おりものの色がいつもと違い、黄緑っぽく見えたり、量が増えたりすると、多くの方が真っ先にスマートフォンで検索を行います。
「黄緑 おりもの クラミジア」「知恵袋 おりもの 写真」などのキーワードで検索し、同じような悩みを持つ人の質問や回答を読み続けてしまうことも少なくありません。
病院で話すのが恥ずかしい
家族や友人には知られたくない
できれば受診せずに済ませたい
このような気持ちから、匿名で相談できる「知恵袋」や、おりものの写真を載せた記事に頼りたくなるのは、とても自然なことです。
しかし、写真や他人の体験談だけで「クラミジアかどうか」を判断しようとすることには、大きな危険が伴います。本記事では、その理由と、より安全な行動につなげるための考え方を解説いたします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の指示を行うものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関で医師の診察をお受けください。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
黄緑のおりものはクラミジアだけ?考えられる主な原因
おりものの役割と正常な範囲
おりものは、膣内を潤し、雑菌の侵入を防ぐために分泌される、大切なからだの機能です。生理周期や体調、ストレスなどによって、
量
色(透明〜白っぽい、少し黄みがかるなど)
とろみ・粘り気
は日常的に変化します。
一方で、「いつもと違う」と感じる変化――
色が急に濃い黄色〜黄緑になった
生臭い・魚のようなにおいがする
量が急に増え、下着を何度も替えるほどになった
といった場合には、何らかの感染や炎症を起こしているサインである可能性があります。
黄緑のおりもので多い性感染症の例
医療機関の情報では、黄緑〜膿のようなおりものが見られる場合、次のような性感染症が疑われることがあります。
クラミジア感染症
淋菌感染症(淋病)
トリコモナス膣炎
これらの感染症では、からだの中で増えた細菌と、それと戦った白血球の死骸が混ざることで、粘り気のある黄緑色のおりものになることがあります。特にトリコモナスでは、強い悪臭を伴うことが多いとされています。
ただし、「黄緑=必ず性病」ではありません。 性感染症以外の原因でも、似た色合いになることがあります。
性感染症以外の原因の例
黄緑っぽく見えるおりものが、必ずしも性行為由来とは限りません。例えば以下のような原因が考えられます。
カンジダ膣炎
細菌性膣炎
子宮頸管炎(クラミジア・淋菌以外の細菌による場合も含む)
ホルモンバランスの乱れ
不正出血が混ざっている場合 など
このように、同じ「黄緑」に見えても、原因は一つではありません。
症状には個人差があり、色だけでは断定できない理由
同じクラミジアでも、ほとんど症状が出ない人もいれば、強い症状が出る人もいます。
逆に、クラミジア以外の感染症でも、黄緑のおりものや悪臭が出ることがあります。
このため、おりものの色だけを見て「クラミジアかどうか」を判断することは不可能です。写真や知恵袋の文章と自分の症状を比べることは、目安程度にはなっても、診断にはなりません。
クラミジアに感染したときのおりものの特徴とその他の症状
クラミジアとは(感染経路・潜伏期間の概要)
クラミジアは、性行為(膣・口・肛門セックスなど)によって感染する代表的な性感染症です。若い年代、とくに10〜20代の女性で多いことが報告されています。
特徴として、
感染しても自覚症状がほとんどない場合が多い
気づかないまま子宮や卵管に炎症が広がることがある
といった点が挙げられます。潜伏期間は、おおむね1〜3週間程度とされています。
おりものの「よくある変化」
クラミジアに感染したときに見られやすいおりものの変化として、医療機関は次のような傾向を挙げています。
黄色〜黄緑がかったおりものになることがある
量が増える、水っぽくなる、膿のようになることがある
においが強くなる場合もある
ただし、再度強調しますが、これらがあってもクラミジアとは限らず、逆にクラミジアでも変化がほとんどないこともあります。
おりもの以外で注意したいサイン
次のような症状がある場合は、クラミジアを含む何らかの炎症が起きている可能性があります。
性行為のときの痛み
下腹部の鈍い痛み、圧迫感
不正出血(生理以外の出血)
排尿時の痛みや違和感
特に、発熱を伴う、急に強い痛みが出る、出血量が多い、といった場合は、早急な受診が必要なサインとお考えください。
放置した場合のリスク
クラミジアを放置すると、子宮頸管から子宮内膜、卵管、骨盤内の臓器へ炎症が広がり、
卵管炎・骨盤内炎症性疾患
不妊
子宮外妊娠
妊娠中の母子感染
などにつながる可能性があるとされています。
症状が軽くても、「我慢できるから大丈夫」ではなく、「軽いうちに治す」ことが重要です。
知恵袋やおりもの写真で自己診断することの危険性
写真では正確に色や状態が分からない理由
おりもの写真を見て、自分の症状と比較したくなる気持ちは理解できますが、写真には次のような問題があります。
撮影環境(部屋の照明・カメラの性能)によって色が大きく変わる
スマホやPCの画面設定によって、見える色が変わる
画像の一部だけが切り取られており、量や経過が分からない
つまり、写真を見ても、医師でさえ正確な診断は難しいことが多く、ましてや一般の方が判断するのは非常に危険です。
また、自分のおりものやデリケートゾーンの写真を撮影・送信することには、プライバシーの観点からも大きなリスクがあります。
似た症状でも原因が全く異なるケースがある
黄緑のおりものでクラミジアだった人
同じような黄緑のおりものでも別の細菌性膣炎だった人
クラミジアなのに、ほとんど色の変化がなかった人
知恵袋や体験談には、こうした「バラバラな症例」が混在しています。自分とよく似た症状のように見えても、
年齢
過去の病歴
性行為の頻度・形態
他の持病や服薬
などの背景がまったく違うことが多く、単純な比較はかえって誤解を招きます。
知恵袋Q&Aの限界
知恵袋の回答者は、必ずしも医療従事者とは限りません。また、医療従事者であったとしても、限られた文字情報だけでは正確な判断は困難です。
「自分も放置したけど大丈夫だった」という体験談
「それくらいなら心配いらない」という根拠のない安心コメント
こうした情報に頼ることで、受診が遅れ、症状を悪化させてしまうリスクがあります。
不安を悪化させやすい検索行動のパターン
夜中に何時間も症状を検索し続ける
「最悪のケース」ばかりを繰り返し読む
不安になっては検索する、を何度も繰り返す
このような「検索沼」に陥ると、不安はさらに強くなり、冷静な判断が難しくなります。
不安を感じて検索する時間が増えてきたら、「一度スマホを置いて、受診の予約をする」という行動に切り替えることをおすすめいたします。
受診すべきか迷ったときのチェックリスト
以下は、一般的な目安です。どの項目にも当てはまらなくても不安が強い場合は、受診して構いません。
今すぐ(当日・翌日)受診をおすすめするサイン
次のうち1つでも当てはまる場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
□ 38℃前後の発熱や、強い下腹部痛がある
□ 急に量の多い黄緑のおりものと悪臭が始まった
□ 妊娠中、または妊娠している可能性があり、おりものの異常が続いている
□ 出血量が多い、不正出血が何度も起きている
数日以内の受診を検討したいサイン
□ 黄緑のおりものが数日以上続いている
□ 軽い腹痛・かゆみ・性交痛などを伴う
□ 過去2〜3ヶ月以内にコンドームなしの性行為があった
□ パートナーに他の性行為の可能性があると感じている
これらに当てはまる場合は、数日以内の受診を目安に、早めに婦人科・性感染症外来などを予約なさることをおすすめいたします。
様子見可だが続くなら受診すべきケース
□ 一度だけ色が変わったが、その後は元に戻っている
□ 体調不良や強いストレスと重なっていると自覚している
□ 下着の汚れはあるが、におい・痛み・かゆみはほとんどない
このような場合でも、「しばらく様子を見る」=「受診しなくてよい」ではありません。
数週間単位で続く・繰り返すようであれば、一度受診を検討してください。
受診前にメモしておくとよい項目
診察をスムーズにするために、以下をメモして持参すると役立ちます。
最終月経日と、生理周期(何日周期か・不順か)
最後に性行為をした日と、そのときの避妊方法
おりものの変化が始まった時期と、変化の内容(色・量・においなど)
服用中の薬・持病の有無
クラミジア検査・治療の基本:流れと費用イメージ
主な検査方法(婦人科・郵送キット・オンライン診療)
クラミジアが心配な場合、主な検査方法には次のようなものがあります。
| 検査方法 | 特徴・メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 婦人科・性感染症外来 | 診察とセットで行え、他の病気も確認してもらえる | 恥ずかしさを感じる人もいる |
| 郵送検査キット | 自宅で検体採取・郵送でき、匿名性が高い | 自己採取のため、採取ミスの可能性 |
| オンライン診療+検査 | 自宅から相談・結果説明・薬の処方が受けられる | 対面診察が必要になる場合もある |
それぞれにメリット・デメリットがありますが、症状がはっきりある場合や他の病気の可能性がある場合は、婦人科・性感染症外来での対面診察が推奨されることが多いです。
検査〜結果〜治療までの一般的な流れ
一般的には、次のような流れになります。
問診
症状の内容、性行為の有無・時期などの確認
診察・検査
おりものや子宮頸部の分泌物を採取する検査 など
結果説明
数日〜1週間程度で結果が出ることが多い(医療機関による)
治療
抗菌薬による治療が一般的
再検査
治療が終わった後、治癒を確認するための再検査が行われることもある
※具体的な検査内容や治療方針は、医療機関や患者さん個々の状況によって異なります。
概算の費用イメージと保険適用の考え方
症状があり、医師が必要と判断した検査・治療は、保険適用になることが多いです。
一方で、「自費検査プラン」や「郵送キット」を利用する場合は、数千円〜の自己負担となることが一般的です。
費用は医療機関やサービスによって大きく異なりますので、受診前に公式情報を確認することが重要です。
治療中の注意点とパートナーも一緒に検査・治療すべき理由
処方された薬は、自己判断で中断せず、指示通りに飲み切ること
治療中〜治癒確認までは、性行為を控えること
パートナーが検査・治療を受けないままだと、「治っても再感染する」可能性が高くなります
自分だけが治っても、パートナーが感染したままでは意味がありません。
できるかぎり、二人で一緒に検査・治療を受けることをおすすめいたします。
10代・20代が受診しやすくするためのポイント
親やパートナーに知られたくない場合の受診の仕方
予約の際に「プライバシーが心配」と伝える
場合によっては自費診療を選ぶことで、保険明細に詳しい内容を残さないという選択肢もあります(費用は高くなる場合があります)
どうしても不安な場合は、まずは電話やオンラインで相談できる窓口を利用し、「どのような受診方法があるか」を確認してみるのも有効です。
産婦人科でのプライバシー・守秘義務について
医療者には守秘義務があり、診察内容を本人の同意なく第三者に伝えることはできません。
「家族に勝手に連絡されるのでは?」と心配される方もいますが、そのようなことは通常ありません。
相談しやすい窓口・オンラインサービスの活用
自治体の保健センターや保健所の相談窓口
性と健康に関するNPOや電話相談
オンライン診療・チャット相談サービス
など、直接受診の一歩手前で相談できる場所もあります。
「いきなり婦人科はハードルが高い」という方は、こうした窓口も検討してみてください。
よくある質問(FAQ)
検査で陰性だったのに、黄緑のおりものが続くのはなぜ?
別の感染症や炎症、ホルモンバランスの乱れなどにより、おりものが変化している可能性があります。
検査のタイミングや検査部位によっては、まれに感染を捉えきれていないケースも考えられます。
いずれにしても、「陰性だったからもう大丈夫」と決めつけず、症状が続く場合は再度医師にご相談ください。
ピル服用中・妊娠中でもクラミジアや性感染症にはかかる?
ピルは「妊娠を防ぐ薬」であり、性感染症を防ぐ薬ではありません。
コンドームを使用しない性行為を行えば、ピル服用中でも性感染症に感染する可能性があります。
妊娠中のクラミジアなどの性感染症は、母体や赤ちゃんへの影響も懸念されるため、早めの受診と治療が特に重要です。
パートナーが検査を拒否する場合はどうすればいい?
まずは落ち着いて、自分の検査結果や医師から説明されたリスクを共有しましょう。
「あなたを責めたいわけではなく、お互いの健康のために必要な検査だ」という姿勢で伝えると、話し合いがスムーズになりやすくなります。
それでも拒否される場合は、自分の健康を最優先に考え、関係性を含めて今後どうするかを検討する必要があります。
どのくらいの期間、性行為を控えた方がよい?
一般的には、医師から「治癒した」と判断されるまで性行為を控えることが推奨されます。
また、パートナーが検査・治療を受けていない場合、治療後すぐに性行為を再開すると再感染のリスクが高まります。
「自分もパートナーも治療が終わり、医師から問題ないと判断されるまで控える」ことを基本の目安としてください。
まとめ:写真よりも大切なのは、早めの受診と正しい情報
記事の要点のおさらい
黄緑のおりものは、クラミジアを含む複数の原因で起こる可能性があり、色だけでは断定できないこと
知恵袋やおりもの写真は、あくまで他人の体験談・一例であり、診断には使えないこと
クラミジアを含む性感染症は、放置すると不妊や母子感染など重大なリスクにつながることがあること
不安を感じた時点で、チェックリストを参考に受診・検査を検討することが大切であること
この記事を読んだ後にできる具体的な一歩
本文中のチェックリストで、自分の症状や状況を整理する
近くの婦人科・性感染症外来や、信頼できるオンライン診療を調べる
受診の際に医師に伝える内容(症状の経過・性行為の時期など)をメモにまとめる
「受診する」こと自体が大きな勇気のいる一歩ですが、その一歩が、将来のからだを守る大切な行動になります。
情報のアップデートと、定期的な検査のすすめ
性感染症に関するガイドラインや治療法は、少しずつ変化・更新されています。
新しいパートナーができたとき
コンドームなしの性行為があったとき
何となく不安を感じたとき
こうしたタイミングで、定期的に検査を受けることは、自分自身とパートナーの健康を守るうえで、とても有効です。