12月に支給されるなら当年側、翌年に支給されるなら翌年側に寄ります。賞与は金額が大きい分、源泉徴収票の見た目の差も大きくなるので、周知テンプレで先に触れておくと安心です。

給与規程を年末に変更した場合

年末に支給日を変更すると、年末調整の対象年の切替が絡みます。例えば「翌月払い→当月払い」に変える場合、支給の回数や対象年の集計が変則になりがちです。

この場合は、変更日(施行日)、対象となる給与期間、実際の支給日を整理し、源泉徴収簿・給与台帳・源泉徴収票が整合するように“年のまたぎ”を設計しておく必要があります。変更が大きい場合は、税理士・社労士など専門家へ確認する判断も現実的です。

「未払給与」として扱うべきか迷ったときの判断軸

迷ったときは、次の順で確認します。

  1. 年内に支払うことが確定していたか(規程・通知・決裁)

  2. 年末時点で実際に未払いか

  3. 未払いの原因は何か(遅配・支払不能・手続遅延など)

  4. 源泉徴収票・年末調整・源泉徴収の整合が保てるか

「規程どおり翌月払い」は、そもそも年内支給が確定していないため、未払の議論に入りにくい、というのが重要なポイントです。


よくある質問

12月分が1月支給でも、年末調整の書類は12月に出すのですか

多くの会社では、年末調整の書類回収と計算は年末に行います。12月勤務分が翌年1月支給で年末調整の対象外になるとしても、控除書類の回収や扶養の申告が不要になるわけではありません。翌年の精算(1月支給分に反映など)に備えて、会社の締切どおり提出するのが一般的です。

源泉徴収票の年収が少なく見えるのは間違いですか

翌月払いの会社では、12月勤務分が翌年1月に支給されるため、その分が当年の源泉徴収票に入らず、少なく見えることがあります。支給日ベースで整理した結果であれば、誤りとは限りません。会社の支給日ルールに照らして確認してください。

12月に働いた分を当年に入れないと、損をしませんか

多くの場合、「損得」ではなく「どの年の所得として整理されるか」の話です。翌年分に回るなら、翌年の源泉徴収票に反映され、住民税も前年所得として翌年度で課税される仕組みに沿って動きます。必要な控除や精算は、対象年の年末調整や確定申告の中で反映されます。

還付が1月になりました。おかしいですか

年末調整の精算は、会社の運用上、12月支給分か1月支給分に反映されます。翌月払いで12月勤務分が1月支給の会社では、精算が1月に寄るのは珍しくありません。追加徴収や還付の反映月を、事前周知しておくとトラブルを避けられます。

追加徴収が大きくて手取りが急減しそうです。対応できますか

年末調整による不足額は、年末調整をする月の給与から徴収し、残れば次回以降で順次徴収する扱いが示されています。一定の要件を満たす場合、承認を受けて翌年1〜2月に繰り延べる制度もあります。該当するかどうかは会社側で要件確認が必要です。


参考情報