「どこに何があるのか分からない…」「会議直前に全体だけ一瞬で見せたい…」。巨大なExcelに振り回される時間、今日で終わりにしませんか?
本記事では、グループ化のショートカットを使って表を“章立て”にし、ワンキーで折りたたみ/展開できる実践テクを紹介します。行や列を賢くまとめれば、レビューは速く、配布はわかりやすく、日々の更新もミスが減る。面倒な操作を覚える必要はありません。Alt(または⌘)の数回タップで、あなたのシートは“読みやすい資料”に進化します。
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基本はこれだけ:行・列を正しく選んでグループ化/解除、既存グループは素早く折りたたみ/展開。
使いどころ:章見出しは見せたまま、明細だけをグループ化。まずは全体を畳み、必要な箇所を開く——この“型”で迷いが消えます。
相性の良いワザ:レベル番号(1/2/3)で一括切替、SUBTOTALで“見えている部分だけ”を集計、配布はレベル別PDFでスマートに。
事故防止のコツ:解除前に一度展開。テーブルでできないときは範囲に変換。困ったらリボンアクセス(Alt系列)で確実操作。
今日から、探す・スクロールする時間を“考える時間”に。まずは今開いているファイルで、1つ章をグループ化してみましょう。
効果を体感したら、テンプレ化してチーム標準に——それが、速さと見やすさを両立するいちばんの近道です。
「グループ化」とは何か(仕組みの理解)
目的:行や列をまとまり(階層)として扱えるようにし、必要な時だけ折りたたみ(非表示)/**展開(表示)**を切り替える機能。
どこに効く?:ワークシート左端(行)や上端(列)に1/2/3…のレベル番号と**+/−(アウトライン記号)**が表示され、クリックで一括展開/折りたたみができます。
何が便利?
大きな表でも“全体像→必要部分だけ詳細”の閲覧が一瞬。
構造(まとまり)が残るので、毎回非表示/表示の範囲を選び直す必要がない。
印刷時も、レベルで出力範囲を調整しやすい(後述)。
Excelのグループ化をショートカットで実行
グループ化:
Win:Alt + Shift + →
Mac:⌘ + Shift + K
グループ解除:
Win:Alt + Shift + ←
Mac:⌘ + Shift + J
折りたたみ/展開(既存グループ):
Win:Alt → A → H(折りたたみ)/Alt → A → J(展開)
アウトライン記号の表示切替(見えない時):
Win:Ctrl + 8
正しい選択が“ダイアログなし”のコツ
行のグループ化=行番号を選んでからショートカット
列のグループ化=列見出し(A/B/C…)を選んでから
※セル範囲だけを選ぶと「行ですか?列ですか?」のダイアログが出る→1手遅くなります。
3分で掴む練習シナリオ
サンプル表を作る(A1:F40にダミーでもOK)。
明細行(例:5〜14行)を選択 → グループ化。
さらにその中のサブ明細(例:8〜10行)を選択 → 再度グループ化(=多段(ネスト))。
左端に現れる1/2/3を押して全体⇄詳細を切替、+/-で部分だけ開閉。
展開/折りたたみをAlt → A → J/Hで素早く操作。
解除確認:対象範囲でAlt + Shift + ←(Win)/⌘ + Shift + J(Mac)。
多段グループ(ネスト)の考え方
レベル1:章(全体の大枠)
レベル2:セクション
レベル3:小見出し…
というイメージ。上位→下位へ順番に作るのが分かりやすいですが、現場では下位から先に作って後で上位をまとめてもOK。
指針:1つのグループの中に、別のグループを含められる。
レベル番号(1/2/3…)で一発集約できるので、必要なレベル数を最初に決めると運用が安定。
「非表示」と「グループ」の違い
非表示(Ctrl+9/0など)は“単に見えなくする”だけ。構造情報は残らない。
グループは“まとまり”として再利用でき、+/- やレベル番号で何度でも切替が可能。
→ 報告書やモデルなど継続運用するファイルは、グループ推奨。
実務で効く“使い分けレシピ”
レシピA:章立て表を章ごとに開閉
各章の明細行だけをグループ化(章見出し行は含めない)
日常操作はAlt → A → H/Jで開閉
→ 章見出しは常に見えるので、全体構造が掴みやすい。
レシピB:全体をまず畳んで、必要箇所だけ開く
Ctrl + A(全選択)→ Alt → A → H(全折り)
必要箇所にカーソル → Alt → A → J(該当グループだけ展開)
→ 初見レビューや役員説明で有効。
レシピC(Mac中心):K/Jトグルでとにかく速く
まとまりを選択 → ⌘ + Shift + K / J
レベルは画面左の1/2/3で一括切替。
集計と相性が良い機能・運用
SUBTOTAL関数との組み合わせ
フィルタやアウトラインで非表示の行を自動的に集計対象から除外可能(引数で動作選択)。
例:
=SUBTOTAL(9, 範囲)(9=SUM)。折りたたんだ状態で“見えている部分だけ”の合計を確認できる運用が便利。
オートアウトライン(自動階層化)
データ構造が整っていれば、自動でグループを推定。
Winならリボン相当のAlt → A → G → A(オートアウトライン)で試す → 不要ならAlt → A → U → Cでクリア。
完璧でなくても、叩き台として作ってから手修正すると速い。
7) 印刷・配布を見据えたテク
印刷は“レベル”で切り替え:説明資料はレベル1だけ、内製レビューはレベル2、詳細検証はレベル3…という運用。
改ページとの併用:章の直前で改ページ挿入しておくと、折りたたみ状態でも章単位で綺麗に印刷しやすい。
PDF配布:提出先にExcelがなくても、レベルに応じたPDFを複数パターンで出力すると親切。
テーブル・ピボット・フィルターとの関係
テーブル(Ctrl+T):テーブル範囲内の行グループ化は不可(仕様)。必要ならテーブルを範囲に変換してからグループ化。列のグループは範囲側で実施。
ピボットテーブル:ピボットの“展開/折りたたみ”は別の概念(ピボット側の機能)。シートの行/列グループとは独立。
オートフィルター:フィルタとグループは共存可。折りたたみ+フィルタで、見たい粒度の見える部分だけに絞る運用が強力。
解除時の注意(よくある事故を防ぐ)
必ずいったん展開してから解除
折りたたんだまま解除すると、表示が崩れたり意図せず非表示のまま残ることがある。
手順:Alt → A → J(展開) → Alt + Shift + ←(解除)。
解除の粒度:選択範囲のグループだけを外せる。多段の場合、狙ったレベルにカーソルを置いてから実行。
よくあるトラブルと対処
アウトライン記号が出ない
Win:Ctrl + 8で表示切替。
それでも出ない → オプションで「アウトライン記号を表示」が有効か確認。
ショートカットが効かない
日本語入力・特殊配列キーボードで衝突することあり → 一時的に英数入力へ/Alt → A → G/L…等のリボンアクセスで代替。
テーブルのせいでグループ化できない
テーブル → 範囲に変換してから再実行。
グループ化したのに並べ替えで崩れる
並べ替え対象に見出し行や小計行を含めない。必要なら小計行を固定(見出しは外で管理)
共有作業で他人の環境だと見え方が違う
アウトライン記号の設定やウィンドウ表示が個人環境依存になる場合あり → 配布前にPDF出力もセットで渡すと安全。