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危なくないモバイルバッテリーの選び方|発火事故を防ぐ安全チェック完全ガイド

モバイルバッテリーの発火事故や爆発事故のニュースを見るたびに、「自分や家族が使っているものは本当に安全なのだろうか」と不安を覚える方は多いはずです。とくに、防災用として自宅に備えたり、通学や習い事で子どもに持たせたりする場合、「危なくないモバイルバッテリー」を選べるかどうかは、ご家庭の安全にも直結する重要なテーマです。一方で、ネット上には「大容量・高出力・激安」といった派手なキャッチコピーの製品があふれており、どこまで信用してよいのか、何を基準に選べばよいのか迷ってしまう場面も少なくありません。
本記事では、そうした不安をできるだけ具体的に解消できるよう、公的機関やメーカーの情報を踏まえながら、「危なくないモバイルバッテリー」の条件をわかりやすく整理いたします。法律で求められる最低限の安全基準から、電池の種類・安全機能・用途別の選び方、さらに日々の使い方・保管・処分のポイントまで、実際の行動に落とし込める形で解説してまいります。

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この記事のまとめ

「危なくないモバイルバッテリー」を選ぶうえで大切なのは、単に「有名メーカーだから安心」「高いから安全」といった感覚的な判断ではなく、PSEマークや表示内容、電池の種類、安全機能、販売チャネルといった具体的なチェックポイントに基づいて見極めることです。加えて、どれほど安全性に配慮された製品であっても、高温環境での放置や、膨らみ・異臭といった異常サインを無視して使い続ければ、リスクは大きく高まってしまいます。
だからこそ、「安全な製品を選ぶこと」と「安全な使い方・保管・廃棄を徹底すること」は、セットで考える必要があります。

目次

モバイルバッテリーが「危ない」と言われる理由

発火・爆発が起こるメカニズムの基本

多くのモバイルバッテリーには「リチウムイオン電池」や「リチウムイオンポリマー電池」が使われています。これらの電池はエネルギー密度が高く、繰り返し充電できる一方で、内部に可燃性の電解液を含むため、使い方や設計を誤ると「熱暴走」と呼ばれる急激な発熱・発火につながる可能性があります。

熱暴走の代表的なきっかけは、以下のようなものです。

  • 過充電・過放電

  • 強い衝撃や落下による内部損傷

  • 高温環境(真夏の車内など)への長時間放置

  • 不適切な充電器の使用やケーブルの破損

こうした条件が重なると、内部の電極がショートし、電池内部の温度が一気に上昇し、最悪の場合は発火・破裂につながります。

実際の事故件数と起こりやすいシーン

公的機関の公表資料によると、リチウムイオン電池を搭載した製品の事故は毎年一定数発生しており、その多くが火災事故に発展しています。
事故件数は春から夏にかけて増加する傾向があり、気温の上昇とともにリスクが高まることが分かっています。

住宅火災事例をまとめた資料では、膨らみや変形があるまま使用したり、高温環境での充電・保管が原因となったケースが報告されています。

起こりやすいシーンの例としては、以下が挙げられます。

  • 真夏の車内にモバイルバッテリーを放置した

  • 何度も落下させて筐体がへこんでいるのに、そのまま使い続けた

  • メーカー純正ではない安価な充電器で急速充電を繰り返した

  • 膨張や異臭に気づきながら、使用をやめなかった

法律(PSE法)で規制されるようになった背景

こうした事故の増加を受け、経済産業省は電気用品安全法(PSE法)の解釈を改正し、モバイルバッテリーを「電気用品」として規制対象に含めました。

2019年2月1日以降は、PSEマークの表示がないモバイルバッテリー(流通在庫を含む)は製造・輸入・販売が禁止されています。

つまり、日本国内で正規に流通しているモバイルバッテリーは、原則としてPSEマーク付きであることが前提です。ただし、古い在庫品や並行輸入品、フリマサイト経由の中古品など、PSE表示が適切でない製品が市場から完全に消えているとは限らない点に注意が必要です。


「危なくないモバイルバッテリー」をどう定義するか

法律・規格上の安全(PSEマークなど)

まず前提として、「危なくないモバイルバッテリー」の最低条件は、日本の電気用品安全法で定められた技術基準を満たし、PSEマークが表示されていることです。

PSEマークだけで絶対的な安全が保証されるわけではありませんが、少なくとも以下が期待できます。

  • 過充電・過放電などに対する保護回路を備えている

  • 外観検査や出力検査など、一定の品質確認が行われている

  • 事業者として製造・輸入に関する届出が行われている

設計・電池の種類から見た安全性レベル

同じPSEマーク付き製品であっても、内部に使われる電池の種類や安全設計によって、安全性の「厚み」に差があります。

代表的な電池の種類として、以下が挙げられます。

  • 一般的なリチウムイオン電池

  • リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)

  • ナトリウムイオン電池

  • 準固体電池

リン酸鉄リチウムやナトリウムイオン、準固体電池などは、可燃性を抑える材料を用いることで発火リスクを下げた設計が採用されており、「より危なくないモバイルバッテリー」と言えます。

使い方・保管方法まで含めた総合的な安全

どれほど安全性の高い電池を使っていても、以下のような使い方をするとリスクは大きく高まります。

  • 車内や直射日光下など、極端に高温の場所に放置する

  • 何度も落として外装がへこんでいるのに使い続ける

  • 濡れた状態で使用・充電する

  • 正規の充電器以外で無理な急速充電を行う

したがって、本記事では「危なくないモバイルバッテリー」を次の3つを満たすものと定義します。

  1. 法律上の基準(PSEマーク・正しい表示)を満たしている

  2. 電池の種類・安全機能・メーカー体制など、設計面でリスクを抑えている

  3. ユーザーが安全な使い方・保管方法・廃棄方法を守っている


危なくないモバイルバッテリーの選び方【5つの必須チェック】

PSEマークと表示・メーカー情報の確認

購入前に必ず確認したいポイントは次のとおりです。

  • 本体にPSEマークが刻印・印刷されているか

  • 定格容量(mAh)、定格電圧、定格出力(W)が明記されているか

  • 製造・輸入事業者名や連絡先が明確に表示されているか

とくに、PSEマークが見当たらない製品や、事業者名・連絡先が不明瞭な製品は、購入を避けるべきです。

電池の種類別に見る安全性(リチウムイオン/リン酸鉄リチウム/ナトリウムイオン/準固体)

代表的な電池の種類と、安全性の傾向をまとめると、以下のようになります。

電池の種類発火リスクの傾向使用温度範囲の目安*重量・エネルギー密度の傾向価格帯の傾向防災用途への適性
一般的なリチウムイオン電池適切な設計なら実用上は十分。ただし熱暴走の可能性あり0〜40℃前後が多い高エネルギー密度・軽量幅広い標準的(使い方次第で十分)
リン酸鉄リチウムイオン(LFP)熱安定性が高く、発火リスクは比較的低い-20〜60℃など広い例があるやや重いが長寿命やや高め非常に高い
ナトリウムイオン電池可燃性が低く、熱暴走しにくい設計低温〜高温まで対応例があるエネルギー密度はやや低いが高耐久高め〜今後変動非常に高い(将来性も大)
準固体電池電解液漏れや気化が抑えられ、発火リスク低-20〜60℃など広い例がある現状はやや重めの傾向高め非常に高い

*具体的な温度範囲は製品により異なります。各製品の仕様書・公式サイトで必ずご確認ください。

より高い安全性を求めるのであれば、リン酸鉄リチウム・ナトリウムイオン・準固体電池など、発火リスクを下げた電池方式を採用した製品を検討する価値があります。

容量・出力・ポート数と発熱リスクの関係

  • 容量(mAh)が大きいほど、蓄えるエネルギー量は多くなります。

  • 出力(W)が大きい・ポート数が多いほど、短時間に大きな電力を流すため、発熱しやすくなります。

高容量・高出力・多ポートのモデルは便利ですが、その分、設計や部品品質が重要になります。極端に安価な高出力・大容量モデルは避けたほうが無難です。

安全機能(保護回路・温度管理機能)の有無

安全なモバイルバッテリーには、次のような保護機能が搭載されています。

  • 過充電保護

  • 過放電保護

  • 過電流保護

  • 短絡(ショート)保護

  • 温度保護(一定以上の温度で出力を制御・停止)

商品説明ページでこれらの機能に触れていない場合や、詳細が曖昧な場合は注意が必要です。

価格・レビュー・販売チャネルからリスクを見抜く

「極端に安い製品」は要注意です。

  • 大手メーカー製品より明らかに低価格で、にもかかわらずスペックが極端に高い

  • 説明文が機械翻訳のようで、日本語が不自然

  • ショップ名が頻繁に変わっている

  • レビューが短文かつ★5ばかり、または★1と★5で二極化している

といった場合は、品質管理やサポート体制に不安が残ります。できるだけ、国内に法人を持つメーカーや、家電量販店・公式オンラインストアなど信頼できる販売チャネルから購入することを推奨いたします。


購入前チェックリスト

以下の項目を、購入前に一度確認してみてください。

  • 本体にPSEマークが表示されている

  • 製造・輸入事業者名と連絡先が明記されている

  • 必要な容量・出力を満たしつつ、過度にスペックが盛られていない

  • 過充電・過放電・過電流・温度保護などの安全機能が記載されている

  • 信頼できるメーカー・販売チャネルから購入できる

  • 価格が「安すぎて不自然」ではない


用途別に見る「危なくない」スペックの目安

通勤・日常使い向け(スマホ1〜2台)

  • 容量:10,000mAh前後

  • 出力:20Wクラス(スマホの急速充電に十分)

  • 電池:一般的なリチウムイオンでも、信頼できるメーカー+しっかりした安全機能があれば実用上問題なし

ポイント:

  • 通勤バッグに入れっぱなしになるため、薄型・軽量で丈夫な筐体を選ぶ

  • 充電しながらポケットや布団の中に入れっぱなしにしない

家族・旅行・出張向け(複数台充電)

  • 容量:20,000mAh前後

  • 出力:USB-C 30〜60Wクラス(タブレット・ノートPCも想定)

  • 電池:可能であれば発熱に強い設計をうたう製品、または高い安全性を強調する電池方式のモデルを選ぶ

ポイント:

  • 同時充電時の発熱に注意し、布製ポーチや布団の中での使用を避ける

  • 長期の旅行・出張では、ホテルの枕元など燃えやすいものが少ない場所で充電する

防災用として備える場合の容量・台数の考え方

防災用途では、「家族全員が何日間スマホを最低限使えるか」を基準に考えます。

一例:

  • 家族3〜4人 × 3日分 → 20,000mAhクラスを2台、または30,000mAhクラス+小型1台など

推奨:

  • 発火リスクの低い電池方式(LFP、ナトリウムイオン、準固体など)を優先的に検討

  • 使用温度範囲が広いモデルを選ぶ(冬場の避難生活や夏場の停電を想定)

運用:

  • 年1〜2回は実際に使って残量を確認しつつ、充電して戻す(「使いながら備える」)

  • 防災リュックの中に入れっぱなしにせず、熱がこもらない場所で保管

子どもに持たせる場合の注意点

子どもに持たせる場合は、次のような条件を優先します。

  • 小型・小容量(5,000〜10,000mAh程度)で、過度な高出力は避ける

  • 丈夫な樹脂筐体で、角が鋭くないデザイン

  • 過充電・過放電・温度保護などの安全機能が明記されていること

  • ケーブルを乱暴に引っ張りにくい設計(L字ケーブルなど)

加えて、「熱くなったらすぐ先生や親に渡す」「濡れたら使わない」など、子ども自身への教育も重要です。


買ってはいけない・使ってはいけないモバイルバッテリーの特徴

購入前に避けるべきNGポイント

特徴具体例・見分け方なぜ危険か
PSEマークがない、または表示が不自然本体・パッケージにPSEが見当たらない、ロゴが粗いなど日本の基準を満たしていない可能性が高い
事業者名・連絡先が不明瞭メーカー名が英語の略字だけ、サイトに住所がないトラブル時のサポートやリコール対応が期待できない
異常な低価格+過剰なスペック表記20,000mAh/60W出力なのに数百円台など安価な部品・不十分な安全設計のリスク
説明文・パッケージの日本語が極端に不自然誤字脱字だらけ、意味が通じない正規の日本向け製品でない可能性
レビューが不自然同じ文章が繰り返される、短文★5が大量サクラレビューで品質が隠されている可能性

使用中に出た危険サイン(チェックリスト)

以下のうち一つでも当てはまる場合は、使用を中止し、可能であればメーカーや販売店に相談してください。

  • 本体が膨らんでいる、または明らかに変形している

  • 以前より充電中の発熱が強くなった

  • 焦げ臭いにおいがする、または煙が出たことがある

  • 充電できたりできなかったり、不安定な動作が増えた

  • 何度も落下させており、外装が割れている・へこんでいる

こうなったら即使用中止・廃棄を検討すべきケース

  • 使用中・充電中に、素手で触れないほど高温になった

  • 火花や煙が激しく出た、または小さな炎が見えた

  • 液漏れしている、または内部が見えるほど破損している

このような場合は、決して顔を近づけたりせず、火花や煙の勢いが収まってから、可能であれば安全な場所で消火・冷却することが推奨されます。危険を感じる場合はすぐに119番通報し、消防の指示に従ってください。


安全に長く使うための取り扱い・保管・廃棄のポイント

日常で気をつけるべき充電・使用時のルール

  • 就寝中の枕元や布団の上での充電は避ける

  • 充電中はなるべく目の届く場所に置き、長時間放置しない

  • 落下させないよう、安定した場所に置いて充電する

  • 濡れた手で触らない、水回りの近くで使用しない

高温・低温・車内放置を避けるコツ

リチウムイオン電池は高温に弱く、とくに夏場の車内は危険です。公的機関やメーカーも、高温環境への放置を避けるよう繰り返し注意喚起しています。

  • 真夏の車内や直射日光の当たる窓際には置かない

  • 炎天下のテント内・車中泊など、密閉空間での充電に注意する

  • 冬場の極端な低温下では、仕様の使用温度範囲を確認したうえで使用する

準固体電池やナトリウムイオン電池など、使用温度範囲が広いモデルは、こうした環境でも比較的安定して使えるよう設計されていますが、それでも「高温放置を避ける」基本は変わりません。

寿命の見極め方と正しい処分方法

一般的に、モバイルバッテリーは2〜3年程度の使用で性能が劣化していきます。以下のサインがあれば、買い替えを検討してください。

  • 以前より明らかに充電できる回数が減った

  • フル充電してもすぐに残量が減る

  • 充電中・使用中の発熱が増えてきた

廃棄する際は、絶対に一般ごみに混ぜて捨てないでください。リチウムイオン電池を含む製品を一般ごみとして捨てた結果、ごみ収集車内やごみ処理施設で火災が発生するケースが多数報告されています。

  • お住まいの自治体の「小型充電式電池」「危険ごみ」などの区分を確認する

  • 家電量販店やホームセンターなどに設置された回収ボックスを利用する

  • メーカーが独自の回収プログラムを用意している場合は、それを利用する


よくある質問(FAQ)

100均や極端に安いモバイルバッテリーは危険ですか?

「100均だから必ず危険」というわけではありませんが、極端に安い高容量・高出力モデルは特に注意が必要です。
PSEマークや事業者名の表示、安全機能の有無などを確認し、少しでも不安があれば購入を見送るのが無難です。

既に持っている古いモバイルバッテリーは使っても大丈夫?

購入から数年経過している、または膨らみや発熱などのサインがある場合は、安全のため買い替えを推奨いたします。
使用年数が3年を超えている場合は、状態が良く見えても、防災用途としての「最後の砦」として使い続けるのは避けたほうが安心です。

飛行機内に持ち込めるモバイルバッテリーの条件は?

一般的に、航空会社や国際規則では、一定容量(Wh)を超えるモバイルバッテリーの持ち込みに制限があります。
多くの航空会社では、100Whまでを機内持ち込み可、100〜160Whは申告や個数制限あり、それ以上は不可といった基準を採用していますが、詳細は航空会社や路線によって異なります。最新の規定を必ず事前に確認してください。

防災用にどのくらいの容量を用意すべき?

目安として、家族1人あたり10,000mAh前後を1〜2日分の最低ラインと考え、3日程度をしのげる容量を確保すると安心です。
家族4人であれば、20,000mAhクラスを2台、または30,000mAhクラス+10,000mAhクラス1台など、合計40,000mAh前後を1つの目安として検討してみてください。


まとめ|「危なくないモバイルバッテリー」を選ぶための行動リスト

最後に、本記事の要点を行動リストとして整理いたします。

  1. PSEマークと表示を確認する
    本体にPSEマーク、定格容量・事業者名が明確に表示されているかをチェックします。

  2. 電池の種類と安全機能を確認する
    可能であれば、リン酸鉄リチウム・ナトリウムイオン・準固体電池など、安全性を高めた方式も検討します。
    過充電・過放電・過電流・温度保護などの安全機能が明記されている製品を選びます。

  3. 用途別に容量・台数を決める
    通勤用、防災用、子ども用など、用途ごとに必要な容量と台数を整理してから購入します。

  4. 「安さ」だけで選ばない
    異常に安い高スペック製品や、事業者情報が不十分な製品は避けます。
    信頼できるメーカーや販売チャネルを選びます。

  5. 使い方・保管・廃棄まで含めて安全を考える
    高温環境・車内放置を避け、異常を感じたらすぐに使用を中止します。
    寿命が来たと感じたら、自治体や回収ボックスなど適切な方法で廃棄します。

モバイルバッテリーは、適切に選び、正しく使えば非常に便利で心強い道具です。一方で、選び方や使い方を誤ると、住宅火災やごみ処理施設での火災など、大きな事故につながるリスクもあります。

本記事でご紹介したポイントを参考に、「危なくないモバイルバッテリー」を賢く選び、ご家庭や職場での安全確保、防災対策にお役立ていただけましたら幸いです。