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グリストとは?臭いと詰まりを防ぐグリストラップ管理の教科書

厨房で「グリスト、そろそろ見た?」と言われて、意味も管理方法も分からず焦ったことはありませんか。グリストは多くの場合、厨房排水の油や食べかすを分離する「グリストラップ(グリース阻集器)」のことです。
ただ、設置しているだけでは効果は続きません。残渣が腐れば臭いが出て、油膜が厚くなれば配管詰まりの原因になり、コバエが増えることもあります。しかも一度トラブルが起きると、営業に影響するほど手間と費用がかかりがちです。

この記事では、グリストの意味と仕組みを3分で整理したうえで、あなたの店の油量に合わせた清掃頻度の決め方、日次・週次・月次で回せる手順、臭い・詰まりが起きたときの切り分け、業者に頼むべきタイミングまでをまとめました。読み終える頃には、「結局うちは何をどれくらいやればいいのか」がはっきりし、今日から迷わず管理を回せるようになります。

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目次

グリストとは何かを最短で理解する

グリストとグリストラップとグリース阻集器の違い

まず、言葉の整理をしておきます。呼び方が揺れるせいで、理解が遅れやすいポイントです。

結論:現場で言う“グリスト”は、ほとんどの場合グリストラップのことです。
自治体の資料では「グリース阻集器(グリーストラップ)」と書かれることが多く、意味は同じと考えて問題ありません。

用語整理(呼び方の違い)

用語 現場での使われ方 ざっくり意味
グリスト 略語としてよく使う 多くはグリストラップのこと
グリストラップ 設備名として一般的 厨房排水の油脂・残渣を分離する装置
グリース阻集器 公的文書で見かける グリストラップの正式寄り表現

さいたま市の案内では、グリース阻集器(グリーストラップ)を「排水中の油脂分を分離・貯留して、宅内排水管・下水道管に流さないようにする装置」と説明しています。油脂分は比重差で水面に浮き、油脂分の少ない水が流れていく、という仕組みです。

グリストが必要になる理由と、放置すると起きること

厨房から出る排水には、目に見えなくても油が混ざります。油は冷えると固まり、配管の内側に貼り付きやすい性質があります。ここを放置すると次のような問題につながります。

  • 排水管や下水管の詰まり・流れの悪化

  • 悪臭(腐敗臭・油臭)

  • コバエなどの害虫が出やすい

  • 油が下水側へ流れて周囲に迷惑が出る、清掃指導を受ける可能性

だからこそ、グリストラップは「設置すれば終わり」ではなく、「分離した油や汚れを定期的に取り除く」ことが前提の設備です。名古屋市の資料でも、グリストラップ(阻集器)について清掃・点検の目安が表で整理されています(点検は1回/7日以内、清掃は1回/6月以内の目安)。
この“清掃1回/6月以内”は最低ラインの整理として参考になりますが、実際の飲食店運営では、油量が多いほどそれ以上の頻度が必要になるのが普通です。


グリストラップの仕組みと、汚れが溜まる場所

グリストラップは「ゆっくり流して分ける」装置

グリストラップの仕組みは難しそうに見えて、ポイントはシンプルです。

  • 水より軽い油は上に浮く

  • 食べかすや汚泥は下に沈む

  • 流れをゆっくりにして、浮く・沈む時間を作る

多くのグリストラップは槽が分かれていて、次のような流れで分離が進みます(構造は機種で異なりますが、考え方は同じです)。

  1. 入口付近(第1槽):大きめの残渣が溜まりやすい

  2. 中央(第2槽):油が浮上し、汚泥が沈殿しやすい

  3. 出口付近(第3槽):分離が安定してから排水側へ流れる

国土交通省の告示関係資料では、汚水が油脂などを含み配管機能を妨げるおそれがある場合に阻集器を設けること、油脂等を有効に分離できる構造、そして「容易に掃除ができる構造」とすることが示されています。
つまり、グリストラップは“分離性能”と同時に“掃除できること”が要件です。

臭い・詰まり・害虫が起きる典型パターン

トラブルは、だいたい同じ順番で育ちます。

  • 第1槽に残渣が溜まる → 腐敗して臭いが強くなる

  • 第2槽の油膜が厚くなる → 油臭・腐敗臭が漏れる

  • 汚泥が増える → 流路が狭くなり、流れが悪くなる

  • 油が分離しきれず流出 → 配管の先で固着し、詰まりやすくなる

  • 臭い・害虫が慢性化し、営業に影響する

ここで重要なのは、「臭いが出てから」ではなく「臭いが出る前」に取ることです。特に油量が多い店ほど、日次・週次の軽い作業が効きます。


グリストの清掃頻度はどう決める?業態別の目安と調整サイン

まずは“最低ライン”と“困らないライン”を分ける

清掃頻度の話がややこしいのは、「最低ライン(基準として整理されている目安)」と「困らないライン(現場で臭い・詰まりを出さない運用)」が別だからです。

名古屋市の表では、グリストラップ(阻集器)について「清掃:1回/6月以内」「点検:1回/7日以内」と整理されています。
これはあくまで“管理の目安として整理された頻度”であり、油量が多い飲食店は、実態としてこれ以上の頻度が必要になります。

点検は「汚れの量を見て、頻度を調整するため」に行います。点検が週1回なら、週1回のタイミングで油膜の厚さや汚泥の量を見て「今週は浮上油を追加で回収」「来週は業者相談」などの判断ができます。

業態別の推奨頻度(まずこの形から始める)

次の表は“スタート地点”です。実際は店舗ごとの油量・客数・設備容量・営業形態で増減します。

業態・油量の目安 日次(残渣) 週次(浮上油) 月次(汚泥・槽内) 点検(目安) 調整サイン
カフェ・軽食中心(油少) 毎日 週1回 月1回 週1回 臭いが出たら週2回へ
定食・居酒屋(油中) 毎日 週2回 月1〜2回 週1回 油膜が厚い→週3回へ
揚げ物中心(油多) 毎日 週2〜3回 月2回 週1回 ぬめり・臭い→頻度増
ラーメン・スープ油分多(油多) 毎日 週3回 月2回 週1回 流れ悪化→業者相談

※自治体の整理例として点検1回/7日以内の表があるため、点検は週1回を最低ベースとして設計しやすいです。

頻度を上げるべきサイン(迷ったらここを見る)

次のサインが出たら、頻度を上げるか、月次作業の範囲を広げる判断をします。

  • フタを開けた瞬間に臭いが強い

  • 油膜が以前より厚い(すくってもすぐ戻る)

  • 排水の流れが遅い、ゴボゴボ音がする

  • コバエが増えた

  • 仕切り板や流入口付近にこびりつきが目立つ

  • “清掃しても改善しない”が続く

逆に言えば、これらが落ち着いていれば、頻度は維持か、少しずつ最適化できます。


グリスト清掃の手順:日次・週次・月次で“回せる型”を作る

ここからは、現場で続くように「分ける」「短くする」「記録する」を徹底します。
グリスト清掃は、毎回フル掃除をするのではなく、汚れの成長スピードに合わせて手を入れるのがコツです。

作業一覧(誰が・何を・時間目安)

頻度 誰がやる 何をやる 時間目安 ポイント
日次 スタッフ 残渣(バスケット等)回収、フタ確認 5〜10分 腐敗の元を残さない
週次 責任者 浮上油の回収、詰まりチェック 10〜20分 油膜を薄く保つ
月次 責任者/店長 汚泥回収、壁面清掃、流路確認 20〜40分 固着の芽を摘む
定期 業者 槽内の徹底清掃、配管洗浄(必要時) 1〜2時間 慢性化した臭い・詰まり対策

※時間は設備サイズ・汚れ・動線で変わります。最初は余裕を持って確保し、慣れたら短縮します。


日次でやること:残渣を“必ず外へ出す”

目的:腐敗臭と害虫を防ぐ最短ルート

手順(5〜10分)

  1. 換気をする(フタを開ける前に窓・換気扇を回す)

  2. フタを開け、バスケットや受け皿の残渣を回収する

  3. 受け皿周りの付着を軽く落とす(汚れを槽内に落としすぎない)

  4. フタとパッキンの状態を確認してしっかり閉める

  5. 清掃記録に“日付だけ”でもチェックを入れる

コツ

  • “濡れた残渣”は臭いの元です。回収して外に出すだけで改善するケースが多いです。

  • フタの閉め忘れは臭い漏れや害虫侵入につながります。最後の確認が効果大です。


週次でやること:浮上油を“薄くする”

目的:油臭・配管側への流出を防ぐ

手順(10〜20分)

  1. 浮上油をすくい取る(油膜が厚いほど優先度は高い)

  2. 流入口・流出口付近に詰まりがないか確認する

  3. 仕切り板周りのこびりつきを軽く落とす

  4. 点検欄に「油膜:薄/中/厚」など一言残す

やりがち注意

  • 強くかき混ぜてしまうと分離が崩れ、油が流れやすくなります。

  • “すくって終わり”ではなく、流入口・流出口の確認までセットにすると詰まり予防になります。


月次でやること:汚泥と固着を“リセット”

目的:詰まりの芽を摘み、臭いが戻るのを防ぐ

手順(20〜40分)

  1. 汚泥の溜まり具合を確認し、回収する(無理に全量を自力でやらない)

  2. 壁面・仕切り板の付着を落とす

  3. トラップ周り(封水部)を確認し、臭い上がりを防ぐ

  4. 排水の流れを確認する

  5. 記録に「回収量(少/中/多)」「臭い(弱/中/強)」を残す

自力で限界を感じるポイント

  • 汚泥が重い、固着が強い

  • 清掃しても臭いが戻るのが早い

  • 排水の流れが改善しない
    この場合は、配管側の詰まりも疑い、業者相談へ切り替える方が早いです。


清掃後チェックリスト(毎回これだけは確認)

  • フタが確実に閉まっている(パッキンずれなし)

  • 流入口・流出口に詰まりがない

  • 油膜が厚すぎない

  • 排水の流れが悪くない

  • 記録(チェックだけでも)を残した


臭い・詰まり・害虫のトラブルシューティング:原因を切り分ける

「清掃しても臭いが取れない」「詰まりが改善しない」は、原因が違うことがほとんどです。まずは切り分けるのが最短です。

症状別 分岐表(原因→確認→対処)

症状 可能性が高い原因 まず確認すること 今すぐの対処 再発防止
臭いが強い 残渣腐敗 第1槽の残渣量 残渣回収を毎日に 日次作業の固定化
臭いが油っぽい 油膜が厚い 第2槽の油膜厚 浮上油を回収 週次回収を週2回へ
臭いが下から上がる 封水不足/フタ不良 フタ・パッキン、封水 フタ修正、封水確認 月次点検を固定化
排水が遅い 汚泥堆積 汚泥量、流路 汚泥回収、流入口清掃 月次頻度を上げる
排水が詰まる 配管側固着 グリスト外の排水口 業者相談(配管洗浄) 油の流入削減
コバエが増えた 残渣放置/フタ開放 フタの閉まり、残渣 残渣回収、フタ徹底 日次+換気ルール

ポイントは「臭い=全部グリストのせい」と決めつけないことです。フタの閉め不良や封水不足でも臭いは上がります。分岐表で当たりをつけ、必要なら業者に相談します。


油を流さない工夫:グリスト対策は“上流”が一番効く

グリストラップの清掃を頑張っても、流入する油が多ければ追いつきません。最も効果が高いのは「油を流さない」ことです。

  • 皿や鍋の油は、紙で拭き取ってから洗う

  • 揚げ油は回収し、廃油として適切に処理する

  • 大量の油が出る作業(鍋洗いなど)をスタッフ間で共有し、事前に拭き取りを徹底する

  • “熱湯で流すだけ”に頼らない(配管の先で固まる原因になりやすい)

上流対策ができると、週次作業の負担が軽くなり、臭いの再発も減りやすくなります。


グリストの廃棄と業者依頼の判断基準:迷わないための整理

ここはミスが起きやすいポイントです。「何をどこまで自力でやり、いつ業者に頼むか」「回収物はどう扱うか」を整理します。

回収物の扱いで大切なのは“物件ルールと自治体確認”

グリストラップから回収した油や汚泥、残渣は、店舗の形態や地域ルールで扱いが変わることがあります。だからこそ、迷ったら次の順で確認するのが安全です。

確認フロー(迷ったらこれ)

  1. テナントなら管理会社・オーナーのルール確認(指定業者・指定手順がある場合が多い)

  2. 自治体の担当窓口に確認(排水・廃棄物の扱い)

  3. 許可業者へ委託(回収・運搬・処分・報告書まで含めて相談)

“自己判断でOK”と断定しないことが、結果的に一番安全です。

記録テンプレ:これだけ残せば困りにくい

清掃や委託の記録は、面倒に見えてトラブル時に効きます。最低限、次だけ残すと運用が安定します。

  • 清掃日(誰がやったか)

  • 回収量(少/中/多)

  • 臭い(弱/中/強)

  • 異常(流れ悪い、害虫など)

  • 業者委託をした日、会社名、作業内容、書類(ある場合は番号)


業者に依頼すべきサイン:時間とリスクの分岐点

次に当てはまるなら、無理に自力で抱えず、業者相談が現実的です。

  • 清掃しても臭いがすぐ戻る(固着・汚泥の芯が残っている可能性)

  • 排水の流れが改善しない(配管側の詰まりの可能性)

  • 汚泥が重くて回収・運搬が難しい

  • テナント規約で業者が指定されている

  • 清掃報告書や点検記録の提出を求められている


自力清掃と業者委託の比較(意思決定用)

比較項目 自力清掃 業者委託
費用 目先は抑えやすい 費用は発生するが計画しやすい
手間 継続できれば強い 日程調整と立会いが必要
確実性 取り残しリスクあり 徹底清掃・配管洗浄まで対応しやすい
リスク 廃棄や誤処理の不安 処分・報告の整合を取りやすい
向く状況 軽度の汚れ、予防中心 慢性臭・詰まり、規模大、指導対応

見積もり比較チェック(あとで揉めないために)

チェック項目 確認ポイント NG例
作業範囲 槽内のみか、配管洗浄までか 「一式」だけで不明
回収物の扱い 運搬・処分まで含むか、書面は出るか 処分が別料金で不明確
追加費用条件 汚泥量・夜間・緊急対応の条件 当日になって追加が増える
報告書 写真・作業内容の報告があるか 口頭のみ
次回提案 頻度の提案が妥当か 不必要な高頻度を押す

よくある質問:グリストの疑問を短時間で解消

グリストがない店はどうなるのか

厨房排水に油脂分が多いのに対策が弱いと、配管詰まりや悪臭の原因になります。国の告示関係資料でも、油脂などが配管機能を妨げるおそれがある場合は阻集器を設けること、分離でき掃除しやすい構造とすることが示されています。
ただし、設置の要否や求められる運用は物件条件や自治体・管理会社の指導で変わるため、開業・改装時は必ず確認してください。

臭いが取れないのに清掃しているのはなぜ?

原因がグリストラップ内だけではないことがあります。フタの閉まり不良、封水不足、配管側の固着があると、表面を清掃しても臭いが戻ります。分岐表で切り分け、必要なら配管洗浄を含めて相談するのが近道です。

点検と清掃の違いは?

点検は「汚れの量・詰まり・損傷・漏水などを見て判断する」こと、清掃は「実際に回収して取り除く」ことです。名古屋市の整理例では点検は週1回程度、清掃は半年以内などの目安が示されていますが、飲食店は油量に応じて清掃頻度を上げて運用するのが一般的です。

排水基準の“油”って何のこと?

油分の指標のひとつに「ノルマルヘキサン抽出物質(動植物油脂類)」があり、環境省の一般排水基準では許容限度が示されています。こうした背景があるため、油を下水に流しにくくする運用が重要になります。

清掃記録はどこまで必要?

法的な扱いは状況で変わりますが、少なくとも「いつ・誰が・どれくらい回収したか・異常があったか」だけでも残すと、指導対応や業者相談が格段に楽になります。忙しい店ほど“チェックだけ”の記録が効きます。


まとめ:グリストは「意味」より「回せる運用」で差がつく

  • グリストは多くの場合、グリストラップ(グリース阻集器)のこと

  • 役割は、油脂分や残渣を分離して下水管・排水管の詰まりや悪臭を防ぐこと

  • 点検は週1回をベースに、油膜・汚泥の量を見て清掃頻度を調整する(自治体の整理例も参考になる)

  • 日次・週次・月次に分けると、少ない負担で続けやすい

  • 清掃しても改善しない場合は、配管側固着の可能性があるため業者相談が近道

  • 油を流さない上流対策(拭き取り・回収)が、実は一番効く

最後にひとつだけ。自治体の指導や物件ルールは地域・契約で変わり、改定されることもあります。店の所在地の自治体ページや管理会社のルールは、年1回は見直すと安心です。


参考情報