「1、2、3…」の連番をExcelで作りたいだけなのに、なぜか同じ数字が繰り返されたり、途中から増えなくなったりして手が止まった経験はないでしょうか。さらに厄介なのが、いったん連番を作れても、行の追加や削除、並べ替えをした途端に番号がズレて、結局振り直しになるケースです。名簿や台帳、請求書の明細など、更新が前提の表ほどこの問題は頻発します。
本記事では、Excelで数字の連番を作る方法を「目的別」に整理し、最短で入力できるオートフィルの基本から、途中から始める連番や10刻み・奇数偶数の作り方、行追加や並べ替えでも崩れにくい通し番号の作り方までを、手順付きで丁寧に解説いたします。さらに、SEQUENCE関数で大量の連番を一気に作る方法や、フィルハンドルが出ない・連続データにならないといった“つまずきポイント”の直し方もまとめます。
「いま欲しい連番をすぐ作る」だけでなく、「あとから更新しても壊れない」番号付けまで身につけたい方は、ぜひこのまま読み進めてください。
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Excelで数字の連番を作る前に決めること
連番は固定IDか追従番号かで答えが変わる
連番には大きく分けて2種類あります。ここを混同すると、作業が増える原因になります。
固定ID(固定番号)
一度付けた番号を、その後並べ替えしても変更したくない番号です。たとえば「受付番号」「案件ID」「顧客ID」「伝票番号」など、番号そのものが識別子として機能します。
固定IDは「後から並べ替えたら番号が入れ替わる」ような仕組みでは困ります。基本的には、番号を確定させたら値として固定する運用が向きます。追従番号(表示上の通し番号)
現在の並び順に合わせて1,2,3…と振り直される番号です。たとえば「一覧に行番号を付けて見やすくしたい」「並べ替え後も上から順に1から振りたい」といった用途です。
追従番号は、行の追加や削除があっても自然に番号が更新される方が便利です。
この違いを意識すると、「オートフィルで作るか」「関数で作るか」「作った後に値として固定するか」といった判断がスムーズになります。特に台帳や名簿は、途中で並べ替えや行挿入が起こりやすいため、最初に「番号を固定したいのか」「並びに合わせて変わってよいのか」を決めるだけで、後工程の手直しを大きく減らせます。
どの方法が最短か目的別に選ぶ
連番の作り方は「早い方法」だけを覚えるより、目的別に最適解を選べるようにしておく方が結果的に速くなります。以下は代表的な目的とおすすめの考え方です。
| 目的 | 主要な方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| とにかく早く1,2,3…を入れたい | オートフィル | 一時的な表、印刷用の連番 | 後から行を入れるとズレやすい |
| 途中から開始、2刻み・10刻み・奇数偶数 | オートフィル(2つの起点)/関数 | 規則が明確な連番 | 起点の作り方を間違えると全体が崩れる |
| 行追加や並べ替えでも通し番号を保ちたい(表示上) | ROWなどの関数 | 更新が多い一覧、フィルタ・並べ替えを頻繁にする表 | 固定ID用途には不向き |
| 大量の連番を一気に作りたい | SEQUENCE関数 | テストデータ、番号表、座席表、連続値の生成 | スピルの仕組みと制約を理解する必要 |
この後は、まず多くの人が使うオートフィルを確実にし、次に「途中から」「刻み」を整理し、そのうえで「崩れない運用(関数)」と「大量生成(SEQUENCE)」へ進みます。最後に、うまくいかないときの原因切り分けと、よくある疑問への対処をまとめます。
Excelのオートフィルで数字の連番を入力する
オートフィルは「今すぐ連番を入れたい」場面で最も強力です。操作が短く、覚えやすく、ほとんどのExcel環境で使えます。ただし、コピーなのか連続データなのかをExcelがどう判断するかで結果が変わるため、基本の型を押さえることが重要です。
1と2を入れてドラッグする基本
連番作成の最も安定した手順は「1と2の2点から規則を教える」やり方です。1つだけ入力してドラッグすると、Excelが「コピー」と判断して同じ値を繰り返すことがあるため、2つ用意するのが基本です。
手順は次の通りです。
連番を開始したいセルに 1 を入力します。
その下(横方向なら右隣)に 2 を入力します。
1と2の2セルをまとめて選択します。
選択範囲の右下にある小さな四角(フィルハンドル)を、必要な行数分ドラッグします。
この方法なら、Excelが「差分1の等差数列」として理解しやすく、1,2,3,4…と自然に増えます。もし連番を列ではなく行方向に作りたい場合も同じで、1と2を横に並べてドラッグすればOKです。
加えて、次の点を意識すると失敗しにくくなります。
連番にしたい範囲は、必要行数より少し長めにドラッグしても問題ありません(あとで不要部分を消せます)。
既に値が入っているセルをまたぐと、途中で止まったり結果が予想外になったりすることがあります。連番を入れる範囲は先に空にしておくと安定します。
行の挿入・削除が起こる表の場合、あとで崩れない運用(関数)を検討した方が結果的に早くなります。
Ctrlやオプションでコピーと連続データを切り替える
「ドラッグしたのに1がずっと続く」「同じ数字が複製される」というときは、Excelが“コピー”として扱っている可能性があります。ここで覚えておくと便利なのが、ドラッグ後に出る オートフィルオプション と、Ctrlキーによる挙動切り替えです。
オートフィルオプションで切り替える
ドラッグ後、範囲の近くに小さなアイコンが出ることがあります。そこから「連続データ」「セルのコピー」などを選択できます。
連番にしたいのにコピーされる場合は「連続データ」を選ぶ、逆にコピーしたい場合は「セルのコピー」を選ぶ、と覚えると確実です。Ctrlキーで動作を切り替える(環境により挙動が異なる場合があります)
一部環境では、Ctrlを押しながらドラッグすると、コピー/連続データの挙動が切り替わります。
ただしExcelのバージョンや設定で差が出ることがあるため、「必ずこれ」と決め打ちせず、最終的にはオートフィルオプションで結果を確認する方が安全です。
また、連番にしたいのに連番にならない原因として、次がよくあります。
数字に見えるが実際は文字列になっている(前にアポストロフィが付く、全角数字、スペース混入など)
結合セルが混じっている
複雑な書式や入力規則が影響している
こうしたケースは「連続データの規則が認識できない」状態になりやすいので、まずはセルの中身が純粋な数値かを確認すると直りやすいです。
ダブルクリックで最終行まで一気に埋める
データが数百行、数千行ある表に連番を入れるとき、ドラッグで引っ張るのは時間がかかります。そこで便利なのが フィルハンドルのダブルクリックです。
基本の考え方は「隣の列のデータの終点まで自動で伸ばす」です。次の条件を満たすと成功しやすくなります。
連番を入れる列の隣(多くは右隣)に、空白が少ない連続データがある
連番の開始セルに、連続規則を作るための初期値が入っている(1と2など)
手順の例です。
A2に1、A3に2を入力し、A2:A3を選択します。
A3の右下のフィルハンドルにカーソルを合わせます。
ダブルクリックします。
隣の列(例:B列)にデータが入っている最終行まで、連番が一気に入力されます。
もし想定より短いところで止まる場合は、隣の列に途中の空白がある、データの塊が分断されている、テーブル構造や結合セルが影響している、などが考えられます。その場合は、ドラッグに切り替えるか、後述する関数での追従番号を検討すると安定します。
Excelで途中からの連番と刻み幅のある連番を作る
「100から始めたい」「10刻みで増やしたい」「奇数だけ並べたい」など、途中からの連番や刻み幅のある連番も頻出です。ここで重要なのは、Excelに規則を誤解させないことです。最初の2つの値が規則そのものになるため、起点の置き方が成否を分けます。
100から開始、10刻み、奇数偶数の作り方
最も簡単で確実なのは、最初の2つで差分(刻み)を明示する方法です。代表例をまとめます。
100から1刻み:100、101を入力してオートフィル
100から10刻み:100、110を入力してオートフィル(100,110,120…)
10刻み(1からではなく10,20,30…):10、20を入力してオートフィル
奇数列(1,3,5…):1、3を入力してオートフィル
偶数列(2,4,6…):2、4を入力してオートフィル
ここでありがちなミスは、次の2つです。
1つしか入力してドラッグしてしまい、コピーになってしまう
刻みを間違えて、後から全体を作り直す
刻み幅がある連番は、起点を2つ置く手間がある分、やり直しを防げます。特に「10刻み」や「奇数偶数」は、途中でズレると検算も面倒になるため、最初の2つを丁寧に置く方が結果的に早いです。
さらに応用として、「連番の途中だけ別の刻みにしたい」場合は、途中行から新しい起点(例:500と510)を置き直し、その範囲だけオートフィルをかけると効率的です。
表示形式で001のように桁をそろえる
連番を「001」「002」のように桁揃えして見せたい場面は多くあります。ここでやってはいけない代表例は、最初から「001」を文字列として入力してしまうことです。文字列になると、数値としての並べ替えや計算がやりにくくなり、後で困ることが増えます。
おすすめは、値は数値のまま、表示だけを整える方法です。
手順(例:3桁表示にする)
連番を表示したいセル範囲を選択します。
「セルの書式設定」を開きます。
「表示形式」→「ユーザー定義」を選びます。
種類に 000 と入力します。
OKを押します。
これで、セルの値が1でも表示は001になります。値は数値のままなので、並べ替えも自然(1→2→3)ですし、後から「+1」などの計算も普通にできます。
桁数を変えたい場合は、次のように考えると簡単です。
2桁に揃える:00
4桁に揃える:0000
6桁に揃える:000000
もし「番号に接頭辞を付けたい(例:INV-0001)」場合はFAQで扱いますが、基本思想は同じで、数値を数値として持ち、表示や結合で見せ方を作る方が運用に強くなります。
Excelで崩れない通し番号を作る
オートフィルは速い反面、行の挿入・削除・並べ替えが入ると、番号が目的に合わなくなることがあります。更新の多い表では、「崩れない」こと自体が最優先の価値になります。ここでは、表示上の通し番号として強い関数の考え方を中心に整理します。
ROW関数で追従する連番を作る基本
ROW関数は、そのセルが存在する 行番号 を返す関数です。これを利用すると、「常に上から順に番号が振られる」追従番号を作れます。
例として、2行目からデータが始まり、A列に1からの通し番号を付けたい場合を考えます。
A2に次を入力します。
=ROW()-1
A2は2行目なのでROW()は2、そこから1を引いて1になります。A3はROW()が3なので2、A4は3…という具合です。これを下へコピーすれば、データ行に合わせて連番が作れます。
この方法の利点は次の通りです。
行を挿入しても、数式が入っていれば自動的に番号が再計算される
行を削除しても詰め直される
並べ替えした場合も、その並びの行番号に基づいて振り直されるため、一覧表示の通し番号として見やすい
一方で、固定IDとしては不向きです。並べ替えで番号が変わってしまうため、「この案件は番号123」と固定したい用途には使いません。用途を間違えないことが重要です。
また、開始行が異なる場合は「引く数」を変えればよいだけです。
データ開始が5行目で、1から始めたい:
=ROW()-4
「開始行の行番号 – 1」を引く、と覚えると応用しやすくなります。
空白行がある表で連番を振る方法
表には「入力されている行だけ番号を出したい」「途中に空白行が入る運用がある」というケースが多々あります。その場合、単純なROW()-〇〇では空白行にも番号が出てしまい、見た目が悪くなります。そこで、IFで条件を付けます。
例:B列に氏名(または必須項目)が入っているときだけ、A列に番号を表示する
A2に次を入力します。
=IF(B2<>"", ROW()-1, "")
これで、B2が空欄のときA2は空欄になります。見た目として「データがある行だけ番号がある」状態になります。
ただし、この方法は「空白行を飛ばして番号が詰まる」わけではなく、行番号ベースの値である点に注意が必要です。たとえばB5が空白でB6に値がある場合、A6はROW()-1なので5のままになります。
「空白を無視して1,2,3…と詰めたい」場合は、ROWではなく、COUNTやCOUNTAなどで「上からいくつ値があるか」を数える設計が必要になります。運用要件が「表示上の行番号に近い連番でよい」か「空白を飛ばして詰めたい」かで、最適解が変わります。
空白を飛ばして詰めたい発想の例(考え方として)
「この行までに入力済みの件数」を数えて、それを番号にする
フィルタで表示行だけに番号を付けたい場合は、SUBTOTALを使う設計が候補になる
ただし、こうした数式は表の構造や入力列の選び方で挙動が変わるため、まずはROWで要件を満たせないかを確認し、満たせないときだけ段階的に高度な方法へ進むのが安全です。
並べ替え・行追加・削除での挙動と注意点
崩れない運用を作るうえで重要なのは、「何が起きたときに番号がどう動くか」をあらかじめ理解しておくことです。ROWで作る追従番号の挙動は次の通りです。
並べ替え:並べ替え後の行番号に合わせて番号が振り直されます。
→ 一覧表示としては自然ですが、固定IDとしては使えません。行追加:行を追加した場所に数式が入れば、番号が自動で再計算されます。
→ 途中に行を挿入した場合、下の番号がずれますが、追従番号としては正常です。行削除:削除した分、下の番号が詰まります。
→ 表示上の通し番号としては扱いやすい挙動です。数式がコピーされていない:行追加時に数式が新しい行へ入っていないと、そこだけ番号が空白になります。
→ テーブル(Ctrl+T)の列として作ると数式が自動で広がりやすく、運用が安定します。
注意点として、追従番号は「番号が変わること自体が仕様」です。もし「見た目の通し番号が変わると困る」のであれば、それは固定IDの領域です。固定IDは、番号付与後に値として固定し、必要なら入力ルールや重複チェックで管理する方が安全です。
Excelで大量の連番を一気に作る
大量の連番を作る場面は、名簿や台帳の番号付け以外にも、テストデータ作成、番号表の生成、座席表、棚番号、シリアル一覧など幅広くあります。このとき、オートフィルでも可能ですが、行数が多いほど「生成の再現性」と「ミスのなさ」が重要になります。そこで強力なのがSEQUENCE関数です。
SEQUENCE関数で連番をスピル生成する
SEQUENCEは、指定した行数・列数・開始値・増分に基づいて連続した数値を生成し、複数セルに自動展開(スピル)する関数です。オートフィルと違い、「何個作るか」「何から始めるか」「いくつずつ増やすか」を式として固定できるため、あとから作り直しや変更が簡単です。
代表的な例です。
縦に100個、1から1刻み:
=SEQUENCE(100,1,1,1)縦に200個、100から10刻み:
=SEQUENCE(200,1,100,10)横に12個、1から1刻み(1~12の月番号など):
=SEQUENCE(1,12,1,1)
引数の意味を押さえると応用が効きます。
第1引数:行数
第2引数:列数
第3引数:開始値
第4引数:増分
「行数と列数」を入れ替えるだけで、縦横の形を変えられるのが便利です。たとえば縦に並べたいなら列数を1、横に並べたいなら行数を1、という具合に調整できます。
行と列に展開して座席表や番号表にする
SEQUENCEは2次元にも展開できます。これがオートフィルよりも強いポイントです。たとえば、10行×5列の番号表を作りたい場合は次のようにします。
10行×5列、1から1刻み:
=SEQUENCE(10,5,1,1)
これで、左上から右方向に増え、行へ折り返す番号表が一瞬でできます。座席表の番号、棚番号、管理番号のマトリクスなど、規則的な表を作るときに効果が高いです。
さらに応用として、開始値と増分を変えることで、例えば「101から」「2刻みで偶数のみ」といった表も作れます。大量の番号を「正確に」「同じルールで」「いつでも再現できる」ことが価値になります。
スピルがうまくいかないときの確認
SEQUENCEがうまく動かない原因は、操作ミスというより スピル(自動展開)先の制約であることが多いです。次のチェックリストで切り分けると早いです。
展開される予定の範囲に、すでに値や数式が入っていないか
展開範囲に結合セルが含まれていないか
展開先がテーブルの内部になっていないか(構造化参照や列の仕様が影響することがあります)
シートが保護されていないか、書き込みが制限されていないか
そもそも利用環境が動的配列に対応しているか(古い環境だと関数自体が使えない場合があります)
スピルが失敗しているときは、まず「展開先を空ける」「結合セルをなくす」だけで解決することが非常に多いです。表の途中に展開したい場合は、展開範囲を見積もってから空白領域へ式を置き、あとで必要な位置へ値貼り付けする、といった運用も現実的です。
Excelの連番がうまくいかないときの直し方
連番がうまくいかないときは、「操作」「設定」「表の構造」のいずれかに原因があります。やみくもにやり直すより、原因を分類して潰す方が早く確実です。
フィルハンドルが出ない場合の設定
フィルハンドルが出ない場合、Excelの設定で無効になっていることがあります。特に会社PCなどでは、ユーザー設定が変わっていることもあります。
確認のポイントは次の通りです。
Excelのオプションで「塗りつぶしハンドル」やドラッグ操作が無効になっていないか
マウス操作が制限される設定やアドインの影響がないか
シート保護やブック保護で編集が制限されていないか
セルが結合されていてハンドル操作がうまく働いていない可能性がないか
また、フィルハンドルが出ていても「細すぎて掴めない」ケースもあります。ズーム倍率を上げる、列幅・行高を広げる、などで操作性が改善することもあります。
連続データにならない原因の切り分け
「同じ数字がコピーされる」「連番が増えない」場合は、次の順で確認すると切り分けが早いです。
1つだけではなく、1と2の2つを入れて規則を与えたか
ドラッグ後のオートフィルオプションで「連続データ」を選べるか
数字が文字列扱いになっていないか(左寄せ表示、エラー表示、先頭アポストロフィ、全角混在など)
セルに結合が混じっていないか
途中に空白や別のデータがあり、オートフィルの範囲判断が乱れていないか
特に「文字列扱い」は頻出です。桁揃えをしたい場合は、文字列で“001”を作るのではなく、表示形式(000など)で解決すると、連番も安定しやすくなります。
テーブルや結合セルが原因のケース
結合セルは、連番作成においてトラブルの温床になりがちです。結合セルがあると、オートフィルの範囲が不自然になったり、関数のコピーが想定通りにならなかったりします。見た目を整えたいだけなら、結合セルではなく「選択範囲内で中央」などの表示機能で代替する方が安全です。
また、テーブル(Ctrl+T)は数式の自動コピーやフィルタが便利な反面、動的配列の展開や列仕様との兼ね合いで、意図しない制約が出る場合があります。SEQUENCEで番号表を作りたい場合は、いったん通常範囲で生成してから必要箇所を値として貼り付け、最後にテーブル化する、という順序にすると安定しやすいです。
Excelの連番でよくある質問
連番を固定して並べ替えでも変えたくない
「番号は一度決めたら変えたくない」という場合、それは固定IDの要件です。ROWのような追従番号ではなく、値としての番号を持つ必要があります。
代表的な手順は次の通りです。
オートフィルで連番を作成します(1と2から作るのが確実です)。
連番の列をコピーします。
「値として貼り付け」を行い、数式や参照がない状態にします。
これで、並べ替えをしても番号はセルに固定され、入れ替わりません。
さらに運用面では、固定IDを使う表は「重複が起きない」ことが重要です。後から行追加をする場合は、次のようなルールを決めておくと事故が減ります。
新規行を追加するときは、最終番号+1を必ず付ける
番号を削除しない(欠番は欠番として残す)
番号列を並べ替えのキーにしない(固定IDが意味を失うことがあるため)
固定IDは「見やすさ」ではなく「識別」を目的にする、と考えると運用が安定します。
フィルタ後に連番を振り直したい
フィルタをかけた状態で「表示されている行だけ」に連番を付けたい、という要望は非常に多いです。ただし、ここは要件を誤解しやすいポイントでもあります。目的が次のどちらかで対応が変わります。
一時的に表示用として番号が欲しい(印刷・画面確認用)
→ フィルタ後に見えている範囲だけに番号を付け、最後は戻してもよい。
この場合、可視セルだけを対象に入力・貼り付けする運用が候補になります。フィルタを常用し、常に表示行だけの連番が必要
→ 追従番号の設計が必要です。単にオートフィルで作ると、フィルタ解除時に整合が取れなくなります。
表の構造(どの列を基準に数えるか、空白をどう扱うか)を含めて、関数設計を検討する方が安全です。
どちらにせよ、フィルタは「見えている行」と「データ全体」がズレる操作です。固定IDで管理すべき表なのか、追従番号で見やすさを作る表なのかを先に決めると、迷いが減ります。
文字と数字を組み合わせた連番を作りたい
「A001」「INV-0001」「No.0001」のような連番は、実務でよく使われます。ここでの基本は、番号部分は数値で持つことです。数値で持てば、並べ替え・集計・参照が楽になり、後から桁数変更などにも対応しやすくなります。
作り方の考え方は次の通りです。
まず数値の連番(1,2,3…)を作る(オートフィル、ROW、SEQUENCEのいずれでも可)
表示として、接頭辞(文字)と桁揃えした数値を結合する
たとえば、番号(数値)がA2に入っているとして、「INV-0001」の形にしたい場合は、次のような発想になります。
接頭辞:INV-
数値を4桁表示:0000相当の整形
文字列として結合して表示する
この方式にすると、番号の中身は1や2のまま管理でき、見た目だけを整えられます。伝票番号のように「印字は文字列だが、内部は数値として扱いたい」ケースで特に有効です。
また、固定IDとして運用する場合は、発番ルール(重複しない、途中で変更しない、欠番処理をどうする)を決めておくと、後からデータを統合するときにも混乱しにくくなります。
以上の流れで、Excelの「数字の連番」は、目的に合わせて最短ルートで作れるようになります。まずは「固定ID」か「追従番号」かを決め、次にオートフィルで素早く作る方法を押さえ、更新が多い表はROWなどで崩れない形にし、大量生成が必要ならSEQUENCEを使う、という順で選ぶと失敗しにくくなります。もし挙動がおかしいときは、設定・操作・表構造のどこに原因があるかをチェックリストで切り分け、結合セルや文字列扱いを疑うだけでも解決が早くなるはずです。