朝からのどがイガイガする、鼻がむずむずする、なんとなくだるい。そんな「風邪かもしれない」と感じた瞬間こそ、実は回復の分かれ道です。引き始めは症状が軽い分、「まだ大丈夫」と無理をしてしまいがちですが、ここで睡眠や水分、体温調整の順番を間違えると、翌日以降に一気に悪化して予定が崩れることもあります。
本記事では、風邪の引き始めにまず何をすべきかを「最初の24時間のタイムライン」と「症状別の分岐」で整理し、迷わず実行できる形にまとめました。市販薬を選ぶときの注意点、入浴や食事の判断基準、病院に行くべき危険サインまで一通り確認できます。読み終えたときに「今夜やることが決まった」と安心できるよう、要点を行動リストとして提示いたします。
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風邪の引き始めに最優先でやること
最初の24時間で狙うゴールは悪化を止めること
風邪の多くはウイルスによる上気道の感染で、体はすでに回復に向けて働き始めています。引き始めにできる最善策は、「回復の邪魔をする要因」を減らして、体の回復力が働ける環境に整えることです。
引き始めのゴールは次の3つに集約できます。
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睡眠を確保して回復を進める
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脱水と乾燥を防いで、のど・鼻・気道の負担を減らす
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冷えや無理な活動で体力を削らない
「一晩で完全に治す」より、「翌日以降に悪化させない」ほうが成功率が高く、結果として回復も早くなります。
休養と睡眠を確保する段取り
引き始めに最も効きやすいのは、薬よりも先に「休養の段取り」です。仕事が忙しい人ほど、まずは“削る”ことから始めてください。
今すぐやる段取り(今日の夜に向けて)
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今日やらなくていい予定を止める(残業・飲み会・運動・長時間の外出は優先的に中止)
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帰宅後の家事を最小化する(惣菜・冷凍・デリバリー・家族への依頼でOK)
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就寝時刻を前倒しする(いつもより60〜120分早くを目標)
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眠りを邪魔する要因を先に潰す(部屋の乾燥、枕元の水分、翌朝の準備)
睡眠の質を上げるコツは「刺激を減らす」ことです。寝る直前の強い光、スマホの長時間視聴、熱すぎる入浴、飲酒は、眠りを浅くしやすいので避けたほうが安全です。
水分補給の目安と選び方
風邪のときは、呼吸が増えて水分が逃げやすく、発熱や発汗があればさらに失われます。のどや鼻が乾くと、痛みや咳が増え、睡眠も乱れます。水分補給は“治療”というより“土台”です。
水分が足りているかの目安
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尿が極端に少ない、色が濃い
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口の中が乾く、唇が乾燥する
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立ち上がるとふらっとする
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だるさが強く、頭が重い感じが続く
飲み方のコツ
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一度にがぶ飲みせず、こまめに少量(数口を繰り返す)
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枕元に飲み物を置く(夜間の乾燥対策にもなる)
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食欲がない日は、スープやゼリー、経口補水液などで補う
飲み物の選び方
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基本:水、白湯、温かいお茶、スープ
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汗をかいた/食事が少ない:電解質を含む飲料(経口補水液など)
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のどが痛い:ぬるめの飲み物(熱すぎる飲み物は刺激になることがある)
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避けたい:アルコール(脱水・睡眠の質低下)、冷たすぎる飲食物(のど刺激)
※腎臓病、心不全、糖尿病などで水分・塩分・糖分に制限がある人は、普段の指示を優先し、迷う場合は医療者へ相談してください。
体を温める基準と汗をかき過ぎないコツ
寒気があるときは「体が熱を上げようとしている」サインのことがあります。ここで体を冷やすと、つらさが増して眠りにくくなりがちです。一方、汗をかくほど着込むと体力を消耗し、汗冷えや脱水も起こりやすくなります。
温めるポイント
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首・手首・足首を冷やさない(薄手の重ね着、靴下、羽織)
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ふとんは「寒くない」程度に調整
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室温は上げすぎず、乾燥しないよう湿度も意識
汗だくを避けるコツ
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厚着より、重ね着で微調整する
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寝汗をかいたら、冷える前に着替えられるよう準備しておく
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体が熱っぽくなってきたら、通気性を優先する
風邪の引き始めの症状別セルフケア
のどのイガイガと痛みが強いとき
のど症状が主役のときは、「乾燥」と「刺激」が悪化要因になりやすいので、環境と食事の当て方が効きます。
まずやること(優先順)
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湿度を上げる(加湿器、濡れタオル、洗濯物の部屋干し)
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温かい飲み物でこまめに潤す(白湯、スープなど)
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刺激物を避ける(アルコール、辛い物、熱すぎる飲食)
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声帯を休ませる(長電話、会議の連続、カラオケは避ける)
食事の工夫
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おかゆ、うどん、雑炊、スープ、豆腐、卵、ヨーグルト、ゼリー
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食べられない日は「飲める栄養」(スープ、ゼリー、経口補水液)でつなぐ
注意したいサイン
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唾も飲み込みづらいほど痛い
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水分が取れない
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息苦しい、声が出にくい、よだれが増える
こうした場合は早めに医療機関へ相談してください。
鼻水・鼻づまりが出てきたとき
鼻症状は睡眠の邪魔になりやすく、口呼吸が増えると、のどの乾燥まで連鎖します。鼻づまりは「夜に悪化する」ことが多いので、就寝前の対策が効きます。
やること
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寝室の乾燥対策(加湿・濡れタオル・マスク)
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温かい蒸気で鼻周りを潤す(湯気、温かい飲み物)
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鼻をかむときは強くかみすぎず、片方ずつ
夜に楽にするコツ
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枕を少し高くして、鼻の通りを助ける
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口呼吸になりやすい人は、就寝時のマスクで乾燥を減らす
寒気と発熱があるとき
発熱は体の防御反応の一つですが、「眠れない」「水分が取れない」「ぐったりする」ほどつらい場合は対処が必要です。重要なのは“熱を下げること”だけに集中せず、睡眠と水分を守ることです。
優先する行動
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こまめな水分(飲める形でOK)
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寝られる環境(暗く・静かに・乾燥を減らす)
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寒気が強い間は保温、落ち着いたら通気性へ
体温調整の考え方
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寒気の最中:温める(冷やすとつらくなる)
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熱っぽさが強く汗が出る:通気性を優先し、汗冷えを防ぐ
咳が出始めたとき
咳は体力を削り、睡眠を壊します。引き始めの咳は乾燥で増えることも多いため、まずは環境から整えるのが近道です。
咳を増やさない基本
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湿度を確保(特に寝室)
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こまめな水分
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刺激を避ける(煙、強い香料、冷気)
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上体を少し高くして寝る(枕やクッションで調整)
受診を急ぐサイン
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息が苦しい、胸が痛い、ゼーゼーする
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咳が強くて眠れない状態が続く
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痰に血が混じる、強い胸痛がある
この場合は自己判断せず受診を検討してください。
風邪の引き始めに市販薬を選ぶポイント
風邪薬は治す薬ではなく症状を和らげる薬
市販薬は、症状(痛み、熱、鼻水、咳)を軽くして休みやすくする目的が中心です。ここで大事なのは、「楽になったから動く」ではなく、「楽になった分、休む」こと。症状が軽くなると回復したように感じますが、体の回復が追いついていないこともあります。
また、風邪の多くはウイルス性であり、抗菌薬(抗生物質)はウイルスには効きません。「早く治したいから抗菌薬」という発想は、効果がないだけでなく副作用や薬剤耐性(AMR)の問題にもつながるため、自己判断で求めるのは避けるのが安全です。
症状に合わせた選び方の早見表
「全部入り」を選ぶと、不要な成分まで入って眠気・動悸・胃の不快感などが出ることがあります。基本は主症状に合う成分を選び、注意点を確認です。購入時に薬剤師・登録販売者へ相談できると安全性が上がります。
| 主な症状 | まず優先したいセルフケア | 市販薬のカテゴリ例 | 注意しやすいポイント |
|---|---|---|---|
| のどの痛み・違和感 | 加湿・水分・刺激回避 | のどケア(トローチ等)、解熱鎮痛(痛みが強いとき) | 胃が弱い人は相談/成分重複に注意 |
| 鼻水・鼻づまり | 加湿・蒸気・寝姿勢 | 鼻症状向け | 眠気が出ることがある/運転は注意 |
| 発熱・頭痛・関節痛 | 休養・水分・体温調整 | 解熱鎮痛 | 胃腸への負担/持病がある人は相談 |
| 咳(乾いた咳、痰が絡む咳) | 加湿・刺激回避・水分 | 咳・痰向け | 痰の有無で選び方が変わる/息苦しさは受診 |
成分の重複に注意(よくある失敗)
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総合感冒薬+解熱鎮痛薬+のど薬…など、複数を足すと同じ成分が重なることがあります。
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「眠気が出る成分」入りを飲んで運転してしまう事故も起こり得ます。翌日運転がある人は特に慎重に選んでください。
葛根湯が向くケースと注意点
葛根湯は「引き始めの寒気」「首すじのこわばり」などで選ばれることがあります。ただし、誰にでも同じように合うわけではなく、合わないと感じたら無理に続けない判断も大切です。
向きやすいイメージ
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ぞくぞくする寒気がある
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首や肩がこわばる
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まだ症状が軽い段階
注意点
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何日か服用しても改善しない、悪化するなら切り替えや相談を
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他の市販薬や処方薬との併用は、成分や体質によって負担になることがあります
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高血圧、心臓・腎臓の病気などがある場合は、購入前に相談すると安心です
併用や持病がある場合の注意チェック
次に当てはまる場合は、自己判断で買わずに薬剤師・登録販売者・医師に相談してください。
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高血圧、糖尿病、腎臓病、心臓病、喘息、緑内障、前立腺肥大などの持病がある
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妊娠中・授乳中
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処方薬を継続している(睡眠薬、抗うつ薬、血圧薬など)
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運転や危険作業がある(眠気が出る成分は要注意)
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お酒を飲む習慣があり、肝臓が心配
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子ども・高齢者で症状の変化が分かりにくい(家族が判断する)
風邪の引き始めに避けたい行動
無理して動く・睡眠を削る
「今日は何とかなる」日に無理をすると、翌日以降に一気に崩れることがあります。特に、睡眠は回復の土台です。引き始めの夜に睡眠を守るだけで、翌朝の体感が変わる人は多いものです。
避けたい行動の代表例
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残業を続ける、運動をする、長時間の外出
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夜更かし(動画視聴、ゲーム、SNS)
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早く治したくて予定を詰め込む
体を冷やす・飲酒する・乾燥させる
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冷え:薄着、冷たい飲食物、湯冷めは悪化しやすい要因です。
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飲酒:眠りが浅くなり、脱水もしやすく、回復を邪魔します。引き始めの飲酒は避けるのが無難です。
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乾燥:のど・鼻がつらくなり、咳も増えやすい。就寝時の乾燥対策は最優先級です。
抗生物質を期待する誤解
風邪の多くはウイルスが原因で、抗菌薬(抗生物質)は効きません。必要のない抗菌薬は副作用のリスクがあり、薬剤耐性(AMR)の問題も指摘されています。「早く治るから抗菌薬」という考えで自己判断するのは避け、必要性は医師の診断に委ねるのが安全です。
風邪の引き始めで病院に行く目安
今すぐ受診したい危険サイン
次のどれかがあれば、様子見をせず受診を優先してください。
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息が苦しい/胸が痛い/ゼーゼーする
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水分がほとんど取れない、尿が極端に少ないなど脱水が疑われる
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意識がもうろうとして会話が成り立ちにくい、反応が鈍い
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強いのどの痛みで飲み込めない、唾が飲めない
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高熱が続いてぐったりして動けない
様子見してよいケースと受診のタイミング
軽い鼻水、のどの違和感、微熱程度で「水分が取れている」「眠れている」「息苦しさがない」なら、まずは自宅ケアで経過を見る選択が取りやすいです。
ただし、次の場合は受診を検討してください。
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数日たっても改善が乏しい、むしろ悪化している
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熱が上がり続ける、下がった後に再び高熱になる
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咳が強くなり、睡眠や日常生活が大きく崩れる
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持病があり、悪化が心配
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周囲で感染症が流行しており、検査や診断が必要だと感じる
受診時に医師へ伝えると早い情報
診察がスムーズになり、必要な検査や判断がしやすくなります。
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いつから、どの症状が最初に出たか
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体温の推移(最高体温、上がる時間帯)
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咳・痰の有無(色、量、息苦しさ)
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服用した市販薬の名前と回数
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家族・職場で同様の症状がいるか
風邪の引き始めのよくある質問
入浴はしていい?
入浴は体力を奪うこともあれば、短時間ならリラックスと保温に役立つこともあります。判断は「入浴後にすぐ休めるか」「入浴でつらくならないか」です。
入ってよいことが多い条件
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ふらつきがない
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高熱でぐったりしていない
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入浴後にすぐ寝られる
避けたい条件
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寒気が強い
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ふらつく、立ちくらみがある
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高熱、強いだるさ、脱水が疑われる
この場合は入浴をやめ、体を拭いて保温に切り替えるほうが安全です。
食欲がないときは何を食べる?
食欲がないときは、量より「胃に負担をかけない」「水分と一緒に取れる」が優先です。
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おかゆ、うどん、雑炊、スープ
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ヨーグルト、ゼリー、プリン
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卵、豆腐、白身魚など消化のよいタンパク源
食べられない日は、スープやゼリー、経口補水液など“飲める形”でつないでください。
一晩で治すことはできる?
引き始めに休養・水分・保温・乾燥対策を徹底すると、翌朝かなり楽になることはあります。ただし「完全にゼロにする」と期待しすぎると、軽くなった途端に無理をしてぶり返しやすくなります。
楽になった日ほど、もう半日〜1日は負荷を下げて回復を固める意識が大切です。
家族にうつさないためにできることは?
自分の回復を早める意味でも、拡散を減らす行動は有効です。やることは難しくありません。
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手洗い、タオルの共用を避ける
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せき・くしゃみがあるならマスク
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短時間の換気
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触る場所(スマホ、リモコン、ドアノブ)を1日1回拭く
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早めに休む(長引かせない)
風邪の引き始めの治し方まとめ
最初の24時間チェックリスト
今夜(帰宅後〜就寝まで)
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予定を止め、家事を最小化して睡眠時間を確保する
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枕元に飲み物を置き、こまめに水分をとる
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首・手首・足首を冷やさず、汗だくは避ける
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寝室の乾燥対策(加湿・濡れタオル・マスクなど)をする
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市販薬は主症状に合わせ、成分の重複と眠気(運転)に注意する
翌朝(状態チェック)
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症状が軽い:無理をせず、回復を固める
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悪化している/危険サインがある:受診を検討する
明日以降に備える回復のコツ
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良くなった日に無理をしない(ぶり返し予防)
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食事は消化のよいものを小分けで
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乾燥対策は就寝時が最重要
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数日で改善しない、悪化する、危険サインが出るときは早めに医療機関へ
参考文献・情報源
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日本医師会「まず保温と休養を-かぜのひき始め-(健康ぷらざ No.113)」
https://www.med.or.jp/dl-med/people/plaza/113.pdf -
厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第三版」
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001155035.pdf -
政府広報オンライン「抗菌薬が効かない『薬剤耐性(AMR)』が拡大!」
https://www.gov-online.go.jp/article/201611/entry-10538.html -
厚生労働省「薬剤耐性(AMR)対策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html -
AMR臨床リファレンスセンター(JHIS)「細菌とウイルス」
https://amr.jihs.go.jp/general/1-1-2.html