エジプト旅行を調べると、「危険」「ぼったくり」「女性は大丈夫?」といった情報が目に入り、不安が先に立ってしまう方は少なくありません。ですが、エジプトの危険は国全体で一括りにするものではなく、地域によるリスクの差と、観光客が巻き込まれやすい旅行トラブルの型を理解して、旅程と行動を整えることで大きく下げられます。
本記事では、危険と言われる理由を整理したうえで、避けるべき地域の考え方、スリ・客引き・ぼったくりの回避手順、女性が安心して動くための服装と動線のルール、さらに空港からの移動やホテル選び、体調不良・盗難時の対応フローまで、初めての方でもそのまま実行できる形でまとめました。
「怖いからやめる」ではなく、「安全に楽しむために何を決めておくべきか」が分かる内容です。ピラミッドや神殿の感動を、後悔やストレスで上書きしないために、出発前に一度チェックしておきましょう。
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エジプト旅行が危険と言われる理由を整理する
エジプト旅行を検討するとき、多くの方が最初につまずくのは「危険って具体的に何のこと?」という曖昧さです。ニュースで語られる治安リスク、SNSで見かけるぼったくり体験談、女性への声かけやしつこい客引きなどが一緒に語られ、結果として不安が増幅しやすくなります。
ここではまず、危険の種類を整理し、どこから対策すべきかを明確にします。危険の全体像が見えるだけで、旅の組み立ては驚くほど楽になります。
重大リスクと旅行トラブルを分けて考える
エジプトの「危険」は、大きく次の2系統に分かれます。
1)地域に紐づく重大リスク(行く・行かないの判断軸)
これは、情勢・治安・軍事的緊張などにより、場所そのものがリスクになり得るタイプです。旅行者が注意して行動しても、そもそも避けるべき地域が存在する、という考え方になります。対策はシンプルで、「旅程に入れない」「条件が揃う場合のみ検討する」の二択です。
2)観光客が遭遇しやすい旅行トラブル(行動設計で大きく減らせる)
こちらは、スリ・置き引き・詐欺・ぼったくり・偽ガイド・客引き・チップ要求・ハラスメントなど、旅行者の動き方や情報武装の有無で発生率が大きく変わるタイプです。
「危険=犯罪に遭う」だけではなく、心理的な圧迫によって判断力が落ちたり、疲れてお金を払ってしまったり、イライラして旅の満足度が下がったりすることも含めて対策を考える必要があります。
この2つを混同すると、「どうせ危ないなら行かない」「行くなら何もかも怖い」という極端な思考になりがちです。実際には、地域の選別と行動のルール化を分けて取り組むことで、初めてでも現実的な安全度まで引き上げられます。
観光客が遭いやすいトラブルの典型パターン
エジプトの観光地で起こりやすいのは、暴力的な事件よりも、次のような“押し切り型”のトラブルです。事前に型を知っておけば、遭遇しても心がブレにくくなります。
よくあるパターン1:無料・親切のフリからの金銭要求
「ここ危ないよ、案内する」「写真撮ってあげる」「こっちが入口だよ」など、親切を装って接近し、最後にチップや案内料を請求するケースです。
ポイントは、サービス内容が曖昧な段階で「ありがとう」と受け取ってしまうと、相手の中で“契約が成立した”扱いになりやすいことです。
よくあるパターン2:体験(ラクダ・馬・写真)に紐づく追加請求
「乗るだけ」「写真だけ」と言われたのに、降りるときに高額請求、写真の受け渡しを渋る、複数名分の料金を要求する、などが起きやすい領域です。
対策は、体験前に料金・内容・所要時間・含まれる範囲を確定させること。それが難しいなら、手配が明確なツアーに寄せるのが安全です。
よくあるパターン3:移動(タクシー・送迎)での遠回り・追加請求
料金が事前に決まっていない移動は、交渉・言い分のぶつかり合いになりやすいです。旅行者が土地勘を持たないことを前提に、遠回りや追加請求が起こりやすくなります。
よくあるパターン4:スリ・置き引き(混雑と油断の瞬間)
観光地・市場・駅など、注意が分散しやすい場所で発生しやすいです。「危険人物を見抜く」よりも、「油断の瞬間を作らない仕組み」が重要です。
よくあるパターン5:しつこい声かけ、追従、ハラスメント(女性は特に注意)
観光客として目立つこと自体が引き金になる場合があります。服装だけでなく、時間帯、同伴の有無、徒歩移動の長さ、立ち止まる頻度などが影響します。
このあと各章で、こうしたパターンを“場面別のルール”に落としていきます。知識ではなく、現地で再現できる形にすることがゴールです。
エジプト旅行の危険レベルを地域別に判断する
外務省危険情報の見方と旅程への落とし込み
安全対策の最初の一手は、「旅程に入れる場所の選別」です。ここを曖昧にしたまま小手先の防犯だけ整えても、リスクは下がりません。
重要なのは、危険情報を読んだうえで、自分の旅程に“具体的な判断”として反映させることです。
旅程に落とし込むときの考え方
行きたい場所を「都市名・地域名」まで具体化する(国名だけで考えない)
主要観光地でも、周辺の移動ルートや日帰りの寄り道で、別の地域に踏み込む可能性があることを意識する
「有名だから安心」「ツアーならどこでも大丈夫」と決めつけず、行程の地名単位で確認する
判断がつかない場合は、代替案に切り替える(同じ体験ができる場所は意外と多い)
旅程判断をシンプルにする表(目安)
| 地域カテゴリ | 旅行者の判断軸 | おすすめの対応 | 具体的な考え方 |
|---|---|---|---|
| 旅程に入れない | 情勢リスクが高い/渡航自体が推奨されない | 行かない | 体験欲より安全を優先し、代替都市へ |
| 条件が揃えば検討 | 行き方・事業者・同行者など条件でリスクが変わる | 条件を満たすなら可 | 信頼できる手配、行程固定、無理な移動を避ける |
| 注意しながら観光 | 旅行トラブルが中心で、行動設計で下げられる | ルール化して行く | 夜間回避、移動手段固定、客引き対策を徹底 |
この表の狙いは、「怖いかどうか」ではなく「どう扱うべきか」を決めることです。旅程の判断が先に決まれば、次に整えるべき対策(防犯・移動・ホテル・ツアー)が自然と見えてきます。
避けるべき地域と、行くなら条件付きの地域
エジプト旅行では、観光地だけをピンポイントで回るつもりでも、日帰りツアーや移動ルートの選び方で、リスクの高い地域に近づいてしまうことがあります。
特に注意したいのは次の発想です。
「砂漠で星空を見たい」「秘境に行きたい」など、地理的に都市部から離れる体験ほど、移動距離が伸び、状況変化への対応力が落ちる
国境に近い地域は、政治・治安要因の影響を受けやすく、旅行者の“コントロール可能な範囲”を超えやすい
都市部の観光であっても、早朝・深夜の移動、乗り継ぎ、郊外の施設訪問が加わると、リスクが上がる
「有名なツアーがある=安全」とは限りません。条件付きで検討する場合は、次を満たしているかを確認してください。
条件付きで検討するときのチェック
行程が明確で、寄り道や当日変更が基本的にない
料金・含まれる内容・移動手段・集合解散地点が明記されている
緊急時の連絡先や対応方針が提示されている
安さだけで選ばず、レビューの量と質、運営元の情報が確認できる
体験先が“どこか”を地名で把握できる(曖昧な表現のまま申し込まない)
主要観光都市で気をつけるポイント(カイロ等)
主要観光都市では、重大リスクというより「旅行トラブルの密度」が問題になりやすいです。観光客が集中する場所ほど、客引きや交渉の機会が増え、疲労と判断ミスが起こりやすくなります。
都市観光で意識したいポイント
1日の移動回数を減らす(移動のたびに交渉や声かけが発生しやすい)
観光地と食事を“近い範囲で固める”(遠回りや寄り道の口実を減らす)
早朝・夜間の徒歩移動を避ける(“人が少ない時間”はリスクが上がる)
宿の立地を軽視しない(毎日の戻りが安全でないと、旅全体が消耗する)
都市部は「何かあっても助けがある」と思いやすい一方、観光客が多いからこそ“狙われやすい構造”もあります。安全度を上げるには、勇気より設計が必要です。
エジプト旅行で多い犯罪とトラブルの回避策
スリ・置き引き・車上狙いの防ぎ方
スリや置き引きは、相手が強引というより、こちらの“注意が逸れた瞬間”を突いてきます。対策は道具よりも運用です。次のルールを「徹底できる形」に落とし込んでください。
防犯の基本(チェックリスト)
パスポート原本は必要時以外は持ち歩かない(コピーや写真、控えを用意する)
現金は1か所にまとめず、使う分だけを取り出しておく
バッグは身体の前、ファスナーを必ず閉める
スマホは“出しっぱなし”にしない(撮影後すぐしまう)
カフェやレストランで、荷物を椅子の背に掛けない/床に置かない
混雑地では、立ち止まって地図を広げない(事前に確認し、歩きながら短時間で見る)
車では窓際にスマホやバッグを置かない(信号待ちの瞬間が狙われやすい)
夜は特に、暗い路地や人通りの少ない道を歩かない
「気をつける」だけだと、人は疲れたときに必ず崩れます。守れるルールに絞り、旅行中に意思決定の回数を減らすことが重要です。
ぼったくり・客引き・偽ガイドの断り方テンプレ
客引き・ぼったくり対策の核心は、「会話を成立させない」「主導権を渡さない」です。相手は“押し切るための会話”をしてきます。こちらは“成立させないための会話”をします。
断り方テンプレ(場面別)
近づいてきた瞬間
「No, thank you.」を短く
歩みを止めない
案内を申し出てくる
「I have a guide.」または「I’m waiting for someone.」
理由説明をしない(説明すると議論が始まる)
しつこい場合
「No.」だけで繰り返す
目を合わせ続けない(挑発にも笑顔にも反応しない)
腕を引かれる、距離が近い場合
体を斜めにし距離を取る
近くの店や人のいる方へ移動する
大声で怒鳴るより、淡々と“場を離れる”を優先する
重要な考え方
「相場はいくら?」と聞いた時点で、交渉の土俵に乗ります
「ちょっと見るだけ」「写真だけ」が、相手の“請求の根拠”になり得ます
こちらが疲れている時間帯(昼過ぎ〜夕方、移動直後)は特に狙われやすいので、予定を詰めすぎないことが対策になります
チップ文化に巻き込まれない支払いルール
エジプトではチップ(バクシーシ)が日常的に登場し、慣れていない旅行者ほど「どこまで払うべきか」が分からず混乱します。ポイントは、文化への敬意と、旅行者としての線引きを両立させることです。
チップで迷いにくくする基本ルール
頼んでいないサービスには基本的に支払わない
例:勝手に案内、勝手に撮影補助、勝手に荷物を持つ頼んだサービスでも、内容が曖昧なら受けない
例:「ちょっと手伝う」など、後で請求が膨らみやすい小額紙幣を用意し、“渡すならこの範囲”を決めておく
その場で大きい紙幣しかないと、交渉が長引きます料金が一体化しているサービス(ホテル送迎・パッケージ等)を活用し、交渉の場面を減らす
支払いをスムーズにする運用
使うお金と保管するお金を分け、財布の中身を路上で見せない
支払いのたびに長く悩まない(悩むと周囲が寄ってきやすい)
「今日はここまで」と決めて、追加要求は断る
「チップ文化がある=何でも払う」ではありません。払うべき局面と払うべきでない局面を先に決めておくと、旅のストレスが大きく減ります。
女性のエジプト旅行で危険を減らす行動設計
ハラスメントの現実と、狙われやすい条件
女性の旅行では、スリやぼったくりと同じくらい、「しつこい声かけ」「つきまとい」「距離感の近い接触」などのハラスメントがストレス源になりやすいです。これは“自分が悪い”という話ではなく、旅行者が目立ちやすい環境で起こり得るリスクとして、行動設計で軽減していくテーマです。
狙われやすい条件(傾向)
一人で長く歩いている(徒歩移動が長い)
立ち止まる回数が多い(地図、写真、待ち合わせ)
夜間、または人通りが少ない時間帯に移動する
露出が高い服装で目立つ
断り方が曖昧で、会話が続いてしまう
旅程が詰まりすぎて疲れている(判断が鈍る)
ここで大切なのは「怖がること」ではなく、「条件を外すこと」です。条件を外すだけで、遭遇頻度は体感として下がります。
服装・時間帯・動線・同伴の安全ルール
安全度を上げるには、服装の配慮だけでなく、時間帯・動線・同伴の設計がセットで効きます。おすすめは、次の“守りやすいルール”に落とし込むことです。
服装のルール(無理なく続く形)
肌の露出は控えめにする(肩・胸元・脚の露出を抑える)
透けや身体のラインが強調される服は避ける
観光地ではスカーフや羽織りを持ち、状況で調整できるようにする
足元は歩きやすさ優先(疲労は判断力を落とします)
時間帯のルール
夜間の単独行動は避ける(早朝・深夜も同様)
夕方以降は、徒歩を極力減らし、移動は手配された交通手段に寄せる
夜に外へ出るなら、ホテルで手配できる車や、事前に把握した場所だけに絞る
動線のルール
観光地→食事→ホテルの順で、1日の動きを“固める”
市場や混雑地は、短時間で切り上げる(長居すると声かけが増える)
立ち止まる必要があるときは、入口付近や人の多い場所、店の中に入る
同伴のルール
可能なら複数名で行動する(2名以上でも効果があります)
どうしても一人になる時間は、ホテル周辺の短距離に限定し、徒歩を減らす
不安が強い日(到着日・移動日・夜)は、ツアーや送迎を積極的に使う
一人行動を減らす具体策(ツアー、配車、ホテル選び)
「全部ツアーにしないと危ない」という極端な話ではありません。効率よく安全度を上げるには、“ストレスの発生源が多い場面”だけをツアーや送迎で潰すのが現実的です。
ツアーを使うと安全度が上がりやすい場面
観光地での声かけが多い場所(遺跡・観光スポットの入口付近)
料金交渉が発生しやすい体験(動物、写真、移動が絡むもの)
初めて訪れる都市で土地勘がない日
夕方以降の移動が避けられない日
配車・送迎を使うべき場面
空港からの移動(特に到着初日)
夜間・早朝の移動
ホテルが繁華街から離れている場合
徒歩移動が長くなる観光日
ホテル選びのチェック(安全のための観点)
夜に周辺を歩かなくて済む立地か(送迎前提でも可)
入口が分かりやすく、フロントが24時間対応か
口コミで、スタッフ対応や周辺環境への言及が多いか
無理に安宿に寄せず、安心を買う日を作る(特に到着日)
女性の不安は「何が起きるか」より「起きたときにどうなるか」が大きいものです。起きにくい条件を作り、起きても離脱できる動線を持つことで、気持ちの余裕が生まれます。
移動・ホテル・ツアー選びでエジプト旅行の危険を下げる
空港〜市内移動で失敗しない手順
旅の最初の移動は、心理的にも体力的にも弱いタイミングです。ここで揉めたり迷ったりすると、その後の判断が鈍り、トラブルを引き寄せやすくなります。
到着日は「迷わない」「交渉しない」を目標に、手順を固定してください。
到着日の手順(そのまま実行できる形)
出発前に、ホテル送迎または信頼できる移動手段を予約する
合流方法を明確にする(ドライバー名、待ち合わせ場所、連絡手段)
空港では、呼び込みに応じず、予約した相手だけを探す
到着初日は寄り道しない(チェックインを最優先)
その日に必要な現金だけを用意し、財布を路上で長く開かない
ホテル到着後に翌日の動線を整える(観光の出発地点、移動手段、集合時間)
「現地で考える」は、到着日の敵です。考えないで済む形にすることが、最も強い安全策になります。
長距離移動(鉄道・車)での注意点
長距離移動は、トラブルの種類が変わります。客引きよりも、荷物管理と疲労によるミスが中心になります。
長距離移動の基本ルール
荷物は“身体から離れない状態”を作る(膝の上、ストラップを絡める)
眠る場合は貴重品を必ず身につける(上の棚や足元に置かない)
休憩・乗り継ぎで荷物から目を離さない(「一瞬だけ」が狙われます)
深夜移動を避け、到着は明るい時間帯に寄せる
到着後の移動(駅→ホテル)も事前手配にする(到着直後は疲れて判断が鈍い)
移動日は観光を詰め込みすぎず、余白を作るほうが結果的に安全で満足度が高くなります。
ツアーを使うべき場面と、個人手配でいける場面
ツアーは自由度が下がる一方で、交渉や声かけの機会を減らし、移動を安全側に寄せられます。ここでは、線引きを明確にします。
ツアーを使うべき場面
初日、土地勘がない状態で観光地を複数回る日
遺跡や市場など、客引きが強い場所へ行く日
体験(乗り物、写真、入場の導線)が複雑で、現地で判断が必要な日
女性の単独行動が増える日、夜間の移動が避けられない日
個人手配でもいける場面(条件付き)
ホテル周辺の短距離の移動で、事前にルートが把握できている
料金が明確で、支払い方法が確定している(予約制など)
日中の移動で、人通りがあるルートに限定できる
“全部ツアー”か“全部個人”ではなく、不安が強いところだけをツアーで潰し、安心できる部分は個人で楽しむという組み合わせが、初めてのエジプトでは現実的です。
病気やケガの不安を減らす準備と緊急時の動き
下痢・発熱など旅行者が困りやすい症状の初動
海外旅行で最も多い「詰み」は、体調不良です。観光の予定が崩れるだけでなく、慣れない土地で判断力が落ち、移動や支払いの問題も連鎖します。
だからこそ、症状が出たときの初動を“迷わない形”にしておくことが重要です。
体調不良の初動(フロー)
無理に観光を続けず、休む(悪化させない)
水分と電解質を優先し、脱水を防ぐ
海外旅行保険の窓口へ連絡し、受診先と通訳可否を確認する
症状が強い・長引く場合は受診する(自己判断で引っ張らない)
回復後も、食事と行動を軽くして再発を防ぐ
帰国後も症状が続く場合は医療機関に相談する
「病院に行くかどうか」で迷うほど、体力は削られます。保険窓口を起点に、判断の負担を減らすことがポイントです。
よくある落とし穴
「もったいないから観光する」と無理をして悪化する
水分だけで済ませて電解質不足になり、回復が遅れる
現地で病院探しから始めてしまい、時間と不安が増える
海外旅行保険で必ず確認する項目(通訳・キャッシュレス等)
保険は「入っているか」よりも「使える状態か」が重要です。出発前に、次を必ず確認してください。
保険チェックリスト(最低限)
24時間の日本語サポートがある
医療機関の紹介と予約支援がある
通訳・翻訳サービスがある(電話通訳でも可)
キャッシュレス治療が可能か(立替が必要か)
携行品損害(盗難・破損)の補償範囲
航空機遅延や欠航の補償(乗り継ぎがある場合は特に)
緊急移送や救援者費用(万一に備える)
運用のコツ
保険証券番号・連絡先は紙とスマホで二重に持つ
同行者にも連絡手順を共有する(本人が動けない場合に備える)
盗難時に備え、カード会社の緊急連絡先も別管理する
大使館・警察への連絡と手続きの流れ
盗難やトラブルが起きたとき、いちばん重要なのは「その場で戦わない」ことです。相手を追いかけたり、口論で解決しようとしたりすると、リスクが上がります。
必要なのは、手続きと証明を整え、被害を最小化する行動です。
盗難時のフロー(迷わない順番)
まず安全な場所へ移動する(危険な追跡はしない)
クレジットカードやSIMなど、止められるものを止める
警察で届出を行い、証明書類を受け取る
パスポート関連の手続きが必要なら、大使館・領事館の案内に従う
保険請求に必要な書類を揃える(届出証明、明細、状況メモなど)
体調不良・事故時のフロー
命に関わる場合は救急対応を優先する
保険窓口へ連絡し、医療機関と通訳を確保する
事故の場合は、可能な範囲で状況記録(日時・場所・相手情報)
帰国後の治療や請求のため、書類を保管する
「万一のときにどうするか」を先に知っているだけで、旅の安心感は大きく変わります。使わないに越したことはありませんが、使う可能性があるから備える価値があります。
よくある質問
エジプト旅行は今も危険ですか?どの都市なら行けますか?
「今も危険か」は国全体で判断せず、地域と旅程で判断するのが基本です。まず、行きたい場所を都市名・地域名まで具体化し、旅程に入れるべきでない地域を外したうえで、主要観光都市を“注意しながら観光する”前提で設計すると現実的です。
また、同じ都市でも、夜間の移動や郊外への寄り道でリスクが上がることがあります。旅程は「何をするか」だけでなく「いつ、どう移動するか」まで含めて作ると安全度が上がります。
ピラミッド周辺のぼったくりはどう回避しますか?
最も効くのは、次の3点です。
立ち止まらない(会話の入口を作らない)
断り方を短く固定する(No, thank you/No を繰り返す)
料金が曖昧な体験に乗らない(乗るなら事前に条件確定、難しければツアー)
「話せば分かってくれる」は期待しないほうが安全です。相手は“押し切る会話”に慣れています。こちらは“成立させない”で勝ちます。
女性一人旅は可能ですか?服装はどこまで配慮すべきですか?
不可能ではありませんが、初めての場合は難易度が上がります。服装の配慮は有効ですが、それだけでは足りません。
安全度を上げるには、夜間の単独行動を避ける、徒歩移動を短くする、送迎やツアーで交渉場面を減らす、立ち止まる回数を減らす、といった動線設計が効きます。
服装は「露出を控えめにし、状況で調整できる羽織りを持つ」くらいを基本に、無理のない範囲で続けるのが現実的です。
砂漠ツアーは避けた方がいいですか?
一概に「全部ダメ」ではありませんが、都市観光よりもリスク管理の難易度が上がります。地名を具体化し、行程が明確で、信頼できる手配ができる場合のみ検討するのがおすすめです。
「秘境」「絶景」ほど、移動距離が伸び、状況が変わったときに逃げにくくなります。初めての旅では、無理に詰め込まず、都市観光の満足度を上げる方向で組むほうが後悔が少ないです。
病気になったらどう動くべきですか?
最初にやるべきは、無理をしないことと、保険窓口へ連絡して受診導線を確保することです。
「病院探し」「通訳探し」を体調が悪い状態でやるのは非常に消耗します。保険のサポートを使って判断負担を減らし、水分と休息を最優先にしてください。帰国後も症状が続く場合は、早めに医療機関へ相談すると安心です。
まとめ
エジプト旅行の不安は、「危険」という言葉が大きすぎて、何をどう対策すればよいか分からなくなるところから始まります。対策の第一歩は、危険を2種類に分けることです。
地域に紐づく重大リスクは、旅程から外す・条件付きにすることで管理する
旅行トラブル(ぼったくり・客引き・スリ等)は、行動のルール化で大きく減らす
そのうえで、特に重要なのは次の3点です。
到着日と移動日を「交渉しない設計」にする(送迎・手配の固定)
観光地では「会話を成立させない断り方」を準備する(短く、繰り返す)
女性は服装だけでなく、時間帯・動線・徒歩の長さ・同伴戦略でリスクを下げる
最後に、体調不良や盗難など「起きた後」のフローも頭に入れておくと、旅の安心感が一段上がります。準備は多く見えても、実際にやることは“判断回数を減らす仕組み作り”です。
旅程を安全側に整え、行動ルールを決めておけば、エジプトの魅力はしっかり楽しめます。