年賀状をやめたい気持ちはあるのに、「失礼にならないだろうか」「縁を切るように受け取られないだろうか」と迷って、結局いつも通り準備を続けてしまう――そんな悩みを抱える70代の方は少なくありません。年賀状じまいは、関係を終わらせるためではなく、年末年始の負担を減らしながら、これまでのご縁を大切にするための“区切りの挨拶”です。
本記事では、70代の方が使いやすい年賀状じまいの文例を「短文・標準・丁寧」の3段階で整理し、友人・親戚・目上や仕事関係など相手別に“角が立たない書き分け”もわかりやすくまとめました。さらに、相手から年賀状が届いた後の返し方や、寒中見舞いで伝える場合の文例、避けたいNG表現まで解説します。本文のテンプレートを選んで一部を差し替えるだけで、失礼なく、温かく、年賀状じまいを進められるようになります。
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年賀状じまいを70代で伝えるときに外せない考え方
年賀状じまいを考え始めたとき、多くの方が最初に感じるのは「失礼にならないだろうか」「関係が途切れてしまわないだろうか」という不安です。特に70代は、年賀状のやり取りが何十年にも及ぶ相手が少なくありません。だからこそ、たった一枚の文面が、相手の受け取り方を左右してしまうのではないかと心配になりやすいものです。
ただ、年賀状じまいは“ご縁を切る宣言”ではありません。年齢を重ね、生活のペースが変わり、年末年始の準備が負担になってきたことを、丁寧にお知らせする連絡です。文章の組み立て方と、言葉の温度を少し整えるだけで、相手に「そういう事情なら仕方ない」「これからも元気でいてほしい」と自然に受け止めてもらいやすくなります。
年賀状じまいで大切なのは、相手を説得することではなく、「これまでの感謝」と「今後も大切に思っている気持ち」を残すことです。
角が立たない基本の型は感謝から始める
年賀状じまいで最も避けたいのは、相手が「突然、突き放された」と感じてしまうことです。これを防ぐ一番の方法は、文章の最初に必ず“感謝”を置くことです。年賀状はもともと、礼を尽くす文化の象徴ですから、まずは礼を立ててから本題に入ると、文面全体が柔らかく見えます。
おすすめの基本の型は、次の流れです。
新年の挨拶(または寒中見舞いの挨拶)
これまでのやり取りへの感謝
年賀状じまいの意思(本年限り/来年から控える等)
理由(短く、重くしない)
今後の連絡手段や、変わらぬ気持ち
相手の健康や幸せを祈る結び
この順番にすると、「やめます」という情報が単独で前に出ず、感謝と気遣いの中に自然に収まります。反対に、最初から「年賀状はやめます」と書くと、どうしても事務的に見えたり、冷たく感じられたりしがちです。
また、同じ内容でも、語尾の選び方で印象は大きく変わります。たとえば「やめます」より「控えさせていただきます」「失礼いたします」のほうが柔らかく、相手への配慮が伝わりやすくなります。文章は短くても構いませんが、順序と語尾だけは丁寧に整えると安心です。
理由は短く軽く書くほど上品に伝わる
年賀状じまいで悩みやすいのが「理由をどこまで書くか」です。体力や視力の衰え、持病、介護、生活の整理など、背景は人によって違います。ただ、理由は詳しく書くほど丁寧というわけではありません。むしろ、詳細に書きすぎると、相手が必要以上に心配してしまったり、返事に困ってしまったりすることがあります。
年賀状じまいの目的は「年賀状のやり取りを区切ること」を丁寧に伝えることです。事情説明をしっかりすることではありません。したがって、理由は一文で十分です。目安としては、次のような“軽い表現”が使いやすいでしょう。
年齢を重ね、年賀状の準備が負担になってまいりました
体力の都合で、年末の準備が難しくなってきました
生活の整理のため、本年を区切りとさせていただきます
近年は年賀状の作成が難しくなりましたため、失礼いたします
ここで大切なのは、「相手に理解されるための理由」であって、「相手を納得させるための理由」ではない、ということです。説明が多いと、相手は「大丈夫?」「何があったの?」と心配し、返事を書く負担が増えてしまいます。軽い理由を添えるほうが、相手も「そうなんですね。無理をなさらず」と受け止めやすくなります。
さらに、70代の場合は「節目」を理由にするのも自然です。古希、喜寿、傘寿などは、人生の節目として知られています。「節目を機に」という言い方は、重くなりすぎず、礼も保ちやすい表現です。
今後の連絡手段を添えると関係が続く
年賀状じまいで相手が一番気にするのは、「これで縁が切れてしまうのか」という点です。ここをやさしく解消するのが、“今後の連絡手段”や“つながりの意思”を添える一文です。これがあるだけで、年賀状じまいが「整理のための区切り」であり、「関係を終える意思」ではないと伝わります。
たとえば、次のような言葉は自然で使いやすいです。
今後はお電話やメールにて近況を伺えましたら幸いです
これからも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください
また折にふれて近況をお知らせいただければうれしく存じます
特に親しい友人には、「また電話で話そうね」「LINEで知らせてね」のように、少しくだけた言い方でも温かさが出ます。一方、目上や仕事関係には、連絡手段の提示よりも「変わらぬご厚誼を」「ご健勝を祈念」といった礼の言葉を厚めにするほうが無難です。相手との距離感に合わせて、同じ骨格のまま一文だけを差し替えると、書き分けが簡単になります。
年賀状じまいの文例70代向け短文と標準文
ここでは、実際にそのまま使える文例を「短文」「標準」「丁寧」の3段階で整理します。年賀状のスペース、相手との関係性、手書きで添えるかどうかによって、ちょうど良い文量は変わります。迷ったら、まずは標準文例をベースにし、相手に合わせて一文だけ入れ替えるのがおすすめです。
そのまま使える短い一言文例
短文は、年賀状のデザイン面に余白が少ないときや、手書きで一言添えたいときに向いています。短いからこそ、語尾の丁寧さが重要になります。
誠に勝手ながら、本年をもちまして年賀状でのご挨拶を失礼いたします。
年齢を重ね年賀状の準備が負担となりましたため、来年より控えさせていただきます。
長年のご厚情に心より感謝申し上げます。本年限りで年賀状でのご挨拶を失礼いたします。
これまでありがとうございました。今後はお電話などで近況を伺えましたら幸いです。
皆様のご健康をお祈り申し上げます。年賀状でのご挨拶は本年までとさせていただきます。
短文のコツは、「やめる」ではなく「控える」「失礼する」と書くこと、そして最後に相手の健康を祈る言葉を添えることです。これだけで、文章が事務的になりにくくなります。
ほどよく丁寧な標準文例
標準文例は、親戚や、毎年きちんとやり取りしている相手に使いやすい文量です。感謝・理由・今後の気持ちが、過不足なく入ります。
新年おめでとうございます。旧年中は温かいお心遣いを賜り、心より御礼申し上げます。
さて、年齢を重ね年賀状の準備が負担となってまいりましたため、誠に勝手ながら本年をもちまして年賀状でのご挨拶を控えさせていただきたく存じます。
今後はお電話やメールにて近況を伺えましたら幸いです。皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。平素より格別のご厚情を賜り、深く感謝申し上げます。
私事ですが、年賀状の準備が難しくなってまいりましたため、本年限りで年賀状でのご挨拶を失礼いたします。
これからも変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げます。
標準文例のポイントは、理由を「負担」「難しい」といった柔らかい言葉に留めることです。読み手が納得しやすく、心配もされすぎません。
しっかり敬語の丁寧文例
目上の方、恩師、仕事関係など、礼を厚くしたい相手には丁寧文例が向きます。こうした相手には、理由を細かく書かず「諸事情」などでぼかし、感謝と祈念の言葉をしっかり添えると安心です。
謹賀新年。旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
誠に勝手ながら、諸事情により本年をもちまして年賀状でのご挨拶を失礼させていただきたく存じます。
これまでのご厚誼に深く感謝申し上げますとともに、皆様のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。新年おめでとうございます。平素はひとかたならぬご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
私事ではございますが、今後の年始のご挨拶は控えさせていただきたく、本年をもって年賀状でのご挨拶を失礼いたします。
末筆ながら、皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
丁寧文例は、文章が硬くなりやすい分、最後の結びを「祈り申し上げます」などで整えると、上品にまとまります。
年賀状じまい文例を70代が相手別に書き分けるコツ
年賀状じまいの文面は、全員に同じ文章を送っても構いません。ただし、相手によって距離感が違う場合は、語尾や一文だけを差し替えるほうが、誤解が生まれにくくなります。ここでは「骨格は同じ、差し替えるのは一文だけ」という考え方で、書き分けのコツを整理します。
友人向けは柔らかく近況の余白を残す
友人関係では、礼儀正しすぎる文面よりも、温かさが伝わる言い方が好まれます。「年賀状は終えるけれど、あなたとのつながりは続けたい」という気持ちが出ると、相手も寂しさを感じにくくなります。
友人向けのコツは次の3つです。
感謝はシンプルに「いつもありがとう」で十分
理由は「少し大変になってきた」程度で軽く
代わりのつながり(電話、LINE、会う予定)を具体的に
文例例:
いつも年賀状をありがとう。年齢を重ねて準備が少し大変になってきたので、今年で年賀状は一区切りにします。
また電話やLINEで近況を聞かせてね。これからもよろしく。毎年のお便り、楽しみにしていました。勝手ながら、年賀状でのご挨拶は今年までにします。
これからはまた会ったときにゆっくり話せたらうれしいです。どうぞ元気で。
友人向けは「一区切り」「これからもよろしく」といった柔らかい言葉が馴染みます。文章が短くても、相手の心に残る温度感が大切です。
親戚向けは感謝と今後のつながりを強める
親戚は、年に一度の年賀状が“近況確認”の役割を担っていることがあります。だからこそ、年賀状じまいを伝える際には「今後も変わらぬお付き合いを」という一文を厚めにすると安心です。
親戚向けのポイントは次の3つです。
感謝は少し丁寧に(世話になった、心遣いに感謝)
理由は「年齢を重ね」など一般化して角を立てない
今後の関係は「変わらぬお付き合い」で締める
文例例:
旧年中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。
年齢を重ね年賀状の準備が難しくなってまいりましたため、本年をもちまして年賀状でのご挨拶を控えさせていただきたく存じます。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。いつも温かいお心遣いをいただき、ありがとうございます。
誠に勝手ながら、今後は年賀状でのご挨拶を失礼いたします。
皆様のご健康をお祈り申し上げます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
親戚は「今後もよろしく」を入れるだけで、印象が大きく良くなります。
目上や仕事関係向けは理由をぼかして礼を厚く
目上や仕事関係の相手は、文面が失礼に見えることを最も避けたい相手です。理由を詳しく書くより、礼と感謝を厚くし、年賀状じまいの意思を静かに伝えるのが安全です。
ポイントは次の3つです。
理由は「諸事情」「私事により」などで十分
「失礼いたします」「控えさせていただきます」など謙譲を選ぶ
結びに「ご健勝」「ご発展」を入れる
文例例:
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
誠に勝手ながら、諸事情により本年をもちまして年賀状でのご挨拶を失礼いたします。
末筆ながら、皆様のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。旧年中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。
今後は年賀状でのご挨拶を控えさせていただきたく、本年限りで失礼いたします。
皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
仕事関係は「今後の連絡手段」を無理に書くよりも、礼を整えるほうが落ち着きます。
久しぶりの相手向けは負担感を出しすぎない
しばらくやり取りが途絶えていた相手に対して、急に「体力が…」「病気で…」と重い理由を書くと、相手が驚いたり、返信に困ったりします。久しぶりの相手には、短く、丁寧に、そして重くしないのがコツです。
ポイントは次の3つです。
感謝は一文で十分
理由は書かない、または「諸事情」に留める
結びは「どうぞお元気で」で整える
文例例:
長年にわたり年始のご挨拶を賜り、心より御礼申し上げます。
誠に勝手ながら、本年をもちまして年賀状でのご挨拶を失礼いたします。
どうぞお元気でお過ごしください。ご無沙汰しております。これまで年始のご挨拶をいただき、ありがとうございました。
勝手ながら、今後は年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます。
皆様のご健康をお祈り申し上げます。
久しぶりの相手ほど、文面は簡潔で良い、という意識で整えると失敗が少なくなります。
年賀状じまいを70代が寒中見舞いで伝える判断と文例
年賀状じまいは年賀状で伝える方法が一般的ですが、状況によっては寒中見舞いのほうが自然に収まることがあります。たとえば「年賀状で“やめる”と書くのが気が引ける」「年明けに相手から年賀状が届いてしまい、返事が遅れそう」という場面です。
寒中見舞いは、年賀の挨拶とは別に、寒さを気遣う季節の便りです。年賀状の時期を過ぎてから送っても不自然にならず、年賀状じまいの連絡も落ち着いて伝えられます。
松の内を過ぎた返礼は寒中見舞いが安心
年賀状の返礼が遅れそうなとき、「今さら年賀状で返すのは変だろうか」と迷う方は多いものです。一般的には、松の内を過ぎた返礼は寒中見舞いに切り替えると無難です。松の内は地域差がありますが、目安として1月7日頃までと考えると判断しやすいでしょう。
松の内までに返せる場合:年賀状で返しても違和感は少ない
松の内を過ぎる場合:寒中見舞いとして返すほうが自然
この考え方を知っておくだけで、「間に合わないかもしれない」という焦りが減ります。特に70代は、体調や予定によって動きが変わりやすいこともありますので、無理に年賀状にこだわらず、寒中見舞いで丁寧に返す選択肢を持っておくと安心です。
寒中見舞いで年賀状じまいを伝える文例
寒中見舞いで年賀状じまいを伝える場合、年賀の言葉(「あけましておめでとう」など)は使わず、寒さを気遣う挨拶から入ります。続けて、年始状へのお礼、そして年賀状じまいの連絡を入れると自然です。
文例例:
寒中お見舞い申し上げます。
先日はご丁寧な年始状をいただき、誠にありがとうございました。
年齢を重ね年賀状の準備が難しくなってまいりましたため、誠に勝手ながら今後は年賀状でのご挨拶を控えさせていただきたく存じます。
これまでのご厚情に心より感謝申し上げます。厳寒の折、どうぞご自愛ください。寒中お見舞い申し上げます。
年始のご挨拶状をありがとうございました。
勝手ながら、今後は年賀状でのご挨拶を失礼いたします。
皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
寒中見舞いは、年賀状よりも落ち着いた印象になりやすい分、年賀状じまいの連絡が“やわらかく”伝わります。年賀状じまいに迷いがある方は、寒中見舞いでの案内も選択肢に入れておくと良いでしょう。
届いた年賀状への返し方フロー
相手から年賀状が届いたあと、どう返すかで迷う場面はよくあります。ここでは判断の流れを整理します。
返事を出す日が松の内までかどうかを確認する
松の内までなら、年賀状で返礼する
松の内を過ぎるなら、寒中見舞いで返礼する
返礼の中で、年賀状じまいを伝える(次回以降のやり取りを整理する)
さらに、相手との関係性で微調整します。
とても親しい相手:短い一文でも返すと角が立ちにくい
形式的な付き合いの相手:寒中見舞いで丁寧に区切ると落ち着く
相手の年賀状に「返信不要」が明記されている場合:無理に返さず、次に会う機会などで一言お礼を伝える方法もある
返すか返さないかで悩むときは、「自分が相手の立場ならどう感じるか」を基準にすると答えが出やすいです。たとえば、毎年欠かさずやり取りしていた相手なら、一言でも返礼があるほうが丁寧に受け取られます。一方で、相手が“案内として送っている”場合は、返礼がなくても気にしない方もいます。相手の性格や関係性に合わせて、無理のない範囲で整えるのが一番です。
年賀状じまいの文例で70代が気をつけたいNGと改善例
年賀状じまいは、正しい言葉遣いをしていても、表現の強さや理由の重さによって、相手が寂しさや冷たさを感じてしまうことがあります。ここでは、よくあるNG例と、簡単に印象を良くする改善例を紹介します。ほんの数語の違いで、受け取られ方は驚くほど変わります。
返信不要を強く言い切らない
便利だからと「返信不要」と書きたくなる方は多いものです。実際、相手に負担をかけない配慮でもあります。ただし言い切りが強いと、命令のように響いてしまうことがあります。
NG例
返信はいりません。今後は送らないでください。
以後、年賀状は不要です。
改善例
どうぞお気遣いなさいませんようお願いいたします。
ご返信には及びませんので、皆様どうぞお健やかにお過ごしください。
以後はご挨拶状のお心遣いには及びません。お気持ちだけありがたく頂戴いたします。
ポイントは、「禁止」ではなく「気遣い不要」を伝えることです。相手に選択肢を残す言い方にすると、角が立ちにくくなります。
病気や終活を重く書きすぎない
正直に事情を書きたくなることもありますが、年賀状じまいは“事情の報告”ではなく“年始の形式を変えるお知らせ”です。重い言葉は、相手に心配と負担を与えやすくなります。
NG例
体調が悪く先が長くないので、今年で最後にします。
終活のため、すべて整理します。
改善例
年齢を重ね、準備が難しくなってまいりましたため…
生活の整理のため、本年を区切りとさせていただきます。
近年は年賀状の準備が負担となりましたため…
理由を軽く整えると、相手は「そうなんですね。無理をなさらず」と自然に受け止めやすくなります。相手の心に余計な影を落とさないためにも、“説明しすぎない丁寧さ”を意識すると良いでしょう。
相手の年賀を止めさせる言い方を避ける
年賀状じまいを伝えるとき、「相手にもやめてほしい」という気持ちが出てしまうことがあります。しかし、相手には相手の生活や習慣があります。そこに踏み込む言い方は、関係が近いほど誤解を招きやすくなります。
NG例
あなたも年賀状はやめたほうがいいですよ。
これからは送らないでください。
改善例
本年をもちまして、年賀状でのご挨拶は失礼いたします。
今後はお電話などで近況を伺えましたら幸いです。
どうぞお気遣いなさいませんようお願いいたします。
年賀状じまいは「自分の都合として静かに伝える」のが基本です。相手の行動を変えさせようとしないほうが、円満に収まりやすくなります。
年賀状じまい文例70代のよくある質問
年賀状じまいは一度送って終わりではなく、その後の反応や状況によって、対応を考える場面が出てきます。ここでは70代の方が悩みやすい質問を取り上げ、無理のない考え方をまとめます。
喪中と重なったときはどうする
喪中の場合は年賀状を控えるのが一般的です。そのため、年賀状じまいの連絡を「喪中はがき」で一緒に伝えるか、「寒中見舞い」で伝えるかで迷うことがあります。
基本的には、次の考え方がわかりやすいです。
喪中はがき:年賀欠礼の連絡が中心
寒中見舞い:年始の挨拶の代わりや、時期が遅れた挨拶に使える
喪中はがきに年賀状じまいの内容を入れる場合は、文章が長くなりすぎないよう注意します。喪中の連絡自体が主役になるため、年賀状じまいの理由は軽く、「今後は年賀状でのご挨拶を控える」程度に留めると落ち着きます。
一方、喪中はがきでは喪中の連絡だけにしておき、寒中見舞いで改めて年賀状じまいを伝える方法も自然です。寒中見舞いなら、相手の年始状へのお礼と一緒に、落ち着いた文面で区切りを伝えられます。
相手から返事が来たら何を返す
年賀状じまいを伝えたあと、相手から「寂しくなりますね」「今までありがとう」など、丁寧な返事が届くことがあります。その場合、こちらがさらに返すべきか迷う方も多いでしょう。
ここは“正解が一つ”ではありません。関係性と自分の負担で決めて大丈夫です。
親しい相手:短いお礼だけ返すと丁寧
目上の相手:お礼の一筆があると安心
形式的な相手:無理に返さず、次に会う機会に一言でもよい
返す場合は、長い文章にする必要はありません。たとえば次のような一文で十分です。
ご丁寧なお便りをありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
温かいお言葉を頂戴し、心より御礼申し上げます。どうぞお元気でお過ごしください。
お心遣いをありがとうございました。これからも変わらぬお付き合いをお願いいたします。
ここでも重要なのは、「年賀状をやめる」ことと「関係をやめる」ことを切り分ける姿勢です。お礼の一言があると、相手の気持ちが穏やかに落ち着きます。
LINEやメールに切り替える一言は何が良い
年賀状じまいのあとも、つながりを保ちたい場合、LINEやメールへの切り替えを提案するのはとても有効です。ただし、相手がその手段を使っているかどうかで、言い方は変わります。無理に誘導せず、「もしよろしければ」の姿勢を残すのがコツです。
使いやすい一言は次の通りです。
今後はLINEで近況を伺えましたらうれしいです。
これからはお電話やメールでご挨拶できれば幸いです。
変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。
また折にふれて近況をお知らせいただければありがたく存じます。
相手がスマートフォンに慣れていない可能性がある場合は、連絡手段を限定せず「お電話などで」と広く書くと安心です。親しい相手で、普段からLINEを使っているなら、具体的に「LINEで」と書いても自然です。
送る前の最終チェックリスト
年賀状じまいの文面は、最後のひと手間で安心感が増します。投函する前に、次の点をチェックしておくと失敗が少なくなります。
感謝の一文が冒頭に入っている
年賀状じまいの意思がはっきりしている(本年限り/来年より控える等)
理由が長すぎず、一文で収まっている
相手が心配しすぎる表現(病名や深刻な言い回し)になっていない
今後のつながり(連絡手段・変わらぬ気持ち)が自然に添えられている
「返信不要」を入れる場合、柔らかい言い方になっている
目上や仕事関係には理由をぼかし、礼の言葉が厚くなっている
結びに相手の健康や多幸を祈る言葉がある
まとめ
年賀状じまいを70代で進めるときは、文章の上手さよりも「相手への気遣いが伝わる形」になっているかが大切です。基本の型は、感謝から始めて、理由は軽く、今後のつながりを一文添え、最後に相手の健康を祈って結ぶこと。この流れに沿えば、短い文面でも十分に丁寧に伝わります。
また、年賀状で伝えるのが気が引ける場合や、返礼が遅れそうな場合は、寒中見舞いで落ち着いて伝える方法もあります。無理に急がず、相手との関係性とご自身の負担のバランスを取りながら、いちばん穏やかな形を選ぶのがよいでしょう。
年賀状じまいは、これまでのご縁を大切にしてきたからこそ生まれる悩みでもあります。丁寧な一文を添えて区切りを伝えれば、相手にもきっと温かく受け止めてもらえます。今後も、年賀状とは別の形で、心地よい距離でのつながりが続いていきますように。