食後や夜に、喉の奥へ酸っぱいものがこみ上げるような感覚がして、ムカムカして気持ち悪い――。胸やけは強くないのに吐き気だけが続くと、「逆流性食道炎かも?」「放っておいて大丈夫?」と不安になりますよね。
この症状は、胃食道逆流症(GERD)などの“逆流”が関係していることが多い一方で、生活習慣のちょっとしたクセが引き金になっているケースも少なくありません。大切なのは、いまの不快感を少しでも早く落ち着かせつつ、受診が必要なサインを見逃さないことです。
本記事では、今すぐできる対処(姿勢・飲み物・寝方)を「やる順番」で整理し、原因の当たりを付ける早見表、受診の目安と危険サイン、そして再発を減らす生活改善の優先順位まで、迷わず実行できる形で解説します。
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胃酸が上がってくると気持ち悪いとき最初にやること
食後や夜、胃のあたりから酸っぱいものが込み上げるような感覚がしてムカムカする。胸やけが強くないのに吐き気だけが続くこともあり、「これって逆流性食道炎?」「放っておいていい?」と不安になりがちです。
胃酸が上がって気持ち悪い状態は、胃食道逆流症(GERD)など“逆流”が関係していることが多い一方で、別の原因が隠れている場合もあります。まずはいまを楽にする行動と、危険サインの見分けを押さえることが大切です。
30秒でやる応急手当
いま気持ち悪いときは、次の順番で試してください。
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上半身を起こす(座る、背もたれにもたれる)
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ベルトや締め付けをゆるめる(腹部の圧迫を外す)
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前かがみを避ける(胃が押される姿勢を減らす)
横になるほど逆流しやすくなることがあります。特に就寝前後に悪化する人ほど、姿勢調整の効果が出やすいです。
5分で整える飲み物と口にするもの
吐き気が強いときに無理に食べる必要はありません。まずは次を目安にしてください。
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水・白湯を少量ずつ(一気飲みは避ける)
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炭酸飲料、アルコール、濃いコーヒーは控える(逆流の引き金になりやすいとされます)
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どうしても何か口にしたいときは、脂っこくない・刺激が少ないものを少量にする
「空腹のほうが気持ち悪い」タイプもいますが、その場合も“量を増やす”より“刺激を減らす”が先です。
今夜を乗り切る寝方
夜に悪化する人は「枕を高くする」だけで足りないことがあります。ポイントは頭だけではなく上半身ごとを少し起こすことです。患者向けガイドでも、症状改善に効果が高い生活習慣として頭側を高くして寝る(頭側挙上)が挙げられています。
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クッションや折り畳んだ毛布で、背中からゆるく角度をつける
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可能なら、食後すぐは横にならず、少し時間を空ける
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右側を下にして寝ると悪化しやすいことがあるため、つらい日は体勢も工夫する
胃酸が上がってくる気持ち悪さはどんな状態か
胃酸が上がる感覚は、胃の内容物(胃酸や胆汁を含むことがあります)が食道方向へ逆流することで起こります。典型的には胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がる感じ)が知られています。
胸やけがないのに吐き気が出る理由
胸やけがはっきりしないのにムカムカする場合でも、逆流が関係していることがあります。患者向けガイドでは、胃のムカムカ感を胸やけとして表現してしまう場合があること、また症状の出方には幅があることが示されています。
さらに、逆流は「強い酸」だけが原因ではなく、酸度が弱い逆流や、食道が過敏になって少しの刺激でも不快を強く感じるケースも指摘されています。つまり「吐き気=必ず胃炎」とは限らず、状況の見極めが大切です。
GERDと逆流性食道炎とNERDの違い
胃食道逆流症(GERD)は、逆流によって症状や食道の炎症が起こる状態の総称です。内視鏡で食道粘膜のただれ(びらん)が確認できるタイプが「逆流性食道炎」で、症状はあるのにただれが見えないタイプ(NERD)もあります。
ここで重要なのは、症状のつらさと、内視鏡所見が一致しないことがある点です。だからこそ、自己判断で我慢を続けるより、「続く・繰り返す」場合は評価を受ける価値があります。
胃酸が上がってくる気持ち悪さの主な原因
原因は一つではなく、複数が重なって逆流が起こりやすくなるのが一般的です。
食後や就寝前に悪化しやすい生活パターン
次の要因は、患者向けガイドでも“避けたほうがよい”生活・食事として挙げられています。
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食べ過ぎ
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高脂肪食(脂っこい食事)
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就寝前3時間の食事(寝る直前の飲食)
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アルコール
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チョコレート
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コーヒー
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炭酸飲料
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柑橘類など酸味が強いもの
もちろん全員が全てに反応するわけではありません。まずは「症状が出た日の共通点」を見つけると、対策が一気に絞れます。
腹圧が上がる要因と姿勢の影響
逆流は、胃と食道の境目(下部食道括約筋など)の働きが弱くなったり、腹圧が上がったりすると起きやすくなります。MSDマニュアルでも、逆流は胃の内容物が食道に逆流しないよう防ぐ仕組みがうまく働かないと起こる、と説明されています。
腹圧を上げやすい要因としては、次のようなものがあります。
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ベルトや補正下着など腹部の締め付け
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前かがみ姿勢が長い(デスクワーク、床作業、抱っこ等)
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体重増加や肥満
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喫煙
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重いものを持つ動作
患者向けガイドでも、腹部の締め付けや前かがみ、肥満、喫煙などが生活面の注意点として挙げられています。
のどの違和感や咳など胃以外の症状が出ることもある
逆流は食道だけでなく、のど周りの不快感や咳などとして感じられることがあります。「胃の症状が目立たないのに気持ち悪い」場合でも、逆流が関係していることがあるため、症状の出方だけで切り捨てない方が安全です。
胃酸が上がってくる気持ち悪さを見分ける早見表
ここでは「状況」から当たりを付け、最初の行動に迷わないための早見表を示します(診断ではなく、あくまで目安です)。
状況から原因の当たりを付ける
| よくある状況 | 考えやすい当たり | まずやること |
|---|---|---|
| 食後すぐムカムカ、げっぷが増える | 食べ過ぎ、早食い、脂質多め | 上半身を起こす+量と脂質を減らす |
| 寝ると悪化、夜中や朝に気持ち悪い | 逆流(GERD)+就寝前飲食 | 今夜は頭側挙上+就寝前3時間は食べない |
| 前かがみで込み上げる | 腹圧上昇+姿勢影響 | 締め付けを緩め、姿勢を起こす |
| 酸っぱいものが上がる、喉がいがいが | 逆流症状の典型 | 刺激物を避ける+寝方を整える |
| 吐き気が強く、水分もつらい | 逆流以外(感染など)も含む | 脱水予防、悪化なら受診判断へ |
「寝ると悪化」「前かがみで悪化」は、逆流の関与を疑いやすいサインです。
胃酸が上がってくる気持ち悪いときにやってはいけないこと
つらい日は「治そうとして逆に悪化」しやすい行動があります。
悪化しやすい行動チェックリスト
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食後すぐ横になる
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一気に水分を飲む、どか食いする
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ベルトをきつく締める、補正下着で圧迫する
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前かがみ姿勢で長時間作業する
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脂っこいもの、アルコール、炭酸、濃いコーヒーを重ねる
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喫煙する
これらは患者向けガイドの「避けたほうがよい」項目とも整合します。
「吐き気止め」より先に整えるべきこと
吐き気があると「とにかく薬」と考えがちですが、逆流が絡む場合は姿勢と寝方の影響が大きいことがあります。薬の前に「逆流しにくい状態」を作るだけで、体感が変わる人も多いです。
胃酸が上がってくる気持ち悪さと市販薬の考え方
市販薬は“その場しのぎ”として役立つことがありますが、選び方のポイントは「目的」です。
薬は目的で使い分ける
患者向けガイドでは、治療薬を大きく分類して整理しています。
| 目的 | 代表的なカテゴリ | 位置づけのイメージ |
|---|---|---|
| 胃酸を出にくくする | PPI、P-CAB | 逆流治療の中心。症状が続く場合は医師管理で検討されやすい |
| いま出ている酸を中和・刺激を弱める | 制酸薬、アルギン酸塩など | 速やかに楽になることがあるが持続は短め。補助的に使われやすい |
| 胃の動きを整えて補助する | 消化管運動改善薬、漢方薬など | 主力薬で十分でない場合に併用されることがある |
また患者向けガイドでは、初期治療としてPPIまたはP-CABを4〜8週間服用して改善を目指す考え方が示されています。
市販薬を使う前に必ず確認したい注意点
次に当てはまる場合、自己判断で薬を継続せず、薬剤師または医師へ相談してください。
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妊娠中・授乳中
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持病がある、複数の薬を服用している
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胸痛・息苦しさ・冷汗などがある
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吐血や黒色便が疑われる
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水分も取れないほどの嘔吐が続く
特に胸の症状は逆流と紛らわしいことがあります。MSDマニュアルでもGERDは胸部の症状を起こしうる一方、胸痛の原因は多岐にわたるため、危険サインがある場合は急ぎの相談が安全です。
胃酸が上がってくる気持ち悪さで受診すべき目安
「受診するほどではない気がする」と迷うことが多い症状だからこそ、線引きを用意します。
様子見でもよい可能性が高いパターン
次の条件がそろう場合、いったん生活改善で様子を見る選択もあり得ます。
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明らかな食べ過ぎ・飲み過ぎなど“原因がはっきり”している
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水分は取れる
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数日以内に軽くなっていく
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危険サインが一つもない
ただし、同じことを何度も繰り返す場合は“体質・生活パターン”として固定化している可能性があるため、早めに軌道修正した方が楽になります。
早めに消化器内科を検討したいパターン
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週に何度も起こる、または1〜2週間以上続く
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生活改善をしても改善が乏しい
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市販薬で一時的に良くなってもすぐ再発する
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夜間・早朝に起こりやすく睡眠が乱れる
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のどの違和感や咳なども続く
患者向けガイドでも、検査なしに薬で治療しても症状が完全によくならない場合は、他の病気の可能性もあるため内視鏡検査を受けるよう示されています。
すぐ相談したい危険サイン
次がある場合は、逆流以外も含めて急ぎの評価が必要です。
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胸の締め付け、息苦しさ、冷汗、強い胸痛(心臓由来の可能性も)
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吐血、黒色便のような出血を疑う症状
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食べ物がつかえる、飲み込みにくい、体重が急に減る
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激しい嘔吐が続き、水分が取れない
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強い腹痛や高熱を伴う
MSDマニュアル(専門家向け)では、逆流が持続すると食道炎や狭窄などの合併が起こり得ることが述べられています。
胃酸が上がってくる気持ち悪さの検査と治療の流れ
「病院で何をされるのか」が分かると、受診の心理的ハードルが下がります。
問診で聞かれやすいこと
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いつから、どんなときに悪化するか(食後・就寝・姿勢)
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胸やけ、呑酸、げっぷ、のどの症状の有無
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食事内容(脂質、アルコール、炭酸、夜食)
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体重変化、喫煙、服装の締め付け
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市販薬での反応、持病、服薬状況
「寝ると悪化」「前かがみで悪化」は伝える価値が高い情報です。
内視鏡検査は必須ではないが有用
患者向けガイドでは、内視鏡検査は必須ではないものの、他の病気ではないことを確認するためにもなるべく検査を受けることが望ましいとされています。
とくに「薬で良くならない」「危険サインがある」「長引く」場合は、原因を整理するために検査の意義が大きくなります。
治療の中心は酸分泌を抑える薬と生活改善
MSDマニュアルでも、治療として生活習慣の改善と胃酸分泌を抑える薬が中心になる旨が説明されています。
患者向けガイドでは、初期治療の目安としてPPIまたはP-CABを4〜8週間使用する整理が示されています。症状が改善した後は、状態により継続や減薬、必要時のみの服用などが検討されます。
胃酸が上がってくる気持ち悪さを繰り返さない予防策
逆流は「1回治して終わり」ではなく、生活パターンで再発しやすいのが特徴です。だからこそ、対策は“優先順位”が重要です。
効果が出やすい生活改善の優先順位
患者向けガイドでは、生活習慣のうち体重減少と頭側挙上が特に効果が高いとされています。
| 優先度 | やること | ねらい | 今日からの一手 |
|---|---|---|---|
| 高 | 体重を減らす | 腹圧を下げ逆流を減らす | 夜食をやめる/夕食の主食を少し減らす |
| 高 | 上半身を少し起こして寝る | 夜間逆流を減らす | クッションで背中から角度をつける |
| 中 | 就寝前3時間は食べない | 胃の内容物を減らす | 帰宅が遅い日は“軽食テンプレ”へ |
| 中 | 高脂肪食を減らす | 逆流の引き金を減らす | 揚げ物は連日続けない |
| 中 | 腹部の締め付け・前かがみを減らす | 腹圧上昇を避ける | ベルトを緩め、1時間ごとに姿勢リセット |
| 中〜低 | 禁煙 | 悪化要因を減らす | 禁煙外来や支援を検討 |
遅い夕食の日のテンプレ
仕事や育児で夕食が遅くなる人は、次のテンプレにすると続けやすいです。
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量は通常の半分〜7割
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脂質が少ないもの中心(揚げ物や濃い味は避ける)
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可能な範囲で就寝3時間前までに食べ終える
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食後はすぐ横にならず、軽い片付け程度でOK
「理想を毎日」ではなく、「遅い日だけ守る」でも再発は減らせます。
体重を減らすときの現実的な進め方
体重減少は最優先ですが、急に頑張ると続きません。次の順が安全で現実的です。
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まず夜食・間食の頻度を下げる
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夕食の脂質を減らす(揚げ物→焼き・蒸しへ)
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週2〜3回、10〜20分の散歩から始める
“胃酸対策のために減量する”と目的が明確になるので、継続しやすくなります。
寝具の工夫は「枕」より「上半身」
枕だけを高くすると首がつらくなり、途中でやめてしまいがちです。患者向けガイドの頭側挙上の考え方に沿って、背中からゆるく角度をつける工夫が現実的です。
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背中〜腰までを支えるクッションを追加する
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マットレス下にタオルや薄い板を入れて緩い傾斜を作る(無理のない範囲で)
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右側を下にして寝ると悪化しやすいことがあるので、つらい日は体勢も調整する
胃酸が上がってくる気持ち悪さのよくある質問
胃カメラは必ず必要ですか
必須ではありませんが、患者向けガイドでは他の病気の除外のためにもなるべく検査を受けることが望ましいとされています。特に薬で十分に良くならない場合は検査が推奨されています。
吐き気だけでも逆流性食道炎ですか
吐き気だけでも逆流が関係することはありますが、吐き気は感染症や薬の副作用など別の原因でも起こります。症状が続く、繰り返す、あるいは危険サインがある場合は受診が安全です。
薬はどれくらい飲み続けますか
患者向けガイドでは、初期治療としてPPIまたはP-CABを4〜8週間用いる整理が示されています。その後は状態に応じて調整されます。
妊娠中や授乳中でも同じ対処でいいですか
姿勢や食事、就寝前の工夫は取り入れやすい一方、薬の選択は状況で異なります。妊娠中・授乳中は自己判断で市販薬を継続せず、産婦人科または主治医に相談してください。
参考情報
日本消化器病学会「患者さんとご家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイド 2023」
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/gerd_2023.pdf
Minds(医療情報サービス)「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版)」
MSDマニュアル家庭版「胃食道逆流症(GERD)」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/03-%E6%B6%88%E5%8C%96%E5%99%A8%E7%B3%BB%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E9%A3%9F%E9%81%93%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%A8%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E8%83%83%E9%A3%9F%E9%81%93%E9%80%86%E6%B5%81%E7%97%87-gerd
MSDマニュアル プロフェッショナル版「胃食道逆流症(GERD)」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/01-%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%A3%9F%E9%81%93%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E8%83%83%E9%A3%9F%E9%81%93%E9%80%86%E6%B5%81%E7%97%87-gerd