メールを開いたのに本文が表示されず、「このメッセージはサーバからダウンロードされていません。」と出ると、業務でも私用でも非常に困ります。特に、件名や差出人、受信日時は表示されているのに本文だけが空白だったり、読み込みが途中で止まったりすると、「メール自体が壊れているのでは」「相手の送信が失敗しているのでは」と不安になりやすいものです。
この表示は、メールが“存在しない”という意味ではなく、端末やアプリが本文データをサーバから取得できていない（または取得し切れていない）状態で出ることが多いです。つまり、原因は「通信」「メールの取得方式」「保存・同期期間」「アプリの状態」「サーバ側の設定」のいずれか、または複合であるケースがほとんどです。焦って設定を大きく変えるより、順番に切り分けを行い、最短で本文を表示させることを優先すると解決が早くなります。
本記事では、まず共通の対処で「今すぐ本文を見る」ための手順をまとめ、その後にiPhone標準メール、Outlook、Gmailなど環境別の対処と、再発防止の考え方まで詳しく解説します。仕事のメールであれば、途中で操作を誤ってアカウントを削除してしまうと、会社の管理ポリシー（MDM）や認証方式（多要素認証）により再設定に時間がかかることもあります。順序立てて進めてください。
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このメッセージはサーバからダウンロードされていませんが出る主な原因
この表示が出る原因はひとつではありません。よくある原因を理解しておくと、対処の優先順位が明確になり、無駄な操作を減らせます。
通信が不安定で本文取得が途中で止まる
もっとも多いのが通信起因です。メールは一般的に、一覧表示に必要な情報（件名、差出人、日時）を先に取得し、その後に本文や添付ファイルを追加で取得する挙動になることがあります。通信が弱い、あるいは途中で切り替わる状況だと「一覧までは出るが本文が取れない」という状態が起きやすくなります。
特に起きやすいのは次のようなケースです。
移動中にWi-Fiとモバイル通信が頻繁に切り替わっている
公衆Wi-Fiで認証が必要（ログイン画面が出ている）なのに気づいていない
Wi-Fiの電波は強いが、実際にはインターネットに出られない（ルーター不調、回線障害、DNS不具合など）
会社のVPNを利用していて、VPN側の経路が不安定、あるいは帯域が狭い
通信制限がかかっている、またはバックグラウンド通信が制限されている
本文取得は一覧取得よりもデータ量が増えるため、通信の影響を受けやすい点が重要です。添付ファイル付きのメールやHTMLメール（画像を含む）では、本文の取得に追加の通信が発生しやすく、症状が顕在化しやすい傾向があります。
メール取得設定が自動・フェッチで遅延する
iPhoneを中心に、メールの取得方式が影響して本文がすぐ取れないケースがあります。メール取得には大きく分けて次の考え方があります。
プッシュ：サーバ側から通知され、端末が即時に取得しやすい
フェッチ：端末が一定間隔でサーバに取りに行く
手動：ユーザー操作で更新したときに取りに行く
ここで注意したいのは、アカウントの種類や設定により「プッシュが使えない」「フェッチの間隔が長い」「自動が特定条件でしか動かない」といった状態になり得ることです。たとえば「自動」は、通信状態や電源状態により取得タイミングが遅れる設計になっている場合があります。結果として、一覧情報は表示されたものの、本文取得が後回しになったり、取得の途中で止まったりして表示が残ることがあります。
また、低電力モードやバックグラウンド更新の制限が入っていると、取得が遅れる、あるいは更新操作をしない限り本文が入ってこないこともあります。端末側の省電力設定は、メールの“即時性”に直結するため、急ぎの受信が多い人ほど見直し価値があります。
同期期間や保存期間の設定で本文が端末に残らない
「昔のメールだけ本文が出ない」「特定のフォルダーやアカウントだけ出る」といった場合、同期期間や保存期間が原因であることが多いです。メールはサーバ側に残っているとしても、端末側が「直近○日分だけ同期する」「オフライン保存は○日分だけ」といった設定になっていると、古いメールの本文は端末に保持されません。
さらに、Outlookなど一部のクライアントでは、オフラインで保持するフォルダーや期間を制御できます。ここが短いと、過去メールを開こうとした瞬間にサーバから取得しようとしますが、通信や認証の状態が悪いと本文が取れず、エラー表示になることがあります。
加えて、サーバ側にメールが残っていない運用（POP設定で「サーバにメッセージを残さない」等）をしている場合、端末側のキャッシュが消えると本文が復元できないケースもあります。どの方式（IMAP/Exchange/POP）で運用しているかを把握することが、最終的な復元可否にも関わってきます。
まず最初に試す共通の対処手順
ここからは「まず本文を表示させる」ことを最優先に、環境を問わず効きやすい対処を順番に解説します。作業のポイントは、ひとつずつ試して結果を確認し、同時に複数の変更をしないことです。原因の切り分けができ、再発防止の設定調整もしやすくなります。
通信の切り替えと再取得
最初に行うべきは通信の正常化です。多くのケースで、通信環境を整えて再取得するだけで本文が表示されます。
Wi-Fiを一度オフにしてモバイル通信に切り替える（またはその逆）
機内モードをオン→数秒後にオフ（通信モジュールがリセットされます）
VPN利用中なら一時的にオフ（会社ポリシーがある場合は許容範囲で実施）
メールアプリに戻り、受信トレイを下に引っ張って更新
問題のメールを開き直し、本文取得が始まるか確認
公衆Wi-Fiの場合は「Wi-Fiはつながっているが、ブラウザで認証しないとインターネットに出られない」状況もあります。心当たりがあれば、一度ブラウザを開いて通信できるか確認し、認証が必要なら完了させてから再取得してください。
また、モバイル通信でデータ節約モードが強く働いていると本文取得に影響する場合があります。緊急時は、時間を区切ってでも安定した回線（自宅Wi-Fi、テザリングなど）に切り替えるのが有効です。
アプリの終了・端末再起動
通信に問題がないのに改善しない場合、アプリ側の状態が崩れていることがあります。メールアプリや通信処理は、バックグラウンドで複数の接続を維持しますが、何らかのタイミングで取得処理が詰まると、そのまま同じエラーが出続けることがあります。
アプリを完全に終了（タスク一覧からスワイプで消す）して再起動
それでもダメなら、端末を再起動
再起動後にメールを起動し、受信トレイ更新→該当メールを開く
再起動は古典的ですが、認証トークンやネットワークスタックの一時不整合が原因の場合に効果があります。特に、OSアップデート直後、長時間再起動していない端末、VPN・セキュリティアプリを利用している端末では、まず試す価値が高い手順です。
Webメールで内容を確認して緊急回避
「直すのも大事だが、とにかく今すぐ本文が必要」という場面では、Webメールが最短の回避策になります。Webメールにログインして同じメールが見えるなら、少なくともサーバ側には残っており、端末側の取得問題である可能性が高いと判断できます。
Gmail利用：ブラウザでGmailにログインし、該当メールを検索
Outlook利用：Outlook.com（またはMicrosoft 365のWeb版）にログイン
プロバイダやキャリア：提供元のWebメール（会員ページ）にログイン
会社メール：Web版Outlook（OWA）や社内ポータルのメール画面を確認
この確認は「復元できるか」の判断材料にもなります。Webで見えるのにアプリで見えないなら、アプリ設定や同期の問題が濃厚です。逆にWebでも見えない場合は、削除・フィルター・サーバ側の保存期間など、別方向の確認が必要になります。
iPhone標準メールでの直し方
iPhoneの標準メール（メールアプリ）は、複数アカウントをまとめて扱える一方、取得方式や同期の設定が原因になりやすい特徴があります。ここでは、影響が大きい順に解説します。
データの取得方法を見直す
iPhoneでは、メールの取得方式が「自動」「手動」「フェッチ間隔」などで制御されます。ここが適切でないと、本文の取得が遅延しやすくなります。特に、仕事で即時性が求められる人は、取得タイミングを意識して設定を調整することが重要です。
見直しの考え方は次のとおりです。
急ぎの受信が多い：可能ならプッシュ優先（利用できないアカウントもあります）
バッテリーを重視：自動や長いフェッチ間隔を選ぶ
本文未取得が頻発する：手動にせず、短めのフェッチ間隔で安定させる
操作の途中で注意したいのは、「設定を変えた直後にすぐ反映されない」場合があることです。変更後はメールアプリを一度終了して開き直し、受信トレイを更新してから該当メールを再度開いてください。
また、低電力モード中はバックグラウンド処理が制限されるため、取得が遅れることがあります。緊急時には低電力モードを一時的にオフにして改善するか確認すると切り分けが進みます。
同期するメールの期間を確認する
iPhone標準メールでは、アカウント種別によって「メールを同期する期間」が設定されている場合があります。ここが短いと、古いメールの本文が端末に保持されません。結果として、一覧は表示できても、本文取得のたびにサーバへ問い合わせる必要が生じ、通信が不安定だとエラーが出やすくなります。
確認のポイントは以下です。
問題が「古いメール」に偏っているか
特定のフォルダー（アーカイブ、重要、ラベル等）だけで起きていないか
同期期間が短く設定されていないか（例：1か月、1週間など）
仕事で過去のやり取りを参照することが多い場合、同期期間を長めにすることで、オフラインでも本文が残りやすくなり、エラーに遭遇しにくくなります。ただし、同期量が増えるため、ストレージや通信量への影響は出ます。端末容量が逼迫している人は、先に不要な写真・動画・アプリを整理しておくと安定しやすくなります。
アカウントを削除して再追加する
上記を試しても改善しない場合、アカウント情報や認証状態の不整合が発生している可能性があります。アカウント再追加は効果が出やすい一方、作業を誤ると業務メールが再設定できず困る場合があるため、注意点を押さえて行ってください。
実施前に確認したいことは次のとおりです。
会社メールの場合：MDM管理端末では、アカウント追加に制限があることがある
二段階認証を使っている場合：再ログインに認証アプリやSMSが必要
プロバイダメールの場合：ID、パスワード、IMAP/SMTP設定が手元にあるか
署名、迷惑メール設定、振り分け（アプリ側設定）などは再設定が必要になる場合がある
再追加の手順そのものは画面案内に従えば進められますが、会社のメールは「プロファイル」や「管理アプリ」経由で設定されていることがあります。この場合、個人判断で削除すると復旧に時間がかかるため、社内の案内に従うのが安全です。
Outlookでの直し方
Outlookは利用形態が複数あり、PC版、スマホアプリ版、新しいOutlookなどで設定項目が異なります。ただし、共通して影響が大きいのは「オフライン保持（保存）」「同期対象」「キャッシュ（ローカルに持つ量）」です。本文が取得できない症状は、ここが原因になっていることがよくあります。
オフライン保存日数と保存フォルダーを確認する
Outlookでは、メールを端末側にどれだけ保持するかを制御できます。オフライン保存日数が短いと、過去メールを開くたびにサーバから取得する必要があり、そのタイミングで通信や認証が不安定だと本文が取れずエラーが起きやすくなります。
確認すべき観点は次のとおりです。
過去のメールだけ本文が出ない：保存日数が短い可能性が高い
特定フォルダーだけ本文が出ない：同期対象から外れている、オフライン保存対象外の可能性
添付付きメールで起きる：添付の自動ダウンロード制限が影響している可能性
改善の方向性としては、オフライン保持期間を長くする、必要なフォルダーを同期対象に含める、通信が安定する環境で一度しっかり同期を完了させる、という流れになります。同期量が多い環境では、設定変更直後にすぐ改善しないこともあるため、Wi-Fiなど安定回線下で一定時間置いたうえで再確認すると確実です。
Exchangeキャッシュと同期量の見直し
会社メールでExchange（Microsoft 365含む）を利用している場合、キャッシュや同期量が症状と直結します。たとえば、PC版Outlookではキャッシュモードの有無や保持期間が影響し、スマホでも同期の考え方は同様です。
次のような状態があると、本文が取得できないことがあります。
メールボックス容量が大きく、同期が常に追いついていない
共有メールボックスや複数アカウントで、同期対象が広すぎる
セキュリティ設定により外部ネットワークからの接続が制限され、VPNが必須
会社側の条件付きアクセスで、認証が頻繁に切れる（再ログインが必要）
この場合は、利用環境に合わせて「同期対象の絞り込み」「オフライン保持の調整」「共有フォルダーの取り扱い」「VPN前提での運用」などを考える必要があります。個人端末で勝手に設定を変更すると会社ポリシーに抵触する可能性もあるため、業務影響が大きい場合は情シスや管理者に「本文がサーバから取れない表示が出る」「Web版では見えるがアプリで見えない」など、状況を具体的に伝えると対応が早くなります。
Gmailアプリや他メールアプリでの直し方
Gmailアプリやサードパーティのメールアプリでも、同様の症状が起きることがあります。基本は「通信」「同期」「アプリ側のデータ取得制限」「アプリ不整合」のいずれかです。特にモバイル環境では、データ使用量を抑えるための設定が本文取得を妨げることがあります。
データ使用量・添付ファイル設定の確認
Gmailアプリでは、モバイル通信時に同期や添付の取得が制限される設定、または端末側の「省データモード」が影響することがあります。本文が取れないと感じる場合、実際には「本文中の画像や外部コンテンツが読み込めていない」「添付の取得が止まっている」など、表示上“本文が欠けている”状態として見えているケースもあります。
確認したいポイントは次のとおりです。
モバイル通信でデータ節約設定がオンになっていないか
アプリ内の同期設定がオフになっていないか
バックグラウンド更新が許可されているか
端末側でアプリの通信が制限されていないか
特に、仕事のメールをGmailで受けている場合（転送や連携含む）は、同期が複数段階になることがあります。転送遅延やフィルターの影響で、一覧に出たタイミングと本文取得のタイミングがずれることもあるため、まずは安定回線下で手動更新し、該当メールの表示が揃うかを確認するとよいでしょう。
再同期とアプリ更新
設定を見直しても改善しない場合は、アプリ側の同期状態をリセットする発想が有効です。次の順で試すと安全です。
アプリを完全終了して再起動
端末再起動
アプリのアップデート（最新版に更新）
OSアップデート（可能なら適用）
アプリの再ログイン（必要な場合）
最終手段としてアプリの再インストール（重要データの扱いに注意）
この症状は、アプリの内部キャッシュが破損したり、バックグラウンドでの同期処理が滞留していると起きることがあります。更新や再インストールで改善するケースがある一方、ログイン情報が必要になるため、二段階認証の準備（認証アプリ、SMS）もセットで行うとスムーズです。
復元できるか不安なときの判断基準
最後に、「この状態になったメールは戻せるのか」「大事なメールが消えたのでは」と不安な場合の判断基準を整理します。結論としては、サーバ側に残っているかどうかが大きな分岐点です。
サーバ側に残っていれば復元可能
Webメール（ブラウザ）や別端末で同じメールが開けるなら、サーバにはメール本文が残っています。この場合、端末側は“表示できていないだけ”であり、次のいずれかで改善する可能性が高いです。
通信環境を整えて再取得
アプリ再起動・端末再起動
同期期間やオフライン保存期間を延長して再同期
アカウントの再認証（ログアウト→ログイン、アカウント再追加）
また、サーバに残っているなら、最悪の場合でも「当面はWebで確認する」「PCで確認する」といった回避が取れます。重要なメールであれば、Webで開いた状態から必要情報を控える、添付ファイルを保存するなど、業務継続の観点で先に押さえておくと安心です。
サーバ側に無い場合は「削除設定」や「保存期間」を疑う
Webメールでも見えない、別端末でも見えない場合は、次の可能性が高まります。
すでに削除され、ゴミ箱にも残っていない
サーバ側の保存期間設定により自動削除された
POP運用でサーバに残さない設定になっており、端末側キャッシュが消えた
フィルターや振り分けで別フォルダーに移動している（アーカイブや迷惑メールなど）
この場合は、まず検索（件名、差出人、本文の一部、日付）でサーバ側のどこにあるかを徹底的に探すのが先決です。迷惑メール、アーカイブ、すべてのメール、削除済みなど、見落としがちな領域を確認してください。会社メールの場合は、管理者が復元できる期間が設定されていることもあるため、早めに相談する価値があります。
再発防止のチェックリスト
同じトラブルを繰り返さないために、最後にチェックリストをまとめます。どれも難しい操作ではありませんが、普段の設定が“たまたま不利な条件”になっていると、重要な場面で症状が出やすくなります。
通信の切り分けを習慣化：Wi-Fiが不安定ならモバイルに切り替えて再取得する
VPNの影響を把握：VPN必須環境なら安定した回線で同期を完了させておく
iPhoneの取得方式を見直す：自動の挙動、フェッチ間隔、低電力モードの影響を理解する
同期期間・オフライン保存期間を適切に：過去メールを参照するなら短すぎない設定にする
端末容量を確保：ストレージ不足はアプリの動作不安定につながりやすい
Webメールへのログイン手段を確保：緊急時にすぐ確認できるよう、ID・認証手段を整える
業務メールは社内手順優先：MDM管理・条件付きアクセスがある場合は、情シスの案内に従う
よくある質問
Q. この表示が出たメールは相手に送れているのでしょうか？
A. 受信メールの本文表示問題であれば、相手が送信できたかどうかとは別問題であることが多いです。相手の送信成否は相手側の送信履歴に依存します。一方、自分が送ったメールの成否を確認したい場合は、自分の「送信済み」に残っているか、送信エラー通知が来ていないか、相手から返信や受領確認があるか、といった観点で確認してください。業務で確実性が必要なら、電話やチャットで「先ほどのメールは届いていますか」と確認するのが最短です。
Q. 古いメールだけ本文が出ません。
A. 同期期間やオフライン保存日数が短い可能性が高いです。端末側に本文が残っていないため、開いた瞬間にサーバから取得しようとして失敗している状態が考えられます。iPhoneなら同期する期間、Outlookならオフライン保存期間や同期対象フォルダーを確認し、必要に応じて長めに調整してください。通信が不安定な環境では、安定回線下で同期を完了させてから古いメールを開くと改善しやすくなります。