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同一生計とは?別居でも扶養になる判断基準と書類の書き方

年末調整や確定申告の書類を書いていると、「同一生計(生計を一にする)」という言葉が出てきて手が止まることがあります。別居している子どもに仕送りしている場合は扶養に入るのか、単身赴任はどう扱うのか、二世帯同居で家計が別なら同一生計と言えるのか――。判断を間違えると、控除が受けられなかったり、後から確認が入り手続きがやり直しになったりする不安もあります。

本記事では、同一生計を「同居か別居か」ではなく、家計の一体性という視点で分かりやすく整理します。別居でも該当しやすい条件、同居でも外れやすい境界線、年末調整・確定申告で迷いがちなポイントを、判断フロー・ケース表・チェックリストで“自分の状況に当てはめて”確認できるようにまとめました。読み終えたときに「これなら判断できる」と安心して書類を進められる状態を目指します。

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目次

同一生計とは何を指すのか

同一生計と生計を一にするはほぼ同じ意味

「同一生計とは何か」と検索すると、多くの場合は税金や公的手続きの文脈で使われる「生計を一にする」という考え方を知りたい状況にあります。結論から言えば、同一生計は「同じ家に住んでいるかどうか」よりも、生活が同じ家計で成り立っているかを判断の中心に置く概念です。

ここで混乱が起きやすいのは、日常の感覚では「同居=同一生計」「別居=別生計」と捉えがちだからです。しかし税のルールでは、その単純な二分法は当てはまりません。たとえば、進学で子どもが一人暮らしをしていても、学費・家賃・生活費を親が負担しているなら、家計はつながっています。逆に二世帯同居でも、家計が完全に分かれていて互いに独立しているなら、同一生計と判断しない方向になることがあります。

まずは「同一生計=家計の一体性」と押さえるところから始めると、用語の霧が晴れます。

最初に知っておきたい重要ポイント:同居は必須条件ではない

別居している家族がいると、「もう同一生計ではないですよね?」と不安になります。ただし、税務の考え方では別居は即アウトではありません。国税庁の扶養控除Q&Aでも、別居の場合は常に生活費・療養費等の送金が行われているなど“生計を一にしている実態”が必要だと明記されています。

つまり、別居であっても「生活費を誰が負担しているか」「送金が継続しているか」を説明できるなら、同一生計に該当し得ます。一方、別居後に完全に自活しているなら、家計は切れていると捉えられやすくなります。

この“別居でも該当し得る”という前提を知らないと、年末調整や確定申告で損をしたり、必要以上に不安になったりします。読み進めながら、あなたの状況に近いケースで確認してください。

税金と申込書で「同一生計」の意味がずれる理由

「同一生計」という言葉は、税金だけでなく、クレジットカードやローン、各種申請書類にも登場します。ただし、これらは必ずしも税法の要件と同じ意味で運用されているわけではありません。

  • 税金(年末調整・確定申告):
    親族要件など制度の枠があり、その中で「生計を一にする(同一生計)」が問われる

  • 申込書・社内手続き:
    その書面の定義(同居家族、扶養している家族、同一の家計で生活する人など)が優先される

したがって「税の同一生計でOKだから、申込書も同じに書けばよい」とは限りません。逆も同様です。最も安全なのは、(1)どの手続きか(2)そこでの定義は何か(3)定義がなければ家計の一体性で保守的に整理、という順番で考えることです。


同一生計の判断基準は家計の一体性

判断はこの順番で行うと迷いが減る

同一生計の判定は、いきなり「別居だけど大丈夫?」から入ると迷走しがちです。迷いを減らすには、次の順番が有効です。

  1. その制度で対象になり得る関係か(親族などの前提)

  2. 家計の一体性があるか(生活費・療養費・教育費の負担、送金の継続)

  3. 明らかに独立した生活か(同居でも完全分離、別居でも完全自活など)

  4. 制度別の所得要件等を満たすか(年分・年度に注意)

この順番を本文中の表で確認できるようにします。

表A:同一生計セルフ判定フロー(表で読むYes/No)

ステップ 質問 YESなら NOなら
1 その手続きで対象になり得る関係か(親族・配偶者など) ステップ2へ その制度では対象外の可能性が高い
2 生活費・療養費・教育費などを主に負担している/定期的に送金している ステップ3へ 別生計の可能性が高い
3 同居でも明らかに独立生活(家計完全分離)と言える状況か 同一生計ではない可能性が上がる(制度別に再確認) ステップ4へ
4 制度別の所得要件・年齢要件などを満たすか(年分・年度に注意) 手続き上「同一生計」要件を満たし得る 所得要件等で対象外になり得る

※別居の場合、ステップ2の「送金が継続しているか」が最重要です。国税庁も別居では“常に生活費等の送金”など実態が必要としています。

生活費を誰が負担しているかが中心

同一生計の核心は、生活の支え方です。特に別居がある場合は、次のような支出が「家計の一体性」を説明する材料になります。

  • 生活費(食費、日用品、通信費の補助など)

  • 住居費(家賃、寮費、住宅ローン負担の一部など)

  • 教育費(学費、教材費、通学費)

  • 療養費(通院費、介護費、医療費の補助)

重要なのは「一度払った」ではなく、継続して生活を支えていると説明できることです。送金履歴やクレジットカード明細、学費の領収書などは、いざというときの説明材料になります。

別居でも同一生計になり得る代表パターン

別居があると不安になりますが、実務上よくある代表例は次の通りです。

  • 進学:子が一人暮らし、親が学費・家賃・生活費を継続支援

  • 単身赴任:家族は元の住居、生活費は同じ家計で支払われている

  • 療養:親族が療養のため別居、生活費・療養費を継続負担

弥生の解説でも、進学で一人暮らしの子に学費・生活費・家賃を負担し、定期送金している場合に「生計を一にする」とみなされる具体例が示されています。こうした説明は、国税庁の考え方(別居でも送金など実態が必要)とも整合します。

同居でも外れることがある境界線

同居していても、常に同一生計とは限りません。国税庁の法令解釈情報では、同一の家屋に起居していても「明らかに互いに独立した生活を営んでいる」場合は、その限りでない趣旨が示されています。

具体的には、二世帯住宅で完全分離し、食事も光熱費も保険もすべて別、互いの生活費負担がないような場合です。こうしたケースでは、「住所が同じだから」と安易に判断せず、家計の一体性がどこにあるかを丁寧に確認した方が安全です。


同一生計に当てはまるケースと当てはまらないケース

1分で確認できるケース別早見表

「文章を読んでもまだ不安」という方のために、ケース別に“見ておくポイント”を表にまとめます。

表B:ケース別の該当しやすさ早見表

ケース 同一生計になりやすさ 見るポイント 残すと安心な記録
進学で子が別居(仕送り) 高い 学費・家賃・生活費の負担が継続しているか 振込履歴、学費領収書、家賃明細
単身赴任で本人が別居 高い 家族の生活費が同一家計で支払われているか 生活費口座の出入り、住居費負担の記録
療養で親族が別居 中〜高 療養費・生活費の継続負担があるか 医療費明細、送金履歴
二世帯同居(財布別) 低〜中 食費・光熱費など生活コストが完全分離か 光熱費の請求先、別会計の証跡
同居だが家計は完全分離 低い 互いの生活費負担がないか 家計簿、支払者が分かる明細
別居後に自活(送金なし) 低い 生活費を本人が賄っているか 就職・収入の状況が分かる情報(必要時)

※別居の扶養判定では、国税庁が「常に生活費等の送金が行われている」など実態を重視することを明示しています。

仕送りが少額でも同一生計になり得るか

多くの方が気にするのが「仕送り額が少ないとダメ?」という点です。ここでの注意点は、金額だけで一律に線引きされるものではなく、生活を支えている実態が問われることです。

  • 毎月定額でなくても、家賃や学費を直接支払っているなら実態は強い

  • 仕送りが断続的でも、生活費の主たる負担が親にあるなら説明しやすい

  • 反対に、単発の送金だけでは「生計を一にする」実態として弱くなる

国税庁が示す別居時の説明(生活費・療養費等の送金が常に行われているなど)に照らしても、継続性と生活負担の実態が鍵になります。

二世帯同居は「家計が一本かどうか」を分解して見る

二世帯同居は、同一生計の典型的な迷いどころです。ここは「同居=同一生計」という思い込みを外して、次のように分解すると判断しやすくなります。

  • 食費:一緒に買って一緒に食べるか、別々に買って別々に食べるか

  • 光熱費:世帯で分けて請求・支払いが分かれているか

  • 住居費:住宅ローンや家賃をどちらが負担しているか

  • 教育費・医療費:誰が主として負担しているか

  • お金の流れ:家計の“共通財布”があるか、完全に別財布か

同じ建物でも、ここが完全分離なら独立生活と見られる可能性が上がります。反対に、住居費を親世帯が負担し、子世帯が食費を負担するなど、相互に支え合う形なら、実態は複合的です。制度別に「誰が誰を扶養する話か」を明確にして整理しましょう。

ルームシェアや内縁は「同一生計」の前提が違う

税の手続き(扶養控除・配偶者控除など)では、「生計を一にする」以前に、対象となり得る関係(親族・配偶者)が前提になります。友人同士のルームシェアがいくら家計共同でも、扶養控除の対象にはなりません。

また、配偶者控除は民法上の配偶者が前提です。内縁関係を税の配偶者控除に当てはめることはできないため、ここも混線させないのが大切です。


扶養控除や同一生計配偶者での使われ方

扶養控除で問われる「生計を一にする」

扶養控除の場面では、扶養親族の要件の一つとして「生計を一にする」ことが問われます。国税庁の扶養控除Q&Aは、別居の場合に「常に生活費・療養費等の送金が行われている」などの実態が必要だと示しており、同居必須ではないことが読み取れます。

ただし、扶養控除には年齢要件や所得要件など、他の条件もセットで存在します。また、非居住者扶養親族については追加要件があるなど、状況によって注意点が増えます。海外在住の親族を扶養に入れる可能性がある方は、国税庁の該当ページで条件を確認してください。

同一生計配偶者は「生計+所得要件」がセット

「同一生計配偶者」は、配偶者控除・住民税関連などで登場する重要な用語です。ポイントは、同一生計(生計を一にする)だけでなく、配偶者の合計所得金額要件がセットで判定されることです。

ここは改正が入りやすい領域です。国税庁の配偶者控除ページでは、配偶者の合計所得金額が令和7年分以後は58万円以下など、年分で基準が変わる注記が示されています。

さらに、令和8年度税制改正の大綱では、所得税について同一生計配偶者および扶養親族の合計所得金額要件を62万円以下へ引き上げる方向性(適用年分の注記を含む)が示されています。今後の年末調整や確定申告では「いつの年分か」を必ず確認する姿勢がより重要になります。

住民税は「前年所得」と「適用年度」に注意

住民税(個人住民税)は、所得税と同じように見えて、説明が「前年の所得」「年度課税」として案内されることが多いのが特徴です。自治体の改正案内でも、同一生計配偶者や扶養親族の前年の合計所得金額要件が58万円以下へ引き上げられる、といった形で示されています。

つまり、所得税の「令和○年分」と、住民税の「令和○年度分」は、確認の仕方がずれることがあります。会社の年末調整で扱う所得税だけを見ていると、住民税の通知で混乱する原因になります。
不安な場合は、次の順で確認してください。

  • これは所得税(年末調整・確定申告)の話か、住民税(自治体課税)の話か

  • 対象は「令和○年分」か「令和○年度分」か

  • 改正の適用開始がいつか(翌年からのこともある)


同一生計を説明しやすくする記録と書類の書き方

「説明できる状態」を作ると不安が消える

同一生計の悩みは、「本当にこれで良いのか」という不安に尽きます。この不安を減らす最短ルートは、判断の根拠を“説明できる形”で残すことです。

別居のケースでは、特に次の3点がそろうと強くなります。

  1. 別居の理由(修学・療養・単身赴任など)

  2. 生活費・教育費・療養費の負担実態(誰が払っているか)

  3. 継続性(常に送金、定期的な支援、直接支払いの継続)

国税庁も別居時の要件として送金等の実態を重視しています。したがって、送金履歴や支払い明細は、あなたの安心材料になります。

記録として残すと強いもの(チェックリスト)

  • 振込履歴(ネットバンクの明細、通帳コピー、送金アプリの履歴)

  • 学費・家賃・医療費の領収書やカード明細(支払者が分かるもの)

  • 別居理由のメモ(いつから、なぜ、どの程度の期間見込みか)

  • 家計の流れが分かる資料(家計簿、共有口座の入出金)

  • 二世帯同居なら費用分担が分かる資料(光熱費の請求先、別会計の証跡)

「残す」という行為自体が、迷いの解消に直結します。書類作成前に一度このチェックを見直すだけで、手戻りが大きく減ります。

年末調整・確定申告での「よくあるミス」回避ポイント

実際に多いミスを、行動に落ちる形で整理します。

  • 別居=対象外と決めつける
    → 送金など実態があれば対象になり得るため、まず表Aのステップ2を確認。

  • 同居=対象と決めつける
    → 家計完全分離なら外れる方向の可能性。二世帯は費用分担を確認。

  • 年分(年度)を見ずに所得要件を判断する
    → 基準は改正される。令和7年分以後の基準、令和8年分以後の見直し予定など、必ず対象年分を確認。

  • 申込書の「同一生計」を税と同じ意味で書く
    → 申込書は定義が優先。注釈を読み、なければ家計の主たる負担関係で保守的に整理。

申込書の同一生計者人数で迷ったときの安全な数え方

申込書は税法の要件と一致しないことがあるため、もっとも安全なのは「その書面の定義に従う」ことです。定義がない、または曖昧な場合は、次の順に整理すると迷いが減ります。

  1. 同居しているか(ただし同居のみで確定しない)

  2. 生活費を主に負担している相手か(家計の中心)

  3. その相手があなたの家計に依存している実態があるか(扶養・生活補助)

迷う人を無理に含めるよりも、「明確に家計が一体の人」を中心に数える方が安全です。後から齟齬が出そうな場合は、提出先に確認するのが最も確実です。


よくある質問で最後の迷いを消す

仕送りは現金手渡しでもよいのか

可能ですが、説明のしやすさは振込が勝ります。現金手渡しのみだと証跡が残りにくく、「常に送金が行われている」実態を示しにくくなります。現金手渡しの場合は、メモ(日時・金額・用途)を残し、可能なら一部でも振込に寄せると安心です。

共働き夫婦は同一生計なのか

多くの場合、共働きでも同一生計として整理されます。収入源が複数でも、家計が共同で運用されていれば「家計の一体性」があるためです。
ただし、夫婦で完全に財布が分離し、互いの生活費負担がないほど独立している特殊ケースでは、制度別に要件確認が必要になります。

仕送りを受ける子がアルバイトしている場合はどうなる

ポイントは2つです。

  • 同一生計(家計の一体性)の有無:仕送り等の継続支援があるか

  • 所得要件:扶養控除や同一生計配偶者など、制度別の所得基準を満たすか(年分に注意)

弥生のFAQでも、修学の都合で別居していても生活費等の送金があれば生計を一にすると扱われることが示されています。一方で所得要件は制度と年分に依存するため、必ず確認してください。

最後に、迷ったらどこを見ればよいか

迷いが解けないときは、次の順が実用的です。

  1. 国税庁(所得税の年末調整・確定申告):扶養控除Q&A、配偶者控除の要件ページ

  2. 自治体(住民税):年度の改正案内

  3. 提出先(申込書):その書面の定義・運用

「同一生計」は言葉が同じでも、手続きが違えば“見ているもの”が違うことがあります。確認先を間違えないことが、最大の近道です。


まとめ:同一生計とはを最短で判断するコツ

覚えるのは3点だけでいい

最後に、今日から使える形で要点を絞ります。

  1. 同一生計は「同居かどうか」ではなく家計の一体性で判断する

  2. 別居でも、生活費・療養費等の送金が継続している実態があれば該当し得る

  3. 所得要件は改正されるため、対象の年分(年度)を必ず確認する

この3点を押さえたうえで、表Aと表Bにあなたの状況を当てはめると、判断はかなり整理されます。もし境界線で迷ったら、「説明できる証跡」を残すことが不安解消に直結します。


参考にした情報源