筋トレ中や直後に、急にムカムカして「吐きそう」「冷や汗が出る」「立ちくらみがする」――そんな経験があると、次のトレーニングが怖くなりますよね。
実は、筋トレで気持ち悪くなる背景には、脱水や暑さの影響、低血糖、血圧の変動(迷走神経反射を含む)、呼吸の乱れ、食事タイミングのズレなど、いくつかの“よくある原因”があります。そして多くの場合は、症状と状況を整理し、正しい順番で対処すれば落ち着かせられます。
本記事では、まず「危険なサイン」を見逃さないための基準を押さえたうえで、原因を切り分ける比較表と、その場で迷わない3分対処フローを提示します。さらに、次回からの再発を減らすために、食事・水分・休憩・強度・環境を整える具体的な予防ルーティンまで解説いたします。
読み終えたときに、「自分のケースはこれだ」「次に何をすべきか分かった」と安心して筋トレを続けられる状態を目指します。
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筋トレで気持ち悪くなったら最初にやること
筋トレで気持ち悪くなったら中止し、姿勢を整え、冷却と補給を行います。主因は脱水/熱負荷、低血糖、血圧変動、呼吸の乱れ、食事タイミングで、症状と状況で切り分けると再発を減らせます。改善しない・飲めない場合は受診を。
まず中止し、転倒や事故を防ぐ
吐き気やめまいが出たときに最も避けたいのは、「あと1セットだけ」と続けてしまい、ふらついて転倒することです。バーベルやダンベルを安全に戻し、ベンチや床など、倒れても危険が少ない場所へ移動してください。ジムなら周囲に声をかけ、可能であればスタッフに状況を伝えます。
この時点で大切なのは、根性で耐えることではなく、症状が悪化しない状態を作ることです。
姿勢で回復しやすさが変わる
気持ち悪さの背景に、血圧の急な変動や迷走神経反射がある場合、姿勢で楽になることがあります。めまいが強い・目の前が暗い・立っていられないと感じたら、まず横になりましょう。可能なら仰向けで脚を少し高くします。
一方、吐き気が強く吐きそうなときは、誤嚥を避けるため横向き、または上体を少し起こして楽な姿勢を取ります。
体を冷やすべきケースと、補給すべきケースを見分ける
吐き気は「水を飲めばOK」とは限りません。暑さや発汗が強い場合は冷却と電解質補給が重要になります。スポーツ活動向けの熱中症対応資料では、処置をしても改善しない場合や、最初から吐き気・嘔吐で水分補給ができない場合には医療機関搬送や点滴治療が必要になり得ることが示されています。
また、食事を抜いた状態や強い空腹でトレーニングを始めた場合は、低血糖が関係していることもあり、糖質を少量入れることで改善するケースがあります(ただし吐き気が強いときの無理な摂取は避けます)。
筋トレで気持ち悪くなる原因を症状と状況で切り分ける
切り分けの基本は「症状+状況+発生タイミング」
原因を当てるコツは、症状だけを見ないことです。
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どのタイミングで起きたか(セット中/直後/帰宅後)
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暑い・換気が悪い・汗が多いなど環境はどうか
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空腹か、食後すぐか、減量中か
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息を止めていないか、インターバルが短すぎないか
これらを合わせると、かなりの確度で「いま最優先でやるべき行動」が決まります。
低血糖が疑わしいサインと起こりやすい条件
低血糖は、糖質が枯渇した状態で筋肉がエネルギーを必要とするときに起こりやすくなります。目安として、次の特徴がそろう場合は疑いが強くなります。
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空腹で開始した、食事量を減らしている、減量中で糖質を極端に削っている
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冷や汗、手の震え、ぼーっとする、急に力が入らない
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休憩しても落ち着きにくいが、糖質を少量入れると改善しやすい
糖尿病の治療薬(インスリン、インスリン分泌を促す薬など)を使用している方は、運動で低血糖が起こり得るため、運動時の注意点が公的資料でも整理されています。該当する場合は自己判断で追い込まず、主治医の指示に従ってください。
脱水・熱負荷(熱疲労)が疑わしいサインと起こりやすい条件
暑さや湿度が高い環境、換気が弱い室内、発汗が多い日に起こりやすいのが脱水と熱負荷です。
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暑い、汗だく、顔が赤い(または青白い)、息が上がる
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強いだるさ、めまい、頭痛、吐き気
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口が渇く、尿の量が少ない・色が濃い
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休んでも回復が遅い
熱中症対応の資料では、症状が改善しない場合や吐き気・嘔吐で水分補給ができない場合は医療機関搬送が必要となり得ることが明示されています。
また、脱水は運動中の胃腸症状を悪化させる要因になり得ることが、運動時の消化器症状に関するレビューでも示されています。
低血圧・血管迷走神経反射が疑わしいサイン
「セット直後に立ち上がったらクラッとする」「目の前が暗くなる」「気が遠くなる」タイプは、血圧変動や血管迷走神経反射が関係している可能性があります。富山県のスポーツ障害Q&Aでも、血管迷走神経反射は激しい運動や疲労などが誘因となり得ることが説明されています。
起こりやすい条件は、次のようなものです。
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高重量で息を止めがち、セット後に急に立つ
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寝不足、疲労が強い、空腹、脱水気味
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ジムの混雑や緊張など、精神的ストレスがある
対策の軸は、姿勢(横になる・脚を挙げる)と、回復するまで再開しないことです。
呼吸の乱れ(息こらえ・過呼吸)が疑わしいサイン
スクワットやデッドリフトなどの全身運動で「息を止めて踏ん張る」癖があると、血圧が急上昇したり、セット後に急降下したりして、めまいや吐き気が出やすくなります。また、焦って浅い呼吸が続くと過呼吸気味になり、手足のしびれ、動悸、不安感が出ることもあります。
このタイプは、長めの休憩と、呼吸を整えるだけで改善することがありますが、繰り返す場合は重量・回数・インターバルの設計を見直す必要があります。
消化不良(食事タイミング)が疑わしいサイン
食後すぐに筋トレをすると、胃が重い、げっぷが増える、ムカムカするなどが起こりやすくなります。食後は消化のために血流が必要ですが、運動で筋肉へ血流が移りやすく、胃腸が不快になることがあります。
特に、脂っこい食事、繊維が多すぎる食事、量が多い食事の直後は起こりやすいため、トレーニング前の食事量・内容・タイミングの調整が有効です。
症状別に迷わない判断表
症状から原因と行動を固定する比較表
「結局、私は何をすればいい?」を最短で決めるための表です。迷ったら上から該当する行を優先し、まず安全確保をしてください。
| よくある症状・状況 | 疑う原因 | その場でやる行動 | 再開してよい目安 | その日は中止の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 暑い/汗だく/だるい/頭痛/吐き気 | 脱水・熱負荷 | 涼しい場所へ移動→首・脇などを冷却→少量ずつ水分+電解質 | 体温感が落ち着き、めまい・吐き気が消え、歩行が安定 | 吐き気で飲めない、休んでも改善しない(医療機関) |
| 空腹/冷や汗/手の震え/力が入らない | 低血糖 | 休憩→糖質を少量(目安10〜20g)→15分様子見 | 震え・冷や汗が消え、会話・歩行が問題ない | 改善しない/繰り返す/意識が遠い(受診検討) |
| 立つとクラッ/視界が暗い/失神しそう | 低血圧・迷走神経反射 | 横になる→脚を少し高く→深呼吸→回復まで安静 | 座位・立位でふらつきがなくなる | 失神した/繰り返す/応答が鈍い(受診) |
| 息を止めがち/セット後に動悸・しびれ | 呼吸の乱れ | 長めの休憩→呼吸を整える→次セットは重量/回数を下げる | 呼吸が落ち着き、しびれ・不安感が消える | 胸痛/強い動悸/息苦しさが続く(受診) |
| 食後すぐ/胃が重い/げっぷ/ムカムカ | 消化不良 | その日は中止または強度を大幅に下げて回復待ち | 胃の不快感が消える | 嘔吐が続く/水分が取れない(受診) |
その場でできる対処フロー:3分で安全ラインへ戻す
ステップ1 中止して「事故を止める」
器具を安全に戻し、転倒しない場所へ移動します。吐き気やめまいがあるときに歩き回るのは避け、座れる・横になれる場所へ。
ステップ2 姿勢を整える
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ふらつく:横になる(可能なら脚を少し高く)
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吐き気が強い:横向き、または上体を少し起こす
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息が乱れている:背もたれのある姿勢でゆっくり呼吸
ステップ3 熱が疑わしければ「冷却」を優先
暑い・汗だく・だるい場合は冷却を優先します。首・脇・太ももの付け根など、大きな血管がある部位を冷やすと体感が改善しやすくなります。熱中症対応資料でも冷却の重要性が示されています。
ステップ4 補給は「少量ずつ」:水だけで足りない場面がある
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発汗が多い:水分+電解質(塩分)
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空腹が強い:糖質を少量(ゼリー、果物、飴など)
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胃が揺れて気持ち悪い:一気飲みしない、少量ずつ
運動時の胃腸症状のレビューでは、脱水が症状を悪化させ得るため、脱水予防の重要性が述べられています。
ステップ5 5〜15分で再評価し「その日の中止」を決める
次のいずれかなら、その日の筋トレは中止が安全です。
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吐き気が強く、水分が取れない
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休んでも改善しない、または悪化する
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意識がもうろう、応答が鈍い、言動がおかしい(暑熱時は特に注意)
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失神した、または失神しそうな状態が繰り返す
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胸痛、強い動悸、息苦しさ、片側のしびれ等がある
筋トレで気持ち悪くならないための予防ルーティン
食事のタイミング:空腹と満腹の「両方」を避ける
吐き気対策で最も多い失敗は、「空腹で追い込む」か「食後すぐに追い込む」のどちらかです。
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空腹で不調が出る人:開始30〜60分前に消化の良い糖質を少量
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食後すぐに不調が出る人:満腹になる量を避け、食後は落ち着いてから
胃が弱い方ほど、脂っこい食事や食物繊維が多すぎる食事の直後を避けると改善しやすくなります。
補給の基本:水分+電解質を「前もって」用意する
喉が渇いてからでは遅いことがあります。特に暑い室内や汗が多い日は、電解質も意識すると良いでしょう。
また、利尿薬など服薬状況によって脱水や起立性低血圧に注意が必要であることが、公的資料に整理されています。
呼吸とインターバル:吐き気が出る人ほど「休憩」を長くする
吐き気が出やすい方は、まずインターバルを見直してください。
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息が整わないうちに次セットへ行かない
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高重量ほど休憩を長くする
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「力を出す局面で吐く」を徹底し、息こらえを減らす
フォームや筋力を鍛える以前に、呼吸と休憩設計が整うと、体調トラブルは大きく減ります。
強度設計:RPEで「今日は追い込まない」を決める
不調が出やすい日は、前提として体が疲れている可能性があります。
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寝不足
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仕事のストレスが強い
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水分不足
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減量中でエネルギー不足
このような日は、重量を落としてフォーム練習に寄せたり、セット数を減らすことで、継続性が上がります。「毎回100点を狙う」より、「70点で続ける」ほうが、長期では成果につながります。
環境:暑さ・換気・混雑は軽視しない
吐き気は環境で増えます。換気の悪い自宅トレや、空調が弱いジムでは、暑さと二酸化炭素のこもりで気分不良が増えることがあります。
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窓を開ける
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扇風機を回す
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室温が高い日は時間帯をずらす
これだけでも改善するケースがあります。
受診目安と危険サイン:迷ったら安全側へ
すぐ医療機関を考える症状
スポーツ活動向けの資料では、吐き気・嘔吐で水分補給ができない場合や、処置をしても改善しない場合に医療機関搬送が必要となり得ることが明示されています。
次の症状がある場合は、無理に帰宅せず、医療機関や救急相談の利用を検討してください。
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吐き気が強く、水分が取れない
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意識がもうろう、応答が鈍い、言動がおかしい
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失神した、または失神しそうな状態が繰り返す
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胸痛、強い動悸、息苦しさ、片側のしびれなど、明らかにいつもと違う症状
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暑熱環境での不調が長引く
服薬・持病がある人は「運動の前提」を整える
厚生労働省の資料では、利尿薬は脱水になりやすく熱中症や起立性低血圧に注意が必要、糖尿病治療薬は運動で低血糖が起こり得るなど、運動時の注意点が整理されています。
該当する方は、自己流の追い込みを避け、運動の強度設定や補給について、主治医や医療者に相談してから進めるのが安全です。
受診時に伝えるメモ(テンプレ)
次の項目をメモしておくと、状況が伝わりやすくなります。
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発症時刻(運動中/直後/帰宅後)
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種目(スクワット等)と強度、セット数
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室温・湿度、換気、発汗量
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食事のタイミングと内容、補給した飲料・食品
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症状(吐き気、めまい、冷や汗、頭痛、動悸、しびれ、意識の遠さ)
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どの姿勢で改善したか、休憩で改善したか
よくある質問
食後はどれくらい空ければいいですか
「何時間」と一律に決めるより、胃が弱いかどうかで調整するのが現実的です。胃が重いタイプの人は、満腹になる量を避け、食後すぐの高強度を避けるだけで改善することがあります。どうしても直前に食べる必要がある場合は、脂っこいものや量の多い食事を避け、消化の良い軽食に寄せてください。
空腹でトレーニングすると必ずダメですか
必ずではありませんが、冷や汗・震え・力が入らないなどが出る人は、低血糖が疑われます。そういう方は、開始前に糖質を少量入れてみると安定しやすくなります。糖尿病治療薬を使用している場合は低血糖リスクがあるため、主治医の指示に従ってください。
スクワットで吐き気が出やすいのはなぜですか
スクワットは大きな筋肉を使い、心拍や血圧が変動しやすい種目です。息を止めて踏ん張る癖、インターバル不足、暑さ、脱水が重なると吐き気が出やすくなります。まずは「呼吸を止めない」「休憩を長くする」「暑い日は追い込まない」を徹底してください。
毎回起きる場合は、どこから見直せばいいですか
おすすめの優先順位は次のとおりです。
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暑さ・換気・水分+電解質(環境と補給)
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空腹・食後すぐ(食事タイミング)
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インターバル(休憩を長く)
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重量・回数・セット数(総負荷を下げる)
それでも改善しない、または失神感がある場合は受診を検討してください。
参考にした情報源
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文部科学省(スポーツ庁)「運動・スポーツを実施する皆さまへ(熱中症等の対応を含む)」
https://www.mext.go.jp/sports/content/20251112-spt_kensport01-000045787_4.pdf -
厚生労働省「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」
https://www.mhlw.go.jp/content/001195872.pdf -
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001171393.pdf -
富山県スポーツ情報サイト「めまい・失神(血管迷走神経反射など)」
https://www.sportsnet.pref.toyama.jp/contents/qa/sportssyogai-qa/13.html