LINEでのやりとりが原因で、子どもが急にスマホを隠すようになったり、通知の音に怯えたり、朝「学校に行きたくない」と言い出したりしていませんか。対面のいじめと違い、LINEいじめは放課後も休日も追いかけてきます。しかも、メッセージは消されることがあり、周囲からは「よくある友達トラブル」と見過ごされやすいのが現実です。
けれども、保護者が最初の24時間でやるべきことは、意外と明確です。大切なのは、感情的に相手を問い詰めることではありません。子どもの安全を確保し、証拠を確実に残し、学校や相談先が動ける形に整えることです。順番さえ間違えなければ、被害の拡大を防ぎ、子どもが安心して日常に戻る道筋を作れます。
本記事では、LINEいじめのよくあるパターン別に「今すぐの初動」「証拠の残し方」「学校への伝え方」「相談先の使い分け」を、保護者が迷わない手順に落とし込みました。読後には、今日やるべき行動が具体的に分かり、学校へ提出できる整理の仕方まで手元に残るはずです。
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LINEいじめで最初に守るべきこと
LINEいじめは、対面のいじめと違い「いつでも・どこでも」届いてしまう点が深刻です。学校が終わっても通知が鳴り続け、逃げ場がなくなりやすいことが特徴です。そのため保護者の初動は、「相手を問い詰める」より先に、子どもの安全確保と証拠保全、そして関係者に動いてもらうための整理を優先する必要があります。
また、LINEいじめは被害が目に見えにくく、学校側が状況を把握しづらいケースもあります。だからこそ、家庭側で「最低限の事実」と「必要な配慮」を整理して伝えることで、対応の精度と速度が上がります。
以下では、保護者が陥りやすい失敗(感情的な介入、加害側への直連絡、証拠の取り逃し)を避けつつ、今日から実行できる手順で解説いたします。
緊急度が高いサイン
LINEいじめは、放置すると精神的な消耗が積み重なり、登校困難や体調不良につながることがあります。特に次のようなサインが見える場合は、学校対応を待つよりも「当日中の安全確保」を優先してください。ここでいう安全確保は、本人を叱咤して耐えさせることではなく、危険要因を減らし、第三者の支援につなぐことです。
自傷や希死念慮を示す発言がある(直接的・間接的を問わず)
「家に行く」「待ち伏せする」など身体的危害の示唆がある
個人情報(住所、学校名、顔写真、電話番号等)の拡散・拡散予告がある
金銭要求、物品要求、脅迫(従わないと晒す等)がある
睡眠が取れない、食事ができない、強い不安で日常生活が崩れている
スマホを極端に隠す、通知に怯える、部屋に閉じこもるなど変化が顕著
このような状況では、保護者が「相手に抗議して止める」方向に動くほど、加害側が証拠を削除したり、別の手段に移行したりして事態が見えにくくなることがあります。まずは本人の状態(眠れているか、安心できる場所があるか、今夜を安全に過ごせるか)を確認し、危険が疑われるなら、学校だけで抱えず外部機関も含めて相談の選択肢を持ってください。
子どもへの声かけで避けたい言葉
LINEいじめの被害者は、すでに「自分が悪いのではないか」「誰にも信じてもらえないのではないか」と感じている場合があります。保護者が正論で詰めたり、原因探しを急いだりすると、子どもは「これ以上話すと責められる」と受け取り、相談を止めることがあります。初動は、問題解決よりも先に「安心して話せる土台」を作ることが重要です。
避けたい言葉の代表例は次のとおりです。
「なんで今まで言わなかったの」
「気にしすぎでは」
「あなたにも原因があるのでは」
「言い返しなさい」「やり返しなさい」
「スマホを取り上げるから」
「そんな友達は切れ」
上記は、保護者としては正しい対応に見えることもありますが、本人の心理にとっては「責められた」「理解されない」「環境を奪われる恐怖」になりやすいです。
代わりに、次のような言葉が有効です。
「あなたの味方です。安全を最優先にします」
「話せる範囲で大丈夫です。今すぐ全部言わなくていいです」
「証拠を残して、学校にも伝えられるように一緒に整理しましょう」
「怖かったね。今夜は安心できるように通知を止めよう」
ポイントは、子どもに“責任”を背負わせないこと、そして一緒に手順で進める姿勢を示すことです。
今日中にやることチェックリスト
ここでは「今日中(24時間以内)」にやるべき行動を、優先順位つきで整理します。すべてを完璧に実行する必要はありませんが、最低限「安全」と「証拠」は取り逃がさないことが重要です。
子どもの安全確認(睡眠、食事、体調、登校可否、危険の有無)
LINEいじめの証拠保全(スクショ、履歴保存、二重保管)
時系列メモの作成(いつ、誰が、どこで、何を、どんな影響が出たか)
通知・設定の調整(ミュート、通知オフ、必要ならブロック等)
学校への第一報(事実確認と安全配慮の依頼を中心に)
緊急性が高い場合の相談先確保(学校以外の公的窓口等を含む)
「学校へ連絡する前に完璧な証拠を揃えなければいけない」と考える必要はありません。ただ、学校が動くためには材料が必要なことが多いため、“最低限の整理”を用意して早めに共有するのが効果的です。
LINEいじめのよくあるパターンと対応
LINEいじめは、表面上は同じ「嫌なメッセージ」でも、リスクの質が違います。たとえば「グループから外される」ケースと、「脅迫・金銭要求」があるケースでは、相談先の優先度も初動も変わります。ここでは、よくある4パターンに分け、対応の考え方を具体化します。
(重要)いずれのケースでも、保護者が加害側の子どもへ直接連絡したり、SNSで糾弾したりすることは、炎上・拡散や証拠削除を招く可能性があるため慎重に判断してください。基本は、証拠→整理→学校等の第三者経由が安全です。
グループから外す・無視する
典型例
グループから外される、招待されない
発言が無視される、スタンプで流される
別グループで陰口や悪口が回る
「あなた抜きで集まる」ことを匂わせる
心理的な影響
このタイプは直接的な暴言が少ない場合もありますが、本人は「仲間外れ」「孤立」を強く感じやすく、学校生活の対人関係にも影響が出ます。周囲からは「ただの友達関係のトラブル」と軽く見られやすい点が難しさです。
対応のポイント
外された事実が分かる画面(グループの表示、メンバー表示、招待がない状況など)を保存します。
学校には「休み時間・登下校・席や班」など、対面の接触リスクも含めて見守りを依頼します。
子どもが「自分が悪い」と思い込みやすいため、家庭では評価や原因追及を避け、安全と安心を優先してください。
グループ退会・ブロックは負担軽減に有効ですが、状況把握が難しくなる面もあります。先に証拠を確保し、学校と連携の方針が立ってから検討すると安定します。
暴言・人格否定が続く
典型例
「死ね」「消えろ」「キモい」などの暴言
容姿、家庭環境、成績、恋愛等を執拗に攻撃
からかいの範囲を超え、継続的に人格否定が続く
“ノリ”として複数人が便乗し、集団化する
対応のポイント
スクショは単発ではなく、継続性が分かるように複数回保存します。
通知が恐怖の引き金になることがあるため、通知オフ・ミュートで受信の連続性を止めます。
学校へは「本人に精神的負担が出ている」「生活に影響が出ている」を具体化して伝え、接触機会の制限(席替え、別室対応、クラス内の指導等)を要望します。
「言い返してやめさせる」は逆効果になりやすいです。加害側が面白がってエスカレートする、または本人が言い返した部分だけ切り取られ被害が見えにくくなる可能性があります。
晒し・拡散・なりすまし
典型例
トーク内容や写真が第三者へ転送される
SNSやオープンチャット等へ晒される
「裏垢」で誹謗中傷が広がる
本人になりすまして投稿される
個人情報やプライベート写真の拡散
このパターンの危険性
拡散が始まると、クラス内の人間関係を超えて被害が広がり、回収が困難になります。また、本人が「もう学校だけでは止まらない」と感じ、恐怖が強くなる傾向があります。
対応のポイント
どこで、誰が、何を、どの範囲へ広げているかを保存します。具体的には、スクショに加え、可能ならURL、投稿日時、アカウント名、閲覧可能な状態を記録します。
拡散が疑われる場合は、学校には「教室内での配慮」だけでなく、情報拡散の抑止(指導、注意喚起、情報共有の制限)も含めて要望します。
なりすましは本人の信用を落とす形で被害が進むため、早期に「なりすましである」証拠(本人の端末にないやりとり等)も整理します。
匿名性が絡む場合は、学校対応だけで限界が出ることがあります。相談先の選択肢を確保しておくと安心です。
脅迫・金銭要求・会うよう強要
典型例
「言うことを聞かないと晒す」などの脅し
金銭や物品の要求(課金、ギフトカード、現金等)
「今から来い」「会え」などの強要
居場所や予定を執拗に聞き出す
家族や友人へ危害を示唆する
対応のポイント
子ども単独で対応させないことが最重要です。返信の有無が命綱になるケースもあるため、落ち着いた環境で保護者が状況を把握します。
証拠保全を最優先します。脅し文句は削除される可能性があるため、見つけた時点で保存してください。
学校へは「安全配慮」と「接触遮断」を強く要望し、必要に応じて外部相談も視野に入れます。
金銭要求がある場合、すでに支払ってしまっていても責めないでください。恐怖下では合理的判断が難しく、本人が追い詰められやすいためです。
LINEいじめの証拠を残す方法
LINEいじめ対応では、証拠は「相手を罰するため」だけではなく、学校が事実確認をし、保護者間調整や指導を行うための材料になります。証拠が少ないと、学校側は「双方の主張が違う」状態から動きにくくなることがあります。逆に、証拠が整理されていると、対応の優先順位が立ちやすくなります。
ここでは、スクショ・履歴保存・整理の3段階で解説します。
スクリーンショットで必ず写す項目
スクショは最も手軽ですが、ポイントを押さえないと「誰が言ったか」「いつ起きたか」「文脈は何か」が曖昧になりやすいです。次の項目を意識してください。
スクショに含めたい要素
相手の表示名(または識別できる情報)とアイコン
可能な範囲で日時(表示されない場合は前後の画面で補う)
前後の文脈(単発の暴言だけでなく、流れが分かる範囲)
グループ名、メンバー、外された事実が分かる画面
被害が継続していることが分かる複数枚
撮り方のコツ
1枚で収めようとせず、連続スクショでつなげます。
“決定的な一言”の前後を撮ることで、挑発や脅しの意図が伝わりやすくなります。
画像フォルダに埋もれないよう、撮影したらすぐに専用フォルダへ移す運用が有効です。
トーク履歴の保存とバックアップ
スクショは枚数が増え、後から探しづらくなります。可能であれば、トーク履歴保存(端末機能)なども併用し、継続性と全体像を残します。
考え方(役割分担)
スクショ:重要な発言・脅し・外された画面など「核心」
履歴保存:時系列・文脈・継続性「全体像」
メモ:被害の影響・学校での出来事・本人の状態「状況説明」
バックアップの基本
端末内だけに保存すると、破損・紛失・誤削除のリスクがあります。
可能なら、PCやクラウド等、別の場所にもコピーします(二重保管)。
共有する場合は、第三者へ無断拡散されないよう、扱いには注意してください(学校へ渡す際も「目的は対応のため」であることを明確にします)。
削除や改ざんに備える保存設計
LINEいじめでは、加害側がメッセージを削除したり、表示名を変えたりして証拠が取りづらくなることがあります。そこで「消されても説明できる」保存設計をしておくと安心です。
削除に備えるポイント
気づいたら早めに保存(「後でまとめて」は危険です)
表示名が変わる可能性があるため、アイコンやグループ情報も撮る
重要なスクショは、画像だけでなくPDF化や印刷で残すことも検討
URLがある場合は、URLも別メモに残す(閲覧できなくなる可能性に備える)
ファイル管理の例(簡易ルール)
フォルダ名:
LINEいじめ_開始日_氏名スクショ名:
2025-12-17_グループ外し_01のように日付+内容+連番重要度フラグ:
重要_を付け、学校提出用にすぐ抽出できるようにする
学校・警察・弁護士に渡せる整理の仕方
証拠があっても、提出が「画像の山」だと受け手は理解に時間がかかります。そこで、一枚で概要を説明できる資料を作ると、学校との連携が進みやすくなります。以下は、保護者が使いやすい形式です。
学校提出用:情報整理テンプレ(そのまま使用可)
被害者:学年・組(任意)
いつから:〇月〇日頃〜
主な関係者:同級生A、同級生B(分かる範囲)
起きていること(該当するもの)
暴言/無視/グループ外し/晒し・拡散/なりすまし/脅迫/金銭要求
影響(具体):不眠、食欲低下、登校困難、体調不良、通院の有無
証拠:スクショ〇枚、履歴保存〇件(重要3枚に印)
学校にお願いしたいこと(例)
接触機会の制限(席・班・別室・登下校の配慮)
事実確認(関係者への聞き取り、記録)
指導と再発防止(学年・学級への注意喚起含む)
保護者間の調整(直接対峙を避けたい等)
加えて、次の「パターン別の整理表」も作っておくと便利です。
| パターン | すぐやること | 残す証拠 | 学校へ要望しやすい配慮 |
|---|---|---|---|
| グループ外し・無視 | 孤立の進行を止める、学校へ見守り依頼 | 外された画面、参加者、時系列 | 休み時間の見守り、席・班調整 |
| 暴言・人格否定 | 通知で追い詰められない設定、継続性の確保 | 継続スクショ、前後文脈 | 接触制限、学級指導、個別指導 |
| 晒し・拡散・なりすまし | 拡散範囲の把握と記録、早期抑止 | URL、投稿、アカウント、スクショ | 情報拡散抑止の指導、再発防止 |
| 脅迫・金銭要求 | 単独対応を止める、危険判断 | 脅迫文、要求内容、日時 | 接触遮断、緊急対応の相談体制 |
LINEいじめを学校に相談するときの進め方
学校への相談は、結果を左右する重要なステップです。ただし、保護者の不安として「学校が動かなかったらどうしよう」「軽く扱われたらどうしよう」があります。そこで、学校が対応しやすい形に整えて伝えることで、動きやすさが上がります。
また、学校は「いじめ」の判断だけでなく、まずは「安全配慮」と「事実確認」を進める必要があります。最初の相談では、責任追及よりも、今起きていることを止める方向に焦点を当てると現実的です。
学校へ伝える前にまとめる情報
学校への連絡前に、最低限次を揃えておくと、初回面談がスムーズになります。
時系列:いつ、どのグループで、何が起きたか
関係者:分かる範囲で構わないので「誰が関わっているか」
具体的内容:暴言、外し、晒し、脅迫など類型化
影響:睡眠、食事、登校、体調、受診の有無
証拠:重要スクショ数枚+全体像(履歴保存等)
要望:学校に求める行動(接触制限、見守り、聞き取り等)
ここで「加害者を処罰してほしい」という要望に寄せすぎると、学校側が防御的になり、初動が遅れることがあります。初回はまず、安全配慮と再発防止の設計を中心に要望を組み立てるのが安全です。
学校に求められる対応と要望の出し方
学校へ伝える際は、口頭だけでなく、上記テンプレのように紙(またはデータ)で渡すと齟齬が減ります。伝え方のポイントは以下です。
伝えるべき主旨(例)
「子どもの安全確保を最優先に、事実確認と配慮をお願いします」
「LINE上で継続的に〇〇があり、生活に影響が出ています」
「証拠と時系列を整理しました。必要であれば共有します」
「当面、接触が起きないよう席・班・登下校など調整をお願いしたいです」
面談で確認したい項目
学校が取る初動(聞き取り、記録、保護者連絡の方針)
子どもへの配慮(別室、保健室利用、相談窓口の案内)
加害側への指導と再発防止策
連絡体制(次回面談日、連絡窓口、記録の共有方法)
保護者が注意すべき点
その場で決着を求めない(初回は状況確認と安全確保)
口頭の約束は忘れられやすいので、要点をメモし、可能ならメール等で確認
子どもに詳細を無理に語らせない(学校にも配慮を依頼)
家庭での見守りと再発防止
学校対応が始まっても、子どもが「安心して回復できる環境」がないと、症状は長引きやすいです。家庭でできることは、スマホを取り上げることではなく、負担を下げ、相談の導線を確保することです。
家庭での見守りポイント
通知を止める、時間帯を区切るなど「休める時間」を確保する
事実確認は短時間にし、長時間の詰問にならないようにする
「あなたが悪い」とならないよう、評価や原因追及を避ける
学校と連携し、登校が難しい日は無理をさせず、代替策(保健室、別室等)も検討する
再発防止は“監視”ではなく“仕組み”
困ったらすぐ共有してよいルール
夜間は通知を止めるルール
スクショの撮り方を親子で確認(いざというとき本人が残せる)
「誰に相談するか」を家庭内で決めておく(親、担任、養護教諭等)
LINEいじめで警察・弁護士に相談する目安
学校が対応しても、LINEいじめの内容次第では、学校だけでは止まりにくい場合があります。特に、匿名性が高い拡散、脅迫、金銭要求、性的な嫌がらせなどは、相談先の選択肢を早めに確保することが安心につながります。
ここで重要なのは、「警察に行く=大ごとにする」ではなく、安全確保の手段として相談の引き出しを持つという考え方です。相談したからといって、必ず事件化するわけではありません。状況整理の助けになる場合があります。
警察相談が向くケース
一般に、次のようなケースは学校対応だけで抱えず、警察相談を含めて検討する価値があります。
身体的危害の予告、待ち伏せの示唆
脅迫(晒す、家族に危害等)
恐喝(お金や物を要求)
個人情報の拡散が深刻で、二次被害の危険が高い
盗撮、性的な嫌がらせ、画像の悪用が疑われる
準備の考え方
警察相談は「いつ・誰が・何をしたか」が重要になるため、スクショや時系列メモの価値が高まります。恐怖で本人が混乱している場合でも、保護者が「整理して持参する」ことで相談が進みやすくなります。
開示請求が必要になりやすいケース
匿名アカウントやオープンチャット等で、加害者が特定できない場合、情報の特定が論点になります。特定や開示請求は手続・要件が絡むため、自己判断で突き進むより、早い段階で専門家へ相談するほうが結果的に安全です。
ただし、ここで誤解しやすい点があります。
「開示請求をすればすぐ特定できる」とは限りません。
証拠の保存状態、投稿媒体、期間などで難易度が変わります。
開示請求の検討以前に、拡散抑止や削除対応が優先になる場合もあります。
よって、「今の被害が広がっているか」「本人の安全が脅かされているか」「学校で止められる範囲を超えているか」を軸に、相談の必要性を判断してください。
相談時に準備するもの
相談先が学校でも外部機関でも、準備が整っているほど「対応の選択肢」が増えます。最低限、次を揃えるとよいです。
時系列メモ(いつ、どこで、誰が、何を、どんな影響)
証拠(重要スクショ数枚+全体像。URLがあれば控える)
本人の状態(睡眠、食事、登校、体調、受診の有無)
これまでの対応経緯(学校へ伝えた日、学校の回答、面談内容)
希望(まずは接触遮断、拡散停止、再発防止など優先事項)
ここでの希望は「相手を厳罰にしてほしい」だけに寄せず、止めるために何が必要か(接触遮断、拡散停止、見守り、心理的ケア)を中心に整理すると、現実的な助けを得やすくなります。
LINEいじめのFAQ
ここでは、保護者の方が特に迷いやすい点を、判断軸とセットで整理します。状況により最適解は変わりますので、「目的は何か(安全・証拠・沈静化)」で考えることが重要です。
ブロックすると不利になりますか
一概に不利とは言えません。目的によって判断が変わります。
精神的負担を止める目的なら、ブロックや通知制御は有効です。
状況把握を続けたい目的なら、まずはミュートや通知オフで受信負担を減らし、証拠を確保した上で判断するのが安全です。
推奨の順番としては、
証拠確保 → 通知制御(ミュート等) → 必要ならブロック
が、後から困りにくい進め方です。
証拠が一部しかありません
一部でも問題ありません。大切なのは「現時点で残っているもの」を確保し、時系列メモで補強することです。
残っているスクショを確保する
いつから起きているかをメモで整理する
生活への影響(不眠、登校困難等)が出ているなら具体的に記録する
学校へは「一部しかないが継続している」ことを伝え、事実確認を依頼する
証拠が少ない段階であっても、学校側が聞き取りや見守りを行うことで、被害の拡大を止められる場合があります。
学校が動かないときはどうしますか
学校が動かない理由は、悪意ではなく「状況が見えない」「証拠がない」「双方の言い分が違う」「安全配慮の優先順位が立たない」などであることがあります。次の順で“伝え方”を改善すると進む場合があります。
要望を「安全配慮」と「事実確認」に絞り、具体化する
時系列と証拠(重要数枚)を添えて、面談を再依頼する
連絡窓口(担任だけでなく生徒指導や管理職)を明確にする
学校外の相談先も併用し、家庭が孤立しないようにする
また、家庭側が「何をしてほしいのか」を短い箇条書きで示すだけでも、学校側の動きが変わることがあります。
加害側の保護者と直接話すべきですか
直接対峙は、状況によっては有効な場合もありますが、こじれるリスクもあります。特に以下に当てはまる場合は慎重にしてください。
拡散・晒し・脅迫など、感情的対立が危険を増やすケース
証拠が不十分で、言い争いになりやすいケース
子ども同士の関係が学校内で継続し、報復が起きやすいケース
基本は、学校に調整を依頼し、記録が残る形で進めるほうが安全です。どうしても直接話す必要がある場合も、「目的(止める・再発防止)」を限定し、感情の応酬にならない枠組みを作ることが重要です。
LINEいじめの再発を防ぐためにできること
LINEいじめは、一度沈静化しても「形を変えて再燃する」ことがあります。たとえば、表向きは止まっても別グループで続く、別アプリへ移る、対面での無視に移行するなどです。再発防止の鍵は、子どもを管理することではなく、困ったときに止まれる仕組みを家庭と学校で共有することです。
家庭内スマホルールの作り方
ルールは厳しすぎると隠れて使われ、緩すぎると効果が出ません。現実的に運用できる“短いルール”が望ましいです。以下は、再発防止に寄与しやすい例です。
おすすめの家庭内ルール例
夜間(例:21時以降)は通知を止める(睡眠を守る)
困ったメッセージは「すぐ返信しない」
脅し・晒し・金銭要求は「即共有」してよい(見せてよい基準)
週1回だけ、5〜10分の振り返り時間を作る(困りごとの棚卸し)
写真・個人情報は送らない(送る前に一呼吸の習慣)
重要なのは、保護者が一方的に決めるのではなく、子どもと合意して「守れる形」にすることです。合意があると、子ども自身が“止める”判断を取りやすくなります。
LINEの安全設定の見直し
再発防止では、LINEの機能面の見直しも有効です。ここでは考え方として押さえるべきポイントを整理します。
通知のコントロール:恐怖の連鎖を止めるため、ミュートや通知オフを使い、休める時間を確保します。
つながりの整理:不要なグループ、関係が不安定な相手との接点を整理します。
個人情報の最小化:プロフィールに学校名、住所が推測される情報、顔写真などが過剰に出ていないか見直します。
通報・ブロックの基準:どのラインで通報するか、家庭内で基準を決めると迷いが減ります。
設定は「完璧に安全にする」よりも、「危険の芽を小さくする」発想が現実的です。
困ったときの相談先リスト
再発防止で最も効果が高いのは、相談のハードルを下げることです。本人が「もう少しで限界」という段階で相談できれば、深刻化しにくくなります。家庭内で、次のように複線の相談先を用意してください。
学校(担任、生徒指導、養護教諭、スクールカウンセラー等)
家庭(保護者のうち話しやすい人、親戚等の第三者)
公的な相談窓口(学校外で話せる先)
状況が重い場合の専門家相談(法的・心理的支援を含む)
相談先は“最初から一つに絞らない”ことがポイントです。学校に言いにくいことも、外部なら言える場合があります。家庭だけで抱えない体制を持つことが、長期的な回復につながります。