「iPhoneを探す」や「人を探す」を開いたのに、地図の位置が昨日のまま、あるいは「1時間前」からまったく動かない――。
家族の見守りや紛失時にこうした状況になると、「故障したのでは?」「今どこにいるのか分からない」と不安が一気に高まります。
しかし実際には、多くのケースで原因は「設定」「通信環境」「端末の状態」といった、いくつかのポイントに絞り込むことができます。
正しい順番で確認すれば、ご自身で解決できるトラブルも少なくありません。
本記事では、「探す側」と「探される側」の両方の視点から、位置情報が更新されない主な原因と対処法を整理し、チェックリスト形式で分かりやすく解説します。
上から順に確認していただくだけで、「なぜ更新されないのか」「次に何をすればよいのか」が明確になるよう構成しています。
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iPhoneの「探す」が更新されないときにまず知っておきたいこと
「iPhoneを探す」や「人を探す」で地図を開いたとき、位置が動かず「10分前」「1時間前」など過去の時刻のままになっていることがあります。
この状況は、必ずしも故障とは限らず、多くの場合は設定・通信環境・端末側の状態が原因です。
「◯分前」「◯時間前」表示の意味と、どこまでが正常なラグか
表示されている「◯分前」「◯時間前」は、その時刻に最後の位置情報がAppleのサーバーへ送信されたことを意味します。
次のような状況では、多少の時間差はよくある挙動です。
室内や地下など、GPSの電波が弱い場所にいる
しばらく移動しておらず、ほぼ同じ場所に留まっている
回線状況が一時的に不安定になっている
この場合、数分〜十数分程度のラグであれば、すぐに異常とは言えないケースが多いです。
一方で、
何時間も前から一切変わらない
昨日から同じ位置・同じ時刻のまま
といった状態が続く場合は、何らかの問題が起きていると考えて確認を進める必要があります。
「探す側」と「探される側」のどちらに原因があるのか
「探す」が更新されない原因は、次の4つのレイヤーで考えると整理しやすくなります。
探す側のiPhone(あなたの端末)の問題
探される側のiPhone(家族・友人など)の問題
両方に共通する設定・通信環境の問題
Apple側のシステム障害など外部要因
この記事では、この4つを意識しながら、「上から順番にチェックすれば原因を絞り込める」ように手順を構成しています。
原因① 位置情報・「探す」関連の設定がオフになっている
もっとも発生しやすいのが、位置情報サービスや「探す」関連機能が、意図せずオフになっているケースです。
位置情報サービス全体がオフになっている場合
まずは、iPhoneの位置情報サービス全体がオンになっているかを確認します。
「設定」アプリを開きます。
「プライバシーとセキュリティ」をタップします。
一番上の「位置情報サービス」がオン(スイッチが緑色)になっていることを確認してください。
ここがオフの場合、すべてのアプリが位置情報を利用できず、「探す」も更新されません。
「探す」アプリへの位置情報許可(正確な位置情報を含む)
位置情報サービスがオンでも、「探す」アプリ自体に位置情報利用が許可されていないと更新されません。
「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報サービス」を開きます。
アプリ一覧から「探す」をタップします。
「このAppの使用中のみ許可」など、位置情報の利用が許可されていることを確認します。
「正確な位置情報」のスイッチもオンにしておくと、位置のズレを減らせます。
見守り用途などで位置精度を重視したい場合は、「正確な位置情報」をオンにしておくことをおすすめします。
「iPhoneを探す」「探すネットワーク」「位置情報共有」の設定確認
Apple IDと結びついた「探す」の設定も重要です。
「設定」アプリを開き、一番上の自分の名前(Apple ID)をタップします。
「探す」をタップします。
「iPhoneを探す」がオンになっているか確認します。
「探すネットワーク」もオンにしておくと、オフライン時でも他のAppleデバイス経由で位置が更新されやすくなります。
「位置情報を共有」がオンになっているか確認し、「このiPhone」を選択して、位置情報の共有元を明示します。
「人を探す」で家族や友人を表示したい場合は、相手側のApple IDでも位置情報共有の許可が必要です。双方で設定を確認してください。
原因② 通信環境の問題で位置情報がサーバーに送れていない
位置情報自体は取得できていても、インターネットに接続できないとAppleのサーバーに情報を送信できず、「更新されない」ように見えることがあります。
圏外・Wi-Fi未接続・機内モードの影響
探される側のiPhoneが次の状態だと、位置情報は更新されません。
モバイル回線が圏外
Wi-Fiもモバイルデータ通信もオフ
機内モードがオン
相手側の端末で、次の点を確認してください。
画面右上にアンテナやWi-Fiマークが表示されているか確認します。
コントロールセンターで「機内モード」がオンになっていないか確認します。
必要に応じてWi-Fiをオンにし、インターネットに接続できる状態にします。
モバイルデータ通信の制限・テザリング利用時の注意点
通信量の上限を超え、速度制限がかかっている
プロファイルやVPNの影響で通信が不安定になっている
テザリングなど特殊な接続状態になっている
このような場合にも、位置情報の更新が遅れたり、一時的に止まったりすることがあります。
「設定」>「モバイル通信」で、モバイルデータ通信がオンになっているか
利用中の料金プランで速度制限が発生していないか
なども必要に応じて確認してください。
ネットワーク設定のリセットで改善するケース
Wi-Fiやモバイル通信が不安定な場合、「ネットワーク設定のリセット」で改善するケースがあります。
「設定」>「一般」を開きます。
「転送またはiPhoneをリセット」をタップします。
「リセット」>「ネットワーク設定をリセット」を選択します。
パスコードを入力して実行します。
※この操作を行うと、保存しているWi-Fiのパスワード、VPN設定などが初期状態に戻ります。
再設定が必要になるため、事前にパスワード等を控えておいてください。
原因③ 端末の状態(電源・バッテリー・省電力設定)の影響
端末側の状態によっても、「探す」の更新が止まることがあります。
電源オフ・バッテリー切れのときの挙動
探される側のiPhoneが次の状態だと、その時点を最後に位置情報は更新されません。
電源をオフにしている
バッテリーが0%になっている
この場合、
地図上には最後にオンラインだった位置が表示されたまま
位置情報の時刻表示も「◯分前」「◯時間前」のまま動かない
という挙動になります。
「バッテリー残量が少なかったはず」と思い当たる場合は、まず充電の有無も疑ってください。
低電力モードが位置情報更新に与える影響
低電力モードをオンにすると、バックグラウンドでの動作が制限され、結果として位置情報の更新頻度が下がることがあります。
「設定」>「バッテリー」を開きます。
「低電力モード」がオンになっていないか確認します。
更新が不安定な場合は、一時的にオフにして挙動を確認します。
見守り用途で「できるだけリアルタイムに近い更新」を重視する場合は、低電力モードの常用は避けることも検討してください。
日付と時刻のずれ・iOSの一時的な不具合
iPhoneの日付・時刻が実際と大きくずれていると、サーバーとの通信に影響が出ることがあります。
「設定」>「一般」>「日付と時刻」を開きます。
「自動設定」をオンにし、タイムゾーンが正しいか確認します。
それでも改善しない場合は、一時的な不具合の可能性もあるため、
iPhoneの再起動
「設定」>「一般」>「ソフトウェア・アップデート」から、最新のiOSに更新
といった基本的な対処も試してみてください。
原因④ スクリーンタイムやその他の制限がかかっている
とくにお子様のiPhoneや、会社支給の業務用iPhoneでは、利用制限の設定や管理ポリシーが位置情報更新を妨げている場合があります。
スクリーンタイムで位置情報サービスが制限されている場合
ファミリー共有でスクリーンタイムを設定していると、「位置情報サービス」や「探す」アプリ自体が制限されているケースがあります。
保護者側のiPhoneで次の手順を確認します。
「設定」>「スクリーンタイム」を開きます。
対象となるお子様のデバイス名を選択します。
「コンテンツとプライバシーの制限」をタップします。
「位置情報サービス」や「Appの使用制限」で「探す」が制限されていないか確認します。
問題がありそうな場合は、「常に許可」側に「探す」を設定するなど、制限内容を調整してください。
MDM・プロファイルなど業務端末ならではの制限
会社から貸与されているiPhoneには、MDM(モバイルデバイス管理)や構成プロファイルが導入されていることがあります。
この場合、
位置情報サービスそのもの
「探す」アプリの利用
Apple IDのサインインやiCloud機能
などが、企業ポリシーで制限されている可能性があります。
個人では設定変更できないケースが多いため、心当たりがある場合は、システム管理者や情報システム部門に確認してください。
シーン別の対処例:紛失時・家族見守りでの優先順位
同じ「更新されない」でも、紛失時と日常の見守り利用では、取るべき行動の優先順位が異なります。
iPhone紛失・盗難時に最優先ですべきこと
紛失・盗難の疑いがある場合は、次の順番で対応することをおすすめします。
別のiPhone・iPad、またはPC・Macから「探す」アプリまたはiCloud.comにアクセスします。
対象のiPhoneを選択し、最後に位置が更新された時刻と場所を確認します。
すぐに「紛失モード」を有効にし、連絡先電話番号とメッセージを設定します。
位置が動いている場合でも、無理に自分だけで取り戻そうとせず、必要に応じて警察への相談も検討してください。
クレジットカードや各種アカウントの不正利用が懸念される場合は、パスワード変更やカード会社への連絡も行います。
「デバイスの消去」など取り消しが難しい操作は、状況をよく確認したうえで慎重に実行してください。
子どもの見守りで更新が止まるときの見直しポイント
お子様の居場所確認に「探す」を利用している場合は、次の点を重点的に確認します。
子どものiPhone側で
「位置情報サービス」がオンになっているか
「探す」アプリに位置情報利用が許可されているか
低電力モードが常時オンになっていないか
保護者側・お子様側の両方で
「位置情報の共有」がオンになっているか
スクリーンタイムで「探す」や位置情報サービスが制限されていないか
学校や自宅など、移動が少ない時間帯は更新される頻度が低く見えることもあります。
数分〜十数分程度のラグは許容範囲として捉え、それ以上長時間止まる場合に、原因切り分けを進めるとよろしいかと思います。
ここまで試しても更新されないときのチェックリスト
Appleシステムステータスで障害を確認する
設定や通信に問題がないのに複数の端末で同じ症状が出る場合、Apple側のシステム障害が原因の可能性もあります。
ブラウザで「Apple システムステータス」を検索します。
Apple公式のシステムステータスページを開きます。
一覧から「探す」や関連サービスに障害表示が出ていないか確認します。
障害が出ている場合は、ユーザー側でできる対応は限られるため、復旧を待つしかありません。
バックアップ・iOSアップデート・最終的に相談すべき窓口
すべての基本的な確認を行っても改善しない場合、次のステップを検討してください。
写真・連絡先・重要な書類など、消えて困るデータをiCloudやPCにバックアップします。
「設定」>「一般」>「ソフトウェア・アップデート」から、最新のiOSバージョンに更新します。
それでも解決しない場合は、Appleサポート(チャット・電話・店舗)や、契約中の携帯キャリアのサポート窓口に相談します。
とくに「特定のiOSアップデート直後から問題が出始めた」場合は、その旨を詳しく伝えると、原因特定の手がかりになります。
トラブルを防ぐために日頃からできる設定と使い方のコツ
見守り用途で安定して使うためのおすすめ設定
家族の見守りなどで「探す」を継続的に利用する場合は、次のポイントを習慣化しておくとトラブルを減らせます。
家族全員のiPhoneで
「位置情報サービス」
「探す」
「位置情報共有」
をオンにしておく
子どもの端末は、就寝中などに定期的に充電する習慣をつけ、バッテリー切れを防ぐ
過度な省電力アプリやバッテリー管理アプリをインストールしない
スクリーンタイムの制限は、位置情報や「探す」の利用を妨げない範囲に調整する
プライバシーと安全性を両立させる使い方の注意点
位置情報共有は非常に便利な一方で、プライバシーの観点にも配慮する必要があります。
家族や友人と位置情報を共有する目的と範囲を、事前に話し合っておく
共有をやめたい場合は、「探す」アプリからいつでも停止できることを全員が理解しておく
紛失・盗難時には、位置情報だけでなく、Apple ID・各種サービスのパスワードや決済情報の保護も併せて行う