MDPIについて「怪しい」という評判を見かけると、投稿の判断が一気に難しくなります。特に、学位審査や採用が視野にある時期は「後から評価で不利になりたくない」という不安が強くなるはずです。
本記事では、MDPIを一括りに断定せず、あなたが検討しているそのジャーナルと、特集号ならその特集号を、投稿前の情報だけで点検して「出す/見送る」を決める手順を整理します。索引の確認から、編集体制、査読の透明性、特集号の見分け方、APCと取り下げ条件まで、チェックリスト形式で迷いを減らします。読み終えた時点で、指導教員や共著者にも説明できる判断材料が手元に残るはずです。
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- 1 MDPIが怪しいと言われる主な理由
- 2 MDPIが全部ダメとは言い切れない理由
- 3 MDPI投稿前に確認すべき全体フロー
- 4 索引と評価指標の確認手順
- 5 編集体制と出版倫理で見抜くポイント
- 6 特集号は全部危険ではない:良い特集号と危険な特集号
- 7 APCと取り下げ条件でトラブルを避ける
- 8 危険サイン/比較的安心サインの比較表(投稿前に見える項目)
- 9 投稿してよいケースと避けるべきケース
- 10 研究者の状況別:安全な意思決定の分岐
- 11 勧誘メールへの対応:安全で疲れない運用
- 12 提出後に不安になったときの対処(受理前後×支払い前後)
- 13 投稿前チェックリスト15項目(これだけ埋めれば判断が固まる)
- 14 よくある質問
- 15 まとめ
- 16 参考情報
MDPIが怪しいと言われる主な理由
勧誘メールが多いと「数を集めるだけ」に見えやすい
投稿依頼、査読依頼、Guest Editor(特集号の編集)依頼が頻繁に届くと、多くの研究者はまず警戒します。特に次の特徴が揃うと、不信感が強まります。
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あなたの専門と合っていないのに、やたら褒めてくる
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論文タイトルや研究テーマが不自然にコピペされている
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期限を強調し、急がせる
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「あなたにだけ特別」など煽りが多い
この時点で「怪しい」と感じるのは正しく、まずは返信せずに落ち着いて点検するのが安全です。勧誘メールは“入口”に過ぎず、肝心なのは投稿先の実態です。
査読が速いことは悪ではないが、速さだけで安心はできない
査読が速いこと自体は、編集体制が整っていればメリットです。実際、分野によっては迅速な出版が重要で、一定のスピード感は歓迎されます。
一方で、粗悪なジャーナルは「査読が形だけ」になりやすく、速さを売りにして投稿を集めることがあります。したがって、見るべきは「何日で受理されたか」よりも、次の点です。
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査読コメントは具体的か(方法・解釈・先行研究への指摘があるか)
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修正要求が妥当か(体裁だけでなく内容に踏み込んでいるか)
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Rejectが機能していそうか(掲載率が不自然に高い印象がないか)
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編集のやり取りが丁寧か(定型文だけで進まないか)
「速い=怪しい」と短絡せず、「速いけれど中身が濃い」かどうかで判断するのが現実的です。
特集号が多いと、質のばらつきと利益相反が疑われやすい
特集号(Special Issue)は、本来は研究テーマを集中的に扱う便利な仕組みです。ただし、特集号が大量に運用されると、運営の都合で募集が広がりすぎたり、編集統制が弱くなったりして、質のばらつきが生じやすくなります。
ここが「怪しい」と言われる最大の温床です。特集号に関しては、後段で「良い特集号」「危険な特集号」の見分け方を具体化します。
索引・収録の話題は不安を増幅させる
WoSやScopusの収録状況に関する話題は、「結局どっちなのか」という不安を強くします。重要なのは、ここから得る教訓は二つだけです。
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収録状況は、永続保証ではない
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だからこそ、索引だけに頼らず、透明性と運用実態で補強する
この前提に立つと、噂や断定に振り回されにくくなります。
MDPIが全部ダメとは言い切れない理由
出版社ではなく「ジャーナル」と「特集号」で実態が変わる
MDPIは多数のジャーナルを運営しており、編集長・編集委員会・分野の慣行・特集号の運用は一様ではありません。
つまり、判断単位は「MDPI」ではなく、次の2段階です。
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ジャーナル単位:編集体制・方針・読者層・過去論文の質
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特集号単位(該当する場合):テーマの妥当性・編集責任・査読の独立性
この切り分けをすると、「怪しいかどうか」を議論で終わらせず、手順として判定できます。
“投稿して良い”の定義は、あなたの評価イベントで変わる
同じ投稿でも、置かれた状況でリスクの重みが変わります。
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学位審査が近い:説明責任が重い(保守的に)
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採用・昇進の審査が近い:第三者評価に耐える必要(保守的に)
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共同研究:相手機関の方針が優先される(合意形成が必須)
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企業研究:社内監査・レピュテーションを考慮(より慎重に)
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速報性が重要:スピードを取りに行く合理性がある(ただし点検は必須)
迷ったときは「失敗したときの痛手」が大きい状況ほど、保守的に判断するのが安全です。
“説明できるか”が最終的な安全装置になる
投稿先の是非は、議論よりも説明可能性が現実的な基準になります。
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なぜそのジャーナルなのか(読者層・適合性・先行研究の集積)
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透明性は担保されているか(編集体制・査読・倫理ポリシー)
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代替案と比べて合理的か(他誌との比較)
この3点が言葉にできれば、指導教員・共著者・審査側に共有しやすく、後悔が減ります。
MDPI投稿前に確認すべき全体フロー
まずはYes/Noで「見送るべき状況」を切り分ける
次の質問に「Yes」が多いほど、見送る判断が合理的になります。
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受理前にAPC支払いを迫られる、または規約が不透明 → Yes/No
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編集長・編集委員が実在確認できない/分野と噛み合わない → Yes/No
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ジャーナルの目的・範囲が広すぎて何でも入る印象が強い → Yes/No
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特集号が「常時募集」に見え、締切延長が繰り返されている → Yes/No
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連絡が雑で、質問しても具体回答がない → Yes/No
目安:
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Yesが2つ以上:一旦ブレーキ。追加確認か、代替投稿先を優先
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Yesが3つ以上:見送る判断が安全側
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Yesが0〜1:次のチェックリストで精査
次に「索引→編集→特集号→APC→合意形成」の順で点検する
おすすめ順は以下です。
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索引と基本情報(ISSN、出版社、目的・範囲)
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編集体制(編集長、編集委員会、連絡先、倫理)
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特集号(該当する場合は個別に)
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APCと取り下げ・返金条件
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指導教員・共著者・所属機関の方針との整合
この順番にすると、判断が“噂”ではなく“情報”に寄ります。
索引と評価指標の確認手順
何を確認するか:索引名、ISSN、確認日
索引確認で最低限押さえるのは、次の3つです。
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索引名(Scopus、Web of Scienceなど)
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ISSN(同名誌・偽サイト対策にも有効)
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確認日(収録状況は変わり得るため、日付を残す)
確認の具体手順(手戻りを減らす順)
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ジャーナル公式ページで、ISSNと索引の表記を確認
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索引側の公式検索で、ジャーナル名またはISSNを照合
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確認日をメモ(スクリーンショットでも可)
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学位・採用などが近い場合は、念のため指導教員に共有
索引確認でやりがちな誤解(先に潰しておく)
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誤解1:索引にある=永久に安全
→ 収録は変わり得るため、保証ではありません。 -
誤解2:索引にない=全部ダメ
→ 新規誌、分野特化誌など事情があります。だからこそ編集体制・透明性で補強します。 -
誤解3:指標(IF等)だけ見れば良い
→ 指標は参考材料で、投稿適合性(読者層・範囲)と透明性の方が、後悔を減らすことが多いです。
編集体制と出版倫理で見抜くポイント
編集長・編集委員会は「分野適合」と「実在性」を見る
最低限、以下を確認します。
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編集長(Editor-in-Chief)の所属・研究領域がジャーナル範囲と合う
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編集委員に、分野の研究者が一定数いる
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“肩書だけ”ではなく、所属機関・プロフィールが追跡できる
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連絡先(問い合わせ窓口)が明確で、質問への回答が成立する
チェックのコツは「数」より「筋の通り方」です。分野と噛み合わない人が目立つ場合は警戒します。
倫理ポリシーは「あるか」より「具体か」を見る
出版倫理は“書いてあるだけ”では差が出ません。見るべきは、具体性です。
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撤回(retraction)や訂正(correction)の扱いが明記されている
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利益相反(COI)や研究倫理(IRB等)への方針が具体
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画像・データの不正対策、盗用への対応が明確
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査読の種類や手順が説明されている
抽象的な綺麗事だけで、具体手順がない場合は注意が必要です。
特集号は全部危険ではない:良い特集号と危険な特集号
良い特集号の特徴
良い特集号は、次の要素が揃っています。
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テーマが具体的で、対象となる研究が想像できる
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ゲスト編集者が、そのテーマの専門家として自然
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査読の独立性(編集者の利害と切り離す運用)が説明されている
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投稿規定・締切・審査の流れが整っている
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既に関連する招待論文や展望があり、文脈がある
「このテーマなら集まるべき研究がある」と納得できる特集号は、検討する価値があります。
危険な特集号の特徴(見つけたらブレーキ)
危険サインは次の通りです。
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テーマが広すぎて、何でも入る(“○○の新展開”のように曖昧)
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締切延長が繰り返され、常時募集に見える
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ゲスト編集者の専門性が不自然/所属が曖昧
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投稿を急がせる煽りが強い
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査読や編集の独立性が見えない
危険な特集号に共通するのは「編集の責任が見えない」ことです。
特集号に投稿する前の確認質問テンプレ
迷ったら、編集部へ次の質問を投げると判断しやすくなります(丁寧に短く)。
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査読は通常号と同じ手順ですか
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ゲスト編集者が関与する範囲と、最終判断者は誰ですか
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利益相反の管理はどのようにしていますか
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取り下げ条件とAPC請求タイミングを教えてください
回答が曖昧なら、見送る判断が安全です。
APCと取り下げ条件でトラブルを避ける
APCで必ず見るべき5点
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APC金額(税・追加費用の有無)
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支払いタイミング(原則は受理後が多い)
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免除・割引制度(所属機関、国、キャンペーン等)
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取り下げ(withdrawal)の手続きと手数料
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返金条件(支払い後にどうなるか)
受理前請求は“要注意サイン”として扱う
例外はあり得ますが、受理前に支払いを急がせる場合は、規約を精査し、所属機関や指導教員に共有した方が安全です。
「急がせる」ほどトラブルは増えます。支払い前に必ず止まって確認してください。
取り下げの判断は「早いほど傷が小さい」
不安が出た場合、受理前・支払い前であれば、選択肢が多いことが一般的です。
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受理前:取り下げが比較的通りやすいことが多い
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受理後・支払い前:条件確認が重要
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支払い後:返金や撤回が難しくなる場合がある
不安を抱えたまま進めるほど、後戻りが大変になります。
危険サイン/比較的安心サインの比較表(投稿前に見える項目)
一覧で点検する(最初の5分でやる用)
| 観点 | 危険サイン(要注意) | 比較的安心サイン(追加確認の価値あり) |
|---|---|---|
| 勧誘 | 分野不一致のテンプレ依頼が大量 | 具体的にあなたの研究を踏まえた依頼 |
| 特集号 | テーマが広すぎ、締切延長が常態化 | テーマが明確で編集責任が説明されている |
| 査読 | 速さだけを過度に強調/手順が不明 | 査読方式・倫理・手順が具体的 |
| 編集 | 編集長/委員の実在性や専門が曖昧 | 所属・専門が妥当で透明性がある |
| 索引 | 公式照合できない/表記が曖昧 | DB側でISSN照合できる(ただし保証ではない) |
| APC | 受理前請求・条件不透明 | 受理後請求が明確、規約が読みやすい |
| 連絡 | 質問に具体回答がない | 問い合わせが成立し、回答が具体 |
投稿してよいケースと避けるべきケース
投稿してよい可能性が高いケース
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分野内で普通に読まれ、引用されている(研究室内でも実績がある)
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索引照合ができ、編集体制・倫理ポリシーが具体的
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特集号でもテーマが明確で、編集責任と査読の独立性が説明される
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指導教員・共著者が「説明が立つ」と合意している
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代替誌と比較して合理的(読者層・掲載までの速度・費用が納得できる)
避けるべき可能性が高いケース
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勧誘が雑で、分野不一致なのに急がせる
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特集号が“何でもあり”に見え、編集の責任が見えない
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APCや取り下げ条件が不透明、受理前請求が強い
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学位・採用など評価イベントが近く、説明のハードルが高い
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共同研究で相手機関が難色を示し、合意形成が取れない
迷うなら「説明可能性」と「損失の大きさ」で決める
判断が割れるときは、次の2軸で考えると決めやすくなります。
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説明可能性:審査者・指導教員・共著者に筋道を説明できるか
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損失の大きさ:もし評価が下がった場合、今の自分にどれだけ痛いか
学位や採用が絡むほど、保守的な判断が合理的です。
研究者の状況別:安全な意思決定の分岐
学位審査が近い人:保守的に、合意形成を優先する
学位審査は「論文の中身」だけでなく「どこに出したか」が議論になる可能性があります。ゼロではありません。
この時期は、次の順が安全です。
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指導教員と投稿方針をすり合わせ
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候補誌を2〜3本用意し、比較の上で決める
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迷いが残るなら、より説明しやすい投稿先に寄せる
採用・昇進が近い人:第三者評価の“引っかかり”を減らす
採用委員会の専門は必ずしも一致しません。だからこそ、「説明可能性」を最優先にして、疑念が出にくい投稿先へ寄せるのが安全です。
逆に、既にポートフォリオが厚い場合は、目的(速報性など)で柔軟になる余地があります。
共同研究:相手機関の方針を尊重し、摩擦コストを減らす
共同研究で揉める最大の原因は「後から反対が出る」ことです。
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投稿先候補を早めに共有する
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特集号なら運用説明を添える
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APC負担や手続きも含めて合意する
この3点で摩擦は大きく減ります。
企業研究:監査とレピュテーションを前提に“より慎重”が基本
企業は研究の質に加え、社会的信用や監査の観点が入ります。
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社内規程(支払い、契約、著作権、公開)
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外部への説明責任
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炎上リスク
これらを考えると、大学より保守的に寄せる判断が合理的なことが多いです。
勧誘メールへの対応:安全で疲れない運用
基本方針は「返信しない」か「最小限で終わらせる」
返信すると増えることがあります。研究室・部署で方針を決めると負担が減ります。
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返信しない(迷惑メール扱い)
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返信するなら「今回は見送ります」で終了
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詳細な研究計画や未公開データは書かない
断り文の短文テンプレ(必要な場合だけ)
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「ご連絡ありがとうございます。今回は都合により見送ります。」
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「興味深いお知らせですが、現時点では対応が難しいため辞退いたします。」
“丁寧さ”より、“余計な情報を出さない”が安全です。
提出後に不安になったときの対処(受理前後×支払い前後)
受理前・支払い前:最も選択肢が多い
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規約(withdrawal/fees)を再確認
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編集部に短く質問(取り下げ条件、手数料、手続き)
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指導教員・共著者に共有して単独判断を避ける
不安が大きいなら、早めの判断が傷を小さくします。
受理後・支払い前:条件の再確認が最重要
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請求内容・支払い期限・返金条件を確認
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査読の内容に納得できない場合は、理由を整理して相談
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ここで迷うなら、合意形成(共著者・機関)を優先
支払い後:再発防止に切り替える視点も必要
支払い後は条件が厳しくなる場合があります。
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以後は研究室・部署でチェックリスト運用
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勧誘メール対応ルールを作る
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投稿前の“確認日”を記録する習慣を作る
同じ問題を繰り返さない仕組みが、長期的な安心につながります。
投稿前チェックリスト15項目(これだけ埋めれば判断が固まる)
まずは必須10項目
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ジャーナルのISSNを確認した
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ジャーナルの目的・範囲が自分の研究と整合する
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索引(Scopus/WoS等)を公式側で照合した(確認日を記録)
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編集長の所属・専門が範囲と整合する
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編集委員会の実在性と分野適合が確認できる
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査読方式と手順の説明が具体的
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倫理ポリシー(撤回・COI等)が具体的
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APC金額と支払いタイミングが明確
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取り下げ(withdrawal)条件と手数料が明確
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問い合わせが成立し、回答が具体的
特集号の場合に追加5項目
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テーマが具体的で妥当
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ゲスト編集者が専門家として自然
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査読の独立性(編集の責任分界)が説明される
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締切延長が常態化していない
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募集文が煽り中心ではなく、研究テーマ中心
よくある質問
MDPIはプレデタリージャーナルですか?
「プレデタリー」は一般に、透明性の欠如や不適切な査読、過度な金銭目的などが問題となります。出版社名だけで断定すると誤解が増えるため、この記事ではジャーナル単位・特集号単位での点検を推奨しています。
迷う場合は、索引確認に加え、編集体制・倫理ポリシー・APC条件・問い合わせの成立を確認してください。
特集号は全部危険ですか?
全部が危険ではありません。テーマが具体的で編集責任が明確な特集号は、価値がある場合もあります。
ただし、テーマが広すぎる、締切延長が常態化する、編集の責任が見えない場合は、見送る判断が安全です。
周囲に反対されたらどう伝えればいいですか?
対立するより、「相手の懸念を言語化→チェック結果を共有→代替案も提示」の順が通りやすいです。
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懸念はどこか(索引、特集号、費用、評判)
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チェックリスト結果(事実)
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代替候補(比較)
合意形成は、研究成果を守る行動です。
まとめ
MDPIが「怪しい」と感じる背景には、勧誘メールの多さ、特集号の大量運用、査読スピードへの疑念、索引に関する話題などが重なっています。
ただし、二択で断定するより、あなたが投稿するジャーナルと特集号を、索引・編集体制・査読の透明性・特集号運用・APC条件で点検して判断する方が、安全で再現性があります。
最後に、今日やることは次の3つです。
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比較表で危険サインを確認
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チェックリスト15項目を埋める(確認日を残す)
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指導教員・共著者と合意形成し、「説明可能性」で最終決定する
参考情報
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北海道大学附属図書館「注意が必要な怪しいジャーナル」
https://www.lib.hokudai.ac.jp/support/predatory_journals/ -
MDPI(公式)Announcements:ClarivateによるWeb of Science収録中止に関する告知(例)
https://www.mdpi.com/about/announcements/5628 -
Retraction Watch:ScopusにおけるMDPI誌の再評価・索引の扱いに関する報道(例)
https://retractionwatch.com/2024/01/02/exclusive-mdpi-journal-undergoing-reevaluation-at-scopus-indexing-on-hold/ -
Retraction Watch:再評価後の取り扱いに関する続報(例)
https://retractionwatch.com/2024/01/05/elseviers-scopus-to-continue-indexing-mdpis-sustainability-after-reevaluation/ -
COPE(Committee on Publication Ethics):Predatory behaviourに関する見解
https://publicationethics.org/news-opinion/predatory-behaviour-publication-ethics -
Government of Canada(Research ethics):Predatory publishersを避けるチェックリスト
https://rcr.ethics.gc.ca/eng/idp-vrr.html -
広島大学(注意喚起):オープンアクセス投稿時の注意事項
https://www.hiroshima-u.ac.jp/wrc/resource/predatory