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基準期間の課税売上高の計算で迷わない!特定期間・インボイスまでフローで確認

売上が伸びてきたときに急に気になり始めるのが、「自分は消費税の課税事業者になるのか」という問題です。会計ソフトや申告書で「基準期間の課税売上高」という項目を見つけたものの、“いつの売上を、どのルールで合計すればいいのか”が分からず、手が止まってしまう方は少なくありません。

特にややこしいのは、会計上の売上高と消費税の「課税売上高」が一致しないことです。輸出などの免税売上は入れるのに、非課税や対象外は基本的に入れない――さらに、手数料収入や固定資産売却、返品値引が混ざると、1,000万円判定を誤るリスクが一気に高まります。加えて、特定期間の判定やインボイス登録の有無で、結論がひっくり返ることもあります。

この記事では、基準期間の決め方(個人・法人別)から、課税売上高に含める/含めない/条件付きの取引整理、売上台帳と元帳を使った集計手順、そして基準期間→特定期間→インボイス→例外の判定フローまでを順番に解説します。読み終えたときに「自分のケースはこう判定できる」と腹落ちし、次に取るべき行動が明確になるはずです。

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目次

基準期間の課税売上高とは何か

消費税の話題で「基準期間の課税売上高」という言葉が出てくるのは、多くの場合「自分は課税事業者になるのか、免税のままでいられるのか」を判定したいときです。売上が伸びてきた年、取引先からインボイス対応を求められた年、あるいは会計ソフトや申告書の入力欄でこの項目を見つけた瞬間に、不安が一気に大きくなりがちです。

ここで大切なのは、言葉を暗記することではなく、次の2点を“自分の状況に当てはめて”判断できることです。

1つ目は「基準期間がいつか」。
2つ目は「課税売上高に入れる金額がどれか」。

この2つさえ固まれば、あとは制度が用意している判定フロー(基準期間→特定期間→インボイス登録→新設法人などの例外)に沿って、かなりのケースで自力判定が可能になります。一次情報(国税庁)でも、免税点判定の基本と例外が整理されています。

基準期間の課税売上高の定義は課税取引の売上と免税売上の合計

国税庁の案内では、基準期間の課税売上高は、基本的に次の合計として説明されています。

  • 消費税が課税される取引の売上金額(消費税額・地方消費税額を除いた金額)

  • 輸出取引などの免税売上金額

さらに、売上返品・値引・割戻しなどがある場合には、その分を控除して集計する取り扱いも示されています。つまり、単に「売上高=課税売上高」ではなく、取引の区分と調整が必要な概念だと理解するのが安全です。

課税売上高と会計の売上高が一致しない理由

会計の「売上高」は、事業の成果を測るための数字で、税の判定に使う区分とはズレることがあります。ズレが起きやすい代表例は次のとおりです。

  • 会計上は売上や収益に入っているが、消費税の区分では「非課税」や「対象外」になる取引が混ざる

  • 本業売上ではないが、消費税の区分上は課税売上高に含まれる(例:手数料収入、事業用固定資産の売却代金)

  • 返品・値引・割戻しがあるのに、会計上の表示と集計の段階がズレる

このズレを放置したまま「売上高が1,000万円を超えた/超えていない」で判断すると、課税・免税の判定を誤る可能性があります。国税庁の質疑応答でも、手数料収入や固定資産売却、返品値引の控除など、課税売上高の範囲が具体的に整理されています。


基準期間はいつかを個人と法人で確定する

「基準期間の課税売上高」を計算する前に、まず“いつの期間の数字”を使うのかを確定させます。ここが曖昧だと、どれだけ丁寧に集計しても結論が崩れます。

個人事業者の基準期間は原則として前々年

個人事業者の課税期間は通常、暦年(1月1日から12月31日)です。国税庁の説明でも、基準期間は原則として「その年の前々年」とされています。

たとえば、2026年の納税義務(課税事業者か免税か)を判断したいなら、基準期間は2024年です。ここで注意したいのは、「今年売上が伸びたから今年から課税事業者」と短絡しないことです。多くの場合、判定に使うのは“2年前”です。

ただし例外として「特定期間」の判定があり、基準期間が1,000万円以下でも課税事業者になる場合があります(後述)。

法人の基準期間は原則として前々事業年度

法人の場合、課税期間は事業年度です。そして基準期間は原則として「前々事業年度」と整理されます。

例えば3月決算の法人で、2026年4月1日〜2027年3月31日の課税期間について判定する場合、基準期間は2024年4月1日〜2025年3月31日(前々事業年度)になります。

法人でありがちなミスは、期の数え方を混同して「前年度(直前期)」の数字を見てしまうことです。まずは自社の決算期を紙に書き出し、「判定したい課税期間」と「2期前(基準期間)」を対応させてください。

基準期間がない法人や短い法人は例外の整理が必要

新規設立直後などで基準期間が存在しない場合、原則として免税になりやすい一方で、国税庁は「免除されない場合」も明確に示しています(例:資本金要件等)。

また、前々事業年度が1年未満の場合の基準期間の取り扱い(複数事業年度を合わせた期間として捉える等)も説明されています。法人はこの論点が複雑になりやすく、迷う場合は一次情報の確認を前提に、期の設計(短期決算の有無)とあわせて整理するのが安全です。


免税か課税かは判定フローで決める

免税点(1,000万円)判定は、単に「基準期間が1,000万円以下なら免税」と覚えるだけでは不十分です。なぜなら、次のような“例外の関門”があるからです。

  • 特定期間の課税売上高(または給与等支払額)で判定がひっくり返ることがある

  • インボイス登録(適格請求書発行事業者の登録)を受けていると、基準期間が1,000万円以下でも免税にならない

  • 新設法人など、制度上の例外がある

国税庁のタックスアンサーでも、基準期間1,000万円以下が原則でありつつ、例外が列挙されています。

判定フローは基準期間から特定期間へ進む

実務上おすすめの順番は次のとおりです。

  1. 基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるか

  2. 超えないなら、特定期間の判定に該当するか(該当するなら1,000万円を超えるか)

  3. さらに、インボイス登録中か

  4. 法人なら、新設法人等の例外に該当しないか

この順で確認すれば、「基準期間だけ見て安心してしまう」「インボイス登録の影響を見落とす」といった事故を減らせます。

1,000万円という数字の意味を誤解しない

1,000万円は「売上が伸びた年にすぐ課税になる境界線」ではなく、指定された期間(基準期間/特定期間)の課税売上高で判定する基準です。特に売上が急増した年は、基準期間ではまだ小さく見えても、特定期間で課税になることがあります。これが「想定外に課税事業者になっていた」典型パターンです。


課税売上高に含める取引と含めない取引を判断する

ここからが記事の核心です。課税売上高は、取引を区分して集計する必要があります。結論から言うと、まず取引を次の4つに分類します。

  • 課税取引(消費税が課税される取引)

  • 免税取引(輸出など、税率0%扱いの取引)

  • 非課税取引(法令上、消費税が課されない取引)

  • 対象外(そもそも消費税の課税対象の範囲外)

そして、免税点判定に用いる課税売上高としては、基本的に「課税取引+免税取引」を合計し、返品・値引・割戻し等を控除して考えます。国税庁の説明でも、税抜(消費税・地方消費税を除く)で考えることが示されています。

課税売上高に含める代表例は国内の課税取引と輸出などの免税売上

含める側の代表例は次のとおりです。

  • 国内で提供した商品販売・役務提供などの売上(通常の課税取引)

  • 輸出取引などの免税売上(税率0%扱いだが、課税売上高の合計には含める)

ここで最も多い誤解は「免税売上は“免税”だから除外」と考えてしまうことです。免税売上は“課税売上高に含める”側であり、判定に影響します。

課税売上高に含めない側は非課税と対象外だが区分の確定が先

非課税や対象外は、一般に免税点判定に用いる課税売上高の合計には入れません。ただし重要なのは、「これは非課税」「これは対象外」という区分が先に確定していないと、集計そのものが危険という点です。

たとえば不動産、医療・介護、金融、保険などは、課税・非課税が混在しやすい領域です。会計上の売上高をそのまま合計してしまうと、課税売上高を過大・過小に見積もる原因になります。

そのため、迷う場合は次の順で整理します。

  1. 契約書・請求書の性質から取引区分(課税/免税/非課税/対象外)を確定

  2. 確定した区分に従って集計

  3. 最後に返品値引などの調整


間違えやすい取引を具体例で整理する

課税売上高の集計で“落とし穴”になるのは、本業の売上以外の収入や、会計の表示が分かりにくい取引です。国税庁の質疑応答でも、次のような項目が課税売上高に含まれること、返品値引の控除などが示されています。

手数料収入は売上に見えなくても課税売上高に含まれることがある

代理店手数料、仲介手数料、プラットフォーム手数料、紹介料などは、会計上「雑収入」「業務委託収入」など名称が揺れがちです。しかし、消費税の区分として課税取引に当たる場合、課税売上高に含める必要があります。

実務上のポイントは「科目名」ではなく「取引の実態」です。例えば次のように考えます。

  • あなたがサービスを提供し、対価として手数料を受け取る → 課税取引になりやすい

  • 単なる立替精算や預り金の精算で、あなたの収益にならない → そもそも売上にしない(集計対象外)

ここを混同すると、課税売上高を過大に集計してしまうことがあります。逆に、収益である手数料を「雑収入だから除外」としてしまうと過小集計になります。

事業用固定資産の売却代金は課税売上高に入るケースがある

車両、機械、パソコン、備品など、事業で使っていた固定資産を売却したとき、売却代金が課税売上高に含まれる場合があります。国税庁の質疑応答でも「事業用固定資産の売却代金も課税売上高に含める」旨が示されています。

ここでの注意点は、売却したものが「事業用資産」であること、そして取引区分が課税取引に当たることです。固定資産売却は金額が大きくなりやすく、基準期間・特定期間の判定を一気に超えてしまう原因にもなります。年末に車を売った、設備を処分した、といった場合は必ず確認してください。

返品・値引・割戻しは課税売上高から控除する

返品、値引、リベート(割戻し)などは、課税売上高の集計上、控除(差し引き)する取り扱いが示されています。

ここで混乱が起きるのは、会計上の処理が会社やソフト設定で異なるからです。たとえば次のようなズレが起きます。

  • 売上のマイナスとして処理される(売上台帳がそのまま使える)

  • 値引きが「販売促進費」など別科目で処理され、売上台帳には残ったまま

  • 返品が翌期に処理され、基準期間の帳簿には残ってしまう

課税売上高は“その期間に起きた対価の返還等”を反映して考えるため、売上台帳だけでなく、値引・返品の証憑や処理のタイミングを確認することが重要です。


取引別に入るかどうかを早見表で判断する

この表は「初動の整理」に使うものです。最終判断は取引の実態(契約・請求)に基づきますが、迷いを減らすために「入る/入らない/条件付き」を明確にします。

取引別:課税売上高の集計に入るかどうか早見表

取引・収入の例 集計に入れる目安 判断の要点
国内の商品販売・役務提供(通常の売上) 入れる 課税取引なら税抜ベースで集計
輸出など免税売上 入れる “免税=除外”ではなく合計に含める
非課税取引に当たる収入 入れない ただし区分の確定が先(混在業種は要注意)
対象外(範囲外) 入れない そもそも売上として扱わない整理が多い
代理店・仲介などの手数料収入 条件付きで入れる 実態が課税取引なら含める
事業用固定資産の売却代金 条件付きで入れる 課税取引なら含める(見落とし注意)
返品・値引・割戻し 控除する 課税売上高から差し引く
消費税・地方消費税相当額 入れない 税額は課税売上高から除く

基準期間が免税事業者だった場合の税抜と税込の考え方

「基準期間が免税事業者だった場合、売上は税込で数えるのか、税抜で数えるのか」という疑問は非常に多い論点です。ここは誤解が起きると致命的なので、丁寧に整理します。

原則として課税売上高は消費税と地方消費税を除いた金額で考える

国税庁の質疑応答では、課税売上高の範囲として「消費税及び地方消費税の額は除く」ことが示されています。

つまり、課税売上高の概念としては「税抜」が基本です。ここでの「税抜」は、単に請求書の表示が税抜か税込かという話ではなく、判定に用いる金額として税額相当分を除外する、という意味です。

免税事業者の期間は請求の表示が混在しやすいので同一基準にそろえる

免税事業者であっても、請求書に「税込相当」の金額を提示するケース、総額表示で請求するケース、取引先要請で消費税相当額を“価格に含めて”提示するケースなど、表示はさまざまです。

そのため現実には、帳簿上の金額が“税込っぽく見える”ことがあります。ここで必要なのは次の作業です。

  • その金額に「消費税・地方消費税相当額」が含まれているのか(価格の内訳として分けているのか)

  • 価格の付け方として税相当分を上乗せしているだけで、帳簿上は「対価」として一体なのか

  • 自社の売上台帳・請求書で表示ルールが統一されているか

国税庁の質疑応答でも、基準期間が免税事業者であった者の課税売上高の判定に触れており、判定上の考え方を整理する必要性が示されています。

実務では、基準期間の売上を「同一基準(税抜相当)」でそろえることが重要です。混在しているときは、請求書や契約単価から内訳を整理し、少なくとも“自分の集計の基準”を一貫させてください。


特定期間で課税事業者になるケースを見落とさない

基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間の判定で課税事業者になることがあります。これは、売上が急伸した事業者ほど引っかかりやすい例外です。

特定期間は個人と法人で定義が異なる

国税庁の質疑応答事例では、特定期間の具体的な考え方が示されています。法人の場合は、期首から6か月という単純な話に見えますが、期末が月末かどうか等で末日調整が入りうるため、条文の言い回しだけで判断しない方が安全です。

  • 個人事業者:前年の1月1日〜6月30日(前半6か月)

  • 法人:原則として前事業年度開始日から6か月(末日調整などが起きるケースあり)

「前年の上半期が強かった」「期首から半年で大口案件が続いた」という事業者は、基準期間だけ見て安心しないでください。

特定期間は課税売上高の代わりに給与等支払額で判定できる場合がある

国税庁の説明では、(国外事業者以外など一定の条件のもとで)特定期間の判定について、課税売上高に代えて給与等支払額で判定できる旨が示されています。

これは、売上が一時的に大きくても、人件費(給与等)の規模が小さい場合などに影響することがあります。ただし条件付きの制度であり、安易に「給与で逃げられる」と考えるのは危険です。必ず一次情報に沿って、自社が対象かを確認してください。


インボイス登録は免税判定を上書きすることがある

インボイス制度は、免税点判定の感覚を変えてしまう代表的要因です。「売上が1,000万円以下なら免税でしょ?」という感覚のまま登録してしまうと、想定外の申告・納税が発生します。

適格請求書発行事業者の登録中は基準期間1,000万円以下でも免税にならない

国税庁のタックスアンサーでは、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、適格請求書発行事業者の登録を受けている場合には納税義務が免除されないことが明示されています。

つまり、登録を維持している限りは「免税事業者のまま」は選べません。ここは制度の大前提として押さえるべきポイントです。

免税事業者が期中登録した場合は登録日以後が申告対象になる

同じく国税庁の説明では、免税事業者が課税期間の途中で登録を受けた場合、その登録日から課税期間末日までに行った課税資産の譲渡等が申告対象になるとされています。

このため、「登録した年は全部課税」「翌年から課税」といった単純化は危険です。登録日を起点として、請求・入金・役務提供のタイミングを整理し、対象期間を切り分ける必要があります。

登録するかどうかは取引先要請と原価構造と資金繰りで判断する

インボイス登録は「登録しないと仕事が減るかもしれない」という不安と、「登録すると納税が増えるかもしれない」という不安の板挟みになりやすい論点です。

判断の軸は主に3つです。

  • 取引先の性質:BtoB中心で取引先が仕入税額控除を重視するか

  • 原価構造:課税仕入(外注費・仕入・設備投資など)が多く、控除の恩恵が大きいか

  • 資金繰り:納税資金を確保できるか(価格転嫁・請求条件・入金サイト)

登録は“税務”だけでなく“営業と資金繰り”の意思決定です。自分の事業の実態に沿って検討してください。


自分で算出するための実務手順を帳票ベースで解説する

ここからは「実際に数字を作る」ための手順です。ポイントは、会計ソフトの数字を丸呑みにせず、資料→区分→集計→調整→判定の順で進めることです。

まず用意する資料は売上台帳と総勘定元帳と固定資産台帳

最低限、次を用意すると作業が進みます。

  • 売上台帳(請求書一覧、入金管理表でも可)

  • 総勘定元帳(売上・雑収入・固定資産売却など収益系科目が分かるもの)

  • 固定資産台帳(売却がある場合)

  • 返品・値引・割戻しの根拠資料(請求書修正、返金記録、値引合意書など)

  • 輸出など免税売上がある場合:輸出許可書類や契約・請求の根拠

国税庁の質疑応答では、固定資産売却代金や手数料収入も課税売上高に含まれる旨が示されており、売上科目だけで集計しない重要性が分かります。

ステップ1:基準期間を確定して対象期間のデータだけを抜き出す

最初に、判定したい課税期間を決め、そこから基準期間(個人:前々年、法人:前々事業年度)を確定します。

次に、会計データや台帳から“その期間の取引だけ”を抜き出します。ここが曖昧だと、年度をまたいだ取引が混ざり、集計が壊れます。

ステップ2:取引を課税・免税・非課税・対象外にラベリングする

次に、売上台帳の各行(取引)に対して、取引区分を付与します。おすすめは、台帳に次の列を追加することです。

  • 取引先

  • 取引内容

  • 請求日/売上計上日

  • 金額

  • 区分(課税/免税/非課税/対象外)

  • メモ(判断根拠:契約条項、請求書の記載等)

この作業は手間ですが、一度作れば翌年以降が圧倒的に楽になります。「今年だけ乗り切ればいい」と思っても、消費税の判定は継続的に発生するため、最初に型を作る価値があります。

ステップ3:課税売上高の合計は課税+免税を足し、非課税・対象外を除く

ラベリングが終わったら、合計は次の式です。

  • 課税売上高(判定用)=課税売上の合計+免税売上の合計 −(返品・値引・割戻し等の控除)

国税庁の説明では、課税売上高は課税取引の売上(税額を除く)と免税売上の合計とされ、返品・値引等は控除される取り扱いが示されています。

ステップ4:税抜・税込が混在する場合は同一基準にそろえる

請求書が税抜表示と総額表示で混在している場合は、集計の前に「税額相当分を含める/含めない」を統一します。課税売上高の範囲として税額は除く取り扱いが示されているため、同一基準で整理してください。

ここで無理に複雑な計算をするよりも、次のように“基準を決めてそろえる”発想が現実的です。

  • 原則:税抜相当で統一(税額相当分を除外する)

  • 不明:請求書・契約単価のルールを確認し、内訳が確定できるものから整備する

  • どうしても確定できない:税理士や税務署相談で前提を固める(YMYLの安全策)

ステップ5:基準期間で1,000万円判定→特定期間→インボイス→例外を確認

集計結果が出たら、判定は次の順で行います。

  1. 基準期間の課税売上高が1,000万円超か(超なら課税事業者が基本)

  2. 超えないなら、特定期間の判定が必要か(必要なら1,000万円超か)

  3. インボイス登録中か(登録中なら免税にならない)

  4. 法人は 新設法人等の例外 を確認

判定の“順番”を固定すると、確認漏れが激減します。


よくあるつまずきとトラブルシューティング

この章では、実際に多い「つまずき」を想定し、どう整理すれば前に進めるかをまとめます。

どの売上が非課税か分からずラベリングで止まる

まず、契約書・請求書・サービス内容の説明(Webの料金表でも可)を見て「何を提供して対価を得ているか」を言語化します。次に、過去の取引を全部完璧に分類しようとせず、次の優先順位で進めます。

  • 金額が大きい取引(判定に影響が大きい)

  • 頻度が高い取引(混在が続くと翌年以降も困る)

  • 例外要因になりやすい取引(固定資産売却、手数料、返品値引)

すべてを一気に片付けず、影響が大きいものから確定していくと現実的です。

固定資産売却を売上に入れていなかったことに気づいた

固定資産売却は「たまたま入った臨時収入」扱いになりやすい一方で、課税売上高に含まれる場合がある点が国税庁で示されています。

この場合は、売却契約・請求・入金記録を確認し、対象期間(基準期間/特定期間)に含まれるかを切り分けたうえで、課税売上高に反映します。年度をまたいで入金がある場合は、会計の計上基準(発生主義)も踏まえて整理が必要です。

インボイス登録をしたが、免税のつもりだった

国税庁は、登録を受けている場合は基準期間1,000万円以下でも免税にならないと明示しています。

「取引先に言われて登録した」「よく分からないまま登録した」という場合でも、現状の登録ステータスと登録日を確認し、申告対象期間(登録日以後)を切り分けます。そのうえで、価格転嫁(単価見直し)や請求書の表示、納税資金の確保に移るのが現実的な対応です。


集計ミスを防ぐチェックリスト

集計前チェックリスト

  • 基準期間(個人:前々年/法人:前々事業年度)を確定した

  • 基準期間のデータだけを抜き出した(年度混在がない)

  • 売上台帳だけでなく、総勘定元帳も確認できる

  • 固定資産売却の有無を固定資産台帳で確認した

集計中チェックリスト

  • 各取引に区分(課税/免税/非課税/対象外)を付けた

  • 課税+免税のみを合計し、非課税・対象外は除外した

  • 返品・値引・割戻しを控除した

  • 手数料収入や固定資産売却を落としていない

  • 税抜・税込の混在を同一基準にそろえた(税額を除く)

判定チェックリスト

  • 基準期間で1,000万円判定を行った

  • 必要なら特定期間も判定した(法人の末日調整なども確認)

  • インボイス登録中か確認した(登録中なら免税にならない)

  • 法人は新設法人等の例外を確認した


よくある質問

売上が1,000万円を超えた年にすぐ課税事業者になりますか

多くの場合、判定に使うのは「基準期間(前々年/前々事業年度)」の課税売上高です。そのため、今年の売上が急増しても、すぐに課税事業者になるとは限りません。
ただし、特定期間の判定やインボイス登録などの例外があるため、フローで確認するのが安全です。

輸出など免税売上は1,000万円判定に入りますか

入ります。免税売上は税率0%扱いですが、課税売上高の合計に含める考え方が示されています。

特定期間はいつのことですか。法人はどう考えればよいですか

個人は前年の1月1日〜6月30日です。法人は原則として前事業年度開始日から6か月で、月末調整等が起きるケースが質疑応答で示されています。自社の期首・期末を当てはめて確認してください。

基準期間が免税事業者だった場合、課税売上高は税抜で数えますか

課税売上高の範囲として、消費税・地方消費税の額は除くことが示されています。免税事業者の期間は請求表示が混在しやすいため、同一基準にそろえて集計するのが重要です。

インボイス登録中なら売上1,000万円以下でも申告が必要ですか

登録を受けている場合、基準期間が1,000万円以下でも納税義務が免除されないことが明示されています。登録日以後の対象期間を切り分けて対応します。


参考にした情報源