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インボイス制度は誰が決めた?国会・政府・国税庁の役割と決定の流れがわかる

取引先から「インボイス対応していますか?」と聞かれた瞬間、頭に浮かぶのが「そもそも、これって誰が決めた制度なのか」という疑問ではないでしょうか。SNSでは「財務省が勝手に決めた」「政治が悪い」といった断片情報も多く、事実関係が曖昧なまま話が進みやすいテーマです。

本記事では、インボイス制度の「決めた」を一人に押し付けて考えず、**国会(法律を成立させる)・政府(施行準備を進める)・国税庁と税務署(登録と運用を担う)**という役割分担に分けて、決定の流れを時系列で整理します。あわせて、登録判断で迷う方のために、取引のタイプ別の分岐やチェックリスト、取引先にそのまま使える説明テンプレまでまとめました。読み終えたときには、制度の背景が腹落ちし、「次に何をすればいいか」が具体的に見えるはずです。

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目次

インボイス制度は誰が決めたのか

インボイス制度は、国会が法律として定め(立法)政府が施行に向けて制度設計や準備を進め(行政)、国税庁と税務署が登録・運用を担う(執行)という分担で成り立っています。
つまり「だれか一人(ある組織ひとつ)が単独で決めた制度」ではなく、決まるまでに段階があり、段階ごとに主役が変わります。国税庁の説明でも、インボイス制度は「仕入税額控除の方式」であり、登録を受けた事業者しか適格請求書を交付できないことが明記されています。

決めたを立案と成立と運用に分けると誤解しない

「決めた」という言葉がややこしいのは、次の4つが一緒くたになりやすいからです。

段階 ここでの「決めた」の意味 主な主体 読者に関係するポイント
立案 どんな制度にするか案を作る 政府・関係省庁など 制度の骨格が作られる
政治的決定 政策として方向性を固める 政権・与党等の議論 「導入する/しない」「時期」などが固まる
立法(成立) 法律として成立させる 国会 ここを通って制度が“法律”になる
執行(運用) 登録・申請・Q&A整備など実務運用 国税庁・税務署 登録、請求書要件、保存要件が実務に落ちる

実際に事業者が困るのは「運用」ですが、運用の根っこは法律です。だから、説明の際は「国会で法律として成立→国税庁・税務署が運用」という流れを押さえておくと強いです。


インボイス制度が始まった日と制度が固まった流れ

「いつ決まったの?」という質問もよく出ます。ここは、言葉を分けると一気に整理できます。

  • 開始日(いつ始まったか):事業者の実務が変わった日

  • 枠組みが固まった時期(いつ決める方向になったか):制度の設計が法令整備の中で置かれた時期

インボイス制度の開始日は2023年10月1日

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、2023年10月1日に開始しています。国税庁の案内ページやタックスアンサーでも明確です。

この開始日以降、課税事業者が仕入税額控除を受けるためには、原則として「一定事項を満たす帳簿」と「適格請求書(インボイス)などの保存」が要件になります。

制度の枠組みは複数年の法令整備の上にある

一方で、制度の枠組みは「2023年に突然決まった」ものではありません。国税庁が公表しているQ&A(PDF)では、条文等の略称として「28年改正法=所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)」が明示され、インボイス制度の法令構造が段階的に整備されてきたことが読み取れます。

さらに背景として、国立国会図書館の調査資料でも、インボイス方式の経緯や論点(仕入税額控除の方式としての意味、事務負担など)が整理されています。

「誰が決めた」を時系列で説明したいなら、次の表を押さえると会話がスムーズになります。

時系列で見るインボイス制度の全体像

時期 起きたこと 事業者にとっての意味
軽減税率導入に向けた議論期 複数税率に対応する仕組みが必要になる 税率・税額の認識ズレを防ぐ仕組みが課題に
制度準備期 請求書の記載要件・登録・運用の整備が進む システム改修、請求書様式、保存ルールの準備が必要に
2023年10月1日 インボイス制度開始 仕入税額控除の要件が「適格請求書の保存」に収れん
開始後(運用・経過措置) Q&A更新、負担軽減措置、経過措置の運用 免税事業者との取引影響、計算・保存対応が現場課題に

インボイス制度の中身を最小限で押さえる

「誰が決めた」を理解するにも、制度の核を外すと説明がズレます。ここでは難しい言い回しを避けて、必要なところだけ押さえます。

インボイス制度は仕入税額控除の要件を変える制度

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、消費税の「仕入税額控除」を受けるための要件として、適格請求書(インボイス)等の保存を求める仕組みです。国税庁タックスアンサーの概要が最もシンプルです。

要点は次の3つです。

  1. 買手(課税事業者)は、仕入税額控除を受けるために保存が必要

  2. 売手は、登録を受けた「適格請求書発行事業者」でないと、適格請求書を交付できない

  3. その結果、免税事業者が発行する請求書は原則として“インボイスではない”ため、BtoB取引で影響が出やすい

適格請求書に必要な記載事項

実務で揉めやすいのは「請求書の書き方」です。国税庁の概要資料では、適格請求書に必要な記載事項が整理されています。

たとえば、代表的には次のような情報が必要です(詳細は国税庁資料で確認するのが安全です)。

  • 発行者の氏名または名称・登録番号

  • 取引年月日

  • 取引内容(軽減税率対象ならその旨)

  • 税率ごとに区分した対価の額・適用税率

  • 税率ごとに区分した消費税額等

  • 交付を受ける事業者の氏名または名称


誰が得するのかではなく影響が出るポイントで整理する

「誰が決めた」とセットで、「結局だれが得するの?」という疑問が出がちです。ここは感情論だけで走ると、必要な判断が遅れます。
現実の行動に落とすために、影響が出るポイントで整理します。

免税事業者への影響が大きく見える理由

免税事業者が注目されるのは、買手側(課税事業者)の仕入税額控除要件が、適格請求書の保存に寄るからです。
国税庁は「適格請求書は登録を受けた事業者でないと交付できない」と明記しています。

その結果、BtoBで課税事業者相手の売上が中心だと、次のような現象が起きやすくなります。

  • 「登録番号を教えてください」と言われる

  • インボイスが出せないなら「値引きできませんか」と交渉される

  • 取引継続の条件に“インボイス対応”が入る

ここで重要なのは、「登録しないと法律違反」というより、取引慣行として圧がかかるケースが出やすいという点です(登録の強制というより、市場の要求として現れる)。制度の核は仕入税額控除の要件です。

事務負担の本体は保存と突合

売手側も買手側も、実務では「保存」と「突合」が負担になります。政府広報オンラインでも、インボイスの保存期間などが一般向けに整理されています。

  • 受け取ったインボイスを保存する

  • 交付したインボイスの写しも保存する

  • 税率ごとに区分されているか、登録番号があるかをチェックする

紙運用のままだと手間が増えやすく、クラウド会計や請求書サービスを使っている場合は設定・運用の見直しが中心になります。


登録するかどうかを判断するための分岐とチェックリスト

ここからが本題です。
「誰が決めた」を理解しても、登録判断ができなければ不安は減りません。そこで、先に結論を言います。

  • BtoB中心で、取引先が課税事業者の割合が高いほど、登録を求められる可能性は高い

  • BtoC中心なら、登録の必要性は業種や取引形態によって差が大きい(ただし例外はあります)

この考え方の根拠は、仕入税額控除の要件が適格請求書の保存に寄っているからです。

登録判断の分岐表

あなたの取引 取引先の属性 起きやすいこと 登録判断の目安
BtoB中心 課税事業者が多い 登録番号要求、条件変更交渉 登録検討の優先度が高い
BtoB中心 免税事業者が多い 影響は限定的な場合も 価格・契約次第で判断
BtoC中心 一般消費者 仕入税額控除の要件が相手にない 登録必須ではないことが多い
BtoC中心 事業者(課税)も混在 相手によって要求が変わる 取引先別に分けて判断

登録判断チェックリスト(まず5分で棚卸し)

次のチェックに「はい」が多いほど、登録を検討する必要性は高まります。

  • 主力の取引先が課税事業者(法人・個人事業主)である

  • 取引先から登録番号の提示を求められている

  • 取引先に価格交渉の主導権があり、値上げ・条件変更が難しい

  • 請求書発行・経理処理が増えても対応できる体制がある(ツール含む)

  • BtoB売上が売上の過半を占める

  • 取引を失うと売上影響が大きい

逆に「はい」が少ない場合は、登録しない選択肢を含めて冷静に比較できます。


登録を迷う人が必ず知っておきたい負担軽減措置

「登録したら消費税の納税が増えるのでは」という不安は自然です。
この不安に対し、制度側にも負担軽減の仕組みが用意されています。代表例が国税庁の案内する2割特例などです。

2割特例とは何かをざっくり理解する

2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者(インボイス発行事業者)になった方の負担を軽くするための措置です。国税庁の案内では対象者・考え方が示されています。

ここで大切なのは、次の整理です。

  • 「登録=即、最も重い計算をしなければならない」とは限らない

  • 使える特例があるかどうかで、納税額のイメージが変わる

  • 自分が対象に入るかは、国税庁の要件を確認したうえで判断する

少額取引の扱いなど現場で効くポイント

国税庁は、インボイス関連の改正・負担軽減措置をまとめて案内しています(制度別に辿れる形)。
現場で「小口が多い」「経理が回らない」という場合ほど、こうした措置の確認が効きます。


取引先に聞かれたときに困らない説明テンプレ

「インボイス制度は誰が決めた?」と聞いてくる相手は、制度オタクではありません。多くは「取引上、必要だから確認したい」だけです。
そこで、短時間で要点が伝わるテンプレを用意しておくと精神的に楽になります。

30秒で言い切るテンプレ

インボイス制度は、国会で法律として定められ、政府が施行準備を進め、国税庁・税務署が登録や運用を行っている制度です。2023年10月1日から始まっていて、仕入税額控除には原則として適格請求書の保存が必要になります。

60秒で丁寧に説明するテンプレ

インボイス制度は複数税率に対応した仕入税額控除の方式で、2023年10月1日から始まっています。仕入税額控除の要件として、一定事項を満たす帳簿と適格請求書の保存が必要です。適格請求書は登録を受けた事業者しか交付できないので、取引先としてはインボイス対応の有無を確認する必要がある、という仕組みです。

メールで来たときのコピペ返信例

お問い合わせありがとうございます。インボイス制度は2023年10月1日開始で、仕入税額控除の要件として適格請求書の保存が必要になる制度です。適格請求書は登録を受けた事業者のみ交付可能です。弊社(私)の対応状況は以下のとおりです。(登録番号/発行可否/開始時期などを記載)


よくあるトラブルと現実的な対処法

制度理解よりも、現場で困るのはここです。「値引き要求」「登録番号の催促」「請求書の書式」など、起こりやすいパターンを整理します。

値引きしてと言われたときの確認ポイント

いきなり是非を決めず、まず「相手が何を困っているのか」を分解します。

  • 相手は課税事業者か(仕入税額控除が関係するか)

  • 相手は「登録番号だけほしい」のか、「実質負担分を下げたい」のか

  • 取引は継続前提か、単発か

  • 価格を変えるなら、契約書・発注書・見積書の整合は取れるか

この分解ができると、交渉の落とし所が見えます。

登録番号だけ求められる場合

登録番号の提示は、相手の経理処理上「適格請求書発行事業者かどうか」を判定するために必要になります。
国税庁が示すとおり、適格請求書は登録を受けた事業者でなければ交付できません。

もし未登録であれば、次のように返すと揉めにくいです。

  • 「現時点では登録していません。登録の要否は取引状況を踏まえて検討中です」

  • 「登録した場合は、登録番号と運用開始日を改めてご連絡します」

請求書の書式が不安な場合

請求書の様式そのものが法令で固定されているわけではなく、必要事項が満たされていれば名称や手書きでも該当し得る、という整理が国税庁資料にあります。
不安なら、国税庁の「適格請求書の記載事項」をチェックリスト化し、請求書ツール側のテンプレ設定を確認するのが近道です。


よくある質問で誤解を潰す

財務省が勝手に決めたのか

「勝手に」という言い方は、手続きの現実を表しにくいです。
制度は、法律としては国会で成立し、運用は国税庁・税務署が担います。登録申請などの実務も、国税庁の通達・手続案内の領域です。
したがって「決めた」の答えは、立法・行政・執行の分担で説明するのが最も誤解が少なくなります。

いつ決まったのか

開始日は2023年10月1日です。
一方で枠組みは、国税庁Q&Aでも参照される平成28年改正法(平成28年法律第15号)など、複数年の法令整備の上にあります。
「開始日」と「枠組みの整備時期」を分けて説明すると、相手に伝わりやすいです。

登録は強制か

制度の性質としては「登録しないと罰則」という単純な強制ではなく、BtoB取引において相手が仕入税額控除を受けるために適格請求書が必要になる、という構造から要請が強く働くことがあります。仕入税額控除の要件と、適格請求書の交付主体(登録事業者のみ)が根拠です。

免税のままだとどうなる

免税のままでも事業は続けられます。ただしBtoBで課税事業者が相手の場合、取引条件(値引き・発注量・契約形態)が見直される可能性はあります。
ここは「制度の正しさ」より、「あなたの取引構造(BtoB/BtoC・取引先の属性・交渉力)」で結果が変わります。


迷ったときの次の一手

最後に、今日やることを具体化します。迷いは「情報不足」か「行動の型がない」ことで増えます。型を作ると、落ち着いて判断できます。

今日やることチェックリスト

  • 自分の売上を「BtoB」「BtoC」で分ける

  • BtoBの主要取引先が課税事業者か確認する

  • 取引先から求められているのが「登録番号」か「値引き」かを区別する

  • 登録した場合の事務フロー(請求書・保存・会計処理)を1枚に書き出す

  • 使える負担軽減措置(2割特例など)を国税庁で確認する

  • 30秒テンプレをメモして、いつでも言えるようにする


参考情報源(サイト名・URL)