iPhoneを機種変更するとき、「クイックスタートがうまくいかない」「そもそも条件が合わなくて使えない」というお悩みは少なくありません。
しかしご安心ください。クイックスタート以外にも、iCloudやパソコン、キャリアの移行サービスなど、複数の方法でデータ移行を行うことができます。
本記事では、「クイックスタート以外」にフォーカスし、
どんなときにクイックスタート以外が必要になるのか
iCloud・パソコン・キャリアアプリなどの具体的な手順
状況別のおすすめルート
よくあるトラブルと対処法
まで、順番に整理してご説明いたします。
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クイックスタートが使えないのは、iOSバージョン・旧端末の有無・ストレージ不足・通信環境など、いくつかの典型パターンがあります。
その場合の主な代替手段は、
iCloudバックアップからの復元
パソコン(Finder / Appleデバイスアプリ / iTunes)経由の復元
キャリアの移行アプリ・店頭サービス
です。
どの方法を選ぶにしても、事前のバックアップと個別アプリの引き継ぎ確認が、データを守るうえで最も重要です。
「クイックスタートが使えない=終わり」では決してありません。
クイックスタート以外の方法が必要になる主なケース
そもそもクイックスタートとは?
クイックスタートは、旧iPhoneと新しいiPhoneを近づけるだけで、Wi-FiとBluetoothを利用してデータを直接転送し、新しい端末の初期設定まで自動で行ってくれる機能です。
iOS 11以降(データ移行機能付きはiOS 12.4以降)が対象
2台のiPhoneを近づけて、画面の案内に従うだけでほぼ自動で移行
iCloudやパソコンを使わなくてよいのが大きなメリットです
一方で、いくつかの条件を満たしていないと利用できず、その場合は別の方法が必要になります。
クイックスタートが使えない代表的なパターン
代表的には、次のようなケースでクイックスタートが使えません。
iOSバージョンが古い場合
いずれかのiPhoneのOSが、クイックスタートの要件を満たしていない
古い端末を長期間アップデートしていないと起こりがちです
旧iPhoneが手元にない・壊れている場合
紛失している
画面がつかない、電源が入らない
すでに下取りに出してしまった、など
新しいiPhoneのストレージが足りない場合
旧端末のデータ容量が、新端末の容量を大きく上回っている
クイックスタート中にエラーが出る、移行が完了しないことがあります
Wi-Fi環境が不十分な場合
インターネット接続が不安定、極端に遅い
データ量が多いと、移行に非常に時間がかかることがあります
こうした状況では、クイックスタートに固執せず、iCloudやパソコン、キャリアのサービスを組み合わせて移行する方が安全です。
あなたはどのケース?かんたんチェックリスト
次の4つの質問に「はい」「いいえ」で答えてみてください。
旧iPhoneと新iPhoneの2台が手元にある
両方のiPhoneを最新に近いiOSにアップデートできる
安定したWi-Fi環境がある
新iPhoneのストレージ容量が、旧iPhoneより十分に大きい
3つ以上「いいえ」がある場合は、クイックスタート以外の方法をメインに検討することをおすすめいたします。
まずは共通の事前準備:バックアップと引き継ぎ確認
iCloudでバックアップを取る手順
パソコンがない場合でも、iCloudを使えば旧iPhoneのバックアップを簡単に作成できます。
iPhoneをWi-Fiに接続する
「設定」アプリを開き、一番上のユーザー名(Apple ID)をタップ
「iCloud」 → 「iCloudバックアップ」をタップ
「iCloudバックアップ」をオンにする
「今すぐバックアップを作成」をタップし、完了まで待つ
iCloudの無料容量は5GBですが、機種変更に伴い一時的にバックアップ用ストレージを追加利用できる仕組みが用意されています。
データ量が多い場合は、Wi-Fiが安定している時間帯に実行してください。
Mac / Windowsでフルバックアップを取る手順
パソコンがある場合は、ローカルにフルバックアップを作成しておくと、復元が速く、失敗しにくい傾向があります。
Mac(macOS Catalina以降)の場合
iPhoneをケーブルでMacに接続
Finderを開き、左側の「場所」からiPhoneを選択
「一般」タブで「このMacにバックアップ」を選ぶ
パスワードやヘルスケアなども含めたい場合は「ローカルバックアップを暗号化」にチェック
「今すぐバックアップ」をクリック
Windowsの場合
iPhoneをケーブルでWindows PCに接続
Appleデバイスアプリ(またはiTunes)を開く
デバイスアイコンをクリック
「バックアップ」欄で「このコンピュータ」を選ぶ
必要に応じて「ローカルバックアップを暗号化」にチェック
「今すぐバックアップ」をクリック
LINE・Suica・各種決済アプリの事前チェック
iPhone全体のバックアップとは別に、個別アプリの引き継ぎ準備も重要です。
LINE
「アカウント情報(電話番号・メールアドレス・パスワード)」の確認
トーク履歴のバックアップ
引き継ぎ許可設定のオン
Suica・交通系ICカード
Walletアプリまたは専用アプリで、カードをサーバーに退避する操作
機種変更用の手順に従って、新端末で再登録
PayPayなどのQRコード決済
ログイン用のID・パスワード、電話番号・メールアドレスの確認
二段階認証の有無を確認
各サービスごとに公式の「機種変更・端末変更ガイド」があるため、それに沿って準備しておくと安心です。
クイックスタート以外のiPhoneデータ移行方法【比較】
iCloudバックアップからの復元(PC不要・Wi-Fi前提)
iCloudに作成したバックアップを、新しいiPhoneの初期設定時に読み込む方法です。パソコンがなくても完結できます。
手順の流れ
旧iPhoneでiCloudバックアップを作成
新iPhoneの電源を入れる
「こんにちは」画面から案内に従い、「Appとデータ」画面まで進む
「iCloudバックアップから復元」を選択
Apple IDでサインインし、復元したいバックアップを選ぶ
復元処理が完了するまで待つ
メリット
パソコン不要
操作がシンプルで、ガイドに沿って進めやすい
復元中もアプリやデータのダウンロードがバックグラウンドで進みます
デメリット
データ量が多い場合、時間が長くかかる
安定したWi-Fi環境が必要
パソコンを使って復元(Finder / Appleデバイスアプリ / iTunes)
パソコンに作成したローカルバックアップを、新iPhoneに復元する方法です。
復元手順(共通)
あらかじめ旧iPhoneのバックアップをパソコンに作成
新iPhoneの電源を入れ、初期設定を途中まで進める
ケーブルで新iPhoneをパソコンに接続
FinderまたはAppleデバイスアプリ(またはiTunes)で新iPhoneを選択
「バックアップを復元」をクリックし、対象のバックアップを選ぶ
復元完了までケーブルを抜かずに待つ
メリット
回線速度に左右されにくく、全体の所要時間を抑えやすい
暗号化バックアップを利用すれば、各種設定・ヘルスケアデータ・パスワードなども含めて移行しやすい
デメリット
パソコンとケーブルが必須
初めての方には、画面の用語がやや分かりにくい場合があります
キャリアのデータ移行アプリを使う
ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルなどのキャリアは、それぞれデータ移行用アプリや店頭サービスを提供しています。
連絡先(電話帳)、写真、動画などを中心に移行できる
店頭の専用端末で、スタッフが移行を代行してくれるケースもある
ただし、キャリアアプリで移行できるのは主に「写真・連絡先」などに限られ、iPhone全体の設定やすべてのアプリを完全にコピーできるわけではありません。
そのため、「キャリアアプリ+iCloudまたはPCバックアップ」の組み合わせで考えると安全です。
専用ツール(AnyTransなど)を使う場合の注意点
AnyTransなどの専用ツールを利用すると、iPhone同士のデータコピーや、一部アプリデータの抽出・移行などを柔軟に行える場合があります。
一方で、
Apple公式サポート外のソフトウェアであること
無料版には機能制限がある場合が多いこと
OSやツールの組み合わせによっては動作が安定しない可能性があること
といったリスクもあります。
利用する場合は、
かならず公式サイトから最新バージョンを入手する
事前にiCloudまたはPCでバックアップを取得しておく
といった点を徹底し、「最悪の場合はバックアップからやり直せる状態」にしておくことが重要です。
【状況別】あなたにおすすめの移行ルート
PCがない・Wi-Fiはある場合:iCloudをメインに使う
家にパソコンがない
職場や自宅にWi-Fiがあり、ある程度安定している
このような場合は、iCloudバックアップ → iCloudからの復元がもっとも現実的です。
ポイントは次のとおりです。
旧iPhone側で最新状態のiCloudバックアップを作成
新iPhoneの初期設定時に、そのバックアップを選択して復元
容量が足りないときは、一時的な追加ストレージの仕組みや、有料プラン(iCloud+)の利用も検討
PCがある・回線が不安定な場合:パソコンバックアップ経由
自宅や職場にMacまたはWindows PCがある
自宅のWi-Fiが遅い、あるいは通信量をあまり使いたくない
このような場合は、パソコンへのローカルバックアップ → 新iPhoneへの復元が適しています。
特に、
写真や動画が非常に多い
アプリを大量にインストールしている
といったケースでは、PC経由の方が処理が安定しやすく、全体の時間も短くなりやすいです。
旧iPhoneが壊れている/紛失した場合
旧iPhoneがすでに手元にない、電源が入らないといった状況では、次のようなデータが復元対象になります。
iCloudバックアップに残っているデータ
パソコンに保存してあるバックアップ
これらのバックアップが存在すれば、新iPhoneの初期設定時またはパソコン接続時に復元が可能です。
一方で、「どこにもバックアップを取っていなかった」場合、旧端末のローカルにしかなかったデータは復元が難しくなります。
今後同じ状況を避けるためにも、
iCloudバックアップを自動で有効にしておく
定期的にPCにもバックアップを取得しておく
という二重のバックアップ体制をおすすめいたします。
ストレージ不足で移行できない場合の対策
新しいiPhoneの容量が小さいモデルの場合、旧端末と同じデータ量をそのまま移行できないことがあります。
その場合は、まず旧iPhone側でデータを整理します。
使っていないアプリをアンインストール
似た写真や不要な動画を削除
写真・動画をクラウドストレージ(例:iCloudフォト、Googleフォトなど)へ移動
大容量ゲームや不要なファイルを削除
データ量を削減したあとで、あらためてバックアップを取り直し、そのバックアップから復元を行うことで、ストレージ不足によるエラーを回避しやすくなります。
よくあるトラブルと対処法
復元が進まない・途中で止まる場合
復元が「残り○分」から進まない、進捗バーが動かない、といった場合は次を確認してください。
Wi-Fiが不安定になっていないか(ルーターの再起動なども検討)
iPhone本体を一度再起動し、再度復元を試す
iCloudバックアップから復元している場合、別の日付のバックアップに切り替えて試す
どうしても進まない場合は、パソコン経由の復元に切り替えると改善する場合があります。
バックアップが古い場合の対処
「最新の写真が入っていない」「最近追加したアプリがない」といった場合は、次の手順を検討してください。
旧iPhoneがまだ使える場合
旧iPhoneを最新状態にしてから、あらためてiCloudまたはPCにバックアップを取り直す
新iPhoneを初期化し、新しいバックアップから再度復元する
旧iPhoneが使えない場合
iCloudフォト、各クラウドサービス、メール、アプリのオンライン同期などから取得できるデータがないか確認する
今後は、重要な作業の前にバックアップを取る習慣をつけておくと安心です。
移行後にアプリが開けない・ログインできない場合
データ移行自体は完了していても、アプリ側で再設定が必要なケースがあります。
App Storeでアプリを最新バージョンにアップデート
アプリ独自のID・パスワードで再ログイン
SMS認証や認証アプリなど、二段階認証の設定を完了させる
特に金融・決済系アプリはセキュリティが厳しく、機種変更時に追加の確認ステップが入ることが多いため、事前に公式サイトで手順を確認しておくことをおすすめいたします。
どうしても不安な場合の相談先
自力での移行に不安がある場合は、早めに専門窓口へ相談してください。
Appleサポート(チャット・電話・店頭のGenius Barなど)
契約中キャリアのショップ(ドコモショップ、auショップ、ソフトバンクショップ、楽天モバイルショップなど)
バックアップさえ確実に取れていれば、移行作業はやり直しが可能です。
不安な状態で操作を続けるよりも、一度プロに相談したうえで進めた方が、安全性は高くなります。