Discordサーバーを運営していると、次のような場面がよく発生します。
「運営への不満や改善点を、本音で聞きたい」
「イベントの日程やルールを決めたいが、誰がどの選択肢に入れたか見えない方がいい」
「社内や勉強会の満足度を、上司や講師を気にせず答えてもらいたい」
このようなときに役立つのが「匿名アンケート・匿名投票」です。
Discordで匿名アンケートを行う方法を、公式機能・Bot・外部ツールまで含めて網羅的に解説いたします。
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Discordのアンケート/投票機能の基本を整理しよう
Discordでアンケートを取る主な方法は3つ
まずは、Discordでアンケートや投票を行う方法を整理します。
チャンネルの「+」ボタンなどから、質問と選択肢を設定できる機能です。
見た目が整っており、集計も自動で行われます。
メッセージに「✅」「❌」などの絵文字リアクションを付けてもらう方法です。
手軽ですが、誰がどのリアクションを押したかはすべて見えてしまいます。
Botや外部フォームを利用したアンケート
専用の投票BotやGoogleフォームなど外部サービスを組み合わせる方法です。
匿名性や集計機能を強化したい場合に使われます。
本記事では、この3つを「匿名性」という観点から比較しながら解説していきます。
公式Poll機能とリアクション投票の違い
簡単な比較イメージは次のとおりです。
| 項目 | 公式Poll機能 | リアクション投票 |
|---|---|---|
| 見た目・UI | 専用の投票カード | 通常メッセージ+絵文字 |
| 作成の手軽さ | 初回は少し慣れが必要 | メッセージ1つで完結 |
| 期限設定 | 可能 | 基本的に不可 |
| 集計 | 自動 | 手動カウント |
| 誰が投票したか | 設定により表示される場合あり/なしの場合あり | |
| 匿名性 | 限定的〜オプション次第 | ほぼなし(丸見え) |
リアクション投票はあくまで「簡易アンケート」であり、「誰が投票したか見られたくない」用途には向かない点を押さえておく必要があります。
「匿名アンケート」で本当にやりたいことは何かを明確にする
「匿名アンケート」といっても、実際には次の2パターンがあります。
他の一般メンバーからは誰が投票したか分からなくてよいが、運営側は把握できてもよい
運営・管理者を含めて、誰がどの回答をしたか一切分からない状態(完全匿名)がよい
本記事では、それぞれに適した方法を切り分けてご説明します。
ご自身のサーバーでどこまでの匿名性が必要かを意識しながら読み進めてください。
Discord公式Poll機能でできること・できないこと(匿名性の観点)
Poll機能の基本仕様と使い方(PC/スマホ)
Poll機能は、テキストチャンネルで次のような手順で作成できます(イメージ)。
投票を行いたいテキストチャンネルを開く
メッセージ入力欄の左にある 「+」ボタン をクリック/タップ
「投票」または「Pollを作成」を選択
質問文を入力
選択肢を2〜10個程度入力
投票期限(例:1時間、1日、1週間など)を設定
必要に応じて「複数選択」「匿名」などのオプションを設定
「送信」ボタンを押す
スマホ版でも、おおむね同じ流れで操作できます。
「匿名投票オプション」の挙動と注意点
DiscordのPoll機能には、環境によっては「匿名投票」に関連するオプションが表示される場合があります。
オンの場合
投票結果画面に「誰がどの選択肢に投票したか」が表示されず、
「何票入っているか」だけが分かる形になることが想定されます。
オフの場合
各選択肢を開くと、その選択肢に投票したユーザーの一覧が表示される挙動が一般的です。
ただし、
公式FAQでは「匿名投票はできない」と明記されていた時期がある
実際のアプリ画面では「匿名」に近い挙動が導入されつつある
といったように、時期や環境によって情報が分かれている状態です。
そのため、本記事では次のように整理します。
Pollの匿名オプションは、「一般メンバーからの可視性を下げる」目的には有効な場合がある
一方で、Discord内部のログやシステム側には投票者情報が残らないとは限らない
「管理者も誰が回答したか一切分からない完全匿名」を求める場合は、後述するBotや外部フォームの利用を前提とする
仕様はアップデートされる可能性が高いため、運用前にご自身の環境で挙動を確認することを強くおすすめいたします。
リアクション投票はなぜ匿名にならないのか
リアクション投票は、メッセージに対してメンバーが直接絵文字リアクションを付ける方式です。
各絵文字にマウスオーバー/タップすると誰がそのリアクションを押したか一覧で表示される
結果として、投票内容とユーザー名が紐付いた状態で丸見えになります
そのため、リアクション投票は次のような用途には向いていません。
サーバー運営やモデレーターへの満足度調査
職場環境や人間関係など、センシティブなテーマ
意見が割れることが想定される重要な意思決定
「匿名性を重視するアンケート」であれば、公式PollまたはBot・外部フォームを検討するべきです。
Botを使ってDiscord内で匿名アンケートを実現する
匿名アンケートBotを使うべきケース
次のような場合は、公式Poll機能だけではなく、専用の匿名アンケートBotを利用するのがおすすめです。
投票者名を運営側も含めて完全に隠したい
選択式だけでなく、複数の質問やテキスト回答を含めたい
結果をCSVなどでエクスポートして分析したい
定期的なアンケートを自動で実施したい
Botを使うと、Discord内のメッセージとして完結しつつ、より高度な匿名アンケートが実現できます。
代表的な匿名アンケートBotの比較表
具体的なBot名や機能は日々更新されますが、ここでは代表的な種類と選定軸を整理します。
| Bot種別の例 | 匿名対応 | 多言語対応 | 無料プラン | 主な特徴 | 想定用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| EasyPoll系 | 匿名・非匿名の切り替え可 | 英語中心 | 基本機能は無料 | Slashコマンドで高度なPollを作成 | 海外ユーザー混在サーバー向き |
| Poll Bot Advanced系 | 匿名投票・複数質問対応 | 英語中心 | 無料+有料拡張 | CSVエクスポートやロール制限など高機能 | 本格的な調査・運営向き |
| 日本語向け匿名Bot | 匿名専用 | 日本語対応 | 無料〜寄付モデル | コマンドが日本語記事で解説されていることが多い | 日本語コミュニティ向き |
| 会話型サーベイBot(Subo等) | 会話形式の質問+匿名 | 英語中心 | 一部無料 | DMで回答を集めるなど、インタラクティブな形式 | エンゲージメント重視 |
実際に導入する際は、
利用者数やレビュー数
最終更新日
公式サイト・ドキュメントの有無
必要な権限
などを確認し、信頼できるものを選ぶことが重要です。
実践ステップ:Bot導入〜匿名アンケート作成までの手順
ここでは一般的な匿名アンケートBot導入の流れを示します(Bot名は仮のイメージです)。
公式サイトやDiscordアプリディレクトリからBotページを開く
「招待する」または「Add to Discord」ボタンを押す
匿名アンケートを実施したいサーバーを選択
要求される権限を確認し、不要な管理者権限は外す
サーバー側で、Botを使うテキストチャンネルに
メッセージ閲覧
メッセージ送信
埋め込みリンク
などの権限が付与されているか確認
Botの公式ドキュメントに記載されたコマンドでテスト用アンケートを作成
例:
/poll anonymous:true "質問" "選択肢1" "選択肢2"
テスト結果を確認し、想定どおり「誰が投票したか見えない」ことをチェック
問題なければ、本番用チャンネルで告知文を添えてアンケートを実施
Botごとにコマンドやオプションは異なるため、必ず公式の説明ページを確認してから利用してください。
Botが動かない時のトラブルシューティング
Botが反応しない・メッセージが出ない場合は、次のチェックリストを確認してください。
Botがオンラインになっているか
対象チャンネルで、Botに
メッセージ閲覧権限
メッセージ送信権限
埋め込みリンク権限
が付与されているか
サーバーの「統合」設定で、スラッシュコマンドが有効になっているか
同様の機能を持つ別のBotが同じプレフィックスを使っておらず、競合していないか
Discord全体で障害が発生していないか
Botの公式サポートサーバーやドキュメントに既知の障害情報が出ていないか
それでも解決しない場合は、Botのサポートサーバーで問い合わせるのが最も確実です。
外部ツール(Googleフォーム等)を組み合わせた完全匿名アンケート
Discord内完結と外部フォーム利用の違い
Discord内で完結する方法(Poll機能・Bot)と、Googleフォーム等の外部サービスを使う方法には、次のような違いがあります。
| 観点 | Discord内完結(Poll・Bot) | 外部フォーム(Googleフォーム等) |
|---|---|---|
| 匿名性 | 実装次第。運営側が技術的に追える場合も | 設定次第で高い匿名性を確保しやすい |
| 導入の手軽さ | Discord内で完結する | 別サービスの設定が必要 |
| 長文回答・複数ページ | Bot次第で可能 | 標準で強力 |
| 集計・分析 | Botの機能次第 | グラフ・スプレッドシート連携が強力 |
| 規模(回答数) | サーバー規模による | 大規模回答にも比較的対応しやすい |
「運営も含め誰が回答したか一切分からない完全匿名」を求める場合は、
Googleフォームなど外部サービスを利用し、Discordは告知と結果共有の場所として使うのが安全です。
Googleフォームで匿名アンケートを作成して共有する手順
Googleフォームで新規フォームを作成
「設定」メニューで、次のような項目を確認
「メールアドレスを収集する」をオフ
「ログインを必要とする」(組織内限定にする場合はオン/完全匿名ならオフ)
質問を追加
選択式やチェックボックス、段階評価などを組み合わせる
個人特定につながる質問は避ける
回答受付期間がある場合は、フォームの説明文に明記
「送信」ボタンからリンクを取得
Discordの対象チャンネルに、次のような案内文とともにリンクを貼る
例)
「サーバー運営に関する匿名アンケートを実施しています。
回答はすべて匿名で集計され、個人が特定されることはありません。
応募期限:〇月〇日 23:59 まで」
回答が集まったら、結果画面のグラフやスプレッドシートをもとに要約し、Discordで共有する
回答の集計・共有をDiscordで行うコツ
生のグラフだけでなく、要点を3〜5行で要約してから共有する
センシティブな内容は、結果をそのまま貼るのではなく、カテゴリ別集計やコメント抜粋にとどめる
「この結果をもとに、次のような改善を行います」といったアクションを添えると、メンバーの納得感が高まります。
用途別:最適な「匿名アンケート方法」の選び方
ライトな投票・雑談向きの方法
以下のようなテーマには、公式Poll機能+必要に応じて匿名オプションがおすすめです。
今夜のゲームタイトル/コンテンツを決めたい
イベント開催日や時間帯の候補を選びたい
サーバーのちょっとした企画(アイコン変更など)
これらは、
多少、誰がどの選択肢に投票したか見えても大きな問題になりづらい
投票自体を盛り上がりのきっかけにしたい
といった特徴があるためです。
サーバー方針・イベント内容など重要な意思決定向き
サーバー方針やルール、イベント運営方針など重要な内容については、次のようなパターンが考えられます。
公式Poll機能で大まかな方向性を決める
必要に応じて、匿名Botでより詳しい意見を集める
この場合、
投票権限を特定ロールに制限する
投票結果の扱い(参考にとどめるのか、原則として従うのか)を事前に明示する
といった工夫が重要です。
センシティブなテーマ・社内アンケート向き
次のようなテーマは、外部フォーム+Discord共有を強く推奨します。
上司・運営への評価
ハラスメントやパワハラの有無
メンタルヘルスや個人の健康状態に関するアンケート
社内制度・給与・人事に関する意見
このような内容は、完全匿名でなければ本音が出てこない可能性が高く、
また取り扱いを誤ると法的・倫理的な問題につながりかねません。
トラブルを防ぐための権限設定と運用ルール
投票を作成できる人・見られる人をどう制限するか
匿名アンケートを安全に運用するには、権限の設計が重要です。
「投票を作成できるロール」を管理者・モデレーターに限定
結果を見る権限を、特定チャンネルに限定する
Botに付与する権限は最小限に絞る(管理者権限は原則付与しない)
権限を絞ることで、不正なアンケートや悪意ある質問の乱立を防げます。
荒れやすいテーマでの注意点と事前アナウンス例
センシティブなテーマのアンケートを行う際は、事前に次のようなアナウンスをしておくと安全です。
アンケートの目的
回答の扱い方(誰が結果を見られるか、どのように活用するか)
誹謗中傷や特定個人への攻撃を書かないよう求めること
例文:
「本アンケートはサーバー改善のために実施します。
匿名で回答できますが、特定の個人を攻撃する内容や、差別的な表現はご遠慮ください。
結果は運営チームで確認し、必要に応じて要約した内容を共有します。」
ログや結果の扱い方と削除ポリシー
投票結果やログをどのくらいの期間保管するか
メンバーから削除要請があった場合の対応方法
結果を公開する範囲(全体公開・運営のみ・一部ロールのみ)
などをあらかじめ決めておき、
可能であればサーバールールや「注意書きチャンネル」に明記しておくとよいでしょう。
法的・プライバシー面の注意点(社内利用・未成年が多いサーバーの場合)
個人情報・ハラスメントにつながる質問を避ける
匿名アンケートだからといって、何を聞いてもよいわけではありません。
特定個人の実名やハンドルを推測できる設問
人種・性別・性的指向など、差別に直結する質問
健康状態や病歴など、極めてセンシティブな個人情報
これらは、原則として扱わない、または扱う場合でも専門家や社内規程に従う必要があります。
社内規程・利用規約との整合性を確認する
社内でDiscordを利用している場合は、情報システム部門や人事部門のルールに従うこと
Discord自体の利用規約・コミュニティガイドラインに反しないようにすること
特に社内アンケートで人事に関わる内容を扱う場合は、
「人事主導の公式アンケート」なのか「有志サーバーとしての意見収集」なのかを明確に区別する必要があります。
匿名を理由にした誹謗中傷を防ぐためのルール例
匿名性が高いアンケートは、本音が出やすい一方で、
誹謗中傷や攻撃的なコメントが紛れ込むリスクもあります。
「特定のメンバーを傷つける内容は削除する場合がある」
「悪意ある回答が目立つ場合は、アンケート自体を中止することがある」
といったルールを事前に伝えておくことで、ある程度の抑止力になります。
よくある質問(FAQ)
Poll機能の匿名オプションが表示されないのはなぜ?
考えられる原因は次のとおりです。
アプリのバージョンが古い
機能が段階的にロールアウトされており、まだ自分の環境に反映されていない
サーバー・チャンネルの種類によって利用できる機能が異なる
どうしても表示されない場合は、匿名Botや外部フォームの利用を検討してください。
Botにサーバー管理者権限を与えるのは危険?
はい、原則として危険です。
悪意のあるBotや不具合のあるBotに管理者権限を与えると、
サーバーのチャンネル削除やロール改変など重大な被害につながる可能性があります。必要な機能に応じて、最小限の権限のみ付与する運用をおすすめいたします。
一度作成したアンケートを編集・削除できる?
公式Poll機能の場合
基本的に投票内容の編集はできません。
間違えた場合は、メッセージ自体を削除して作り直す必要があります。
Botや外部フォームの場合
Botごとに編集可否が異なります。
Googleフォームでは、設問を後から修正できますが、回答済みデータとの整合性に注意が必要です。
匿名アンケートでも管理者は誰が回答したか見える?
これは方法によって異なります。
公式Poll機能の匿名オプション
表示上は匿名でも、システム的なログの扱いは公開されていません。
「管理者も絶対に分からない」と断言することはできません。
匿名Bot
Bot開発者側やログの持ち方によって、内部的にはユーザーIDが関連付けられている場合もあり得ます。
Googleフォームなど外部サービス
「メールアドレス収集オフ」「ログイン不要」など適切に設定すれば、
回答者を特定しにくい形で運用することが可能です。
完全匿名が必須であれば、外部サービスを用い、その設定と運用方法を慎重に設計してください。
まとめ:自分のサーバーに合った匿名アンケートのやり方を選ぼう
この記事の要点チェックリスト
Discordでアンケートを取る方法は「公式Poll」「リアクション投票」「Bot・外部フォーム」の3系統である
リアクション投票は手軽だが、匿名性はほぼない
Poll機能の匿名オプションは、一般メンバーからの可視性を下げる目的には有効な場合があるが、完全匿名とは限らない
完全匿名や高度な集計が必要な場合は、匿名対応Botや外部フォームを検討する
権限設計と運用ルールを整えることで、トラブルや炎上のリスクを減らせる
次に取るべきアクション
自分のサーバーで必要な匿名性のレベルを整理する
少人数チャンネルなどで、公式Poll・Bot・外部フォームをそれぞれ試してみる
問題のなさそうな方法を標準フローとして決め、サーバールールや案内テンプレートを整備する
仕様変更・アップデートへの備え方
Discordは頻繁にアップデートされるサービスです。
投票機能や匿名オプションの仕様も、今後変更される可能性があります。
定期的にDiscord公式のヘルプセンターや更新情報を確認する
新しい機能が追加されたら、テスト用チャンネルで挙動を検証する
仕様変更を前提に、運用ルールを柔軟に見直せるようにしておく
これらを意識しておくことで、「匿名アンケート」を安全かつ効果的に活用し続けることが可能です。