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陰部モデルとは?看護演習で何をするのか、目的と当日の流れ、恥ずかしさを減らす準備

「次回は陰部モデルを使います」と言われた瞬間、言葉の強さに戸惑ったり、何をどこまで行うのか分からず不安になったりする方は少なくありません。とくに初めての演習では、羞恥心や体型のこと、見学者の有無、衛生面など、気になる点が次々と浮かんでしまいがちです。

けれど、陰部モデルは“見せるため”のものではなく、陰部洗浄や導尿、浣腸など排泄ケアに必要な手順と配慮を、安全に学ぶための教育用シミュレータです。事前に「目的」「モデルの種類」「当日の流れ」「プライバシー配慮のルール」「不安があるときの相談先」を具体的に把握できれば、漠然とした怖さは確実に小さくできます。

本記事では、陰部モデルの意味を誤解なく整理したうえで、演習で扱う内容、装着型と据置型の違い、当日の一般的な進め方、服装・持ち物のチェック、恥ずかしさを減らす声かけや露出最小化のコツ、安全と感染対策の要点までを、実践しやすい形で詳しく解説します。読み終えたときに「何を準備し、どう振る舞えばよいか」が分かり、落ち着いて演習に臨める状態を目指します。

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目次

陰部モデルとは何か

陰部モデルの定義と、学生が戸惑いやすいポイント

陰部モデルは、看護・助産などの教育現場で、陰部洗浄や導尿、浣腸といった排泄援助に関する手技を「安全に」「繰り返し」練習するための装着式シミュレーター(模型)です。実際の患者に負担をかけずに、手順・声かけ・プライバシー配慮・感染対策を一連の流れとして身につける目的で用いられます。

初めての演習で戸惑いやすいのは、手技そのものよりも次の点です。

  • どこまで露出させるのか、見られる範囲はどこなのか

  • 恥ずかしさが先に立ち、声かけや段取りが飛んでしまう

  • 清潔・不潔の切り替え(手袋交換や手指衛生のタイミング)で迷う

  • 導尿が含まれる場合、無菌操作の境界線が曖昧になる

この記事は、こうした「演習前日の不安」を前提に、準備→装着→実施→片付けを“そのまま使える形”に落とし込みます。なお、実際の運用は学校・施設の手順が最優先です。ここで示す内容は、一般的な根拠と演習での再現性を重視した参考としてご利用ください。

陰部モデルが使われる場面

陰部モデルが登場する代表的な場面は以下です。

  • 基礎看護技術:陰部洗浄、清拭、排泄援助の基本

  • 老年・在宅領域:おむつ交換と組み合わせた皮膚トラブル予防、観察

  • 泌尿器領域:導尿の手順理解(無菌操作、閉鎖式維持の考え方)

  • 排泄援助:浣腸の挿入長や体位、注入後の観察

学校によっては、装着時にスパッツ等の上から固定する運用や、装着用パンツを用いる運用があります。目的は“露出を必要最小限にして学習すること”であり、自己判断で露出を増やす必要はありません。

陰部モデルで練習する手技の範囲

陰部モデルは製品タイプや授業目標により、練習範囲が変わります。大きく分けると次の3類型です。

  • 陰部洗浄中心:洗浄の順序、タオルワーク、観察、声かけ

  • 導尿・浣腸対応:外尿道口の確認・消毒、挿入・排尿確認、抜去、浣腸手技

  • 産科系ユニット:周産期の学習目標に応じた性器部ユニット(別機材の場合あり)

装着式の導尿・浣腸対応モデルには、実際に近い挿入長やバルーン留置の再現、漏れにくい設計などを特徴とする製品があり、演習項目が明確に提示されています(仕様は製品ごとに確認が必要です)。

陰部モデルを使う目的と学べること

患者の尊厳を守るための「露出最小化」と声かけ

排泄ケアは、受ける側の羞恥心が非常に大きいケアです。演習では、手技を正確に行うだけでなく、相手の尊厳を守る動きが評価に直結します。具体的には次をセットで行います。

  • 何をするかを短く説明し、同意(了承)を得る

  • 露出は必要最小限(洗う部位だけを小さく開け、他はタオルで覆う)

  • 途中で寒さ・痛み・不快感を確認する

  • 終了後に整える(衣類、寝具、体位、手洗いの案内)

恥ずかしさがあるのは自然です。大切なのは、恥ずかしさを消すことではなく、段取りに落として「淡々と、丁寧に」進められる状態を作ることです。

感染対策を崩さず手順を回す力がつく

陰部洗浄や導尿は、尿や便などの排泄物に触れる可能性があり、標準予防策(すべての人に行う感染対策)を前提に行います。標準予防策では、血液や体液、排泄物、粘膜、損傷皮膚は感染性があり得るものとして扱い、手指衛生とPPE(手袋、マスク、エプロン等)を適切に選択します。

さらに導尿が含まれる場合は、尿道留置カテーテルの挿入は無菌的手技で滅菌器具を用いることが推奨されます。
演習でも、清潔域・不潔域を意識しながら動けると、臨地実習での安全性が大きく上がります。

観察ポイントを言語化できるようになる

陰部洗浄は「洗って終わり」ではなく、観察→判断→報告やケア調整につながるケアです。演習でも次の観察を言葉にできると強みになります。

  • 皮膚:発赤、ただれ、びらん、湿潤、乾燥、圧迫痕

  • 汚れ:付着部位、臭気、残りやすい箇所

  • 排泄:便の性状、尿の濁りや色の変化(演習では再現に限界あり)

  • 苦痛:痛み、違和感、寒さ、姿勢保持の困難

陰部モデルの種類と選び方

陰部洗浄向けと導尿・浣腸対応の違い

学生が理解しておくべき違いは「練習の中心がどこか」です。

  • 陰部洗浄向け:清拭の順序、タオルワーク、羞恥心配慮、観察が中心

  • 導尿・浣腸対応:無菌操作、挿入手技、挿入長、固定、排液確認、破綻時対応が中心

導尿・浣腸対応は、準備物が増えるだけでなく「清潔域を守るための動線設計」が難しくなります。演習前に、机上の配置(清潔物と使用済みの分離)まで想定しておくと失敗が減ります。

産科系ユニットが必要なケース

助産や周産期領域では、外陰部だけでなく産道・骨盤の理解や、別の学習目標(分娩介助など)が入ります。この場合、陰部モデル単体ではなく、周産期の全身モデルや性器部ユニットの交換型が使われることがあります。自分の授業が「排泄援助中心」か「周産期領域を含む」かで、必要な機材・演習の深さが変わります。

用途別比較表で、授業に合うモデルを見分ける

以下は、学生が“自分の授業の狙い”を把握するための比較表です(備品選定の参考にもなります)。

観点 陰部洗浄中心 導尿・浣腸対応 産科系ユニット/全身モデル
主目的 清潔保持・観察・タオルワーク 無菌操作・挿入/固定・排液確認 周産期の理解・領域別演習
事前準備 少なめ 多め(滅菌物・無菌操作想定) 学習目標により幅
失敗しやすさ 露出/声かけで崩れやすい 清潔域の破綻で崩れやすい 内容が広く準備が散りやすい
演習の到達 基礎の型を作る 型+安全(感染対策)を作る 領域学習の全体像

陰部モデル演習の段取り

まずはここだけ:段取り1枚チェックリスト

演習は「段取りで8割決まる」といっても過言ではありません。以下を印刷またはメモ化して、当日そのまま使える形にしてください。

ステップ やること 失敗しやすい点 復帰方法 評価で見られやすい点
準備 物品を揃え、清潔物と使用済み置き場を分ける。カーテン等で環境調整。 置き場が曖昧で交差汚染が起きる いったん手を止め、配置を作り直す 動線が整理されているか
装着 学校ルールに従い固定。露出は最小限。体位と防水を整える ずれ落ち・露出が増える 固定をやり直し、覆い直す プライバシー配慮ができるか
実施 順序通りにケア。声かけと観察を入れる ガーゼ往復、手袋交換を忘れる 交換・手指衛生に戻る “根拠ある順序”で進むか
片付け 使用物品を分別し環境整備。手指衛生。記録(必要時) 終盤に雑になり印象が落ちる 手順化して淡々と実施 最後まで安全に終えるか

この表の意図は、上手にやることより「崩れたときに戻れる」状態を作ることです。演習では、破綻を隠すより、気づいて復帰できるほうが安全性の評価につながります。

準備のコツ:物品・配置・役割分担を先に決める

準備で最低限押さえるポイントは次です。

  • 清潔物(未使用ガーゼ等)と使用済み(廃棄)の置き場を分ける

  • 防水シーツ、タオル、ビニール袋などを“手を伸ばせば届く”位置へ

  • 実施者・介助者・記録(観察者)の役割を明確にする

  • カーテンや衝立でプライバシーを確保する

特に介助者がいる場合は「いつ・何を手渡すか」を決めると、清潔域の破綻が減ります。

装着の考え方:固定と露出最小化を同時に満たす

装着のポイントは2つです。

  • 固定が甘いと、途中でずれて手順が崩れる

  • 露出を増やすと、羞恥心が増し、声かけや観察が飛びやすい

装着後は軽く体を動かして、ずれやすい方向を確認してください。ずれやすい場合は、防水シーツやタオルで支える、介助者に固定を依頼するなど、授業ルールの範囲で工夫します。

実施中に迷いやすい場面と対処

よくある“詰まりポイント”は次の通りです。

  • 順序が飛ぶ:焦ると「どこから洗うか」を見失う
    対処:声かけの中に順序を組み込む(例:「上から順に拭いていきます」)

  • 使用済みが戻る:同じガーゼで往復したり、置き場が混ざる
    対処:使用済みは“戻さない”を徹底し、置き場を固定する

  • タオルワークが崩れる:洗う部位以外が開いてしまう
    対処:先に覆いを設計し、開けるのは小さく、短時間にする

  • 相手の不快に気づけない:寒さや痛みを聞けない
    対処:定型文を用意し、途中に必ず挟む

片付けで差がつく:清潔管理と“最後の手指衛生”

片付けでやることは次です。

  • 使用物品の分別と廃棄(学校ルールに従う)

  • ベッド周囲を整える(シーツ、タオル、衣類、体位)

  • 手指衛生を確実に実施する

  • 記録が必要な場合は、観察+実施内容+相手の反応を簡潔に

終盤に雑になると、全体の印象が落ちやすい一方、片付けが丁寧だと「安全に終えた」評価が残ります。

陰部モデル演習で押さえる感染対策

標準予防策とPPE:陰部洗浄は“体液・排泄物”を前提に考える

標準予防策では、排泄物(尿・便)や体液は感染性があり得るものとして扱います。したがって、陰部洗浄やおむつ交換では、手袋を基本とし、飛散や衣類汚染が想定される場合はエプロン/ガウン等を選択します。

また、手袋の扱いは誤りが起きやすい点です。手袋を付けたまま手指消毒をするのではなく、必要なタイミングで適切に脱ぎ、手指衛生に戻ることが重要です。

導尿がある場合の要点:無菌操作、閉鎖式維持、破綻時の交換

導尿を扱う場合は、無菌操作が核心です。国内ガイドラインでも、尿道留置カテーテルの挿入は無菌的手技で滅菌器具を用いることが示されています。

挿入後の管理として、CDCの推奨では、無菌的挿入の後に閉鎖式ドレナージシステムを維持すること、無菌操作の破綻・回路の外れ・漏れが起きた場合は、滅菌器材を用いてカテーテルと回路を交換することが推奨されています。

演習では「失敗しない」より「破綻に気づいて安全に復帰できる」ことが重要です。以下のように、復帰手順まで練習対象にしてください。

  • 破綻に気づく(どこが清潔域を侵したか言語化)

  • いったん止める(声かけ・環境調整)

  • 必要物品を交換し、手指衛生に戻る

  • 清潔域を再構築して再開する

感染対策チェックリスト:これだけは落とさない

以下は演習用に落とし込んだ感染対策チェックリストです。

項目 実施の目安 ありがちなミス 予防策
手指衛生 ケア前後、手袋脱着後 手袋のまま消毒で済ませる 脱ぐ→手指衛生に戻る
PPE選択 排泄物の接触・飛散を想定 体幹が汚れても無防備 エプロン/ガウン等で防護
清潔/不潔の分離 清潔物と使用済みを分ける 置き場が混ざる 置き場を固定し、戻さない
無菌操作(導尿) 挿入時は無菌的に 境界線が曖昧 清潔域を言語化して動く
閉鎖式維持(導尿) 挿入後は閉鎖式 外れ・漏れを放置 破綻時は交換推奨

恥ずかしさが強いときの対処と、声かけテンプレ

恥ずかしさは普通:演習を完走するための割り切り方

恥ずかしさは多くの人が感じます。重要なのは、恥ずかしさを否定することではなく、手順に落とし込んで淡々と進められる状態を作ることです。

  • 役割に集中する(患者役/実施者役として淡々と)

  • 露出最小化を徹底する(覆いの設計を先に)

  • 定型句を準備する(言葉が出ない状態を防ぐ)

  • 笑いでごまかしすぎない(尊厳を損なわない範囲)

声かけテンプレ表:このまま言えばよい短文

声かけは長い必要はありません。短く、具体的に、安心を作るのが目的です。

場面 声かけ例
開始前 「これから陰部を清潔にします。必要なところだけ開けて、終わったらすぐに覆いますね。」
途中確認 「寒くないですか?痛みや不快感があれば教えてください。」
不快が出たとき 「いったん止めます。体勢を整えてから再開してもよいですか?」
終了後 「終わりました。衣類と寝具を整えますね。手を洗えるように準備します。」

肌トラブルや心理的負担が強い場合の相談方法

肌が弱い、トラウマがある、強い不安があるなど、演習参加が苦痛になる場合は、早めに相談するほうが安全です。伝え方は次のように“安全に学ぶための相談”として整理します。

  • 「演習には参加したいのですが、肌トラブルが不安なので装着方法や衣類ルールを確認したいです」

  • 「恥ずかしさが強く手順が飛びそうなので、事前に段取りを確認したいです」

  • 「無菌操作の境界が不安なので、手袋交換と手指衛生のタイミングを確認したいです」

陰部モデルに関するよくある質問

スパッツの上から装着してよいのか

学校・施設の指示が最優先です。プライバシー配慮と学習目的の両立のため、スパッツ等の上から装着する運用が採られることがあります。疑問があれば、担当教員の説明に合わせてください。

どこまで見られるのか

原則として、演習に必要な範囲のみです。露出を最小化し、開ける範囲と時間を短くすること自体が、配慮の実践として評価につながります。

異性のモデルを装着することはあるのか

あり得ます。臨床では異性のケアに関わることもあるため、学習として設計される場合があります。ただし心理的負担が大きい場合は、早めに相談してください。学習目標を満たしつつ配慮する方法(役割調整など)を検討できる場合があります。

演習で失敗しやすいポイントは何か

多いのは手技の難しさより、段取り崩れです。

  • 置き場が混ざり交差汚染が起きる

  • 手袋脱着後の手指衛生が抜ける

  • タオルワークが崩れて露出が増える

  • 声かけがなく相手の不快に気づけない

  • 導尿がある場合、無菌操作の破綻に気づけない

「失敗しそうな場所」を先に決めておけば、当日は落ち着いて復帰できます。

参考にした情報源

ガイドライン・公的資料

製品一次情報