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エクセルで0を表示しない方法まとめ|書式・オプション・IFの使い分け

エクセルの表を作っていると、計算結果の「0」がずらっと並び、見積書や請求書、報告資料が一気に見づらくなることがあります。空欄にしたいだけなのに、設定方法がいくつもあり「どれを使えば崩れないのか」「集計や印刷に影響はないのか」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

実は、0を表示しない方法には大きく分けて「見た目だけを整える方法」と「計算結果そのものを変える方法」があり、目的に合わない手段を選ぶと、SUMIFやピボット、CSV出力、グラフ表示で思わぬトラブルが起こり得ます。

本記事では、表示形式(ユーザー定義)・オプション設定・IF関数という代表的な3手段を、影響範囲と副作用まで含めて丁寧に整理し、帳票作成・印刷・集計・グラフなど用途別に最適な選び方が分かるように解説します。0が並ぶストレスを解消し、提出物として整った表を迷わず作れるようにしていきましょう。

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目次

エクセルで0を表示しない前に知るべき違い

0を消すのは見た目か値か

「0を表示しない」と言っても、実際には大きく2つの方向性があります。ここを最初に区別しておくと、途中で迷子になりません。

1)見た目だけ消す(セルの中身は0のまま)
これは“表示”だけを変える方法です。セルの値は0で残るため、SUMなどの計算・参照は基本的にそのまま動きます。主に次の手段が該当します。

  • 表示形式(ユーザー定義)で0の表示だけを空欄にする

  • オプション設定でシート全体の0表示をオフにする

  • 条件付き書式で見えないようにする(色を背景と同じにする等)

2)値の出力そのものを変える(0のとき別の結果を返す)
これは“計算結果として0を出さない”方法です。たとえば、IF関数で0のときに ""(空文字)や NA() を返します。見た目は空欄でも、内部的に「数値の0」と同じではない扱いになる場面があるため、後工程の要件がある場合は慎重に選びます。

この区別を短くまとめると、次のとおりです。

  • 帳票を見やすくしたい(見た目重視):表示形式/オプション設定が第一候補

  • 計算結果として0を出したくない(意味を変えたい):IF関数が候補

シート全体に効く方法と範囲だけに効く方法

次に大切なのが「どこまで影響するか」です。同じ“0を表示しない”でも、影響範囲が違うと運用で事故が起こります。

範囲(セル選択)だけに効く方法

  • 表示形式(ユーザー定義):選んだセルだけ0を非表示にできる

  • IF関数:式が入っているセルだけ0を空欄化できる

たとえば、請求書の「数量」「単価」「金額」列だけ0を消し、他は0を残したい、といった局所的な調整に向きます。テンプレート帳票でも扱いやすいです。

シート全体に効く方法

  • オプション設定(ゼロ値の表示オフ):そのシートにある0がまとめて非表示になる

シート全体に効く分、設定は簡単で即効性があります。ただし、必要な0(例:在庫0、欠品0、件数0)まで消える可能性があるため、用途が合うときだけ使うのが安全です。

後工程で困りやすいポイント(集計・検索・CSV・グラフ)

0を非表示にして見た目が整っても、業務はその後が本番です。次の“後工程”で詰まりやすいので、先に知っておくと安心です。

集計(SUM、SUBTOTAL、ピボットなど)

  • 表示形式/オプション設定の場合:値は0のままなので、集計としては0が含まれます
    → 数字は正しいのに、見た目が空欄で「未入力」と誤解されることがあります。

  • IFで "" を返す場合:条件付き集計(SUMIF/COUNTIFなど)で挙動が変わることがあります
    → 0として数えたいのに数えない、空欄として扱いたいのに扱われない、などが起こり得ます。

検索・フィルタ

  • 見た目が空欄でも、実際は0が入っている(表示形式)場合、フィルタの「空白」には該当しません。

  • IFで "" を返す場合、空白に見えても“式が入っているセル”として扱われることがあり、抽出条件で想定とズレることがあります。

CSV出力や別システム連携

  • 表示形式で隠した0は、CSVにすると0として出ることが多いです(表示が消えても値は残るため)。

  • "" を返す場合は空欄として出ることが多い一方、連携先が“数値列”を期待していると不整合になることがあります。

グラフ

  • 折れ線グラフなどでは0があると線が下に落ち、見た目が大きく変わります。

  • “0を消す”と“点を描画しない”は同じではありません。グラフでは NA() を返すほうが目的に合うケースもあります。

ここまでを踏まえたうえで、次章から具体的な方法を順に解説します。

表示形式で0を表示しない方法

「値は0のまま残しつつ、見た目だけ0を消して表をすっきりさせたい」というケースでは、表示形式(ユーザー定義)が最も扱いやすい定番の方法です。セルの値を壊さず、範囲も自由に選べるため、帳票づくりと相性がよいのが特徴です。

最短手順(ユーザー定義で#)

まずは最短で0を非表示にする基本手順です。やることは「そのセルの表示の仕方」を変えるだけです。

  1. 0を表示しないようにしたいセル範囲を選択します
    ※列全体、表全体など、まとめて選んで問題ありません。

  2. 「セルの書式設定」を開きます

    • Windows:Ctrl + 1 が最速

    • Mac:command + 1 が一般的
      もしくは右クリック →「セルの書式設定」でも開けます。

  3. 「表示形式」タブを開き、「ユーザー定義」を選びます。

  4. 「種類」に # と入力してOKを押します。

この設定をすると、概ね次のような表示になります。

  • 0 → 何も表示されない(空欄のように見える)

  • 1, 2, 10 → そのまま表示される

  • 小数や桁数の扱いは、元のデータ次第で見え方が変わることがあります

よくあるつまずき

  • 0は消えたが、桁区切りや小数点が意図と違う
    → 帳票の金額欄などでは、次の「#,###」のように目的に合う書式を使うほうがきれいに仕上がります。

桁区切りを保ったまま0だけ消す(#,###)

金額欄、数量欄などで「桁区切り(カンマ区切り)」を維持したい場合は、# だけだと見え方が揺れることがあります。たとえば、0以外の値の表示が帳票の他列と揃わないことがあります。

その場合は、ユーザー定義に次を指定します。

  • #,###

この書式は、次のようなイメージです。

  • 0 → 空欄のように表示

  • 1000 → 1,000

  • 1200000 → 1,200,000

金額欄の実用ポイント

  • 見積書や請求書では、0が並ぶと「どこまで入力済みか分かりにくい」という問題が起こります。
    #,### を使うと、入力がある行だけ数字が見え、しかもカンマで読みやすくなるため、体裁が整いやすくなります。

小数がある場合

  • 小数を扱う列では、#,###.00 のように小数点以下を指定して整えると見た目が安定します。
    ただし、小数点以下を固定表示すると“0.00”のような表示になり得るため、「0は消す」目的なら、0の区分を別指定するほうが安全なケースもあります。

正負と文字列も崩さない(0;-0;;@)

帳票によっては、次のような混在が起こります。

  • 正の数(売上、数量など)

  • 負の数(返品、差異など)

  • 0(計算結果がゼロ)

  • 文字列(注記、区分名、エラー表示の代替など)

このような列に # だけを当てると、負の数の表示や、文字列の扱いが意図と違うことがあります。そこで便利なのが、ユーザー定義の「4区分」指定です。

  • 0;-0;;@

ユーザー定義では、セミコロン ; で区分を分けます。

  1. 正の数の表示形式

  2. 負の数の表示形式

  3. 0の表示形式

  4. 文字列の表示形式

0;-0;;@ の意味は次のとおりです。

  • 正の数:0 の形式で表示(例:12)

  • 負の数:-0 の形式で表示(例:-12)

  • 0:何も表示しない(空欄)

  • 文字列:@ で表示(例:注記などをそのまま表示)

この書式が向くケース

  • “0だけ消したい”だけでなく、負の数はマイナスとして見せたい

  • 同じ列に文字列が入る可能性がある(備考欄ではないが、例外行がある等)

  • テンプレート帳票として、後からデータが混ざっても表示崩れを起こしにくくしたい

表示形式の注意点(値は0のまま、印刷、選択コピー)

表示形式は便利ですが、「見た目だけ」という性質があるからこそ注意点もあります。運用で困りやすいポイントを先に押さえておくと安心です。

注意1:値は0のままなので、計算上は0として扱われる

  • たとえば、見た目では空欄でも、SUMの合計は0を含んだ結果になります。

  • 「空欄=未入力」と解釈する運用をしていると、見た目が空欄の0が混ざって誤解の原因になります。

対策:

  • “未入力の空欄”と“0を非表示にしたセル”を区別したい場合は、別列で入力有無フラグを作る、入力規則を使うなど、運用設計も合わせると安定します。

注意2:コピー&貼り付けで0が再び見えることがある

  • 同じブック内でコピーする場合は書式も一緒にコピーされるため問題が出にくいです。

  • しかし、別ブックへ「値貼り付け」や、別システムへ貼り付けると、貼り付け先の表示形式次第で0が見えることがあります(値は0のまま残っているため)。

対策:

  • 共有先で表示を揃えたい場合は、値だけでなく書式も含めてテンプレート化するのが安全です。

注意3:CSV出力では0が出ることが多い

  • 表示が空欄でも、内部値が0ならCSVでは0として出力されるのが一般的です。

対策:

  • CSV連携がある場合、0を本当に空欄として出したいのか(値も空にしたいのか)を先に決め、必要ならIFなど別手段を使います。

オプション設定でシート全体の0を表示しない方法

「このシートでは、0がとにかく邪魔」「0は見せなくていい」なら、オプション設定でシート全体の0表示をオフにする方法が手早いです。局所対応ではなく“シート丸ごと”なので、管理表で0が大量に出るときに効果が大きいです。

手順(ゼロ値のセルにゼロを表示するをオフ)

操作箇所はExcelのオプション(詳細設定)です。名称は「ゼロ値のセルにゼロを表示する」などの表現で出てきます。

  1. Excelのメニューから「ファイル」を開きます。

  2. 「オプション」を開きます。
    ※Macの場合は「Excel」メニュー内にオプション相当の設定があることがあります。

  3. 「詳細設定」を開きます。

  4. 「次のシートで作業するときの表示設定」付近を探します。

  5. 対象のシートが選択できる場合は、0表示を消したいシートを選びます。

  6. 「ゼロ値のセルにゼロを表示する」 のチェックを外します。

  7. OKで確定します。

これで、そのシート内の0が空白のように表示されます。

ポイント

  • “ブック全体”ではなく“シート単位”で効く設定として案内されることが多いです。

  • シートを複製した場合の挙動はExcelのバージョンや操作により変わることがあるため、テンプレート運用では一度複製テストをしておくと安心です。

この方法が向く場面・向かない場面

この方法は強力ですが、向き不向きがはっきりしています。判断基準を整理します。

向く場面

  • 0が大量に出る管理表で、全体をとにかく読みやすくしたい
    例:担当者別の進捗表、商品別の月次実績表など、0の行が多い表

  • “0が見えない前提”で運用が固まっている
    例:0は意味がない、ゼロを見せる必要がない、など

向かない場面

  • 必要な0まで消えて困る
    例:在庫0、欠品0、件数0のように、0そのものが重要な情報になっている

  • 一部の列だけ0を消したい
    例:金額列は0を消したいが、数量列の0は必要、といったケース

  • 他者が別の意図でそのシートを使っている(共有ブック)
    例:0を見ながら入力漏れや異常をチェックしている人がいる場合、表示が消えると混乱します

結論としては、「そのシートでは0を見せる必要がない」と言い切れるときに使うのが安全です。迷う場合は、範囲指定できる表示形式のほうがトラブルが少なくなります。

戻し方と、共有時の注意(シート単位)

戻し方はシンプルで、同じ設定箇所でチェックをオンに戻すだけです。問題になりやすいのは「戻せることを知らないまま、表示が変な状態で作業が進む」ケースです。

共有時の注意点

  • 共同作業でブックを回す場合、「0が見えない」こと自体が相手の混乱を招くことがあります。
    例:「ここ0なのに空欄に見える。未入力?」という誤解

  • 印刷した紙だけを受け取る相手には便利でも、元データを受け取る相手には不親切なことがあります。

対策:

  • ブックを渡すときは「このシートは0を非表示にしています」と一言添える

  • 重要な0(欠品0など)があるシートではこの設定を使わない

  • テンプレートにする場合は、運用ルールとして明記する

IF関数で0のとき空欄表示にする方法

「計算結果が0になるときだけ空欄にしたい」「0という数値を出したくない」というニーズでは、IF関数が候補になります。表示形式と違い、“返す値”そのものを変えるのがポイントです。

ただし、IFで ""(空文字)を返す方法は便利な反面、集計や条件判定で差が出ることがあるため、目的に合わせた設計が重要です。

基本形(=IF(A1=0,””,A1))

もっとも基本の形は次のとおりです。

  • =IF(A1=0,"",A1)

これは「A1が0なら空欄のように見せる、0以外ならA1を表示する」という意味です。

動きのイメージ

  • A1が0 → 表示は空欄に見える(実際には空文字)

  • A1が5 → 5と表示

  • A1が-3 → -3と表示

この基本形は、入力値をそのまま見せたい列にも使えますし、計算結果のセルにも応用できます。

既存の式に組み込むコツ(元の式=0判定)

現実の表では、A1に単純な数値が入っているより、SUMや差分計算など“元の式”が入っていることのほうが多いです。その場合は「元の式が0かどうか」を判定して、0なら空欄にします。

例:元の式が =B2-C2 の場合

  • =IF(B2-C2=0,"",B2-C2)

例:元の式が =SUM(D2:H2) の場合

  • =IF(SUM(D2:H2)=0,"",SUM(D2:H2))

見通しを良くするコツ

  • 元の式が長いと、同じ式を2回書くのは読みづらく、修正ミスも起こりやすいです。

  • その場合は、別セルに元の計算式を置き、表示用セルではその結果を参照してIFをかけると管理しやすくなります。
    例:

    • 計算用:Z2に =SUM(D2:H2)

    • 表示用:I2に =IF(Z2=0,"",Z2)

この分離は、複雑な帳票ほど効果があります。あとから仕様変更が起きても修正箇所が減ります。

注意点(””は数値0と同じではない、集計・エラー回避)

IFで "" を返す方法は、“0を出さない”目的には合いますが、ここが一番トラブルになりやすいポイントです。しっかり理解しておくと安心です。

注意1:"" は空白セルではありません

  • 見た目は空欄でも、セルには式が入っています。

  • 「空欄のセルだけ抽出」「空欄のセルだけ数える」といった処理で、期待とズレることがあります。

例:

  • ある関数は "" を空欄として扱う

  • 別の関数は "" を文字列として扱う
    この差で、COUNTや条件判定の結果が揺れることがあります。

注意2:数値列として扱いたいときに不整合が出ることがある

  • 連携先が“数値だけ”を期待している列に "" が混ざると、エラーや欠損扱いになることがあります。

  • ピボットや外部ツールに流す場合は、列の型(数値か文字列か)が重要になるため注意が必要です。

注意3:グラフ目的なら NA() を検討する

  • 折れ線グラフなどで「0の点を描画させたくない」場合、"" ではなく NA() を返すほうが意図に近いことがあります。

  • NA() はグラフで“プロットしない”扱いになりやすく、線の落ち込みを避けられる場合があります。

例:元の式が =B2-C2 の場合

  • =IF(B2-C2=0,NA(),B2-C2)

ただし、NA() はセルに #N/A のようなエラー表示が出ます(グラフには出にくいことが多い)。表としても見せたい場合は、表示形式や条件付き書式でエラー表示を隠す設計を組み合わせることがあります。

注意4:エラー回避と組み合わせると式が複雑になりやすい

  • たとえば、割り算で #DIV/0! を避けたい場合、IFで0を消すだけでなく、エラー処理も必要になります。

例:割り算の結果が0のとき空欄、かつ0除算も回避したい

  • =IFERROR(IF(A1/B1=0,"",A1/B1),"")

このように式が長くなりやすいので、先ほどの「計算用セルと表示用セルを分ける」設計が効いてきます。

用途別のおすすめ早見表とチェックリスト

ここまでで3系統の方法を紹介しましたが、実務では「結局どれを選べばいいのか」をすぐ決めたいはずです。そこで、用途別のおすすめを表に整理します。

目的別の最適解(帳票/入力/集計/グラフ/CSV)

次の比較表で、まずは“自分の目的”に合う選択肢を絞ってください。

方法影響範囲値は変わる?集計・参照への影響向く用途向かない用途
表示形式(ユーザー定義 # / #,### / 0;-0;;@)選択範囲変わらない(0のまま)0として計算される提出用帳票、印刷、見た目整理、テンプレートCSVで空欄として出したい、0と空欄を厳密に区別したい運用
オプション設定(0表示オフ)シート全体変わらない(0のまま)0として計算される0が大量に出る管理表で可読性を上げたい必要な0がある、列ごとに調整したい、共有で混乱が出そう
IFで "" を返すセル単位(式)変わる(0→空文字)条件・集計で挙動差が出ることがある計算結果として0を出したくない、見た目と意味を揃えたい数値列の整合性が重要な連携、厳密な集計要件がある
IFで NA() を返すセル単位(式)変わる(非表示用)グラフではプロットされにくいグラフで0の点を描画したくない表としても綺麗に見せたい(工夫が必要)

迷ったときの鉄則

  • 帳票の体裁目的なら、まずは 表示形式

  • シート全体で不要なら オプション設定

  • “0という結果を出したくない”なら IF

  • グラフ目的なら NA() を候補に入れる

事故を防ぐチェックリスト(値の扱い、印刷、共有、集計)

「見た目は整ったのに後で困った」を避けるためのチェックリストです。提出前・共有前に、ここだけ確認すれば大きな事故はかなり減ります。

  • 0を“見た目だけ”消したのか(表示形式/オプション)、“値を変えた”のか(IF)を把握している

  • 合計や集計(SUM、ピボット、SUMIFなど)が要件どおりに動いている(見た目ではなく数式バーでも確認)

  • フィルタで「空白」抽出が必要なら、"" と真の空白セルの違いを理解している

  • 印刷プレビューで意図どおり(0が出ていない、余白や罫線の見え方が不自然でない)

  • 共有相手が混乱しないよう、0を非表示にしていることを伝える必要があるか判断した

  • CSV出力や外部連携がある場合、0を空欄にする要件があるか、列の型が壊れないか確認した

  • 「必要な0」まで消していない(欠品0、件数0、在庫0などの意味のある0があるか)

よくあるトラブルと解決策

最後に、0を非表示にしたときによくあるトラブルを、原因と対策で整理します。「起きてから」でも「起きる前」でも役立つはずです。

0が消えたのに合計が合わないように見える

よくあるのが、「見た目が空欄だから未入力に見えるのに、合計には入っている」ケースです。これは不具合というより“表示と意味のズレ”で起こります。

原因の代表例

  • 表示形式/オプション設定で0を隠している(値は0のまま)
    → 合計は正しいが、空欄に見えるせいで「合計に含まれていない」と錯覚する

  • IFで "" を返し、条件付き集計の条件にズレがある
    → 0をカウントしたいのに、"" が混ざってカウントされない

対策

  • 「合計が正しいか」を見た目ではなく、参照範囲と計算式で確認する

  • 未入力と0を分けたいなら、0を隠すのではなく“入力有無の列”を作るなど、運用設計で解決する

  • IFで "" を使っている場合、COUNTIFやSUMIFの条件(空白扱いか文字列扱いか)をテストしてから運用する

0を消したらグラフが不自然になった

グラフでは、0があるかないかで見た目が大きく変わります。特に折れ線グラフは、0が入ると線が大きく落ち込んで“異常値”のように見えることがあります。

よくある誤解

  • 「表で0を非表示にしたから、グラフでも0が描かれないはず」
    → 表示形式は見た目だけなので、グラフは値(0)を参照して描画することがあります。

対策の考え方

  • グラフで“点を描画させたくない”なら、IFで NA() を返す設計を検討する

  • 0を“欠損”として扱いたいのか、“実際の0”なのかをまず決める

    • 実際の0なら、消すより見せたほうが正確

    • 欠損なら、NA() や空白の扱いを設計するほうがよい

実務的な手順例

  • 表示用の列を別に用意し、グラフ参照はその列にする
    例:

    • 元データ列:実値(0も含む)

    • グラフ用列:=IF(元データ=0,NA(),元データ)
      こうすると、表としての整合性とグラフの見た目を分離でき、後から調整しやすくなります。

必要な0まで消えて困った(戻し方まとめ)

「0がいらないと思って消したが、あとから必要な0があったと気づいた」というのもよくあるパターンです。戻し方を方法別に整理します。

表示形式で消した場合

  • 対象範囲を選択

  • 「セルの書式設定」→「表示形式」

  • 「標準」や元の表示形式に戻す
    もし元の形式が分からない場合は、同じ表の“消していないセル”の書式をコピーして貼り付け(書式のみ)すると復元しやすいです。

オプション設定で消した場合

  • オプションの詳細設定で「ゼロ値のセルにゼロを表示する」をオンに戻す
    シート全体に影響するため、「一部だけ戻したい」はできません。部分的に戻す必要があるなら、表示形式へ切り替えるのが現実的です。

IFで消した場合

  • IF式の "" を0に戻す、またはIF自体を外す

  • 元の式が分からなくなるのが一番怖いので、複雑な帳票は「計算用セル」と「表示用セル」を分けておくと復元が楽になります。

よくある質問

0をハイフンにしたい場合は?

帳票によっては、0を“消す”よりも「ハイフン(-)」にするほうが読み手に親切なことがあります。空欄だと未入力に見えてしまう一方、ハイフンなら「ゼロである」ことを示しつつ視覚的にうるさくなりにくいからです。

この場合は、表示形式(ユーザー定義) が扱いやすいです。考え方としては「0の区分(3番目)に - を指定する」です。

例(イメージ):

  • 正の数:通常表示

  • 負の数:マイナス表示

  • 0:ハイフン表示

  • 文字列:そのまま表示

運用上「未入力は空欄」「ゼロはハイフン」というルールにすると、チェックもしやすくなります。

空白セルと0は何が違う?

ここは混同されやすいので、はっきり整理します。

  • 0:数値として0が入っている。計算に参加する。

  • 空白セル(真の空欄):何も入っていない。関数や条件判定で0と同じではない。

  • ""(空文字):見た目は空欄でも、式の結果として文字列が入っている状態。関数によって空欄扱いになったり、文字列扱いになったりする。

「未入力」と「0」は意味が違うことが多いので、帳票の目的次第では“消す”より“表現を分ける”ほうが正確です。

ピボットやSUMIFに影響はある?

影響の有無は、どの方法で0を表示しないかで変わります。

  • 表示形式/オプション設定:値は0のままです。
    → 基本的にピボットやSUMIFは“0として”扱います。見た目が空欄でも、集計結果には0が含まれます。

  • IFで "" を返す:数値の0ではなく、空文字を返します。
    → 条件付き集計やカウントで挙動が変わる可能性があります。とくに「空白を条件にしている」「数値だけを対象にしている」場合に差が出ます。

集計や分析が主目的なら、見た目調整は表示形式で行い、値の意味は変えないほうが安定しやすいです。

印刷だけ0を消したい場合は?

「画面では0が見えてもよいが、印刷物では0を消して見栄えを整えたい」というケースは実務でよくあります。この場合、次の設計が安全です。

  • 印刷用のシート(または印刷用の範囲)を用意する

  • 印刷用側にだけ表示形式(ユーザー定義)で0非表示を適用する

こうすると、入力や確認は0が見える状態で行い、提出用の紙・PDFだけを整えることができます。運用の混乱が少なく、あとから「やっぱり0が必要だった」となっても戻しやすい方法です。

参考資料

Microsoft公式ほか

エクセルの0表示の扱いは、表示設定(シート全体)と表示形式(セル単位)という2つの軸で理解すると整理しやすくなります。公式のサポート情報も参照しつつ、自分の用途(帳票、集計、グラフ、CSV)に合う方法を選んでください。