オンラインゲームで「グリーフされた」「グリーフするな」と言われたとき、多くの場合はグリーフィング(griefing)の略として使われています。これは、試合の勝敗や目的から外れて、他人のプレイを意図的に妨害したり、困らせたりする迷惑行為を指す言葉です。
ただし、言葉としての強さがあるぶん、現場では「単に下手だった」「判断が噛み合わなかった」「たまたま事故が重なった」ケースまで、勢いでグリーフ扱いされることもあります。そのため、意味を正しく押さえたうえで、行為の線引きと対処を知っておくことが重要です。
一方で、英語のgrief自体は「深い悲しみ・悲嘆」という意味でも使われます。医療や福祉の文脈で見かける「グリーフケア」などは、こちらの意味です。
この記事では、ゲーム用語としてのグリーフに絞って、意味・例・近い用語との違い・対処までを、実践的に整理します。読み終えたときに「何がグリーフで、どう動けばよいか」が判断でき、次の試合で迷いにくくなることを目指します。
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グリーフとは何かをゲーム用語で言い換える
ゲームで言う「グリーフ」は、単なる悪口や雰囲気の悪さを指すのではなく、基本的にはゲーム体験や試合進行に対して“実害”が出る妨害を意味します。理解の近道は、「行為」「人物」「略称」の3つを分けて捉えることです。
グリーフとグリーフィングとグリーファーの関係
グリーフィング(griefing):意図的な迷惑行為・妨害行為
グリーファー(griefer):グリーフィングを行うプレイヤー
グリーフ(grief):コミュニティ内での略称として「グリーフィング」を指すことが多い
たとえば「味方がわざと自爆して試合を壊している」「必要なアイテムを独占し続けて進行を止めている」「復活地点で延々と妨害してくる」といったケースは、多くの人が“意図的な妨害”としてグリーフィングと認識しやすいでしょう。
逆に、ミスプレイや判断違いは、結果として迷惑に見えることがあっても、意図がなければグリーフとは言い切れない場合が多くなります。
ここで重要なのは、グリーフの認定は「気持ち」ではなく「行動の性質」で考えることです。感情が先に立つと、チーム内の衝突が増え、勝てる試合まで落としやすくなります。言葉としての強さを理解したうえで、状況把握に使うのが安全です。
一般語のグリーフと混同しやすい理由
「グリーフ」というカタカナは、ゲーム以外の分野でも頻繁に登場します。代表的なのが「悲嘆」を意味するgriefで、喪失体験に関する支援や心理の領域で使われる「グリーフケア」などがそれに当たります。
検索でも混ざりやすいのは、同じ表記でも指しているものがまったく異なるからです。
一般語のグリーフ:喪失体験による悲嘆(例:グリーフケア、グリーフサポート)
ゲーム用語のグリーフ:迷惑行為としてのグリーフィング
ゲームの文脈で混同が起こるパターンは、主に次の2つです。
初見の人が「グリーフ=悲しみ」と理解してしまう
その結果、配信コメントやSNSで見かける「グリーフするな」が意味不明に見えます。ゲーム側の用語が英語由来のスラングとして定着している
本来の辞書的な意味と、コミュニティでの用法がずれることは珍しくありません。
検索するときは、「グリーフ」だけだと一般語の情報も混ざりやすいため、「グリーフィング」「griefing」「グリーファー」などの表記を合わせると、目的の情報に近づきます。
グリーフと呼ばれやすい行為の具体例
グリーフはゲームジャンルやタイトルによって形が変わります。ただし共通して言えるのは、勝利や攻略と無関係に、他者の体験を壊す方向へ行動が固定される点です。判断のための軸を先に置くと、混乱しにくくなります。
判断の軸になる3つの観点
目的のズレ:勝つ・攻略するための行動ではなく、妨害が目的化している
継続性:偶発的ではなく、同種の行動が繰り返される
不自然さ:合理的な説明がつきにくい(通常のミスや経験不足では説明しづらい)
ここからは「味方妨害」「敵への執着」「ルールの穴を使う」という3タイプで、具体例を挙げます。自分のプレイ環境(FPS、MOBA、バトロワ、MMO、クラフト系など)に当てはめて読むと理解が進みます。
味方妨害タイプ
味方妨害タイプは、チームゲームで最も分かりやすく、遭遇時のストレスも大きい類型です。典型例は次のとおりです。
味方への直接攻撃(フレンドリーファイアがあるゲーム)
わざと撃つ、爆発物を足元に投げる、回復を止めるなど、戦闘に参加するフリをしながら味方の戦力を削る行為です。進行の物理的妨害
体で道を塞ぐ、出口を塞ぐ、視界を遮る、必要なギミックの操作を邪魔するなど、勝敗以前に「ゲームを進めさせない」目的が見える行為です。リソースの独占・破壊
重要な弾薬や回復、素材、鍵アイテムを独占して捨てる、チーム用資材を浪費する、拠点の設備を壊すなど、チームの行動選択肢を奪う行為です。故意のAFK・放置の繰り返し
一度だけの回線落ちや急用なら事故として理解され得ますが、開始直後から動かない、重要局面で毎回止まるなど、パターンが見えると疑いが濃くなります。味方を危険に誘導する
「ここ安全です」と言って危険地点に誘導する、敵の射線に押し出す、罠に誘導するなど、会話やピンを利用するタイプです。
重要なのは、一つの事象だけで断定しないことです。誤操作や初心者の動きが結果として妨害に見えることもあります。継続性や、指摘後の反応(改善するのか、むしろ悪化するのか)を見て判断するほうが安全です。
敵への執着タイプ
敵への執着タイプは、「戦術的なフォーカス」との境界が曖昧になりやすい点が特徴です。たとえば、MOBAやFPSでは、重要ターゲットを優先すること自体は普通にあります。しかしグリーフに近づくのは、勝ち筋を捨ててまで特定個人への嫌がらせを優先し始めたときです。
勝てる状況でオブジェクトを捨て、特定の相手を追い回す
目的が順位・拠点・護衛・制圧にあるのに、執着で立ち回りが崩れ、チームが負ける。しかも同じ相手に対してだけそれが繰り返される。自分が倒され続けるのに挑み続けて戦力差を広げる
これは単なる実力差でも起こりますが、チャットで煽られて逆上し、試合全体を捨ててでも復讐しようとすると、グリーフ的に見られやすくなります。味方の合流を無視して単独突撃を繰り返す
単独行動が必ず悪いわけではありませんが、合流すれば勝てるのに、あえて分断して負け筋を踏み続ける場合は意図を疑われます。
線引きのコツは、「その行動が自チームの期待値を上げているか」を問い直すことです。合理的な説明(視界確保、時間稼ぎ、リソース回収、敵の分断など)が成り立つなら戦術として解釈できます。一方で、説明が成立しないのに同じ執着が続くなら、グリーフに近づきます。
ルールの穴を使うタイプ
ルールの穴を使うタイプは、ゲームの仕様を悪用して「相手の体験を壊す」ことに焦点が当たりやすい類型です。ここにはグレーゾーンも混ざりますが、一般に次のような行為はトラブルになりやすいです。
初心者や低レベル帯の進行を意図的に止める
出口を塞ぐ、クエスト進行を妨害する、狩場を荒らすなど、コミュニティの流れを壊す行為です。ゲーム内の建築・拠点・共有物を破壊する
クラフト系、サンドボックス系では特に被害が大きくなりやすく、復旧にも時間がかかります。復活地点やスポーン周りでの執拗な妨害
対戦ゲームではルール上許される場合もありますが、過度な行為は運営のポリシーや通報対象に触れる可能性があります。仕様を突いた妨害(視界妨害、当たり判定悪用、スタック誘発など)
勝つための小技と違い、「相手を操作不能にする」「行動自体を阻害する」方向に偏ると、迷惑行為として扱われやすくなります。
ここで注意したいのは、「仕様だから何をしてもよい」とは限らない点です。多くのオンラインゲームは規約や運営方針で、嫌がらせや妨害行為を制限しています。タイトルによって判断が分かれるため、最終的にはそのゲームのルールに従う必要があります。
トロールやゴースティングなど近い用語との違い
グリーフは単独で語られることもありますが、実際の現場では近い用語とセットで飛び交い、誤解が増えがちです。ここでは、混同しやすい言葉を「目的」「手段」「結果」で整理します。
トロールとの違い
トロール:反応を引き出す目的が強い(煽る、怒らせる、混乱させる)
グリーフ:ゲーム進行や勝敗に“実害”を出す目的が強い(妨害・嫌がらせ)
トロールは「言葉」「態度」「煽り」に重心があり、グリーフは「行動」「妨害」に重心があると考えると整理しやすいです。ただし、両者は重なります。たとえば、チャットで煽りながら味方を撃つ、わざと負けに導く、といった行為は「トロールでありグリーフでもある」という状態になります。
現場での注意点として、トロールに反応すると状況が悪化しやすいです。言葉の応酬になった瞬間に、勝敗よりも対立が前面に出ます。グリーフ対処の基本である「ミュート」「距離を取る」は、トロールにも有効です。
ゴースティングとの違い
ゴースティング:外部情報(配信映像、観戦情報、画面共有など)を利用して位置や行動を読んで有利を取る
グリーフ:外部情報に限らず、妨害目的の行為全般
ゴースティングは「情報の不正利用」に焦点があり、配信者や大会関連で問題になりやすい言葉です。対してグリーフは、情報利用に限定されません。
ただし、ゴースティングの動機が「嫌がらせ」になっている場合、結果としてグリーフ的な被害(試合を壊す、体験を壊す)につながることがあります。つまり、ゴースティングは「手段」、グリーフは「目的や影響」として捉えると整理しやすいです。
チーミングやスマーフとの違い
チーミング:本来敵同士が結託して有利を取る(不正な協力)
スマーフ:実力を隠して低い帯に入り優位に戦う(格差の悪用)
グリーフ:嫌がらせ・妨害(体験や試合の破壊)
チーミングやスマーフは「公平性」「マッチングの健全性」を壊す側面が強く、運営が規約で明確に禁止しているタイトルも多いです。
一方でグリーフは、勝つためというより「困らせる」「邪魔する」方向に寄るため、同じ迷惑でも性質が異なります。とはいえ、スマーフが弱い味方を煽って試合を捨てるなど、複合的に発生することもあります。用語の軸を揃えて会話できるだけで、チーム内の誤解はかなり減ります。
グリーフを受けたときの実践的な対処
グリーフに遭遇したとき、最も大切なのは「試合中にやること」と「試合後にやること」を分けることです。試合中に裁こうとすると、チームの集中が切れて負け筋が増えます。試合後に整理すれば、感情を荒らしにくく、記録も残しやすくなります。
試合中にやること(ミュート・記録・距離を取る)
まずミュートする
チャットやVCが荒れているほど、判断力が落ち、相手の思うつぼになりやすいです。特にトロール要素が混ざっている場合、反応した瞬間に相手の目的が達成されます。ミュートは「逃げ」ではなく、勝つための合理的な手段です。距離を取る・関わりを減らす
味方妨害が疑われる場合、同じ地点にいるほど被害が増えます。ルートを変える、同行をやめる、役割を入れ替えるなど、物理的に被害を受けにくい状態にします。
「味方を見捨てるのか」と感じる場面もありますが、妨害が続く状況では、全員が巻き込まれるより被害を局所化したほうが勝ち筋が残ることもあります。記録を残す(できる範囲で)
リプレイ保存、クリップ、スクリーンショットなどが可能なら、試合後の通報に役立ちます。
ただし、試合中に記録作業に集中しすぎると本末転倒です。可能なら「ワンボタン録画」や「試合後にリプレイで確認」など、プレイを止めない方法を優先します。チームへの共有は短く、断定しない
例:「今、進行を塞がれているのでルート変えます」
「回復が止まっているので別行動します」
断定(「グリーフだ」)は対立を生みやすい一方、事実共有はチームの意思決定に役立ちます。
試合後にやること(通報・ブロック・通報のコツ)
通報は感情ではなく事実ベースで
通報文が書けるゲームでは、「何が」「いつ」「何回」「結果どうなった」を短くまとめると伝わりやすくなります。
例:「開始後から意図的に味方へ攻撃を繰り返し、3回ダウンさせられた」
「進行ルートを継続して塞ぎ、目的達成を妨害された」
逆に、「最悪」「性格が悪い」などの感情語は、事実の裏付けにならないため、情報として弱くなりがちです。
ブロック・回避機能があるなら活用する
タイトルによっては「ブロック」「回避」「二度と同じチームにならない設定」などが用意されています。できる範囲で設定しておくと、再遭遇のストレスを減らせます。フレンド申請や個別チャットに応じない
試合後に絡まれると、トラブルが長引きます。議論で解決するケースは少なく、むしろ言葉尻を取られて通報合戦になることもあります。必要があれば、運営の窓口や通報システムに任せるのが安全です。
同じ相手に当たりにくくする工夫
連戦を避け、少し時間を置く
同時間帯に同じ相手とマッチングしやすいタイトルでは、数分ずらすだけで再遭遇が減ることがあります。パーティを組む
野良の不確実性が下がり、味方妨害タイプへの耐性が上がります。モード変更を検討する
ランク・カジュアル・イベントなど、モードによってプレイヤー層や温度感が異なる場合があります。疲れている日はカジュアルで気分転換し、逆に真剣に勝ちたい日はランクで意思統一しやすい環境を選ぶ、といった運用も有効です。プレイログの見直しで“引き金”を避ける
すべてを自分の責任にする必要はありませんが、トラブルが頻発する場合、「煽りに反応していないか」「チャットで断定していないか」などを振り返るだけで、衝突を減らせることがあります。
誤解を防ぐための伝え方と言葉選び
グリーフは「相手に悪意がある」と断定する言葉に近いため、使い方を誤ると、状況が改善するどころかチームが崩壊します。勝ち筋を残すためには、言葉を“裁き”ではなく“意思決定”に使うのがコツです。
断定より事実ベースで共有する
悪い例:「グリーフするな」「通報するぞ」
→ 相手が本当に悪意を持っていた場合は燃料になり、悪意がない場合は冤罪で対立が深まります。良い例:「今このルートは通りにくいので別ルートで行きます」
→ 事実に基づく提案になり、チームの行動がまとまりやすくなります。
「誰が悪いか」を決めるより、「この状況でどう勝つか」に言葉を使うほうが、試合中の価値が高くなります。
チームの温度感を下げる一言
短いフレーズで、場の空気を落ち着ける効果があります。
「勝ち筋だけ見ます」
「今はミュートで進めます」
「通報は試合後にします」
「切り替えていきます」
ポイントは、相手を攻撃せずに「自分の行動方針」を宣言することです。すると、チームもそれに合わせて意思決定しやすくなります。
自分が疑われたときの説明テンプレ
グリーフは誤解も起こります。自分が疑われたときに備えて、言い方の型を持っておくと、無用な衝突を避けられます。
「狙いは○○でしたが、結果的に邪魔になっていたならすみません。次は△△で動きます」
「意図は妨害ではなく、判断ミスでした。合わせます」
「今のは操作ミスです。次から気をつけます」
ここで大切なのは、長文で弁解しないことです。戦闘中に説明が長いと、それ自体がチームの負担になります。短く謝意と改善案を出すだけで、空気が戻ることが多いです。
よくある質問
グリーフとグリーフィングは同じですか
ゲームの会話では、同じ意味として使われることが多いです。厳密には、行為としては「グリーフィング」、それをする人は「グリーファー」で、コミュニティ内ではまとめて「グリーフ」と略される場面が目立ちます。
ただし、タイトルによっては「グリーフ=迷惑行為全般」を指してかなり広く使われることもあります。会話が噛み合わないときは、「今言っているグリーフは、味方妨害の話ですか、それとも放置の話ですか」というように、行為の種類に落とし込むと誤解が減ります。
グリーフは戦術と言われることもありますか
状況によっては「相手の動きを妨げる」戦術と混同されます。たとえば、射線を切る、敵の進路を制限する、囮で時間を稼ぐ、といった行動は戦術です。
一方でグリーフは、勝敗や目的と関係なく「困らせること」が目的化しやすい点が異なります。線引きは次の問いで考えると整理しやすいです。
その行動は、自チームの勝率や目的達成確率を上げていますか。
その行動を説明するとき、合理的な理由(時間稼ぎ、索敵、オブジェクト管理)が成り立ちますか。
同じ行動が、特定の相手に対してだけ繰り返されていますか。
合理性が説明できるなら戦術、説明できず嫌がらせに寄るならグリーフ、と判断しやすくなります。
一般語のグリーフとどう見分けますか
文脈で見分けます。
ゲーム用語のグリーフは、マッチ、通報、BAN、迷惑行為、妨害、トロール、VC、ランクといった話題と一緒に出てきやすいです。
一方、一般語のグリーフは、死別、喪失、悲嘆、支援、ケア、心理といった話題と結びつきます。検索結果が混ざる場合は、「グリーフィング」「griefing」などを加えるとゲーム用語側に寄りやすくなります。
まとめの要点
ゲーム用語の「グリーフ」は多くの場合、グリーフィング=意図的な妨害・迷惑行為を指します。
判断は「目的のズレ」「継続性」「不自然さ」を軸に、ミスや判断違いと切り分けるのが安全です。
遭遇したら、試合中はミュート・距離を取る・記録で被害を減らし、試合後に通報・ブロックで整理すると実務的です。
言葉の使い方が強いぶん、断定で空気を壊さず、事実ベースの共有でチームの意思決定につなげると、勝ち筋が残りやすくなります。