Excelで作業していると、突然「行や列が消えた」「必要なシートが見当たらない」と焦る瞬間があります。けれど、多くの場合はデータが消えたのではなく、非表示・フィルター・行の高さや列幅の変更などが原因で“見えなくなっているだけ”です。問題は、見た目が似ているせいで原因を取り違えやすく、いつもの「再表示」を押しても戻らず、時間だけが過ぎてしまうことにあります。
本記事では、まず「何が非表示になっているのか」を最短で切り分けるところから始め、行・列・シートの再表示手順を丁寧に解説します。さらに、再表示できないときに多い原因(フィルター、保護、幅・高さが極端に小さい、シートタブが見えない、VBAで特殊に隠されている等)をチェックリスト形式で整理し、上から順に潰せば必ず復旧できる流れにしています。締切や提出前で急いでいる方でも、迷わず元の表示に戻せるようにまとめました。
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Excelで非表示になる対象をまず切り分ける
行や列が非表示になっているサイン
行や列の非表示は、見慣れていないと「データが消えた」と錯覚しやすいのですが、サインはいくつかあります。
列見出し(A、B、C…)や行番号(1、2、3…)の並びが途中で飛ぶ
飛んでいる部分の境界に、二重線のような目印が見える
飛んでいる前後の列や行を選ぶと、右クリックメニューに「再表示」が出る
画面上のセル位置が不自然にずれて見える(本来あるはずの列が詰まっている感覚)
例として、B列の次がD列になっているならC列が非表示の可能性が高いです。4行目の次が6行目になっているなら5行目が非表示になっているか、フィルターで表示されていないかのどちらかです。
ここで大事なのは、「飛んでいる」=非表示とは限らないことです。フィルターでも同じように行番号が飛びます。違いは、非表示なら“前後を選んで再表示”で戻ることが多い一方、フィルターなら“フィルター解除”が必要になります。
シートが非表示になっているサイン
シートの非表示は、ファイルを整えるときによく使われます。入力用・集計用・マスタ用などを隠して、見せたい部分だけ残す運用もあります。サインは次の通りです。
下部のシートタブが、普段より少ない
シートタブを右クリックすると「再表示」が選べる(グレーアウトしていない)
「いつもあるはずのシート名」が見当たらないが、ファイル自体は開けている
ただし、シートが非表示ではなく「シートタブが見えない」だけのケースもあります。タブ領域が極端に狭い、ウィンドウサイズが小さい、設定でタブ表示がオフ、などの理由です。まずは「シート自体が消えたのか」「タブだけが消えたのか」を切り分けます。
ブックウィンドウが非表示になっているサイン
意外と多いのが、ブック(ファイル)そのものではなく、Excelの“ウィンドウ”が非表示になっているケースです。症状としては次のように見えます。
Excelは起動しているのに、作業中のブックが画面に出ていない
タスクバーやウィンドウ切り替えではExcelが開いている
「表示」タブにある「再表示」が使える
これは「シートの非表示」とは別物です。再表示の場所も違います。シートの再表示はシートタブ周りで行いますが、ブックウィンドウの再表示は「表示」タブの機能で戻します。
シートタブが見えないだけのケース
「シートが消えた」と思っても、実際はシートタブが画面に出ていないだけ、ということがあります。次のような要因が多いです。
ウィンドウが小さく、下部のタブ領域が見切れている
画面下部の分割線やスクロールバー周りが詰まり、タブが隠れている
表示設定でシートタブ(シート見出し)の表示がオフになっている
Excel内の要素が重なり、タブ領域が潰れて見える
この場合、シートを再表示しようとしても、そもそもタブを操作できないため詰まります。ウィンドウを最大化する、表示設定を確認する、といった“環境の復旧”が先になります。
VBAで特殊に非表示にされるケース
通常の方法で再表示できないとき、最後に疑うのがVBAによる特殊な非表示です。特徴は次の通りです。
シートタブ右クリックの「再表示」を開いても、目的のシート名が一覧に出ない
会社や部署の管理用ファイル、テンプレート、配布用ファイルで起こりやすい
意図的に「簡単には見せない」運用がされていることがある
この状態は、本人が設定した覚えがなければ、まず作成者や管理者に確認するのが近道です。無理に操作を進めると、保護やルールに抵触することもあります。特に業務ファイルの場合、勝手に構造を変更しないほうが安全です。
Excelで非表示の行や列を再表示する基本手順
右クリックで再表示する手順
行・列の再表示で最もシンプルなのが右クリックです。ただし、成功率を上げるコツがあります。「消えている場所をクリックする」のではなく、「消えている場所の両隣を含めて選ぶ」のが要点です。
手順(列の例:C列が非表示)
B列の列見出し(B)をクリックして選択
そのままD列までドラッグ、またはB列を選んだ後にShiftを押しながらD列をクリックして、B〜D列をまとめて選択
選択した列見出しの上で右クリック
「再表示」をクリック
手順(行の例:5行目が非表示)
4行目の行番号をクリック
Shiftを押しながら6行目の行番号をクリックして、4〜6行目をまとめて選択
行番号の上で右クリック
「再表示」をクリック
よくある失敗
前後が選べていない:片側だけ選ぶと「再表示」が出ない/効かないことがあります
列全体ではなくセルだけを選んでいる:列見出しや行番号で選ぶと確実です
“非表示ではない”のに再表示しようとしている:フィルターやサイズ問題だと戻りません
この方法は、非表示の範囲が少ないときほど早く確実です。
リボンから再表示する手順
右クリックが出にくい場合や、メニュー操作が苦手な場合は、リボン(上部メニュー)から戻すほうが安定します。やり方は「ホーム」タブの「書式」から進めます。
手順
非表示になっている行や列の前後を含めて選択する(右クリックと同じ考え方)
「ホーム」タブを開く
「セル」グループ付近の「書式」をクリック
「表示設定」や「非表示/再表示」から、行なら「行の再表示」、列なら「列の再表示」を選ぶ
この方法が向く場面
右クリックの「再表示」が見つけにくい
非表示範囲が多く、ドラッグ選択しづらい
一度にまとめて扱いたい(複数列・複数行の復旧)
リボンのほうが“操作手順が固定”されているため、焦っているときほど戻しやすいことがあります。
先頭行や先頭列を再表示する手順
先頭行(1行目)や先頭列(A列)が消えると、両隣選択の「片側」が存在しないため、右クリックの定番手順が使いにくくなります。その場合は、次の考え方で戻します。
ポイント
“A列の左”や“1行目の上”は選べないので、別ルート(全体選択・名前ボックス・ジャンプ)で復旧する
方法1:シート全体を選択して再表示する
シート左上(行番号と列見出しの交点にある三角形)をクリックして全体選択
「ホーム」タブ → 「書式」 → 「非表示/再表示」
列なら「列の再表示」、行なら「行の再表示」を実行
全体選択は「どこが非表示か分からない」状況でも有効です。先頭だけでなく複数箇所が非表示でもまとめて戻せる可能性があります。
方法2:名前ボックスやジャンプでA1を指定して復旧する
名前ボックス(数式バーの左側にある入力欄)に
A1と入力してEnter画面が左上に移動したら、「ホーム」→「書式」→「非表示/再表示」から行や列を再表示
A列や1行目が隠れていても、基準点をA1に戻すことで操作しやすくなります。
補足:固定表示(ウィンドウ枠の固定)と混同しない
先頭行が「見えているのに動かない」場合は、非表示ではなく固定表示の可能性があります。逆に、先頭が見えない場合は非表示やサイズ問題が多いです。操作感が違うため、状況を見て切り分けてください。
境界線ドラッグで戻すときのコツ
「再表示」を押しても戻らないとき、次に疑うのは“非表示ではなく、幅や高さが極端に小さくなっている”ケースです。これは見た目が非常に似ているため、混乱しやすいポイントです。
見分け方
列見出しの間隔が異様に詰まっている
行番号の境界が密集している
二重線というより、細い境界が連続しているように見える
戻し方(列の幅が極端に小さい場合)
幅が詰まっている境界(例:BとDの間に不自然な細い境界)を探す
その境界にマウスを合わせ、左右矢印のカーソルになったらドラッグして広げる
うまくつかめない場合は、前後の列を選択して「ホーム」→「書式」→「列の幅」で数値入力して戻す
戻し方(行の高さが極端に小さい場合)
詰まっている行番号の境界を探す
カーソルが上下矢印になったらドラッグして広げる
うまくいかない場合は「行の高さ」を数値で指定する
この方法は、「非表示/再表示」では直らない問題に効くため、再表示に失敗したときに最初に試す価値があります。
Excelで非表示のシートを再表示する手順
シートタブから再表示する
シートの再表示は、基本的にシートタブから行います。操作は簡単ですが、いくつか注意点があります。
手順
画面下部の任意のシートタブを右クリック
「再表示」をクリック
一覧から表示したいシート名を選ぶ
OKを押す
注意点
「再表示」がグレーアウトしている:非表示シートが存在しないか、別要因(タブ非表示など)の可能性があります
一覧に出てこない:VBAで特殊に隠されている、またはブック構造の制限がある可能性があります
シート名が似ている:戻したいシートを間違えやすいので、目的のシート名を落ち着いて確認してください
復旧後にやっておくと良いこと
どのシートが非表示になっていたのかメモする
そのシートを非表示にした意図(見せない、誤操作防止など)を確認する
共同作業なら、再表示してよい範囲かを判断する(運用ルールがある場合)
全シートが消えたように見えるときの確認点
「シートが全部消えた」と感じる状況は、実際には次のパターンが多いです。
シートタブ表示がオフで、タブが一切見えない
Excelウィンドウが小さく、タブ領域が隠れている
ブックウィンドウが非表示で、ブックが画面に出ていない
表示しているつもりのブックが別ウィンドウに隠れている
この状態で「シートを再表示しよう」としても、入口が違うため迷子になりがちです。まずは次の順で確認します。
Excelウィンドウを最大化する
画面下部にシートタブ領域があるか確認する
「表示」タブの「再表示」が有効か確認する(ブックウィンドウ問題の切り分け)
それでもタブがない場合は、シートタブ表示設定やウィンドウ重なりを疑う
「全部消えた」に見えるほどの症状は、シートの非表示よりも“表示環境の問題”が原因になっていることが多いです。
Excelで再表示できないときの原因別チェックリスト
フィルターで非表示のように見えている
行番号が飛んでいるとき、非表示より先に疑うべきなのがフィルターです。フィルターは「条件に合わない行を表示しない」ため、見た目が非表示と非常によく似ます。
フィルターの特徴
行番号が 1、2、3、… のように連続せず、途中が飛ぶ
フィルターのドロップダウン(▼)が見出し行に表示されている
「再表示」をしても戻らない(非表示ではないため)
確認と対処
「データ」タブを開く
フィルターがオンになっていないか確認する
オンなら、フィルター解除(クリア)を実行する
行が戻るか確認する
現場でよくある混乱
自分がフィルターをかけた覚えがなくても、テンプレートや他人の作業で既にオンになっている
共同編集や引き継ぎで、どこにフィルターが設定されているか分かりにくい
テーブル機能(表として書式設定)で自動的にフィルターが出ていることがある
まずフィルターを疑うだけで、復旧が一気に早くなるケースが多いです。
シート保護やブック保護で操作が制限されている
「再表示」操作ができない、あるいは一部の操作が反応しないときは、保護がかかっている可能性があります。保護は、誤操作を防ぐために意図的に設定されることが多く、配布用の資料ほど起こりがちです。
起こりやすい症状
「再表示」が押せない、またはメニューがグレーアウトしている
行・列の操作が制限され、非表示解除ができない
シートの構造変更(挿入・削除など)ができない
確認方法(考え方)
「校閲」タブ周りに“保護解除”に関連する項目が出ているか
解除にパスワードが必要か
会社の運用として、配布ファイルは保護が前提になっていないか
対処の基本方針
自分で解除できる権限があるなら解除して復旧
権限がないなら作成者・管理者に確認(これが最短)
無理に回避策を探すより、正しい手続きで元データを受け取るほうが安全
特に業務では「触ってはいけない部分」を保護で守っていることがあるため、勝手に解除してしまうとトラブルの原因になります。
行の高さや列の幅が極端に小さい
非表示ではないのに“見えない”原因として多いのが、行の高さ・列の幅が極端に小さくなっているケースです。ゼロに近い値になっていると、見た目は非表示と区別がつきにくくなります。
見抜くコツ
二重線というより、境界が密集している
その部分を選択しても「再表示」が出ないことがある
境界をドラッグすると、急に行や列が現れる
確実な戻し方(数値指定)
列:対象の列(または前後列)を選択 → 「ホーム」→「書式」→「列の幅」→ 例えば「8.43」など一般的な幅を入力
行:対象の行(または前後行)を選択 → 「ホーム」→「書式」→「行の高さ」→ 例えば「15」など一般的な高さを入力
実務で起こりやすい理由
画面を整えるために“詰めた”つもりが、ほぼゼロになってしまった
コピー&貼り付けで書式が伝播し、幅・高さも引き継がれた
テンプレート上の設定が意図せず反映された
「再表示」が効かないときの有力候補なので、境界ドラッグか数値指定を優先して試すと復旧が速くなります。
ブックウィンドウを非表示にしている
ブックが見当たらないとき、シートではなく“ブックのウィンドウ”が非表示になっていることがあります。これは、Excelの画面操作に慣れていないと気づきにくいポイントです。
確認の流れ
Excelは起動しているか(タスクバーに表示されているか)
「表示」タブを開く
「再表示」が押せるか確認する
押せるなら、一覧から非表示になっているブックウィンドウを選んでOK
つまずきやすい点
「再表示」が押せない:ブックウィンドウの非表示が原因ではありません(別の原因を探すべきです)
複数ブックを開いている:目的のブックが別の位置に隠れているだけの可能性があります
ブックウィンドウ問題は、シートや行・列の問題と別枠で捉えると混乱が減ります。
シートタブの表示設定やウィンドウ重なりで見えない
シートは存在しているのに、タブが見えない・操作できないケースです。ここは「シートを再表示する」以前に、「シートタブが表示される状態に戻す」ことが先になります。
よくある原因
ウィンドウが小さく、下部の領域が見切れている
スクロールバーやズーム、分割表示の影響でタブ領域が狭い
表示設定でシートタブ表示がオフ
Excel内で要素が重なり、タブが隠れている
復旧の順番(おすすめ)
Excelウィンドウを最大化する
画面下部のスクロールバー周りを確認し、タブ領域が潰れていないか見る
分割表示や固定表示が極端な状態になっていないか確認する
設定でシートタブ表示がオフになっていないか確認する
表示環境が原因のときは、シートの再表示手順だけを試しても解決しません。まずタブが見える状態を作り、そのうえでシートの再表示に進むのが確実です。
VBAのxlVeryHiddenで再表示一覧に出ない
「シートタブ右クリック → 再表示」を開いても目的のシートが出てこない場合、VBAで特殊に隠されている可能性があります。ここで重要なのは、単なる操作ミスではなく“意図的な隠し方”のことがある点です。
このケースでまず取るべき行動
作成者・管理者に確認する(最短かつ安全)
そのファイルが配布用・閲覧用として設計されていないか確認する
ルールがある組織では、勝手に解除しない
なぜ注意が必要か
管理用シート(設定、計算、ログ、参照用データ)を簡単に触らせないために隠している場合がある
解除できるようにしていないのは、編集や改変を防ぐ目的の場合がある
無理に復旧しようとして、ファイルの整合性を崩すリスクがある
個人利用のファイルで「自分が隠した覚えがある」場合は別ですが、業務ファイルや他人が作ったファイルなら、まず確認を優先するのが現実的です。
Excelの非表示と再表示を素早く行うショートカット集
行・列の非表示と再表示ショートカット
行・列はショートカットが非常に便利です。覚え方としては「9が行、0が列」と紐づけると覚えやすい人が多いです。
| 対象 | 非表示 | 再表示 |
|---|---|---|
| 行 | Ctrl + 9 | Ctrl + Shift + 9 |
| 列 | Ctrl + 0 | Ctrl + Shift + 0 |
使いどころ
データを一時的に隠して見やすくしたい
入力欄をスッキリさせてチェックしたい
何度も非表示・再表示を繰り返す作業(確認、照合など)
注意点
環境や設定によっては、列のショートカットが効きにくいことがあります(OS側のショートカットとの競合など)
ショートカットは“選択している行・列”に作用するため、選択範囲がズレていると意図しない場所が隠れます
共同作業で多用すると、他人が「消えた」と混乱しやすいので、必要に応じて説明を添えると親切です
シートの非表示と再表示に近いキー操作
シートの再表示は、行・列ほど単純なショートカットが定着していません。現場では次のいずれかが主流です。
シートタブ右クリックで非表示・再表示(最も確実)
リボン操作で非表示(整形時に分かりやすい)
キーボードでリボンを辿る(慣れると速いが、手順を忘れやすい)
「速さ」を重視するなら右クリック、「確実さ」を重視するならリボン、という使い分けが現実的です。特に再表示は“対象シート名を選ぶ”工程があるため、マウス操作のほうが迷いにくい場面が多いです。
配布用ファイルでの使い分け注意点
非表示は便利ですが、使い方を間違えるとトラブルの種になります。配布用ファイルで特に注意したいのは次の点です。
非表示は「消した」のではなく「見えないだけ」なので、情報を隠す目的には不十分なことがある
受け取った側が再表示してよいのか判断できないことがある
誤操作防止のつもりで隠した結果、作成者自身が復旧に迷うことがある
配布が前提なら、非表示にした理由(見やすさ、入力防止など)と、必要なら復旧手順(どこを再表示すればよいか)を短く書いておくだけで、後々の問い合わせが減ります。
Excelで非表示を安全に運用するコツ
非表示にする前にやるべきバックアップ
非表示に限りませんが、表示状態を大きく変える前に「戻れる状態」を作っておくと安心です。特に、行・列・シートを大量に隠す作業は、復旧が面倒になりがちです。
おすすめの手順
別名保存してコピーを作る(例:ファイル名の末尾に「_作業前」などを付ける)
非表示にした箇所を簡単にメモする(列なら「C〜F」など、シートならシート名)
配布前なら、配布版と編集版を分ける(編集版にだけ元データを残す)
バックアップは「失敗に備える」だけでなく、後から「なぜこの状態にしたか」を説明しやすくする効果もあります。
他人に渡すときは復旧方法もセットにする
他人に渡した瞬間に、操作の前提が共有されていない状態になります。自分にとっては「見やすくしただけ」でも、受け取った側は「欠けている」「壊れている」と感じます。
トラブルを減らすコツ
非表示にした目的を明記する(例:入力欄以外は非表示にしてあります)
必要なら、別シートに「表示に戻す手順」を短く書く
保護をかける場合は、解除方法や問い合わせ先を明確にする
共同作業なら、非表示の運用ルール(誰がいつ戻してよいか)を決める
“復旧できること”を渡す側が担保すると、現場のストレスがかなり減ります。
VBAで隠す場合の最低限の運用ルール
VBAで特殊な非表示を使うと、通常の操作では戻せない状態を作れます。これは便利な反面、引き継ぎがないと「戻せないファイル」になり、業務が止まる原因にもなります。
最低限守りたいルール
何を隠しているか、なぜ隠しているかを文書化する(ファイル内の説明シートでも可)
戻し方(誰が、どの手順で)を明確にする
共同編集や引き継ぎがあるファイルでは、特殊な隠し方を乱用しない
保護や権限の運用とセットで考える(隠すだけでなく、触ってよい範囲を整理する)
VBAによる非表示は、技術よりも運用で失敗しやすい分野です。「今は便利」でも、半年後に自分が困ることが多いので、最初から“復旧できる設計”にしておくのが安全です。
Excelの非表示と再表示でよくある質問
非表示とフィルターの違いは何ですか
非表示は「行や列を手動で隠す」操作で、再表示で戻せます。フィルターは「条件に合うものだけ表示する」機能で、条件を解除しない限り行は戻りません。見た目は似ていますが、戻し方が違うため、行番号が飛んでいるときはまずフィルターを確認すると早いです。
先頭行やA列だけが戻りません
先頭行や先頭列は、両隣を選ぶ定番手順が使いにくいのが原因です。シート全体を選択してから再表示する、またはA1を指定して左上に戻してから再表示する方法が確実です。加えて、非表示ではなくサイズが極端に小さい場合もあるため、境界ドラッグや数値指定も併せて確認すると復旧率が上がります。
「再表示」が押せません
どの「再表示」なのかで意味が変わります。
シートタブ右クリックの「再表示」が押せない:非表示のシートが存在しないか、タブが見えていないなど別要因が疑われます。
表示タブの「再表示」が押せない:ブックウィンドウの非表示が原因ではありません。行・列・シート・タブ表示設定など別の切り分けに進むべきです。
まず「どの対象を戻そうとしているか」を確認すると混乱が減ります。
シートタブ自体が見えません
シートが非表示なのではなく、シートタブ表示がオフ、ウィンドウサイズの問題、表示領域の潰れ、ウィンドウの重なりなどが原因のことがあります。まずExcelを最大化し、下部の領域が見える状態に戻してから、設定や表示状態を確認してください。
再表示の一覧にシートが出てきません
通常の再表示一覧に出ない場合、VBAで特殊に非表示にされている可能性があります。個人ファイルで心当たりがあるなら、作った手順を思い出して戻すのが近道です。業務ファイルや他人が作ったファイルなら、作成者・管理者に確認するのが安全で確実です。
Excelの非表示を再表示する手順の要点まとめ
まず「何が非表示に見えているのか」を切り分ける(行・列/シート/ブックウィンドウ/タブ表示/フィルター/サイズ問題)
行・列の非表示は「前後を含めて選択 → 再表示」が基本。先頭行・先頭列は全体選択やA1指定が有効
再表示できないときは、フィルター、保護、幅・高さが極端に小さい状態、ブックウィンドウ、タブ表示設定、VBA特殊非表示を上から順に確認する
配布や引き継ぎがあるファイルでは、非表示の目的と復旧方法をセットにしておくとトラブルが減る
もし、現在の状況が「行・列が戻らない」「シートが一覧に出ない」「タブが消えた」など、どのパターンに近いかが分かれば、そのケースに絞って最短手順だけを抜き出して案内いたします。