いつも通りワイヤレス充電器の上にiPhoneを置いたのに、なぜか充電マークが出ない、反応したりしなかったりする――このような状況になると不安になりますし、仕事や外出の予定にも影響してしまいます。
本記事では、「iPhoneでワイヤレス充電ができない」ときに考えられる原因と対処法を、1分でできるチェック手順と原因別の詳しい解説に分けて整理します。
自分で対応してよいケースと、早めにAppleや修理店へ相談すべきケースも明確にしていきます。
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iPhoneでワイヤレス充電できないときの全体像
まず把握したい「よくある原因」のパターン
iPhoneのワイヤレス充電がうまくいかない場合、主な原因は次のようなパターンに分類できます。
iPhone自体がワイヤレス充電に対応していない
ワイヤレス充電(Qi規格)に対応しているのは、一般的にiPhone 8以降のモデルです。
充電器やケーブル側に問題がある
ワイヤレス充電器が故障している
ACアダプタやケーブルの接触不良・断線
ケース・カード・金属プレートなどの干渉
厚みのあるケースや、背面に金属プレート・ICカード・ステッカーを挟んでいる
置き方・位置・環境(温度など)の問題
充電コイルの位置がずれている
高温環境や布団の上など、熱がこもる環境での充電
iOSや設定・一時的な不具合
iOSの不具合・一時的なソフトウェアエラー
再起動やアップデートで改善するケース
iPhone本体やバッテリーの故障
落下・水没・経年劣化などによる内部故障
この記事では、この6つのパターンを順番に切り分けながら確認できるよう構成しています。
最初に行うべき3つの基本チェック
詳細な原因を探る前に、次の3点をまず確認してください。
対応機種かどうか
iPhone 7以前はワイヤレス充電に対応していません。
「設定」→「一般」→「情報」→「機種名」で確認できます。
ワイヤレス充電器・ACアダプタ・ケーブルが正常か
別のiPhoneやスマホで充電できるか
別のコンセントやACアダプタ・ケーブルでも試してみる
明らかな異常(発熱・異臭・膨張)がないか
iPhone本体が異常に熱い
バッテリーが膨らんでいる
異臭がする
このような場合は、直ちに使用を中止してプロに相談してください。
1分でできる原因チェックシート(フローチャート風)
ここでは、できるだけ少ない手順で原因の方向性を絞り込みます。上から順番に試してみてください。
対応機種・対応充電器かを確認する
iPhoneの機種を確認する
「設定」→「一般」→「情報」→「機種名」で確認します。
iPhone 8以降なら標準でワイヤレス充電対応です。
ワイヤレス充電器の仕様を確認する
説明書やパッケージに「Qi(チー)対応」「iPhone対応」などと記載されているか確認します。
MagSafe専用形状の充電器を、MagSafe非対応の古い機種で使っていないかも確認してください。
→ ここで「対応していない機種だった」場合は、ワイヤレス充電は利用できません。有線充電や機種変更の検討が必要です。
ケース・アクセサリ・異物をすべて外して試す
次に、iPhoneの背面と充電器の間に何も挟まっていない状態を作ります。
ケース・バンパー
金属プレート付きマグネットホルダー
SuicaやクレジットカードなどのICカード
写真・ステッカーなど
これらをすべて外した状態で、再度ワイヤレス充電器の中心付近にiPhoneを置きます。
充電が始まる → ケースやカード類が原因の可能性が高い
充電が始まらない → 次のステップへ進みます。
置き方・位置・電源を変えて試す
位置を少しずつずらしてみる
iPhoneのリンゴマーク付近が、充電器の中央にくるように意識して置き直してください。
充電器の電源を変えてみる
別のコンセント、別のACアダプタに差し替える
USBハブ経由ではなく、コンセント直挿しで試す
iPhoneの向きを変えてみる
画面を上向き・下向きの両方で試してみる
MagSafe充電器の場合はマグネットで「カチッ」と吸い付く位置に合わせる
ここでも充電がまったく始まらない場合は、ソフトウェアや本体側の要因を確認します。
それでもダメならソフトウェア・本体を疑う
iPhoneを再起動する
iPhone X以降:音量ボタンのどちらかとサイドボタンを長押し → スライダで電源オフ → 数十秒後にサイドボタン長押しで起動
iOSを最新バージョンに更新する
「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から更新を確認します。
有線充電も不安定か確認する
LightningケーブルやUSB-Cケーブルで充電したときの挙動を確認します。
有線でも不安定・充電できない場合は、本体側の故障の可能性が高まります。
原因別:よくあるトラブルと対処法
iPhoneがワイヤレス充電に対応していない場合
ワイヤレス充電に対応しているのは、原則としてiPhone 8以降のモデルです。
iPhone 7以前(7, 6s, SE第1世代など)は、専用ケース等を使わない限り、標準ではワイヤレス充電できません。
対処法のポイント
対応していない機種の場合
→ ワイヤレス充電は諦め、有線充電を利用するか、機種変更を検討する必要があります。中古で購入した場合や型番が曖昧な場合
→ Apple公式サイトの「iPhoneのモデルを識別する」ページでモデル番号を確認すると確実です。
充電器やケーブル側に問題がある場合
ワイヤレス充電器自体や、電源供給に使っているACアダプタ・ケーブルが原因のことも多くあります。
確認ポイント
別のiPhoneやAndroid端末で、そのワイヤレス充電器を試す
別のACアダプタ・ケーブルを組み合わせてみる
USBハブや延長ケーブルを介さず、壁のコンセントに直接挿す
対処法のポイント
他の端末でも充電できない → 充電器側の故障の可能性が高い
充電器を変えると問題ない → 元の充電器・ケーブルが原因
安全性の観点からも、極端に安価で出所が不明な充電器は避け、信頼できるメーカーや認証品を選ぶことを推奨します。
ケース・カバー・カード類が干渉している場合
ワイヤレス充電は電磁誘導という仕組みを使うため、間に挟まるものの材質や厚みで大きく影響を受けます。
よくある干渉例
分厚い耐衝撃ケース(3mm以上の厚み)
金属プレート付きマグネットホルダー用ケース
ケースの内側に入れたICカード(Suica、社員証、クレジットカードなど)
厚紙や写真・ステッカーを複数枚挟んでいる
対処法のポイント
ケース・カードをすべて外した状態で充電を試す
それで問題なく充電できる場合
→ ワイヤレス充電対応の薄型ケースやMagSafe対応ケースへの買い替えを検討するカード類は、ワイヤレス充電中は必ず取り外す
→ 磁気カードやICカードの破損を防ぐためにも重要です。
iPhoneと充電器の位置ズレ・環境が原因の場合
ワイヤレス充電が不安定なときにもっとも多いのが、位置ズレと環境です。
iPhoneの背面中央(リンゴマーク付近)にワイヤレス充電用コイルがあります。
充電器の指定位置とずれていると、まったく反応しない・途中で切れるといった症状が出ます。
対処法のポイント
iPhoneを充電器の中央に、ゆっくり置き直す
少しずつ上下左右に動かし、充電マークが出る位置を探す
布団やクッションの上など、柔らかくて熱がこもる場所は避ける
金属製の机の上で使用する場合は、充電器の説明書どおりの設置方法を守る
車載ワイヤレス充電器の場合は、走行中の振動で位置がずれることも多いため、ホルダーの固定力や形状も見直してください。
iOSや設定の不具合が疑われる場合
ハードウェアに問題がなくても、一時的なソフトウェアの不具合でワイヤレス充電が使えなくなるケースがあります。Apple公式サポートでも、充電トラブル時には再起動やアップデートが案内されています。
対処手順
iPhoneを再起動する
iOSを最新バージョンにアップデートする
「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から実行します。
それでも改善しない場合
「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「リセット」から各種設定のリセットを検討する
(ネットワーク設定などが初期化されるため、実行前に内容を確認してください)
※データ消去を伴う初期化は、バックアップを取得した上でAppleサポートの案内に従って行うことをおすすめします。
発熱・安全機能が働いている場合
iPhoneは、本体温度が高くなりすぎると充電を制限・停止する安全機能を備えています。
よくある状況
夏場の車内や直射日光下での充電
分厚いケースを付けたままゲームや動画を見ながらワイヤレス充電
布団やクッションの上で、熱が逃げにくい状態で充電している
対処法のポイント
まず充電を止め、涼しい場所でしばらく冷ます
ケースを外し、熱がこもらない硬く平らな場所で再度充電を試す
充電中の負荷の高い操作(ゲーム・動画視聴など)は可能であれば控える
本体故障が疑われるサインと注意点
次のような場合は、ワイヤレス充電コイルやバッテリー、本体基板などの故障が疑われます。
有線充電でも不安定、または特定の角度でしか充電できない
落下・水没・強い衝撃の後から症状が出始めた
バッテリーが膨らんで背面が盛り上がっている
充電中に異常な発熱・異音・異臭がある
このような場合、自己分解や非公式な修理は非常に危険です。バッテリーに物理的なダメージを与えると発煙・発火のリスクがあります。
対処法のポイント
早めにAppleサポートまたは正規サービスプロバイダ、信頼できる修理店に相談してください。
AppleCare+や保証期間内かどうかを確認し、修理費用の見通しを立てておくと安心です。
MagSafeや最新iPhoneでの注意点
MagSafeと従来Qi充電の違い
Qi充電:コイル同士の位置を合わせる必要がある汎用規格
MagSafe:iPhone 12以降を対象に、マグネットで最適な位置に固定し、高い効率で充電できる方式(MagSafe対応アクセサリとの組み合わせが前提)
MagSafe対応iPhoneでも、従来型のQi充電器で充電することは可能ですが、出力や安定性はMagSafe充電器の方が高い設計になっています。
MagSafe対応ケース・アクセサリ選びのポイント
「MagSafe対応」「MagSafe Certified」などの表記があるケースを選ぶ
背面に金属プレートが仕込まれていないものを選ぶ
マグネットリングが正しい位置に配置されている製品を選ぶ
純正または信頼できるメーカーの製品を選ぶことで、充電の安定性と安全性を高めることができます。
最新モデルでの仕様・出力の違いに注意
iPhone 15・16シリーズ以降では、USB-C対応やMagSafe/Qi2対応など、充電周りの仕様がモデルごとに異なる場合があります。最新モデルをお使いの場合は、Apple公式サイトの仕様ページで、
対応するワイヤレス充電規格(MagSafe, Qi, Qi2など)
最大出力(W数)
を事前に確認しておくと安心です。
それでも直らないときに取るべき行動
自力で試してよいこと/やってはいけないこと
自力で試してよい範囲
対応機種・対応充電器かの確認
ケース・カード・ステッカーなどの取り外し
置き方・位置・電源の変更
iPhoneの再起動・iOSアップデート
充電器・ケーブル・ACアダプタの交換
やってはいけないこと
iPhone本体を自分で分解する
バッテリー膨張や異臭がある状態で無理に充電を続ける
発熱しているのに冷蔵庫など極端に低温の場所で急冷する
純正・認証品でない怪しいバッテリーやパーツに交換する
安全性の観点から、内部に手を入れる作業はすべてプロに任せることを強くおすすめします。
Appleサポート・正規サービスプロバイダに相談する
次のような場合は、自己判断せず早めにAppleや正規サービスプロバイダへの相談を検討してください。
上記の基本チェック・原因別対処を一通り試しても改善しない
有線充電も不安定、または充電できない
明らかな発熱・膨張・異音・異臭がある
落下や水没の直後から症状が出ている
相談時には、次の情報を整理しておくとスムーズです。
iPhoneのモデル名・iOSバージョン
いつから・どのような状況で症状が出るか
すでに試した対処法(再起動・充電器変更など)
修理と買い替え、どちらを選ぶべきかの目安
大まかな目安としては、次のように考えると判断しやすくなります。
購入から2〜3年以内・保証やAppleCare+が残っている場合
→ 修理・交換の検討を優先する価値があります。購入から4年以上・バッテリーの持ちも悪い場合
→ 修理費用と新機種の価格差を比較し、買い替えも選択肢とします。
いずれの場合も、まずは見積もりや診断を受け、費用とリスクを把握したうえで判断することが重要です。
よくある質問(FAQ)
ワイヤレス充電中にiPhoneを操作しても大丈夫ですか?
基本的には可能ですが、発熱が大きくなりやすいため、長時間のゲームや動画視聴など負荷の高い操作は控えめにすることをおすすめします。高温になりすぎると、iPhone側の保護機能で充電が停止されることがあります。
安いワイヤレス充電器を使っても問題ありませんか?
必ずしも高価である必要はありませんが、
Qi認証を受けていること
信頼できるメーカーであること
過度な発熱がないこと
といった点を満たす製品を選ぶことが重要です。極端に安価で出所が曖昧な製品は、安全性の観点からおすすめできません。
バッテリー寿命には悪影響がありますか?
ワイヤレス充電そのものが、適切な出力・温度管理のもとで行われていれば、有線充電と比べて極端にバッテリー寿命を縮めることはないとされています。ただし、
常に100%まで充電し続ける
高温環境での連続充電
などは、バッテリーの劣化を早める要因になりえます。80〜90%程度でこまめに充電する、発熱が強い環境を避けるといった使い方が望ましいです。
車載ワイヤレス充電でだけ充電できないのはなぜ?
車載ワイヤレス充電器でのみ不安定な場合、
走行中の振動による位置ズレ
ホルダーの固定力不足
車の電源側(シガーソケット・USBポート)の出力不足
ケースの厚みや金属プレートの干渉
などが考えられます。
まずは、
ケースを外した状態で試す
車の別の電源ポートや、出力の高いシガーソケットアダプタに変える
走行中でも位置がずれにくいホルダーに変更する
といったステップで切り分けてみてください。