異動の挨拶メール、担当変更の連絡、進捗報告、問い合わせ窓口の案内。そんな場面で「業務にあたる」を使おうとして、手が止まったことはありませんか。意味は合っているのか、「当たる」と漢字にすべきか「あたる」とひらがなにすべきか、そして「担当する」「従事する」「対応する」とどう使い分ければ誤解されないのか――迷いどころが一度に押し寄せます。
本記事では、「業務にあたる」の意味をわかりやすく整理したうえで、社外文書で安心な表記の基準、言い換えを最短で決める判断軸、そして異動・窓口案内・障害対応・依頼・断りまで対応できるテンプレ文をまとめます。読み終えたときに、「この文面で大丈夫」と自信を持って送信できる状態に整えましょう。
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業務にあたるの意味は担当して遂行すること
「業務にあたる」は、特定の仕事を担当し、実際にその仕事を進めることを表す言い方です。単に“職業としてやっている”という説明よりも、「いま、その役割を引き受けて動いている」というニュアンスが出ます。自己紹介で「私は経理業務にあたっています」と言えば、経理という職能に属しているだけでなく、現に経理の仕事を回している感じが伝わります。
この「当たる」は、ぶつかる・的中するだけの意味ではありません。「任に当たる」「警護に当たる」のように、仕事や役割を受け持つ意味で使われます。だからこそ、「業務に当たる」はビジネスでも自然に通用します。
業務に当たると業務にあたるはどちらが正しいか
結論から言えば、どちらも誤りではありません。ただし、実務では「正しいか」より「迷いを減らす運用」が重要です。
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社外向け文書(取引先、顧客、公開資料):原則「業務に当たる」を推奨
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社内向け文書(Slack、社内メール、掲示):社内ルールに従う。ルールがなければ「あたる」も可
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共通の最重要ルール:同一文書内で「当たる/あたる」を混在させない
公用文の表記では、常用漢字の範囲で書き、必要に応じて仮名書きにする考え方が示されています。ただ、企業文書は公用文そのものではありません。だからこそ、「公的な一般原則を参考にしつつ、最終的には社内の統一ルールを優先する」という姿勢が安全です。
迷ったときの現実的な結論はこうです。社外向けは「当たる」で統一、社内向けは読みやすさ重視で「あたる」もOK。ただし“混在だけは避ける”。これだけで表記の悩みは大半が消えます。
まず1分で選べる言い換えの決め方
一覧表を眺めても決められないときは、次の4軸で選ぶのが早道です。
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責任を明確にしたいか(窓口・担当・責任者をはっきり言う必要があるか)
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関与の深さ(現場で手を動かすのか、支援・参加なのか)
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期間(一時的な担当か、継続する職務か)
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対外的な硬さ(社外で安全な硬め表現に寄せるか)
この4軸に沿って、最短で決めるなら次の通りです。
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責任を明確にする:担当する/責任を持つ/窓口を務める
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現場対応を示す:業務に当たる/対応する
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職務として継続性を示す:従事する
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関与を柔らかく言う:携わる
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問い合わせ・依頼処理を示す:対応する/承る(文体次第)
「業務に当たる」は、担当者として動いていることが伝わる一方、文脈次第で“責任者宣言”にも見えます。だから、責任の見え方をコントロールしたい場合は、主語と補足を工夫するのがコツです。
業務にあたると似た表現の違いが一目で分かる比較表
| 表現 | 責任の強さ | 関与の深さ | 期間の印象 | 文の硬さ | 向く場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 業務に当たる | 中〜やや強 | 現場寄り | 当面〜一定期間 | 標準 | 担当開始、対応中、現場作業 |
| 担当する | 強い | 範囲が明確 | 任期・担当期間 | 標準〜硬め | 窓口指定、責任明確化 |
| 従事する | 中 | 継続的 | 長期の職務 | 硬め | 職務経歴書、公式説明 |
| 携わる | 弱〜中 | 広く(浅くも可) | 期間幅広い | 標準 | 参加・関与を柔らかく表現 |
| 対応する | 文脈依存 | 目の前の処理 | 短〜中 | 標準 | 問い合わせ、障害、依頼処理 |
読み方のコツ:
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「責任を明確にしたい」なら、まず「担当する」。
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「現場で動いている」ニュアンスを出したいなら「業務に当たる」。
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「長期の職務」なら「従事する」。
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「参加・関与」なら「携わる」。
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「処理している」なら「対応する」。
業務にあたるが“責任者っぽく見える”のを避ける書き方
最も多い失敗は、「窓口担当」を言いたいのに、文章が“責任者宣言”に見えるケースです。たとえば、取引先から見れば「私が本件業務に当たります」は、窓口だけでなく責任の中心がその人にあるように映ります。
主語を変える:部署主語・チーム主語にする
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例:当社の担当チームが本件業務に当たっております。
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例:現在、○○部にて当該業務に当たっております。
主語を組織に寄せると、読み手は「チームとして対応している」と理解しやすくなり、個人への責任集中を避けられます。
役割を分けて書く:窓口と作業担当を分離する
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例:復旧作業はシステム担当が業務に当たり、私は窓口として状況をご案内いたします。
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例:技術検証は開発チームが業務に当たり、私は調整を担当いたします。
読み手が知りたいのは「誰が何をしているか」です。役割を分けるだけで、誤解と不安が大きく減ります。
範囲を一文で固定する:“どこまで”を添える
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例:本件は一次回答までの業務に当たり、詳細調査は別担当が行います。
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例:本日は受付と状況整理の業務に当たり、見積は明日ご提示いたします。
「業務に当たる」だけで終えると範囲がぼやけます。範囲を添えると、文章が一気に実務的(=誤解が少ない)になります。
メールでそのまま使えるテンプレ集
ここからは、コピペ前提で使えるテンプレです。
用途ごとに 社外向け(丁寧)/社内向け(標準)/緊急(短文) のタグを付けています。必要な箇所(○○)だけ置き換えてください。
異動・担当変更のテンプレ
社外向け(丁寧)
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件名:担当者変更のご連絡(○○案件)
いつもお世話になっております。○○株式会社の○○です。
このたび、○月○日付で○○案件の業務に当たることとなりました。
前任の○○より引き継ぎを受け、以後の窓口は私が担当いたします。
ご不明点がございましたら、本メールへご返信いただけますと幸いです。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
社内向け(標準)
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○月○日より、○○案件の業務に当たります。窓口は私(○○)です。必要事項はスレッドにまとめます。
緊急(短文)
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本日より○○案件の業務に当たります。窓口:○○。よろしくお願いします。
進捗報告のテンプレ
社外向け(丁寧)
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現在、○○の確認作業の業務に当たっております。
本日時点では、次工程(○○)へ進む準備が整っております。
予定どおり○月○日に中間報告いたします。
社外向け(遅延・丁寧)
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現在、追加確認の業務に当たっておりますため、完了見込みが○月○日に変更となります。
進捗があり次第、随時ご連絡いたします。ご不便をおかけし申し訳ございません。
社内向け(標準)
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○○の確認の業務に当たっています。懸念はAとB。完了見込みは○日。
緊急(短文)
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○○確認の業務に当たっています。完了は○日見込みです。
窓口案内のテンプレ
社外向け(丁寧)
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本件に関するご連絡は、私(○○)が窓口として承ります。
なお、技術確認は担当チームが業務に当たっておりますため、回答までに○営業日ほど頂戴する場合がございます。
社内向け(標準)
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○○の窓口は私です。検証の業務は開発チームが当たっています。
緊急(短文)
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窓口:○○。技術確認:開発。
障害・不具合対応のテンプレ(謝罪・一次報)
社外向け(丁寧)
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このたびはご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
現在、当社システム担当チームが復旧作業の業務に当たっております。
窓口は私(○○)が担当いたします。状況が判明次第、○時までに一次報をご連絡いたします。
社外向け(再報・丁寧)
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先ほどご連絡した件につき、進捗をご報告いたします。
現在、原因切り分けの業務に当たっており、暫定対応として○○を実施いたしました。
恒久対応の方針が固まり次第、改めてご連絡いたします。
社内向け(標準)
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障害対応:復旧作業の業務に当たり中。一次報は○時。窓口は○○。
緊急(短文)
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復旧対応中。一次報○時。窓口○○。
依頼のテンプレ(指示・お願い)
社外向け(丁寧)
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お手数をおかけいたしますが、○○の確認業務に当たっていただけますでしょうか。
期限は○月○日、成果物は○○(例:確認結果の返信)でお願いいたします。
社内向け(標準)
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○○の確認の業務に当たってください。期限○日、結果はスレッドに。
緊急(短文)
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○○確認お願いします。期限○日。
断り・調整のテンプレ(やんわり断る)
社外向け(丁寧)
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ありがとうございます。現時点では優先度の高い対応業務に当たっておりますため、○月○日以降の着手となります。
もし期限に制約がある場合は、代替案として○○をご提案いたします。
社内向け(標準)
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いま○○対応の業務に当たっていて、着手は○日以降になります。代替は○○。
緊急(短文)
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いま対応中。着手○日以降。代替○○。
職務経歴書・社内文書での“伝わる”書き方
「業務に当たる」はメールだけでなく、職務経歴書や社内通知でも使えます。ただし、目的が違うので書き方も少し変えた方が伝わります。
職務経歴書:業務の範囲と成果を一行で結ぶ
職務経歴書で大切なのは、「何をやっていたか」だけでなく「どの程度の量・成果だったか」です。「業務に当たる」で止めず、数字や成果に繋げると一気に強くなります。
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問い合わせ一次対応の業務に当たり、1日平均30件を処理。定型回答の整備で平均対応時間を短縮。
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請求処理の業務に当たり、月次締めを○日早期化。チェックリスト導入により差戻し件数を削減。
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受発注管理の業務に当たり、在庫差異の原因を分類し、再発防止策を提案。
「従事する」を使うと硬さが出ますが、読み手が求めるのは“中身”です。表現の硬さより、範囲と成果を明確にすることが重要です。
社内通知:役割分担を“主語+範囲+連絡先”で固定する
社内通知の失敗は、主語が曖昧で「誰がやるの?」が残ることです。次のフォーマットに揃えると混乱が減ります。
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○○:受付・一次切り分けの業務に当たる
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○○:技術検証の業務に当たる
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○○:取引先連絡(窓口)を担当する
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連絡先:○○(チャネル/メール)
この形で統一すると、読み手は“迷子”になりません。
よくある誤用と直し方
最後に、「業務に当たる」で起きがちな誤解を、失敗例→直し方でまとめます。
失敗例1:対象が曖昧
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失敗:本件業務に当たります。
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直し:○○の確認業務に当たります(期限:○日、成果物:○○)。
ポイント:対象・期限・成果物のどれかを足す。
失敗例2:責任者に見える
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失敗:私が業務に当たります(社外向け)。
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直し:担当チームが業務に当たっております。窓口は私(○○)が担当いたします。
ポイント:主語と役割を分ける。
失敗例3:表記が混在する
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失敗:本文に「業務に当たる」と「業務にあたる」が混在。
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直し:同一文書ではどちらかに統一(社外は当たる推奨)。
ポイント:品質は“統一”で上がる。
失敗例4:敬語が足りない
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失敗:部長がこの業務に当たります。
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直し:部長が本件の対応に当たられます/部長が対応されます(社内文脈次第)。
ポイント:目上の人の動作は尊敬表現へ(社風に合わせる)。
迷ったときの最終チェックリスト
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誰が動くか(主語)は明確か:個人/部署/チーム
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何をするか(対象業務)は具体的か
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どこまでやるか(範囲)が一文で伝わるか
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いつまでか(期限)が必要なら入っているか
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表記(当たる/あたる)は文書内で統一されているか
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社外向けで“責任者宣言”に読まれないか(役割分離できているか)
このチェックに通れば、多くの場合「この文面で大丈夫」と言えます。
参考にした情報源
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国税庁(税理士制度Q&A):https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/qa/02.htm
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国税庁(消費税:事業の定義):https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/22/01.htm
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文化庁(公用文作成関連PDF):https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kokugo_kadai/iinkai_26/pdf/r1414166_02.pdf
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厚生労働省(公用文・法令の漢字使用):https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta0025&dataType=1&pageNo=1
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ミギナナメウエ:https://job.migi-nanameue.co