キョジオーンは、専用技「しおづけ」による定数ダメージと、高い耐久・自己再生を組み合わせて試合を長期戦に持ち込み、相手の交代や受け回しをじわじわ崩していくポケモンです。単に硬いだけではなく、「しおづけ」を一度通したあとも場に残りやすく、削りを継続しながら勝ち筋を組み立てられる点が最大の強みです。
一方で、トリックなどによる持ち物干渉、ちょうはつ、みがわり・おんみつマントといった「しおづけ」対策が明確に用意されることも多く、型の丸暗記だけでは勝ち切りにくい局面が出ます。そこで本記事では、ランクマッチを想定し、「基本型の形」「技・テラスの選び方」「選出と立ち回りの手順」「苦手対策のケア」までを、判断基準が残る形で詳しく解説いたします。
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キョジオーンが強い理由と役割
しおづけが受け回しを崩す
「しおづけ」は、当てたターンだけで終わらない“削りの蓄積”を作りやすい技です。対面で殴り合っても、相手が交代しても、定数ダメージが残ることで「受け先を変えてリセットする」動きが成立しにくくなります。結果として、相手は回復や交代のたびに不利を背負いやすくなり、終盤の圏内に入りやすくなります。
また、現環境では「しおづけ」を止めるために、みがわり・おんみつマント・トリックなど“明確な対策札”が採用されることがあります。これは裏を返せば、キョジオーンが対策を強要するほど強力であり、相手の技枠・持ち物枠を歪める力を持っているということです。対策札が薄い構築に対しては、こちらが選出した時点で試合展開を優位にしやすくなります。
きよめのしおで安定して場に残る
キョジオーンを“受け”として成立させている中核が、特性「きよめのしお」です。状態異常にならない効果により、受けポケモンが苦手とする「どく・やけど・まひ」などで機能停止させられにくく、長期戦での安定感が大きく上がります。さらに、自分が受けるゴースト技のダメージを半減できるため、ゴースト技で押し切られる展開を抑えられます。
この特性の存在により、単に高耐久なだけの岩タイプではなく、「状態異常で崩されにくい受け」「ゴースト打点にも一定の耐性がある受け」として、役割対象を広げやすいのが特徴です。特に、受け回し側は状態異常を絡めて相手の回復を上回るのが基本になるため、その土台を崩されにくい点が、キョジオーンの評価を押し上げています。
勝ち筋は「削りの蓄積」か「要塞化」
キョジオーンの勝ち筋は大きく2本立てで考えると整理しやすくなります。
1つ目は「削りの蓄積」です。しおづけを軸に、相手の交代・回復のたびに損をさせ、裏のエースが通る圏内まで相手全体を削るプランです。ここで重要なのは、キョジオーンが全てを倒し切る必要はなく、「倒せなくても削りが残る」設計である点です。
2つ目は「要塞化」です。てっぺき+ボディプレス、あるいはのろいなどで耐久と火力(実質的な打点)を両立させ、受けながら詰め筋になるプランです。削りの蓄積型が“味方を通す”発想なら、要塞化型は“自分で詰める”発想です。相手の崩し手段が薄い場合、受けながら勝ち切れるため、選出段階で相手に強い圧をかけられます。
キョジオーンの基本データと特性の選び方
種族値の要点
キョジオーンの種族値は、H100/B130/D90/S35と耐久寄りで、素早さがかなり低い部類です。
この配分が意味するところは明確で、「先手で相手を倒す」よりも「受けて回復し、相手のリソースを削り切る」ことに向いています。鈍足であるがゆえに、相手の行動を見たうえで回復・まもる・みがわりなどを挟み、定数ダメージを稼ぐ展開を作りやすいのも特徴です。
タイプは岩単で、弱点自体は少なくありません(みず・くさ・かくとう・じめん・はがね等)。ただし4倍弱点がないこと、そして高い耐久と回復で“弱点を受けても即死しにくい”場面が多いことが、実戦での扱いやすさにつながります。
特性は基本「きよめのしお」
基本は「きよめのしお」一択と考えて問題ありません。状態異常無効とゴースト技半減は、受け運用に必要な要素が噛み合っており、長期戦での負け筋を減らします。
例外として、「がんじょう」採用を検討する余地があるのは、明確に“行動保証”が欲しい構築です。HP満タンで一撃で倒されないことにより、初手の崩されにくさが増し、一撃必殺技を無効化する点も含めて“事故負けを減らす”方向に寄与します。ただし、状態異常無効を失う代償が大きいため、受け駒としての安定を優先するなら、やはり「きよめのしお」が軸になります。
キョジオーン育成論の結論となる基本型
基本型:しおづけ耐久(最優先で迷いにくい形)
まず軸として提示したいのは、「しおづけ+じこさいせい+まもる+みがわり(または てっぺき)」の並びです。これは“削りの蓄積”の勝ち筋を最も再現しやすく、相手の対策確認やターン稼ぎまで含めて動きが一貫します。
性格:わんぱく/しんちょう(受けたい相手に合わせて)
特性:きよめのしお
持ち物:たべのこし
技:しおづけ/じこさいせい/まもる/みがわり(または てっぺき)
たべのこし+まもるは、回復の総量を稼ぎながら、しおづけの定数ダメージも同時に進められるため、ターンが増えるほど期待値が上がります。さらに、まもるには「相手がトリックを持っているか」「崩し技を押してくるか」を確認する目的もあります。実戦では、この確認を怠ると、持ち物を奪われて回復源が断たれ、プランが崩れることが起こりやすいため、まもるの価値は非常に高いです。
みがわりは、相手の状態異常や交代際の崩しを受け流しつつ、しおづけで削りを継続するためのクッションとして機能します。相手が受け寄りの構築であれば、みがわりが残った状態でしおづけ→回復→ターン稼ぎ、といった流れを作りやすく、試合の主導権を握りやすくなります。
一方、みがわりの枠をてっぺきにすると、「要塞化」寄りの勝ち筋が強まり、物理方面に対して一段安定します。相手の物理アタッカーを受けきってからボディプレスで詰めるプランへ寄せたい場合は、てっぺき型が噛み合います。
努力値の考え方
努力値は、まずHPに厚く振る発想が基本です。HPを最大まで伸ばすことで、物理・特殊のどちらに対しても受けられる範囲が広がり、じこさいせい・たべのこしによる回復効率も安定します。
そのうえで、残りをB(防御)かD(特防)に寄せます。ここで重要なのは「どちらが正解か」ではなく、「構築として誰を受けたいか」を先に決めることです。例えば、物理方面の受けが薄い構築ならB寄せで役割を明確にし、特殊方面は別の駒に任せる方が全体最適になります。逆に、特殊方面で崩されがちな構築ならD寄せにし、交代負荷を耐える設計に寄せる方が試合の勝率が上がりやすくなります。実際の育成論でもHB・HD・バランス振りなど複数案が提示されており、採用する構築で最適解が変わる前提で考えるのが堅実です。
環境に合わせる技候補とテラスタイプ
技候補の優先度
基本型を土台に、環境対応で技を差し替える場合は、「何を増やし、何を捨てるか」を明確にすると失敗しにくくなります。
てっぺき+ボディプレス
物理方面の詰ませ性能を高めたい場合の最重要候補です。てっぺきで受け性能を上げながら、ボディプレスで打点を確保できるため、受けながら勝ち切る形が作れます。相手が受けに寄っていて崩しが薄い場合や、物理アタッカー中心の選出が読める場合に強く働きます。のろい
のろいは、耐久と攻撃を同時に上げることで「居座りながら削り、最後は殴って締める」方向に寄せられます。しおづけ自体の削りと合わせ、相手の交代を誘って負荷をかけ続ける動きと相性が良い型として紹介されています。じわれ
受け合いが長引きやすいゲーム性の中で、試合を動かすための選択肢として挙げられます。命中不安があるため“安定”とは相反しますが、受け同士で決定打が乏しい構築では、勝ち筋の一つとして機能します。育成論でも採用例が複数提示されています。じしん(などの攻撃技)
しおづけが通りにくい相手(みがわり、おんみつマント等)や、特定の相手に圧をかけたい場合の補完として候補になります。環境の対策札を意識した攻撃技候補が挙げられています。
テラスタイプの考え方
テラスタイプは「受けの穴を埋める」か「詰め性能を上げる」かで決めると整理しやすいです。キョジオーンは鈍足で受け寄りのため、テラスを切った瞬間に勝ち切るというより、“不利を消して勝ち筋を継続する”目的で切る場面が多くなります。
ゴースト
格闘弱点を無効化できる点が非常に大きく、受け範囲を広げやすいテラスとして有力です。また、ゴーストテラス中の「のろい」に絡む運用や、ゴースト技半減の特性と噛み合う点が評価されています。みず
岩タイプの弱点を受ける局面を調整し、受け先をずらしながら戦う意図で採用候補になります。特に、受けの継続を優先する構築では、耐性面で扱いやすい選択肢として挙げられています。
テラスは“万能の正解”があるものではありません。重要なのは、構築単位で「キョジオーンにテラスを切る試合はどんな試合か」をあらかじめ決めておくことです。例えば、格闘打点が重い環境に寄っているならゴースト寄り、みず・じめん方面の受けを補いたいなら別の選択肢、といった具合に、負け筋を減らす方向で決めるとブレにくくなります。
選出と立ち回り手順、苦手対策
選出の目安
キョジオーンは「投げて終わり」の受け駒ではなく、試合展開を作る駒です。そのため、選出基準は「受けられるか」だけでなく、「しおづけの蓄積が勝ちに結びつくか」まで含めて考えると安定します。
相手がサイクル寄り、受け寄りに見える
交代回数が増えるほど、しおづけの価値が上がります。受け回しを崩す目的で選出しやすいです。相手の崩し手段が限定的に見える
てっぺき型・みがわり型が刺さりやすく、終盤の詰め筋になりやすいです。裏のエースが通りにくい並び
エースが止められている場合でも、キョジオーンが削りを蓄積して圏内に入れることで、裏の勝ち筋を作れます。
基本の立ち回り手順
立ち回りは「しおづけを入れる」「回復で粘る」だけではなく、相手の対策札をいなしてプランを通す手順が重要です。以下は基本型(しおづけ/じこさいせい/まもる/みがわり)を想定した、再現性の高い流れです。
安全な対面で、まずしおづけを通す
最初の目的は“削りの起点”を作ることです。いきなりみがわりから入るより、しおづけを先に入れておくことで、その後のターン稼ぎ・回復がすべて“削りに変換される”状態になります。相手の崩しの気配がある場合、まもるで確認する
トリックの有無、崩し技を押すかどうか、交代するかどうかを見て、次の行動を選びます。まもるは回復と削りの両方を稼ぐため、情報が取れたうえで損になりにくい行動です。みがわりでターンの主導権を取り、削りを継続する
相手が状態異常や崩し行動を通したい局面でみがわりを置けると、こちらの“削りと回復のサイクル”が回りやすくなります。みがわりが残れば、じこさいせいで体力を戻す選択も安定し、しおづけの削りを積み増せます。不利対面は粘り過ぎず、削りが入ったら引く判断を持つ
キョジオーンの役割は“居座り続けること”ではなく“削りを残すこと”です。削りが入っているなら、別の受け先・攻め先に交代しても勝ち筋は維持できます。無理な居座りで大きく削られてしまうと、終盤の詰めが成立しなくなるため、引く判断も立派な勝ち筋です。
苦手になりやすい対策とケア
キョジオーンは強力な反面、対策もはっきりしています。負け筋になりやすい代表例と、試合中にできるケアをセットで押さえておくと安定します。
トリックなどで持ち物を崩される
たべのこしを奪われると、回復・ターン稼ぎの期待値が大きく落ちます。これを避けるために、怪しい対面ではまもるでまず確認し、「トリックを押す相手には即引き」「トリックを誘う選出なら別の受け先を用意」といった構築・立ち回りの両面でケアします。まもるによる確認が立ち回りの軸になる理由はここにあります。みがわり・おんみつマントなど、しおづけ対策
しおづけを無効化・軽減されると、削りの蓄積プランが弱まります。この場合は、攻撃技(じしん等)を採用して直接打点を持つ、あるいは要塞化(てっぺき+ボディプレス)寄りにして別ルートで詰めるなど、プランBを用意しておくことが重要です。育成論でも対策に抗うための技候補が言及されています。ちょうはつで回復・補助技を止められる
じこさいせいを止められると、受けとしての機能が落ちます。これを完全に避けるのは難しいため、構築段階で「キョジオーンが止められても勝てるエース」「ちょうはつ役に強い後続」など、依存度を下げる設計が有効です。また、テラスを切って受け先をずらす(弱点を消す)発想も、試合を継続するうえで役立ちます。ミラー(キョジオーン同士)
ミラーは長引きやすく、技構成やテラスの差が勝敗を分けやすいです。みがわり・のろい・じわれなど、採用技によって勝ち筋が変わるため、構築段階で「ミラーでどう勝つか」を決めておくと安定します。実際にミラー意識の個体例・努力値案も提示されています。