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民事裁判で相手が嘘ばかりのときに負けない方法|争点と証拠の組み立て手順

訴状や相手の準備書面を読んだ瞬間、「事実と違うことばかり書いてある」「こんな嘘が通ったら終わりだ」と、胸がざわついたのではないでしょうか。民事裁判が初めてならなおさら、相手の言い分だけが強く見えて、何をどう反論すればよいのか分からなくなりがちです。

しかし、民事裁判は“声の大きいほう”が勝つ仕組みではありません。裁判官が重視するのは、主張の勢いではなく、証拠との整合性説明の一貫性です。相手の主張が嘘だらけに見えるときほど、感情で押し返すより、手順に沿って「矛盾を固定し、反証を積み上げる」ほうが確実に結果へ近づきます。

この記事では、偽証罪と過料の違いなど誤解されやすいポイントを整理したうえで、訴状を受け取ってから48時間でやること時系列表と争点カードで反論を組み立てる方法当事者尋問で崩れない準備まで、チェックリスト形式で具体的に解説します。読み終えたときに「次に何をすればいいか」が明確になり、不安を行動へ変えられるはずです。

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目次

民事裁判が嘘だらけと感じる理由は三つある

民事裁判で“嘘が横行している”ように見える背景には、制度と人間心理の両方が絡んでいます。理由を知ると、必要以上に振り回されにくくなります。

民事裁判は書面中心で主張が強く見えやすい

民事裁判は、日常会話のようなやり取りではなく、書面(訴状・答弁書・準備書面など)を積み上げて進みます。書面は、相手の主張を最も有利な形に整えて書くため、実態より断定的で、攻撃的に見えがちです。

また、事実そのものではなく「評価(ひどい対応だった、約束を破った等)」が混ざると、あなたから見て“嘘”のように感じることが増えます。ここで大切なのは、相手の文章に腹を立てる前に、「事実」なのか「評価」なのかを切り分けることです。

  • 事実:いつ、どこで、誰が、何をした

  • 評価:それは悪質だった、詐欺だ、常識外れだ

裁判官が判断しやすいのは、基本的に前者です。後者は、事実の積み上げがあって初めて説得力を持ちます。

裁判所は提出直後に真偽を決めない

訴状を読んで「こんな嘘の内容で受理されるのか」と感じる方は多いのですが、裁判所は訴状の段階で真偽を細かく審査して採否を決める仕組みではありません。まずは手続として成立するか(形式面)を確認し、双方の主張と証拠を揃えたうえで判断していきます。

そのため、訴状の時点で相手が極端なストーリーを書いていても、そこですべてが決まるわけではありません。ここから先、あなたが「争点を絞り」「証拠で固め」「矛盾を固定」できるかで、心証は大きく変わります。

嘘を暴くことと勝つことは別で動く

「相手が嘘をついている」と感じたとき、自然に湧く発想は「嘘を証明すれば勝てるはず」です。ところが民事裁判は、嘘を暴くゲームというより、要件(法律上必要な事実)を証拠で満たすゲームに近い面があります。

たとえば、相手が一部で嘘をついていたとしても、相手が“必要な部分”を証拠で固めていれば、全体として相手が有利になることもあります。逆に、相手が盛っていても、あなたが必要部分を押さえていれば、相手の主張は採用されません。

だからこそ、あなたが目指すべきは次の二本立てです。

  1. 相手の主張の信用性を下げる(矛盾・不整合を証拠で示す)

  2. あなたの主張を成立させる(要件部分を証拠で満たす)

この二つを同時に進めると、勝ち筋が現実になります。


まず48時間でやることは五つある

相手の嘘が気になっても、最初の段階でやるべきことは「言い返す」ではありません。民事裁判は期限が厳格で、初動が遅れるほど不利になりやすいからです。以下は、訴状を受け取ってから48時間以内に進めたい最低ラインです。

期限と期日を確認してメモする

最初に確認するのは、あなたの感情ではなく「日付」です。

  • 口頭弁論期日(または弁論準備の期日)

  • 答弁書の提出期限(実務では期日の1週間前目安など運用差があります)

  • 事件番号、係属部(裁判所の担当)

ここを誤ると、優位不利以前に土俵に立てなくなります。まず紙やカレンダーに固定しましょう。

相手の請求を一文で要約する

訴状は長くても、核心は「請求の趣旨」と「請求原因」です。次のように一文で要約します。

  • 相手は何を求めているのか(お金/引渡し/差止め等)

  • その根拠は何だと言っているのか(契約/不法行為等)

  • いつ何があったと言っているのか

要約ができると、反論も証拠も整理しやすくなります。

認否を仮置きして争点をあぶり出す

答弁書や初期段階の認否(認める/争う/不知)は、その後の流れを左右します。ここで重要なのは、完璧に仕上げることではなく、まず“仮置き”して争点を見える化することです。

  • 明らかに事実でない:争う

  • 自分の記憶だけでは確定できない:不知(安易に認めない)

  • 事実は認めるが評価は争う:事実は認め、違法性・過失などは争う

この切り分けができると、「何を証拠で固めるべきか」が見えてきます。

証拠を棚卸しして「散らばり」を止める

嘘を崩すカギは証拠ですが、証拠は“あるのに散らばっている”ことが非常に多いです。まずは集め切ります。

  • 契約書、覚書、約款、見積書、注文書

  • 請求書、領収書、振込明細、通帳履歴、カード明細

  • メール、LINE等のやり取り(前後含む)

  • 写真、動画、位置情報、日報、日記

  • 第三者の資料(勤務記録、診断書、修理記録など)

ポイントは、編集や加工をせず、原本・原データの形を保つことです。切り抜きだけで勝負すると、後で「恣意的」と見られるリスクが上がります。

時系列表を作って矛盾の土台を作る

最後に、時系列表で“あなたの世界”を一枚にまとめます。これができると、準備書面も尋問準備も驚くほど楽になります。

時系列表の項目例

  • 日付(不明なら「2025年3月上旬」など幅で記載)

  • 出来事

  • 相手の主張(どの書面のどの段落か)

  • こちらの主張

  • 証拠(証拠番号の予定)

  • 矛盾・違和感メモ

ここまでが48時間の最低ラインです。嘘に怒る前に、まず土台を作る。これだけで、あなたの不利は大きく減ります。


民事裁判で嘘をつくとどうなるのかを整理する

「嘘をついても罪にならないのか」という疑問は当然です。ただし、民事裁判では、刑事罰(偽証罪)と、手続上の制裁(過料など)が混同されやすいので、落ち着いて整理しましょう。

偽証罪は原則として証人が対象になる

偽証罪は、宣誓した証人が虚偽の陳述をした場合に成立し得る犯罪です(刑法の偽証罪の枠組み)。民事裁判でも証人が宣誓して証言する場面があり、その場合は問題になり得ます。

一方、原告・被告といった当事者本人は通常「証人」ではありません。そのため、当事者本人が自分の立場に沿う説明をしても、直ちに偽証罪として扱われる構造ではありません。ここが誤解されやすいポイントです。

当事者尋問で宣誓した当事者の虚偽は過料の対象になり得る

民事訴訟法には、当事者本人の尋問(当事者尋問)に関する規定があり、宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときに、裁判所が決定で過料に処し得る旨が定められています(民事訴訟法209条)。

ただし、一般の読者がここで期待しがちな「嘘をついたら即アウト」という単純な話ではありません。民事裁判の現実的な痛手は、多くの場合、過料そのものよりも次の点です。

  • 裁判官の心証が悪化する(信用性が落ちる)

  • 書面全体が疑われ、重要部分まで採用されにくくなる

  • 矛盾が固定され、和解交渉でも不利になる

つまり、「罰があるか」より「信用が落ちるか」を中心に考えたほうが、勝ち筋に直結します。

不出頭・宣誓拒否・陳述拒否の効果は“可能性”として理解する

当事者尋問では、正当な理由なく出頭しない、宣誓を拒む、陳述を拒む場合に、裁判所が事情を踏まえて、その尋問事項について相手方の主張を真実と認める判断をする可能性があります(民事訴訟法208条)。

ただし、ここは誤解が生まれやすい点です。「必ず相手の主張が真実扱いになる」と決まっているわけではなく、個別事情や全体の証拠状況の中で評価されます。とはいえ、読者の立場からすれば、出ない・拒むという選択はリスクが高いことは押さえておくべきです。


嘘を崩す鍵は証拠の強弱と並べ方にある

民事裁判で「嘘だらけ」に見える相手を崩すには、証拠が必要です。ただし、証拠は「持っている」だけでは足りません。強い順に集め、矛盾が出る形で並べることが重要です。

強い証拠は客観性が高く改変しにくいもの

一般に、強い証拠は次の特徴があります。

  • 作成時期が明確

  • 第三者性(当事者以外が関与)

  • 改変の痕跡が残りやすい、または改変しにくい

  • 文脈が明確(前後関係が分かる)

典型例は、契約書、入出金記録、領収書、業務記録、診断書などです。まずはここから固めましょう。

LINE・メール・録音・写真を使うときの注意点

これらは有効ですが、出し方を誤ると「信用性」が落ちることがあります。コツは三つです。

  1. 前後関係を切らない
    一部の切り抜きだけを出すと、相手から「都合よく切った」と反撃されます。必要な範囲は前後を含めて提出します。

  2. 原データを保存しておく
    スマホの機種変更やアプリの不具合で消えることがあります。バックアップを取り、提出形を想定して整理します。

  3. 時系列表に埋め込む
    証拠は単体より「いつの何の出来事か」が重要です。時系列表に貼り付けるように位置付けると、裁判官に伝わりやすくなります。

証拠は「相手の嘘を証明する」より「矛盾を固定する」

「嘘を100%証明する」ことは難しい局面が少なくありません。しかし、民事では、次のような形で十分に効きます。

  • 相手の主張Aが、証拠1と合わない

  • 相手の主張が書面ごとに変わっている

  • 重要部分の説明が不自然で、経験則に反する

つまり、あなたが狙うべきは「嘘の断罪」より「不整合の固定」です。固定できれば、相手の主張は採用されにくくなります。


争点カードで反論書面を一気に組み立てる

ここからが差別化ポイントです。多くの解説は「証拠が大事」で止まりますが、読者が欲しいのは「どう書面に落とすか」です。そこで、実際に使える“型”として、争点カードを提案します。

争点カードのテンプレート

争点ごとに、次の項目を1枚にまとめます。

  • 争点名(短く:例「契約成立の有無」「支払済みか」)

  • 法律上の要件(その争点で必要な事実)

  • こちらの主張(要点3つ)

  • 相手の主張(引用:書面の箇所)

  • 根拠証拠(証拠番号)

  • 相手主張との矛盾(どこが合わないか)

  • 次に出す書面・提出物(準備書面第1/第2など)

このカードを争点の数だけ作ると、準備書面はほぼ「清書」作業になります。

争点×証拠マトリクスで不足を見つける

次に、争点を縦、証拠カテゴリを横に並べたマトリクスを作ります。例は以下です。

争点 契約書等 入出金 連絡履歴 第三者資料 写真・記録 メモ
契約成立 × 署名日とメール合致
支払の有無 × × × 振込名義に注意
解除の適法性 × × 通告時期が争点

セルを埋めると、弱い争点(×や△が多い)が見えます。そこは無理に断定せず、言える範囲を整えるか、追加証拠の探索をします。


答弁書から準備書面までの進め方は「失点回避→得点設計」

相手が嘘だらけに見えるときほど、こちらが感情で走り、失点しがちです。書面は、段階ごとに目的が違います。

答弁書は「争う姿勢」と「認否の骨格」を示す

答弁書は、長文で完璧に戦う場ではなく、主に次を達成する書面です。

  • 請求を争うのか認めるのかを明確にする

  • 主要事実について認否の方向性を示す

  • 以後、準備書面で詳細に主張立証する土台を作る

ここで致命的なのは、期限遅れや、認否の放置です。まずは失点を防ぎます。

準備書面は「争点ごとに要件と証拠を対応付ける」

準備書面は、あなたの反論を裁判官の頭の中に組み立てる作業です。コツは、文章をうまく書くことではなく、争点ごとに分け、証拠番号と結び付けることです。

構成例は以下が分かりやすいです。

  • 第1 争点Aについて
    1 相手主張(引用)
    2 当方の主張
    3 根拠証拠(証拠番号)
    4 相手主張の矛盾(不整合の固定)

  • 第2 争点Bについて(同様)

これを争点カードに沿って並べれば、裁判官は判断しやすくなります。

相手の「嘘」を裁判官に通る言葉へ翻訳する

裁判官が評価するのは、人格攻撃ではなく整合性です。したがって表現はこう変えます。

  • 悪い例:「相手は平気で嘘をつく」

  • 良い例:「相手主張は証拠1の日時と整合しない」

  • 良い例:「相手は書面AではX、書面BではYと述べ、重要部分が変遷している」

  • 良い例:「経験則上不自然で、客観資料と合わない」

この“翻訳”ができると、嘘は勝手に崩れます。


当事者尋問・証人尋問が怖いときの準備は整合性がすべて

尋問は、話し上手が勝つ場ではありません。むしろ、準備が甘いと、誠実に話しているつもりでも矛盾が生まれます。逆に、整合性の準備ができていれば、緊張しても崩れにくいです。

裁判官が見るポイントは一貫性と客観性

裁判官は、供述の信用性を次のような観点で見ます。

  • 客観証拠と矛盾しないか

  • 説明が変遷していないか

  • 不自然に作り込まれていないか

  • 重要部分でぶれていないか

言い回しの上手さより、資料との整合性が重視されます。

尋問前に作る「尋問用ミニ台本」

おすすめは、争点カードから、尋問で問われる可能性が高い点だけ抜き出した“ミニ台本”を作ることです。

  • 争点ごとの要点(3つまで)

  • その要点を支える証拠(番号)

  • 相手の主張との差(矛盾点)

  • 言い切れない部分(不知・記憶が曖昧)を正直に言う準備

「分からないことを分からないと言える」ことは、むしろ信用性につながります。無理に断定して矛盾を作るほうが危険です。

当事者尋問での虚偽は過料の可能性がある

当事者尋問では、宣誓した当事者が虚偽の陳述をした場合、裁判所が過料に処し得る規定があります(民事訴訟法209条)。
この点からも、「盛る」「断定する」「都合よく作る」は避け、整合性重視で準備するのが安全です。


やってはいけない行動は信用性を一気に落とす

相手が嘘だらけに見えると、あなたも強い言葉で対抗したくなります。しかし、民事裁判では“こちらの信用性”が武器です。失点行動を避けるだけで勝率が上がります。

やってはいけないチェックリスト

  • こちらも嘘・誇張で対抗する(矛盾が出た瞬間に不利)

  • 推測を事実のように書く(根拠を示せない断定は危険)

  • 証拠を加工・改変する(信用性が致命傷)

  • SNS等で相手を名指しして攻撃する(紛争を悪化させやすい)

  • 期限を軽視して提出が遅れる(内容以前に不利)

  • 「相手が嘘だから勝てる」と立証を怠る(要件を満たさないと負ける)

特に証拠は、見た目を整えたくなっても“加工しない”を原則にしてください。切り抜き提出が必要な場合でも、前後関係や原データの存在を説明できるように整えるほうが安全です。


弁護士に相談すべき基準は「事件の重さ」と「整理の難しさ」

自力で進められる事件もありますが、嘘が絡むと争点と証拠が複雑化しがちです。次に当てはまる場合は、早めに相談すると失点を避けやすいです。

相談を強く推奨するサイン

  • 請求額が大きく、生活や事業に直撃する

  • 争点が複数で、どれが勝敗に直結するか分からない

  • 証拠が散らばり、時系列表が作れない

  • 相手の主張が頻繁に変わり、反論の軸が定まらない

  • 当事者尋問・証人尋問が予定されている

相談前に揃えると効果が高い資料

  • 訴状、証拠説明書、相手準備書面(あるもの全部)

  • あなたが作った時系列表(未完成で可)

  • 争点カード(できる範囲で可)

  • 主要証拠(契約・入出金・連絡履歴)

  • 望むゴール(和解したい/全面的に争う等)

「全部依頼しないと意味がない」と思い込みがちですが、スポット相談で書面の骨格だけ整える、という関わり方もあります。まずは失点を防ぐ目的で相談するのも合理的です。


よくある質問

相手が嘘をついていると確信しています。裁判所に嘘だと言えば勝てますか

「嘘だ」と言うだけでは足りないことが多いです。どの部分が、どの証拠と、どう矛盾するのかを示すことで、初めて信用性の評価に乗ります。時系列表と争点カードで、矛盾を固定する形にすると通りやすくなります。

民事裁判で当事者が嘘をついたら逮捕されますか

一般論として、偽証罪は宣誓した証人が虚偽の陳述をした場合に問題となり得ます。
当事者本人については、当事者尋問で宣誓したうえで虚偽の陳述をした場合に過料の対象となり得る、という整理が基本です(民事訴訟法209条)。
ただし、現実的に大きいのは刑罰の有無より、信用性が落ちて裁判の心証が悪化する点です。

証拠が弱いときはどうすればよいですか

弱い部分を無理に断定しないことが第一です。そのうえで、周辺事実(入出金、日時、やり取り、第三者資料)から積み上げ、矛盾を固定します。争点×証拠マトリクスで不足箇所が見えれば、追加で集めるべき資料も具体化できます。

LINEや録音は証拠になりますか

なり得ます。ただし、切り抜きだけではなく前後関係を示し、時系列の中で位置付けることが重要です。原データの保存や提出形(全体が分かる形)の準備も行うと安全です。

当事者尋問が怖いです。何を準備すべきですか

話し方より、整合性です。時系列表、争点カード、証拠番号との対応を固め、「分からないことは分からない」と言える線引きを準備してください。虚偽で盛るほど矛盾が生まれ、信用性を落としやすくなります(民事訴訟法209条の趣旨とも整合します)。


参考にした情報源