「hostsファイルの場所が分からない」「見つけたはずなのに開けない」「編集して保存したのに反映されない」――hosts設定でつまずくポイントは、実は“場所”そのものよりも、OSごとの開き方や権限、反映確認の手順にあります。特にWindowsは管理者権限で開かないと保存できなかったり、誤ってhosts.txtを作ってしまったりして、作業が空回りしがちです。
本記事では、Windows・Mac・Linuxそれぞれのhostsファイルの場所を一覧で整理したうえで、最短で開いて編集する手順、正しい書き方のサンプル、変更後に反映されない原因の切り分け、そして作業後に安全に元へ戻す方法までを一気通貫で解説いたします。サイト移転前の表示確認や社内サーバへの接続固定など、目的を達成しつつ「戻し忘れで自分だけ挙動が違う」といった事故を防ぎたい方は、手順通りに進めてください。
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hostsファイルの場所をOS別に一覧で確認する
hostsファイルは、パソコンが「ドメイン名(例:example.com)」を「IPアドレス(例:203.0.113.10)」へ変換するときに参照する、ローカル側の設定ファイルです。DNS(インターネット上の住所録)の結果よりも優先して参照される場面があるため、サイト移転の事前確認、社内サーバへの接続固定、検証環境への切り替え、特定サイトのブロックなどでよく利用されます。
一方で、hostsの変更は“そのPCだけ”の挙動を変えるため、作業後に戻し忘れると「自分だけ表示が違う」「他の人と話が噛み合わない」といったトラブルの原因にもなりがちです。まずは「どこにあるか」「どうやって開くか」「どうやって反映確認するか」「どうやって元に戻すか」をセットで押さえることが重要です。
最初に、OS別の場所と基本的な編集方法を一覧で確認します。
| OS | hostsファイルの場所 | 編集方法の代表例 | 必要権限 | 反映のコツ |
|---|---|---|---|---|
| Windows 10/11 | C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts | メモ帳を管理者で起動して開く/PowerToys | 管理者権限が必要になりやすい | キャッシュやIPv6の影響を疑う |
| macOS | /private/etc/hosts | ターミナル(nano等)/Finderで移動 | 管理者パスワードが必要 | 反映しない場合はDNSキャッシュ確認 |
| Linux | /etc/hosts | sudoでエディタ(nano/vi等) | sudo権限 | 書式ミス・IPv6行に注意 |
「場所さえわかれば終わり」と思いがちですが、実際は次の2点でつまずきやすいです。
Windowsは“開き方”で詰まる:メモ帳を管理者で起動しないと保存できない、拡張子が付いて別ファイルになる、ファイル種類の表示設定で見えない、などが典型です。
macOS/Linuxは“保存権限”で詰まる:編集できても保存時に権限エラー、編集したつもりが別ファイルを作ってしまった、などが典型です。
この章ではまず確実に「場所に到達」できる状態を作ります。
Windowsのhostsファイルの場所
Windowsのhostsファイルは、次のパスにあります。
C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts
ここで重要なのは、「エクスプローラーで探して見つける」よりも、編集するアプリ(メモ帳等)からパス指定で開くほうが失敗しにくい点です。理由は以下の通りです。
System32配下は保護されており、通常権限の操作では保存に失敗しやすいエクスプローラー上で
hostsが開けても、保存時に「アクセスが拒否されました」となることがある「hosts」という拡張子なしファイルは、初心者だと
hosts.txtを作ってしまいやすい(意図せず別ファイルを増やす)
そのため、Windowsは「場所を知る」だけでなく、後述する管理者権限での開き方までセットで理解しておくのが安全です。
Macのhostsファイルの場所
macOSのhostsファイルは、次のパスが基本です。
/private/etc/hosts
一見すると /etc/hosts のように見える情報もありますが、macOSでは /private/etc 側が実体として扱われます。Finderから触れる場合もターミナルから触れる場合も、最終的に編集対象は /private/etc/hosts と認識しておくと混乱が減ります。
また、macOSはファイル自体は開けても、保存時に管理者権限(sudo)が必要になるため、「場所に到達したのに保存できない」で止まりがちです。後述の手順で、確実に編集・保存まで完了できる流れを押さえてください。
Linuxのhostsファイルの場所
Linux(Unix系)のhostsファイルは、一般的に次のパスです。
/etc/hosts
Linuxは構造が比較的シンプルで、場所もほぼ固定です。ただし、編集と保存にはsudo権限が必要なケースが多い点、そして記述の書式を崩すと意図通りに反映されない点が重要です。
Linuxでは localhost や 127.0.0.1、::1 など、デフォルトで複数行が入っていることがあり、そこへ追記していく形になります。既存行を不用意に削除しないことが基本です。
場所が見つからないときに確認すること
「上の場所にあるはずなのに見つからない」「開いたつもりなのに編集できていない」と感じたら、OS別に次を順番に確認すると解決が早いです。
Windowsでよくある原因と確認ポイント
エクスプローラーで
C:\Windows\System32\drivers\etcを開いているがhostsが見当たらない対処:まずは後述の手順で、メモ帳からパス指定で開く方法へ切り替える
メモ帳の「開く」で探しているが見つからない
対処:右下のファイル種類が「テキスト文書(*.txt)」のままになっていないか確認し、「すべてのファイル」に切り替える
hostsを編集したつもりが、実はhosts.txtを作ってしまっていた対処:
etcフォルダ内にhosts.txtが増えていないか、または別の場所に保存していないか確認する
保存時に「アクセスが拒否されました」と出る
対処:メモ帳を必ず管理者として実行して開き直す
macOSでよくある原因と確認ポイント
Finderで
/etcを探しているが見つからない対処:基本の場所は
/private/etc/hosts。Finderから行くなら「フォルダへ移動」で/private/etcを指定する
編集したのに保存できない
対処:ターミナルで
sudoを使って編集する(後述)
編集対象を誤っている
対処:
hostsという別ファイルをホームディレクトリなどに作っていないか確認する
Linuxでよくある原因と確認ポイント
sudoを付けずに編集し、保存できない対処:
sudoを付けてエディタを起動する
書式が崩れて反映されない
対処:IPアドレスとホスト名の区切り(スペース/タブ)、コメント記号(#)、改行などを見直す
IPv6を使っていて期待通りにならない
対処:後述の「IPv6行の考え方」や「反映されない原因の切り分け」を参照し、IPv4/IPv6双方の挙動を意識する
Windowsでhostsファイルを開く手順と編集のコツ
Windowsでのhosts編集は、「場所」よりも編集手順(特に権限)が成否を分けます。ここでは「最短で確実に編集・保存できる」流れに絞って解説します。
Windowsでよく起きる失敗は、次のようなものです。
文字を追加できたのに保存できない(権限不足)
保存したのに反映されない(別ファイルを編集していた、キャッシュ、IPv6優先など)
hostsではなくhosts.txtを作ってしまった変更の影響が大きく、どこまで直せば元通りか分からなくなった
これらを避けるには、バックアップ→管理者で開く→追記→保存→反映確認→不要なら削除という一連の流れで作業するのが鉄則です。
管理者権限で開く最短手順
以下の手順は、余計な迷いが出にくい“定番のやり方”です。
スタートメニューを開き、検索ボックスに「メモ帳」と入力します。
検索結果の「メモ帳」を右クリックし、「管理者として実行」を選びます。
ここが最重要です。通常起動だと保存で詰まる確率が跳ね上がります。
メモ帳が開いたら、メニューから 「ファイル」→「開く」を選びます。
ファイル名欄に次を貼り付け、Enterで移動します。
C:\Windows\System32\drivers\etc
右下のファイル種類が「テキスト文書(*.txt)」のままなら、「すべてのファイル」へ変更します。
一覧に表示された
hostsを選択し、開きます。
この手順で開けたファイルが“正しいhosts”である可能性が最も高く、保存も成功しやすいです。
作業前に必ずバックアップを作る
編集前に、hostsを一度コピーして退避しておくと安心です。たとえば次のようにします。
C:\Windows\System32\drivers\etc\hostsをコピー同じフォルダに貼り付ける(権限が必要な場合があります)か、デスクトップなど別の場所へ貼り付ける
ファイル名を
hosts.bakやhosts_2025-12-27.bakのように変更して保管する
「戻せる状態」を確保してから編集に入ると、心理的にも落ち着いて作業できます。
保存できないときの原因と解決策
保存で詰まるケースは多いですが、原因はある程度パターン化できます。代表的な原因と対策を整理します。
原因1:メモ帳を管理者として実行していない
症状:保存時に「アクセスが拒否されました」「この場所に保存するアクセス許可がありません」などが出る
対策:メモ帳を閉じ、必ず「管理者として実行」で起動し直してから開く
原因2:別名保存で拡張子が付いた(hosts.txt)
症状:保存はできたが、反映されない。
etcフォルダを見るとhosts.txtが増えている対策:編集すべきは拡張子なしの
hosts。hosts.txtは削除するか退避し、正しいhostsを開いて追記する予防:別名保存が必要な場面では、ファイル種類を「すべてのファイル」にし、ファイル名を
"hosts"(ダブルクォーテーション込み)にして拡張子付与を防ぐ方法もあります(環境により挙動が異なるため、まずは管理者で通常保存できる形が安全です)
原因3:セキュリティ製品・社内ポリシーで編集が制限されている
症状:管理者で開いても保存できない/保存後に勝手に元に戻る/編集ソフトがブロックされる
対策:会社PCの場合、管理部門に相談が必要です。目的(サイト移転の事前確認、社内検証など)と期間(いつまで必要か)を明確に伝えると通りやすくなります
原因4:編集できても、保存後に反映されない
症状:保存はできるが、ブラウザ表示が変わらない
対策:後述の「反映されない原因の切り分け」に沿って、書式→キャッシュ→IPv6→環境制限の順で確認します
Windowsは「保存が成功したかどうか」だけでなく、保存した先が正しいhostsかも大切です。似た名前のファイルを作っただけでは効果が出ません。
追記の書き方とサンプル
hostsの記述はシンプルですが、細部のミスで丸ごと効かなくなることがあります。基本の形は次の通りです。
IPアドレス+ 半角スペース +ドメイン名
例として、移転先サーバのIPが 203.0.113.10 で、example.com と www.example.com をそのIPへ向けたい場合は、次のように追記します。
書き方のポイント
区切りは半角スペース(複数スペースでも概ね動きますが、1つで十分)
#から右側はコメント扱い(その行は無効)1行に1つの対応を書いておくと後から見返しやすい
末尾の改行が消えると不具合が出る環境もあるため、最終行は改行で終える意識が安全
既存の
localhost行などを不用意に削除しない
サイト移転の事前確認で特に注意したい点
example.comだけでなく、実際にアクセスする方(wwwの有無、サブドメイン)も併せて書くCDNやWAFを使っている場合、単純にサーバIPへ向けると正しい確認にならないことがあります(検証要件によっては別の方法が必要)。ただし「とにかくhostsが効く状態か」を確かめる目的なら、まずは基本形で動作確認するのが第一歩です。
PowerToysでhostsファイルを編集する選択肢
Windowsでは、手作業のメモ帳編集以外に、GUIでhostsを管理できるツールを使うという選択肢もあります。PowerToysの「Hosts File Editor」は、追加・無効化・削除といった操作を視覚的に行えるため、次のような人に向いています。
行のオン/オフを頻繁に切り替える(移転確認を何度もする、複数環境を切り替える)
書式ミス(スペース、改行、コメント位置など)を減らしたい
チームで手順を揃えたい(同じ画面・同じ操作で進めやすい)
ただし、会社PCではインストールが制限される場合があり、導入の可否は環境に依存します。利用できるなら便利ですが、まずは「管理者で開いて編集できる」基本ルートを押さえておくと、どの環境でも対応しやすくなります。
Macでhostsファイルを編集する手順
macOSは、Windowsほど「場所」で迷うことは少ない一方で、保存時の権限が壁になりやすいOSです。結論としては、ターミナルで sudo を使って編集するのが最も確実です。Finderから行く方法もありますが、操作に慣れていないと「編集できたように見えるが保存できていない」状態に陥りやすいので、目的が明確であればターミナル手順をおすすめします。
ターミナルで編集する手順
macOSで確実に編集・保存する代表的な流れは次の通りです。ここではnanoを例にします。
ターミナルを起動します。
次のコマンドを入力して実行します。
sudo nano /private/etc/hosts
パスワード入力を求められたら入力します。
入力中、画面に文字が表示されないことがありますが正常です。
表示された内容の末尾付近に、必要な行を追記します。
例:
203.0.113.10 example.com
保存して終了します。nanoの場合は、画面下のキー案内に従い、
保存:
Control+O(Write Out)→ Enter終了:
Control+X
の順で操作します。
編集前にバックアップを取る
失敗してもすぐ戻せるよう、編集前にバックアップを作っておくと安心です。
sudo cp /private/etc/hosts /private/etc/hosts.bak
バックアップがあるだけで、作業中の不安が大きく減ります。
記述の基本はWindowsと同じ
IPアドレス + 半角スペース + ドメイン名
#はコメント既存の重要行(localhostなど)をむやみに削除しない
最終行は改行で終える
Finderから場所へ移動して編集する手順
Finderからhostsの場所へ行きたい場合は、次の流れが分かりやすいです。
Finderを開き、メニューから 「移動」→「フォルダへ移動」 を選びます。
入力欄に次を入力して移動します。
/private/etc
hostsを確認します。
ただし、ここから直接編集しようとすると、エディタの権限や保存先の扱いでつまずくことがあります。テキストエディタによっては一見保存できたように見えても、実際には別ファイルとして保存されているケースもあります。確実性を重視するなら、やはりターミナルで sudo を使う方法が安全です。
編集後に反映しないときの確認ポイント
macOSで「編集したのに反映されない」と感じた場合、まずは次のポイントを順番に確認してください。
編集したファイルが本当に
/private/etc/hostsかFinder経由で似た場所の別ファイルを編集していないか
書式が正しいか
IPとドメインの区切りが半角スペースか
行頭に
#が付いていないかドメイン名(
www有無、サブドメイン)を間違えていないか
アクセス形が想定通りか
example.comは見ているが、実際のアクセスはwww.example.comだった、など
キャッシュの影響がないか
ブラウザを完全終了して再起動する
別ブラウザやプライベートウィンドウで試す
IPv6優先で想定外になっていないか
IPv4の行だけ書いていて、実際はIPv6で到達しているケースがあります(後述の切り分け参照)
macOSは「保存できたかどうか」が不明瞭になりやすいので、変更後は必ず hosts の中身を再度開いて、追記行が残っているかを確認すると確実です。
Linuxでhostsファイルを編集する手順と書式
Linuxはhostsの扱いが素直で、作業自体は簡単です。しかし、環境(サーバ、コンテナ、WSL、ディストリビューション、ネットワーク設定)によっては、IPv6の優先順位やキャッシュの挙動が絡んで「書いたのに効かない」ことがあります。基本手順と書式をしっかり押さえたうえで、反映しない場合の切り分けへ進むのが最短です。
編集コマンドの基本
一般的には、以下のようにsudo権限で編集します。エディタはnanoでもviでも構いません。
sudo nano /etc/hostssudo vi /etc/hosts
編集後に保存して終了します。viの場合は慣れが必要ですが、基本は以下です。
編集開始:
i保存して終了:
Esc→:wq→ Enter保存せず終了:
Esc→:q!→ Enter
慣れていない場合はnanoのほうが迷いにくいでしょう。
編集前のバックアップ(推奨)
sudo cp /etc/hosts /etc/hosts.bak
hostsファイルの書式と注意点
hostsは、1行に「IPアドレス」と「ホスト名」を書く対応表です。基本形は次の通りです。
IP_address canonical_hostname [aliases...]
例:社内のサーバへ intranet.local を向けたい場合
複数の別名を同じIPへ向けたい場合は、同一行に複数書くこともできますが、運用上は読みやすさ・保守性を優先して、1行1ホスト名にしておくと混乱が減ります。
注意点(効かなくなる典型)
IPとホスト名の間に全角スペースが入っている
ドメイン名に余計な記号、全角文字、不可視文字が混入している
行頭に
#が付いてコメント化している改行が欠けている、またはファイル末尾が不自然な状態になっている
既存の重要行(localhost関連)を削除してしまった
Linuxは設定がシンプルなぶん、「書式のミス」が反映不良の主原因になりやすいです。反映されない場合は、まず書式とファイルの整合性を疑うのが近道です。
IPv6行を扱うときの考え方
多くのLinux環境では、/etc/hosts にIPv6の行が最初から含まれています。例えば次のような行です。
ここで意識したいのは、「アクセス先がIPv4になるとは限らない」という点です。ネットワーク環境やアプリケーション設定によっては、同じドメイン名でもIPv6で到達することがあります。
IPv4へ向けたいつもりで
203.0.113.10 example.comを書いたしかし実際はIPv6で到達し、別の経路に行ってしまう
その結果、期待通りの挙動にならない
この場合の対処は、「IPv6でも同様の向き先を定義する」「IPv6優先の挙動を変える」「検証要件に合わせてアクセス手段を変える」など複数ありますが、まずは後述の「反映されない原因の切り分け」で、IPv4/IPv6のどちらで到達しているかを把握するのが先です。闇雲に行を増やすと、余計に混乱することがあります。
hostsファイル変更後に反映されない原因の切り分け
hostsの編集は「書いて保存したら終わり」ではありません。むしろ本番は、反映されないときに何を疑うかです。ここでは、最短で原因を特定するために、優先順位の高い順にチェックできるよう整理します。
基本の考え方は次の通りです。
書式ミスや編集対象の誤り(最も頻度が高い)
キャッシュ(DNSキャッシュ、ブラウザキャッシュ、アプリ内キャッシュ)
IPv4/IPv6の優先順位(想定外の経路で到達している)
組織やセキュリティによる制限(保存できても巻き戻るなど)
この順番で確認すれば、多くのケースで無駄なく解決できます。
記述ミスを最初に潰すチェックリスト
まずは「書いた内容そのものが正しいか」を潰します。以下を上から順にチェックしてください。
編集したファイルが正しい場所のhostsである
Windows:
C:\Windows\System32\drivers\etc\hostsmacOS:
/private/etc/hostsLinux:
/etc/hosts
ファイル名が正しい(hosts.txtになっていない)
Windowsで特に多い失敗です
IPアドレスが正しい
1桁違い、桁の抜け、余計な文字が混ざっていないか
ドメイン名が正しい
wwwの有無、サブドメインの有無、末尾の余計なドット等
区切りが半角スペース(またはタブ)になっている
全角スペースが混ざると失敗しやすい
行頭に
#が付いていない(コメント化していない)最終行が改行で終わっている
環境によっては末尾改行がないと挙動が不安定になる場合があります
意図したアクセス形をすべて書いている
example.comだけでなくwww.example.comも実際に使うなら両方必要
重複や競合がない
同じドメインが複数行にあると、どれが有効か分かりにくくなります。不要な古い行をコメントアウトして整理すると安全です
ここで半分以上は解決することが多いです。特に「編集対象が違う」「hosts.txtを作った」は頻出なので、必ず確認してください。
DNSキャッシュとブラウザキャッシュの影響
書式が問題なく、正しいhostsを編集しているのに反映されない場合、次に疑うのはキャッシュです。キャッシュには複数の層があり、どこで古い情報が保持されているかによって対処が変わります。
まず試すべき簡単な対処
ブラウザを完全に終了して再起動する
シークレット/プライベートウィンドウで開き直す
別ブラウザで同じURLを開いて比較する
それでもダメな場合の考え方
OS側にDNSキャッシュが残っている
ブラウザが独自のDNSキャッシュを持っている
アプリ(メール、APIクライアント、開発ツール等)が独自キャッシュを持っている
特に、検証目的で何度もアクセスしている場合は、ブラウザのキャッシュ(HTML/CSS/JS、Service Worker、DNSキャッシュ)が効いていて、見かけ上変化が出ないことがあります。この場合、「別の端末」「別のネットワーク」「別のブラウザ」で比較すると、hostsの効き具合を素早く見分けられます。
IPv4とIPv6の優先で想定外になるケース
「hostsにIPv4を書いたのに効かない」というとき、実際にはIPv6で到達していることがあります。近年はネットワーク環境によってIPv6が有効になっていることが増え、特に以下のような状況で起きやすいです。
端末やルータがIPv6を積極的に使う設定になっている
同じドメインにIPv6の経路が存在していて、そちらが優先される
example.comとwww.example.comで到達経路が異なる
よくある症状
example.comは変わったがwww.example.comは変わらないあるブラウザでは変わるが、別ブラウザでは変わらない(内部の解決手段が異なる)
端末Aでは変わるが端末Bでは変わらない(IPv6の有無や優先度が異なる)
対策の方向性
実際にアクセスしているホスト名(
wwwの有無、サブドメイン)を漏れなくhostsに書くIPv6側の挙動も考慮する(環境によってはIPv6向けの記述が必要になる)
まずは「どの経路で到達しているか」を把握し、必要な範囲だけに手を入れる
やみくもにIPv6行を追加すると、別のサービスに影響が出たり、後で戻しづらくなったりします。目的(移転確認なのか、恒久的な固定なのか)に合わせて最小限の変更にするのが安全です。
企業PCやセキュリティ製品で弾かれるケース
会社のPCや管理された端末では、hosts編集が想定通りにいかないことがあります。代表例は次の通りです。
管理者権限が付与されていない(編集・保存ができない)
保存できても、セキュリティ製品が改変を検知して元に戻す
端末管理のポリシーでhostsの改変が禁止されている
プロキシやセキュアDNSの利用で、検証要件と合わない(表示が変わらないように見える)
このケースは、個人の操作だけでは解決が難しいことが多いです。対処のコツは、管理部門へ相談する際に次の情報をセットで伝えることです。
目的:サイト移転前の表示確認、社内検証、障害切り分け等
対象:どのドメインをどのIPへ向けたいか
期間:いつからいつまで必要か(作業後に元に戻す前提があると通りやすい)
影響:その端末だけの変更であること、作業後に復元すること
「戻す前提」「影響範囲が限定的」を明確にすると、許可や代替手段の提案が得られやすくなります。
hostsファイルを元に戻す方法と安全な運用
hostsは便利ですが、変更を残したままだと“ローカルだけ別世界”になり、後から思わぬ混乱を招きます。安全に運用するための基本は、次の3つです。
編集前にバックアップを取る
目的が終わったら元に戻す(または無効化する)
何のための行か分かるように整理する(コメント、日付、担当など)
この章では「元に戻す」ことを中心に、事故を防ぐ運用を解説します。
バックアップの取り方と復元手順
作業前にバックアップがあれば、復元は非常に簡単です。OS別に安全な方法を示します。
Windowsのバックアップ
編集前に
hostsをコピーして退避します。例:hostsをコピーし、同じフォルダにhosts.bakとして保存(権限が必要な場合あり)または、デスクトップ等に
hosts_backupとして保存しておく
Windowsの復元
バックアップした内容で元の
hostsを上書きします。上書き時も権限が必要になるため、メモ帳を管理者で起動して開き、バックアップ内容を貼り付けて保存する方法が確実です。
あるいは、該当行だけを削除して保存しても復元は可能です(ただし削除漏れに注意)。
macOSのバックアップ
次のコマンドで退避します。
sudo cp /private/etc/hosts /private/etc/hosts.bak
macOSの復元
バックアップから戻す例:
sudo cp /private/etc/hosts.bak /private/etc/hosts
または
sudo nano /private/etc/hostsで開き、追加した行を削除して保存します。
Linuxのバックアップ
次のコマンドで退避します。
sudo cp /etc/hosts /etc/hosts.bak
Linuxの復元
バックアップから戻す例:
sudo cp /etc/hosts.bak /etc/hosts
または
sudo nano /etc/hostsで開き、追加行を削除して保存します。
バックアップを取っておけば「どこまで戻せばいいか分からない」状況を避けられます。特に初めて触る人ほど、バックアップの有無が安心感に直結します。
作業後に削除すべき行と残すべき行
hostsの行は、目的が終わったら整理するのが鉄則です。削除すべきものと残すべきものを区別しておきましょう。
削除(またはコメントアウト)すべき行
サイト移転・DNS切替の“事前確認”のために一時的に追加した行
確認が終わったら即削除が基本です
障害調査の切り分けで一時的に向き先を変えた行
調査が終わったら戻さないと、後日「自分だけ直らない/自分だけおかしい」が起きます
短期間だけブロックしたい目的の行
恒久的に制限したい場合は、社内ポリシーやフィルタリング等、別の管理手段が適していることもあります
残すべき行(触らないほうがよい行)
localhost関連の行既定で入っている
127.0.0.1や::1周辺の行OSや環境が前提としている行(不明なら削除しない)
「この行は何のため?」と後で困らないよう、追加行にはコメントを付ける運用が有効です。例:
コメントを入れておけば、後日見返したときに削除判断が容易になります。
目的別テンプレート(移転確認・ブロック・社内向け)
最後に、よくある目的別に“そのまま使える形”でテンプレートをまとめます。実際のIPやドメインは自分の環境に置き換えてください。
| 目的 | 記述例 | ポイント |
|---|---|---|
| サイト移転の事前確認 | 203.0.113.10 example.com203.0.113.10 www.example.com | 確認が終わったら必ず削除。アクセスするホスト名(www有無)を漏れなく書く |
| 特定サイトのブロック | 0.0.0.0 example.com | 影響が強いので対象を誤らない。www等も必要なら追加。作業後に解除する |
| 社内サーバの固定 | 192.168.1.10 intranet.local | IPが変わる環境ではルール化が必要。変更履歴が分かるコメント運用が有効 |
テンプレート活用の注意点
ブロック目的で
0.0.0.0を使う場合、アプリや環境によって挙動が異なることがあります。意図したブロックになっているか、実際にアクセスして確認してください。サイト移転確認は、CDN/WAF/SSL証明書/Hostヘッダなど、hosts以外の要素も影響します。「表示は出るが内容が違う」「証明書エラーが出る」などが起きる場合は、検証要件に合わせて手順全体を見直す必要があります。
社内向け固定は、ネットワーク変更やDHCP、IP再割当があると崩れるため、恒久運用するならネットワーク管理の方針と揃えるのが安全です。