iPhoneがWi-Fiにつながらない原因は、設定の小さなミスから機器の故障までさまざまです。多くのケースでは、基本的な確認といくつかの操作で解決できますが、やみくもに試すと時間がかかり、原因も分かりにくくなってしまいます。
本記事では、次のような方を主な対象として、成功率の高い順に対処法をご案内します。
自宅のWi-Fiが突然つながらなくなった方
特定のカフェや職場のWi-Fiだけうまく使えない方
どこまで自分で試してよいか判断に迷っている方
まず全体像を把握し、そのあとでチェックリストに沿って順番に確認していくと、効率的にトラブルを解消しやすくなります。
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よくある症状パターン
iPhoneのWi-Fiトラブルには、次のような典型的な症状があります。
画面右上にWi-Fiマークは出ているのに、インターネットに接続できない
「インターネット未接続」と表示され、Webページやアプリが読み込めない
「パスワードが違います」と表示されて接続できない
自宅ではつながるが、特定の場所(カフェ・職場・学校など)ではつながらない
昨日までは問題なかったのに、急にまったくつながらなくなった
ご自身の状況がどのパターンに近いか、頭に置きながら読み進めてください。
自力で解決できる範囲とプロに相談すべきライン
本記事では、次の流れで対処法をご紹介します。
まず確認すべき基本設定
iPhoneとWi-Fiルーターの再起動
症状別の原因切り分け
iPhone本体側の詳細な設定見直し
Wi-Fiルーター・回線側のチェック
それでも改善しない場合の相談先・故障の可能性
「4」まで試しても改善しない場合は、プロ(Appleサポートや回線事業者など)への相談を検討していただくタイミングです。
まず確認すべき基本設定チェック(成功率が高い順)
最初に確認すべきなのは、iPhone側の基本設定です。ここで解決するケースが非常に多いため、必ず順番にご確認ください。
Wi-Fiと機内モード・モバイル通信の状態を確認する
Wi-Fiのオン/オフを確認する
「設定」アプリ →「Wi-Fi」を開きます。
スイッチが「オン(緑)」になっているか確認してください。
機内モードがオフになっているか確認する
画面右上から下にスワイプしてコントロールセンターを開きます。
飛行機マークがオレンジ色になっている場合はオンの状態です。タップしてオフにしてください。
モバイル通信の状態を確認する
「設定」→「モバイル通信」を開きます。
特別な設定をしていないのにモバイル通信がオフになっていないか、必要に応じて確認してください。
Wi-Fiがオフ・機内モードがオンになっているだけで接続できないことも多いため、まずはここをしっかり見直してください。
接続先Wi-Fi(SSID)とパスワードを確認する
次に、接続しようとしているWi-Fiそのものが正しいかを確認します。
SSID(エスエスアイディー)とは、Wi-Fiの名前のことです。
「設定」→「Wi-Fi」を開きます。
接続したいSSIDが、正しいネットワークであるか確認します。
自宅のルーターの場合、側面や底面のラベルにSSIDとパスワードが記載されていることが多いです。
一度「接続」をやめ、改めてパスワードを入力し直してみてください。
大文字・小文字・数字の打ち間違いがないか注意してください。
パスワードを変更した後は、以前の情報が残っていて接続できない場合があります。
iPhoneとルーターを再起動する
設定に問題がないように見えても、端末やルーターの一時的な不具合で通信がうまくいかない場合があります。再起動はもっとも手軽で効果の高い対処法です。
iPhoneの再起動手順の一例
サイドボタン(電源ボタン)と音量ボタンのいずれかを長押しします。
「スライドで電源オフ」が表示されたら、スライドして電源を切ります。
30秒ほど待ってから、再度サイドボタンを長押しして電源を入れます。
Wi-Fiルーターの再起動
ルーターの電源アダプターをコンセントから抜きます。
2〜5分ほど待ちます。
再度コンセントに差し込み、ランプが安定するまで待機します。
注意:集合住宅やオフィスの共用ルーターを勝手に再起動すると、他の人の通信に影響する場合があります。必ず管理者に確認してから実施してください。
症状別:状況に合わせた原因と対処法
ここからは、よくある状況別に原因と対処法を整理します。ご自身のケースに近い項目を重点的にご確認ください。
自宅のWi-Fiだけつながらない場合
自宅だけでWi-Fiが不安定、あるいはつながらない場合は、ルーターや自宅回線の影響が疑われます。
チェックポイント:
他の機器はつながっているか
他のスマホ・PC・ゲーム機などがすべてつながらない → 回線障害やルーター不調の可能性が高いです。
iPhoneだけつながらない → iPhone側の設定、もしくは特定端末との相性の問題が考えられます。
ルーターとの距離・障害物
ルーターから遠い部屋、壁を何枚も挟んだ場所では電波が弱くなります。
電子レンジやコードレス電話など、電波干渉を起こす機器の近くは避けてください。
同時接続台数の確認
家族で多くの機器を同時に接続していると、速度低下や切断の原因になります。
使っていない機器のWi-Fiをオフにし、改善するか確認してください。
特定のカフェや職場など一部のWi-Fiだけつながらない場合
フリーWi-Fiや会社のWi-Fiでは、ログイン画面や利用規約に同意する画面を経由しないとインターネットに出られないことがあります。
確認ポイント:
Wi-Fiに接続したあと、Safariなどのブラウザを開き、適当なWebサイトにアクセスしてみてください。
自動的にログイン画面や利用規約画面に切り替わることがあります。
過去に接続したことがあるネットワークでつながらない場合は、自動接続設定を確認します。
「設定」→「Wi-Fi」→ 対象ネットワーク右の「i」→「自動接続」がオンになっているか確認してください。
職場や学校のWi-Fiの場合、アクセス制限や機器登録が必要なケースもあります。
管理者・IT担当者に問い合わせて、制限や登録状況を確認してください。
昨日まで問題なかったのに突然つながらなくなった場合
急に接続できなくなった場合、次のような原因が考えられます。
ルーター・回線側の一時的な障害
iOSアップデート直後の一時的な不具合
ルーター設定の変更(家族や管理者が変更した場合など)
周辺環境の変化による電波干渉(近所で新しいルーターが設置された、家電製品の位置変更など)
この場合は、
iPhoneとルーターを両方再起動する
他の機器が正常にインターネットに接続できるか確認する
という順番で、端末側の問題か、回線側の問題かを切り分けてください。
iPhone本体側で試すべき詳細な設定見直し
基本設定と再起動で解決しない場合、iPhone本体に保存されているネットワーク情報に問題がある可能性があります。
Wi-Fiを一度削除して再接続する(このネットワーク設定を削除)
接続先Wi-Fiの設定が壊れている場合、削除して再設定することで改善することがあります。
手順:
「設定」→「Wi-Fi」を開きます。
問題のあるWi-Fiの右側にある「i」マークをタップします。
下部に表示される「このネットワーク設定を削除」をタップします。
確認画面が出たら「削除」を選択します。
Wi-Fi一覧に戻り、同じSSIDを選択してパスワードを再入力します。
注意:この操作を行うと、そのWi-Fiのパスワード情報が消えます。パスワードが分からない場合は、事前に必ず控えておいてください。
ネットワーク設定をリセットするタイミングと注意点
複数のWi-Fiで同様の症状が出る場合や、モバイル通信も含めて不安定な場合は、ネットワーク設定のリセットを検討します。
手順:
「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」を開きます。
「リセット」をタップします。
「ネットワーク設定をリセット」を選びます。
パスコード(iPhoneのロック解除コード)を入力し、画面の指示に従って実行します。
リセットされる内容:
登録済みのWi-Fi(SSID・パスワード)
モバイル通信に関する一部設定
VPN・APNなどのネットワーク関連設定
注意:Wi-Fiのパスワードはすべて消去されます。自宅・職場など、再度接続が必要なネットワークの情報を事前にメモしておいてください。
iOSアップデート・キャリア設定アップデートの確認
古いiOSバージョンやキャリア設定が原因で、特定のルーターとの相性が悪くなることがあります。最新版にアップデートすることで改善するケースもあります。
「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」を開き、最新のiOSが利用可能か確認します。
画面に案内が表示されている場合は、指示に従ってアップデートしてください。
キャリア設定アップデートがある場合も、表示に従って更新します。
注意:アップデート前には、念のためiCloudやパソコンへのバックアップを取っておくことをおすすめいたします。
Wi-Fiルーター・回線側のチェックポイント
iPhone側でできる対処を行っても改善しない場合は、Wi-Fiルーターや回線側に原因がある可能性が高くなります。
ルーターの再起動・設置場所・同時接続台数を見直す
定期的なルーター再起動
長期間電源を入れっぱなしにしていると、ルーターが不安定になることがあります。数週間〜数か月に一度は再起動を行うと安定しやすくなります。
設置場所の見直し
床や棚の奥ではなく、できるだけ高い位置・障害物の少ない場所に設置してください。
電子レンジや大型家電の近くは避けると、電波干渉を減らせます。
同時接続台数の調整
家族のスマホ、タブレット、PC、ゲーム機、スマート家電など、多数の機器が同時接続している場合、通信が不安定になることがあります。
使っていない機器のWi-Fiをオフにし、改善するか確認してください。
ルーターの設定・ファームウェア更新を確認する
ルーター内部のソフトウェア(ファームウェア)が古いと、接続トラブルの原因になる場合があります。
ルーターの取扱説明書またはメーカーのWebサイトで、管理画面へのアクセス方法を確認します。
管理画面で「ファームウェア更新」「アップデート」といった項目があれば、案内に従って最新バージョンに更新します。
暗号化方式が古い(WEPなど)場合、セキュリティ・相性の両面で問題が出ることがあります。可能であればWPA2以上の方式に設定してください。
注意:ルーター設定の変更は、誤った操作によりインターネットに接続できなくなるリスクがあります。不安な場合は、回線事業者やメーカーサポートに相談しながら行ってください。
光回線・プロバイダ側の障害や料金滞納を確認する
ご利用中の回線事業者・プロバイダの公式サイトやアプリで、障害情報が出ていないか確認してください。
クレジットカードの有効期限切れなどにより料金の引き落としができていない場合、一時的に回線が停止されることがあります。請求状況もあわせてご確認ください。
それでも改善しないとき:故障の可能性と相談先
ここまでの手順を試しても改善しない場合、iPhone本体やWi-Fiルーターの故障、あるいは回線側の深刻なトラブルが疑われます。
ハードウェア故障が疑われるサイン
以下のような症状がある場合は、ハードウェアの不具合である可能性が高くなります。
どのWi-Fiにもまったく接続できない(自宅・職場・カフェすべて)
Wi-Fi設定がグレー表示になっており、オンに切り替えられない
他のスマホやPCは正常につながるのに、特定のiPhoneだけ常に不安定・極端に遅い
このような場合は、自力での解決が難しいため、早めに専門サポートへの相談を検討してください。
Appleサポート・キャリア・プロバイダに相談する際の準備
相談時には、以下の情報をあらかじめ整理しておくとスムーズです。
iPhoneの機種名(例:iPhone 13、iPhone SE など)
iOSのバージョン(「設定」→「一般」→「情報」で確認可能)
トラブルが発生し始めた日時・きっかけ(アップデート後、ルーター交換後など)
どのWi-Fiで、どのような症状が出ているか(自宅のみ/職場のみ/すべて など)
本記事で紹介した対処法のうち、すでに試したもの
主な相談先の目安:
iPhone本体の不具合が疑われる → Appleサポート、Apple Store
自宅回線・ルーターの問題が疑われる → 契約している光回線・プロバイダのサポート窓口
会社や学校のWi-Fi → 社内IT担当・ネットワーク管理者
日常的にWi-Fiトラブルを防ぐための予防策
最後に、今後同じようなトラブルを減らすためのポイントをまとめます。
iOSおよびルーターのファームウェアは、可能な範囲で最新の状態に保つ
ルーターは熱がこもらない場所に設置し、定期的に再起動する
使用しないフリーWi-Fiの自動接続はオフにし、信頼できるネットワークだけを登録する
ルーター設定を変更する際は、変更前の設定をメモやスクリーンショットで控えておく