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亡くなる数時間前に起こる変化とは?呼吸の音・意識低下の意味と家族ができる対応

呼吸が不規則になり、喉の奥がゴロゴロ鳴る。呼びかけても反応が薄く、手足が冷たく感じる――。
「もうすぐなのかもしれない」「苦しませているのでは」と、頭が真っ白になりそうになる瞬間は、看取りの場面で決して珍しくありません。

けれど、亡くなる数時間前に見られやすい変化には“起こりやすい流れ”があり、家族ができることも確かにあります。大切なのは、見た目の変化に飲み込まれず、本人の苦痛のサインを見極め、負担の少ないケアで整え、迷ったら早めに医療者へ相談することです。

この記事では、終末期に起こりやすい呼吸の変化(死前喘鳴・不規則呼吸・下顎呼吸)や意識低下、冷感などを、**「観察→意味→苦痛の目安→家族の対応→連絡判断」**の順に整理します。さらに、在宅で亡くなられた後の流れまで一気通貫でまとめています。
いま目の前の状況に対して、「次に何をすればよいか」が分かり、落ち着いて寄り添えるようになることを目指します。

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目次

亡くなる数時間前のサインは人によって違う

典型例はあるが順番も速さも個人差がある

亡くなる前の変化には、よく知られたパターンがあります。しかし、その順番や速さは人によって大きく異なります。呼吸の変化が先に目立つ方もいれば、静かに眠る時間が増えていく方もいます。
大切なのは「この症状が出たら何時間」と単純に当てはめることではなく、次の2点を押さえることです。

  • 本人が苦痛の強い状態になっていないか

  • 連絡や対応が必要な変化か

この2点が押さえられると、家族の焦りはかなり軽くなります。

観察は増やすよりも迷いを減らすために行う

終末期の観察は、細かい数値を完璧に記録するためではなく、「迷いを減らす」ために行います。見ておきたいポイントは次の5つです。

  • 呼吸:速さ、止まり方、努力している様子、音

  • 表情:眉間のしわ、苦悶、落ち着かなさ

  • 反応:声かけに目を開けるか、手を握り返すか

  • 体:冷え、汗、皮膚色、体のこわばり

  • 安全:転落、徘徊、点滴やチューブの自己抜去の危険

「苦しそう」「いつもと違う」が強いときは、観察を続けて悩むより、連絡して状況を共有する方が安全です。


亡くなる数時間前に起こりやすい変化一覧

変化を一枚で理解するための一覧表

まずは、代表的な変化を「観察→意味→苦痛サイン→家族の対応→連絡目安」でまとめます。見返しやすいよう、必要に応じてスクリーンショットや印刷をおすすめします。

変化(観察) 起こりやすい理由 苦痛が強いサインの目安 家族ができる対応 連絡の目安
呼吸が不規則、止まる時間がある 呼吸調整が不安定になる 眉間のしわ、肩で息をする、うめき、強い不安 体位調整、静かな声かけ、室内環境を整える 不安が強い・急に悪化→在宅医/訪問看護
喉がゴロゴロ鳴る(死前喘鳴) 分泌物を飲み込みにくく音になる 苦悶表情、呼吸が明らかに苦しそう、落ち着かない 体位調整、口腔ケア、乾燥を防ぐ。吸引は自己判断で行わない 音が急に強い、表情が苦しい→相談
顎が上下する(下顎呼吸) 呼吸が弱まり顎の動きが目立つ 苦悶・強い努力呼吸・急速な悪化 楽な姿勢、刺激を減らす、家族が集まれるよう連絡準備 在宅医/訪問看護へ共有、必要時指示を受ける
反応が薄い、眠りが深い 体力低下、意識レベル低下 体を硬くする、痛みで顔が歪む 声かけ、手を握る、安心できる環境 いつもと違う痛みの様子→相談
手足が冷たい、皮膚色が変わる 循環が弱くなる 急激な悪化、強い息苦しさ 軽い保温、汗のケア、楽な姿勢 急な変化が強い→連絡
落ち着かない、せん妄のよう 不安・薬・環境変化など複合要因 危険行動、強い興奮 刺激を減らし、短い声かけ。安全確保 危険がある→早めに相談

この表の目的は「当てはめ」ではなく、「いま何をすればよいか」を見つけることです。次章から、呼吸の変化を中心に具体策を詳しく見ていきます。


亡くなる数時間前の呼吸の変化と聞こえる音

チェーンストークス呼吸の見え方と家族が驚きやすい理由

呼吸がだんだん深くなって、その後浅くなり、しばらく止まったように見える。こうした周期的な呼吸は、終末期に見られることがあります。家族が最も驚くのは「息が止まった」と感じる瞬間です。
しかし、終末期には呼吸の調整が不安定になり、こうした波が起こることがあります。大切なのは、無呼吸のように見える時間があっても、すぐに体を揺さぶったり、無理に起こしたりしないことです。刺激が強いと、本人が落ち着かなくなる場合があります。

次の点を静かに確認してください。

  • 顔が歪んでいる、眉間が深く寄っているなど、苦悶の表情があるか

  • 肩や首に力が入り、必死に吸おうとしている様子があるか

  • 手足をばたつかせるなど、強い不安のサインがあるか

これらが強い場合は、体位調整を行い、在宅医・訪問看護へ相談します。

死前喘鳴のゴロゴロ音は痰づまりと同じではない

喉の奥がゴロゴロ鳴ると、「痰が詰まって苦しいのでは」と感じるのは自然です。けれど終末期のゴロゴロ音は、意識が低下して分泌物を飲み込む力が弱まり、喉にたまった分泌物が音として聞こえることで起こることがあります。
そのため、吸引をしても思ったほど改善しない場合があり、刺激で呼吸が乱れることもあります。ここで重要なのは、「吸引するかどうか」を家族が抱え込まないことです。本人の状態や方針を踏まえ、医療者と相談して決めるのが安全です。

家族がまず優先してよい対応は次の3つです。

  • 体位を変えて、分泌物が偏りにくい姿勢にする

  • 口の中の乾燥を減らす(口腔ケア)

  • 室内の刺激を減らし、本人が落ち着く環境にする

下顎呼吸が出たときの意味と家族への伝え方

顎が上下しているように見える呼吸は、亡くなる直前に見られることがあり、家族の恐怖心が強くなりやすいサインです。
ただ、見た目の衝撃が大きい一方で、意識低下が進んでいる場合は、家族が想像するほどの苦痛が本人にあるとは限りません。ここでも「苦痛のサイン」が鍵になります。

苦痛が強い可能性があるサイン

  • 顔が歪む、眉間が深く寄る

  • うめき声が続く、体が硬い

  • 落ち着かず、手足を強く動かす

  • 呼吸が明らかに努力的(肩で息をする)

これらが目立つときは、すぐに在宅医・訪問看護へ相談してください。
また、家族が離れている場合は、下顎呼吸が「そばに来てもらう目安」になることがあります。誰に連絡するか、どの順番で連絡するかを事前に決めておくと、夜間でも判断が楽になります。

家族ができる呼吸ケアの手順 体位 口腔ケア 環境

ここからは「やってよいこと」を、具体的な手順に落とします。ポイントは、大きく変えない、刺激を増やさない、できる範囲で整えるです。

体位調整の手順 一人でもできる形

  1. まず深呼吸し、照明を少し落として落ち着く

  2. 仰向けで音が強い場合、クッションや丸めたタオルを使い、横向きに近い姿勢を作る

  3. 枕の高さを調整し、顎が引けすぎないようにする

  4. 体を動かした後に、表情が苦しくなっていないかを確認する

  5. 苦しそうなら無理に続けず、元の姿勢へ戻し、医療者へ相談する

「完全な横向き」にこだわる必要はありません。ほんの少し角度がつくだけでも、音が軽くなることがあります。

口腔ケアの手順 飲ませないで潤す

  1. 湿らせたガーゼや口腔用スポンジを用意する

  2. 唇、口の中の乾燥しやすい場所をやさしく湿らせる

  3. 口の中の汚れが取れる範囲で拭う

  4. 本人が嫌がる、むせる、顔をしかめる場合は中止する

  5. 口腔ケア後は、室内の乾燥が強い場合に限り加湿を検討する

この時期は嚥下が弱く、無理に水を飲ませると誤嚥につながる恐れがあります。「飲ませる」より「潤す」を基本にしてください。

環境調整の手順 音 光 におい 温度

  • 音:テレビは消すか小さく。人数を絞り、話し声も短く

  • 光:まぶしさを避け、暗すぎない間接照明

  • におい:強い芳香剤や香水は避ける

  • 温度:寒すぎないようにしつつ、厚着で汗をかかせない

  • 触れ方:強くさするより、手を包むように握る

呼吸の変化は、家族が“何かしなければ”と焦るほど、刺激が増えやすくなります。出来ることは十分ありますが、最優先は落ち着ける環境です。


亡くなる数時間前の意識 体温 皮膚の変化

反応が乏しいときでも伝わる関わり方

亡くなる前は眠っている時間が増え、声かけへの反応が弱くなることがあります。会話ができなくても、家族の声や触れ方が安心につながることがあります。
この時期の声かけは、長い言葉より短い言葉が向きます。

  • 「ここにいるよ」

  • 「手を握るね」

  • 「ありがとう」

  • 「大丈夫だよ」

反応がなくても、言葉が無駄になるわけではありません。家族にとっても「寄り添えた」という実感になりやすい関わりです。

手足が冷たい 皮膚色が変わるときの見守り

循環が弱まると、手足が冷たくなったり、皮膚が青紫っぽく見えたりすることがあります。見た目に驚いて強く揉んだり、熱い湯たんぽを当てたりすると、本人の負担になる場合があります。
基本は次のように考えると迷いが減ります。

  • 本人が不快そうでなければ、軽く毛布をかける程度でよい

  • 汗をかいていれば、濡れタオルで軽く拭き、着替えは無理のない範囲

  • 急激な悪化や強い息苦しさが同時にある場合は連絡する

せん妄のような落ち着かなさが出たときの対応

終末期には、つじつまの合わないことを言う、急に不安になる、落ち着かなくなるなどが起こることがあります。家族は「心が弱くなった」「自分の声かけが足りない」と責めてしまいがちですが、体の状態、環境、薬の影響などが絡むことが多いです。

家族ができる対応

  • まず安全確保(転落・徘徊・チューブ抜去がないか)

  • 人数を減らし、落ち着いた声の人が短く話す

  • 否定せず、安心を繰り返す

  • 危険がある、興奮が強いときは早めに医療者へ相談する


亡くなる数時間前に家族ができることチェックリスト

いま迷いがちな行動を整理するチェックリスト

不安が大きいときほど、判断が揺れます。次のチェックリストは「迷いを減らす」ための道具です。

  • 体位は少し変えるだけでもよい。苦しそうなら戻す

  • 口は飲ませず潤す。むせるなら中止

  • 音・光・人数を減らし、落ち着く環境を作る

  • 本人の表情を最優先。苦悶があれば相談

  • 迷ったら連絡してよい。夜間でも遠慮しない

水分 食事 薬 吸引で避けたい自己判断

終末期は「良かれと思ったこと」が負担になることがあります。特に避けたい自己判断は次の通りです。

迷いがちなこと やってよい方向 避けたい方向
水分 口を湿らせる、唇を保湿する 無理に飲ませる、急いで飲ませる
食事 本人が望む分だけ、少量 食べさせようと頑張りすぎる
飲めない場合は医療者へ相談 自己判断で中止・増量
吸引 必要性を医療者と相談 音が気になるだけで強い吸引
酸素や機器 指示がある範囲で使用 自分で設定を変える、独自に導入

「何もしない」ではありません。「安全な範囲で整える」ことが、本人の負担を減らします。

夜間や一人対応の短縮版チェックリスト

  • 苦悶表情があるかを最初に見る

  • 音や呼吸が怖いときは体位を少し変える

  • 口は潤す。飲ませない

  • 迷ったら在宅医・訪問看護へ連絡

  • つながらず、強い苦痛や出血・外傷があるなら救急も検討


亡くなる数時間前の連絡判断と救急車の線引き

連絡の優先順位を先に決めておく

在宅で看取りの方針がある場合、基本は「在宅医(主治医)→訪問看護→必要時に救急」という流れになりやすいです。施設の場合は「施設職員」が窓口になります。
連絡先がすぐ出せるよう、紙に書いて見える場所に置いておくと、夜間の不安が下がります。

線引きを一目で分かる表にする

状況 まず何をするか 目安
変化はあるが、表情は穏やか 体位・口腔ケア・環境調整で見守る 見守り中心
家族が強い不安、判断がつかない 在宅医・訪問看護へ連絡し相談 迷ったら連絡
苦悶表情、努力呼吸、急な悪化 すぐ連絡し指示を受ける 早めに連絡
大量出血、外傷、窒息が疑わしい 連絡がつかなければ救急も検討 例外対応
家族が安全を保てない興奮 早めに相談。危険なら救急も含める 安全優先

「呼吸が変だから救急」ではなく、「苦痛が強い・急な悪化・例外状況」がポイントです。ただし、看取りの方針や地域体制で対応は変わるため、迷ったら相談が最優先です。

看取りの方針があるときに確認しておきたい項目

  • 夜間の連絡先と、つながらないときの次の手段

  • 苦痛が強いときの頓用薬の使い方(ある場合)

  • 本人の意向(延命処置の希望、救急搬送の希望)

  • 家族内での役割(誰が誰に連絡するか)

この確認ができていると、「いざという時」に家族同士が責め合う状況を避けやすくなります。


亡くなる数時間前から亡くなった後までの流れ

亡くなった直後にすることは順番が大切

在宅で亡くなられた場合、最初に必要なのは「医師の死亡確認」と「死亡診断書」です。慌てて葬儀社へ電話したくなりますが、一般には死亡診断書の確認が求められることが多いため、まず主治医・在宅医へ連絡します。
家族だけで看取った場合でも、在宅医や訪問看護へ連絡し、亡くなられた時刻の目安を伝えます。

自宅での整容は無理しない範囲でよい

看護師などと一緒に体を拭く、着替えをする、髪を整えるなどの整容を行うことがあります。これは「きちんとやらないといけない義務」ではありません。家族の体力や気持ちに合わせて、出来る範囲で行えば十分です。
床ずれやストーマなどがある場合は、看護師に手当の方法を確認すると安心です。葬儀社が整容を担うこともあります。

葬儀社連絡と手続きで迷わないための要点

  • 死亡確認と死亡診断書が基本のスタート

  • 葬儀社は「段取りの相談」だけ先に進める場合もある

  • 行政手続きは地域で流れが異なるため、葬儀社や役所で確認する

  • 不明点は、訪問看護や在宅医療チームに相談してよい

「何をすればいいか分からない」という不安は自然です。順番さえ押さえれば、あとは周囲が手助けしてくれます。


よくある質問 亡くなる数時間前の不安に答える

死前喘鳴の音が大きいのに本人は苦しくないのですか

音が大きいと苦しさを想像しやすいですが、終末期では意識低下が進んでいることもあり、音の大きさと苦痛の強さが一致しない場合があります。
ただし、眉間のしわ、うめき、落ち着かない様子、努力呼吸などがある場合は苦痛が強い可能性があります。音だけで判断せず、表情と体の緊張を合わせて見て、心配なら医療者へ相談してください。

下顎呼吸が出たらあとどれくらいですか

下顎呼吸は亡くなる直前に見られることがある一方で、時間の断定はできません。数時間のこともあれば、もう少し続くこともあります。時間予測よりも、本人が苦痛なく過ごせるよう環境を整え、必要に応じて医療者へ連絡し、家族が集まれるなら連絡しておくことが大切です。

水を飲ませてあげたいのですがだめですか

「飲ませたい」という気持ちは自然です。しかし嚥下が弱っている時期に無理に飲ませると誤嚥の危険があります。基本は「口を潤す」ケアで十分です。飲めそうかどうか、どの程度なら安全かは医療者の指示に沿って判断してください。

吸引や加湿はした方がいいですか

死前喘鳴は吸引が常に有効とは限らず、刺激で呼吸が乱れることもあります。まずは体位調整と口腔ケア、乾燥対策を行い、吸引の必要性は在宅医・訪問看護と相談して決めるのが安全です。加湿も、機器の風や音が刺激になる場合は控えめに調整します。

救急車を呼ぶべきか迷うときはどうすればよいですか

看取りの方針がある場合は、まず在宅医・訪問看護へ連絡して指示を受けるのが基本です。つながらない場合で、強い苦痛、急速な悪化、大量出血、外傷、窒息が疑わしいなどの例外状況があるときは救急要請も含めて判断します。迷ったときに「連絡してよい」ことを忘れないでください。


まとめ 亡くなる数時間前に大切なのは寄り添いと早めの相談

要点の整理

  • 亡くなる数時間前は、呼吸の変化、意識低下、冷感などが重なりやすい

  • 見た目が怖くても、多くは自然な経過として起こり得る

  • 重要なのは「音の大きさ」より「苦悶表情や努力呼吸など苦痛のサイン」

  • 家族ができることは多い。体位調整、口腔ケア、環境づくりが中心

  • 水分・薬・吸引は自己判断を避け、医療者と相談する

  • 迷ったら連絡してよい。早めの相談が安心につながる

  • 死後は死亡確認と死亡診断書が最初のステップ。順番を押さえれば大丈夫

次に取るべき行動

  • 連絡先(在宅医・訪問看護・施設)を紙に書き、すぐ取れる場所へ

  • 家族内で「誰が誰に連絡するか」を決めておく

  • 本人の方針(看取りの意向)を共有し、迷いを減らす

終末期の時間は、家族にとって一度きりです。完璧な対応を目指す必要はありません。出来る範囲で整え、迷ったら相談し、そばにいること自体が大切な支えになります。


参考にした情報源