「いま何度?」——ポケットのiPhoneを取り出して、つい“温度計代わり”にしたくなる瞬間ってありますよね。
けれど実は、iPhone単体には外気や室温を直接測るための環境温度センサーは入っていません。では、外の気温はどう見る? 部屋の快適さはどう管理する? “アプリだけ”の表示はどこまでアテになる?
本記事では、できること/できないことを最初に明確化しつつ、外気温の最短チェック、室温を正確に“実測”する現実解(外部センサー連携)、表面温度を測るサーマルカメラの使い分けまで、今日から実践できる手順でわかりやすく案内します。勘と根性の空調調整から、データで快適を整える暮らしへ。iPhoneはその“窓口”として最高の相棒になります。
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iPhoneは温度そのものを測る道具ではないけれど、温度情報を最適に“扱う”道具としてはとても優秀です。
外気温は天気アプリやSiriで素早く把握し、室温は外部の温湿度センサーで実測、必要に応じて通知や自動化までつなげる——この流れがベストプラクティス。
表面温度を見たい場面ではサーマルカメラを使い、「空気の温度」と「物体の温度」を混同しないことがポイントです。
そして、“アプリだけで測れる”といった誤解はここで卒業。感覚に頼らずデータで環境を調整すれば、暑さ・寒さ・ムシムシ感は確実にコントロールしやすくなります。
まずはリビングに1台の温湿度計から。iPhoneという“ハブ”を活かして、あなたの毎日を快適で、わかりやすく、再現性のある環境にアップデートしていきましょう。
iPhoneで“外気温”を知るいちばん簡単な方法
天気アプリ&ウィジェットで即チェック
外気温は、iPhoneの「天気」アプリやロック画面/ホーム画面のウィジェットで確認するのが最短です。
これらは観測所や気象データ提供元の情報(位置情報ベース)を表示する仕組みで、iPhoneが直接空気を測っているわけではありません。
体感温度(風や湿度を加味した指標)・湿度・風速・降水確率・紫外線指数などもセットで見られるため、服装やお出かけ準備の判断に向いています。
操作の目安
「天気」アプリを開く → 現在地カードをタップ
下方向へスクロールすると、体感・湿度・風・気圧などの詳細が表示
よく使うなら、ロック画面/ホーム画面に「天気」ウィジェットを追加
注意:外気温は地点データの代表値です。ビル風・日向/日陰・地面の材質などで実際の体感はズレることがあります。
Siriに聞く
手が離せないときは「Hey Siri、気温は?」でOK。通勤前やランニング前のワンフレーズ確認に便利です。
iPhoneで“室温”を正確に知る方法=外部センサー連携が現実解
結論から言えば、室温を“実測”したいなら外部の温湿度計を使うのが唯一の現実解です。
最近はBluetooth/Matter/(HomeKit対応)など、iPhoneと相性の良い機器が多数あり、アプリ上でリアルタイム値と履歴グラフを確認できます。
よくある接続方式と選び方
Bluetooth型:
セットアップが簡単。スマホの近くで履歴同期。引っ越しの内見や一時測定に◎。Wi-Fi/Matter型(Homeアプリ連携):
家のネットワーク経由でどこからでも確認。自動ログ/しきい値アラート/オートメーションに強い。複数部屋の常時モニタに最適。Thread対応(ハブレス/低消費電力メッシュ):
最近増えている新しいつながり方。安定性や電池持ちに優れ、スマートホームの拡張に向く。
設置と運用のコツ(精度チューニング)
直射日光・エアコンの吹き出し・家電の放熱を避ける
床から約1.1〜1.7m(人が過ごす高さ)に設置
壁から数十cm離す(熱がこもりにくい)
新しい場所に置いたら10〜15分ほど“馴化”を待ってから読み取る
家の特徴を見るなら、リビング/寝室/玄関/脱衣所など複数設置が理想
履歴グラフで日内変動(朝夕の谷・昼の山)やエアコン設定の“効き”を確認
しきい値通知(例:28℃超で通知、60%超で除湿)を活用
用途別のおすすめ観点
常時モニタ+自動化重視:Matter/Home対応の温湿度計(アプリで履歴&通知、他家電の自動連携)
持ち歩き・現場作業・屋外:防塵防水のロガー型(Bluetoothで後からまとめて同期)
とにかく手軽:Bluetoothのシンプル温湿度計(低価格・電池長持ち)
物体の“表面温度”を測るなら:サーマルカメラという選択肢
赤外線サーマルカメラ(FLIR ONE/Edgeなど)をiPhoneに接続すると、断熱診断や設備点検で使う表面温度の可視化が可能になります。
ただしここが重要——空気(室温)そのものは測れません。 あくまで物体の表面温度です(壁・窓・配管・電気機器・料理・ペットの寝床など)。
断熱の弱い場所や結露リスクの高い面、異常発熱箇所の早期発見などに役立ちます。
活用例
冬の窓周りや壁の“冷え”の見える化 → カーテン/内窓/断熱シートの効果検証
エアコンや冷蔵庫の異常発熱チェック
床暖房・温水配管の通り道の確認
料理の表面温度の目安(※中心温度の衛生管理は別の食品用温度計で)
“アプリだけ”で温度は測れる?—限界と注意点
App Storeには「室温がわかる」「体温が測れる」といった表現のアプリが存在しますが、iPhone本体に環境温度センサーがない以上、アプリ単体で正確な温度を“実測”することはできません。
これらの多くは次のいずれかです。
気象APIの表示:現在地や指定地点の外気温データを表示
手入力の記録アプリ:別の温度計で測った値をログとして残す
推定系:端末の挙動や周辺情報から概算を表示(実測ではない)
また、「発熱がわかる」「体温が測定できる」といった医療的な断定表現には注意が必要です。医療目的の診断には使えません。 体調が気になる場合は、医療用体温計で測定してください(本記事は医療行為や診断を目的としません)。
iPhone/Apple Watchで“温度関連”にできること・できないこと
iPhoneでできること
本体保護のための温度管理:高温時の警告表示、充電の一時停止、パフォーマンス制御など
ユーザーが環境温度として呼び出すことは不可:温度計アプリのように“いま何度”は測定できません
Apple Watchでできること(補足)
対応モデルでは睡眠中の手首温の“変化”をトラッキングして、サイクルやコンディションの傾向として活用できます
即時の体温計測や発熱の診断は不可:医療用体温計の代替にはなりません
スマートホーム連携は“始めやすく、続けやすい”
スマートホーム規格(たとえばMatter)に対応した温湿度計なら、iPhoneの「ホーム」アプリ等にまとめて表示でき、しきい値通知や家電の自動化(エアコン・サーキュレーター・加湿器のオン/オフ)と組み合わせるのが現実的です。
昔と比べ、セットアップのハードルが下がり、家族全員が同じUIで確認できる点もメリット。
まずはリビング1台→寝室→脱衣所の順に増設し、“暑い/寒い/ムシムシする”を感覚ではなくデータで語るのが快適化の近道です。
具体的手順
外気温(最短ルート)
「天気」を開く(またはSiriに「気温は?」)
体感温度・湿度・風も合わせてチェック
ロック画面/ホームにウィジェットを置いてワンタップ化
室温(外部センサーの例:Matter/ホーム連携)
温湿度計の電池を入れる/電源を入れる
メーカー手順に沿ってiPhoneで追加(QRコード読み取り等)
設置:直射日光・吹き出し・放熱源を避け、床から1.1〜1.7m
10〜15分ほど馴化 → 値を確認
しきい値通知(例:28℃超で通知、60%超で通知)や自動化を設定
履歴グラフで日内の温湿度変化をチェックし、エアコン/換気/加湿のチューニング
表面温度(サーマルカメラの例)
サーマルカメラを接続し専用アプリを起動
スポットメーターで対象物の表面温度を確認(空気温度の代用不可)
断熱の弱点や設備の異常発熱の“熱地図”を撮影して記録
よくある質問
Q. iPhoneだけで室温は測れますか?
A. 測れません。 室温を実測したい場合は外部の温湿度センサーを使ってください。
Q. 外気温はどこまで正確ですか?
A. 天気アプリ等は地点の観測/推定データです。ビル風や日当たりなど超ローカルな差は反映されにくいことがあります。
Q. アプリで“体温が測れる”と書いてありますが?
A. iPhone単体では体温の実測はできません。 記録アプリや推定表示であることが多く、医療目的の診断には使えません。
Q. どの温湿度計を選べばいい?
A. 常時モニタ/遠隔確認/自動化を重視するならMatter/Home連携。出先や短期計測ならBluetooth型。屋外や現場なら防塵防水のロガーがおすすめです。