Excelでタスクの完了や修正済みを示したいのに、「取り消し線ってどこだっけ?」と手が止まった経験はないでしょうか。毎回リボンを探したり、セルの書式設定を開いたりしていると、ほんの数秒の積み重ねが意外と大きなロスになります。しかも、いざショートカットを使おうとしても「Ctrl+5が効かない」「セルの一部だけに付けたいのにうまくいかない」といったつまずきも起こりがちです。
本記事では、Excelの取り消し線を最速で付け外しできるCtrl+5を軸に、セル全体・一部文字への使い分け、解除方法の複数ルート、そして効かないときの原因チェックまで、迷わず再現できるように丁寧に整理しました。さらに、作業を止めないためのクイックアクセスツールバーでのボタン化や、共有・集計で誤解を生まない運用のコツもあわせて解説します。読み終えたころには、取り消し線で迷う時間がなくなり、表の更新がスムーズになります。
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Excel取り消し線のショートカットはCtrl+5
Ctrl+5でできることは付与と解除の切り替え
Ctrl+5は、取り消し線のオン・オフを切り替えるショートカットです。つまり、同じ操作で「付ける」も「外す」もできます。
取り消し線を付けたい → Ctrl+5
取り消し線を外したい → Ctrl+5(もう一度)
この「同じキーで反転する」性質が、作業を速くする最大のポイントです。
例えば、進捗表で完了した行に取り消し線を付け、後から差し戻しが起きたら同じキーで戻す、という運用がスムーズになります。
注意点として、取り消し線は「見た目の書式」であり、セルの値そのものが変わるわけではありません。SUMやピボットテーブルで計算対象から外れるわけではないため、「見た目」と「データ処理」は分けて考える必要があります(この点は後半の注意点で詳しく扱います)。
セル全体に取り消し線を付ける手順
セル全体に取り消し線を付けるのは最も簡単です。やることは「セル(または範囲)を選択してCtrl+5」だけです。
手順
取り消し線を付けたいセル、または範囲を選択します
Ctrl+5 を押します
選択範囲に取り消し線が付きます
よく使う応用
複数セルを一括で:範囲選択(ドラッグ)してCtrl+5で一括適用できます
離れたセルにまとめて:Ctrlを押しながら複数セルをクリックで選択し、Ctrl+5で一括適用できます
行全体に付けたい:行番号をクリックして行全体を選択→Ctrl+5(ただし不要な列まで取り消し線になるので、運用ルールがある場合は注意)
作業を速くする小技
進捗表やチェックリストの場合は、完了行を選択する動作が多くなります。行全体に付ける運用にするなら「行選択→Ctrl+5」で非常に速くなります。
一方で、見積や請求のように「金額列だけは強調したい」など列ごとに見せ方を変える場合は、行全体への取り消し線は避け、必要な列だけ範囲選択する方がトラブルが減ります。
セル内の一部文字だけに取り消し線を付ける手順
「セル全体ではなく、セル内の一部だけ」に取り消し線を付けたい場面もよくあります。例えば、品名の一部だけ型番を差し替えた、文章の一部だけ修正した、といったケースです。
この場合はポイントが1つだけあります。セルを編集状態にして、取り消し線を付けたい文字だけを選択することです。
手順
対象セルを ダブルクリック(または F2)して編集状態にします
取り消し線を付けたい文字だけをドラッグして選択します
Ctrl+5 を押します
選択部分にのみ取り消し線が付きます
うまくいかないときの典型
セルを選択しただけでCtrl+5を押している
→ その場合、セル全体に適用されます。「一部だけ」を狙うときは必ず編集状態にします。文字選択がうまくできない(カーソル位置がずれる)
→ いったんF2で編集状態にし、矢印キーでカーソル移動→Shift+矢印で範囲選択すると安定します。
活用例
商品名:「旧モデルA」→「旧モデルA(販売終了)」の「販売終了」だけ取り消し線にしたい
修正履歴:「3月納品」→「4月納品」に変わったとき、3月だけ取り消し線で残す
レビュー対応:文章の修正箇所を取り消し線で残し、後から確認できるようにする
部分適用は便利ですが、セル内に書式が混在すると「見た目が崩れる」「コピー時に意図しない書式が持ち越される」ことがあります。必要に応じて、後述する「セルの書式設定」や「ボタン化」も併用すると扱いやすくなります。
Excel取り消し線を解除する方法
取り消し線は「解除」ができないと運用で困ります。完了にしたものが差し戻しになった、誤って取り消し線を付けてしまった、別の人が付けた取り消し線を整理したい、など解除の場面は必ず出ます。
解除方法は大きく3つあります。最速(ショートカット)/直感的(リボン)/確実(セルの書式設定)の順で使い分けるのがおすすめです。
ショートカットで解除する
解除も Ctrl+5 で行います。取り消し線はオン・オフの切り替えなので、付いている状態で押せば外れます。
セル全体の解除:セル(または範囲)を選択 → Ctrl+5
一部文字の解除:セルを編集 → 解除したい文字を選択 → Ctrl+5
解除でミスしやすい点
一部文字を解除したいのに、セル選択のままCtrl+5を押してしまう
→ セル全体の取り消し線が切り替わり、状況が悪化します。部分解除は必ず編集状態で文字選択を行います。複数セルに混在している場合、範囲選択で一括解除すると「付けたかったセルまで外れる」
→ 状態列や色分けなど、見分ける工夫があると事故が減ります。
リボンから解除する
ショートカットに慣れていない場合や、リモート環境でキーがうまく入らない場合はリボン操作が安定します。取り消し線は「ホーム」タブのフォント関連にあることが一般的です。
手順(基本)
対象セル(または文字)を選択します
「ホーム」タブのフォント付近にある 取り消し線 をクリックします
解除したい場合は、同じボタンをもう一度クリックします
リボン解除の良いところ
操作が目で追えるので、初心者でも迷いにくい
ショートカットが奪われる環境でも使える
ボタンが反転表示されることがあり、状態が把握しやすい
弱点
探す手間が少しある
「一部文字」の解除は、セル編集と文字選択が必要な点はショートカットと同じ
セルの書式設定から解除する
最も確実なのが「セルの書式設定」です。取り消し線が混在していて整理したい場合、あるいはショートカット・リボンがうまく動かない場合に強力です。
手順(セル全体)
対象セル(または範囲)を選択します
セルの書式設定を開きます(一般的にはCtrl+1がよく使われます)
「フォント」タブで「取り消し線」のチェックを外します
OKを押します
部分文字の場合
セルを編集状態にして、解除したい文字を選択してから同様にフォント設定を調整します
ただし環境によっては、部分文字の書式設定が分かりづらい場合があります。そのときは「一度コピーして別セルで整える」「書式のクリアで作り直す」など、運用側で割り切る方が速いこともあります。
書式設定解除が役立つ典型
別人が作ったファイルで、取り消し線が意図不明に混ざっている
コピー&ペーストで書式が崩れ、部分的に取り消し線が残ってしまった
解除したい範囲が広く、ミスなく確実に外したい
Excel取り消し線のショートカットが効かない原因
Ctrl+5は便利ですが、「効かない」「反応しない」と感じることもあります。多くの場合、故障ではなく 押しているキーが違う/状態が違う/別のものに奪われている のいずれかです。ここではよくある原因を順に潰せるよう、具体的に整理します。
テンキーの5を押している
最初に疑うべきはこれです。キーボード右側のテンキー(数字キー)で「5」を押していると、環境によっては期待通りに動かないことがあります。
確実なのは キーボード上段(Fキーの下の列)にある「5」 を使うことです。
チェック
「Ctrl」+「上段の5」で試す
ノートPCの「Fn」や「NumLock」に絡む配列の場合、上段を使うと安定しやすい
もしテンキーが必須の作業スタイルなら、後述の「ボタン化(クイックアクセスツールバー)」を用意しておくと、キー問題に引きずられずに済みます。
セル編集中でない・選択状態が違う
取り消し線は「セル全体」と「一部文字」で操作の前提が異なります。ここがずれていると「効かない」と感じやすくなります。
セル全体に付けたい
セル(または範囲)を選択している状態でCtrl+5
一部文字に付けたい
セルを編集状態にして、文字を選択してからCtrl+5
この区別が曖昧だと、次のような混乱が起きます。
「一部に付けたつもりが、セル全体に付いた」
「部分選択していないので、思った場所に線が出ない」
「そもそもセル編集になっていないので反応が分からない」
慣れるまでは、部分適用は必ずF2で編集→文字選択とセットで覚えると失敗が減ります。
別アプリやリモート環境でショートカットが奪われる
リモートデスクトップ、仮想環境、クラウドデスクトップ、会議ツール、キーボードカスタマイズ系ツールなどがあると、Ctrl+5がExcelに届く前に別用途として処理されることがあります。
特に「Ctrl+数字」は、タブ切り替えや画面操作などに割り当てられていることが珍しくありません。
切り分けの手順
Excelの画面をクリックして、確実にアクティブにする
他アプリ(ブラウザ、チャット、会議ツール)にフォーカスが移っていないか確認する
リモート環境の場合、ショートカットが「ローカルで処理」されていないか確認する
どうしても無理なら、リボンまたはセルの書式設定で作業を続行する
「ショートカットが使えない=作業が止まる」状態を避けるため、代替ルートを最初から知っておくことが重要です。
ショートカットキーの割り当て・補助機能の影響
PC側の補助機能(固定キー、ショートカット支援)や、常駐ソフト(キーボード割り当て、入力支援、クリップボード拡張など)が影響している場合もあります。
対処の考え方
「特定のPCだけで起きる」→常駐ソフトや設定の可能性が高い
「ファイルによって起きる」→編集状態や保護、操作対象の違いが原因かもしれない
「リモート時だけ起きる」→ショートカットの受け渡し設定の可能性が高い
業務環境で根本解決が難しい場合は、クイックアクセスツールバーでボタン化しておくのが現実的な落としどころになります。
取り消し線をボタン化して作業を速くする
ショートカットは速い反面、「効かない環境がある」「覚えられない人がいる」「チーム内で操作を統一したい」といった事情も起こります。そうしたときに便利なのが クイックアクセスツールバー(QAT) です。
取り消し線をボタン化しておけば、クリック一発で付け外しができ、環境差や習熟度の差を吸収できます。
クイックアクセスツールバーに取り消し線を追加する
クイックアクセスツールバーは、Excel画面の上部(左上付近)にある小さなツールバーで、好きなコマンドを固定できます。取り消し線を入れておくと、迷わず使えるようになります。
基本の流れ
クイックアクセスツールバーのカスタマイズ(▼)を開く
「その他のコマンド」や「オプション」を開く
コマンドの一覧から「取り消し線」を探す
追加してOKで確定する
探すときのコツ
一覧の表示が「よく使うコマンド」になっていると見つからないことがあります。その場合は「すべてのコマンド」に切り替えると見つけやすくなります。
追加したボタンは小さいので、頻繁に使うならツールバーの位置や並びも調整しておくと操作が安定します。
ボタン化のメリット
ショートカットが効かない環境でも使える
覚えなくても視覚的に使える
チーム内で「ここを押す」と説明しやすい
マウス中心の作業フローに合う
よく使う表でミスを減らす運用例
取り消し線は便利ですが、運用ルールがないと「これは完了?それとも削除?」と誤解が生まれます。特に共有ファイルでは、見た目の解釈違いがトラブルの元になります。以下のようにルール化すると、取り消し線の価値が上がります。
運用例1:タスク表
取り消し線=完了
未完了は通常表示
「期限」「担当」「状態(完了/未完了)」を列で持つ
→ 取り消し線は見やすさの補助、状態列が判断の根拠になります。
運用例2:見積・請求
取り消し線=採用しない案(履歴として残す)
ただし金額列まで取り消し線にすると読みにくいので、品目列だけに付ける
「理由」列を追加して、値引き・仕様変更などの根拠を残す
→ 数字が重要な表ほど、取り消し線の適用範囲を絞った方が安全です。
運用例3:在庫・マスタ
取り消し線=廃番・無効
ただし集計や検索では見落とすので、必ず「有効フラグ(1/0)」列を持つ
→ 取り消し線だけでデータを判断しない仕組みが重要です。
取り消し線の活用シーンと注意点
取り消し線は「作業を速くする道具」ですが、使い方を誤ると「見落とし」「集計ミス」「共有時の誤解」を招きます。ここでは、便利に使いながら事故を減らすための考え方をまとめます。
完了管理・削除予定・無効化の見せ方
取り消し線が向いているのは、次のようなケースです。
完了:やることは終わったが、履歴として残す価値がある
無効化:データとして残すが、現時点では使わない
差し替え:旧情報を残しつつ、新情報を併記したい
一方で、取り消し線が向かないのは「完全に削除すべき情報」です。
例えば、最新のマスタを作る目的なら、古いデータは別シートへ移動して保管し、現行シートはスッキリさせた方がミスが減ります。取り消し線はあくまで「見た目の補助」であり、データ設計そのものの代わりにはなりません。
フィルターや集計で誤解を生まない工夫
取り消し線の最大の落とし穴は、計算や抽出の条件になりにくいことです。見た目に線が引かれていても、Excelの計算結果はそのまま加算されます。共有ファイルで「取り消し線は除外の意味」と思い込むと、集計がずれて大きなトラブルになります。
事故を防ぐ基本方針
取り消し線は「視覚的に分かりやすくする補助」に留める
集計や抽出は「状態列」など、データとして判定できる仕組みにする
おすすめの工夫
「状態」列を作る(例:未完了/完了、採用/不採用、有効/無効)
フィルターは状態列でかける
集計は状態列を条件にする(SUMIFSなど)
見た目は条件付き書式で「状態=完了なら取り消し線」にする
→ こうすると、見た目と集計条件が一致し、運用が安定します。
印刷・共有時の見え方チェック
画面上では見やすくても、印刷やPDFにすると取り消し線が薄く感じることがあります。相手の環境(モニター、印刷設定)によっても見え方が変わるため、提出や社外共有がある表では事前確認が重要です。
チェックポイント
印刷プレビューで取り消し線が読める太さか
フォントサイズが小さすぎないか
取り消し線だけに意味を背負わせていないか(状態列や注記があるか)
重要な情報(合計値など)まで取り消し線を引いていないか
「見た目の意味」が伝わらないと、相手は誤って処理してしまうことがあります。共有する表ほど、取り消し線の意味を一行で書く(例:「取り消し線=完了」)など、小さな説明を添えると親切です。
Excel取り消し線のよくある質問
Macでも同じショートカットで使える?
WindowsではCtrl+5が定番ですが、Macはキーボード配列やExcelの仕様差により、同じ感覚で通らないことがあります。環境やバージョンによって挙動が異なる場合があるため、「このキーなら必ず」と言い切りにくいのが実情です。
迷ったときの安全策
取り消し線を付け外しするルートを、ショートカットだけに依存しない
リボン操作、または「セルの書式設定」からフォントの取り消し線を切り替える方法を覚えておく
よく使うなら、Macでもボタン化(クイックアクセスツールバー)を用意する
結果として、WindowsとMacが混在するチームでは「取り消し線はボタンで統一」「状態列で管理」など、操作と意味を標準化しておくと運用が安定します。
二重取り消し線はできる?
通常の取り消し線は1本です。「二重線の取り消し」を強く求めるケースは多くありませんが、どうしても表現を変えたい場合は、取り消し線の機能だけで無理に表現しない方が安全です。
代替案(誤解を減らす)
状態列に「取消」「却下」「無効」など文言で明示する
色(薄いグレーなど)や背景色で目立たせすぎない形にする
図形の線を使って強調する(ただし編集・共有で崩れやすい)
見た目の凝り方よりも、「誰が見ても同じ意味に解釈できる」設計が優先です。
取り消し線を条件付き書式で自動化できる?
可能です。むしろ、手動で取り消し線を付ける運用より、状態列+条件付き書式にした方がミスが減り、集計やフィルターとも整合が取れます。
おすすめの流れ
状態列を作る(例:完了なら「完了」と入力、または1/0で管理)
条件付き書式で「状態=完了」の行(またはセル)に取り消し線を設定する
集計・抽出は状態列を条件にする
こうすると、見た目だけで判断する必要がなくなり、Excelの強みである集計・分析とも相性が良くなります。
取り消し線の付け方・解除方法の比較表
| 方法 | 速さ | 使いどころ | 迷ったときの強さ |
|---|---|---|---|
| Ctrl+5 | 最速 | 日常の付け外し、範囲一括 | 高い(手が止まりにくい) |
| リボンの取り消し線 | 速い | 覚えたて、マウス中心 | 中(探す手間はあるが確実) |
| セルの書式設定 | やや遅い | 混在していて確実に直したい | 高(状態が確認できる) |
| クイックアクセスツールバー | 速い | ボタン化してミス削減 | 高(環境差を吸収できる) |
この表の通り、最終的には「ショートカット+確実な代替策」を持っておくのが理想です。ショートカットで速く、詰まったら書式設定やボタンで止まらず進める、という形が最もストレスが少なくなります。
ショートカットが効かないときのチェックリスト
キーボード上段の「5」で試している(テンキーではない)
セル全体の操作か、一部文字の操作かを切り分けている
Excelの画面がアクティブになっている(別アプリにフォーカスがない)
リモート環境や会議ツールでショートカットが奪われていない
常駐ソフトやキーボード割り当ての影響を疑っている
代替策(リボン/セルの書式設定/ボタン化)で作業を止めずに進められる
このチェックリストを上から確認すれば、ほとんどの「効かない」は短時間で解消できます。特に業務で急いでいるときは、原因追及に時間を使いすぎず、代替策で前に進む判断も重要です。