「耳が詰まった感じがする」「こもったように聞こえる」「ボワーンとする」。
このような違和感が続くと、多くの方がまず行うのが、検索エンジンや知恵袋での情報収集です。
しかし、知恵袋などのQ&Aサイトに投稿されている回答は、
その人の体験談に基づくものが多い
医師による回答とは限らない
自分の症状にそのまま当てはまるとは限らない
という特徴があります。
本記事では、「耳が詰まった感じ 治し方 知恵袋」と検索する読者の皆様に向けて、一般的な耳鼻科の考え方に基づきつつ、自宅でできる対処法と受診すべき目安を整理して解説いたします。
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なぜ「耳が詰まった感じ」が起きるのか — 主な原因
耳垢による耳詰まり
外耳道（耳の穴）に耳垢がたまり、物理的に音の通り道をふさいでしまうと、耳が詰まったように感じます。特に、
綿棒などで頻繁に耳掃除をしている
お風呂やプールのあとに違和感が出た
片耳だけ急にこもる感じがある
といった場合、耳垢栓塞（じこうせんそく）と呼ばれる状態の可能性があります。
耳垢が原因であれば、耳鼻科で適切に除去することで、比較的すぐに症状が改善するケースが多いです。自己流で深くまで耳掃除をすると、かえって耳垢を奥へ押し込んでしまうことがあるため注意が必要です。
耳管の異常（耳管狭窄症・耳管開放症）
中耳（鼓膜の奥）と鼻の奥をつなぐ「耳管」は、気圧の調整に重要な役割を持ちます。この耳管がうまく働かないと、以下のような症状が出ることがあります。
耳が詰まった感じが続く
自分の声が響く
飲み込んだときだけ一瞬楽になる／逆に悪化する
耳管がうまく開かない状態（耳管狭窄症）では、気圧差が解消できず耳閉感が続きます。一方、常に開きすぎている状態（耳管開放症）では、自声が響いたり、耳の違和感が長く続くなどの症状が出ます。
中耳〜内耳の疾患（中耳炎、滲出性中耳炎、突発性難聴など）
中耳や内耳に炎症・障害がある場合も、耳の詰まり感や聞こえにくさを引き起こします。
中耳炎：痛みや発熱を伴うことが多い
滲出性中耳炎：中耳に液体が溜まり、軽度の難聴・耳閉感が続く
突発性難聴：片耳が急に聞こえにくくなる、耳鳴りやめまいを伴う場合も
このような疾患が疑われる場合、早めの耳鼻科受診が重要です。特に、急な聞こえの低下や強い耳鳴り・めまいを伴う場合、放置すると回復が困難になることがあります。
鼻・のどの炎症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎など
風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎があると、鼻の奥やのどの粘膜が腫れ、耳管の周囲にも影響が出ます。その結果、耳管の通りが悪くなり、中耳との気圧差が生じて耳が詰まったように感じることがあります。
風邪のあとに耳が詰まった
花粉症シーズンに耳の違和感が増える
鼻づまり・後鼻漏（のどへ落ちる鼻水）がつらい
このような場合は、鼻炎・副鼻腔炎の治療と並行して耳の症状も改善していくケースが多く見られます。
気圧の変化・水の侵入など
飛行機の離着陸、山道ドライブ、ダイビングなど、急激な気圧変化があると、一時的に耳が詰まったように感じることがあります。また、水泳や入浴で耳に水が入ったときにも、同様の違和感が生じます。
多くの場合、嚥下（つばを飲む）、あくび、軽い耳抜きなどで自然に改善しますが、痛みや強い違和感が続く場合は受診を検討してください。
自宅でできる “軽度の耳の詰まり” の治し方
※以下は、軽度の耳閉感で、強い痛みや急激な聴力低下がない場合の一般的な対処法です。
危険な症状がある場合は、後述の「受診判断」を優先してください。
嚥下・あくび・ガム・水分摂取などの習慣的対処
耳管は、嚥下やあくびの動きに合わせて開閉し、気圧調整を行います。次のような方法を試すことで、耳の詰まり感がやわらぐことがあります。
つばを何度か飲み込む
大きくあくびをする
ガムを噛む・飴をなめる
こまめに水やお茶を飲む
とくに飛行機や山道など、気圧変化が予想される場面では、事前にガムや飴を用意しておくとよいでしょう。
やさしい耳抜き（バルサルバ法など）のやり方
バルサルバ法は、以下の手順で行います。
鼻を軽くつまむ
口を閉じる
軽く息を鼻の奥へ送る（「フンッ」と強くやり過ぎない）
中耳に空気が送られることで、「ポン」といった感覚とともに詰まりが改善する場合があります。
注意点：
痛みを感じたらすぐに中止する
強い力で何度も繰り返さない
風邪や中耳炎が疑われるときは無理に行わない
鼻うがい・鼻洗浄、加湿・温蒸気などの補助法
鼻やのどの炎症・アレルギーが原因で耳管の通りが悪くなっている場合、次のような方法で症状が軽くなることがあります。
市販の鼻うがいキットを用いて、専用の洗浄液で鼻腔を洗浄する
加湿器を使って室内の湿度を保つ
蒸しタオルを鼻やのど周りにあて、温める
ただし、水道水をそのまま鼻に入れる、自己流の鼻洗浄を行うなどは危険な場合もあるため、必ず専用キットと説明書に従うことが大切です。
やってはいけない行動と注意点
知恵袋の投稿のなかには、自己流でのケアが紹介されていることもありますが、以下のような行為はおすすめできません。
綿棒や耳かきで奥まで強く耳掃除をする
金属製や先の尖った器具を使う
「抜けないから」と強く何度も耳抜きをする
鼻を強くかみ続ける
これらの行為は、外耳道・鼓膜・中耳を傷つけるリスクがあり、かえって症状を悪化させる原因となります。
市販薬・漢方薬の使いどころと注意点
耳閉感に耳鳴りや血行不良が関係していると考えられる場合、血流改善成分を含む市販薬や、耳鳴り・めまい向け漢方薬が選択肢となることがあります。
アレルギー性鼻炎や鼻づまりが強い場合、抗ヒスタミン薬や点鼻薬により鼻の通りを良くすることで、耳の違和感が軽くなることもあります。
ただし、市販薬はあくまで一時的な対症療法であり、原因そのものを特定・治療するものではありません。
数日〜1週間程度使用しても改善しない
むしろ悪化した気がする
症状が強い
このような場合は、市販薬の継続ではなく耳鼻科受診を優先してください。
知恵袋の情報だけに頼らないための「受診判断チャート」
ここでは、知恵袋などのネット情報だけで判断せず、どのタイミングで耳鼻科に行くべきかの目安を整理します。
自宅対処で様子を見てもよいケース
次の条件にすべて当てはまる場合は、まず自宅での対処を試しつつ経過を見ることが考えられます。
軽い詰まり感のみで、強い痛みがない
聴力の低下は自覚してもごく軽い
耳鳴り・めまい・耳だれがない
飛行機や風邪など、原因に心当たりがある
1〜2日程度の経過で、少しずつ改善傾向がある
耳鼻科受診を検討すべきケース
次のような場合は、なるべく近いうちに耳鼻科での診察を検討してください。
詰まり感が数日以上続き、一向に改善しない
軽い耳鳴りや聞こえにくさを伴っている
鼻炎・副鼻腔炎・アレルギーが長期化している
同じ耳で詰まり感を繰り返している
できるだけ早めに受診すべき緊急サイン
以下の症状のいずれかがある場合は、知恵袋ではなく医療機関へ相談することを強くおすすめいたします。
片耳だけ急に聞こえにくくなった
強い耳鳴り・めまい・吐き気を伴う
強い耳の痛み、耳だれ、発熱がある
数週間〜数か月にわたり、詰まり感が続いている
突発性難聴や重い中耳炎など、早期対応が重要な疾患の可能性もあるため、「そのうち治るだろう」と放置しないようご注意ください。
耳鼻科で行われる主な治療法
通気療法・耳管通気
耳管の通りが悪くなっている場合、中耳に空気を送り込んで気圧を整える通気療法（耳管通気）が行われることがあります。
患者様としては、
耳の中に空気がスーッと入る感覚
その後、詰まり感が軽くなる
と感じることが多い処置です。
内服薬・点鼻・粘液調整薬などの薬物療法
耳の詰まり感の原因が鼻炎・副鼻腔炎・アレルギー・炎症などの場合、次のような薬が処方されることがあります。
抗生物質（細菌性炎症が疑われる場合）
抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬
粘液調整薬（痰・鼻水をさらさらにする薬）
点鼻薬・ステロイド点鼻薬 など
これらは医師の診断のもとで処方されますので、自己判断で市販薬を長期使用するよりも安全性・有効性の面でメリットがあります。
滲出液がある場合の鼓膜切開や換気チューブ留置術
滲出性中耳炎などで中耳に液体がたまっている場合、鼓膜を小さく切開して液体を排出する処置が行われることがあります。
また、再発を繰り返す場合や長期化する場合には、鼓膜に小さなチューブを挿入して換気を保つ「換気チューブ留置術」が検討されることもあります。
重症化・慢性化した場合の治療選択肢
長期間放置した中耳炎や、真珠腫性中耳炎など重い疾患に進行してしまった場合、手術が必要となるケースもあります。
そのような事態を避けるためにも、
詰まり感・聞こえにくさが長引く
痛みや耳だれを繰り返す
といった場合には、早い段階で耳鼻科に相談することが重要です。
放置するとどうなるか — リスクと注意点
聴力低下や慢性中耳炎などのリスク
耳の詰まり感を「ただの違和感」と軽く考え、長期間放置すると、次のようなリスクが高まります。
聴力が徐々に低下し、元に戻りにくくなる
滲出性中耳炎や慢性中耳炎へ進展する
真珠腫性中耳炎などの重い病気につながる可能性
聴力は一度大きく損なわれると、元に戻りづらいことも多いため、「聞こえ方」に変化を感じた段階で受診することが大切です。
間違ったセルフケアによる悪化リスク
知恵袋などには「この方法で治りました」といった体験談が多く投稿されていますが、その一部は他人にとっては危険な場合もあります。
金属製の耳かきで奥まで掃除した結果、外耳道を傷つけた
強烈な耳抜きを繰り返して鼓膜に負担をかけた
独自の鼻洗浄法で鼻や耳を痛めた
といったトラブルは、決して珍しくありません。
「自分に合うかどうか分からない方法を、自己責任で試しすぎない」ことが重要です。
よくある質問（FAQ）
耳掃除をしてもいい？
耳垢が原因の耳詰まりはありますが、自分で奥まで掃除することは推奨されません。
耳垢は通常、外側へ自然に排出される仕組みがあり、やり過ぎの耳掃除はかえってトラブルの元になります。詰まり感が強い場合は、耳鼻科での耳垢除去を検討してください。
市販薬だけで治しても大丈夫？
軽い耳閉感や鼻炎が原因と思われる場合、市販の鼻炎薬・漢方薬などで一時的に楽になることはあります。ただし、
数日〜1週間以上使用しても改善しない
むしろ悪化している
聞こえ方に明らかな変化がある
といった場合は、市販薬の継続ではなく、耳鼻科受診を優先するほうが安全です。
耳抜きはどこまでやってよい？
気圧変化による詰まり感に対して、軽めの耳抜きは有効なことがありますが、
強い力で何度も繰り返さない
痛みを感じたらすぐ中止する
風邪や中耳炎が疑われるときは控える
といった点を守ることが重要です。「やればやるほどよい」というものではありません。
子ども・高齢者の「耳が詰まった感じ」はどう見る？
子どもや高齢者は、自分の症状をうまく説明できないことも多く、
テレビの音を大きくする
何度も聞き返す
耳をよく触る
といった行動で耳の不調に気付くことがあります。
このような様子が続く場合は、「年齢のせい」と決めつけず、一度耳鼻科での検査を受けることをおすすめいたします。
どのくらい様子を見てよい？
一般的には、
軽い詰まり感のみで、1〜2日程度で改善傾向が見られる
といった場合は、数日間の経過観察も一つの判断です。
しかし、
2〜3日以上続く
聞こえの低下・耳鳴り・めまい・痛みのいずれかを伴う
場合は、できるだけ早めに耳鼻科を受診するほうが安心です。
まとめ — 知恵袋＋専門情報を上手に活用するコツ
本記事では、「耳が詰まった感じ 治し方 知恵袋」と検索する読者の皆様に向けて、
耳が詰まった感じが起きる主な原因
自宅でできる安全な対処法
市販薬・漢方薬の使いどころと限界
医療機関を受診すべきタイミングと、耳鼻科での治療内容
放置や誤ったセルフケアのリスク
を整理して解説いたしました。
知恵袋の体験談は、「同じ悩みを持つ人がいる」という安心感を与えてくれますが、最終的な判断は専門家の情報と医師の診察に基づいて行うことが重要です。
軽い一時的な詰まり感 → 自宅ケア＋短期間の様子見
数日以上続く／聞こえ方に違和感 → 耳鼻科受診を検討
急な聴力低下・強い痛み・めまいなど → できるだけ早く受診
という基準を、ぜひ目安としてお役立てください。