Excelで「枠は横5cm、縦3cmで作ってください」と言われたのに、画面上では合っているはずのセルが、印刷すると微妙にズレてしまう。あるいは、画像サイズがピクセル指定で渡され、「これをセンチに直してExcelの枠に収めて」と頼まれて手が止まる——このような悩みは珍しくありません。
原因は、Excelの列幅と行高がそもそも同じ単位で管理されていないこと、さらにピクセルはDPIや表示倍率、プリンター設定の影響を受けやすいことにあります。そのまま換算だけで合わせようとすると、最後にズレが残り、やり直しや再印刷につながりがちです。
本記事では、Excelで列幅と行高をセンチで指定する最短手順から、印刷でズレないためのページ設定チェック、ピクセル↔センチ換算の考え方と早見表、さらに1cm角のマス目テンプレ作成まで、目的別に分かりやすく解説します。読み終えるころには「どこを設定すればズレが止まるのか」「換算はどこまで信用できるのか」が整理でき、提出物や帳票を安心して仕上げられるようになります。
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エクセルのピクセルとセンチが一致しない理由
Excelでセルの大きさを調整していると、「画面上ではちょうど良さそうなのに、印刷すると枠が合わない」「列幅の単位がよく分からない」「ピクセルからセンチに直したいが計算が合っている自信がない」といった悩みが起きやすいものです。これは、Excelがセルサイズを“最初からセンチで管理しているソフト”ではなく、文字の見え方や表示環境に合わせて柔軟に扱う設計になっているためです。
ここを理解しないまま、ピクセル換算だけで合わせようとすると、最後の印刷や共有の段階でズレが発生しやすくなります。先に「なぜ一致しないのか」を整理し、目的に応じて「センチで指定して固める方法」と「換算で目安を作る方法」を使い分けるのが、最短で失敗を減らすコツです。
列幅は文字数、行高はポイントという前提
まず押さえておきたいのは、Excelのセルサイズは「列」と「行」で基準が違うことです。ここが混乱の根本原因になりやすいポイントです。
列幅:基本は「文字数ベース」です。一般的には既定フォントの「0(ゼロ)」が何文字入るかを基準にした“文字の表示幅”として扱われます。
行の高さ:基本は「ポイント(pt)」です。フォントサイズと同じ世界の単位で、1ptは1/72インチです。
つまり、列幅は“横方向の文字の入り具合”、行高は“縦方向の文字の高さ”という性質が強く、必ずしも「長さ(cm)」として一直線に管理されていません。特に列幅は、フォントや表示条件の影響を受けやすいため、数値だけを追いかけるほど迷いが深くなります。
この違いがある以上、「行高をmmで揃えたから列幅も同じ感覚でいけるはず」と考えると、期待と実態がズレます。実寸で揃えたい場合は、Excelの“実寸寄りの表示モード”を使って、最初からセンチで扱う設計に寄せるのが安全です。
ピクセル表示は参考値になりやすい
列の境界をドラッグして幅を変えると、ツールチップに「◯◯px」のようにピクセルが出ることがあります。これを見ると「ピクセルが出るなら、px→cmに換算すれば実寸も合うのでは」と思いがちです。しかし、Excelのピクセル表示は、用途によっては“参考値”に留まりやすい点に注意が必要です。
ピクセルは「画面を構成する点の数」であり、現実の長さ(cm)と1対1で固定された関係ではありません。次のような要素で、同じpxでも“見える大きさ”が変わるためです。
WindowsやmacOSの表示スケール(拡大率)
Excelのズーム(表示倍率)
モニターの解像度やサイズ(インチ)
既定フォントやフォントサイズ、文字の種類
図形や画像の描画方式(内部の丸め)
このため、px→cm換算は「目安として枠を作る」用途には役立ちますが、「印刷で厳密に1cmを作る」用途では、最終的に別の要因でズレが残ることがあります。ズレが出るのが当たり前、という前提で、後半で説明する“印刷でズレない固め方”までセットで考えると安定します。
DPIと表示倍率が換算を揺らす場面
pxとcmを結びつける考え方としてよく出るのがDPI(1インチあたりのピクセル数)です。たとえば、96DPIを前提にすると、
1インチ=2.54cm
1インチ=96px
よって 1cm=96 ÷ 2.54 ≒ 37.8px(約38px)
という換算ができます。これは計算として正しいのですが、問題は「その96DPIが、あなたの環境で本当に固定されているか」です。画面表示はOSのスケーリング、アプリの拡大率、モニター構成などで見え方が変わりますし、印刷はプリンター側の設定(ドライバーの縮小拡大、用紙の余白処理、フチなし補正など)で結果が変わります。
したがって、換算で作った値は「初期値(スタート地点)」としては非常に有用ですが、成果物の目的が印刷物なら、最後はExcelのページ設定とテスト出力で詰める必要があります。ここを先に理解しておくだけで、「計算は合っているのに、なぜズレるのか」というストレスが大きく減ります。
エクセルで列幅と行高をセンチで指定する最短手順
「提出物の枠が横○cm×縦○cm」「チェック欄は1cm角」「手書き記入欄を実寸で作りたい」といった目的なら、ピクセル換算よりも確実なのはExcelにセンチで扱わせる手順です。ポイントは次の3つです。
表示モードを「ページレイアウト」にする
ルーラーの単位をセンチに合わせる
列幅・行高はドラッグではなく数値入力で固定する
以下では、迷いにくい順番で解説します。
ページレイアウト表示に切り替える
まず最初に、Excelの表示をページレイアウトに切り替えます。標準表示のまま作ると、列幅は文字数・行高はポイントという“文字ベースの管理”が前面に出やすく、実寸を作るには遠回りになりがちです。
ページレイアウト表示にする代表的な方法は次の通りです。
画面右下の表示切替(標準/ページレイアウト/改ページプレビュー)から「ページレイアウト」を選択
リボンの「表示」タブから「ページレイアウト」を選択
ページレイアウト表示にすると、用紙の余白やページの区切りが視覚的に分かりやすくなり、印刷前提の作業が圧倒的にやりやすくなります。実寸で枠を作るなら、基本的にここがスタート地点です。
ルーラーの単位をセンチに設定する
ページレイアウト表示にするとルーラー(定規)が見えることが多いですが、環境によってはインチ表示のままの場合があります。その場合は、Excelの設定でルーラーの単位をセンチに変更します。
一般的な流れ(Windows版の例)
「ファイル」→「オプション」
「詳細設定」
「表示」付近にある「ルーラーの単位」を「センチメートル」に変更
この設定は、センチで作業したい人にとって“土台”になります。ここを先に整えておくと、後から微調整する際にもブレにくくなります。
なお、ルーラーが見えない場合は、ページレイアウト表示で「ルーラー」を表示する設定がオフになっている可能性があります。表示タブ周辺でルーラーのチェックができる場合は有効化してください。
列の幅と行の高さを数値入力で揃える
実寸で合わせる作業で最も重要なのが、ドラッグ調整を避けることです。ドラッグで“それっぽい”位置に合わせると、最後に1mm単位のズレが残りやすく、印刷や共有でさらに崩れやすくなります。
確実な方法は、右クリックメニューから数値入力で固定することです。
列幅を固定する
対象の列(A列、B列など)を選択
右クリック→「列の幅」
数値を入力して確定
行高を固定する
対象の行(1行目、2行目など)を選択
右クリック→「行の高さ」
数値を入力して確定
複数の列や行をまとめて選択してから設定すれば、一括で同じ値に揃えられます。たとえば「1cm角のマス」を作るなら、列をまとめて選択して列幅を同じ値にし、行もまとめて選択して行高を同じ値にします。
ここでのコツは、先にフォントやフォントサイズを確定させることです。フォントが途中で変わると、見た目の密度が変わり、同じセンチでも“詰まり具合”が変わったように感じることがあります。印刷物の体裁を作る場合は、先にフォントを統一してからサイズを固めるとやり直しが減ります。
エクセルの印刷でズレないためのページ設定チェック
センチで合わせたのに印刷でズレる原因は、セル設定よりもページ設定にあることが非常に多いです。特に提出書類や帳票は「枠の実寸」が重視されるため、ページ設定のわずかな違いが致命的になります。
ここでは、ズレを最小化するためのチェックポイントを、作業順に近い形で整理します。可能であれば、最後にチェックリストとして一度に確認するのがおすすめです。
用紙サイズと余白を固定する
まず、印刷の前提になる用紙サイズと余白を固定します。これが揃っていないと、どれだけセルをセンチで合わせても、ページ内での配置がずれて見えます。
確認すべき代表項目は次の通りです。
用紙サイズ:A4/A3/レターなど(提出先指定があれば必ず一致)
印刷の向き:縦/横
余白:標準/狭い/広い/ユーザー設定
ヘッダー・フッター:入っていると実質の印刷領域が変わることがある
特に余白は、プリンターやドライバーによって「最小余白」が異なるため、フチまで使う設計にしてしまうと環境差が出やすくなります。実寸の枠が必要なら、余白に余裕を持たせる設計にしておくと安全です。
拡大縮小を無効化して100%にする
印刷でのズレの大半は、実は拡大縮小が原因になりがちです。Excelには便利な「ページに収める」機能がありますが、実寸が必要な場合には危険な設定にもなります。
次のような設定が有効になっていないかを確認してください。
「次のページ数に合わせて印刷」
「幅を1ページに、高さを1ページに」
「用紙に合わせて拡大/縮小」
100%以外の縮小率
提出物や枠の実寸が重要な帳票の場合は、基本方針として「等倍(100%)で出す」を優先し、どうしても収まらないときはレイアウト(列の数や余白)側を調整するのが安全です。
プリンター差が出るときの確認ポイント
同じExcelファイルでも、印刷するプリンターが変わると結果が変わることがあります。原因はプリンタードライバー側にあることが多く、Excel側だけをいじっても直らないケースがあります。
プリンター差が疑われるときは、次を重点的に確認します。
ドライバー設定で縮小拡大が自動になっていないか
フチなし印刷が有効で補正が入っていないか
用紙種類(普通紙、写真用紙など)によって余白処理が変わっていないか
両面印刷設定が影響していないか(位置調整が入る機種もあります)
再現性を上げる実用的な対策として、次の方法が有効です。
Excelから直接印刷せず、PDFに書き出してから印刷する
テスト印刷で1回確認し、問題がなければ同じ設定で本番出力する
提出先がある場合は、PDFで提出できるならPDFに固定して渡す
チェックリスト:印刷でズレないための最終確認
用紙サイズは指定通り(A4など)になっている
印刷方向(縦/横)が想定通りになっている
余白(標準/ユーザー設定)が固定されている
ヘッダー・フッターの有無を把握している
拡大縮小がオフ、または100%である
印刷プレビューで枠の位置とページ内の収まりを確認した
プリンタードライバー側の「用紙に合わせる」「自動補正」が無効である
可能ならPDF出力で最終形を確認した
このチェックを一度通すだけで、「センチで合わせたのにズレた」というトラブルは大幅に減ります。
エクセルのピクセルをセンチに換算するときの考え方
ここからは、どうしてもピクセル起点で考えたいケース(画像サイズがpx指定、Webバナーの枠を資料に落としたい等)に向けて、換算の考え方を整理します。
重要なのは、換算は「万能な正解」ではなく、「目的に応じて精度の期待値を調整するための道具」だということです。画面上の見た目合わせと、印刷物の実寸合わせでは、扱い方が変わります。
まずDPI前提を決める
px→cm換算に必要なのは、DPI(pixels per inch)の前提です。DPIが決まらないと、同じpxでもcmが決まりません。
よくある前提としては次が使われます。
96DPI:画面・一般的な換算の目安として出てくることが多い
300DPI:印刷向けの高解像度としてよく出てくる(写真・印刷業界で一般的)
150DPI:中間的な目安として使われることがある
ただし、Excelの表示上のpxはOSのスケーリングの影響も受けるため、換算は「初期値」に向いています。最終成果が紙なら、換算で枠を作り、ページレイアウト表示と印刷設定で微調整する、という流れが現実的です。
換算の基本式と目安早見
換算の基本式は次の通りです。
cm = px ÷ DPI × 2.54
px = cm ÷ 2.54 × DPI
ここでは、使う頻度が高い96DPI前提の目安を表にしておきます。資料や枠作りの初期設定として便利です(四捨五入の概算)。
| px | 約cm(96DPI前提) | 用途イメージ |
|---|---|---|
| 24px | 約0.64cm | 小さめの余白・アイコン枠 |
| 32px | 約0.85cm | UI部品の最小枠 |
| 50px | 約1.32cm | 小さなラベル枠 |
| 64px | 約1.69cm | ボタンや小枠 |
| 100px | 約2.65cm | 画像枠の初期サイズ |
| 150px | 約3.97cm | サムネ枠 |
| 200px | 約5.29cm | 見出し画像枠 |
| 300px | 約7.94cm | 大きめバナー枠 |
| 400px | 約10.58cm | A4上部の横長枠の目安 |
一方、印刷向けに300DPIで考えると、同じ100pxでも物理サイズはずっと小さくなります(100px ÷ 300 × 2.54 ≒ 0.85cm)。この違いが、px換算が混乱しやすい原因です。「どのDPIの世界で作っているか」を先に決めると迷いが減ります。
画面合わせと印刷合わせを混同しない
px換算が役立つのは、主に次のような場面です。
Webデザインや画像編集で決めたpx寸法を、Excelの枠に落とし込みたい
画面で見たときに、ある程度同じ印象の大きさに揃えたい
図形や画像の“最初の枠”を素早く作りたい
しかし、印刷で実寸が必要な場合、px換算は最後の保証にはなりません。印刷の実寸合わせをしたいなら、次を優先してください。
ページレイアウト表示でセンチ指定
用紙サイズ・余白・拡大縮小の固定
印刷プレビュー、可能ならテスト出力
整理すると、次のように分けると失敗しにくくなります。
px換算:設計のスタート地点(当たりを付ける)
センチ指定+ページ設定:成果物の確定(印刷でズレない形に固める)
エクセルで1cm角のマス目を作る具体例
「方眼」「チェック欄」「手書きの記入欄」を作る場面で多いのが、「1cm角(または5mm角)のマス目を作りたい」という要望です。ここでは、具体的なテンプレ作成の流れを、やり直しが少ない順番で解説します。
1cm角テンプレの作り方
目的:A4に収まる範囲で1cm角のマスを作り、印刷して使える状態にする
用紙設定を先に固定する
ページレイアウトで用紙サイズ(A4など)、向き(縦横)、余白を決めます。
ここを後回しにすると、後から「入らない」「縮小された」などの問題が起きます。
ページレイアウト表示に切り替える
実寸ベースで作業しやすくします。
ルーラーの単位をセンチにする
可能ならここで整えておきます。
フォントとフォントサイズを統一する
例:本文で使うフォントを決め、サイズを固定します(後から変えると見た目が変わります)。
列幅を一括設定する
例:A列〜Z列をまとめて選択 → 右クリック → 列の幅 → 「1」を入力
1cm角を作るなら、まず横方向を揃えます。
行高を一括設定する
例:1行目〜50行目をまとめて選択 → 右クリック → 行の高さ → 「1」を入力
罫線を引く
マス目にしたい範囲を選択 → ホームタブ → 罫線 → 格子
印刷プレビューで確認する
収まり、余白、拡大縮小が入っていないかを確認します。
必要ならPDF出力で最終確認する
そのPDFを等倍で印刷すると、実寸が安定しやすくなります。
この流れのポイントは、セルサイズを先にいじらず、印刷の前提(用紙・余白・倍率)を固めてから“1cm”を作ることです。ここを守るだけでズレの発生率が下がります。
罫線・フォント・余白で見た目が変わる対処
「列幅1、行高1にしたのに、どうも正方形に見えない」「マスが詰まって見える」など、見た目の違和感が出ることがあります。実寸は合っていても、次の要素で“視覚的な印象”が変わります。
罫線の太さ:太線は内側に食い込むように見え、マスが小さく感じることがあります。
セル内に文字があるか:文字が入ると、行の高さが自動調整されたり、見た目の中心がズレて感じることがあります。
余白(ページ余白・ヘッダー):ページ内の配置が変わると、全体のバランスが変わります。
表示倍率:画面での見え方は倍率で変わるため、100%以外だと正方形に見えにくいことがあります。
対処としては、次が有効です。
罫線は用途に応じて細線を基本にし、強調したい枠だけ太線にする
文字を入れる予定があるなら、先にフォントサイズを決めてから行高を調整する
画面上の見た目で迷ったら、印刷プレビュー(またはPDF)で判断する
「画面での見た目」と「印刷での実寸」は一致しないことがあるため、最終目的が紙なら、プレビュー基準で調整する方が確実です。
チェック欄・方眼・ラベル用途のコツ
同じ“マス目”でも、用途によって最適な作り方が少し変わります。
チェック欄
1cm角は大きい場合があります。チェックシートなら0.5cm(5mm)角の方が収まりが良いことも多いです。
5mm角にする場合は、列幅・行高を「0.5」にして同様に作ります。
方眼テンプレ
よく使うなら、テンプレ用のシートを作り、複製して使うと効率が上がります。
余白やヘッダー設定まで含めてテンプレ化しておくと、印刷ズレが起きにくくなります。
ラベル用途
ラベル用紙は余白やピッチがシビアです。可能なら、ラベルメーカーが提供するテンプレートを使い、Excel側では微調整に留めるのが安全です。
どうしても自作する場合は、PDF出力で固定し、同じプリンター設定で試し刷りを繰り返すのが近道です。
エクセルのピクセルとセンチでよくある失敗と対処
最後に、実際に起きやすい失敗を「症状→原因→対処」で整理します。ここを読んでおくと、詰まったときにどこを疑えばよいかが明確になり、修正が早くなります。
数値は合っているのに印刷が合わない
症状:画面上ではセンチ指定どおりに見えるが、印刷すると枠が微妙にズレる、収まりが変わる。
よくある原因
拡大縮小(ページに収める、1ページに合わせる)が有効
用紙サイズが違う(A4のつもりがレターなど)
余白が違う、またはプリンター側で最小余白に丸められている
ヘッダー・フッターが入って印刷領域が変わっている
対処
ページ設定で用紙サイズと余白を固定し、拡大縮小を100%にする
印刷プレビューでページ内の配置を確認する
PDFに出力して等倍印刷し、再現性を確認する
特に「ページに収める」は便利ですが、実寸が必要な帳票では最優先で疑うべき設定です。
共同編集や別PCで崩れる
症状:自分のPCでは合っているのに、同僚のPCで開くとセルの大きさや折り返しが変わる。
よくある原因
既定フォントが違う(WindowsとMac、またはOfficeの設定差)
フォントサイズが微妙に変わっている
表示倍率やOSスケーリングが違う
印刷先プリンターが違い、余白処理が変わる
対処
使用フォントを明示的に指定し、シート全体で統一する
共有はPDFで行い、最終出力を固定する
Excelファイルで共有する場合は、印刷条件(用紙、余白、倍率、プリンター)を合わせる
「共同編集で崩れる」をゼロにするのは難しいため、成果物が印刷物ならPDF固定が最も確実です。
画像貼り付けでサイズが合わない
症状:画像がpx指定どおりのはずなのに、Excelに貼ると大きさが合わない/印刷で小さく見える。
よくある原因
px→cm換算のDPI前提がズレている
画像の解像度情報(メタデータ)と印刷前提が一致していない
Excelの拡大縮小、プリンター側の補正が影響している
画像の縦横比固定、トリミング状態が想定と違う
対処
px換算は目安として枠を作り、最終的には印刷プレビューで調整する
画像の縦横比固定を確認し、意図しない伸縮を防ぐ
PDF出力でサイズがどう見えるかを確認し、必要なら画像側(編集ソフト側)で解像度や寸法を整える
画像は「画面の見た目」と「印刷の実寸」が分離しやすい領域です。最終成果が紙なら、最後はPDFまたは実機印刷で確認する流れを前提にすると安定します。
エクセルのピクセルとセンチに関するよくある質問
1cmは何ピクセルですか
前提とするDPIによって変わります。代表的な96DPI前提では、次の計算になります。
1インチ=2.54cm
1インチ=96px
1cm=96 ÷ 2.54 ≒ 37.8px(約38px)
ただし、Excelのピクセル表示はOSスケーリングや表示倍率の影響を受けることがあるため、「計算上の1cm=38px」をそのまま印刷実寸の保証として扱うのは危険です。印刷が目的なら、ページレイアウト表示でセンチ指定し、ページ設定(用紙・余白・倍率)を固定して最終確認する方法が確実です。
行高の1ポイントは何ミリですか
1ポイント(pt)は1/72インチです。1インチは25.4mmなので、
1pt=25.4 ÷ 72 ≒ 0.3527mm
概算で「1ptは約0.35mm」と覚えておくと、行高の調整の目安として使えます。たとえば、行高を20ptにすると 20 × 0.35 ≒ 7mm 程度、という見積もりができます(実際の見え方はフォントや余白でも変わります)。
列幅の「8.43」は何を意味しますか
Excelでよく見る既定の列幅「8.43」は、センチやミリではなく、文字数ベースの考え方に近い値です。既定フォントで「0(ゼロ)」が何文字入るか、という基準に沿って管理されているため、単純にcmへ換算しても直感どおりには扱えません。
「実寸で揃えたい」という目的があるなら、この数値を追いかけるより、ページレイアウト表示に切り替えてセンチ指定を軸にする方が、結果的に早く安定します。
Mac版Excelでも同じですか
基本的な考え方(列幅と行高の単位が異なること、実寸合わせにはページレイアウト表示が有効なこと、印刷ズレはページ設定やプリンター設定が影響すること)は同様です。ただし、設定画面の名称や配置はWindows版と異なる場合があります。
迷ったときは、次の2点を軸に探すと見つけやすいです。
表示モードを「ページレイアウト」に切り替える
ルーラーの単位(センチ/ミリ)に関する設定を探して変更する
まとめ
Excelで「ピクセル」と「センチ」を一致させようとしてつまずく原因は、列幅と行高の単位がそもそも異なり、さらにpxは表示環境やDPI、拡大率、プリンター設定の影響を受けやすい点にあります。したがって、目的に応じた最短ルートは次のように整理できます。
印刷で実寸を合わせたい場合
ページレイアウト表示に切り替える
ルーラーの単位をセンチにする
列幅・行高は数値入力で固定する
用紙サイズ・余白・拡大縮小を固定し、印刷プレビューとテスト出力(またはPDF)で確認する
px指定をExcelに持ち込みたい場合
まずDPI前提を決めて換算し、枠の初期値を作る
最終成果が紙なら、センチ指定とページ設定で詰める
特に提出物や帳票は、最後に「印刷でズレない条件」を固めることが成否を分けます。センチ指定だけで満足せず、用紙・余白・倍率・プリンター設定まで一度チェックリストで確認する流れを作っておくと、やり直しが大幅に減り、安心して仕上げられるようになります。