スマートフォンで急に「ネットが繋がらない」「LINEの通知が来ない」「地図が表示されない」と感じたとき、原因が回線障害や端末故障ではなく、設定の一つがオフになっているだけ――というケースは少なくありません。とくにAndroidで見かける「モバイルネットワーク経由でデータにアクセス」は、名前が分かりにくい一方で、オン・オフの影響が非常に大きい重要項目です。誤ってオフにしてしまうと、Wi-Fiがない場所ではほとんどのアプリが通信できず、通知遅延や認証エラーなど、生活や仕事に直結するトラブルが一気に表面化します。
本記事では、この設定が具体的に何を制御しているのかを噛み砕いて整理し、オフにした場合に「できること/できないこと」を早見表で明確にいたします。さらに、オンにしているのに繋がらないときの最短復旧チェックリスト、デュアルSIMやAPN、データセーバーなど“原因になりやすい周辺設定”まで一気通貫で解説します。設定に自信がない方でも、読み進めるだけで「今の状態を判断し、最短で直し、再発を防ぐ」ところまで到達できる構成です。
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モバイルネットワーク経由でデータにアクセスとは何か
この設定が制御するのはモバイルデータ通信
「モバイルネットワーク経由でデータにアクセス」は、スマートフォンが携帯電話会社の回線(4G/LTE、5Gなど)を使ってインターネットへ接続することを許可する設定です。Android端末では、同じ意味で「モバイルデータ」「モバイルデータ通信」「データ通信」と表示されることもありますが、いずれも“携帯回線でインターネット通信をするかどうか”を切り替える点が共通しています。
この設定がオンのときは、Wi-Fiに接続していない状態でも、携帯回線を使って以下のような通信が可能になります。
Webサイトの閲覧(ブラウザ)
SNSの更新(X、Instagram、TikTokなど)
地図アプリの地図読み込み・経路検索
メールやチャット(Gmail、LINE、Teamsなど)の送受信
アプリの更新、OS更新の確認(設定次第でWi-Fi限定の場合もあります)
クラウド同期(写真バックアップ、連絡先同期など)
アプリ内の広告読み込み、分析通信(バックグラウンド通信)
一方で、この設定がオフのときは、携帯回線を使ったインターネット通信が原則として停止します。その結果、Wi-Fiがない場所では「ネットが繋がらない」「アプリが読み込めない」「通知が来ない」などの症状が起きます。ここが、検索されやすい最大の理由です。端末自体の故障や回線障害ではなく、単にこのスイッチがオフになっているだけで“突然ネットが使えなくなったように見える”ためです。
なお、重要な補足として、端末によっては「モバイルネットワーク経由でデータにアクセス」をオフにしても、緊急通報や一部のキャリア機能、SMS関連の通信が別枠で動くことがあります。しかし、ユーザーが通常「ネット」と呼ぶ範囲(ブラウザ、アプリ、通知、地図等)は、基本的にこの設定で止まると理解して問題ありません。
また、節約目的でオフにしている方もいますが、オフ=完全に安心というわけではありません。たとえば、Wi-Fi接続中に大容量通信が走ったり、Wi-Fiが不安定でモバイルへ自動的に切り替わる設定(機種や設定によっては存在)になっていたりすると、意図しない通信が発生することがあります。したがって「節約目的」でも「トラブル回避目的」でも、この設定が何を制御するかを正しく理解しておくことが重要です。
Wi-Fiや通話と何が違うか
「モバイルネットワーク経由でデータにアクセス」が分かりにくい理由の一つは、“携帯回線=通話もネットもまとめて同じ”に見えてしまう点です。しかし実際には、以下のように性質が異なります。
1)Wi-Fi(無線LAN)
自宅、職場、店舗などのWi-Fiルーターに接続してインターネットへ出る仕組みです。
Wi-Fiが繋がっている間は、モバイルデータがオフでもネットが使えます。
ただし、Wi-Fiの電波が弱い・認証が切れた・回線自体が落ちた場合は、ネットが使えなくなります(モバイルデータがオフのままだと“代替経路”がありません)。
2)モバイルデータ(携帯回線でのインターネット)
4G/5Gなど携帯回線でインターネットに接続します。
屋外や移動中でも使えるのが強みです。
一方で、月間データ容量の上限や速度制限、海外利用時のローミング課金など“コスト面の注意点”があります。
3)通話(音声通話)
通常の電話番号で行う音声通話は、モバイルデータとは別枠で動作するケースが多いです。
そのため「モバイルデータをオフにしても通話はできる」という状況がよく起こります。
ただし、圏外やSIM未認識、回線停止(料金未払い等)など“回線そのもの”に問題がある場合は通話もできません。
4)SMS(ショートメッセージ)
多くの場合、SMSもモバイルデータとは別枠で送受信できます。
ただし、RCSチャット(機種・アプリにより)など“インターネット通信を使うメッセージ方式”では、モバイルデータが必要になる場合があります。
5)アプリ内通話(LINE通話、Zoom、Teams通話など)
これは電話番号の音声通話ではなく、インターネット通信を使う通話です。
Wi-Fiがなければ、モバイルデータがオンでないと基本的に利用できません。
「電話はできるのにLINE通話ができない」場合、モバイルデータがオフ、またはアプリ別制限が原因であることが多いです。
このように、「通話できる=ネットも使える」とは限りません。逆に「ネットが使える=通話も必ずできる」でもありません。切り分けて理解することで、トラブル時の原因特定が格段に速くなります。
モバイルネットワーク経由でデータにアクセスをオフにすると起きること
アプリの通信と通知への影響
この設定をオフにした場合の影響は、端的に言えば「Wi-Fiがない場所でアプリがインターネットに接続できない」です。これにより、次のような現象が起こります。
ブラウザが「接続できません」「インターネットに接続されていません」と表示される
SNSが更新されず、画像や動画が読み込めない
地図アプリで地図が灰色になったり、経路再検索ができなかったりする
メールやチャットが受信できず、送信も保留になる
クラウド同期(写真バックアップ、メモ同期)が止まる
アプリの起動時に「通信エラー」「タイムアウト」になる
特に困りやすいのは、通知(プッシュ通知)の遅延・停止です。通知は多くの場合、インターネット接続があることを前提に配信されます。モバイルデータがオフでWi-Fiがないと、通知が届かない、または遅れてまとめて届くことがあります。これが「LINEが急に来なくなった」「メールが受信されない」という相談に直結します。
加えて、次のような“気づきにくい影響”もあります。
二要素認証(認証アプリやメールリンク)が使えずログインできない
キャッシュがないアプリ(ニュース・天気等)が空表示になる
決済アプリでオンライン認証が必要な場面で失敗する
配車アプリや出前アプリで位置情報の送信・経路取得が不安定になる
つまり、単に「ブラウザが見られない」だけではなく、生活・仕事の複数の場面で連鎖的に困る可能性があります。外出が多い方や、仕事の連絡をスマホで受ける方は特に注意が必要です。
通話とSMSは基本的に別物
モバイルデータをオフにしても、通話やSMSが使えることが多い理由は、両者が別の仕組みで提供されることがあるためです。ユーザー目線では「同じ電波を使っている」ように見えますが、技術的には用途が異なり、制御するスイッチも異なることがあります。
ただし、「基本的に別物」とはいえ、次のケースでは通話・SMSにも影響が出る可能性があります。
圏外:そもそも基地局と繋がっていないため、通話もSMSも不可
SIMの不具合・未認識:SIMが読めていないと回線登録できず、通話も不可
回線側の利用停止:料金未払い、契約停止、利用制限など
端末側の特殊設定:通話の方式やアプリ、プロファイルの影響(例:特定アプリのみ通話等)
このため、ネットが繋がらないだけなら「モバイルデータ設定」を疑うのが近道ですが、通話もできない場合は「電波」「SIM」「回線状態」を優先的に疑うのが合理的です。
使える場面と困る場面の判断基準
モバイルデータをオフにすること自体は、目的に合えば有効な選択肢です。ただし、便利さとのトレードオフがあるため、以下の判断基準で整理すると失敗しにくくなります。
オフが向く場面(成立しやすい)
生活圏に強いWi-Fiがあり、屋外でスマホをほとんど使わない
子ども端末や予備端末で、誤って課金・大容量通信させたくない
データ容量が極端に少ないプランで、徹底的に節約したい
セキュリティ上、モバイル回線での通信を控えたい(組織のポリシー等)
オフが不向きな場面(困りやすい)
外出先で地図、検索、乗換案内を頻繁に使う
仕事の連絡(メール・チャット)の即時通知が必要
キャッシュレス決済や本人確認などオンラインが必要な手続きがある
配車・配送・営業など移動が前提の業務
災害時や緊急時に情報収集をしたい(Wi-Fiが使えない可能性)
ここで重要なのは、「オフにしても困らないかどうか」は“使い方”で決まる点です。単に節約したいだけであれば、後述する「データセーバー」「アプリ別制限」の方が、利便性を保ちながら節約できる場合があります。
オン/オフの影響早見表
| 機能 | オン | オフ(Wi-Fiなし) | オフ(Wi-Fiあり) |
|---|---|---|---|
| Web閲覧 | 〇 | × | 〇 |
| 地図の読み込み | 〇 | × | 〇 |
| メール送受信 | 〇 | × | 〇 |
| SNS更新 | 〇 | × | 〇 |
| プッシュ通知 | 〇 | △(遅延/停止) | 〇 |
| 音声通話 | 〇 | 〇(多くの場合) | 〇 |
| SMS | 〇 | 〇(多くの場合) | 〇 |
| LINE通話など(ネット通話) | 〇 | × | 〇 |
| テザリング | 〇 | ×(原則不可) | △(端末構成により) |
※「多くの場合」は、端末・回線・設定・地域状況により差が出ます。迷う場合は、外出時に「Wi-Fiを切って試す」と挙動確認ができます(ただし通信料に注意してください)。
モバイルネットワーク経由でデータにアクセスの設定手順
Androidの代表的なメニュー導線
Androidは、機種やOSバージョン、メーカー独自UI(例:AQUOS、Xperia、Galaxyなど)により、設定メニューの名称と階層が変わります。しかし、基本の考え方は「ネットワーク」「SIM」「モバイルデータ」のどれかに集約されます。代表的な導線は次の通りです。
設定 → ネットワークとインターネット → SIM → モバイルデータ
設定 → ネットワークとインターネット → モバイルネットワーク → モバイルデータ
設定 → 接続 → モバイルネットワーク → データ通信
ポイントは、文言そのものが「モバイルネットワーク経由でデータにアクセス」と表示されていても、実体は「モバイルデータのオンオフ」であることです。したがって、探す際は以下のキーワードを目印にすると見つけやすくなります。
モバイルデータ
データ通信
SIM
モバイルネットワーク
ネットワークとインターネット
もし見つからない場合は、設定画面上部の検索ボックスで「モバイル」「データ」「SIM」と入力すると、該当メニューへショートカットできる端末が多いです。
クイック設定で切り替える方法
多くのAndroid端末では、画面上部から下にスワイプして開く「クイック設定(クイックパネル)」に、モバイルデータのタイルが用意されています。ここをタップすることで、設定アプリを開かずにオン/オフが可能です。
ただし、クイック設定は便利な反面、次のような誤操作・見落としが起きやすい点に注意が必要です。
通知を消すつもりで触っていて誤タップする
タイルの並び替えで、押しやすい位置に来てしまう
機内モードや省電力モードと混同する
色やアイコンの表示ルールがメーカーごとに違い、オンなのかオフなのか分かりにくい
「急に繋がらない」という場面では、まずクイック設定を開き、モバイルデータがオフになっていないかを確認すると復旧が早いです。特に、外出前にWi-Fi環境で触っていると、Wi-Fiが繋がっている間は不便に気づかず、外に出てから初めて影響が表面化します。
デュアルSIMで確認すべきポイント
デュアルSIM(物理SIM+eSIM、またはSIM2枚)環境は、トラブル時の切り分けが一段難しくなります。確認すべきポイントは、主に次の3つです。
1)データ通信に使うSIMがどれか
デュアルSIMでは「通話に使うSIM」と「データに使うSIM」を別々に選べる場合があります。
そのため、モバイルデータ自体はオンでも、データ用SIMが通信できないSIMに設定されていると「繋がらない」状態になります。
2)片方のSIMだけが無効になっていないか
SIMが“オン/オフ”できる端末があります。
省電力目的、海外利用、誤操作などでSIMがオフになると、該当SIMの回線は使えません。
3)回線品質・エリアの差
SIM1は繋がるがSIM2は圏外、といったことが起こり得ます(事業者のエリア差、周波数帯対応差など)。
この場合はデータSIMの切り替えが実用的な対策になります。
デュアルSIMでネットが不安定な場合は、「モバイルデータのオンオフ」だけでなく、「データに使うSIMの指定」「そのSIMが圏外でないか」をセットで確認してください。ここを見落とすと、設定を何度触っても改善しないため、時間だけが消費されやすいポイントです。
モバイルネットワーク経由でデータにアクセスがオンでも繋がらない時の対処
最短復旧のチェックリスト
モバイルデータをオンにしているのに繋がらない場合、原因は一つではありません。焦ると確認が飛びがちですが、以下の順番で確認すると、一般的に最短で復旧しやすくなります(上から順に実施してください)。
機内モードがオフになっている(オンならオフに戻す)
電波表示がある(圏外なら場所移動、窓際・屋外へ)
モバイルデータがオンになっている(設定アプリとクイック設定の両方を確認)
データ通信に使うSIMが正しい(デュアルSIMの場合)
端末の再起動(一時的な基地局接続不良や認証エラーのリセット)
APN設定が正しい(格安SIM・SIM差し替え後は特に重要)
通信制限(データ上限、速度制限、利用停止)や障害情報の可能性
VPN・プロキシ・広告ブロック等を一時的にオフ(通信が遮断される場合があります)
データセーバーやアプリ別制限で通信が制限されていないか確認
それでも不可なら、SIMの抜き差し(可能な端末のみ)やネットワーク設定のリセットを検討
このチェックリストが有効な理由は、上から順に「発生頻度が高い」「確認が速い」「影響が大きい」項目を並べているためです。たとえば、機内モードは通信機能をまとめて止めるため最優先、電波がなければ設定以前に通信できないため次、という理屈です。
SIM・APN・通信制限の確認
「オンでも繋がらない」ケースで特に重要なのが、SIM・APN・通信制限の3点です。ここを押さえると、改善率が大きく上がります。
SIMの確認(認識・状態)
SIMが認識されているか(SIM名が表示されるか、圏外表示ではないか)
SIMがオフになっていないか
SIM差し替え直後、eSIM再設定直後なら一度再起動する
SIMが未認識の場合、端末側のトラブルだけでなく、SIM不良や契約状態の問題もあり得ます。特に「通話もできない」「アンテナが立たない」場合は、モバイルデータ以前の問題としてSIM・回線側の確認が必要です。
APNの確認(格安SIMで最頻出)
APN(アクセスポイント名)は、携帯回線でインターネットへ接続するための“接続先設定”です。大手キャリア端末では自動設定されることが多い一方で、格安SIM(MVNO)やSIM差し替え時には、APNの設定が不完全で通信できないことがよくあります。
APNに問題があると起こりやすい症状は以下です。
アンテナは立っているのにネットだけ繋がらない
Wi-Fiだと繋がるが、Wi-Fiを切ると繋がらない
端末上部に「!」マークが出る(機種による)
この場合、APN一覧で正しいプロファイルが選択されているか、必要な項目(APN、ユーザー名、パスワード、認証タイプ等)が正しいかを確認します。提供元(SIM事業者)の公式案内と一致させるのが確実です。
通信制限(上限・速度制限・利用停止)
設定が正しくても、回線側の状態により通信ができない、または極端に遅いことがあります。代表例は以下です。
月間データ容量を超過し、速度制限(低速化)がかかっている
追加容量が必要だが未購入
料金未払い等で一時停止
事業者側の障害・メンテナンス
混雑時間帯で速度が著しく低下
「全く繋がらない」のか、「繋がるが遅すぎる」のかで原因が変わります。速度制限中は“接続自体はできるが非常に遅い”ことが多いため、ページが開かないように見える場合もあります。可能であれば、軽いサイト(テキスト中心)で試す、速度計測を行うなどして状況を切り分けると判断しやすくなります。
機内モード・VPN・省データ設定の見直し
「モバイルデータはオン」「電波もある」「APNも正しい」のに繋がらない場合、端末内の“追加設定”が通信を阻害していることがあります。特に影響が大きいのが以下です。
機内モード
機内モードは、モバイル回線・Wi-Fi・Bluetooth等の無線機能を一括で制御します(Wi-Fiだけ後からオンにできる機種もあります)。
「Wi-Fiは繋がるがモバイルが繋がらない」場合、機内モードが関係しているケースがあるため、状態を明示的に確認してください。
VPN
VPNは通信経路を暗号化し、別のサーバーを経由して接続する仕組みです。
企業VPN、セキュリティアプリ、広告ブロック系VPNなどが原因で、特定アプリや全通信が遮断されることがあります。
トラブル時は一度VPNをオフにして検証すると、原因切り分けができます。
データセーバー(省データ)
データセーバーは主にバックグラウンド通信を制限し、データ消費を抑える機能です。
ただし設定次第では、通知が遅れる、同期が止まる、アプリが通信できないなどの体感トラブルに繋がります。
「通知が来ない」「特定アプリだけ動かない」場合は、データセーバーと“例外許可(制限しないアプリ)”の設定を確認してください。
アプリ別のモバイルデータ制限
Androidには、アプリごとに「モバイルデータを許可しない」「バックグラウンドデータを制限する」といった制御が可能な場合があります。
動画アプリだけ止めたつもりが、地図やメールまで止まっているケースもあります。
特定アプリだけ繋がらない場合は、アプリ単位の設定を最優先で疑うのが合理的です。
これらの設定は“節約”や“セキュリティ”のために有効ですが、トラブル時には原因になり得ます。したがって、普段から「何をオンにしているか」を把握し、変更したらメモしておくと再発防止になります。
モバイルネットワーク経由でデータにアクセスと料金節約の考え方
データセーバーとアプリ別制限の使い分け
節約目的でモバイルデータをオフにする方は多いですが、利便性を大きく落とすため、目的に応じて手段を使い分けることが重要です。ここでは、代表的な節約手段を「効果」と「副作用」の観点で整理いたします。
1)モバイルデータをオフ(最も強い制限)
効果:最大。外出時の無駄通信をほぼ完全に止められます。
副作用:Wi-Fiがない場所で、ほぼ全てのネット機能が使えません。通知も止まりやすいです。
向く人:外出時にネットを使わない、予備端末、子ども端末など。
2)データセーバー(バックグラウンド中心に抑制)
効果:中。無駄な同期やバックグラウンド更新を抑えられます。
副作用:通知や同期が遅れることがあります(例外設定で緩和可能)。
向く人:外出でも最低限のネットは必要だが、浪費を抑えたい人。
3)アプリ別制限(狙って抑える)
効果:中〜高。データを食いやすいアプリ(動画・SNS等)だけ止められます。
副作用:設定が増えるため、後から「繋がらない」原因になりやすいです。
向く人:仕事のメールや地図は使いたいが、娯楽系は抑えたい人。
4)アプリ側の節約設定(動画の画質、Wi-Fi時のみ自動再生等)
効果:中。アプリ内でデータ消費を抑えられます。
副作用:画質低下、利便性低下が起こります。
向く人:動画・SNSを使うが、消費をコントロールしたい人。
節約は「一律オフ」だけが正解ではありません。むしろ、外出で必要な機能(地図・連絡・決済)を確保しつつ、不要な通信(自動再生、バックアップ、更新)を抑える方が、日常運用としては失敗が少なくなります。
節約施策の比較表
| 施策 | 節約効果 | 便利さ | 主な副作用 | 向く人 |
|---|---|---|---|---|
| モバイルデータをオフ | 高 | 低 | 外出時にネット不可、通知停止 | 外出でネット不要、予備端末 |
| データセーバー | 中 | 中 | 通知・同期遅延 | 無駄通信だけ抑えたい |
| アプリ別制限 | 中〜高 | 高 | 設定が複雑、原因切り分けが必要 | 必要アプリは使い、娯楽を抑えたい |
| アプリ内節約設定 | 中 | 中〜高 | 画質や快適性が下がる | 動画・SNS利用が多い |
ローミングで注意すべきこと
海外利用や、国境付近・海上など特殊な環境では、「データローミング」が関係します。ここで混同しやすいのが、以下の2点です。
モバイルデータ(=携帯回線でインターネット)
データローミング(=自国の契約のまま、海外事業者の回線でデータ通信すること)
海外でネットを使うには、通常「モバイルデータがオン」であることに加え、「データローミングの扱い」が重要になります。契約プランによっては、ローミングで高額課金が発生する可能性があります。したがって、海外へ行く予定がある場合は、次の方針が安全です。
渡航前:海外利用オプション、料金、上限、対応国を確認する
渡航中:必要時以外はローミングをオフ、または現地SIM/eSIM・レンタルWi-Fi等を検討
帰国後:ローミングをオフに戻す(オンのまま運用しない)
国内で生活していると意識しづらい項目ですが、海外での料金事故は大きなトラブルになり得ます。節約目的で「モバイルデータを普段オフ」にしている方ほど、旅行時にオンに戻す過程でローミングまで触ってしまうことがあるため、注意喚起として押さえておく価値があります。
再発防止の設定と運用
最後に、「また繋がらなくなった」を防ぐ観点で、現実的に効く対策を整理いたします。トラブルの多くは、技術的な難しさよりも「誤操作」「設定の積み重なり」「いつの間にか変わった」という運用面で起きます。
1)クイック設定の誤タップ対策
モバイルデータのタイルが押しやすい位置にある場合、並び替えで端に寄せる
使わないタイル(紛らわしいもの)を非表示にする
端末によっては、タイル長押しで設定へ飛べるため、意図しない操作が起きたら設定画面で状態確認する
2)節約は段階的に行う(オフ固定にしない)
まずデータセーバー、次にアプリ別制限、最後にモバイルデータオフ、という順で検討すると、利便性を損ねにくくなります。
“外出時に困らない最低限の通信”を残し、浪費部分だけ削る設計が最も安定します。
3)アプリ別制限を入れる場合はルール化する
例:動画・SNSのみ制限、地図・メール・認証は制限しない
例:バックグラウンド制限のみで、フォアグラウンド(開いている時)は許可
設定した内容はメモに残す(後で原因切り分けが容易になります)
4)デュアルSIMは「データSIM」を固定する
データに使うSIMが頻繁に入れ替わると、繋がらない原因が増えます。
普段使うSIMを固定し、旅行時や一時利用時のみ切り替える運用が安定します。
5)トラブル時の最短確認を習慣化する
「機内モード → 電波 → モバイルデータ → データSIM → 再起動」の5点だけでも、初動の復旧率が上がります。
これを覚えておくと、外出先でも落ち着いて対応できます。
よくある質問
オフでもLINE通話は使えますか?
Wi-Fiがあれば利用できますが、Wi-Fiがない場所では基本的に利用できません。LINE通話はインターネット通信(データ通信)を使うためです。外出先でLINE通話をしたい場合は、モバイルデータをオンにするか、Wi-Fi環境を確保してください。なお、アプリ別制限でLINEだけモバイルデータ禁止になっているケースもあるため、「LINEだけ繋がらない」場合はアプリ単位の設定も確認すると確実です。
Wi-Fiがあるなら常にオフで問題ないですか?
生活圏で常に安定したWi-Fiがあり、屋外でネットが不要なら運用として成立します。ただし、Wi-Fiは「店舗の認証が必要」「混雑で遅い」「一時的に切れる」などが起こり得ます。その瞬間にモバイルデータがオフだと、代替経路がなく通信が途切れます。仕事連絡や地図、決済、認証など“途切れると困る用途”がある場合は、オフ固定よりもデータセーバーやアプリ別制限で調整する方が安定します。
勝手にオン/オフが変わることはありますか?
多くの場合は、クイック設定の誤タップ、設定の変更、SIM切替、端末管理アプリ(MDM)によるポリシー適用などが原因です。まずはクイック設定と設定アプリで状態が一致しているかを確認し、次にデュアルSIMのデータSIM指定、最後に省データ系設定(データセーバー、アプリ別制限)を確認すると切り分けやすいです。
海外でオンにすると料金はどうなりますか?
海外では「モバイルデータをオン」にしただけで料金が発生するとは限りませんが、データローミングが有効で、かつ契約が従量課金の形になっている場合は高額になる可能性があります。渡航前に海外利用オプションや上限、対象国を確認し、必要なときだけローミングをオンにする運用が安全です。迷う場合は、現地SIM/eSIMやレンタルWi-Fiなどの手段も含めて比較してください。
デュアルSIMでデータが切り替わりません
デュアルSIMでは、データ通信のデフォルトに設定できるSIMは基本的に1つです。モバイルデータがオンでも、データに使うSIMが意図しない方に設定されていると繋がりません。設定で「データ」の既定SIMを確認し、必要に応じて切り替えた上で再起動すると改善することがあります。また、SIMごとに通信方式やエリア品質が異なるため、場所によって繋がりやすさが変わる点にも注意が必要です。
まとめ
「モバイルネットワーク経由でデータにアクセス」は、携帯回線でインターネット通信を行うかどうかを制御する設定です。オフにするとギガ節約にはなりますが、Wi-Fiがない場所ではブラウザやアプリが通信できず、通知も遅延・停止しやすくなります。通話やSMSは多くの場合別枠で動くため「電話はできるのにネットができない」という状況が起こり得ます。
繋がらないときは、次の順番で確認すると復旧が早くなります。
機内モード
電波状態
モバイルデータのオンオフ(クイック設定も確認)
デュアルSIMのデータSIM指定
再起動
APN設定(格安SIM)
通信制限・障害の可能性
VPN・データセーバー・アプリ別制限
また、節約目的であれば、モバイルデータを完全にオフにするだけでなく、データセーバーやアプリ別制限などを使い分けることで、利便性を保ちながらデータ消費を抑えられます。設定を変更した際は、後から原因切り分けができるよう、何を変更したかを記録しておくと再発防止に有効です。