夏になると麦茶を冷蔵庫に常備して、気づけば家族みんなで何杯も飲んでいた――そんなご家庭は少なくありません。カフェインが少ない麦茶は飲みやすい反面、冷えたまま一気に飲んだり、汗をかく日に麦茶(や水)だけで押し切ったりすると、「お腹がゆるい」「体が冷える」「だるい」「むくむ」といった不調につながることがあります。
そこで本記事では、飲料としての水分目安「1日1.2L」を基準に、麦茶の“飲み過ぎ”になりやすいパターンと、下痢・冷え・熱中症が疑われるときの見分け方を整理します。さらに、汗が多い日の「麦茶・水・スポーツ飲料・経口補水液」の使い分けを表とチェックリストで具体化。読み終えたあとに「今日は何を飲めばいいか」が迷わず決められるようになります。
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麦茶を飲み過ぎると起きやすいこと
麦茶の飲み過ぎが不安なら、量より飲み方と汗の量で判断しましょう。
日常の飲料は1日1.2L目安で、汗が多い日は水分だけでなく塩分も必要です。
冷え・下痢がある日は常温で少量ずつ。自力で飲めない・意識がおかしい場合は救急要請を優先してください。
下痢や腹痛 胃の不快感が出る理由
「麦茶を飲み過ぎたからお腹を壊した」と感じるとき、原因は麦茶の成分というよりも、冷たさと飲み方であることが多いです。夏は冷たい飲み物・食べ物が増え、胃腸が冷えて働きが落ちやすくなります。医療機関の解説でも、冷たい飲食で胃腸が冷えると下痢が起こりやすい背景が説明されています。
特に次のパターンは、起きやすい“失敗”です。
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暑い屋外から帰って、冷えた麦茶を一気に飲む
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冷房の効いた部屋で、体が冷えているのに冷たい麦茶を飲む
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食欲が落ちているのに、冷たい飲み物だけは進む
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アイスや冷たい麺類など、冷たい食事が続く
対処の基本はシンプルです。
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まずは麦茶を常温に切り替える
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一気飲みをやめ、数口ずつにする
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下痢がある日は、冷たい食べ物・飲み物を控え、腹部を冷やさない
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脱水が心配なら、症状に応じて水分・塩分補給を再設計する(後述)
「麦茶は体にやさしいはずなのに…」と落ち込む必要はありません。“冷え×一気飲み”をやめるだけで改善するケースも多いです。
体の冷え だるさにつながる飲み方
冷えは胃腸だけでなく、全身のだるさにもつながります。冷たい飲み物が続くと、腹部が冷えて食欲が落ちたり、夜の寝つきが悪くなったりすることもあります(世代別の注意としても言及されています)。
次のチェックに当てはまるなら、飲み方を変えるサインです。
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手足が冷える、腹部が冷たい
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夕方以降にだるさが増える
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食欲が落ちている
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冷房の部屋にいる時間が長い
改善のコツ
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冷蔵庫でキンキンにしない(“冷たすぎない”温度へ)
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コップに注いで少量ずつ
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体が冷えやすい人は、常温〜温かい麦茶も選択肢
むくみが気になるときに見直すポイント
むくみは塩分・水分バランス、運動不足、睡眠、長時間の同一姿勢など原因が複合します。麦茶が直接むくみを作るというより、短時間に水分をまとめて摂ることで、体が処理しきれず一時的にむくんだように感じることがあります。
むくみ対策としては、量より“リズム”が重要です。
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1回量を減らして回数を増やす
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夕方以降の“惰性のがぶ飲み”をやめる
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座りっぱなしを避け、足首を動かす
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急なむくみ・息切れ・胸の違和感などがあれば医療機関へ(別の原因の可能性)
水分の摂り方で注意したい低ナトリウム血症
暑い日に「水分をたくさん摂らなきゃ」と思うのは正しい一方で、大量発汗の状況で“水だけ・お茶だけ”を大量に飲み続けると、体内のナトリウム濃度が下がる(低ナトリウム血症)ことがあります。運動指針でも、水の飲み過ぎが低ナトリウム血症を起こす可能性に言及しています。
医療機関の解説でも、症状(頭痛、吐き気、意識のぼんやり、けいれん等)が整理されています。
ここで大切なのは、「麦茶が悪い」のではなく、“水分だけに偏る”のが問題だという点です。汗で水分と一緒に塩分も失われるため、状況によっては塩分も補う必要があります。公的資料でも、大量発汗がある場合は水だけでなく塩分濃度0.1〜0.2%程度の飲料が勧められる旨が示されています。
麦茶の適量の目安と飲み方のコツ
まず押さえたい「1日の目安」と「上乗せの考え方」
「麦茶は何リットルまでOK?」という質問に、体格や環境差を無視して一律の数字を出すのは危険です。ただし、ゼロから考えると不安が増えるので、まずは基準点を持ちましょう。
公的資料では、日常生活で飲料として摂取すべき水分量(食事に含まれる水分を除く)として、1日あたり1.2Lが目安とされています。
ここに、以下が“上乗せ”されます。
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暑さが強い日
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屋外活動や運動、長時間の移動
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入浴・睡眠による発汗(起床時・入浴前後の補給が推奨される)
つまり、結論はこうです。
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汗が少ない日:麦茶(常温)を中心に、1日1.2L目安を“こまめに”
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汗が多い日:水分に加えて塩分も必要。麦茶だけに偏らず、食事や適切な飲料を組み合わせる
生活シーン別の飲み方(迷わない使い分け表)
「麦茶は良い・悪い」ではなく、シーンで役割を変えると失敗しにくくなります。
| シーン | 麦茶が向く | 水が向く | スポーツ飲料が向く | 経口補水液が向く |
|---|---|---|---|---|
| 室内で普段の水分補給(汗少なめ) | ◎(常温でこまめに) | 〇 | △ | △ |
| 食事中・間食と一緒 | ◎ | 〇 | △(糖分が気になる人は注意) | △ |
| 外出(短時間) | 〇 | ◎ | △ | △ |
| 屋外作業・運動(汗が多い) | △(補助として) | △(水だけ偏り注意) | ◎(塩分も意識) | 〇〜◎(脱水が疑われるとき) |
| 体調不良(下痢・胃腸が弱い) | 〇(常温) | 〇 | △ | 〇(必要時) |
| 熱中症が疑われる(軽症) | △ | △ | 〇 | ◎(応急処置で示される) |
| 自力で飲めない/意識がない | × | × | × | ×(救急要請) |
※大量発汗時の塩分補給や、経口補水液の位置づけは、公的資料・厚労省の応急処置に基づきます。
一気飲みをやめるための具体策(家庭で続く方法)
“飲み過ぎ”の原因の多くは、量よりも一気飲みです。対策は、意思の力より仕組みで作るのが確実です。
すぐできる仕組み化
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コップを小さくする(大きいグラスを封印)
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冷蔵庫で冷やし過ぎない(常温のボトルも併用)
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ルールを決める
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「帰宅直後はまず数口→5分後にもう数口」
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「入浴前後はコップ半分ずつ」
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子どもがいる家庭は、家族ルール化
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「麦茶は一気に飲まない」
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「外遊びの日は塩分も一緒に」
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汗をかく日は麦茶だけで足りるか
「汗の量」で水分補給の正解は変わる
汗が少ない日なら、麦茶は普段の水分補給として扱いやすい飲み物です。問題は、汗が多い日です。
公的資料では、のどが渇く前から水分を補給すること、そして大量発汗時には水だけでなく塩分も補える飲料(塩分濃度0.1〜0.2%程度)を摂ることが推奨されています。
つまり、汗をかく日は次の発想が必要です。
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麦茶=水分補給の一部
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でも、汗で失われるのは水分だけではない
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状況によっては、塩分を含む飲料や食事が必要
塩分をどう補うか(現実的な選択肢)
「塩分を足す」と聞くと身構えるかもしれませんが、やり方は大きく2つです。
1)食事で補う
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味噌汁、スープ、梅干しなど、普段の食事で無理なく補える
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食事がとれるなら、これが最も安全に寄せやすい
2)飲料で補う(汗が多い・食事が難しいとき)
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スポーツ飲料
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経口補水液(脱水が疑われるときの補助)
ただし、持病がある場合は注意が要ります。高血圧の人の熱中症予防と塩分の考え方については、専門団体からの整理も出ています(“水分は十分に”としつつ塩分は個別事情を踏まえる)。
経口補水液を選ぶべきサインと、使い方の注意
厚労省の「熱中症が疑われる人を見かけたら」では、応急処置として水分補給に経口補水液などを用いることが示されています。さらに、腎臓・心臓等の疾患で水分摂取の指示がある場合は指示に従うこと、自力で水が飲めない/意識がない場合はすぐ救急車と明確に書かれています。
経口補水液を検討しやすい状態(例)
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大量に汗をかいた
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頭痛、吐き気、強い倦怠感
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立ちくらみ、ふらつき
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食事が十分に取れない
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尿が極端に少ない・濃い(脱水の可能性)
使うときの注意
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「とりあえず健康のために毎日」ではなく、脱水が疑われるときの短期利用が基本
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一時に大量に飲まない(体調や持病でリスクが変わる)
症状・状況別 まずやること早見表(保存版)
迷ったときは、まずこの表で“最初の一手”を決めてください。
| いまの状態 | まずやること | 次に確認 | 受診・救急の目安 |
|---|---|---|---|
| 冷たい麦茶を飲みがちでお腹がゆるい | 麦茶を常温へ、少量ずつに変更 | 食事・冷房・冷たい物の摂取量 | 改善しない/血便/強い腹痛は受診 |
| 体が冷える・だるい | 冷やしすぎ停止、温度を上げる | 睡眠・冷房・夕方以降の飲み方 | 症状が強い・長引くなら相談 |
| 汗が多いのに水やお茶ばかり | 食事で塩分+水分、またはスポーツ飲料 | こむら返り・頭痛・吐き気 | 意識が変なら救急 |
| 熱中症が疑われる(軽症) | 涼しい場所へ、体を冷やす、水分・塩分(経口補水液含む) | 自力で飲めるか/嘔吐がないか | 自力で飲めない・意識がないなら救急 |
| 頭痛・吐き気・ぼんやり・けいれん | すぐ医療判断へ(救急含む) | 水だけ大量摂取の有無(低Naの可能性) | けいれん・意識障害は救急 |
子ども 妊娠中 高齢者 持病がある人の麦茶の注意点
子ども:飲みやすいからこそ「冷え」と「飲み方」を管理
子どもは汗をかきやすく、遊びに夢中で水分補給が偏りやすいです。麦茶は飲ませやすい一方で、冷やし過ぎや一気飲みでお腹が冷えることがあります。
家庭で決めておくとラクなルール
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外遊び前後は「数口ずつ」を複数回
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冷蔵庫の麦茶だけでなく、常温の麦茶も用意
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汗が多い日は食事(塩分)を一緒に考える
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元気がない、吐く、意識が変などは受診を優先(熱中症の注意点に準拠)
妊娠中:冷えすぎに注意しつつ、こまめに補給
妊娠中は飲み物を慎重に選ぶ方が多く、麦茶を選ぶ人もいます。ポイントは、体を冷やし過ぎないことと、体調変化があるときは無理しないことです。
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胃腸が不安定な日は、常温に寄せて少量ずつ
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むくみや血圧が気になる場合は、健診で相談
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熱中症が疑われる症状(吐き気・頭痛など)があれば早めに医療機関へ
高齢者:のどの渇きに気づきにくい+冷えで食欲が落ちやすい
高齢者は暑さや冷えの感覚が鈍くなりやすく、体調変化が表に出にくい傾向があります。冷たいものの摂りすぎの影響(下痢・食欲不振等)にも注意が必要です。
家族ができる工夫
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常温の麦茶を“見える場所”に置く
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飲むタイミングを決める(起床後・入浴前後など)
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食事量が落ちている日は、飲み物だけで済ませない(脱水・塩分不足に注意)
持病(腎臓・心臓・高血圧など):自己判断で増やさず「主治医指示」を最優先
厚労省の応急処置の注意書きにもある通り、腎臓・心臓等の疾患で水分摂取について指示がある場合は、その指示に従うことが重要です。
また、現場向けの資料でも、糖尿病・高血圧・心疾患・腎不全などの持病がある人は水分・塩分補給に配慮する旨が示されています。
ここは“一般論で安心”しにくい領域です。安全のための考え方はこれだけです。
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普段の制限(塩分・水分)を勝手に解除しない
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暑い日の方針は、主治医の指示や既往に合わせる
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迷ったら、かかりつけに相談する(特に経口補水液を常用したくなる人)
麦茶を作り置きするときの安全ルール
作り置きで失敗しやすいポイント
作り置きは便利ですが、夏場は特に「放置」「直飲み」「長期保存」が重なるとトラブルが増えます。まずは、やりがちなNGを把握しましょう。
作り置き運用 NG→OK表
| よくあるNG | 何が起きる? | OK運用(改善策) |
|---|---|---|
| 熱いまま常温で長時間放置 | 雑菌が増えやすい | 作ったら早めに冷ます→冷蔵 |
| 直飲みボトルで持ち歩き、飲み残しを冷蔵庫へ | 口の菌が入る | コップに注ぐ/持ち歩きは飲み切り |
| 何日も継ぎ足す | 劣化が分かりにくい | 24時間以内を目安に作り直す |
| におい・味の違和感を我慢 | 体調不良の原因に | 少しでも違和感があれば捨てる |
家庭で回る「5ステップ手順」
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容器(やかん・ボトル)を洗って清潔に
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麦茶を作る
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できるだけ早く粗熱を取る(放置時間を短く)
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冷蔵保存
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飲むときはコップに注ぐ(直飲み運用を避ける)
捨てる判断チェック
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においがいつもと違う
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味が酸っぱい・苦い
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濁りがある
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室温に長時間置いた
1つでも当てはまれば、廃棄が安全です。
よくある質問(麦茶 飲み過ぎ)
麦茶は寝る前に飲んでもいい?
寝る前に少量(コップ半分〜1杯)をゆっくり飲むのは、多くの人にとって問題になりにくい一方、飲み過ぎると夜間のトイレで睡眠が浅くなることがあります。寝る前は“量を決める”のがコツです。
麦茶は水分補給として水と同じ?
普段の水分補給としては近い役割を果たします。ただし、汗を大量にかく状況では「水分+塩分」をどう補うかが重要です。公的資料でも、大量発汗時は塩分を含む飲料が推奨されています。
麦茶でお腹がゆるいときは何を飲めばいい?
まずは「冷たさ」と「一気飲み」をやめ、常温の麦茶や水に寄せてください。下痢で脱水が心配、食事が取れない、汗も多いなどが重なる場合は、状況に応じて水分・塩分(必要なら経口補水液)を検討します。熱中症が疑われる場合の対応は厚労省の応急処置が参考になります。
どんなときに病院に行くべき?
次の場合は、自己判断で様子見を続けないでください。
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意識がはっきりしない、返事がおかしい
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自力で飲めない
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けいれん
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嘔吐が続いて水分が取れない
厚労省の案内でも、自力で水が飲めない・意識がない場合は救急車を呼ぶよう明確に示されています。
まとめ 麦茶の飲み過ぎ不安は飲み方と使い分けで解消できる
麦茶が不安になったとき、焦って「麦茶をやめる」より先に、次の順で整えるのが安全で確実です。
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冷やし過ぎと一気飲みをやめる(常温で少量ずつ)
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日常の目安(飲料として1日1.2L)を基準にする
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汗が多い日は塩分も意識し、麦茶だけに偏らない
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熱中症が疑われるなら応急処置(冷却・水分/塩分・必要に応じて経口補水液)
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自力で飲めない/意識がないは救急要請
最後に、この記事は一般的な目安と判断基準を整理したものです。持病がある方、妊娠中の方、小さなお子さんや高齢者などは、体調の変化が小さくても早めに医療機関へ相談するほうが安全です。
参考情報源
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厚生労働省「熱中症が疑われる人を見かけたら 応急処置」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/happen.html -
厚生労働省「熱中症予防のために」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212502.html -
環境省「熱中症を防ぐためには(飲料として1日1.2L目安、発汗時は塩分0.1〜0.2%等)」PDF
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/envman/3-1.pdf -
環境省「熱中症環境保健マニュアル2018」PDF
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_full.pdf -
日本高血圧学会「夏の日常生活における水分と塩分の摂取について」
https://www.jpnsh.jp/general_salt_01.html -
公益財団法人日本スポーツ協会「熱中症予防運動指針(低ナトリウム血症への注意)」PDF
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/nechusho_yobou_guidebook_2018.pdf -
医療機関コラム(夏の下痢と冷えの関係)
https://hiramatsu-cl.com/summer-diarrhea/ -
医療機関コラム(水分摂りすぎと低ナトリウム血症の解説)
https://hirotsu.clinic/blog/%E3%80%8C%E6%B0%B4%E5%88%86%E3%81%AE%E6%91%82%E3%82%8A%E3%81%99%E3%81%8E%E3%80%8D%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%82%E3%82%8B%EF%BC%9F%E5%A4%8F%E3%81%AE%E8%84%B1%E6%B0%B4%E3%81%A8%E4%BD%8E%E3%83%8A%E3%83%88