仕事の予定や家族の行事をすべてiPhoneのカレンダーで管理しているのに、ある日突然「予定が消えた」「アプリが見当たらない」と気づいた瞬間、血の気が引くような感覚になる方は少なくありません。
大事な商談や病院の予約、子どもの行事――それらが一度に見えなくなると、「もう元には戻らないのでは?」という不安に襲われるはずです。
しかしご安心ください。iPhoneのカレンダーが「消えた」ように見えるとき、その多くはデータ自体が消失したのではなく、設定や同期の問題で「表示されていないだけ」というケースです。
本記事では、専門的な用語をできるだけかみ砕きながら、「まず1〜2分で確認すべきポイント」から「症状別の対処方法」「iCloudやバックアップからの復元」「二度と同じトラブルを起こさないための予防策」まで、順を追ってわかりやすく解説いたします。
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iPhoneのカレンダーが「消えた」ときにまず知っておきたいこと
iPhoneのカレンダーを開いたときに、これまで登録していた予定が急に見えなくなり、「全部消えた」と感じて焦っていらっしゃる方は多いです。
ただし実際には、データ自体は残っているものの、設定や同期の問題によって「表示されていないだけ」のケースも少なくありません。まずは次のポイントを押さえて、順番に確認していくことが重要です。
本当に予定が削除されたのか、それとも「見えていないだけ」なのかを切り分けること
iPhoneだけでなく、iCloudや他のデバイスに予定が残っていないかを確認すること
いきなり初期化や復元など重い操作を行わず、リスクの低い確認から試すこと
本当にデータが消えたのか、「表示されていないだけ」なのか
「カレンダーが消えた」と感じる代表的なパターンは、次のようなものです。
特定の期間(過去の予定だけ、数か月分だけ)が見えない
特定のカレンダー(仕事用・家族用など)だけが空になっている
カレンダーを開くと白紙に見える
ホーム画面からカレンダーのアプリアイコン自体が見つからない
前の3つについては、多くの場合、表示設定・同期期間・アカウントの選択ミスによって起きています。
最後の1つは、アプリがフォルダやAppライブラリに隠れている、あるいは削除されているだけの可能性があります。
よくある原因のパターン(同期・表示設定・アカウント・ストレージ)
よく見られる原因は、以下のように整理できます。
iCloudやGoogleカレンダーとの同期設定がオフ、または同期エラーになっている
「表示するカレンダー」のチェックが外れており、特定のカレンダーだけ非表示になっている
同期期間が「1か月前まで」などに制限されており、古い予定が表示対象外になっている
Apple IDを別のアカウントに変更してしまい、紐づくカレンダーが切り替わっている
iOSアップデートやストレージ不足などが影響し、表示が不安定になっている
カレンダーアプリ自体が、削除・制限・非表示になっている
安全に復旧するための基本方針(順番と注意点)
この記事では、データ消失のリスクを抑えながら、次の順番で対処していく方針をとります。
1〜2分でできる基本的な表示・同期設定の確認
「予定が一部だけ消えた」「ほとんど全部消えた」「アプリ自体がない」といった症状別の対処
iCloud.comやバックアップからの復元方法
それでも戻らない場合の相談先と、今後の再発防止策
特に、端末初期化やバックアップ全復元といった操作は、現在のデータが失われる可能性がありますので、最終手段として後半にまとめています。
まず確認したいチェックポイント(1〜2分でできる初動対応)
標準カレンダーアプリで正しいカレンダーが選択されているか
最初に、標準の「カレンダー」アプリ側で、表示対象のカレンダーが正しく選択されているかを確認してください。
iPhoneで「カレンダー」アプリを開きます。
画面下部の「カレンダー」をタップします。
「iCloud」「Gmail」「Outlook」「その他」などの一覧が表示されます。
普段使用しているカレンダー(仕事用・プライベート用など)にチェックが入っているか確認します。
もしチェックが外れているものがあれば、オンにすることで予定が再表示される可能性があります。
同期期間の設定が「すべてのイベント」になっているか
過去の予定だけが見えない場合、同期期間の設定が原因のケースが多く見られます。
「設定」アプリを開きます。
下方向にスクロールして「カレンダー」をタップします。
「同期」をタップします。
「1か月前のイベント」などに設定されている場合は、「すべてのイベント」を選択します。
設定を変更した後、カレンダーアプリを開き直し、少し時間をおいてから表示を確認してください。
Apple ID・iCloudのサインイン状態とストレージ空き容量
iCloudカレンダーをご利用の場合、以下の点も重要です。
「設定」アプリを開き、画面上部の自分の名前(Apple ID)をタップします。
「iCloud」をタップし、「カレンダー」がオンになっているか確認します。
同じ画面でiCloudストレージの空き容量を確認します。
「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」から、本体の空き容量も確認します。
iCloudや本体のストレージがほとんど残っていない場合、動作が不安定になり、カレンダーの同期にも影響が出る可能性があります。
ケース1:予定は一部だけ消えた・過去の予定だけ見えない場合
このケースに該当しそうな症状は、次のとおりです。
最近の予定は表示されるが、数か月前までの予定が見えない
特定のカレンダー(仕事用や家族用)だけが空になっている
iPhoneでは見えないが、他の端末やWebでは同じ予定が見えている
表示フィルター・カラー設定を見直す
カレンダーが色分けされている場合、特定の色のカレンダーを非表示にしてしまっていることがあります。
「カレンダー」アプリを開き、「カレンダー」一覧の画面で、すべてのカレンダーに一度チェックを入れます。
カラーラベルごとにオン/オフを切り替えながら、表示が変わるかどうか確認します。
これだけで「消えた」と感じていた予定が戻るケースも多くあります。
同期期間とアカウント別カレンダーを確認する
同期期間を「すべてのイベント」にしても改善しない場合は、アカウント別の設定も確認します。
「設定」→「カレンダー」→「アカウント」を開きます。
「iCloud」「Gmail」「Outlook」など、使用しているアカウントをタップします。
各アカウントで「カレンダー」がオンになっているか確認します。
仕事用のExchangeアカウントを削除したり、設定を変更した直後に予定が見えなくなった場合、その操作が影響している可能性があります。
iCloud・Googleカレンダーとの同期を一度リセットする
同期不良が疑われる場合、以下のように同期を一旦オフにして再度オンにすることで改善する場合があります。
「設定」アプリ→自分の名前→「iCloud」を開きます。
「カレンダー」を一度オフにします。
表示されるメッセージで「iPhoneから削除」を選択します。
※これはiPhone上のコピーを削除する操作であり、iCloud上のデータが消えるわけではありません。
数十秒待ってから、再度「カレンダー」をオンにします。
その後、カレンダーアプリを起動し、同期が完了するまでしばらく待ちます。
ケース2:カレンダーの予定がほとんど全部消えたように見える場合
このケースに該当しそうな症状は、次のとおりです。
iOSアップデート後にカレンダーが真っ白になった
過去・未来を含めて、予定がほとんど一切表示されない
他のカレンダーアプリでも予定が見えなくなっている
他のデバイスやWebに予定が残っていないか確認する
まず、「本当にデータが失われたかどうか」を確認するため、別のデバイスやWebブラウザからカレンダーを確認してください。
iCloudカレンダーをご利用の場合
パソコンやタブレットでブラウザを開き、「iCloud.com」にアクセス
Apple IDでサインインし、「カレンダー」を開いて予定が残っているか確認します。
Googleカレンダーをご利用の場合
ブラウザから「Googleカレンダー」にアクセスし、同じGoogleアカウントでログインして予定を確認します。
ここで予定が確認できる場合、iPhone側の同期や表示設定の問題に絞り込めます。
iOSアップデートやストレージ不足が影響していないか
iOSアップデートの直後や、ストレージが極端に不足している状態では、カレンダーを含むアプリの動作が不安定になることがあります。
「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」で、空き容量を確認し、不要なアプリや写真・動画を整理します。
お使いのiOSが古い場合は、バックアップを取得したうえで最新バージョンへのアップデートを検討してください。
ただし、アップデート前には必ずバックアップを取っておくことをおすすめいたします。
Apple公式の「カレンダーを復元」機能を試すときの注意点
iCloudカレンダーを利用している場合、ブラウザのiCloud.comからカレンダー全体を過去の状態に戻す機能があります。
おおまかな手順は以下のとおりです。
パソコンでブラウザを開き、「iCloud.com」にアクセスします。
Apple IDでサインインし、「アカウント設定」を開きます。
「カレンダーを復元」といった項目から、復元したい日付のアーカイブを選びます。
内容を確認し、「復元」を実行します。
この操作を行うと、現在のカレンダー内容が、その時点の状態に置き換わる点に注意が必要です。復元前に現在の予定をスクリーンショット等で記録しておくと安心です。
ケース3:カレンダーアプリ自体がホーム画面から消えた場合
このケースに該当する症状は、次のとおりです。
ホーム画面にカレンダーのアイコンが見当たらない
App Storeでカレンダーを検索すると「入手」や雲マークが表示される
検索・Appライブラリでアプリが隠れていないか確認する
まずは、アプリがどこかの画面に隠れていないか確認します。
ホーム画面の中央付近から下方向にスワイプし、「検索」を開きます。
検索バーに「カレンダー」と入力します。
結果に「カレンダー」アプリが表示された場合は、そのままタップして起動します。
また、一番右側の画面にある「Appライブラリ」を開き、「生産性」などのカテゴリの中にカレンダーアプリが入っていないかも確認してください。
スクリーンタイムやプロファイルで制限されていないか
会社支給のiPhoneなどでは、管理者によってアプリが制限されている場合があります。
「設定」→「スクリーンタイム」→「コンテンツとプライバシーの制限」で、アプリの利用制限が有効になっていないか
「設定」→「一般」→「VPNとデバイス管理」で、企業や団体のプロファイルが導入されていないか
心当たりがある場合は、社内のIT担当者や管理者に確認するようにしてください。
App Storeから再インストールする手順
標準のカレンダーアプリは削除しても、App Storeから再インストールできます。
「App Store」アプリを開きます。
検索タブを開き、「カレンダー」と入力します。
Appleの「カレンダー」アプリを探し、「入手」または雲マークをタップしてインストールします。
再インストール後、iCloudやGoogleカレンダーの同期が有効であれば、予定も再び表示されます。
バックアップから消えたカレンダー予定を復元する方法
ここから先は、設定変更や表示の見直しだけでは予定が戻らなかった場合の、より踏み込んだ復元方法です。
※これらの操作は、現在のデータが上書きされる可能性を含みます。実行前に必ず内容を確認し、可能であればAppleサポートにも相談のうえ進めてください。
iCloud.comからカレンダーを復元する手順と注意点
iCloudカレンダーをご利用の場合、iCloud.comからカレンダー全体を過去に保存された状態に戻すことができます。
手順のイメージは以下のようになります。
パソコンのブラウザで「iCloud.com」にアクセスし、Apple IDでサインインします。
「アカウント設定」を開き、「カレンダーを復元」などの項目を探します。
過去日時ごとに保存されているアーカイブから、復元したいものを選びます。
注意書きを確認し、「復元」を実行します。
復元後は、現在の状態とは異なる点がないかを必ず確認してください。特に、復元後に追加した予定が消える場合がありますので、重要な予定は事前に控えておくことをおすすめします。
iPhone全体バックアップ(iCloud / Finderなど)から復元する場合
カレンダーだけでなく、iPhone全体をバックアップ時点の状態に戻す方法もあります。
おおまかな流れは次のとおりです。
使用したいバックアップ(iCloudバックアップ、またはパソコンに保存されたバックアップ)の有無と日付を確認します。
「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「すべてのコンテンツと設定を消去」を選択し、iPhoneを初期化します。
初期設定の途中で、「iCloudバックアップから復元」または「Mac / PCから復元」を選択し、対象のバックアップを指定します。
この方法では、バックアップ取得後に追加したアプリやデータが失われる可能性があるため、慎重な判断が必要です。特に社用端末での実施は、会社のポリシーを必ず確認してください。
サードパーティ復元ソフトを利用する際のポイント
市販のiOSデータ復元ソフト(Tenorshare、iMyFone、その他)を利用してカレンダーを含むデータ復元を試みる方法もあります。
利用を検討される場合は、以下の点をご確認ください。
公式サイトから正規版を入手できるかどうか
無料版・試用版ではどこまでできるのか(プレビューのみ、など)
個人情報や社外秘データを扱う端末にインストールして問題ないか、セキュリティポリシー上問題がないか
この記事では特定のソフトを推奨する立場はとらず、「どうしても必要な場合の選択肢の一つ」として中立的に位置づけます。
それでも予定が戻らないときに検討すべきこと
Appleサポートやキャリアショップに相談する
ここまでの手順を試しても予定が戻らない場合は、Appleサポートへ相談することをおすすめいたします。
相談の際は、以下の情報を整理しておくとスムーズです。
いつ頃から予定が見えなくなったか(日時・きっかけ)
利用しているiOSのバージョン
使っているカレンダーの種類(iCloud / Google / Exchange など)
これまで自分で試した対処内容
必要に応じて、携帯キャリアショップでも初期的な確認やサポートが受けられる場合があります。
可能なら手動で予定を再登録する際のコツ
残念ながら、ローカルにしか保存されていなかった予定が消えてしまい、バックアップもない場合、手動で予定を再登録するしかないこともあります。
その際は、以下のように情報を集めて登録していくと効率的です。
メール、チャットツール、メッセージアプリから過去の案内や招待を検索する
上司・同僚・取引先に、今後数週間〜1か月分の予定を再度確認する
毎週・毎月の定例会議などは、「繰り返し予定」としてまとめて登録し直す
今後は同じ事態にならないよう、クラウドカレンダーとバックアップを併用することをおすすめします。
今後のために記録しておきたい情報
再発時に原因をある程度絞り込めるよう、今回のトラブルについて簡単なメモを残しておくと役立ちます。
予定が消えたタイミングと、その前後に行った操作(OSアップデート、アカウント変更など)
当時のiOSバージョン
そのとき使っていたカレンダーアカウント(iCloud / Google / Exchange など)
今後「カレンダーが消えた」を防ぐための設定と運用のコツ
ローカルではなくiCloudカレンダーを基本にする
「このiPhone内のみ」に保存されるローカルカレンダーだけを使っていると、機種変更や故障、不具合の際に復元が困難になります。
可能であれば、iCloudカレンダーを標準の保存先として使用することをおすすめします。
「設定」→自分の名前→「iCloud」→「カレンダー」をオンにします。
「設定」→「カレンダー」→「デフォルトカレンダー」で、iCloudのカレンダーを選択します。
これにより、他のAppleデバイスやiCloud.comからも予定を確認・復元しやすくなります。
定期的なバックアップとストレージ管理のポイント
データ消失リスクを減らすため、次の点を習慣化すると安心です。
iCloudバックアップをオンにし、Wi-Fi接続時に自動バックアップされるよう設定しておく
iCloudストレージが満杯にならないよう、不要なバックアップや大容量データを定期的に整理する
iPhone本体のストレージも、常に数GB以上の空きを確保する意識を持つ
十分なストレージが確保されていると、OSアップデートやアプリの動作が安定し、トラブルの予防につながります。
仕事・プライベートでカレンダーを安全に使うための運用ルール
特にビジネスでiPhoneカレンダーをお使いの場合、予定の消失はそのまま信用問題にもつながりかねません。以下のような運用を検討してください。
重要な商談や会議の情報は、カレンダーだけでなくメールやドキュメントにも残しておく
会社のグループウェア(Outlookなど)とiPhoneカレンダーのどちらを「予定のマスター」にするか明確にする
大型アップデートや機種変更の前には、必ずバックアップの状態を確認し、必要に応じて手動バックアップも取得する