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MDPIが怪しいと言われる理由は?特集号・査読・APCを点検する方法

MDPIについて「怪しい」という評判を見かけると、投稿の判断が一気に難しくなります。特に、学位審査や採用が視野にある時期は「後から評価で不利になりたくない」という不安が強くなるはずです。
本記事では、MDPIを一括りに断定せず、あなたが検討しているそのジャーナルと、特集号ならその特集号を、投稿前の情報だけで点検して「出す/見送る」を決める手順を整理します。索引の確認から、編集体制、査読の透明性、特集号の見分け方、APCと取り下げ条件まで、チェックリスト形式で迷いを減らします。読み終えた時点で、指導教員や共著者にも説明できる判断材料が手元に残るはずです。

※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。

目次

MDPIが怪しいと言われる主な理由

勧誘メールが多いと「数を集めるだけ」に見えやすい

投稿依頼、査読依頼、Guest Editor(特集号の編集)依頼が頻繁に届くと、多くの研究者はまず警戒します。特に次の特徴が揃うと、不信感が強まります。

  • あなたの専門と合っていないのに、やたら褒めてくる

  • 論文タイトルや研究テーマが不自然にコピペされている

  • 期限を強調し、急がせる

  • 「あなたにだけ特別」など煽りが多い

この時点で「怪しい」と感じるのは正しく、まずは返信せずに落ち着いて点検するのが安全です。勧誘メールは“入口”に過ぎず、肝心なのは投稿先の実態です。

査読が速いことは悪ではないが、速さだけで安心はできない

査読が速いこと自体は、編集体制が整っていればメリットです。実際、分野によっては迅速な出版が重要で、一定のスピード感は歓迎されます。
一方で、粗悪なジャーナルは「査読が形だけ」になりやすく、速さを売りにして投稿を集めることがあります。したがって、見るべきは「何日で受理されたか」よりも、次の点です。

  • 査読コメントは具体的か(方法・解釈・先行研究への指摘があるか)

  • 修正要求が妥当か(体裁だけでなく内容に踏み込んでいるか)

  • Rejectが機能していそうか(掲載率が不自然に高い印象がないか)

  • 編集のやり取りが丁寧か(定型文だけで進まないか)

「速い=怪しい」と短絡せず、「速いけれど中身が濃い」かどうかで判断するのが現実的です。

特集号が多いと、質のばらつきと利益相反が疑われやすい

特集号(Special Issue)は、本来は研究テーマを集中的に扱う便利な仕組みです。ただし、特集号が大量に運用されると、運営の都合で募集が広がりすぎたり、編集統制が弱くなったりして、質のばらつきが生じやすくなります。
ここが「怪しい」と言われる最大の温床です。特集号に関しては、後段で「良い特集号」「危険な特集号」の見分け方を具体化します。

索引・収録の話題は不安を増幅させる

WoSやScopusの収録状況に関する話題は、「結局どっちなのか」という不安を強くします。重要なのは、ここから得る教訓は二つだけです。

  • 収録状況は、永続保証ではない

  • だからこそ、索引だけに頼らず、透明性と運用実態で補強する

この前提に立つと、噂や断定に振り回されにくくなります。


MDPIが全部ダメとは言い切れない理由

出版社ではなく「ジャーナル」と「特集号」で実態が変わる

MDPIは多数のジャーナルを運営しており、編集長・編集委員会・分野の慣行・特集号の運用は一様ではありません。
つまり、判断単位は「MDPI」ではなく、次の2段階です。

  • ジャーナル単位:編集体制・方針・読者層・過去論文の質

  • 特集号単位(該当する場合):テーマの妥当性・編集責任・査読の独立性

この切り分けをすると、「怪しいかどうか」を議論で終わらせず、手順として判定できます。

“投稿して良い”の定義は、あなたの評価イベントで変わる

同じ投稿でも、置かれた状況でリスクの重みが変わります。

  • 学位審査が近い:説明責任が重い(保守的に)

  • 採用・昇進の審査が近い:第三者評価に耐える必要(保守的に)

  • 共同研究:相手機関の方針が優先される(合意形成が必須)

  • 企業研究:社内監査・レピュテーションを考慮(より慎重に)

  • 速報性が重要:スピードを取りに行く合理性がある(ただし点検は必須)

迷ったときは「失敗したときの痛手」が大きい状況ほど、保守的に判断するのが安全です。

“説明できるか”が最終的な安全装置になる

投稿先の是非は、議論よりも説明可能性が現実的な基準になります。

  • なぜそのジャーナルなのか(読者層・適合性・先行研究の集積)

  • 透明性は担保されているか(編集体制・査読・倫理ポリシー)

  • 代替案と比べて合理的か(他誌との比較)

この3点が言葉にできれば、指導教員・共著者・審査側に共有しやすく、後悔が減ります。


MDPI投稿前に確認すべき全体フロー

まずはYes/Noで「見送るべき状況」を切り分ける

次の質問に「Yes」が多いほど、見送る判断が合理的になります。

  1. 受理前にAPC支払いを迫られる、または規約が不透明 → Yes/No

  2. 編集長・編集委員が実在確認できない/分野と噛み合わない → Yes/No

  3. ジャーナルの目的・範囲が広すぎて何でも入る印象が強い → Yes/No

  4. 特集号が「常時募集」に見え、締切延長が繰り返されている → Yes/No

  5. 連絡が雑で、質問しても具体回答がない → Yes/No

目安

  • Yesが2つ以上:一旦ブレーキ。追加確認か、代替投稿先を優先

  • Yesが3つ以上:見送る判断が安全側

  • Yesが0〜1:次のチェックリストで精査

次に「索引→編集→特集号→APC→合意形成」の順で点検する

おすすめ順は以下です。

  1. 索引と基本情報(ISSN、出版社、目的・範囲)

  2. 編集体制(編集長、編集委員会、連絡先、倫理)

  3. 特集号(該当する場合は個別に)

  4. APCと取り下げ・返金条件

  5. 指導教員・共著者・所属機関の方針との整合

この順番にすると、判断が“噂”ではなく“情報”に寄ります。


索引と評価指標の確認手順

何を確認するか:索引名、ISSN、確認日

索引確認で最低限押さえるのは、次の3つです。

  • 索引名(Scopus、Web of Scienceなど)

  • ISSN(同名誌・偽サイト対策にも有効)

  • 確認日(収録状況は変わり得るため、日付を残す)

確認の具体手順(手戻りを減らす順)

  1. ジャーナル公式ページで、ISSNと索引の表記を確認

  2. 索引側の公式検索で、ジャーナル名またはISSNを照合

  3. 確認日をメモ(スクリーンショットでも可)

  4. 学位・採用などが近い場合は、念のため指導教員に共有

索引確認でやりがちな誤解(先に潰しておく)

  • 誤解1:索引にある=永久に安全
    → 収録は変わり得るため、保証ではありません。

  • 誤解2:索引にない=全部ダメ
    → 新規誌、分野特化誌など事情があります。だからこそ編集体制・透明性で補強します。

  • 誤解3:指標(IF等)だけ見れば良い
    → 指標は参考材料で、投稿適合性(読者層・範囲)と透明性の方が、後悔を減らすことが多いです。


編集体制と出版倫理で見抜くポイント

編集長・編集委員会は「分野適合」と「実在性」を見る

最低限、以下を確認します。

  • 編集長(Editor-in-Chief)の所属・研究領域がジャーナル範囲と合う

  • 編集委員に、分野の研究者が一定数いる

  • “肩書だけ”ではなく、所属機関・プロフィールが追跡できる

  • 連絡先(問い合わせ窓口)が明確で、質問への回答が成立する

チェックのコツは「数」より「筋の通り方」です。分野と噛み合わない人が目立つ場合は警戒します。

倫理ポリシーは「あるか」より「具体か」を見る

出版倫理は“書いてあるだけ”では差が出ません。見るべきは、具体性です。

  • 撤回(retraction)や訂正(correction)の扱いが明記されている

  • 利益相反(COI)や研究倫理(IRB等)への方針が具体

  • 画像・データの不正対策、盗用への対応が明確

  • 査読の種類や手順が説明されている

抽象的な綺麗事だけで、具体手順がない場合は注意が必要です。


特集号は全部危険ではない:良い特集号と危険な特集号

良い特集号の特徴

良い特集号は、次の要素が揃っています。

  • テーマが具体的で、対象となる研究が想像できる

  • ゲスト編集者が、そのテーマの専門家として自然

  • 査読の独立性(編集者の利害と切り離す運用)が説明されている

  • 投稿規定・締切・審査の流れが整っている

  • 既に関連する招待論文や展望があり、文脈がある

「このテーマなら集まるべき研究がある」と納得できる特集号は、検討する価値があります。

危険な特集号の特徴(見つけたらブレーキ)

危険サインは次の通りです。

  • テーマが広すぎて、何でも入る(“○○の新展開”のように曖昧)

  • 締切延長が繰り返され、常時募集に見える

  • ゲスト編集者の専門性が不自然/所属が曖昧

  • 投稿を急がせる煽りが強い

  • 査読や編集の独立性が見えない

危険な特集号に共通するのは「編集の責任が見えない」ことです。

特集号に投稿する前の確認質問テンプレ

迷ったら、編集部へ次の質問を投げると判断しやすくなります(丁寧に短く)。

  • 査読は通常号と同じ手順ですか

  • ゲスト編集者が関与する範囲と、最終判断者は誰ですか

  • 利益相反の管理はどのようにしていますか

  • 取り下げ条件とAPC請求タイミングを教えてください

回答が曖昧なら、見送る判断が安全です。


APCと取り下げ条件でトラブルを避ける

APCで必ず見るべき5点

  1. APC金額(税・追加費用の有無)

  2. 支払いタイミング(原則は受理後が多い)

  3. 免除・割引制度(所属機関、国、キャンペーン等)

  4. 取り下げ(withdrawal)の手続きと手数料

  5. 返金条件(支払い後にどうなるか)

受理前請求は“要注意サイン”として扱う

例外はあり得ますが、受理前に支払いを急がせる場合は、規約を精査し、所属機関や指導教員に共有した方が安全です。
「急がせる」ほどトラブルは増えます。支払い前に必ず止まって確認してください。

取り下げの判断は「早いほど傷が小さい」

不安が出た場合、受理前・支払い前であれば、選択肢が多いことが一般的です。

  • 受理前:取り下げが比較的通りやすいことが多い

  • 受理後・支払い前:条件確認が重要

  • 支払い後:返金や撤回が難しくなる場合がある

不安を抱えたまま進めるほど、後戻りが大変になります。


危険サイン/比較的安心サインの比較表(投稿前に見える項目)

一覧で点検する(最初の5分でやる用)

観点 危険サイン(要注意) 比較的安心サイン(追加確認の価値あり)
勧誘 分野不一致のテンプレ依頼が大量 具体的にあなたの研究を踏まえた依頼
特集号 テーマが広すぎ、締切延長が常態化 テーマが明確で編集責任が説明されている
査読 速さだけを過度に強調/手順が不明 査読方式・倫理・手順が具体的
編集 編集長/委員の実在性や専門が曖昧 所属・専門が妥当で透明性がある
索引 公式照合できない/表記が曖昧 DB側でISSN照合できる(ただし保証ではない)
APC 受理前請求・条件不透明 受理後請求が明確、規約が読みやすい
連絡 質問に具体回答がない 問い合わせが成立し、回答が具体

投稿してよいケースと避けるべきケース

投稿してよい可能性が高いケース

  • 分野内で普通に読まれ、引用されている(研究室内でも実績がある)

  • 索引照合ができ、編集体制・倫理ポリシーが具体的

  • 特集号でもテーマが明確で、編集責任と査読の独立性が説明される

  • 指導教員・共著者が「説明が立つ」と合意している

  • 代替誌と比較して合理的(読者層・掲載までの速度・費用が納得できる)

避けるべき可能性が高いケース

  • 勧誘が雑で、分野不一致なのに急がせる

  • 特集号が“何でもあり”に見え、編集の責任が見えない

  • APCや取り下げ条件が不透明、受理前請求が強い

  • 学位・採用など評価イベントが近く、説明のハードルが高い

  • 共同研究で相手機関が難色を示し、合意形成が取れない

迷うなら「説明可能性」と「損失の大きさ」で決める

判断が割れるときは、次の2軸で考えると決めやすくなります。

  • 説明可能性:審査者・指導教員・共著者に筋道を説明できるか

  • 損失の大きさ:もし評価が下がった場合、今の自分にどれだけ痛いか

学位や採用が絡むほど、保守的な判断が合理的です。


研究者の状況別:安全な意思決定の分岐

学位審査が近い人:保守的に、合意形成を優先する

学位審査は「論文の中身」だけでなく「どこに出したか」が議論になる可能性があります。ゼロではありません。
この時期は、次の順が安全です。

  1. 指導教員と投稿方針をすり合わせ

  2. 候補誌を2〜3本用意し、比較の上で決める

  3. 迷いが残るなら、より説明しやすい投稿先に寄せる

採用・昇進が近い人:第三者評価の“引っかかり”を減らす

採用委員会の専門は必ずしも一致しません。だからこそ、「説明可能性」を最優先にして、疑念が出にくい投稿先へ寄せるのが安全です。
逆に、既にポートフォリオが厚い場合は、目的(速報性など)で柔軟になる余地があります。

共同研究:相手機関の方針を尊重し、摩擦コストを減らす

共同研究で揉める最大の原因は「後から反対が出る」ことです。

  • 投稿先候補を早めに共有する

  • 特集号なら運用説明を添える

  • APC負担や手続きも含めて合意する
    この3点で摩擦は大きく減ります。

企業研究:監査とレピュテーションを前提に“より慎重”が基本

企業は研究の質に加え、社会的信用や監査の観点が入ります。

  • 社内規程(支払い、契約、著作権、公開)

  • 外部への説明責任

  • 炎上リスク
    これらを考えると、大学より保守的に寄せる判断が合理的なことが多いです。


勧誘メールへの対応:安全で疲れない運用

基本方針は「返信しない」か「最小限で終わらせる」

返信すると増えることがあります。研究室・部署で方針を決めると負担が減ります。

  • 返信しない(迷惑メール扱い)

  • 返信するなら「今回は見送ります」で終了

  • 詳細な研究計画や未公開データは書かない

断り文の短文テンプレ(必要な場合だけ)

  • 「ご連絡ありがとうございます。今回は都合により見送ります。」

  • 「興味深いお知らせですが、現時点では対応が難しいため辞退いたします。」

“丁寧さ”より、“余計な情報を出さない”が安全です。


提出後に不安になったときの対処(受理前後×支払い前後)

受理前・支払い前:最も選択肢が多い

  • 規約(withdrawal/fees)を再確認

  • 編集部に短く質問(取り下げ条件、手数料、手続き)

  • 指導教員・共著者に共有して単独判断を避ける
    不安が大きいなら、早めの判断が傷を小さくします。

受理後・支払い前:条件の再確認が最重要

  • 請求内容・支払い期限・返金条件を確認

  • 査読の内容に納得できない場合は、理由を整理して相談

  • ここで迷うなら、合意形成(共著者・機関)を優先

支払い後:再発防止に切り替える視点も必要

支払い後は条件が厳しくなる場合があります。

  • 以後は研究室・部署でチェックリスト運用

  • 勧誘メール対応ルールを作る

  • 投稿前の“確認日”を記録する習慣を作る
    同じ問題を繰り返さない仕組みが、長期的な安心につながります。


投稿前チェックリスト15項目(これだけ埋めれば判断が固まる)

まずは必須10項目

  • ジャーナルのISSNを確認した

  • ジャーナルの目的・範囲が自分の研究と整合する

  • 索引(Scopus/WoS等)を公式側で照合した(確認日を記録)

  • 編集長の所属・専門が範囲と整合する

  • 編集委員会の実在性と分野適合が確認できる

  • 査読方式と手順の説明が具体的

  • 倫理ポリシー(撤回・COI等)が具体的

  • APC金額と支払いタイミングが明確

  • 取り下げ(withdrawal)条件と手数料が明確

  • 問い合わせが成立し、回答が具体的

特集号の場合に追加5項目

  • テーマが具体的で妥当

  • ゲスト編集者が専門家として自然

  • 査読の独立性(編集の責任分界)が説明される

  • 締切延長が常態化していない

  • 募集文が煽り中心ではなく、研究テーマ中心


よくある質問

MDPIはプレデタリージャーナルですか?

「プレデタリー」は一般に、透明性の欠如や不適切な査読、過度な金銭目的などが問題となります。出版社名だけで断定すると誤解が増えるため、この記事ではジャーナル単位・特集号単位での点検を推奨しています。
迷う場合は、索引確認に加え、編集体制・倫理ポリシー・APC条件・問い合わせの成立を確認してください。

特集号は全部危険ですか?

全部が危険ではありません。テーマが具体的で編集責任が明確な特集号は、価値がある場合もあります。
ただし、テーマが広すぎる、締切延長が常態化する、編集の責任が見えない場合は、見送る判断が安全です。

周囲に反対されたらどう伝えればいいですか?

対立するより、「相手の懸念を言語化→チェック結果を共有→代替案も提示」の順が通りやすいです。

  • 懸念はどこか(索引、特集号、費用、評判)

  • チェックリスト結果(事実)

  • 代替候補(比較)
    合意形成は、研究成果を守る行動です。


まとめ

MDPIが「怪しい」と感じる背景には、勧誘メールの多さ、特集号の大量運用、査読スピードへの疑念、索引に関する話題などが重なっています。
ただし、二択で断定するより、あなたが投稿するジャーナル特集号を、索引・編集体制・査読の透明性・特集号運用・APC条件で点検して判断する方が、安全で再現性があります。

最後に、今日やることは次の3つです。

  1. 比較表で危険サインを確認

  2. チェックリスト15項目を埋める(確認日を残す)

  3. 指導教員・共著者と合意形成し、「説明可能性」で最終決定する


参考情報