機種変更や家族・同僚との連絡先共有の際に、「iPhoneの電話帳をAirDropで一括で送りたい」と考える方は少なくありません。
しかし実際には、「1件ずつしか送れない」「相手が表示されない」など、思った通りに進まずお困りのケースが多い状況です。
本記事では、iPhoneの電話帳(連絡先)を一括で共有・移行する方法を、Apple公式情報を踏まえつつ整理し、AirDrop・iCloud・vCard・PC・アプリなど複数の手段を比較しながら解説いたします。
「自分にはどの方法が合うのか」「安全に、効率よく移行するにはどうしたらよいか」を知りたい方は、本記事を一通りご覧いただくことで、迷わず実行できるようになります。
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AirDropは便利な機能ですが、「連絡先アプリからそのまま全件一括送信」という使い方には向いていません。
一括共有を実現したい場合は、vCard(.vcf)として書き出し、それをAirDrop・メール・クラウドなどで共有するというアプローチが現実的です。
機種変更なら「iCloud同期」、家族・同僚への配布なら「vCard共有」、相手がAndroidなら「vCard+メール/クラウド」と、ケースに応じて使い分けることが重要です。
まずは、現在のご自身の状況に最も近いケース(機種変更・家族共有・ビジネス配布など)から、本文の該当部分の手順を試していただくことをおすすめいたします。
iPhoneの電話帳を一括共有したいときに知っておくべき前提
AirDropで「できること」と「できないこと」
まず、AirDropの仕様を正しく理解しておくことが重要です。
AirDropは、近くにあるApple製デバイス同士で、Wi-FiとBluetoothを使ってデータを直接送受信する機能です。
写真・動画・Webページ・書類だけでなく、連絡先カードも送信できます。
一方で、標準の「連絡先」アプリからAirDropを使う場合、基本的には「1件の連絡先カード」を開き、「連絡先を共有」からAirDropを選ぶ運用が想定されています。
そのため、連絡先アプリの画面で多数の相手を複数選択して、一度にAirDrop送信する機能は標準では用意されていません。
ここを誤解すると、「やり方が悪いだけなのでは」と何度も試行錯誤することになってしまいます。
連絡先アプリ・iCloud・vCardの関係を整理
iPhoneの連絡先データは、画面上は「連絡先」アプリで確認しますが、実体は以下のような場所に保存されています。
iCloud(Appleのクラウドサービス)
メールアカウント(Gmail・Exchangeなど)の連絡先
まれに「iPhone本体」のみ
このうち、iCloudに保存されている連絡先は、同じApple Accountでログインした別のiPhoneに自動的に同期できます。これは「自分の端末間の移行」に非常に有効ですが、「他人の端末への配布」には使えません。
一方、連絡先をvCard(.vcf)というファイル形式で書き出すことも可能です。
vCardには1人分だけでなく、複数人分の連絡先をまとめて含めることができ、ファイルとしてメールやAirDropで送ることで、受信した側は一括で連絡先を取り込めます。
つまり、「AirDropで一括」というニーズは、厳密には「vCardなどのファイルを作成して、それをAirDrop等で共有する」という形で実現するのが現実的です。
どんなケースで「一括共有」が必要になるのか
代表的なケースは次のとおりです。
旧iPhoneから新しいiPhoneへの機種変更で、電話帳を丸ごと移行したい
家族全員に、親が管理している連絡先リストを配布したい
会社で作成した取引先リストを、複数のメンバーにまとめて配布したい
相手がAndroidスマホだが、電話帳データをまとめて渡したい
本記事は、これらのケースをすべてカバーする形で構成しております。
【基礎知識】iPhoneの連絡先を共有する主な方法
1件ずつ共有する標準のやり方(AirDrop・メッセージ・メール)
1件ずつ連絡先を共有する場合、標準の操作は非常にシンプルです。
「連絡先」アプリを開く
共有したい相手の連絡先カードをタップ
画面下部の「連絡先を共有」をタップ
共有方法の一覧から、
AirDrop
メッセージ
メール
などを選択
送信先の相手を選び、送信
この方法は、名刺交換のように「今、目の前の相手に自分の連絡先を1件だけ渡す」といった用途に向いています。
ただし、数十件〜数百件をこの方法で送るのは現実的ではありません。そのため、「一括共有」には別の方法が必要になります。
iCloud同期で新しいiPhoneに自動で連絡先を移す方法
機種変更で旧iPhoneから新iPhoneへ移行したいだけであれば、iCloud同期を使うのが最も簡単です。
旧iPhone側の設定
「設定」→最上部の自分の名前(Apple Account)をタップ
「iCloud」をタップ
「連絡先」をオンにする
新iPhone側の設定
同じApple Accountでサインイン
「設定」→「iCloud」→「連絡先」をオンにする
これで、旧iPhoneの連絡先はiCloudを経由して新iPhoneに同期されます。
機種変更時の「クイックスタート」や「iCloudバックアップからの復元」と組み合わせることで、電話帳を含む多くのデータをまとめて移行可能です。
ただし、これは「自分の端末間での移行」が目的であり、他人の端末に連絡先を配布する用途には使えません。
vCard(.vcf)ファイルを書き出して共有する方法
連絡先をファイルとしてまとめて扱いたい場合、vCard(.vcf)形式の書き出しが役立ちます。
最近のiOSでは、「連絡先」アプリのリスト単位で書き出しが可能です。
「連絡先」アプリを開く
左上の「リスト」ボタンをタップ
共有したい連絡先が含まれるリストを長押し
「書き出す」をタップ
含めたい項目(電話・メール・住所など)を選択し、「完了」
共有方法として「メール」「メッセージ」「AirDrop」などを選ぶ
こうして書き出された連絡先は、vCardファイルとして相手に渡され、受信側はファイルをタップすることで一括で連絡先アプリに取り込むことができます。Appleサポート+1
【手順】iPhone電話帳をまとめて移行・共有する具体的なやり方
ケース1:旧iPhoneから新iPhoneへの機種変更(iCloud+AirDrop併用)
もっとも一般的なケースが、旧iPhoneから新iPhoneへの機種変更です。
推奨フロー
旧iPhoneをiCloudでバックアップ
新iPhoneの初期設定でiCloudバックアップから復元
復元後、念のため「設定」→「自分の名前」→「iCloud」で「連絡先」がオンになっていることを確認
これで、電話帳はほぼ自動的に移行されます。
一部だけ手動で共有したい場合
例えば、「仕事用の連絡先だけ新iPhoneに送りたい」といった場合は、前述の「連絡先リストを書き出す」機能を使い、vCardをAirDropで新iPhoneへ送信します。
旧iPhoneの「連絡先」アプリで、仕事用のリストを書き出し
共有方法として「AirDrop」を選択
新iPhoneを選んで送信
新iPhone側で受信したvCardをタップし、「すべて追加」などを選択
このように、基本はiCloud同期で丸ごと移行しつつ、一部だけはvCard+AirDropで追加するのが効率的です。
ケース2:家族や同僚に連絡先リストを一括配布する
家族・同僚など、複数の人に同じ連絡先リストを配りたい場合も、vCard書き出しが有効です。
配布元のiPhoneで「連絡先」アプリを開く
共有したいメンバーが含まれるリストを選択
リストを長押しして「書き出す」をタップ
項目を選択して「完了」
共有方法として
複数人に一度に配るなら「メール」や「メッセージ」
目の前の相手に渡すなら「AirDrop」
を選択
受信側では、届いたvCardファイルをタップするだけで連絡先アプリに取り込めます。
配布先が多数いる場合は、メールに添付して送ると、相手が後から好きなタイミングでインポートできて便利です。
ケース3:相手がAndroidスマホの場合の一括共有
相手がAndroid端末の場合、AirDropは利用できません。その代わり、vCardファイルをメールなどで送る方法が一般的です。
iPhone側で連絡先リストをvCardとして書き出し(前述の手順)
共有方法として「メール」や「Googleドライブ」などを選び、相手に送信
Android側でメールやクラウドからvCardファイルをダウンロード
Androidの「連絡先」または「ドコモ電話帳」「au電話帳」などから「インポート」→「vcfファイル」を選び、読み込む
この手順により、iPhoneの電話帳をAndroidへまとめて移すことができます。
端末やアプリによって画面表示は異なりますが、「vCard(vcf)をインポートする」という考え方は共通です。
ケース4:PCを使ってvCardを一括エクスポート/インポートする
PCをお持ちの場合は、ブラウザからiCloud.comにアクセスして連絡先を一括管理する方法もあります。
iCloud.comからvCardをエクスポート
PCのブラウザで icloud.com にアクセス
Apple Accountでサインイン
「連絡先」をクリック
左下または画面メニューから「連絡先を選択」し、エクスポートしたい連絡先を選ぶ
「vCardを書き出す」を選択し、.vcfファイルを保存
エクスポートしたvCardの渡し方
メールに添付して相手に送信
USBメモリなどで物理的に渡す
クラウドストレージ(OneDrive・Googleドライブなど)に置いて共有リンクを送る
受信側は、それぞれの端末の手順に従ってvCardをインポートすることで、一括で連絡先を登録できます。
【比較表】AirDrop・iCloud・vCard・アプリの違いと選び方
主要な方法のメリット・デメリット比較表
(※実際の記事では、以下を表形式で掲載する想定です)
AirDrop(1件ずつ)
メリット:目の前の相手に即時共有、設定が簡単
デメリット:大量の連絡先を一括共有するには不向き
iCloud同期
メリット:自分の端末間の移行が自動、機種変更に最適
デメリット:他人の端末への配布には使えない
vCard(.vcf)共有
メリット:複数の連絡先を1ファイルにまとめてやりとりできる、iPhone・Android問わず利用しやすい
デメリット:書き出し・インポートの手順を理解する必要がある
専用アプリ・PCソフト
メリット:細かい条件で書き出しできる、バックアップ・復元機能が充実しているものもある
デメリット:インストール・購入が必要、信頼できるアプリかどうかの見極めが必要
こんな人にはこの方法がおすすめ
機種変更が目的の方
→ iCloudバックアップ+復元を基本とし、必要に応じてvCardで一部だけ追加家族・同僚に同じリストを配りたい方
→ 連絡先リストを書き出し、vCardをAirDrop/メールで配布相手がAndroid・PCなどバラバラな環境の方
→ vCardをメールやクラウドで送る方法が汎用的大量の連絡先を頻繁にバックアップしたい方
→ 信頼できるバックアップ専用ソフトの利用も検討
AirDropでうまく共有できないときのチェックリスト
AirDropの基本設定と受信設定を確認する
AirDropで相手が表示されない・送れない場合、まず以下を確認してください。
コントロールセンターでAirDropがオンになっているか
受信設定が「受信しない」になっていないか
「連絡先のみ」を選んでいる場合、相手の連絡先カードに自分の電話番号またはメールアドレスが登録されているか
必要に応じて一時的に「すべての人(10分間のみ)」に変更すると、接続しやすくなります。
Wi-Fi/Bluetooth/距離・テザリングの確認ポイント
両方の端末でWi-FiとBluetoothがオンになっているか
機内モードになっていないか
個人用ホットスポット(テザリング)がオンの場合、AirDropがうまく機能しないことがあります
端末同士を1〜2m程度まで近づけ、間に壁や大きな金属物がないようにする
これらを順に確認するだけで、多くのトラブルは解消されます。
それでもダメなときの最終手段
両方のiPhoneを再起動する
iOSを最新バージョンにアップデートする
AirDropに固執せず、vCardをメールやメッセージで送る方法に切り替える
一括共有を目的とする場合、AirDropはあくまで「ファイルの運び手」と割り切り、vCard+メール/クラウドをメインに考えるのが現実的です。
応用事例:ビジネス・家族での賢い連絡先共有術
取引先リストをチームに配布する際の注意点
ビジネスで取引先リストを配布する場合、以下を意識すると安全です。
メモ欄に、個人情報や機密情報(パスワード・内部メモなど)が含まれていないか確認
部署・役職など、共有する必要のない情報は削る
社内の情報セキュリティポリシーに従い、共有方法(AirDrop・メール・クラウド)を選ぶ
配布後は、「誰がマスタ版を管理するか」「変更があった場合の更新フロー」を決めておくと、情報の整合性が保てます。
家族の連絡網をまとめて管理・更新するコツ
家族の連絡先を整理したい場合は、次のような運用がおすすめです。
親など代表者のiPhoneで連絡先を一元管理
学校・病院・習い事など、家族全員が使う連絡先を1つのリストにまとめる
必要に応じてvCardとして書き出し、家族のiPhoneへ配布
こうしておくと、新しい家族が増えた・学校が変わったといったタイミングでも、代表者が更新して配布し直すだけで済みます。
個人情報・セキュリティのリスクと注意点
共有する項目を絞る・不要な情報を削除する
連絡先カードには、電話番号やメールアドレスだけでなく、住所・誕生日・メモなど多くの情報が含まれます。
共有前に、次の点を確認してください。
メモ欄に、内部メモや個人的なコメント、秘密情報が残っていないか
共有する必要のない住所や誕生日などは削除または共有対象から外す
古くて使われていない連絡先は、この機会に整理する
必要以上の情報を渡さないことが、情報漏洩リスクを下げる第一歩です。
AirDropの受信設定と社内ルールの決め方
AirDropを「すべての人」にしたままにしておくと、見知らぬ相手から不意にファイルが送られてくる可能性があります。
特に業務用端末の場合、以下のような運用をおすすめいたします。
通常時は「連絡先のみ」にしておく
必要なときだけ一時的に「すべての人(10分間のみ)」を利用する
社内でAirDropの利用ポリシー(どのような情報を、どのような場面で使ってよいか)を簡単に決めて共有しておく
紛失・盗難時に備えたバックアップの考え方
電話帳は、紛失・盗難時に真っ先に困るデータのひとつです。
次のようなバックアップを併用すると安心です。
iCloudバックアップを定期的に有効化しておく
PC(Mac/Windows)にローカルバックアップを作成しておく
重要な連絡先だけは別途vCardや紙のメモとして控えを持つ
「一括共有の前に必ずバックアップを取る」という習慣を身につけておくと、万一のトラブル時にもリカバリーが容易になります。
よくある質問(FAQ)
AirDropだけで電話帳を全部まとめて送ることはできますか?
標準の「連絡先」アプリからAirDropを使う場合、基本的には1件ずつの共有が想定されています。
そのため、「何も工夫せずに全件を一括でAirDropする」ことはできません。
一括共有を実現したい場合は、次のいずれかが必要です。
連絡先リストをvCardとして書き出し、そのファイルをAirDropで送る
iCloud.comなどからvCardをエクスポートし、メールやクラウドで共有する
iCloudを使わずに一括移行する方法はありますか?
はい、いくつかの方法があります。
PCとiTunes/Finder・専用ソフトを使って、連絡先をバックアップ→新iPhoneへ復元する
iCloud.comを使わず、旧iPhoneからvCardを書き出して新iPhoneへ送る
専用のバックアップアプリ・電話帳移行アプリを利用する
ただし、操作が複雑になる場合もあるため、特別な事情がない限り、まずはiCloud同期を検討することをおすすめいたします。
有料アプリは使った方がいいですか?
多くのケースでは、iCloud+vCard共有で十分対応可能です。
有料アプリやPCソフトを使うメリットは次のような点にあります。
大量の連絡先を細かい条件で書き出したい
連絡先以外のデータ(写真・メッセージなど)もまとめてバックアップしたい
画面操作に自信がなく、専用ツールでウィザード形式のサポートを受けたい
必要性とコストを天秤にかけたうえで、信頼できるベンダーの製品を選ぶことが重要です。
相手のiPhoneに連絡先が二重登録されないようにするには?
重複登録を防ぐには、次のような工夫が有効です。
共有前に、相手のiPhone側で既存の連絡先を整理してもらう
まずはテストとして、少数の連絡先だけをvCardで送り、挙動を確認する
重複してしまった場合は、「連絡先」アプリの編集機能で「連絡先を結合」する
特にビジネス用途では、テスト導入をしてから本番実施することを強く推奨いたします。