iPhoneでボイスメモを利用していると、ロック画面に関連表示が出てしまい「他人に見られたくない」「端末を貸すときに気まずい」「誤タップで起動してしまうのが困る」といった悩みが起こりがちです。
しかし、ロック画面に出る“ボイスメモの表示”は1種類ではありません。代表的には、次のように複数の要素が混在します。
ボイスメモからの通知(録音や同期、共有などに関する通知)
ロック画面下部などのショートカット(ワンタップ起動の導線)
ロック画面のウィジェット(機能へ直接アクセスする表示)
録音中に表示される状態表示(録音が進行中であることが分かる表示)
さらに「アプリそのもの」や「録音一覧」を見られないようにしたいというアプリ保護の課題
このため、設定を1つ変えただけでは目的を達成できず、「消したはずなのにまだ出る」と感じてしまうケースが少なくありません。
本記事では、ロック画面に出るボイスメモ関連の表示を確実に切り分けし、消せるものは消し、消せない可能性があるものは覗き見リスクを下げる代替策で補う、という考え方で解説いたします。
なお、録音は状況により法令・社内規程・学校規則などの影響を受けます。本記事は無断録音などを助長する目的ではなく、あくまで「覗き見防止」「誤操作防止」「端末管理」の観点で説明いたします。
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ロック画面に出るボイスメモ表示をまず切り分ける
最初に行うべきことは、「何がロック画面に出ているのか」を特定することです。ここが曖昧なまま設定を触ると、対処の方向性がずれてしまい、時間だけがかかります。
以下の表で、現象に最も近いものを確認してください。該当箇所が複数ある場合は、複数の対策が必要です。
| ロック画面で起きていること | 典型例 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 通知が出る | 「ボイスメモ」の通知が表示される | 通知設定(ロック画面表示オフ、通知自体オフ、プレビュー設定) |
| ショートカットがある | ロック画面下部にボイスメモ起動の導線がある | ロック画面のカスタマイズで変更・削除 |
| ウィジェットがある | ウィジェット枠にボイスメモが表示される | ロック画面のウィジェットから削除 |
| 録音中の状態が見える | 録音中であることが分かる状態表示がある | 仕様上の制約を理解しつつ、通知・導線・アプリ保護で情報露出を下げる |
| アプリや録音一覧を見られたくない | 端末を触られるとアプリを開かれる | アプリを非表示、アプリをロック、運用テンプレ導入 |
この切り分けができると、最短ルートで解決しやすくなります。
通知が出ているケース
通知が原因の場合、ロック画面に「ボイスメモ」の通知カードが表示されます。
ここで注意点は、通知には次の2段階があることです。
通知そのものを許可しているか(通知が届くかどうか)
ロック画面に表示するか(届いた通知をどこに出すか)
「通知は必要だがロック画面には出したくない」という要望は非常に多く、iPhoneの通知設定はこの前提で調整できます。まずは“通知の表示先”に着目してください。
ショートカットやウィジェットが出ているケース
ロック画面の見た目として、通知とは別に「ボイスメモを開ける入口」が残っている場合があります。
たとえば次のようなパターンです。
ロック画面下部にボイスメモ起動の導線が割り当てられている
ロック画面のウィジェットにボイスメモ関連のウィジェットが置かれている
この場合、通知設定をいくら調整しても改善しません。ロック画面のカスタマイズ(ショートカット、ウィジェット)を見直す必要があります。
録音中の状態が出ているケース
録音中にロック画面へ戻した際に、録音していることが分かる表示が見えるケースです。
ここは「完全に消したい」と感じやすい部分ですが、OS設計上、録音・マイク利用が進行中であることをユーザーに明示する意図が含まれることがあります。結果として、設定で完全に隠せない場合があり得ます。
ただし、ロック画面に見える情報量を下げることは可能です。具体的には、以下の方針で改善します。
ロック画面に“内容”が出ないようにする(通知プレビュー、通知のロック画面表示)
起動導線を減らす(ショートカット、ウィジェット、コントロールセンター)
アプリを開かれないようにする(アプリ非表示、アプリロック)
「表示そのものをゼロにする」よりも「見られて困る情報を出さない」設計に寄せると、実現性が上がります。
まず確認するチェックリスト
現状把握のために、以下をチェックしてください。チェックが付いた項目を、後半の手順で順番に潰していくと迷いません。
ロック画面に通知としてボイスメモが出ている
ロック画面の通知は必要だが、内容(プレビュー)を見せたくない
ロック画面下部ショートカットにボイスメモが割り当てられている
ロック画面ウィジェットにボイスメモが置かれている
コントロールセンターから起動できる状態が気になる
アプリを開かれると録音一覧を見られて困る
端末を他人に貸す機会がある(家族・同僚・来客など)
ボイスメモ通知をロック画面で非表示にする
通知がロック画面に出る問題は、最も解決しやすい領域です。設定により、次の3段階で調整できます。
ボイスメモの通知を完全にオフにする
ボイスメモの通知は許可するが、ロック画面表示だけオフにする
ロック画面に通知は出ても、通知プレビューを非表示にする
ご自身の要件に合わせて、必要なレベルを選んでください。
ボイスメモの通知をオフにする手順
「ボイスメモの通知は要らない」という場合は、通知自体を止めるのが最も確実です。通知が届かなければ、当然ロック画面にも出ません。
設定を開きます
通知をタップします
アプリ一覧からボイスメモを探してタップします
通知を許可をオフにします
ここでのポイントは、通知の許可を切ると、ロック画面表示だけでなく通知センターやバナーも含めて停止することです。
「一切出したくない」「見られる可能性をゼロに寄せたい」という場合は、この設定が最も強力です。
一方で、通知を使っていた方(録音関連のリマインドや連携を通知で把握していた方)は、便利さが下がる可能性があります。その場合は次の「ロック画面だけオフ」も検討してください。
ロック画面だけオフにする手順
「通知は必要。ただしロック画面に出るのは困る」というケースでは、表示先の設定を調整します。
設定を開きます
通知をタップします
アプリ一覧からボイスメモを選びます
通知の表示先に関する項目で、ロック画面をオフにします
画面の表示はiOSバージョンにより差がありますが、一般的に「ロック画面」「通知センター」「バナー」などの選択肢があります
この設定により、通知は届くがロック画面では見えない状態にできます。端末を机に置いている場面や、他人の前でロック画面が見えてしまう場面でのリスクが大きく下がります。
運用のコツとしては、次のように考えると無理がありません。
ロック画面:見られる可能性が高い → 出さない
通知センター:自分が確認するときに見る → 出してもよい(必要に応じて)
バナー:作業中に目に入る → 好みで調整
通知プレビューを非表示にする考え方
ロック画面から通知を完全に無くせない事情がある場合(仕事で必要、運用上通知は残したい等)は、「通知は出ても内容は出さない」設計が有効です。
通知プレビューを制御すれば、第三者がロック画面を見ても、通知の詳細が読み取れない状態にできます。
考え方は次のとおりです。
端末を見られやすい場面では、通知の本文が出ないことが重要
ロック解除後(Face ID/Touch ID/パスコード後)にのみ内容が見えるようにすれば、覗き見の価値が下がる
どうしてもロック画面に通知を残すなら、「アプリ名だけ」「件名だけ」に留める
実際の設定項目はiOSの表示差がありますが、通知設定周りに「プレビュー表示」「ロック中の表示」などの選択が用意されます。
特に「端末を机に置くことが多い」「家族が近くにいる」環境では、プレビュー非表示は優先度が高い対策です。
ロック画面のボイスメモ導線を消す
次に、ロック画面からボイスメモに“すぐ行ける入口”を減らします。
ここはプライバシーの観点だけでなく、誤タップ防止としても効果があります。
実務上は、導線を減らすだけで以下が改善します。
他人が触っても起動しにくい
ロック画面の操作ミスで開かない
「ボイスメモを使っていること」を推測されにくい
ロック画面下部ショートカットを変更・削除する
ロック画面の下部にあるショートカットは、設定により入れ替え・削除できる場合があります。ボイスメモが割り当てられているなら、別のものに変更するか、不要であれば外します。
進め方の考え方は次のとおりです。
ロック画面をカスタマイズできる画面に入る
下部のショートカット枠を選び、ボイスメモを割り当て解除する
必要なら別機能に差し替え、誤タップしにくい配置にする
ここで重要なのは、「通知を消したから終わり」ではない点です。
通知は情報の露出を減らしますが、ショートカットは“起動の露出”を残します。覗き見対策としては両方を潰してはじめて効果が最大化します。
また、ショートカットは見た目に分かりやすいため、第三者が「ボイスメモがある」と気づきやすい要素です。気づきのきっかけを減らしたい場合は優先して見直してください。
ロック画面ウィジェットからボイスメモを外す
ロック画面のウィジェットも、ボイスメモへの導線になり得ます。
特に、ウィジェットが「録音開始」「最近の録音」などに近い機能を持つ場合、端末を見た人に利用状況を推測される恐れがあります。
対応はシンプルで、ロック画面のカスタマイズからウィジェット一覧を表示し、ボイスメモ関連ウィジェットを削除します。
もしウィジェット自体は必要であれば、次の観点で差し替えるとバランスが取れます。
個人情報に紐づきにくい(天気、時計、バッテリーなど)
状況を推測されにくい(予定やメッセージのような内容系は避ける)
誤タップの頻度が少ない
コントロールセンターのボイスメモ表示を整理する
ロック画面そのものではなく、ロック中にコントロールセンターを開ける設定になっていると、そこからボイスメモを起動される可能性があります。
「端末を手渡すことがある」「子どもが触る」などの環境では、コントロールセンターの導線整理が効きます。
代表的な対策は次のとおりです。
コントロールセンターにボイスメモがある場合、項目から外す
そもそもロック中にコントロールセンターへアクセスできる設定を見直す(必要性とリスクを比較)
どうしても必要なら、起動されても問題が起きにくい項目だけを残す
ここでの判断基準は「利便性」と「想定されるシーン」です。
自分以外が触れる可能性が低い方は、コントロールセンターの利便性を優先してもよいでしょう。一方で、端末を渡す頻度が高い方は、ボイスメモ導線は外しておく方が事故が減ります。
ボイスメモアプリと録音一覧を見られにくくする
通知と導線を消しても、最後に残るのが「アプリを開かれたら終わる」問題です。
ロック画面で見えなくしても、アプリを開かれれば録音一覧が表示され、タイトルや内容の一部から状況を推測される場合があります。ここは端末側の保護を強化するのが最も効果的です。
対応の方向性は次の2つです。
そもそも見つけにくくする(アプリ非表示)
見つけられても開けないようにする(アプリロック)
両方を組み合わせると、覗き見リスクはさらに下がります。
アプリを非表示にする
アプリを非表示にすると、ホーム画面の見た目からボイスメモが消え、第三者がぱっと探しても見つけにくくなります。
重要なのは「非表示=削除」ではなく、「日常の視界から外す」ことで覗き見の入口を減らす点です。
運用上のポイントは次のとおりです。
端末を貸すシーンでは、相手は短時間で目的操作をすることが多い
その短時間でボイスメモを見つける難易度を上げるだけでも効果がある
「見つけよう」と強い意志がある相手への完全防御ではなく、偶発的な覗き見や好奇心からのタップを防ぐのが主目的
「家族が写真を撮るために借りる」「同僚が地図を見るために借りる」などの場面では、非表示だけで十分なケースもあります。
アプリをロックしてFace IDを必須にする
より強い対策として、アプリにロックをかけ、Face ID/Touch ID/パスコードがなければ開けない状態を作ります。
この方法の利点は、次の通りです。
アプリの場所を知られても、認証なしで開けない
非表示と組み合わせると、偶然見つける可能性も低い
端末を渡す場面で「見られたら困る」領域だけをピンポイントで守れる
特に、録音内容が業務情報や個人情報に近い場合は、アプリロックの優先度が高いです。
「通知を消したのに不安が残る」という方は、最後の砦としてアプリロックを検討してください。
端末を貸すときの運用テンプレ
設定を整えたら、次は“運用”を固めると安全性が上がります。
端末を貸す場面は、焦っている・時間がない・相手に任せがち、という条件が重なり、事故が起きやすいからです。
以下は、覗き見対策としての最小テンプレです。状況に応じて取捨選択してください。
ボイスメモ通知は「ロック画面に出さない」または「通知自体オフ」
通知プレビューは「ロック中は表示しない」設定にする
ロック画面下部ショートカットにボイスメモを割り当てない
ロック画面ウィジェットにボイスメモを置かない
コントロールセンターからボイスメモを起動できないよう整理する
ボイスメモアプリを非表示にする
ボイスメモアプリをロックし、Face ID/Touch IDを必須にする
さらに、端末を渡す頻度が高い方は、次のような「現場ルール」を決めると事故が減ります。
端末を渡す前に「目的操作を自分で開いてから渡す」(カメラや地図を起動して渡す)
長時間貸さない(貸す時間を短くする)
ロック画面の表示は必要最小限にする(ウィジェットや通知を絞る)
ボイスメモ表示が消えない原因と注意点
ここまで設定しても「まだ消えない」「どこかに残る」と感じる場合があります。
その多くは、次のいずれかに当てはまります。
消したい対象が通知ではなく、ショートカット/ウィジェット/状態表示だった
iOSバージョン差で、設定場所や文言が異なり、意図した箇所を変更できていない
OS設計上、完全に隠せない種類の表示を消そうとしている
それぞれを整理して対処してください。
消せない表示がある理由と仕様
録音やマイク利用のように、プライバシー・安全性に関わる機能は「利用中であること」をユーザー本人に明示する設計が取られることがあります。
その結果、録音中の状態や、利用中であることを示す表示が、設定で完全に消せない場合があります。
ここでの重要点は、「完全非表示を目指す」よりも「困る情報を出さない」ことです。具体的には次の優先順位を推奨します。
ロック画面に通知が出ない(または内容が見えない)
ロック画面に起動導線がない(ショートカット・ウィジェットを外す)
アプリを開けない(アプリロック、必要なら非表示も併用)
この3点が揃うと、第三者がロック画面を見ても得られる情報が少なくなり、実害が起きにくくなります。
また、ネット上には「完全に隠せる」と断定する情報も見受けられますが、OSや設定状態により再現しないことがあります。再現性を重視するなら、上記のように複数の防御線を重ねる設計が安全です。
iOSバージョン差で項目が見つからないとき
iOSはアップデートにより、設定項目の文言や配置が変わることがあります。
項目が見つからない場合は、次の考え方で探すと迷いにくくなります。
通知の問題は「設定 → 通知 → アプリ別(ボイスメモ)」が基本導線
ロック画面の導線は「ロック画面のカスタマイズ(編集画面)」が基本導線
アプリ保護は「アプリの非表示」「アプリのロック」に関係する導線を確認する
また、端末の状態(機種、Face ID/Touch ID対応、組織管理端末など)により、利用できる機能が制限される場合があります。会社支給端末などでは特に、MDM(モバイルデバイス管理)の制約により一部設定ができないこともあるため、その場合は管理者方針に従ってください。
法的・倫理的な注意点
録音は、相手の同意が必要な場面や、録音自体が禁止されている場面があります。
また、職場や学校では、規程として録音を制限している場合があります。
本記事は「他人に見られないように録音を隠す」ことを推奨するものではなく、端末の覗き見対策として「通知や導線を減らす」「アプリを保護する」観点で解説しています。
運用時は、必ず法令・規程・相手との合意に配慮してください。
よくある質問
録音中の表示は完全に消せますか
通知やショートカット、ウィジェットは設定で非表示にできる可能性がありますが、録音中の状態表示についてはOS設計上、完全に消せない場合があります。
現実的な解決策としては、ロック画面に通知が出ないようにし、起動導線を消し、アプリロックを併用して「見られて困る情報が漏れない」状態に整えることを推奨いたします。
ボイスメモだけロック画面に出さずに他は出せますか
可能です。通知はアプリ単位で制御できるため、ボイスメモだけロック画面表示をオフにし、他のアプリは通常通り表示する、といった使い分けができます。
「必要な通知は残すが、ボイスメモだけは出さない」という要件は、実運用としても合理的です。
アプリを非表示にしたら検索や共有はどうなりますか
非表示は「見つけにくくする」効果が中心です。挙動はiOSバージョンや端末設定により異なる可能性があります。
確実に守りたい場合は、非表示だけに頼らず、アプリロック(Face ID/Touch ID必須)を併用してください。
「見つけられない」ことよりも「開けない」ことの方が防御として強く、覗き見対策の目的に合致します。
まとめ
ロック画面のボイスメモ非表示は、1つの設定で一括解決するテーマではなく、表示の種類ごとに手当てするのが最短です。
最初に、ロック画面に出ているものが通知なのか、ショートカットなのか、ウィジェットなのか、録音中の状態表示なのかを切り分けてください。
通知が原因なら、ボイスメモの通知をオフにするか、少なくともロック画面表示だけオフにし、必要に応じて通知プレビュー非表示を併用してください。
起動導線が原因なら、ロック画面のショートカットやウィジェットからボイスメモを外し、必要ならコントロールセンターも整理してください。
最後に、録音一覧を見られたくない場合は、アプリ非表示とアプリロックで守りを固めてください。
iOSの仕様やバージョン差により、設定項目の位置や表示名が変わることがあります。その場合も、本記事の「切り分け」と「導線を減らす」「アプリを開けない」方針に沿って調整すれば、目的に近づけます。