インターネットの知恵袋サイトでは、次のような質問がしばしば見られます。
「ひどい頭痛がしていたのですが、トイレでうんこをしたら急に楽になりました。同じような経験のある方はいますか?なぜこうなるのでしょうか?」
このような投稿には、「自分も同じ経験がある」「便秘だったけど、出たら頭がスッキリした」など、多くの共感コメントが集まります。
一見すると「都市伝説」のようにも思えますが、実は腸と頭痛には無関係とは言い切れない仕組みがあります。本記事では、知恵袋でのこうした疑問を手がかりに、専門家目線で分かりやすく解説していきます。
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知恵袋などでよく見かける「うんこしたら頭痛が治る」という現象は、
腸の圧迫からの解放
自律神経の切り替え
血流改善
などの要素から、一定の合理的な説明が可能です。
便秘や腸内環境の悪化は、頭痛をはじめとする全身症状の一因になり得ます。
生活習慣(睡眠・運動・ストレス)と食事、排便習慣を整えることで、頭痛が軽くなるケースもあります。
一方で、
頭痛や便通異常が続く、悪化している、危険なサインを伴う場合
には、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関の受診が最優先です。
便秘・腸の不調と頭痛にはどんな関係があるのか
腸と自律神経の深い関係
腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、自律神経と密接に関係しています。
ストレスや生活リズムの乱れにより自律神経が乱れると、
腸の動き(ぜん動運動)が低下 → 便秘になりやすい
血流が悪くなる → 肩こり・首こり・緊張型頭痛が起こる
といった形で、腸と頭痛が同じ原因(自律神経の乱れ)から影響を受けることがあります。
腸内環境の悪化が全身症状を招く仕組み
便が長時間腸内にとどまると、腸内環境が乱れやすくなります。悪玉菌が優位になり、ガスや有害物質が増えることで、
お腹の張り・不快感
だるさ・疲労感
頭が重い・頭痛
などの全身症状が出る場合があります。
「便秘になってから身体の不調が増えた」という自覚がある場合、腸内環境の悪化が一因となっている可能性があります。
便秘による腸の圧迫・炎症と血流・代謝への影響
便秘で腸がパンパンに張っている状態では、周囲の血管や臓器が圧迫され、血流が悪化します。血流が落ちると、筋肉がこわばりやすくなり、首・肩・頭周辺の血行も悪くなりがちです。
結果として、
緊張型頭痛
血行不良による重だるい頭痛
といった症状が出現しやすくなります。
つまり、「便秘→腸の圧迫・血流悪化→頭痛」というルートが十分に考えられるのです。
「うんこしたら頭痛がスッと楽になった」そのとき体内で起こっていること
老廃物・ガス・圧迫から解放されることによるスッキリ感
長く我慢していた便が排出されると、腸に溜まっていた
便そのものの量
ガス・内容物による圧迫感
から解放されます。この「圧迫からの解放」は、身体にとって大きな負担軽減です。
圧迫が取れることで血行が改善し、結果的に頭部への血流も良くなり、頭痛が和らいだと感じるケースがあります。
排便をきっかけに自律神経が切り替わる可能性
排便は、副交感神経が優位になりやすい行為です。特にリラックスした環境でトイレに入ると、
不安や緊張が和らぐ
呼吸がゆっくりになる
全身の緊張が抜ける
など、自律神経のバランスが整いやすくなります。
この「自律神経のリセット」が、頭痛の軽減につながっている可能性もあります。
血流や循環の改善による頭部への好影響
腸内の内容物がスムーズに排出されると、腸周囲の血流が改善し、全身の循環も回復しやすくなります。
血流が改善すると、
筋肉のこわばりが和らぐ
酸素・栄養が頭部にしっかり届く
代謝がスムーズになり、老廃物が排出されやすくなる
といった効果が期待でき、結果として頭痛が「軽くなった」「いつのまにか消えていた」という体感につながることがあります。
便通を整えて頭痛を減らすための具体的な腸活・生活習慣
まず見直したい3つの基本習慣(睡眠・運動・ストレス)
便秘と頭痛の両方に関わる大きな要素が、自律神経です。自律神経を整えるために、次の3つを意識します。
睡眠
毎日ほぼ同じ時間に寝て起きる
就寝前のスマホ・PCを控える
運動
1日20〜30分程度のウォーキング
デスクワーク中は1時間に1回は立ち上がる
ストレス対策
深呼吸やストレッチでこまめにリセット
完璧主義を手放し、「できる範囲」を自分で認める
食事でできる腸ケア(食物繊維・水分・発酵食品)
腸内環境を整えるには、次のようなポイントが重要です。
水分:こまめな水分補給(1日1.5〜2Lを目安に)。
食物繊維:
野菜(ごぼう・ブロッコリー・キャベツなど)
海藻類
玄米や全粒粉パン
発酵食品:
ヨーグルト
納豆
キムチ、ぬか漬け など
これらを「毎日少しずつ」続けることで、腸内の善玉菌が育ちやすくなり、便通リズムの改善が期待できます。
排便習慣とトイレ環境の整え方
腸の動きを味方につけるためには、習慣作りも大切です。
朝食後にトイレに座る時間を取る(便意がなくても習慣化)
便意を我慢しない
深呼吸をしながら、リラックスした姿勢で排便する
また、足を少し高くする(踏み台を使うなど)と、直腸の角度が変わり、出しやすくなることがあります。
こんな頭痛や便通異常は要注意!病院受診の目安チェックリスト
すぐに受診したほうがよい危険サイン
次のような症状がある場合は、「うんこで治るかどうか」を試す前に、早めの受診が必要です。
今まで経験したことがないような突然の激しい頭痛
頭痛と同時に、ろれつが回らない・手足のしびれ・視覚障害などがある
発熱、激しい腹痛、嘔吐を伴う頭痛
血便・黒色便、便に粘液や大量の血が混じる
数週間以上続く便秘や下痢、体重減少を伴う
これらは、脳・血管の病気、消化器系の病気など、命に関わる疾患のサインである場合があります。
何科を受診すべきかの目安
主に頭痛がつらい場合:内科、脳神経内科、頭痛外来
便通異常や腹痛も強い場合:消化器内科、胃腸科
どちらもある場合:まずはかかりつけの内科で相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらう
「知恵袋で同じ症状の人を探す」ことも参考にはなりますが、診断は必ず医師に委ねるべき領域です。